JP3349070B2 - 熱可塑性樹脂の成形法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の成形法

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JP3349070B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂の成形
において、金型表面状態を成形品表面に高度に転写する
成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の成形において、通常、金
型の温度は成形樹脂の固化する温度よりも十分に低い温
度に保たれる。これは、熱伝導性が著しく低い樹脂素材
を、短時間で溶融状態から成形品として取り出せる温度
にまで冷却するために必要なことである。また、金型表
面状態を高度に成形品に転写するには粘度が低い状態の
樹脂を高い圧力で金型に押しつける必要がある。
【0003】しかしながら、樹脂の固化温度よりも金型
温度が低いと、樹脂充填と樹脂の固化が同時に進行する
ことになり、樹脂流動先端部(フローフロント)付近で
金型に接触した樹脂は、急激に冷却され粘度が高くなる
とともに、金型表面に低い圧力で押し付けられた状態で
固化するため、金型表面状態を高度に成形品に転写する
ことは困難となる。このため通常の射出成形では、光沢
ムラ、ウェルドライン、フローマーク、ジェッティング
などの外観不良や、光ディスク等の精密成形品では微細
なピットの転写不良を起こしやすく、薄肉部品ではショ
ートショットを起こすこともある。
【0004】金型表面の転写性を高めるには、樹脂充填
工程中の樹脂の固化を防止したり、最小限にとどめるこ
とが必要となる。
【0005】熱可塑性樹脂の射出成形等では、成形サイ
クルタイムを長くせず、経済的に金型表面転写性を高め
ることが常に要求されてきた。金型表面転写性を高める
手段としてこれまで種々の方法が提案されており、例え
ば、次のような方法がある。
【0006】(1)金型に熱媒と冷媒を交互に流して金
型表面の加熱、冷却を繰り返す方法(Plastic
Technology,VOL.34(June),1
50(1988)等)。 (2)成形直前に高周波誘導加熱で金型表面を選択的に
加熱する方法(USP4439492等)。 (3)金型表面に絶縁層と導電層を設け、導電層に通電
して加熱する方法(Polym.Eng.Sci.,V
ol.34(11),894(1994)等)。 (4)金型表面を輻射加熱する方法(合成樹脂,Vo
l.42(1),48(1996)等)。 (5)金型表面を断熱層で被覆し、成形樹脂自身の熱で
金型表面を加熱しつつ成形する断熱層被覆法(USP
5362226,WO97/04938等)。
【0007】ビー・エイチ・キム(B.H.Kim)の
報告(Polym.Plast.Technol.En
g.,Vol.25(1),73(1986))では、
成形直前に電気等の外部エネルギーで金型表面を加熱す
る上記の(1)〜(4)の方法をアクティブコントロー
ル法、それに対して、外部エネルギーを加えず、成形樹
脂自身の熱で金型表面を加熱する上記(5)の方法をパ
ッシブコントロール法と称している。
【0008】上記アクティブコントロール法も、パッシ
ブコントロール法もいずれも射出成形時に金型表面を加
熱しつつ成形する方法である。すなわち、射出された溶
融樹脂が金型壁面に押し付けられる時に金型表面を該樹
脂の固化温度以上に加熱することにより金型表面転写性
を良くする成形法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱可
塑性樹脂の成形において、樹脂充填工程中の樹脂の固化
や粘度上昇を防止し、金型表面状態を高度に成形品に転
写する方法を経済的に提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明者らは検討の結果、従来考えられていた金型表面
を加熱することにより金型表面転写性を改良する手法と
は全く異なる方法により、金型表面状態が成形品に高度
に転写できることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、次の各発明からなる。
【0011】 (1)溶融した非結晶性熱可塑性樹脂を
金型に充填して成形する成形法において、該樹脂のガラ
ス転移温度において該樹脂に対する溶解度が空気及び/
又は窒素の2倍以上であるガス体を、該樹脂のガラス転
移温度で該樹脂に0.1重量%以上溶解する圧力で金型
キャビティに充填し、次いで溶融した該樹脂を充填し
て、該樹脂充填工程中に上記ガス体が該樹脂表面に溶解
し、金型に接する該樹脂表面の固化温度を低下させる
とを特徴とする熱可塑性樹脂の成形法。
