JP3340992B2 - 湿潤摩耗に耐性な潤滑親水性被膜 - Google Patents

湿潤摩耗に耐性な潤滑親水性被膜

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JP3340992B2
JP3340992B2 JP2000200105A JP2000200105A JP3340992B2 JP 3340992 B2 JP3340992 B2 JP 3340992B2 JP 2000200105 A JP2000200105 A JP 2000200105A JP 2000200105 A JP2000200105 A JP 2000200105A JP 3340992 B2 JP3340992 B2 JP 3340992B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は生物医療器具を濡れているときに滑らかにする
親水潤滑被膜に関連する。本発明の方法及び被膜はカテ
ーテル、コンドーム、コンタクトレンズ、ペリスタルポ
ンプチャンバー、動静脈シャント、胃腸管供給チューブ
及び気管内チューブ、又はその他の金属もしくはポリマ
ー基体の移植片の摩擦係数を低めるために採用されう
る。
【0002】生物医療器具に適用できうる既知の潤滑被
膜には、ポリビニルピロリドン(PVP) 、ポリウレタン、
アクリルポリエステル、ビニル樹脂、フルオロカーボ
ン、シリコーン、ゴム、又はこれらの物質の組合せの被
膜が含まれる。例えばMicklusら、米国第 4,100,309号
及び米国第 4,119,094号はポリイソシアネートより作ら
れたPVD ポリウレタン共重合体の親水性被膜に関連して
いる。Ratnerら、米国第3,939,049号は放射線を利用し
てハイドロゲルをポリマー基体にグラフトせしめる方法
に関連している。Hudginらの米国第 3,975,350号は親水
性ポリウレタンポリマーに関連する。Stoyらの米国第
3,987,497号はハイドロゲル被膜を有する人工腱に関連
する。
【0003】これらの既知のハイドロゲル被膜は欠点を
有している:これらは不十分である低摩擦係数を有する
ことがあり、これらは耐久性を欠くことがあり(例えば
シリコーン又はフルオロカーボン)、これらは乾いてい
るときと濡れているときに滑らかであるために取り扱い
にくいことがあり、又は(例えばMicklus らの被膜)そ
れらは調製するために危険な溶剤の使用を必要とするこ
とがあり、従って不安定で反応性な材料を含むために別
の、且つ、新たな溶液を毎日又はより頻繁に調製せねば
ならないことを必要とすることがある。
【0004】更に、PVD −ポリウレタン被膜において
は、被膜の潤滑性及び耐湿潤摩耗の度合いに対してわず
かなコントロールしか及ぼすことができず、従ってかか
る被膜はしばしば不安定である。これらの問題を解決す
るため、親水潤滑被膜であって、濡れているときに移植
片のような生物医療器具にとって有用である十分な潤滑
性を有し、広範囲にわたる様々な基質に付着して潤滑摩
耗に侵されず、そして化学的に安定な生物適合性溶剤に
より作られうるものが必要とされている。
【0005】発明の概要 本発明の一態様は、器具の表面に接着した層における親
水性ポリマー及び安定用ポリマーを含んで成る親水性被
膜に関連する。該親水性ポリマーはポリオレフィン、例
えば極性ペンダント基を有するビニルポリマー、親水性
エステル化性(esterifying)基を有するポリアクリレー
トもしくはメタクリレート、ポリエーテル、ポリエチレ
ングリコール、又は親水特性を有するその他のポリオレ
フィンである。親水性ポリマーは好ましくはPVP 又はPV
P ビニルアセテートである。該安定用ポリマーは溶液の
中でこの親水性ポリマーと有意に反応しない水不溶性ポ
リマーであり、従って好ましくはセルロースエステル、
ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリ
マー、又はナイロンである。セルロースエステルが最も
好ましい。これにはエチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、セルロースニトレート、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレート及びセルロー
スアセテートプロピオネートが含まれる。
【0006】ある態様において、この被膜は該安定用ポ
リマーが集中している内層と該親水性ポリマーが集中し
ている外層を有している。別の態様において、該親水性
ポリマーと安定用ポリマーは一枚の塗膜の中に含まれて
おり、従って一枚の被膜を構成している。
【0007】この被膜は接着ポリマー、例えばポリウレ
タン、ポリエステル、スチレンポリブタジエン、アクリ
ル樹脂、ポリビニリデンクロリド、ポリカーボネート及
びポリビニルクロリドを、好ましくは器具の表面に対す
る付着性を高めるために内層の中に含むこともある。最
も好ましい外層組成は高分子量のPVP(例えば 120,000〜
360,000)を利用する。
【0008】本発明の被膜はポリマー表層、例えばポリ
ウレタン、ポリビニルクロリド、ポリアクリレート、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ポ
リブタジエン−スチレンコポリマー、ナイロン、ポリプ
ロピレン、ポリブチレン、テフロン、シリコン及びポリ
ビニルアセタールに適用されうる。本発明の被膜はガラ
ス又は金属、例えばステンレススチールに適用してもよ
