JP3348738B2 - インク噴射装置の駆動方法及びその装置 - Google Patents

インク噴射装置の駆動方法及びその装置

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JP3348738B2
JP3348738B2 JP16444993A JP16444993A JP3348738B2 JP 3348738 B2 JP3348738 B2 JP 3348738B2 JP 16444993 A JP16444993 A JP 16444993A JP 16444993 A JP16444993 A JP 16444993A JP 3348738 B2 JP3348738 B2 JP 3348738B2
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ink chambers
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電素子のせん断モー
ド変形を利用したインク噴射装置の駆動方法及びその装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、これまでのインパクト方式の印字
装置にとってかわり、その市場を大きく拡大しつつある
ノンインパクト方式の印字装置のなかで、原理が最も単
純で、かつ多階調化やカラー化が容易であるものとし
て、インクジェット方式の印字装置が上げられる。なか
でも印字に使用するインク滴のみを噴射するドロップ・
オン・デマンド型が、噴射効率の良さ、ランニングコス
トの安さなどから急速に普及している。
【0003】ドロップ・オン・デマンド型として特公昭
53−12138号公報に開示されているカイザー型、
あるいは特公昭61−59914号公報に開示されてい
るサーマルジェット型がその代表的な方式としてある。
このうち、前者は小型化が難しく、後者は高熱をインク
に加えるためにインクの耐熱性に対する要求が必要とさ
れ、それぞれに非常に困難な問題を抱えている。
【0004】以上のような欠陥を同時に解決する新たな
方式として提案されたのが、特開昭63−252750
号公報に開示されているせん断モード型である。
【0005】図5に示すように、上記せん断モード型の
インク噴射装置1は、圧電セラミックスプレート2とカ
バープレート10とノズルプレート14と基板41とか
ら構成されている。
【0006】その圧電セラミックスプレート2には、ダ
イヤモンドブレード等により切削加工され、複数の溝3
が形成されている。また、その溝3の側面となる側壁6
は矢印5の方向に分極されている。それらの溝3は同じ
深さであり、かつ平行である。それら溝3の深さは圧電
セラミックスプレート2の一端面15に近づくにつれて
徐々に浅くなっており、一端面15付近には浅溝7が形
成されている。そして、溝3の内面には、その両側面の
上半分に金属電極8がスパッタリング等によって形成さ
れている。また、浅溝7の内面には、その側面及び底面
に金属電極9がスパッタリング等によって形成されてい
る。これにより、溝3の両側面に形成された金属電極8
は浅溝7に形成された金属電極9によって電気的に接続
されている。
【0007】次に、カバープレート10は、セラミック
ス材料または樹脂材料等から形成されている。そして、
カバープレート10には、研削または切削加工等によっ
て、インク導入口16及びマニホールド18が形成され
ている。そして、圧電セラミックスプレート2の溝3加
工側の面とカバープレート10のマニホールド18加工
側の面とがエポキシ系接着剤20(図7参照)によって
接着される。従って、インク噴射装置1には、溝3の上
面が覆われて横方向に同じ間隔を有する複数のインク流
路であるインク室4(図7参照)が構成される。図7に
示すように、そのインク室4は長方形断面の細長い形状
であり、全てのインク室4内には、インクが充填され
る。
【0008】図5に示すように、圧電セラミックスプレ
ート2及びカバープレート10の端面に、各インク室4
の位置に対応した位置にノズル12が設けられたノズル
プレート14が接着されている。このノズルプレート1
4は、ポリアルキレン(例えばエチレン)、テレフタレ
ート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテル
ケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢
酸セルロース等のプラスチックによって形成されてい
る。
【0009】そして、圧電セラミックスプレート2の溝
3の加工側に対して反対側の面には、基板41が、エポ
キシ系接着剤等によって接着されている。その基板41
には各インク室4の位置に対応した位置に導電層のパタ
ーン42が形成されている。その導電層のパターン42
と浅溝7の底面の金属電極9とは、ワイヤボンディング
によって導線43で接続されている。
【0010】次に、制御部のブロック図を示す図6によ
って、制御部の構成を説明する。基板41に形成された
導電層のパターン42は各々個々にLSIチップ51に
接続されている。また、クロックライン52、データラ
イン53、電圧ライン54及びアースライン55もLS
Iチップ51に接続されている。LSIチップ51は、
クロックライン52から供給される連続したクロックパ
ルスに基づいて、データライン53上に現れるデータに
応じて、どのノズル12からインク滴の噴射を行うべき
かを判断する。そして、駆動するインク室4内の金属電
極8に導通する導電層のパターン42に、電圧ライン5
4の電圧Vを印加する。また、駆動するインク室4以外
の金属電極8に導通する導電層のパターン42にはアー
スライン55の電圧0Vを印加する。
【0011】次に、図7,図8によって、インク噴射装
置1の動作を説明する。LSIチップ51が、所要のデ
ータに従って、インク噴射装置1のインク室4bからイ
ンクの噴出を行なうと判断する。すると、金属電極8e
と8fとに正の駆動電圧Vが印加され、金属電極8dと
8gとが接地される。図8に示すように、側壁6bには
矢印13bの方向の駆動電界が発生し、側壁6cには矢
印13cの方向の駆動電界が発生する。すると、駆動電
界方向13b及び13cは分極方向5と直交しているた
め、側壁6b及び6cは、圧電厚みすべり効果により、
この場合、インク室4bの内部方向に急速に変形する。
この変形によってインク室4bの容積が減少してインク
圧力が急速に増大し、圧力波が発生して、インク室4b
に連通するノズル12(図5参照)からインク滴が噴射
される。
【0012】また、駆動電圧Vの印加が停止されると、
側壁6b及び6cが変形前の位置(図7参照)に戻るた
めインク室4b内のインク圧力が徐々に低下する。する
と、図示しないインクタンクからインク供給口16(図
5)及びマニホールド18(図5)を通してインク室4
b内にインクが供給される。
【0013】なお、上記分極の方向を反対にし、電圧を
印加することによって、まず側壁6b及び6cをお互い
に離れるように変形させて、その後電圧の印加を停止す
ることによって、側壁6b及び6cが変形前の位置に戻
し、インク滴を噴射させることもできる。
【0014】しかし、上述した構成のインク噴射装置1
を用いて記録媒体にイメージ情報を形成するにあたって
は、その構造上明らかに少なくとも隣接するインク室4
から同時にインクを噴射することはできない。そのため
例えば特開平2−150355号公報に記述されたよう
に、インク室4を奇数のものと偶数のものの2つのグル
ープに分けて交互に噴射させる方法を用いることがあ
る。例えば図8において4aと4cと4eが、4bと4
dと4fがそれぞれ同一グループのメンバーとされる。
【0015】ここで、上記2グループに分けて交互に駆
動するときの駆動波形と側壁の動きを、図9および図1
0を用いて説明する。図9は、奇数グループと偶数グル
ープに印加する駆動電圧波形を示し、図10では、各イ
ンク室4の側壁6の動きを示す。グループ分けは、図1
0の4aと4cを奇数、4bと4dを偶数グループとす
る。まず、図9の駆動電圧波形において時間tがt1以
前のとき、すべてのインク室に印加する電圧は0であ
り、側壁の変位は図10(a)に示すようにすべて0で
ある。時間tがt1になる瞬間、奇数グループのインク
室4aと4cに印加する電圧がそれぞれ図示VaとVc
に上がり、各側壁6の変位が図10(b)のように発生
する。上記変位によって奇数グループのインク室には負
の圧力が発生し、偶数グループのインク室には正の圧力
が発生する。このような変位は時間tがt1からt2の
間だけ維持され、時間tがt2になる瞬間、変位が図1
0(c)の示すように0に戻されると、正の圧力が奇数
グループのインク室に印加される。
【0016】t1からt2までの間隔は、通常1L/a