【0012】
【0013】
【0014】 ()上記(1)において、ガス体が二
酸化炭素である成形法。
【0015】
【0016】 ()上記(1)において、金型キャビ
ティに充填する上記ガス体の圧力を、上記非結晶性熱可
塑性樹脂のガラス転移温度で、該樹脂に0.5重量%以
上溶解する圧力とする成形法。
【0017】 ()上記(1)〜()のいずれかに
おいて、上記成形法が射出成形である成形法。
【0018】本発明は前記従来の金型表面転写性を良く
する成形メカニズムとは全く異なるメカニズムによりそ
の目的を達成する方法であり、従来技術とは異なる新し
い考え方により著しい効果を得る方法を発見し、本発明
に至ったものである。
【0019】本発明に若干関連する公知文献について次
に述べる。
【0020】発泡剤や水分を含有する発泡性樹脂の射出
成形において、発泡ガスによる成形品表面のスワールマ
ーク等の表面不良をなくすために、樹脂充填に先立ち金
型キャビティに加圧ガス体を注入して加圧状態にして成
形する、いわゆるカウンタープレッシャー法がある。こ
の方法は金型キャビティを流動する溶融樹脂のフローフ
ロントで、発泡ガスあるいは気化した水分により生じた
気泡が破裂し、表面不良の原因となることを防ぐため
に、金型キャビティにあらかじめガス圧力をかける方法
であり、この場合のガス体は樹脂を酸化劣化させないも
のであれば良く、一般に空気が使用され、不活性なガス
体は全てこの成形法に使用できる。このカウンタープレ
ッシャー法は発泡剤含有樹脂や、乾燥が不十分な樹脂の
射出成形に使用される方法であり、一般の非発泡性樹脂
の成形にこの方法を使用すると、キャビティ内に存在す
るガス体が、溶融樹脂と金型の間に入り込み転写を阻害
したり、ガス体が空気の場合、キャビティ内で樹脂によ
り空気が圧縮される部分では、高温で高酸素濃度の状態
となり、樹脂の酸化劣化を引き起こしたりするなどの問
題が生じるだけであり、金型表面転写性を高める効果は
ないといえる。このため、金型表面状態を高度に成形品
に転写するには、樹脂充填時のみ金型をわずかに開きキ
ャビティ内の空気を逃がしたり、真空ポンプにより金型
内を減圧にするなどの方法も使用されている。
【0021】特開昭62−231715号公報には、水
分含有ポリマーアロイの射出成形にカウンタープレッシ
ャー法を用いて成形する方法が示されており、金型キャ
ビティを予備加圧するガス体として空気、窒素、二酸化
炭素等の不活性ガス体があげられているが、本発明の考
え方を何ら示唆するものではない。
【0022】更に特開昭61−213111号公報に
は、二種のモノマーを混合し、射出する反応射出成形
(Reaction Injection Moldi
ng)について、金型キャビティを大気圧の二酸化炭素
で置換した後に成形することで、樹脂充填時に樹脂中に
エアが巻き込まれて発生するボイドを、減少させる方法
が示されている。しかし、二種以上のモノマーを混合し
た原料の温度よりも金型温度の方が高い反応射出成形
と、本発明の熱可塑性樹脂の射出成形とは分野が全く異
なり、樹脂充填工程中の樹脂の固化に起因した金型表面
転写性不良を改良する手法を開示するものではない。
【0023】一方、J.Appl.Polym.Sc
i.,Vol.30,2633(1985)など、多く
の文献に示されるように、二酸化炭素を樹脂に吸収させ
ると、樹脂の可塑剤として働き、ガラス転移温度を低下
させることが知られているが、樹脂の成形加工に広く応
用されるに至ってはいない。わずかな応用事例として、
ドイツ国特許DE4314869号に、生体吸収性のポ
リエステルに高圧容器内で超臨界状態の二酸化炭素や炭
化水素などを溶解させてガラス転移温度を低下させ、5
0℃程度の低温で樹脂を成形する方法が開示されてい
る。しかし、この方法では樹脂全体のガラス転移温度が
低下するため、成形にはガラス転移温度の低下分だけ通
常よりも低い金型温度を使用する必要があり、樹脂充填
工程中の固化に基づく転写不良を防止する効果はない。
【0024】本発明は、従来、金型表面の転写を阻害す
ると考えられていた金型キャビティ内のガス体に着目し
たものであり、その効果が発現されるメカニズムは次の
ように考えられる。
【0025】射出成形では、樹脂は金型キャビティ内を
常に層流で流れ、冷却された金型壁面に接触するとその
界面に固化層が形成され、後から充填される樹脂はその
固化層の内側を流動して前進し、樹脂流動先端部(フロ
ーフロント)に達してから金型壁面に向かうファウンテ
ンフローと呼ばれる流動をする。金型キャビティを二酸
化炭素などの特定のガス体で、適度なガス圧力で満たし
てから樹脂を充填すると、ガス体は流動樹脂のフローフ
ロントで吸収されたり、金型と樹脂の界面に入り込み樹
脂表面層に溶解する。樹脂に溶解したガス体は可塑剤と
して作用し、樹脂表面だけ固化温度を選択的に低下させ