い。被膜成分はこれらの表面に所望の特性を有する被膜
をもたらすために選ぶことができる。
【0009】本発明の被膜を調製するための方法は、最
小限の予防策をもって保存、且つ、取り扱いできる安定
で無毒な溶液を採用する。本発明の被膜を適用する方法
は、約0.01〜約30重量対容量%、好ましくは約 0.2%〜
約10%の安定用ポリマーの第1有機溶液を調製し、この
溶液を基体の表面に塗布し、次いで溶剤を好ましくは高
められた温度で蒸発させ、その後約0.01〜約30重量対容
量%、好ましくは約0.5 %〜約20%の親水性ポリマーの
第2溶液を調製し、これを上記の処理した表面基体に塗
布し、次いで室温又は高められた温度でその溶剤を蒸発
させることを含んで成る。
【0010】該安定用ポリマー溶液は約0.01%〜約10
%、好ましくは約 0.1%〜約5%の親水性ポリマーも含
んでいてよい。該親水性ポリマー溶液は約0.01%〜約20
%、好ましくは約 0.1%〜約10%の安定用ポリマーも含
んでいてよい。他方、該安定用ポリマー及び親水性ポリ
マーは単一の溶液の中で調製して単一の工程において適
用することができる。
【0011】器具の表面は該被膜の付着性を高めるため
に予備処理してよい。この溶液は約0.1%〜約15%、好
ましくは約 1.0%〜約 8.0重量対容量%の接着ポリマー
を、基体と被膜との付着性を高めるために含んでいても
よい。
【0012】安定化ポリマーと共に可塑剤が約0.01%〜
約10%、好ましくは約 0.1%〜約 5.0重量対容量%の濃
度において含まれていてよい。この可塑剤は樟脳、カス
トール油、ジオクチルフタレート、アセチルトリブチル
シトレート、ジブチルセバケート、セバシン酸、アルキ
ル樹脂、ジブチルフタレート、ポリビニルブチラール又
はその他の一般に知られた可塑剤の単独又は組合せ物で
ありうる。この可塑剤は好ましくは安定用ポリマーの溶
液の中に含まれている。本発明の被膜はこの被膜の柔軟
性を高めるための可塑剤を含んでいてよく、これは被覆
すべき物体が使用中に曲げられがちであるときに好まし
いことがある。更に、可塑剤を含ませることは安定用ポ
リマーがニトロセルロースであるときに好ましく、なぜ
なら可塑剤はニトロセルロースが迅速に酸化する、又は
それが純粋な状態において乾いているときに燃焼するこ
とさえもある傾向を低めるからである。
【0013】安定用及び接着ポリマーのための溶剤には
有機溶剤、例えばケトン、エステル、トルエン、ラクト
ン、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化溶剤、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、アミン、グリコールブチルエ
ーテル、アルキルアセテート、アセトニトリル及びその
他の一般に知られている有機溶剤が含まれる。毒性の少
ない溶剤が好ましい。この溶剤中の微量のヒドロキシル
基、例えばアルコール及び水分の存在は本発明の被膜及
び方法に顕著な有害作用を有さない。
【0014】該親水性ポリマーのための溶剤には上記の
ほとんど、及びアルコール、酢酸等の溶剤が含まれる。
溶剤系は、均質な溶液における被膜の全ての構成成分の
溶解を可能とし、層における補助溶剤としての働き、そ
して無毒であるものが選ばれうる。所望するならば、付
着性を高めるために特定の基体の表面と相互作用するも
のが選ばれうる。
【0015】本発明の他の態様において、被膜を適用す
べき製品はポリマー表面を有しており、そして「活性」
溶剤が使用、これは潤滑親水層(又はトップコート)が
この製品のポリマー表面の上に直接適用されることを可
能とすることによって内層又はベースコートの必要性を
取り除く。この態様において、「活性溶剤」なる語は、
ポリマー表面を構成する、又は混合ポリマー基体の場合
には少なくとも1又は複数のポリマーを構成するポリマ
ー又はポリマー混合物にとっての、及び(複数の)被膜
ポリマーの両者にとっての補助溶剤と定義する。
【0016】この溶液は被覆すべき物体をこの溶液を含
む容器の中に浸すことにより、又はこの物体の上にこの
溶液を注ぐ、ポンプする、ブラッシするもしくはスプレ
ーすることによって適用してよい。
【0017】発明の詳細な説明 本発明の親水性被膜は、水性溶液、例えば体液、又はア
ルコール、例えばエタノールもしくはメタノールで濡ら
されているときに潤滑性が高いが、しかしながら乾いて
いるときは実質的に滑らかでない。従って、本発明に従
って被覆された移植片は取り扱い及び製造のし易さのた
めに滑らかでなくであり続けるが、しかしながら移植さ
れたときには潤滑性となり、従って患者を保護する。こ
の被膜の潤滑性は所望の範囲内に調節することができ
る。
【0018】本発明にかかわる被膜は、被覆器具の有効
寿命にわたってこの被膜の所望の品質を保持せしめる十
分なる厚み及び耐久性を伴って生物医療又はその他の器
具に適用することができる。本発明の被膜は生体組織と
非反応性であり、そして血液の中で非血栓性である。
【0019】本発明の被膜は生物医療移植片のような器
具の表面の上に利用されるための有利な特徴を有してい
る。この被膜は親水性であり、吸水性であり、そして水
性環境の中で膨潤してハイドロゲルとなる。この被膜は
潤滑特性を有し、そして乾いているときよりも濡れてい
るときにより滑らかである。この被膜は薄く、1/1000
インチの桁である。この被膜は粘着性であり、そして湿
潤摩耗に対して耐久性であり、更に広範囲にわたる様々
な基体に対して付着性である。この被膜は毒性でも刺激
