JP3343599B2 - 摩擦材の製造方法 - Google Patents

摩擦材の製造方法

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JP3343599B2
JP3343599B2 JP25301493A JP25301493A JP3343599B2 JP 3343599 B2 JP3343599 B2 JP 3343599B2 JP 25301493 A JP25301493 A JP 25301493A JP 25301493 A JP25301493 A JP 25301493A JP 3343599 B2 JP3343599 B2 JP 3343599B2
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圭太 中西
卓夫 石原
宏弥 掛川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、航空機、建設
機械、2輪車などの回転部を制動するための摩擦材の製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、摩擦材には、耐熱補強繊維としてア
スベストが大量に用いられていた。しかしながら、アス
ベストの人体に対する影響が大きな社会問題となり、使
用によって摩耗粉を発生するアスベスト含有摩擦材は、
他の繊維材料により代替されつつある。代替繊維材料と
しては、アラミド繊維(デュポン東レケブラー(株)技
術資料 DTK−T01 91.2)、アクリル繊維
(特開昭62−106133号公報、特開昭63−18
3950号公報など)、炭素繊維(特開昭55−157
671号公報、特公昭59−4455号公報、特開昭5
5−104378号公報など)が提案され、使用されて
いる。炭素繊維は、これらの代替繊維材料の中でも、特
に耐熱性、耐摩耗性および補強性の点で優れている(炭
素繊維:昭和61年3月1日 近代編集社刊 pp55
7〜567)。
【0003】摩擦材は、通常繊維材料と摩擦調整材およ
び樹脂系結合材を混合し、加熱加圧成形して製造されて
いる。上記の様な代替繊維を使用する場合には、代替繊
維をその他の成分(主に粉体)と均一に混合し、相対密
度の高い成形体を得る必要がある。この際、代替繊維の
種々の優れた特性(例えば、強度、弾性率、摩擦摩耗
性、耐熱性など)を有効に活かすことが肝要である。繊
維材料と他の粉体材料(摩擦調整材および樹脂系結合
材)を均一に混合する技術としては、樹脂系結合材をマ
イクロカプセル化し、水の存在下で全材料を混合するこ
とにより、粉塵発生を防止しつつ、材料成分の偏在を抑
制する方法(特開平3−177482号公報)、摩擦材
原料を混合後に賦形し、加熱成形する方法(特開昭54
−107487号公報)、粉状材料を予め造粒した後、
繊維材料と混合する方法(特開平4−139290号公
報)などが提案されている。また、アラミド繊維、アク
リル繊維、レーヨン繊維の様な有機繊維を叩解して繊維
先端をフィブリル化し、粉体材料を包含しやすくする方
法も、広く用いられている。(デュポン東レケブラー
(株) 技術資料 DTK−T01 91.2、特開平
5−17250号公報、特開平2−76935号公
報)。
【0004】しかしながら、上述の方法では、炭素繊維
を均一に分散混合するために、繊維長を非常に短くして
補強効果を低減させる必要があったり(特公昭59−4
455号公報)、炭素繊維は有機繊維の様にフィブリル
化できないことなどの問題点がある。特に加重平均繊維
長が0.5mm以上の炭素繊維を用いる場合には、材料
全体の混合が不均一となり、製品の強度および摩擦特性
のばらつきが大きくなるので、実用に供することが困難
となる。また、混合分散性を良好にするために、炭素繊
維にフィブリル化有機繊維を多量に混合して使用する場
合には、摩擦材の耐熱性を向上させるという炭素繊維本
来の機能が、有機繊維の存在によって十分に発揮されな
い。
【0005】一方、炭素繊維は、その使用方法によって
は、摩擦材の摩擦係数を下げるという好ましくない傾向
がある(炭素繊維:昭和61年3月1日、近代編集社
刊、pp557〜567)。そのため、炭素繊維の織布
または不織布を用いる摩擦材においては、切り込みを入