たり、樹脂の溶融粘度を下げる。薄い樹脂表面層だけ固
化温度が下がり、固化温度が金型表面温度以下となれ
ば、樹脂充填工程中の固化が起きず、成形品の金型表面
転写性を著しく改良することができることになる。樹脂
表面層に溶解したガス体は、時間とともに樹脂内部に拡
散し、樹脂表面層の固化温度が上昇するため、通常の樹
脂冷却時間内で表面層は固化し、製品として取り出すこ
とができる。
【0026】この結果、樹脂充填工程中に金型に接する
樹脂表面の固化温度を低下させつつ成形することが可能
となり、本発明に至った。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】 本発明で使用される樹脂は、一般の射出
成形等に使用できる熱可塑性樹脂であり、非結晶性熱可
塑性樹脂である。ポリスチレン、スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、ゴム強化ポリスチレン、スチレン−メ
チルメタクリレート共重合体、ABS樹脂、スチレン−
メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等のスチレ
ン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリ
レート−スチレン共重合体等のメタクリル樹脂、ポリビ
ニルアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエ
ーテルあるいはポリスチレン等を配合した変成ポリフェ
ニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミド
イミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系
樹脂等は特に良好に使用できる。更にこれらの樹脂のブ
レンド、これらの非結晶性樹脂に一部の結晶性樹脂を配
合した樹脂、無機物や有機物の各種充填材が配合された
樹脂である。
【0029】本発明では、使用するガス体が樹脂に良く
溶解する組み合わせが好ましい。ガス体として二酸化炭
素を使用する場合、二酸化炭素との親和性が高く、二酸
化炭素の溶解度が高い樹脂の方が大きな効果が得られ
る。更に本発明では、各種難加工性樹脂で、成形品外観
が悪くなる樹脂も効果が大きく現れる。
【0030】 本発明に述べる樹脂の固化温度は、溶融
した熱可塑性樹脂が金型内で固化する温度であり、非結
晶性樹脂ではガラス転移温度である。非相溶系ポリマー
アロイにおいては、海島構造の海を構成する非結晶性
脂の、ガラス転移温度である。
【0031】また、本発明において金型キャビティに充
填するガス体とは、熱可塑性樹脂への溶解度が大きく、
該樹脂の固化温度において空気及び/又は窒素の2倍以
上の溶解度を有し、樹脂の可塑化効果を有するガス体で
ある。すなわち、ガス体は金型キャビティに存在し、樹
脂充填工程中に樹脂表面に吸収されて、金型に接する樹
脂表面の固化温度を低下させるガス体である。樹脂への
溶解度が空気や、窒素程度のガス体では、従来から知ら
れるように、キャビティ中で金型表面の転写を阻害する
だけであり、従って少なくともこれらの2倍以上の樹脂
への溶解度が必要である。また、樹脂を劣化させないこ
と、金型や成形する環境に対し危険性がないこと、安価
であることなどの制約から選定される。ガス体は溶解度
が大きいものであれば2種以上の混合物であっても使用
できる。
【0032】具体的には二酸化炭素、メタン、エタン、
プロパンなどの炭化水素、およびその一部水素をフッ素
などで置換したフロンなどであり、使用する熱可塑性樹
脂により最適な物が選択される。この中で二酸化炭素は
安全性、価格、取り扱いやすさ等の点で最も良好に使用
できるだけでなく、樹脂に良く溶解して可塑剤となり、
樹脂の固化温度を低下させる効果も大きい。
【0033】次に本発明に最も良好に使用されるガス体
である二酸化炭素の各樹脂への溶解量、二酸化炭素溶解
による樹脂のガラス転移温度(以後Tgと略称する)の
低下等について図面を用いて説明する。
【0034】図1〜図10は各種文献に記載の報告を示
したものである。すなわち、図1と図2は、成形加工’
96(JSPP’96 Tech.Papers),2
79(1996)より、図3〜図6と図9は、J.Ap
pl.Polym.Sci.,Vol.30,4019
(1985)より、図7と図10はJ.Appl.Po
lym.Sci.,Vol.30,2633(198
5)より、図8はJ.Membrane Sci.,V
ol.5,63(1979)からそれぞれ引用した図で
ある。
【0035】図1と図2はポリスチレンへの二酸化炭素
と窒素の溶解量を示した図であり、二酸化炭素は窒素の
約10倍の溶解量がある。