性でもない生体適合性物質を採用する。この被膜の機能
的特性は数多くの種々の用途に適するように変えること
ができる。
【0020】本発明の方法は有利であり、なぜならその
成分は潤滑性、膨潤性、柔軟性及び湿潤摩耗による剥離
に対する耐久性を調節するように変えられうるからであ
る。この被膜のこれらの特性は従って様々な基体及び用
途のために調節することができる。この方法は更に有利
であり、なぜなら本発明の溶液は良好な棚安定性を有
し、そして数ヶ月又は数年に至る期間にわたって実質的
に沈殿物を有さないであり続け、従って様々な溶液の混
合物を一度に調製し、そして後に基体を被覆せしめるこ
とができるからである。他方、この親水性及び安定用ポ
リマー、そして所望するならば可塑剤及び接着ポリマー
は単一の溶液において調製することさえもできうる。更
に、本発明は塩素化溶剤又はその他の急性毒物の使用を
必要としないため、作業者を健康の危険性から保護する
のに予備策をあまり必要としない。
【0021】本発明をその操作の態様に限定するつもり
はないが、明らかに、本発明の安定用ポリマー、特に改
質セルロースポリマーは、親水性ポリマー、例えばPVP
及びPVP−ビニルアアセテートコポリマーを水及び低級
アルコールの中で安定、且つ、不溶性にすることができ
る。得られる組合せ物は基体に適用されたときに、基体
表面に接着された安定な層(又は複数の層)となり、乾
いているときは滑らかでないが濡れているときは所望の
潤滑性であり、そして湿潤摩耗の条件によって剥離する
のに耐久性である被膜をもたらす。この被膜層は不浸透
性表面、例えばステンレススチール又はガラスに付着す
る。これは更に表面がこの被膜の成分と相互作用するよ
うなポリマー表面に付着する。
【0022】この被膜溶液中の成分の重量対容量のパー
センテージを変えることによってこの被膜の安定性、湿
潤潤滑性、不溶性、柔軟性及び付着性の度合いを調節す
ることが可能である。溶液から被覆すべき物体の表面の
上に載った実質的に全てのポリマー及び可塑剤は溶剤を
蒸発させた後にこの被膜層の中に残る。更に、蒸発工程
の時間及び温度を選択して被膜層の安定性を得る及び.
被覆された表面とこの被膜層との付着を得ることができ
る。
【0023】好ましくは、外層溶液はある量の「活性」
溶剤、即ち補助溶剤を、外層成分及び内層成分のために
含む。これにより、活性溶剤は外層溶液が内層の中に浸
透することをもたらし、そして両方の成分の分子レベル
での複合をもたらすものと信じられている。
【0024】かかる分子複合は成分間の架橋結合のよう
な化学反応をもたらしうるか、又は(複数の)化学反応
を伴わない物理的複合のみより構成されるものと信じら
れている。いづれにしても、ある好ましい態様におい
て、外層の外面に比して、被膜の内層と外層との間の界
面にて、親水性ポリマーと安定用ポリマーとの間での高
い度合いの架橋結合又は分子間複合がある。従って、こ
れら二層間の共重合体はそれぞれの層の中に含まれてい
るポリマー間の架橋結合又は分子間複合の結果として生
じうる。被膜の外面での架橋結合の度合いの傾き又は欠
失は本発明の被膜の潤滑性を担うのに役立つ。
【0025】実際、溶剤混合物の活性は、内層の中への
外層の浸透の程度が有用な範囲にあるように調節する。
例えば、もしこの外層溶剤混合物が内層に対して活性が
ありすぎる場合、内層への多すぎる浸透が起こり、従っ
て外層は濡れているときに十分に潤滑性とならないであ
ろう。逆に、この外層溶剤が内層に対して不活性であり
すぎる場合、内層への少なすぎる外層の浸透が起こり、
従ってこの被膜は湿潤摩耗によって内層から簡単に剥離
されすぎてしまうであろう。
【0026】本発明の別の態様においては、潤滑親水層
はトップコートとしてポリマー表面の上に直接適用さ
れ、そして活性溶剤が使用され、これは、プラスチック
基体のポリマー又は混合ポリマー基体の場合にはポリマ
ー混合物もしくは1もしくは複数のポリマーのための、
及び親水性層における(複数の)被膜ポリマーの両方の
ための補助溶剤である。
【0027】乾燥後(これは典型的には50℃〜100 ℃の
温度で行われるが、しかしながらより高い又は低い温度
で行ってもよい)、その(複数の)トップコートポリマ
ー層はポリマー表面の中で部分的に埋もれて残る。二層
系の場合、被膜の塗布の際に利用される溶剤の活性があ
りすぎて、この被覆層があたかも高く架橋結合されたよ
うにふるまう程度にまでこのトップコートがポリマー表
面の中に浸透することがある。これはこのトップコート
が水性流体によって濡らされたときに十分に膨潤しない
及び潤滑性とならないことをもたらす。溶剤混合物は不
活性でありすぎることもあり、従って被膜は濡れている
ときに摩耗に対して十分に耐久性でなく、そして簡単に
剥離されすぎてしまう。
【0028】二層系の場合、その他のポリマー又は架橋
剤を潤滑層において複数の親水性ポリマーと共に含ま
せ、ポリマー表面に対する層の付着性を高めてこの潤滑
層を湿潤摩耗に対してより耐性にすることができる。
【0029】本発明において有用である活性溶剤は個々
の溶剤又は2種以上の溶剤を含む溶剤混合物でありう
る。溶剤混合物の場合、この混合物中の1又は複数の溶
剤が活性でありながら、この混合物中の他の(複数の)
溶剤が不活性であることができる。いづれにせよ、この
溶剤又は溶剤混合物はこの(複数の)トップコートポリ
マーを溶解する、又は少なくとも分散させる。
【0030】トップコートポリマーが溶解されるのでは
なく、分散される場合、溶剤全てがこの被膜を離れる前
にこの(複数の)トップコートポリマーが溶液となる時