れたり(特開平4−234476号公報)、ニードリン
グを行なう(特公平4−61827号公報)などの手法
により、繊維を3次元的に配向させる方法が提案されて
いる。しかしながら、通常の摩擦材において、炭素繊維
の織布または不織布を用いることは、非常なコスト高と
なる。一方、コストが低い炭素短繊維を用いる場合に
は、その配向をランダムにする方法は見出されていな
い。
【0006】炭素繊維自体を球状、粒状或いは円筒状に
賦形する方法(特開平4−300353号公報、特開昭
64−26652号公報など)も提案されているが、摩
擦材製造用組成物の様に、少量の炭素繊維を含むのみ
で、炭素繊維の約1.6から金属成分の最大約9という
比重差の極めて大きい材料を賦形し、炭素繊維の配向を
ランダムにする方法は存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素繊維の
補強効果を有効に利用して摩擦材の強度のばらつきを小
さくし、且つ使用方法によっては摩擦係数を下げるとい
う炭素繊維の欠点を抑制しつつ、摩擦材を安価に製造す
る方法を提供することを主な目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
問題点に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、炭素繊維、
結合材及び摩擦調整材からなる原料混合物を予め造粒す
ることにより、強度のばらつきが極めて小さく、且つ炭
素繊維の配向をランダムとして摩擦係数の高い摩擦材を
製造することに成功した。
【0009】即ち、本発明は、下記の摩擦材の製造方法
を提供する; 1.炭素繊維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材
原料に造粒用バインダーを混合し、造粒した後、造粒体
を加熱加圧成形することを特徴とする摩擦材の製造方
法。
【0010】2.加重平均繊維長が0.5mm以上の炭
素繊維を用いる上記項1に記載の摩擦材の製造方法。
【0011】3.加重平均繊維長頻度分布において、
0.5mm未満と0.5mm以上の繊維長に2つに極大
値が存在する炭素繊維を用いる上記項1または2に記載
の摩擦材の製造方法。
【0012】4.異方性ピッチを原料とする炭素繊維を
用いる上記項1、2または3に記載の摩擦材の製造方
法。
【0013】5.炭素繊維、繊維が触手状に枝分かれし
た有機繊維維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材
原料に造粒用バインダーを混合し、造粒した後、造粒体
を加熱加圧成形することを特徴とする摩擦材の製造方
法。
【0014】6.加重平均繊維長が0.5mm以上の炭
素繊維を用いる上記項5に記載の摩擦材の製造方法。
【0015】7.加重平均繊維長頻度分布において、
0.5mm未満と0.5mm以上の繊維長に2つに極大
値が存在する炭素繊維を用いる上記項5または6に記載
の摩擦材の製造方法。
【0016】8.異方性ピッチを原料とする炭素繊維を
用いる上記項5、6または7に記載の摩擦材の製造方
法。
【0017】本明細書における加重平均繊維長とは、次
式で示される繊維長を意味する。
【0018】
【数1】
【0019】また、加重繊維長分布とは、繊維長頻度分
布において、各頻度の重量割合を頻度として表した分布
を意味する。
【0020】本発明においては、炭素繊維としては、ピ
ッチ系、PAN系、フェノール樹脂系、レーヨン系など
のいかなる種類のものを用いても良い。炭素繊維の長さ
は、造粒体を形成するために、100mm以下のもの、
より好ましくは10mm以下のものを用いる。炭素繊維
の長さは、補強効果をさらに高めるためには、0.5m
mを下限とすることが好ましい。炭素繊維の量は、摩擦
材製造用原料混合物中の0.5〜15重量%とすること
が好ましく、1〜10重量%とすることがより好まし
い。炭素繊維の量が0.5重量%未満である場合には、
十分な補強効果が得られないのに対し、15重量%を超
える場合には、材料コストが高くなりすぎる。縦配向に
より多く寄与する炭素繊維を造粒体中に含めて摩擦材の
摩擦係数を高めるためには、下記に規定する様に繊維長
間隔をとった加重平均繊維長頻度分布において、0.5
mm未満と0.5mm以上の繊維長に2つの極大値が存
