JP3333478B2 - コンクリート構造物の施工方法 - Google Patents

コンクリート構造物の施工方法

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JP3333478B2 JP28627299A JP28627299A JP3333478B2 JP 3333478 B2 JP3333478 B2 JP 3333478B2 JP 28627299 A JP28627299 A JP 28627299A JP 28627299 A JP28627299 A JP 28627299A JP 3333478 B2 JP3333478 B2 JP 3333478B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、岩盤上に直接、
あるいは岩盤上に堆積された普通土の上に構築されるコ
ンクリート構造物の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のコンクリート構造物として例え
ば砂防ダムがあり、図22および図23に示すような施
工方法が採用されている。砂防ダムを施工する場合、ま
ず最初に、図22(a)に示すように、砂防ダムの構築
予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、岩盤掘削等によ
り構築予定個所を整形する。なお、これらの図(および
後で説明する図1〜図3、図19および図20)におい
て、符号RL1,RL2は、それぞれ軟岩Iおよび軟岩I
Iの岩線を示している。
【0003】こうして整形された構築予定箇所の基礎岩
盤R上に型枠(図示省略)を組み立て、次に同図(b)
に示すようにコンクリート101を打設する。そして、
このコンクリート101が所定の強度になるまで硬化し
て砂防ダムの基礎コンクリート(基礎部分)が形成され
ると、前記型枠を解体して、基礎コンクリート101の
上に更にコンクリートを打ち継ぐための第二段目の型枠
(図示省略)を組み立て、図23(a)を示すようにコ
ンクリート102を打設する。このような作業を繰り返
すことによって、同図(b)に示すような砂防ダム(壁
状コンクリート構造物)103が構築される。最後に、
埋め戻し104を行うとともに、山腹腹付け105を行
う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来工法では、構築予定個所上にコンクリートを打
設して壁状コンクリート構造物103を構成しているの
みであり、岩盤R上に壁状コンクリート構造物103が
単に乗っている状態にある。そのため、砂防ダムは、静
水圧、堆砂圧、地震力などの外力に対してコンクリート
構造物自体の重量、つまり自重のみによって抵抗しなけ
ればならず、必然的にコンクリート構造物103自体を
大型化する必要がある。
【0005】その結果、大量のコンクリート打設を必要
とするために工期が長くなり、施工コストも高いという
問題があった。特に土石流防止のための緊急対策として
この種のダムを必要とするような場合には施工が間に合
わないという問題があった。
【0006】また、コンクリート構造物103の大型化
による問題は上記以外にもある。すなわち、岩盤上に構
築されるコンクリート構造物103が大型化すると、そ
れを構築するために岩盤を広範囲にわたって掘削する必
要が生じる。そのため、このことが工期の長期化および
施工コストの増大の別の要因となっている。
【0007】このような問題は砂防ダムに限定されるも
のではなく、岩盤上にコンクリート構造物、例えばL型
擁壁、調整池、コンクリート橋脚などを構築する場合に
共通して生じる問題である。
【0008】この発明は上記課題に鑑みなされたもので
あり、岩盤上に構築されるコンクリート構造物の施工期
間を短縮するとともに、施工コストを低減することがで