間が達成される。この(複数の)トップコートポリマー
が溶液の中にあるときの乾燥の時期の際、その溶剤はこ
のポリマー表面の(複数の)基体ポリマーにも浸透す
る。従って、(複数の)基体ポリマーと(複数の)トッ
プコートポリマーとの間での分子間複合が起こりうる。
【0031】本発明において有用な活性溶剤の例にはブ
チロラクトン、アルコール、ジメチルアセトアミド及び
n−メチル−2−ピロリドンが含まれる。これらの溶剤
及びその他は場合によってプラスチック基体又は内層の
種々の度合いの膨潤をもたらす。この被膜の親水性ポリ
マーは一般に 120,000〜360,000 の高分子量のPVP であ
る。15,000ぐらいに低い低分子量のPVP は、性能を害す
ることなく基体の隣りの下地又はベースにおいて用いる
ことができる。PVP の一部又は全ては、一層コート態様
において、又は二層コート態様のいづれかの層におい
て、 PVP−ビニルアセテートコポリマーで置き換えられ
てよい。
【0032】最も好ましい安定用ポリマーは水に不溶性
なセルロースポリマーであることが見い出されている。
改質セルロースポリマーに代わるものとして、例えばポ
リメチルビニルエーテル無水マレイン酸及びナイロンが
この改質セルロースポリマーの代わりに、又はそれに加
えて利用されうるが、しかしながらこれらは作業するの
により難しく、そしてそれを用いないで調製した被膜ほ
ど長期間ではない摩耗耐性を有する被膜をもたらしがち
である。安定用ポリマーがニトロセルロースであると
き、可塑剤を含ませることが好ましい。
【0033】主観的な方法によって試験したとき、本発
明の被膜は濡れているときは濡れたグリースガラスより
滑らかであり、そして乾いているときは乾いたガラスほ
ど滑らかでない。本発明の被膜は、湿潤摩耗による剥離
に耐性であり、これはこの被膜にわたって水を流し、次
いで濡れている間に強く握りしめた指の間でこすること
によって決定した。本発明の被膜は乾いているときに高
い付着性を有しており、これは接着テープを付け、勢い
のある動作でこのテープを剥離し、次いでこのテープを
付した部分に潤滑被膜が残っているかどうかを調べるた
めにこの被覆基体を濡らすことによって決定した。本発
明の被膜は水の中に保存したときに剥離、溶解又は解体
することなく長期にわたって付着性、且つ、粘着性であ
り続けた。
【0034】本明細書に記載の被膜系は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、シリコン、ガラス、ステンレスス
チール及び一般に付着性の問題を示すものとして考えら
れているその他の基体のような表面の上に、摩耗に対し
て耐性である親水潤滑被膜を提供するであろう。基体へ
の付着性を高めるためにかかる表面をガスプラズマ又は
その他の電離処理を施すことが必要なことがある。以下
の実施例はどのようにして本発明が利用できるかを示
す。
【0035】実施例1:ポリウレタンチューブを、 36.0mlのトルエン 13.1mlのブチルアセテート 5.9mlのイソプロパノール 25.4mlのエチルアセテート 18.1mlのエタノール 1.5mlのアセトン の溶剤混合物中の 5.4gmの低粘性(1/2秒)ニトロセルロース 2.0gmのジブチルフタレート 1.5gmの樟脳 1.9gmのポリビニルブチラル の安定用ポリマー溶液の中に浸漬塗布した。この被覆チ
ューブを65℃で5分間乾かした。次にこれを、 6.6gmのポリビニルピロリドン 63.8mlの変性エタノール 23.6mlのエチルアセテート 12.6mlのジメチルホルムアミド を含む親水性ポリマー溶液に浸漬塗布し、次いで65℃で
5分間乾した。親水性被膜が得られ、これは濡れている
ときに滑らかであった。
【0036】実施例2:スチレンブタジエンチューブ
を、 60mlのエチルアセテート 34.4mlの変性エタノール 4.6mlの酢酸 1mlのイソプロパノール 中の、 1.9gmの1/2秒ニトロセルロースを、親水性ポ
リマー、 1.5gmのポリビニルピロリドンと一緒に含む安
定用ポリマー溶液の中で浸漬塗布し、次いで80℃で5分
間乾した。次にこのサンプルを、 73mlの変性エタノール 26.8mlのエチルアセテート 0.2mlのイソプロパノール 中の、 7.5gmのポリビニルピロリドンを、安定用ポリマ
ー、 0.3gのニトロセルロースと一緒に含む親水性ポリ
マー溶液の中で浸漬塗布し、次いで80℃で5分間乾かし
た。親水性被膜が得られ、これは濡れているときに滑ら
かであった。
【0037】実施例3:ポリウレタンチューブを、33ml
のエチルアセテート及び67mlのクロロホルム中の 5.9gm
の1/2秒セルロースアセテートブチレート及び 5.9gm
のポリビニルピロリドンを含む安定用及び親水性ポリマ
ー溶液で浸漬塗布し、次いで80℃で5分間乾した。次に
これを95mlの変性エタノール中の5gmのポリビニルピロ
リドンを含む親水性ポリマー溶液の中で浸漬塗布し、次
いで80℃で5分間乾した。親水性被膜が得られ、これは
濡れているときに滑らかであった。
【0038】実施例4:ポリウレタンチューブのサンプ
ルを、 1.9gmのニトロセルロース 1.1gmのポリエステル樹脂 1.0gmのポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸コ
ポリマーのモノブチルエステル 0.8mlのイソプロパノール 57.8mlのエチルアセテート 33.4mlの変性エタノール 8mlのジメチルホルムアミド を含む安定用及び接着ポリマー溶液で被覆した。このサ