【0036】図3と図4は液状可塑剤を含むポリスチレ
ンへの二酸化炭素の溶解量を示し、図5は二酸化炭素溶
解によるTgの低下量を示す。ポリスチレンは二酸化炭
素を溶解させることにより、容易にTgを下げることが
できる。
【0037】図6と図7はポリメチルメタクリレートお
よびポリフッ化ビニリデンポリマーアロイへの二酸化炭
素の溶解量と、二酸化炭素溶解によるTgの低下量を示
した図であり、二酸化炭素溶解によりTgを下げること
ができる。
【0038】図8と図9はポリカーボネートとポリスル
ホンへの二酸化炭素溶解量を示した図である。
【0039】図10は各樹脂の二酸化炭素溶解によるT
g低下量をまとめて示した図である。二酸化炭素溶解に
よるTgの低下量はポリカーボネートを除けばほぼ同一
である。ポリカーボネートは二酸化炭素溶解によるTg
の低下が特に大きい。
【0040】金型キャビティに封入するガス圧力は、高
い圧力になるほど多量のガス体が樹脂に溶解するため、
より固化温度が低くなり、低い金型温度でも樹脂充填工
程中の固化を防止できることになる。実用的には、要求
する金型表面転写性の程度、樹脂やガス体の種類、金型
温度等から必要なガス圧力が決まり、高い溶解性を持つ
ガス体を使用し、金型温度を高く設定すれば低いガス圧
力で十分な転写性を得ることもできる。
【0041】圧力の下限は、樹脂に溶解したガス体の可
塑剤効果から決まり、樹脂の固化温度において、平衡状
態で0.1重量%樹脂に溶解する圧力であり、好ましく
は0.5重量%溶解する圧力である。ここで用いるガス
体の樹脂への溶解度は、圧力降下法による測定値であ
る。これ未満の圧力や大気圧であっても、二酸化炭素な
どの溶解性の高いガス体を使用すれば、キャビティを真
空ポンプにより減圧にしたときと同等以上の転写性向上
効果を得ることができる。低い圧力で使用する場合は、
キャビティを可能な限り特定ガス体で置換することが好
ましい。
【0042】また、圧力の上限は、特に限定はないが、
あまりに高圧になると金型を開こうとする力が無視でき
なくなったり、金型のシールが難しくなるなどの問題が
生じやすいことから、15MPa以下が実用的であり、
好ましくは10MPa以下である。ガス圧力は1工程に
使用するガス体の量を最小限に押さえ、金型のシールや
ガス供給装置の構造を簡単にするために、要求する効果
が得られる範囲で低い方が好ましい。
【0043】型閉時に型内に残る空気は、型締め中や型
締め完了後に使用するガス体で置換した方が好ましい
が、使用するガス圧力が1MPaを超えるような場合、
空気の影響はほとんど無視できる。
【0044】樹脂充填後、キャビティ外に押し出された
ガス体を解放し、大気圧とする。ガス体の解放は、キャ
ビティ内を溶融樹脂で満たした後に行う。樹脂充填後は
金型表面状態を成形品に転写するため、成形品表面が固
化するまでキャビティ内の樹脂に十分な圧力を与えるこ
とが望ましい。特に、金型表面にある点状の凹み形状を
転写する場合には、凹み内部のガス圧力に対抗して樹脂
を金型に押しつける必要があり、このような場合には通
常の成形よりも高い樹脂圧力で成形することが望まし
い。
【0045】樹脂中に溶解したガス体は、樹脂の成形後
に成形品を大気中に放置すれば徐々に大気中に放散す
る。放散により成形品に気泡を生じることはなく、放散
後の成形品の機械的性能は通常の成形法で作ったものと
変わらない。
【0046】ガス体をキャビティに供給、排出する装
置、ガス配管および金型は、ガス体の液化を防ぐための
対策をとることが好ましい。これはガス体の液化が起き
るような温度では、高いガス圧力が得られないばかり
か、キャビティ内で液化ガスが樹脂に触れると多量のガ
スが樹脂中に溶け込み、ガス圧力解放後に成形品表面が
発泡し、外観不良を起こすためである。液化防止の対策
としては、ガス体を加温器により加熱し、ガス体の流路
や金型の温度もガス体の臨界温度以上に保つことや、樹
脂充填時にキャビティからガス体が押し出されことによ
る大幅な圧力上昇を防止するために、キャビティと配管
内のガス圧力を任意の範囲に保つことのできる圧力解放
弁や、キャビティからガス体が逆流可能なガス溜めを設
けることがあげられる。ただし、ガス体の液化を防止す
るために、ガス体の温度を過剰に高くすることは、ガス
体の膨張によりキャビティ内のガス量が減少するため好
ましくない。
【0047】通常、カウンタープレッシャー法による成
形などで金型を気密構造にするには、パーティング面や
各プレート間をOリングでシールし、キャビティに連通
する突き出しピンなどの可動ピンもOリングでシールし
たり、突き出しピンが固定された突き出しプレート部分
全体を覆い気密とするなどの方法が採られている。突き
出しピンのシールにOリングを使用する場合、2枚のプ
レート間にOリングを入れた後に、突き出しピンを通す