(Lはインク室4内のマニホールド18からノズルプレ
ート14までの距離、aは音速)と設定される。これ
は、t1の時点で奇数グループ内に生じた負の圧力波が
圧力伝播理論によって時間t2で逆転して正の圧力に転
じ、これに合わせて側壁の変位を0に戻すから、より高
い圧力が得られ、インク滴を奇数グループのインク室か
らノズル穴(図5参照)を通して噴射することができる
ためである。なお、奇数グループであってもインクの噴
射が行われないインク室に対してはパルスが印加されな
い。また、偶数グループのインク室のインク噴射もパル
スVbまたはVdによって、奇数グループと同様に行わ
れる。
【0017】ところが、上記で説明した噴射方法では、
インク室4aと4cからともにインクを噴射する場合、
その直前に、側壁6bと6cが同時にインク室4b方向
に変形し(図10(b))、その結果隣接するインク室
4bに大きな正の圧力が生じ、噴射すべきではないイン
ク滴、いわゆるアクシデンタル・ドロップが噴射される
ことがある。さらに、側壁6bと6cが同時に変形前の
状態に戻るとき(図10(c))、今度はインク室4b
内に大きな負の圧力が生じ、更に上記の圧力伝播理論に
よってインク室4b内の圧力波が正から負に逆転するた
め、図示しないノズル穴から空気がインク室4bに吸い
込まれる。しかも、上記負圧の発生によって、インク室
4b内のインクがキャビテーション、即ちインク内に溶
解していた気体が析出される現象を起こし、インク室4
b内に気泡が形成されて、インク滴の噴射ができなくな
る欠点がある。なお、このようなあるインク室からイン
クを噴射することによって、別のインク室に影響を及ぼ
す現象を通常クロストークという。
【0018】上記のクロストークを緩和するために、前
記特開平2−150355号公報にはまた、インク室4
を互いにまたがる3つ以上のグループ(例えばグループ
が3つの場合は、図8において4aと4dが、4bと4
eが、4cと4fがそれぞれ同一グループのメンバーで
ある)に分けて順次にローテーションして駆動すること
が提唱されている。
【0019】次に、上記インク室4を互いまたがる3つ
のグループに分けて順次にローテーションして駆動する
場合について、図11および図12を用いて説明する。
グループ分けでは、図12中インク室4a、4dはAグ
ループ、インク室4b、4eはBグループ、インク室4
c、4fはCグループとする。
【0020】図11は駆動電圧波形を示すタイミングチ
ャートであり、グループを3つに分けたこと以外は、前
記2グループの場合と同じである。このような駆動電圧
波形を各インク室に印加するしたときの各側壁に変形は
図12に示す。
【0021】インク室4aおよび4dからインクを噴射
するため、それぞれのインク室に電圧パルスVaとVd
を同時に印加する。すると、各側壁6が図12(b)の
ように変形する。インクを噴射するインク室4aと4d
の動作については、上記の2グループの場合と同様であ
るが、隣接するインク室4bと4cの立場からみると、
共に片側の側壁のみが変形し、正の圧力が印加される。
この正圧は上記2グループの場合と比べておよそ半分し
かないが、それでもインク滴の飛翔速度を高めるために
高い電圧パルスを印加するような場合には、上記正圧が
高くなり、アクシデンタル・ドロップが発生する恐れが
ある。次に、電圧パルスVaとVdが終了した時点で、
図12(c)のように各側壁が変形前の状態に戻り、イ
ンク室4aと4dのノズルからインク滴を噴出される
が、隣接するインク室4bと4cには負圧が発生し、前
記と同様な理由で、気泡の発生する恐れがある。ただ
し、2グループの場合に比べると、3グループの場合の
アクシデンタル・ドロップの発生および気泡の発生がか
なり押さえられることがわかる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
にいくつかのグループに分けて噴射するする場合、アク
シデンタル・ドロップの発生や気泡の混入を緩和するた
めには、グループ数を増やした方が良いが、逆に同時に
噴射できるインク室4の数が減り、全インク室が噴射終
えるまでの時間が長くなる。つまり、高速印字ができな
いという欠点があった。
【0023】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、高速印字を維持しながら、アク
シデンタル・ドロップの発生や気泡の発生を防止する事