ンプルを80℃で5分間乾した。これらのサンプルを次
に、 6.6gmのポリビニルピロリドン 63.8mlの変性エタノール 23.6mlのエチルアセテート 12.6mlのジメチルホルムアミド を含む親水性ポリマー溶液の中で浸漬塗布した。サンプ
ルを80℃で5分間乾かし、付着性、潤滑性の層状被膜を
作った。ポリビニルクロリドチューブの上でも似たよう
な被膜が作られた。
【0039】実施例5:本実施例は、基体に対する付着
性を高めるためにどのような種々の「接着」樹脂を加え
ることができるかを示している。 a.以下の安定用ポリマー溶液をポリウレタンチューブ
の上に浸漬塗布し、そして80℃で5分間乾した。 ニトロセルロース 56gm 樟脳 15gm ジブチルフタレート 20gm イソプロパノール 23ml トルエン 225ml エチルアセテート 330ml ブチルアセテート 96ml アセトン 7ml 次にこれを以下の親水性ポリマー溶液で浸漬塗布した。 ポリビニルピロリドン(PVP) 3gm 変性アルコール 27ml エチルアセテート 10ml ジメチルホルムアミド 12ml この被膜は水に浸したときにチューブから分離した。 b. 5.0gm〜17gmのポリウレタン樹脂をニトロセルロー
ス溶液に加えて実施例5(a)を繰り返し、水の中に浸
したときに優れた付着性を示すサンプルが作られた。 c. 5.0gm〜17gmのポリエステル樹脂をニトロセルロー
ス溶液に加えて実施例5(a)を繰り返し、水の中に浸
したときに優れた付着性を示すサンプルが作られた。 d. 5.0gm〜17gmのスチレンブタジエン樹脂をニトロセ
ルロース溶液に加えて実施例5(a)を繰り返し、水の
中に浸したときに優れた付着性を示すサンプルが作られ
た。 e. 5.0gm〜17gmのウレアホルムアルデヒド樹脂をニト
ロセルロース溶液に加えて実施例5(a)を繰り返し、
水の中に浸したときに優れた付着性を示すサンプルが作
られた。
【0040】実施例6:ポリウレタンチューブを以下の
安定用ポリマー溶液で被覆し、そして65℃で5分間乾し
た。 ニトロセルロース 65gm ジブチルフタレート 24gm 樟脳 18gm ポリビニルブチラル 23gm アセトン 28ml エタノール 306ml ブラルアセテート 257ml エチルアセテート 500ml トルエン 550ml イソプロパノール 28ml ジメチルホルムアミド 200ml このサンプルに以下の親水性ポリマー溶液を上塗りし、
そして65℃で5分間乾した。 ポリビニルピロリドン 1gm エタノール 9ml ジメチルホルムアミド 3ml 水 0.5ml このサンプルは水に浸したときに優れた付着性を有して
いた。
【0041】実施例7:アクリル表面を以下の安定用ポ
リマー溶液で被覆し、そして70℃で5分間乾した。 セルロースアセテートプロピオネート 12.9gm ジブチルフタレート 4.8gm 樟脳 3.6gm アセトン 3.2gm エチルアセテート 55.7gm トルエン 58.6gm ブチルアセテート 28.5gm イソプロパノール 5.6gm このサンプルを次に以下の親水性ポリマー溶液で被覆
し、そして70℃で5分間乾した。 アセトニトリル 5ml エタノール 4.5ml PVP(360,000MW) 0.5gm この被膜は水に溶けず、そして非常に滑らかであった。
【0042】実施例8:アクリル面を以下の安定用ポリ
マー溶液で被覆し、そして70℃で5分間乾かした。 セルロースアセテート 12.9gm ジブチルフタレート 4.8gm 樟脳 3.6gm メチルエチルケトン 148.3ml ジメチルホルムアミド 20.0ml このサンプルを次に以下の親水性ポリマー溶液で被覆
し、そして70℃で5分間乾した。 PVP(360,000mw) 0.5gm セルロースアセテート 0.1gm アセトン 6ml エタノール 4.5ml 酢酸 1.0ml メチルエチルケトン 0.9gm この被膜は水に溶けず、そして非常に滑らかであった。
【0043】実施例9:アクリル面を以下の安定用及び
接着ポリマー溶液で被覆し、そして70℃で5分間乾かし
た。 セルロースアセテートブチレート 6.5gm ポリエステル樹脂 6.0gm ジブチルフタレート 2.4gm 樟脳 1.8gm アセトン 2.5ml エチルアセテート 43.6ml トルエン 43.6ml ブチルアセテート 22.4ml このサンプルを次に以下の親水性ポリマー溶液で被覆
し、そして70℃で5分間乾かした。 アセトニトリル 5ml エタノール 4.5ml PVP(360,000mw) 0.5gm この被膜は水に不溶性であり、そして濡れているときに
滑らかであった。
【0044】実施例10:ナイロンチューブを以下の溶液
によって安定用ポリマーで被覆し、そして75℃で10分間
乾かした。 ナイロン樹脂 2gm トリフルオロエタノール 18ml 次にこのサンプルに以下の溶液によって親水性ポリマー
を上塗りし、そして75℃で10分間乾かした。 PVP(360,000mw) 1.0gm ナイロン樹脂 0.3gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 3.0ml トリフルオロエタノール 2.7ml この被膜は水に不溶性であった。
【0045】実施例11:ステンレススチールワーヤーガ
イドに以下の溶液によって安定用ポリマーを被覆し、そ