ことが必要である。この時、突き出しピン先端のエッジ
でOリングを傷つけたり、ピン挿入抵抗が大きいとOリ
ングがねじれ確実なシール性が確保できないことが多
い。これに対し、半径方向の断面形状がU字形状のゴム
パッキン(以下、Uパッキン)でシールすると、突き出
しピン挿入時に挿入抵抗が少なく、ピン先端のエッジで
傷ついたり、ねじれたりすることなく容易に金型組立が
でき、高い信頼性のシール性を得ることができる。
【0048】また、可動ピンをパッキンでシールする場
合、キャビティとパッキン間でピンまわりの隙間に入っ
た加圧ガス体は、樹脂充填により隙間に閉じこめられ、
成形品表面が冷え金型表面から離れると、キャビティに
流れ出し、十分に固まっていない成形品表面を凹ませた
り、型開き時に成形品を膨らませ変形させることがあ
る。このような問題が生じる場合は、ピンまわりの隙間
に入った加圧ガス体を、キャビティ以外の経路から金型
外に排出できる溝や穴を金型に設け、樹脂充填後、キャ
ビティから押し出されたガス体の排出と同時に排気する
ことが望ましい。図12にキャビティ以外の経路から金
型外に加圧ガス体を排出できる金型の構造例を示す。
【0049】キャビティへのガス体の注入は、一般にキ
ャビティのガス抜きに用いられる金型構造を用いれば可
能であり、キャビティ外周のパーティング面に設けたス
リット、金型入れ子や突き出しピンの隙間、ガス抜きピ
ン、多孔質焼結体でできた入れ子などが使用できる。キ
ャビティを大気圧付近のガス体で置換する場合、キャビ
ティの空気を、できるだけ短時間に、できるだけ少量の
ガス体で、できるだけ100%近く置換する、経済的な
方法が必要であり、金型スプルからガス体を吹き込む方
法が適している。キャビティへ樹脂を充填するに先立
ち、金型スプル付近よりガス体を注入して成形すること
により、ガス体が樹脂により押されて、ガス体によりキ
ャビティに残存する空気を金型外へ排出しつつ成形され
ることになる。すなわち、金型のスプル、ランナ、ゲー
ト付近を十分にガス体で置換すれば、樹脂に触れるガス
体は常に注入したガス体となる。
【0050】図11はキャビティを加圧するガス体を金
型のスプル部分から注入するノズルを示す。図11にお
いて、射出シリンダ1に連結するノズル2にはノズル先
端3を開閉するニードル弁4がある。ノズル先端部にア
ウタノズル5があり、ノズル本体2とアウタノズル5で
形成される空間6は通路7を通してガス体源と連結して
いる。アウタノズル5が軽く金型に接触すると空間6は
キャビティに連結し、この状態でガス体を空間6から金
型へ圧入する。次いで射出シリンダ1が前進してアウタ
ノズル5が金型に強く押し付けられると、アウタノズル
5を金型に押しつけていたスプリングが圧縮され、ノズ
ル本体2が前進して、空間6と金型との連結は遮断され
る。この状態で射出シリンダ1より樹脂を金型に充填す
る。
【0051】本発明には、ガス体を金型キャビティに大
気圧から1MPa程度の低い圧力で満たし、次いで溶融
樹脂の充填によりキャビティのガス体を圧縮し、ガス圧
力を増加させつつ成形する方法も含まれる。Oリング等
でキャビティのガス体をシールした構造の金型を用い、
キャビティをガス体で大気圧から1MPa程度の低い圧
力で満たし樹脂を充填すると、樹脂によりガス体は圧縮
され、樹脂充填が進む程ガス圧力は上昇する。ガス圧力
が上昇すると樹脂中に溶解するガス量が増大し、溶解し
たガス体により樹脂は可塑化され、流動性は良くなり、
高い金型表面転写性を得ることができる。一般の射出成
形品では、射出圧力伝達の悪い樹脂流動末端部の金型表
面転写性はゲート付近に比べ低いが、上記の方法では流
動末端部の金型表面転写性を改良することができる。
【0052】同様な効果は、金型表面の微細な凹部の転
写に対しても有効である。一般に、微細な凹部では、樹
脂流動中の固化や凹形状内にトラップされた空気のため
に、十分奥まで樹脂が入り込めない場合が多いが、本発
明ではトラップされたガス体が樹脂に吸収されるため樹
脂充填の障害となることが少なく、吸収されたガス体の
可塑剤効果により樹脂の固化温度が下がり、流動性が増
すため、凹部の奥まで樹脂を充填することが可能とな
る。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】本発明では各種の射出成形法が良好に使用
できる。一般に、金型表面転写性に劣るとされる、ガス
アシスト射出成形、液体アシスト射出成形、射出圧縮成
形などの低圧射出成形法は良好に使用できる。さらに樹
脂のフローフロント流動速度が200mm/秒以下、特
に100mm/秒以下の低速充填を含む射出成形も良好
に使用できる。これには樹脂の流動速度が一時的に低速
になる場合、瞬間的に流動が止まる場合、全体的に低速
の場合等の各種が含まれる。本発明によれば、樹脂充填