在する炭素繊維を用いることが好ましい。
【0021】即ち、繊維長間隔は、繊維長が1mm未満
では0.1mm間隔、繊維長が1mm以上且つ2mm未
満では0.25mm間隔、繊維長が2mm以上では1m
m間隔にとる。
【0022】加重平均繊維長分布において、0.5mm
を超える繊維長の極大値が最大値となることが好まし
い。0.5mm以下の繊維長の極大値が最大値となる場
合には、強度が低下する。加重平均繊維長において、
0.5mm以下の極大値の頻度の0.5mmを超える極
大値の頻度に対する割合は、各極大値の繊維長にもよる
が、3%以上であることが好ましい。この割合が3%未
満である場合には、摩擦係数を高める効果が十分に発揮
されない。
【0023】この様な平均繊維長分布を有する炭素繊維
をより簡便に得るには、加重平均繊維長が0.5mm以
上の炭素繊維と0.5mm未満の短い炭素繊維を組み合
わせて用いればよい。
【0024】また、摩擦材の摩擦係数を高めるために
は、異方性ピッチを原料とする炭素繊維を用いることが
好ましい。
【0025】結合材としては、摩擦材用の結合材として
公知のノボラック型およびレゾール型のフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、メ
ラミン樹脂、架橋型の芳香族熱硬化型樹脂などを単独で
或いは2種以上混合して用いることができる。摩擦材の
耐熱性を高くするためには、フェノール樹脂、架橋型の
芳香族熱硬化型樹脂などを用いることがより好ましい。
結合材の量は、原料混合物中の5〜50%程度とするこ
とが好ましい。結合材の量が5重量%より少ない場合に
は、結合力が弱くなるのに対し、50重量%を超える場
合には、摩擦材の摩耗量が大きくなりすぎ、耐熱性も低
下する。
【0026】摩擦調整材としては、銅、黄銅、青銅、
鉄、ステンレス鋼などの金属粉および粒、黒鉛、硫酸バ
リウム、アルミナ、マグネシア、酸化クロム、ウォラス
トナイト、炭酸カルシウム、珪藻土、ドロマイト、炭酸
マグネシウムなどの無機化合物粉および粒、カシューダ
スト、ラバーダストなどの有機化合物粉および粒を用い
ることができる。これらは、磨耗材に対して要求される
性能に応じて、単独でも或いは2種以上を混合して使用
することができる。摩擦調整材の粒径は、特に限定され
るものではなく、摩擦材に要求される特性などに応じて
適宜定めることができる。例えば、金属を使用する場合
には10μm〜5mm程度、無機化合物を使用する場合
には1μm〜1mm程度、有機化合物を使用する場合に
は10μm〜1mm程度の粒径範囲から選択すれば良
い。
【0027】摩擦調整材として金属粉および/または粒
を使用する場合には、金属の種類などによるが、添加量
は、5〜80重量%程度が好ましく、10〜50重量%
程度が特に好ましい。添加量が5重量%未満である場合
には、摩擦係数が安定しにくいのに対し、80重量%を
上回る場合には、相手材の磨耗量が大きくなり過ぎる。
【0028】摩擦調整材として黒鉛を使用する場合に
は、添加量は、0.5〜30重量%程度が好ましく、3
〜20重量%程度が特に好ましい。添加量が0.5重量
%未満である場合には、摩耗量が大きくなり過ぎるのに
対し、30重量%を上回る場合には、異音を発する。
【0029】摩擦調整材としてカシューダスト、ラバー
ダストなどの有機化合物を使用する場合には、添加量
は、1〜30重量%程度が好ましく、3〜10重量%程
度が特に好ましい。添加量が1重量%未満である場合に
は、摩擦係数が安定しにくいのに対し、30重量%を上
回る場合には、摩耗量が大きくなり過ぎる。
【0030】これらの摩擦調整材には、さらに、摩擦係
数を高めるために、銅、黄銅、鉄、ステンレス鋼などの
金属繊維、ロックウール、セラッミクス繊維、ガラス繊
維などの無機繊維を併用することもできる。
【0031】さらに、原料混合物の均一分散性をより改
善するためには、繊維が触手状に枝分かれした有機繊維
を配合することが好ましい。これらの有機繊維は、通常
のパルプ状、フィラメント状、ロービング状あるいは短
繊維を叩解機などにより、処理することにより得られ
る。この様な有機繊維としては、アラミド繊維、アクリ
ル繊維などを用いることができる。有機繊維の添加量
は、摩擦材に要求される物性によって異なるが、炭素繊