きるコンクリート構造物の施工方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、岩盤
上にコンクリート構造物を構築するコンクリート構造物
の施工方法であって、上記目的を達成するため、前記岩
盤上に前記コンクリート構造物の基礎部分を形成すると
ともに以下の第1ないし第7工程を実行して該基礎部分
を前記岩盤に対して締結固定した後、前記基礎部分の上
にコンクリートを打設して前記コンクリート構造物を構
築することを特徴としている。前記第1工程は、下記の
ように構成された拡径式ロックボルトおよび管部材を準
備する工程であり、前記第2工程は、前記ロックボルト
を挿通させるための貫通孔を前記基礎部分に形成する工
程であり、前記第3工程は、前記第2工程と同時にある
いは前記第2工程に前後して、前記貫通孔と連通する掘
削孔を前記岩盤に形成する工程であり、前記第4工程
は、前記貫通孔および前記掘削孔からなる連続孔に前記
拡径式ロックボルトを挿入する工程であり、前記第5工
程は、前記拡径式ロックボルトのビットを径方向に拡張
し、その拡径状態の前記ビットによって前記掘削孔を削
孔して前記掘削孔の底側に大径部を形成する工程であ
り、前記第6工程は、前記第5工程後に、前記管部材を
前記ボルト本体に対して挿入するとともに、その先端を
前記ビットの外周面と当接して径方向に拡張させる工程
であり、前記第7工程は、前記第6工程後に、前記拡径
式ロックボルトのボルト本体の後端に取付けたプレート
により前記基礎部分の表面を押え付けながら、前記拡径
式ロックボルトを前記岩盤に対して緊結させて前記基礎
部分を前記岩盤に対して締結固定する工程であり、前記
拡径式ロックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト本体
の先端に設けられて岩盤を削孔するビットとを備え、前
記ビットは径方向に拡張可能となっており、ビット拡径
手段によって前記ビットを径方向に拡張させることでビ
ット拡張前よりも大きな径を有する大径部を岩盤中に形
成可能となっており、 前記管部材は、前記拡径式ロック
ボルトのボルト本体の外径よりも大きく、しかも前記ビ
ットの外径よりも小さな内径を有し、その先端が径方向
に拡張可能となっている。請求項2の発明は、岩盤上に
堆積されたN値が約15以上の普通土の上にコンクリー
ト構造物を構築するコンクリート構造物の施工方法であ
って、上記目的を達成するため、以下の第1ないし第9
工程を実行して前記コンクリート構造物の基礎部分を前
記岩盤に対して締結固定した後、前記基礎部分の上にコ
ンクリートを打設して前記コンクリート構造物を構築す
ることを特徴としている。前記第1工程は、下記のよう
に構成された拡径式ロックボルトおよび管部材を準備す
る工程であり、前記第2工程は、前記普通土の表面から
岩盤表面に達するまで貫通孔を形成する工程であり、前
記第3工程は、前記第2工程によって露出した岩盤表面
から前記貫通孔よりも小径の掘削孔を前記岩盤中に形成
する工程であり、前記第4工程は、前記貫通孔および前
記掘削孔からなる連続孔に、前記拡径式ロックボルトを
挿入する工程であり、前記第5工程は、前記拡径式ロッ
クボルトのビットを径方向に拡張し、その拡径状態の前
記ビットによって前記掘削孔を削孔して前記掘削孔の底
側に大径部を形成する工程であり、前記第6工程は、前
記5工程の後で、前記管部材を前記ボルト本体に対して
挿入するとともに、その先端を前記ビットの外周面と当
接して径方向に拡張させる工程であり、前記第7工程
は、前記第6工程後に、前記連続孔に固結材を充填する
工程であり、前記第8工程は、前記固結材の養生後に、
前記ボルト本体の後端を突出させた状態で前記普通土の
上に前記基礎部分を形成する工程であり、前記第9工程
は、前記基礎部分の形成完了後に、前記ボルト本体の後
端に取付けたプレートにより前記基礎部分の表面を締め
付ける工程であり、前記拡径式ロックボルトは、ボルト
本体と、前記ボルト本体の先端に設けられ て岩盤を削孔