時の樹脂の固化を防止できるため、ガスアシスト射出成
形にみられるヘジテーションマークと呼ばれる樹脂流動
速度の差に起因した、部分的な金型表面転写性の違いも
少なくなる。
【0058】また本発明では、前述した金型表面温度を
高める既存の金型表面転写性改良法と組み合わせて使用
することもできる。これらの成形法では、金型温度が高
いため、樹脂充填時に樹脂と金型が密着しやすく、キャ
ビティ内の空気が樹脂と金型の間にトラップされると、
樹脂表面に凹みとなることが多い。本発明と組み合わせ
ることにより樹脂表面の凹み不良が改善されるだけでな
く、より低い金型温度で高い金型表面転写性が得られ加
熱効率を高めることができる。
【0059】さらに本発明は、樹脂充填工程中に樹脂に
振動を加える方法と組み合わせることで、高い金型表面
転写性と高い機械物性をあわせ持った成形品を得ること
もできる。樹脂に振動を加える方法としては、射出シリ
ンダ中の樹脂を加振する方法(Polym.Plas
t.Technol.Eng.,17(1),11(1
981)など)、金型を加振する方法(成形加工’97
(JSPP’97 Tech.Papers),18
5,(1997)など)、キャビティ内の加圧ガスを加
振する方法(Platstics World,Jul
y,8(1997)など)があげられる。特に、キャビ
ティ内の加圧ガスを加振する方法と本発明の併用では、
従来使用していた窒素ガスによる転写阻害が防止できる
ため高い併用効果が得られる。
【0060】
【実施例】以下に実施例、比較例を用いて本発明の効果
をさらに具体的に説明する。
【0061】射出成形に使用した樹脂は、ゴム補強ポリ
スチレン(旭化成工業製,商品名:スタイロン40
0)、ガラス繊維20%充填ABS樹脂(旭化成工業
製,商品名:スタイラックABS R240A)、メタ
クリル樹脂(旭化成工業製,商品名:デルペット 80
NH)、ポリカーボネート(帝人化成製,商品名:パン
ライト L1225)である。
【0062】ガス体としては純度99%以上の二酸化炭
素を使用した。
【0063】成形機は住友重機械工業製のSG50を使
用した。
【0064】成形品は厚み2mmで縦横各100mmの
正方形平板である。金型の構造を図12に、ガス供給装
置の構造を図13に示す。尚、図12中(a)は金型全
体の断面図、(b)は金型の移動側断面図で(a)中の
A−A’断面図、(c)はキャビティ外周部の詳細断面
図、(d)は付き出しピンのシール部詳細断面図であ
る。
【0065】金型表面は、移動側キャビティ表面の半分
を梨地処理し、他は鏡面とした。成形品中心に直径8m
mのダイレクトゲートを設け、スプルの長さは58m
m、ノズルタッチ部の直径を3.5mmとした。金型の
キャビティ外周にはガス供給と開放のための深さ0.0
5mmの隙間8とガス流路溝9、およびガス流路溝9か
ら金型外に通じる孔10を設けてガス供給装置と接続
し、ガス流路溝9の外周にガスシールのためにOリング
11を設け、キャビティを気密構造とした。また、突き
出しピン12はキャビティブロック13とバックアップ
プレート14間にUパッキン15を挿入してシールし
た。Uパッキンには日本バルカー工業製MPRシリーズ
を用いた。金型外に通じる孔10は、突き出しピン12
のまわり、およびキャビティブロック13とバックアッ
ププレート14間の隙間にも通じ、隙間のガス体を樹脂
充填完了と同時に解放できる構造とした。
【0066】ガス供給装置は、液化炭酸ガスを充填した
ボンベ16を40℃で保温し約12MPaのガス体供給
源として用いた。ガス体はボンベ16より加温器17を
通り、減圧弁18にて所定圧力に調圧された後、約40
℃に保温された内容量100cm3 のガス溜19に溜め
られる。金型キャビティへのガス体供給は、ガス溜19
の下流にある供給用電磁弁20を開け、同時に解放用電
磁弁21を閉じることで行われ、樹脂充填中はガス溜と
キャビティはつながっている。樹脂充填が終了すると同
時に、供給用電磁弁20を閉じ、解放用電磁弁21を開
けることでガス体を金型外に解放する。溶融樹脂の充填
によりキャビティ内のガス体を圧縮し圧力を増す場合に
は、ガス体供給後、樹脂充填開始とともに供給用電磁弁
20を閉じ、樹脂充填の終了時に、解放用電磁弁21を
開け、樹脂充填中の不要な圧力上昇は圧力解放弁22よ
りガスを解放することで防止する。
【0067】金型表面状態の転写性は、鏡面部分の表面
光沢測定、光学顕微鏡による観察、梨地部分の表面粗さ
測定で評価した。表面光沢の測定には、スガ試験機製の
変角光沢計,商品名:UGV−5K、表面粗さの測定に
は東京精密製,商品名:サーフコム575Aを用いた。
【0068】[実施例1]キャビティ表面温度70℃の
金型内に、二酸化炭素を5.0MPaの圧力で満たし、
樹脂温度220℃のゴム補強ポリスチレンを充填時間