維の使用によって改善される摩擦材の耐熱性を低減させ
ないために、原料混合物重量の10%以下とすることが
好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
【0032】造粒用バインダーとしては、各種の粉体乃
至粒体の製造に使用されている液体バインダーを使用す
ることができる。この様なバインダーとしては、水、メ
チルエチルケトン、各種アルコール、トルエン、ベンゼ
ン、クロロホルム、四塩化炭素などの液体;ポリビニル
アルコール、ポリビニルブチラール、カルボキシメチル
セルロース、各種ゴム、アクリル樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂など有機化合物の水溶液
およびメチルエチルケトン、各種アルコール、クロロホ
ルム、四塩化炭素などの溶液乃至分散液;アルミナゾ
ル、シリカゾル、水ガラス、縮合ポリリン酸塩などの無
機化合物の水溶液およびメチルエチルケトン、各種アル
コール、クロロホルム、四塩化炭素などの溶液乃至分散
液を用いることができる。溶媒或いは分散媒としては、
防爆用などの安全装置、排気用などの換気装置、防毒マ
スクなどの保護装置などを必要としない水を用いること
が、最も好ましい。
【0033】本発明による造粒を行なうためには、通常
のオムニミキサー、パンペレタイザー、ヘンシェルミキ
サーの様な転動乃至流動型の造粒装置を用いる。造粒
は、通常次のような手順で行なう。まず、繊維成分(炭
素繊維または炭素繊維と有機繊維)を装置に投入し、繊
維を解繊する。2種以上の繊維を使用する場合には、軽
いものから順に加える。解繊時間は、繊維の種類、繊維
長などによって異なるが、繊維同士の再凝集(毛玉の発
生)を防ぐために、1分以内とすることが好ましい。解
繊終了後、粉体成分を軽いものから順に加える。次い
で、すべての成分を加えて混合を十分に行なった後、液
状の造粒用バインダーを加える。造粒用バインダーの量
は、その中の固形分濃度にもよるが、混合を終えた固形
分に対しその重量の10〜50%程度を添加することが
好ましい。固形分重量に対する添加量が10%より少な
い場合には、造粒体を形成しにくくなるのに対し、50
%を超える場合には、造粒体から液が滲み出してくる。
液状造粒用バインダーが固形分(不揮発分)を含む場合
のバインダー中の樹脂乃至固形分の含有量は、摩擦材料
の種類、配合割合、最終的な摩擦材としての特性などに
応じて選択することができるので、特に限定されるもの
ではないが、固形分濃度を50重量%以下とすることが
好ましい。固形分濃度が50重量%を超える場合には、
液状バインダーが粘凋となって、原料の混合が困難とな
る。造粒体の粒度は、種々の手段で液状バインダーの使
用量により、調整できる。即ち、バインダー液の量が多
くなるほど造粒体を大きくすることができ、少ないほど
小さくできる。また、造粒時間を一定とした場合、造粒
時の転動用羽根の回転数が大きくなるほど造粒体の粒度
を大きくすることができ、回転数が小さいほど粒度を小
さくすることができる。さらに、造粒体の巨大粒子塊を
粉砕するためのチョッパー羽根が付いている装置では、
チョッパー羽根の回転数を大きくするほど粒度を小さく
でき、回転数を小さくするほど粒度を大きくできる。造
粒体中の水分および揮発分は、加熱成形時に蒸発させて
除去することもできるが、成形前に乾燥させておくこと
が好ましい。成形後の摩擦材の強度をより高くするため
には、結合材の一部を造粒操作の終了後に添加し、混合
を継続することが好ましい。造粒終了後の結合材の添加
混合は、タンブラー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサ
ーなどの混合機を用いて、せん断力をかけることなく短
時間行えばよい。造粒後に添加混合する結合材の量は、
造粒体中の均一性の点から、摩擦材固形分全体として5
重量%以下となるようにすることが好ましい。造粒後の
添加混合は、造粒体の形状を保持するために、30秒以
内とすることが好ましい。
【0034】造粒体の粒径は、特に限定されるものでは
ないが、通常0.1〜10mm程度であり、より好まし
くは0.1〜5mm程度である。
【0035】成形温度は、用いる結合材材料の流動特
性、硬化特性などによって適切な温度範囲を選べば良い