して70℃で10分間乾かした。 ニトロセルロース 64.6gm ジブチルフタレート 24.3gm 樟脳 17.9gm ポリビニルブチラル 22.5gm アセトン 28.4ml エタノール 306.1ml ブチルアセテート 257.0ml エチルアセテート 499.2ml トルエン 552.8ml イソプロパノール 27.5ml ジメチルホルムアミド 200.0ml 次にこのサンプルに以下溶液によって親水性ポリマーを
上塗りし、そして70℃で10分間乾かした。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 2.0ml この被膜は水に不溶性であり、そして非常に滑らかであ
った。
【0046】実施例12:アクリル面上で実施例11の被覆
方法を繰り返し、ここでも水に不溶性であり、且つ、非
常に滑らかな被膜が作られた。
【0047】実施例13:ナイロンチューブに以下の溶液
によって安定用及び接着ポリマーを被覆し、そして65℃
で5分間乾かした。 ニトロセルロース 32.3gm ポリウレタン 11.2gm ジブチルフタレート 12.2gm 樟脳 9.0gm ポリビニルブチラル 11.2gm アセトン 25ml エタノール 254ml ブチルアセテート 225.3ml エチルアセテート 439.2ml トルエン 467.8ml イソプロパノール 13.8ml ジメチルホルムアミド 100ml 次にこのサンプルに以下溶液によって親水性ポリマーを
被覆し、そして65℃で5分間乾かした。 PVP 1.0gm ニトロセルロース 0.12gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 2.0ml エチルアセテート 0.4ml この被膜は水に不溶性であり、且つ、非常に滑らかであ
った。
【0048】実施例14:ポリウレタンチューブに以下の
溶液によって安定用ポリマーを被覆し、そして65℃で5
分間乾かした。 ニトロセルロース 64.6gm ジブチルフタレート 24.3gm 樟脳 17.9gm ポリビニルブチラル 22.5gm アセトン 28.4ml エタノール 306.1ml ブチルアセテート 257.0ml エチルアセテート 499.2ml トルエン 552.8ml イソプロパノール 27.5ml ジメチルホルムアミド 200.0ml 次にこのサンプルに以下溶液によって親水性ポリマーを
上塗りし、そして65℃で5分間乾かした。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 2.0ml この被膜は水に不溶性であり、そして濡らしたときに非
常に滑らかであった。
【0049】実施例15:アクリル面上で実施例13の被覆
方法を繰り返し、ここでも水に不溶性であり、且つ、非
常に滑らかな被膜が作られた。
【0050】実施例16:スチレン−ブタジエンチューブ
に以下の溶液によって安定用及び接着ポリマーを被覆
し、そして80℃で5分間乾かした。 ニトロセルロース 32.3gm ポリウレタン 10.0gm ジブチルフタレート 12.2gm 樟脳 9.0gm ポリビニルブチラル 11.2gm アセトン 25ml エタノール 264ml ブチルアセテート 226.3ml エチルアセテート 439.2ml トルエン 467.8ml イソプロパノール 13.8ml ジメチルホルムアミド 100ml 次にこのサンプルを以下の親水性ポリマー溶液で被覆
し、そして80℃で5分間乾かした。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 2.0ml 水 0.5ml このサンプルは水の中で不溶性であり、そして濡らした
ときに滑らかであった。
【0051】実施例17:本実施例は被覆されうる層を溶
蝕する又はそれと相互作用することにより付着性を向上
せしめるのにどのようにして(複数の)溶剤が加えられ
うるかを示している。ポリウレタンチューブの複数のサ
ンプルを以下の安定用ポリマー溶液で被覆した。 ニトロセルロース 64.6gm ジブチルフタレート 24.3gm 樟脳 17.9gm ポリビニルブチラル 22.5gm アセトン 28.4ml エタノール 306.1ml ブチルアセテート 257.0ml エチルアセテート 499.2ml トルエン 552.8ml イソプロパノール 27.5ml ジメチルホルムアミド 200.0ml 上記のように被覆せしめたサンプルを次に、付着性を高
めるために被覆される表面と相互作用する様々な量のジ
メチルホルムアミド又は酢酸を含む以下の溶液のうちの
いづれかで被覆した: (a)以下の親水性ポリマー溶液で被覆し、次いで70℃
で5分間乾燥。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 3.0ml この親水性被膜はよく付着しており、水に不溶性であ
り、そして非常に滑らかであった。 (b)エタノール中の親水性ポリマー、10%(w/v)
のPVP で被覆し、次いで70℃で5分間乾燥。 (c)以下の親水性ポリマー溶液で被覆し、次いで70℃
で5分間乾燥。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml ジメチルホルムアミド 1.0ml このサンプルは濡れているときに剥離に耐えたが、3ml
のジメチルホルムアミドを含む上記のサンプルほど湿潤
摩耗に耐性ではなかった。 (d)以下の親水性ポリマー溶液で被覆し、次いで70℃
で5分間乾燥。 PVP 1.0gm エタノール 9.0ml 酢酸 3.0ml この親水性被膜はよく付着しており、水に不溶性であ
り、そして非常に滑らかであった。
【0052】実施例18:本実施例においては、親水性ポ
リマーと安定用ポリマーを単一の溶液の中で組合せ、こ