するビットとを備え、前記ビットは径方向に拡張可能と
なっており、ビット拡径手段によって前記ビットを径方
向に拡張させることでビット拡張前よりも大きな径を有
する大径部を岩盤中に形成可能となっており、前記管部
材は、前記拡径式ロックボルトのボルト本体の外径より
も大きく、しかも前記ビットの外径よりも小さな内径を
有し、その先端が径方向に拡張可能となっている。請求
項3の発明は、岩盤上にコンクリート構造物を構築する
コンクリート構造物の施工方法であって、上記目的を達
成するため、前記岩盤上に前記コンクリート構造物の基
礎部分を形成するとともに以下の第1ないし第6工程を
実行して該基礎部分を前記岩盤に対して締結固定した
後、前記基礎部分の上にコンクリートを打設して前記コ
ンクリート構造物を構築することを特徴としている。前
記第1工程は、下記のように構成されたネジ式ロックボ
ルトを準備する工程であり、前記第2工程は、前記ネジ
式ロックボルトを挿通させるための貫通孔を前記基礎部
分に形成する工程であり、前記第3工程は、前記第2工
程と同時にあるいは前記第2工程に前後して、前記貫通
孔と連通する掘削孔を前記岩盤に形成する工程であり、
前記第4工程は、少なくとも前記掘削孔の内壁面に雌ネ
ジ部を刻設する工程であり、前記第5工程は、前記ネジ
式ロックボルトの雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺合させな
がら、前記ネジ式ロックボルトを前記連続孔および前記
掘削孔からなる連続孔に挿入する工程であり、前記第6
工程は、前記第5工程後に、前記ネジ式ロックボルトの
ボルト本体の後端に取付けたプレートにより前記基礎部
分の表面を押え付けながら、前記ネジ式ロックボルトを
前記岩盤に対して緊結させる工程であり、前記ネジ式ロ
ックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト本体の少なく
とも一部に、前記掘削孔の内壁面に刻設された雌ネジ部
に対して螺合可能に刻設された雄ネジ部とを備えてい
る。請求項4の発明は、岩盤上に堆積されたN値が約1
5以上の普通土の上にコン クリート構造物を構築するコ
ンクリート構造物の施工方法であって、上記目的を達成
するため、以下の第1ないし第8工程を実行して前記コ
ンクリート構造物の基礎部分を前記岩盤に対して締結固
定した後、前記基礎部分の上にコンクリートを打設して
前記コンクリート構造物を構築することを特徴としてい
る。前記第1工程は、下記のように構成されたネジ式ロ
ックボルトを準備する工程であり、前記第2工程は、前
記普通土の表面から岩盤表面に達するまで貫通孔を形成
する工程であり、前記第3工程は、前記第2工程によっ
て露出した岩盤表面から前記貫通孔よりも小径の掘削孔
を前記岩盤中に形成する工程であり、前記第4工程は、
少なくとも前記掘削孔の内壁面に雌ネジ部を刻設する工
程であり、前記第5工程は、前記ネジ式ロックボルトの
雄ネジ部を前記雌ネジ部に螺合させながら、前記ネジ式
ロックボルトを前記連続孔および前記掘削孔からなる連
続孔に挿入する工程であり、前記第6工程は、前記第5
工程後に、前記連続孔に固結材を充填する工程であり、
前記第7工程は、前記固結材の養生後に、前記ネジ式ロ
ックボルトのボルト本体の後端を突出させた状態で前記
普通土の上に前記基礎部分を形成する工程であり、前記
第8工程は、前記基礎部分の形成完了後に、前記ボルト
本体の後端に取付けたプレートにより前記基礎部分の表
面を締め付ける工程であり、前記ネジ式ロックボルト
は、ボルト本体と、前記ボルト本体の少なくとも一部
に、前記掘削孔の内壁面に刻設された雌ネジ部に対して
螺合可能に刻設された雄ネジ部とを備えている。
【0010】このように構成されたコンクリート構造物
の施工方法では、ダム、擁壁および調整池などを含む
ンクリート構造物の基礎部分がロックボルトによって岩
盤に対して締結固定されるため、コンクリート構造物に