が可能なインク噴射装置の駆動方法及びその装置を実現
させることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインク噴射装置の駆動方法では、圧電素子の
隔壁で分離された複数のインク室を有し、前記隔壁を挟
んで隣接する一方のインク室の容積を拡大したとき他方
のインク室の容積を縮小するように該隔壁をせん断モー
ド変形させることにより前記インク室内に圧力を与えて
インクを噴射するインク噴射装置を用いて、全インク室
を、1つのグループのインク室の間に他のグループのイ
ンク室が位置するようにして2つ以上のグループに分け
て、各グループ毎に順番にインクを噴射することによっ
て、記録媒体に記録情報を形成するにあたって、同一グ
ループのインク室のうちの近接するインク室どうしに対
して圧力を印加する駆動パルスのタイミングをずらし
その同一グループにおける駆動パルスのタイミングのず
れ量は、各グループ間の駆動パルスのタイミングのずれ
量よりは小さいことを特徴としている。
【0025】また、請求項の駆動方法においては、同
一グループにおける前記ずれ量は、前記駆動パルスの印
加時間と等しいことを特徴とする。
【0026】また、請求項3の駆動方法においては、同
一グループにおける前記ずれ量は、前記インク室内にお
いて発生する圧力波がインク室の長手方向に片道伝播す
る時間とほぼ同じであることを特徴とする。
【0027】本発明の請求項4のインク噴射装置では、
圧電素子の隔壁で分離された複数のインク室を有し、前
記隔壁を挟んで隣接する一方のインク室の容積を拡大し
たとき他方のインク室の容積を縮小するように該隔壁を
せん断モード変形させ、前記インク室内に圧力を与えて
インクを噴射するインク噴射装置において、全インク室
を、1つのグループのインク室の間に他のグループのイ
ンク室が位置するようにして2つ以上のグループに分
各グループ毎に順番にインクを噴射することによっ
て、記録媒体に記録情報を形成するにあたって、同一グ
ループのインク室のうちの近接するインク室どうしに対
して圧力を印加する駆動パルスのタイミングをずらして
前記隔壁を変形させるととともにその同一グループにお
ける駆動パルスのタイミングのずれ量を、各グループ間
の駆動パルスのタイミングのずれ量よりも小さくした
とを特徴とする。
【0028】
【作用】本発明のインク噴射装置の駆動方法及びその装
置によれば、同一グループのインク室のうちの近接する
インク室どうしに対して圧力を印加するタイミングをず
らしたことにより、その近接するインク室どうしの間に
存在する他のグループのインク室に対して伝播される圧
力変動を分散させる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。尚、従来技術と同一の部分には同一
の符号を付し、その説明を省略する。また、インク噴射
装置そのものは、分極の方向が反対であることを除き、
図5〜図8に示したものとは同一のものを用いる。
【0030】ここでまず、前記インク噴射装置を2つの
グループに分けて交互に駆動する時に本発明の駆動方法
を用いた場合の噴射装置の動作について、図1および図
2を参照しながら説明する。なお、図1は駆動波形を示
すタイミングチャートであり、4本の駆動電圧波形はそ
れぞれ図2のインク室4a、4b、4cおよび4dに印
加される。図2は各インク室4の側壁6の動きを示し、
図2(a)は側壁6の変形がない状態を示す。グループ
分けは4a、4c、...が奇数グループ、4b、4
d、...が偶数グループとする。
【0031】最初に、図1(a)に示す駆動電圧波形に
よって、インク室4aにインク噴射用パルスVaが印加
されて、インク室4aの両側の側壁を図2(b)に示す
ように変形させる。この時、インク室4cは、インクを
噴射する場合であっても、インク室4aと同一グループ
でありながら、印加される電圧はまだ0Vである。ま
た、奇数グループの他のインク室には、交互にインク室
4aおよび4cに印加する駆動電圧と同じものを印加す
る。なお、インクの噴射をしないものに対しては電圧パ
ルスを与えない。
【0032】パルスVaの立ち上がりによって、インク
室4aの両側の側壁6aと6bが図2(b)に示すよう
に変形するが、側壁6cはまだ変形してないので、隣接
するインク室4b内に生じる正圧は側壁6bによるもの
だけである。それに加え、各側壁6は完全な剛体ではな