れをポリウレタンチューブの上に被覆し、次いで80℃で
5分間乾かした。 PVP 0.5gm ニトロセルロース 0.056gm メチルエチルケトン 13.7ml イソプロパノール 0.024gm 酢酸 1.0ml これは濡れているときに滑らかであり、且つ、湿潤摩耗
に耐性である単層被膜をもたらした。
【0053】実施例19:以下の溶液をポリウレタンチュ
ーブの上に被覆し、次いで80℃で5分間乾した。 PVP 1.5gm ポリエチレングリコール 2.7gm エタノール 68.8gm イソプロパノール 18.0gm 4−ブチロラクトン 8.0gm 本実施例におていは、親水性ポリマーを、被膜を適用す
べき基体を膨潤せしめる少なくとも1種の溶剤を含む溶
液の中で組合せた。基体を膨潤させることにより、この
親水性ポリマー分子のいくつかは溶剤が蒸発した後に基
体の表層の中に捕獲された。この親水性ポリマーのいく
つかは基体表面の中にしっかりと接着されたため、これ
は湿潤摩耗に対して耐性とされ、従って濡れているとき
に滑らかである単層被膜をもたらした。
【0054】実施例20−24 以下の溶液を調製し、8フレンチポリウレタンチューブ
上に浸漬塗布し、その後80℃で10分間乾かした。 成分 例20 例21 例22 例23 例24 10% PV Pin 4.0g 4.0g 4.0g 4.0g 4.0g ベンジルアルコール ─ 24.4g 16.0g 16.0g 16.0g N,N,ジメチルアセトアミド ─ ─ 7.5g ─ ─ 氷酢酸 ─ ─ ─ 7.5g ─ N−メチル−2−ピロリドン ─ ─ ─ ─ 7.5g 変性アルコール 25.3g ─ 1.8g 1.8g 1.8g
【0055】湿潤潤滑性及び湿潤摩耗耐性についてこの
被覆潤滑層の性能を評価するため、以下の試験方法を利
用した。被膜を有機溶剤を除去するために乾かした後、
ブラッシ又は綿棒を用いてこの被覆表面にジェンチアン
バイオレット(Gentian Violet;例えばRicca Chemical
Company由来のカタログNo.3240)を適用した。この染料
は潤滑層の中へと強く吸収されたが、プラスチック基体
の中へは強く吸収されなかった。次に、この染色したサ
ンプルを低温の緩やかに流した水のもとに保った。サン
プルを水ですすいだ後、これらを片手の親指と人差し指
との間で強く握りしめながら勢いよくこすった。プラス
チック基板に対する付着性が非常に弱いとき、この被覆
層は表面から完全に洗い落ちしうる(これは実質的に全
ての染料の洗い落ちにより実証される)。被膜の中に被
覆層が浸透しすぎた場合及び/又は被膜の中に多すぎる
重合性又は架橋剤が入りすぎたことによってそれが硬化
した場合、この染料染色はすすぎ後に非常に強力である
ことができる。指こすり試験の際、かかる被覆層のほと
んど又は全てがプラスチック基体上に残り、これはほと
んど染料の保持によって証明されるが、しかしながらそ
れらは非常に滑らかな感触ではなかった。これらの両極
端の中間は、滑らかな感触と湿潤摩擦による剥離に対す
る耐性とのより所望されるバランスで有する被膜であ
る。かかる品質評価を行う能力は様々なプラスチック又
はその他の材質の物理学的特性に馴れた者によって迅速
に開発される。
【0056】実施例20の被膜は低温流水のもとで保った
ときに完全に洗い落ちし、ポリウレタンへの浸透又は被
膜の硬化がわずか又は全くなかったことを示唆する。こ
れは予測され、なぜならエタノールはポリウレタン表面
に対して非常に低い溶剤活性を示すからである。
【0057】実施例21と23の被膜の最も外側の部分は濡
れているときにこすれ落ちたが、非常に滑らかな薄層が
残った。残留染料強度は中程度であった。これらのサン
プルは湿潤摩耗に対する耐性と潤滑性との非常に良好な
バランスを有すると判定された。
【0058】実施例22と24の被膜は湿潤摩擦したときに
あまり滑らかでなく、そしてこの被膜は実施例21と23に
比べて水によって膨潤された感触ではなかった。サンプ
ルは濡れているときにこすれ落ちに対して非常に耐性で
あり、これは実施例21と23と比べたときの、湿潤摩擦後
のより強い残留染料染色によって証明された。これらは
溶剤の活性がありすぎてわずかな潤滑性が得られる例で
ある。これらのサンプルは、十分な度合いの活性を担う
ように溶剤を単独で又は組合せて選んで使うことによ
り、湿潤摩擦に対する耐性と潤滑性とのバランスをとる
ために潤滑層の性能がどのように調整されうるかを示し
ている。
【0059】実施例25:以下の溶液を作った。 ポリビニルピロリドン 0.4g 変性エタノール 19.6g ベンジルアルコール 10.0g
【0060】この溶液をポリウレタンチューブ上に浸漬
塗布し、その後80℃で22分間乾かした。ジェンチアンバ
イオレットの溶液を実施例20〜24に詳細の通りに被覆表
面に塗布した。試験したとき、この被膜は湿潤こすれ落
ちに対してかなり耐性であり、そして非常に滑らかであ
った。実施例21の被膜と比べ、これは若干より滑らかで
あったが、湿潤こすれ落ちに対する耐性が若干弱かっ
た。
【0061】実施例26:以下の溶液をポリウレタンチュ
ーブの上に浸漬塗布し、そして80℃で12分間乾かした。
ジェンチアンバイオレットの溶液を実施例20〜24に詳細
の通りに被覆表面に適用した。 ポリビニルピロリドン 0.4g ベンジルアルコール 10.5g 変性エタノール 3.6g N,Nジメチルアセトアミド 5.0g この被膜は非常に滑らかであり、そして強い湿潤摩擦の
後にもこの表面上に潤滑層が残り、これは剥れなかっ
た。