作用する外力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する
抵抗として、コンクリート構造物の自重に加えて、ロッ
クボルトによる締結固定力が加わる。そのため、コンク
リート構造物の小型軽量化することが可能となる。
【0011】ここで、ロックボルトとして従来より公知
のロックボルトを使用することができるが、拡径式ロッ
クボルトやネジ式ロックボルトを使用するのが望まし
い。この場合、ロックボルト1本当たりの締結固定力が
高くなり、さらなる低コスト化および工期短縮化が可能
となる。
【0012】
【発明の実施の形態】A.第1実施形態 この第1実施形態は岩盤上に砂防ダムを施工する方法で
あり、図1ないし図3に示す施工手順で構築される。ま
ず最初に、図1(a)に示すように、砂防ダムの構築予
定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、岩盤掘削等により
構築予定個所を整形する。
【0013】次に、構築予定箇所の基礎岩盤R上に型枠
(図示省略)を組み立て、次に同図(b)に示すように
コンクリート11を打設する。このとき、次に説明する
ようにロックボルトを挿通するため、箱抜きによって貫
通孔11aを形成する。
【0014】そして、このコンクリート11が所定の強
度になるまで硬化して砂防ダムの基礎コンクリート(基
礎部分)11が形成されると、図2(a)に示すよう
に、この基礎コンクリート11をロックボルト2によっ
て岩盤Rに対して締結固定する。
【0015】それに続いて、その基礎コンクリート11
の上に更にコンクリートを打ち継ぐための第二段目の型
枠(図示省略)を組み立て、図2(b)を示すようにコ
ンクリート12を打設する。このような作業を繰り返す
ことによって、図3(a)に示すような壁状コンクリー
ト構造物(砂防ダム)13が構築される。そして最後
に、埋め戻し14を行うとともに、山腹腹付け15を行
う(同図(b))。
【0016】ここで、このコンクリート構造物13は擁
壁13aを複数のバットレス13bで支持するバットレ
スダムであり、図23に示す従来の砂防ダムよりに比べ
て小型軽量化されている。このように小型軽量化できる
理由は以下のとおりである。
【0017】この実施形態では、基礎コンクリート(基
礎部分)11をロックボルト2によって岩盤Rに締結固
定している。そのため、コンクリート構造物13に作用
する外力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗
として、コンクリート構造物13の自重に加えて、ロッ
クボルト2による締結固定力が加わる。その結果、コン
クリート構造物13を軽量化することが可能となり、使
用するコンクリート量を削減することができ、施工期間
を短縮し、しかも施工コストを低減することができる。
また、コンクリート構造物13の小型化によって、構築
予定箇所を整形するために必要となる掘削領域が狭くな
り、施工期間の短縮化および施工コストの低減にとって
有利である。
【0018】なお、ロックボルト2として、従来より公
知のものを使用してもよいが、次に詳述するように新規
で、しかも引き抜き抵抗が従来ロックボルトに比べて優
れている拡径式ロックボルトやネジ式ロックボルトを使
用するのが望ましい。この場合、ロックボルト1本当た
りの締結固定力が公知のものに比べて数倍程度高くな
り、さらなる低コスト化および工期短縮化が可能とな
る。以下、それぞれについて説明する。また、このこと
は、後で詳述する他の実施形態においても同様である。
【0019】また、上記実施形態では、基礎コンクリー
ト11が岩盤Rと当接する面を水平面とほぼ平行となる
ように設計しているが、後述する第3実施形態の如く水
平面に対して所定角度αだけ傾斜させるのが望ましく、
こうすることでコンクリート構造物13に作用する外力