く、有限な弾性率を持ち、上記インク室4bと4c内の
圧力の差によって、側壁6cが図2(b)の破線で示す
ように多少側壁6bと同方向に変形する。この側壁6c
の変形によって、インク室4b内の正圧が減少し、イン
ク室4c内の圧力が多少上昇する。つまり、側壁6bの
変形によって引き起こされた圧力は、均一ではないにし
てもインク室4bと4cに分散され、側壁6bの変形が
比較的大きい場合でも、アクシデンタル・ドロップを効
果的に防止する。
【0033】上記から図1に示す時間L/aが経過する
と、各インク室4内の圧力が圧力波伝播理論にしたがっ
てそれぞれ反転し、例えばインク室4aでは正の圧力に
転じる。このタイミングに合わせてパルスVaが終了
し、側壁6aと6bは変形前の状態の戻り(図2
(c))、インク室4aに高い圧力が生じ、インク室4
aに連通するノズル(図5参照)からインク滴が噴射さ
れる。それと同時にインク室4cに印加する電圧パルス
Vcが立ち上がり、側壁6cと6dが図2(c)のよう
に変形する。このような変形を隣接するインク室4bの
立場からみると、両側の側壁が同じ方向に同じ量だけ動
いたので、インク室4bには体積変化が生じず、新たな
圧力波は発生しない。従って、気泡の混入が防止でき
る。
【0034】また、インク室4cからのインク噴射をし
たくないときは、当然側壁6cを変形させる電圧パルス
Vcが印加されない。したがって、インク室4b内に生
じる負圧は側壁6bの変形のみによるもので、しかもイ
ンク室4bと4cとの圧力の差によって、側壁6cが図
2(b)の破線で示す方向と反対方向に変形する。この
側壁6cの変形によって、インク室4b内の負圧が緩和
され、インク室4c内の圧力が多少減少する。つまり、
側壁6bの変形によって引き起こされた負の圧力は、均
一ではないにしてもインク室4bと4cに分散され、側
壁6bの変形が比較的大きい場合でも、気泡の発生を効
果的に防止する。
【0035】一方、インク室4cからインクを噴射する
場合は、前記図2(c)の状態から時間L/aが経過す
ると、電圧パルスVcが終了し、側壁6cと6dが図2
(a)に示す変形前の状態に戻り、インク室4cからイ
ンク滴が噴射される。また、この場合でも、隣接するイ
ンク室4bに生じる負圧は、側壁6cの変形のみによる
もので、しかも側壁6bの圧力差による変形の圧力分散
効果が上乗せされ、インク室4bへの気泡の混入を効果
的に防止する。
【0036】上記の説明でわかるように、インク室4c
からのインク噴射の有無にかかわらず、インク室4aの
インク噴射動作によって、隣接のインク室4bが受ける
影響は、多くてもその片側の側壁が変形するときに相当
する量しかなく、しかも圧力差による側壁変形の圧力分
散効果が上乗せされ、アクシデンタル・ドロップの発生
ならびに気泡の発生はかなり緩和される。尚、偶数グル
ープであるインク室4bと4dの動作については、図1
(b)、(d)の駆動波形を用いて、上記と同じように
説明できる。
【0037】ただし、このように同一グループのメンバ
ーのインク噴射タイミングをずらすと、印字媒体におい
て多少ドットのズレが生じるが、通常図1に示すL/a
の値は数μs(マイクロ秒)から十数μsしかなく、ド
ットのズレは肉眼で確認できないほど小さな量であり、
無視できる。また、L/a値が長い場合や、高速印字で
ドットのズレが顕著に現れる場合は、各ノズル穴12の
相対位置(図5参照)をずらして設けることによって、
ドットのズレをなくすこともできる。
【0038】次に、本発明の別の実施例を図3および図
4を用いて説明する。この実施例は本発明をインク室4
を互いにまたがる3つのグループに分けて順次にローテ
ーションして駆動する場合への拡張である。グループ分
けでは、インク室4a、4d、...はAグループ、イ
ンク室4b、4e、...はBグループ、インク室4
c、4f、...はCグループとする。
【0039】図3は駆動電圧波形を示すタイミングチャ
ートであり、グループを3つに分けたこと以外は、前記
実施例と同じである。このような駆動電圧波形を各イン
ク室に印加したときの各側壁6の変形は図4に示すが、
図4(a)は側壁の変形がない状態を示す。
【0040】ここでまず、インク室4aに印加する電圧
パルスVaの立ち上がりによって、側壁6aと6bが図
4(b)のように変形し、インク室4aに負の圧力を与
える。この時、側壁6bの変形で隣接するインク室4b
には正の圧力が発生するが、従来技術と違って、この時