0.6秒および2.4秒で充填し、シリンダ内樹脂圧力
35MPaで10秒間保圧し、20秒間冷却した後成形
品を取り出した。金型に満たした二酸化炭素は、樹脂充
填完了と同時に大気中に解放した。
【0069】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、充填時間によらず表面光沢に優れる(60度鏡面光
沢度=いずれも101)ことが確認された。
【0070】[実施例2]金型に満たす二酸化炭素の圧
力を2.5MPaとし、それ以外は実施例1と同様にし
て成形品を得た。
【0071】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、充填時間によらず表面光沢に優れる(60度鏡面光
沢度=いずれも88)ことが確認された。
【0072】[実施例3]金型キャビティ表面温度を8
0℃とし、それ以外は実施例2と同様にして成形品を得
た。
【0073】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、充填時間によらず表面光沢に優れる(60度鏡面光
沢度=いずれも108)ことが確認された。
【0074】[実施例4]ガラス繊維20%充填ABS
樹脂を用い、キャビティ表面温度88℃、樹脂温度24
0℃、保圧力70MPaとした以外は、実施例1と同様
にして成形品を得た。得られた成形品の表面光沢を測定
した結果、充填時間によらず表面光沢に優れる(60度
鏡面光沢度=99及び100)ことが確認された。
【0075】また、成形品の表面を顕微鏡で100倍の
倍率で観察したところ、表面にはガラス繊維がほとんど
露出しておらず平滑であった。
【0076】[実施例5]キャビティ表面温度80℃の
金型内に、二酸化炭素を5.0MPaの圧力で満たし、
樹脂温度240℃のメタクリル樹脂を充填時間0.6秒
で充填し、シリンダ内樹脂圧力80MPaで10秒間保
圧し、20秒間冷却した後成形品を取り出した。金型に
満たした二酸化炭素は、樹脂充填完了と同時に大気中に
解放した。得られた成形品の梨地部分の表面粗さRmax
は12.0μmであった。
【0077】[実施例6]キャビティ表面温度120℃
の金型内に、二酸化炭素を5.0MPaの圧力に満た
し、樹脂温度300℃のポリカーボネートを充填時間
0.6秒で充填し、シリンダ内樹脂圧力120MPaで
10秒間保圧し、20秒間冷却した後成形品を取り出し
た。金型に満たした二酸化炭素は、樹脂充填完了と同時
に大気中に解放した。
【0078】得られた成形品の梨地部分の表面粗さR
max は11.5μmであった。
【0079】[比較例1]金型にガス供給装置を接続せ
ずに大気開放し、それ以外は実施例1と同様にして成形
品を得た。
【0080】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、充填時間0.6秒で60度鏡面光沢度=61、充填
時間2.4秒で60度鏡面光沢度=48と表面光沢は劣
り、充填時間に依存することが確認された。
【0081】[比較例2]金型に満たすガスに窒素を用
い、それ以外は実施例1と同様にして成形品を得た。
【0082】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、表面光沢は比較例1よりも劣る(充填時間0.6秒
で60度鏡面光沢度=46、充填時間2.4秒で60度
鏡面光沢度=40)ことが確認された。
【0083】[比較例3]金型にガス供給装置を接続せ
ずに大気開放し、それ以外は実施例4と同様にして成形
品を得た。
【0084】得られた成形品の表面光沢を測定した結
果、充填時間0.6秒で60度鏡面光沢度=85、充填
時間2.4秒で60度鏡面光沢度=62と表面光沢は劣
り、充填時間に依存することが確認された。
【0085】また、成形品の表面を顕微鏡で観察したと
ころ、表面には多数のガラス繊維および凹凸がみられ
た。
【0086】[比較例4]金型にガス供給装置を接続せ
ずに大気開放し、それ以外は実施例5と同様にして成形
品を得た。
【0087】得られた成形品の梨地部分の表面粗さR
max は8.2μmであった。
【0088】[比較例5]金型にガス供給装置を接続せ
ずに大気開放し、それ以外は実施例6と同様にして成形
品を得た。
【0089】得られた成形品の梨地部分の表面粗さR
max は7.4μmであった。
【0090】実施例、比較例の結果をまとめて表1、表
2に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】本発明によって、経済的に金型表面状態
を高度に成形品に転写することが可能となるため、従
来、成形品の外観が悪い場合にやむをえず施されていた
塗装などの後工程が不要になり、部品の大幅なコストダ
ウンができる。また、微細な金型表面状態を成形品に均