(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗を高める
ことができ、コンクリート構造物13の小型軽量化にさ
らに寄与する。
【0020】A−1.拡径式ロックボルト工法 図4および図5は、第1実施形態にかかるコンクリート
構造物の施工方法で拡径式ロックボルトを用いる場合の
施工方法を示す図である。
【0021】まず、削孔機によって岩盤Rを削孔して基
礎コンクリート11の貫通孔11aに連通する内径d1
の掘削孔3を形成して、これらからなる連続孔を構成す
る(図4(a))。ここで、貫通孔11aと掘削孔3と
をほぼ同一内径としているが、貫通孔11aを掘削孔3
よりも大きな径としてもよく、後述するビット22が挿
通できる限り任意である。
【0022】そして、削孔機のビット41およびロッド
42を抜いてロックボルト2Aに付け替えた後、貫通孔
11aと掘削孔3からなる連続孔内にロックボルト2A
を挿入する(同図(b))。なお、ロックボルト2Aの
ボルト本体21の長さについては、予めボーリングマシ
ーン等によって岩盤のサンプルを採取し、その採取結果
を分析して決定するのが望ましい。
【0023】図6は、拡径式ロックボルトの一の実施形
態を示す部分斜視図である。このロックボルト2Aは、
ボルト本体21と、その先端に設けられたビット22
と、ビット22の貫通孔に先端部231(図8)が挿入
されたセリ矢23とで構成されている。ボルト本体21
は中空管となっており、その中央内部に圧縮空気や固結
材を先端側に供給するための案内孔211を有してい
る。
【0024】図7はビット22を先端側から見た平面図
である。なお、同図では、ビット22の構造理解を助け
るために、セリ矢23を省略した状態でビット22が図
示されている。これら図6および図7に示すように、こ
のボルト本体21の先端に設けられたビット22は、ボ
ルト本体21に固着されたビット本体221と、ビット
本体221から先端側(図6の下方側)に伸びる4本の
削孔刃222とを備えている。
【0025】また、これら4本の削孔刃222はビット
本体221に設けられた貫通孔221aを中心として放
射状に配置されており、スリット223によって相互に
分離されている。このため、ビット22の削孔刃222
は径方向に拡張可能となっており、図4(b)に示すよ
うに非拡張状態ではビット22の外径D1は掘削孔3の
内径d1とほぼ同一であるのに対し、後述するセリ矢2
3によって拡張されると、ビット22は外径D2まで拡
径される(同図(c))。なお、削孔刃222の本数は
「4」に限定されるものではなく、複数の削孔刃を備
え、それらがセリ矢23などのビット拡径手段によって
径方向に拡張可能に構成されておれば、ビット22は如
何なる構成を備えていてもよい。ただし、削孔対象が本
実施形態の如く岩盤である場合には、削孔中に削孔刃2
22が破損しないだけの十分な機械的強度が要求される
ため、ビット本体221と削孔刃222を一体的に成形
したビット22を用いるのが望ましい。
【0026】さらに、上記貫通孔221aはボルト本体
21の案内孔211から延長して設けられており、案内
孔211を介して供給されてきた圧縮空気や固結材がビ
ット22の先端から掘削孔3の底側に向けて吐出され
る。
【0027】セリ矢23は上記のようにビット22を拡
径するビット拡径手段として機能するものであり、この
実施形態では、図8に示す略円錐形状に仕上げられてい
る。そして、セリ矢23の先端部231がビット22の
中央下部に挿入されている。したがって、図6の白抜き
矢印Fで示すようにボルト本体21の後端側(同図の上
側)から打撃を与えながら、ボルト本体21を回転させ
ることで、セリ矢23がビット22中央部に入り込みビ
ット22を径方向に拡径する。なお、ビット拡径手段と
しては、セリ矢23以外に従来より周知の方法によって
ビット22を拡径するように構成してもよい。
【0028】また、セリ矢23の底面側には、掘削孔3
の底側を向いて突起部232が設けられており、ビット