点ではまだ、インク室4aと同一グループのメンバーで
あるインク室4dには電圧パルスを与えてないので、側
壁6dと6eは変形せず、インク室4cには正の圧力が
発生しない。一方、各側壁6は完全な剛体ではなく、有
限な弾性率を持ち、上記インク室4bと4c内の圧力の
差によって、側壁6cが図4(b)の破線で示すように
多少側壁6bと同方向に変形する。この側壁6cの変形
によって、インク室4b内の正圧が減少し、インク室4
c内の圧力が多少上昇する。つまり、側壁6bの変形に
よって引き起こされた圧力は、均一ではないにしてもイ
ンク室4bと4cに分散され、側壁6bの変形が比較的
大きい場合でも、アクシデンタル・ドロップを効果的に
防止する。
【0041】前記電圧パルスVaの立ち上がりから時間
L/aが経過すると、パルスVaが終了し、側壁6aと
6bは変形前の状態の戻り(図4(c))、インク室4
aに高い圧力が生じ、インク室4aに連通するノズル
(図5参照)からインク滴が噴射される。それと同時に
インク室4dに印加する電圧パルスVdが立ち上がり、
側壁6dと6cが図4(c)のように変形する。このよ
うな変形をインク室4bと4cの立場からみると、側壁
6bと6dが同じ方向に同じ量だけ動いたので、側壁6
cの圧力差による変形(図4(c)の破線)の圧力分散
効果によって、インク室4b、4cともわずかな圧力波
しか発生せず、気泡の混入が回避できる。また、インク
室4dからのインク噴射をしたくないときは、当然電圧
パルスVdが印加されないので、側壁6dは変形せず、
インク室4bと4c内に負圧を生じるが、それでも負圧
は側壁6bの変形のみによるものであり、しかも、側壁
6cの圧力差による変形の圧力分散効果が上乗せされ、
気泡の発生を効果的に防止する。
【0042】一方、インク室4dからインクを噴射する
場合は、前記図4(c)の状態から時間L/aが経過す
ると、電圧パルスVdが終了し、側壁6dと6eが図4
(a)に示す変形前の状態に戻り、インク室4dからイ
ンク滴が噴射される。また、この場合でも、隣接するイ
ンク室4cに生じる負圧は、側壁6dの変形のみによる
もので、かつ側壁6cの圧力差による変形の圧力分散効
果が上乗せされ、気泡の混入までは至らない。
【0043】上記の説明でわかるように、インク室4d
からインク噴射の有無にかかわらず、インク室4aのイ
ンク噴射動作によって、他のグループのインク室4bと
4cが受ける影響は、多くてもそれらインク室の片側の
側壁が変形するときに相当する量しかなく、しかも圧力
差による側壁変形の圧力分散効果が上乗せされ、アクシ
デンタル・ドロップの発生ならびに気泡の発生はかなり
緩和される。尚、他のグループのインク室の動作につい
ては、図3(b)、(c)の駆動波形を用いて、上記と
同じように説明できる。
【0044】ただし、この場合でも同一グループのメン
バーのインク噴射タイミングをずらすと、印字媒体にお
いて多少ドットのズレが生じるが、前記2グループの実
施例と同様な理由で無視できる。また、L/aの値が長
い場合や、高速印字でドットのズレが顕著に現れる場合
も、前記の実施例と同様に各ノズル穴12の相対位置
(図5参照)をずらして設けることによって、ドットの
ズレをなくすこともできる。
【0045】尚、上記実施例の説明はインク室を2また
は3個のグループに分けた場合について行ったものであ
るが、インク室を4つ以上のグループに分けた場合で
も、上記と同様な駆動方法を用いることが可能である。
また、上記実施例では、駆動波形として単一の矩形波の
ものに本発明を適用した例を記述したが、本発明は、他
の駆動波形、例えば矩形波の複合波形等にも適用可能で
ある。さらに、本発明は以上詳述した実施例に限定され
るものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲の変更は可
能である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインク噴
射装置およびその駆動方法によれば、インクを噴射する
動作によって、インクの噴射を行わないインク室に及ぼ
す悪影響いわゆるクロストークを、積極的にかつ効果的
に押さえ、不要なインク滴すなわちアクシデンタル・ド
ロップの発生を効果的に防止できる。また、同時にイン
ク室内への気泡混入やインク室内でのキャビテーション
の発生も防止できる。したがって、安定したインク滴噴