が、摩擦材構成材料の密度から計算で求めた理論密度の
90%以上の密度を得るためには、120℃以上とする
ことが好ましく、150〜200℃程度とすることがよ
り好ましい。成形圧は、用いる成形方法によって異なる
が、摩擦材構成材料の密度から計算で求めた理論密度の
90%以上の密度を得るためには、5MPa以上とする
ことが好ましい。
【0036】この様にして得られた成形体の表面に存在
する炭素繊維などの繊維は、加圧面の影響を直接受ける
ため、造粒によって得られた摩擦面に対するランダム配
向が、加圧面に対する平行配向に変わることがある。こ
のような場合には、成形体表面を研削あるいは切断する
ことによって、摩擦面に対して繊維がランダム配向した
摩擦材を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明方法によれば、炭素繊維の補強効
果を有効に利用しつつ、強度のばらつきが小さい摩擦材
が得られる。また、摩擦材中の炭素繊維などの繊維は、
ランダムな方向に配向しており、これによって摩擦係数
の高い摩擦材が得られる。
【0038】さらに、本発明では、高価な炭素繊維織布
或いは織布、さらには高価で特殊な装置を必要としない
ので、通常の摩擦材と変わらない安価なコストで高性能
の摩擦材が得られる。
【0039】
【実施例】
実施例1 炭素繊維(ドナック(株)製 S−231;平均繊維径
13μm、加重平均繊維長3mm、引張り強度800M
Pa、引張り弾性率40GPa)200gおよびアラミ
ド繊維(デュポン・東レ・ケブラー(株)製 ケブラー
ドライパルプ1F302;平均繊維長2mm)50gを
ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に加え、1
0秒間解繊した。次いで、これにカシューダスト(カシ
ュー(株)製 H−9109)150g、フェノール樹
脂(鐘紡(株)製 ベルパールS−899)200g、
黒鉛((株)中越黒鉛製 SC−60)250g、アル
ミナ(平均粒径10μm)25g、硫酸バリウム(堺化
学工業(株)製)925gおよび銅粉(福田金属箔粉工
業(株)製 CE−15)675gを順次加え、各添加
毎に10秒間の混合を行なった。次いで、液状フェノー
ル樹脂水希釈液(大日本インキ化学工業(株)製 PE
−201−L;固形分濃度14重量%)800ccを加
え、造粒した。
【0040】得られた造粒体を80℃で4時間乾燥した
後、乾燥重量2500gに対しフェノール樹脂(鐘紡
(株)製 ベルパールS−899)50gを加えてポリ
エチレン袋中で15秒間混合した。次いで、混合品を1
70℃、11MPaで成形し、さらに210℃で6時間
熱処理して、幅13mm×長さ125mm×厚さ2〜4
mmの摩擦材を得た。
【0041】得られた摩擦材(5試料)の曲げ強度をク
ロスヘッドスピード2mm/分、スパン50mmで測定
した。測定結果を表1に示す。
【0042】また、摩擦材成形体を幅方向に切断し、研
磨した後、走査型電子顕微鏡で観察したところ、断面に
枝分かれがなく、炭素繊維がランダムに配向しているこ
とが確認された。
【0043】また、上記と同様にして摩擦材成形体を得
た後、切断により新しい面を出した30mm×30mm
の試料の切断面の摩擦係数を定速式摩擦試験機を用いて
面圧2MPa、スライディング速度10m/sで測定し
た。測定結果を表1に併せて示す。
【0044】実施例2 実施例1と同じ炭素繊維(ドナック(株)製 S−23
1)175gと他の炭素繊維(ドナック(株)製 S−
242;加重平均繊維長0.37mm、その他の物性は
S−231に同じ)25gとの混合物を用いる以外は実
施例1と同様の方法で摩擦材(5試料)を作製し、曲げ
強度の測定を行なった。この実施例では、炭素繊維混合
物の加重平均繊維長分布は、0.3〜0.4mmと1〜
2mmに極大値を有していた。
【0045】得られた成形体の摩擦係数の測定結果を実
施例1と同様に行なった。曲げ強度および摩擦係数の測
定結果を表1に示す。
【0046】実施例3 異方性ピッチを原料とする炭素繊維(平均繊維径11μ
m、加重平均繊維長3mm、引張り強度1.8GPa、
引張り弾性率130GPa)を用いる以外は実施例1と
同様の方法で摩擦材(5試料)を作製し、曲げ強度およ
び摩擦係数の測定を実施例1と同様に行なった。曲げ強