22の削孔刃222のみならず、この突起部232によ
っても掘削孔3がさらに掘り進められて削孔処理をより
効率良く行うことができる。
【0029】さらに、ロックボルト2Aに対して打撃お
よび回転を与えることで、図4(c)に示すように、掘
削孔3をさらに掘り進めて掘削孔3の底側(同図の下
側)に大径部31が形成される。ここで、図4および図
5では、ビット22(および後で説明する防食管)が大
径部31の内側面から離れているように図示している
が、実際には噛着している。これによって、引き抜き強
度および引き抜き耐久性が向上されている。その結果、
後述するように基礎コンクリート(基礎部分)11をロ
ックボルト2Aによって岩盤Rに対して締結固定するこ
とで得られる締結固定力を高めることができる。
【0030】なお、この大径部31の形成にあたって
は、ボルト本体21の案内孔211に圧縮空気が図示を
省略するエアーコンプレッサーから供給されており、岩
盤Rを削孔中に発生するずりが図4(c)の矢印で示す
気流に乗って掘削孔3から吹き出される。このため、掘
削孔3内に土砂が詰まることを効果的に防止することが
できる。
【0031】次に、図5に移ってロックボルト施工方法
についての説明を続ける。上記のようにして大径部31
の形成が完了すると、予め準備しておいた中空防食管5
をボルト本体21に挿入する。この防食管5は、ボルト
本体21の外径D3よりも大きく、しかもビット22の
外径D1よりも小さな内径d2(図9)を有している。ま
た、図9に示すように、その先端にはスリット51が形
成されており、径方向に拡張可能となっている。さら
に、側面には、複数の貫通孔52が穿設されている。
【0032】中空防食管5を挿入した後、図5(a)に
示すように、油圧ジャッキ6によって中空防食管5を掘
削孔3内に押し込む。これによって、防食管5の先端部
53は、ビット22の外周面と当接することで径方向に
拡張し、大径部31の内側面に噛着する。これによっ
て、引き抜き強度および引き抜き耐久性を向上させるこ
とができ、ロックボルト2Aによる岩盤Rに対する基礎
コンクリート11の締結固定力をさらに高めることがで
きる。
【0033】それに続いて、同図(b)に示すように、
岩盤表面側でボルト本体21にアンカープレート7を取
付ける。そして、アンカープレート7により基礎コンク
リート(基礎部分)11の表面を押え付けながら、ボル
ト本体21の後端(同図の上側)に刻設されたネジ部2
12にナット213を締結してロックボルト2Aを基礎
コンクリート11に対して緊結させる。これによって、
ビット22および防食管5が大径部31の内側面に噛着
するのみならず、防食管5の先端部53が大径部31の
入口部分を塞ぐ状態で密着することとなり、岩盤Rに対
する基礎コンクリート11の締結固定力をより一層高め
ることができる。
【0034】最後に、ボルト本体21の案内孔211を
介して掘削孔3(大径部31を含む)に固結材8を充填
し、支持抵抗を高めて締結固定力をさらに向上させてい
る。なお、この実施形態では、固結材8として2種類の
ものを併用している。すなわち、大径部31の底部から
掘削孔3の全長に対して約1/3の深さに亘って樹脂系
接着剤からなる定着用固結材81を充填する一方、それ
より岩盤表面側には、モルタル、セメントミルクやグラ
ウト等の閉塞用固結材82を用いている。このように、
大径部31に樹脂系接着剤を定着用固結材81として用
いることで、モルタル、セメントミルクやグラウト等を
用いる場合に比べて、締結固定力を向上させることがで
きる。しかも、締結固定力の向上に対してあまり寄与し
ない閉塞個所においては、安価なモルタルなどを用いる
ことでトータルコストを低減させることが可能となる。
【0035】なお、上記実施形態では、掘削孔3に充填
する固結材として2種類の固結材を用いているが、1種
類、あるいは3種類以上の固結材を用いてもよい。ま
た、掘削孔3の一部に固結材を充填するようにしてもよ