一に転写することができないために、射出成形に比べ生
産性の低いプレス成形で成形していた平面レンズなどの
生産性が著しく高められ、新たな射出成形の用途分野を
創造できるなどの効果が期待できる。
【0094】本発明の成形法で良好に成形される成形品
には、光学機器部品、弱電機器、電子機器、事務機器等
のハウジング、各種自動車部品、各種日用品、等の樹脂
射出成形品があげられる。多点ゲートで射出成形され、
その結果ウエルドラインが多数発生する電子機器、電気
機器、事務機器のハウジング等や、艶消し状成形品、パ
ターンしぼ成形品の外観向上に適する。また、透明な合
成樹脂を用いて成形したレンチキュラーレンズ、フレネ
ルレンズ等のレンズ、光ディスク等の記録用ディスク、
液晶表示部品である導光板、拡散板等の各種光学部品の
射出成形品にも好適である。本発明法で成形されるこれ
らの成形品は、型表面の再現性が良くなり、光沢度の向
上、ウエルドラインによる外観不良の減少、型表面のシ
ャープエッジの再現性向上、微細な型表面凹凸の再現性
向上などの効果があるだけでなく、樹脂充填工程時に発
生する成形品表面付近の内部ひずみが低減され、複屈折
の減少、耐薬品性の向上、配合したゴムの配向低減によ
るメッキ性能向上などの効果もある。そして、キャビテ
ィ内に高圧のガスを封入することで、樹脂充填工程時に
発生するメルトフロントからのガスの発生が抑制される
ため、金型汚れが減少したり、成形品の離型力が低減す
るなどの効果も期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリスチレンへの二酸化炭素の溶解量を示す図
である。
【図2】ポリスチレンへの窒素ガスの溶解量を示す図で
ある。
【図3】ポリスチレンへの二酸化炭素の溶解量を示す図
である。
【図4】ポリスチレンへの二酸化炭素の溶解量を示す図
である。
【図5】ポリスチレンへの二酸化炭素溶解によるTgの
低下量を示す図である。
【図6】PMMA/PVF2系ポリマーアロイへの二酸
化炭素の溶解量を示す図である。
【図7】PMMA/PVF2系ポリマーアロイへの二酸
化炭素溶解によるTgの低下量を示す図である。
【図8】ポリカーボネートへの二酸化炭素の溶解量を示
す図である。
【図9】ポリスルホンへの二酸化炭素の溶解量を示す図
である。
【図10】各合成樹脂の二酸化炭素溶解によるTgの低
下を示す図である。
【図11】本発明を実施する射出成形機ノズルの本発明
に直接係わる部分の断面を示す図である。
【図12】本発明を実施する金型の本発明に直接係わる
部分の断面を示す図である。
【図13】本発明を実施するガス供給装置の構造を示す
図である。
【符号の説明】
1 射出シリンダ 2 ノズル 3 ノズル先端 4 ニードル弁 5 アウタノズル 6 空間 7 通路 8 隙間 9 ガス流路溝 10 ガス流路溝から金型外に通じる孔 11 Oリング 12 突き出しピン 13 キャビティブロック 14 バックアッププレート 15 Uパッキン 16 ボンベ 17 加温器 18 減圧弁 19 ガス溜 20 供給用電磁弁 21 解放用電磁弁 22 圧力解放弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−231715(JP,A) 特開 昭50−159547(JP,A) 特開 昭62−213111(JP,A) 特開 平1−110916(JP,A) 特公 昭58−42823(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融した非結晶性熱可塑性樹脂を金型に
    充填して成形する成形法において、該樹脂のガラス転移
    温度において該樹脂に対する溶解度が空気及び/又は窒
    素の2倍以上であるガス体を、該樹脂のガラス転移温度
    で該樹脂に0.1重量%以上溶解する圧力で金型キャビ
    ティに充填し、次いで溶融した該樹脂を充填して、該
    脂充填工程中に上記ガス体が該樹脂表面に溶解し、金型
    に接する該樹脂表面の固化温度を低下させることを特徴
    とする熱可塑性樹脂の成形法。
  2. 【請求項2】 上記ガス体が二酸化炭素である請求項
    の熱可塑性樹脂の成形法。
  3. 【請求項3】 金型キャビティに充填する上記ガス体の
    圧力を、上記非結晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度
    で、該樹脂に0.5重量%以上溶解する圧力とする請求
    の熱可塑性樹脂の成形法。
  4. 【請求項4】 上記成形法が射出成形法である請求項1
    のいずれかの熱可塑性樹脂の成形法。
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