度および摩擦係数の測定結果を表1に併せて示す。
【0047】比較例1 実施例1と同じ材料を用いて同じ組成となるように、炭
素繊維(ドナック(株)製 S−231;平均繊維径1
3μm、加重平均繊維長3mm)およびアラミド繊維を
フェニックスブレンダー(オスター社製)に加えて10
秒間解繊した後、液状フェノール樹脂水希釈液を加え、
さらに10秒間混合した。
【0048】得られた混合品を80℃で4時間乾燥した
後、同じフェニックスブレンダーに実施例1と同量のカ
シューダスト、フェノール樹脂、黒鉛、硫酸バリウムお
よび銅を順次に加え、各添加毎に10秒間の混合を行な
った。この混合品を用いて実施例1と同様の方法で5試
料の摩擦材を作製し、測定を行なった。曲げ強度の測定
結果を表1に示す。
【0049】比較例2 実施例1と同じ機械で同一材料を同量用いて、まずハイ
スピードミキサーで炭素繊維とアラミド繊維を除く組成
で造粒体を作製し、その後V型ミキサーを用いてこの造
粒体と炭素繊維およびアラミド繊維とを混合した。次い
で、混合品を実施例1と同様の方法で加熱成形して摩擦
材を作製し、曲げ強度と摩擦係数の測定を行なった。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示す結果から明らかな様に、本発明
品は曲げ強度および摩擦係数のいずれにおいても優れて
いる。特に実施例2による製品は、加重平均繊維長頻度
に2つの極大値を有しているので、実施例1による製品
に比して、摩擦係数が改善されている。さらに、実施例
2による製品は、異方性ピッチを原料とする炭素繊維を
使用しているので、曲げ強度および摩擦係数のいずれに
も、著るしく優れている。
【0052】これに対し、各材料を予め造粒することな
く、単に混合成形して製造した得られた比較例1による
製品は、曲げ強度のばらつきが大きく、摩擦係数も低
い。また、繊維材料以外の材料を造粒した後、他の材料
を混合し、成形して製造した比較例2による製品も、曲
げ強度および摩擦係数のいずれも、不十分である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田宮 聡 大阪府大阪市住之江区平林北1丁目2番 27号 株式会社中越黒鉛内 (56)参考文献 特開 昭55−5907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維、結合材および摩擦調整材からな
    る摩擦材原料に造粒用バインダーを混合し、造粒した
    後、造粒体を加熱加圧成形することを特徴とする摩擦材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】加重平均繊維長が0.5mm以上の炭素繊
    維を用いる請求項1に記載の摩擦材の製造方法。
  3. 【請求項3】加重平均繊維長頻度分布において、0.5
    mm未満と0.5mm以上の繊維長に2つに極大値が存
    在する炭素繊維を用いる請求項1または2に記載の摩擦
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】異方性ピッチを原料とする炭素繊維を用い
    る請求項1、2または3に記載の摩擦材の製造方法。
  5. 【請求項5】炭素繊維、繊維が触手状に枝分かれした有
    機繊維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材原料に
    造粒用バインダーを混合し、造粒した後、造粒体を加熱
    加圧成形することを特徴とする摩擦材の製造方法。
  6. 【請求項6】加重平均繊維長が0.5mm以上の炭素繊
    維を用いる請求項5に記載の摩擦材の製造方法。
  7. 【請求項7】加重平均繊維長頻度分布において、0.5
    mm未満と0.5mm以上の繊維長に2つに極大値が存
    在する炭素繊維を用いる請求項5または6に記載の摩擦
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】異方性ピッチを原料とする炭素繊維を用い
    る請求項5、6または7に記載の摩擦材の製造方法。
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