【0062】実施例27:以下の溶液をポリビニルクロリ
ドのチューブの上に浸漬塗布し、そして80℃で12分間乾
かした。 ポリビニルピロリドン 0.9gm メチリンクロリド 5.0gm N−メチル−2−ピロリドン 10.0gm
【0063】ジェンチアンバイオレットの溶液を実施例
20−24に詳細の通りに被覆表面に適用した。冷やした
後、前述のジェンチアンバイオレット試験法を利用する
ことによって潤滑性及び湿潤こすれ耐性についてこの被
膜を試験した。
【0064】この被膜は非常に滑らかであり、そして強
い湿潤摩擦の後にもこの表面上に潤滑層が残り、これは
剥れなかった。
【0065】上記に提供した実施例は排他的を意味する
のではない。その他の補助溶剤及びポリマー混合物の使
用を含む本発明の数多くのその他の変更は当業者に自明
であり、そして請求の範囲内であると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 1/10 A61F 5/43 G02C 7/04 G02B 1/10 Z (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑複合被膜であって: 露出した外面を有する外層、ここでこの外層は、ポリビ
    ニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−ポリビニルア
    セテートコポリマー及び以上の混合物から成る群より選
    ばれる親水性ポリマーを含んで成り、但し、当該親水性
    ポリマーはシラン化合物を含まないものとする;並びに
    セルロースエステル、ポリメチルビニルエーテルと無水
    マレイン酸とのコポリマー、このコポリマーのエステ
    ル、ナイロン及び以上のいずれかの混合物から成る群よ
    り選ばれる水不溶性安定用ポリマーを含んで成る内層、 から成り、 当該複合品は乾いているときよりも濡れているときに実
    質的により滑らかであり、湿潤摩耗による剥離に耐性で
    あり、そして水性溶液の中で本質的に不溶性であり、前
    記親水性ポリマー、対、前記安定用ポリマーの比が前記
    複合品の湿潤潤滑性、剥離に対する耐性及び不溶性の度
    合いを変える、 潤滑複合被膜。
  2. 【請求項2】 前記安定用ポリマーが親水性ポリマーを
    含む、請求項1記載の複合被膜。
  3. 【請求項3】 前記外層が安定用ポリマーを含む、請求
    項1又は2記載の複合被膜。
  4. 【請求項4】 前記親水性ポリマーがポリビニルピロリ
    ドン及びポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート
    から成る群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項
    記載の複合被膜。
  5. 【請求項5】 前記安定用ポリマーがセルロースアセテ
    ート、セルロースアセテートブチレート、セルロースア
    セテートプロピオネート、セルロースニトレート、エチ
    ルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースから成る
    群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項記載の複
    合被膜。
  6. 【請求項6】 前記被膜が可塑剤を更に含む、請求項1
    〜5のいずれか1項記載の複合被膜。
  7. 【請求項7】 前記可塑剤が樟脳、ポリビニルブチラー
    ル、ジブチルフタレート、カストール油、ジオクチルフ
    タレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセ
    バケート、セバシン酸及びアルキル樹脂から成る群より
    選ばれる、請求項6記載の複合被膜。
  8. 【請求項8】 前記被膜が接着ポリマーを更に含む、請
    求項1〜7のいずれか1項記載の複合被膜。
  9. 【請求項9】 前記接着ポリマーがポリエステル、ポリ
    ウレタン、スチレンポリブタジエン、アクリル樹脂、ポ
    リビニリデンクロリド、ポリカーボネート及びポリビニ
    ルクロリドから成る群より選ばれる、請求項8記載の複
    合被膜。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の潤
    滑複合被膜が上に載っている製品であって、当該複合被
    膜の内層が当該製品に付着している、製品。
  11. 【請求項11】 基体が金属基体、ガラス基体、又はポ
    リウレタン、ポリビニルクロリド、ポリアクリレート、
    ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、
    ポリブタジエン−スチレン コポリマー、ナイロン、ポ
    リプロピレン、ポリブチレン、テフロン、シリコン及び
    ポリビニルアセタールから成る群より選ばれるポリマー
    基体である、請求項10記載の製品。
  12. 【請求項12】 前記製品がカテーテル、コンドーム、
    コンタクトレンズ、ペリスタルポンプチャンバー、動静
    脈シャント、胃腸管供給チューブ及び気管内チューブか
    ら成る群より選ばれる医療器具である、請求項10又は
    11記載の製品。
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