射が得られ、印字品質が良好となる。また、グループ分
けの数が少なくで済むから、高速印字をすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の駆動方法を示すタイミング
チャートである。
【図2】本発明の一実施例のインク噴射装置の断面図で
ある。
【図3】本発明の別の実施例の駆動方法を示すタイミン
グチャートである。
【図4】本発明の別の実施例のインク噴射装置の断面図
である。
【図5】従来技術のせん断モード型インク噴射装置を示
す斜視図である。
【図6】従来技術の制御部を示す説明図である。
【図7】従来技術のせん断モード型インク噴射装置を示
す断面図である。
【図8】従来技術のせん断モード型インク噴射装置の動
作を示す説明図である。
【図9】従来技術(2グループ)の駆動方法を示すタイ
ミングチャートである。
【図10】従来技術(2グループ)の動作を示すインク
噴射装置の断面図である。
【図11】従来技術(3グループ)の駆動方法を示すタ
イミングチャートである。
【図12】従来技術(3グループ)の動作を示すインク
噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
2 圧電セラミックスプレート 4 インク室 6 側壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−84905(JP,A) 特開 平5−84899(JP,A) 特開 平4−133752(JP,A) 特開 平2−95860(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電素子の隔壁で分離された複数のイン
    ク室を有し、前記隔壁を挟んで隣接する一方のインク室
    の容積を拡大したとき他方のインク室の容積を縮小する
    ように該隔壁をせん断モード変形させることにより前記
    インク室内に圧力を与えてインクを噴射するインク噴射
    装置を用いて、全インク室を、1つのグループのインク
    室の間に他のグループのインク室が位置するようにして
    2つ以上のグループに分けて、各グループ毎に順番にイ
    ンクを噴射することによって、記録媒体に記録情報を形
    成するにあたって、 同一グループのインク室のうちの近接するインク室どう
    しに対して圧力を印加する駆動パルスのタイミングをず
    らし その同一グループにおける駆動パルスのタイミングのず
    れ量は、各グループ間の駆動パルスのタイミングのずれ
    量よりは小さい ことを特徴とするインク噴射装置の駆動
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の駆動方法において、同一グル
    ープにおける前記ずれ量は、前記駆動パルスの印加時間
    と等しいことを特徴とするインク噴射装置の駆動方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の駆動方法において、同一グル
    ープにおける前記ずれ量は、前記インク室内において発
    生する圧力波がインク室の長手方向に片道伝播する時間
    とほぼ同じであることを特徴とするインク噴射装置の駆
    動方法。
  4. 【請求項4】 圧電素子の隔壁で分離された複数のイン
    ク室を有し、前記隔壁を挟んで隣接する一方のインク室
    の容積を拡大したとき他方のインク室の容積を縮小する
    ように該隔壁をせん断モード変形させ、前記インク室内
    に圧力を与えてインクを噴射するインク噴射装置におい
    て、 全インク室を、1つのグループのインク室の間に他のグ
    ループのインク室が位置するようにして2つ以上のグル
    ープに分け 各グループ毎に順番にインクを噴射することによって、
    記録媒体に記録情報を形成するにあたって、同一グルー
    プのインク室のうちの近接するインク室どうしに対して
    圧力を印加する駆動パルスのタイミングをずらして前記
    隔壁を変形させるととともにその同一グループにおける
    駆動パルスのタイミングのずれ量を、各グループ間の駆
    動パルスのタイミングのずれ量よりも小さくしたことを
    特徴とするインク噴射装置。
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