い。ただし、固結材による固定力の増大を図る上では、
少なくとも大径部31に充填するのが望ましい。
【0036】また、上記実施形態では、固結材の充填に
先立って、ロックボルト2Aを岩盤Rに対して緊結して
いるが、固結材の充填および養生を行った後で、アンカ
ープレート7により基礎コンクリート11の表面を締め
付けるようにしてもよい。すなわち、基礎コンクリート
11の表面側でボルト本体21にアンカープレート7を
取付けた後、アンカープレート7により基礎コンクリー
ト11の表面を押え付けながら、ボルト本体21のネジ
部212にナット213を締結してもよい。
【0037】また、上記実施形態では、ビット22を径
方向に拡張した後、その拡径状態でさらに掘削孔3を掘
り進んで大径部31を形成しているが、拡径状態のビッ
トを回転しながら、基礎コンクリート11の表面側に引
き上げることで掘削孔3の底側に大径部を形成するよう
にしてもよい。
【0038】また、上記実施形態では、ボルト本体21
に中空防食管5を挿通して固定力の向上とロックボルト
2Aの防食を図っているが、ロックボルト施工において
中空防食管5は本発明の必須構成要件というわけではな
く、ロックボルトの施工場所や施工対象などに応じて適
宜選択的に使用すればよい。
【0039】また、上記実施形態では、削孔機のビット
41によって掘削孔3を形成しているが、拡径前のロッ
クボルト2A、つまりセリ矢23を装着しない状態でロ
ックボルト2Aによって岩盤を削孔して掘削孔を形成
し、その後でロックボルト2Aにセリ矢23を装着し、
上記実施形態と同様にしてロックボルト2Aを施工して
もよい。
【0040】A−2.ネジ式ロックボルト工法 図10および図11は、第1実施形態にかかるコンクリ
ート構造物の施工方法でネジ式ロックボルトを用いる場
合の施工方法を示す図である。
【0041】まず、削孔機によって岩盤Rを削孔して基
礎コンクリート11の貫通孔11aに連通する掘削孔3
を形成して、これらからなる連続孔を構成する(図10
(a))。そして、削孔機の回転駆動部43からビット
41およびロッド42を抜いて岩用タップ9に付け替え
た後、タップ9を回転させながら、貫通孔11aおよび
掘削孔3からなる連続孔に進入させて貫通孔11aおよ
び掘削孔3の内壁面に雌ネジ部32を形成する(同図
(b))。ここで、貫通孔11aと掘削孔3とをほぼ同
一内径としているが、貫通孔11aを掘削孔3よりも大
きな径としてもよく、この場合には、掘削孔3内にのみ
雌ネジ部32を形成すればよい。
【0042】図12は、岩盤の掘削孔に雌ネジ部を形成
するための岩用タップを示す図である。このタップ9
は、同図に示すように、タップ本体91の先端側にネジ
部92が形成される一方、後端側が柄部93となって削
孔機の回転駆動部43に装着される。また、タップ本体
91の軸芯に沿って注水孔94が形成されており、外部
から圧送される水を先端側に案内し、タップ9の先端か
ら高圧水を吐出させることが可能となっている。さら
に、タップ本体91の側面には、貫通孔11aおよび掘
削孔3内の水やずりなどを貫通孔11aおよび掘削孔3
の外に案内する排出溝95が形成されている。このた
め、雌ネジ形成中に貫通孔11aおよび掘削孔3内で発
生したずりは高圧水によって排出溝95を介して貫通孔
11aおよび掘削孔3の外に排出され、掘削孔3内にず
りが詰まることを効果的に防止することができる。ま
た、雌ネジ形成中に水を供給することでタップ9と岩盤
Rとを冷却してタップ9の焼付きや熱損傷などの不具合
の発生を未然に防止することができる。
【0043】上記のようにして貫通孔11aおよび掘削
孔3への雌ネジ部32の形成が完了すると、図13に示
すロックボルト2Bを掘削孔3に挿入する(図10
(c))。なお、掘削孔3の深さおよびロックボルト2
Bのボルト本体24の長さについては、予めボーリング
マシーン等によって岩盤のサンプルを採取し、その採取
結果を分析して決定するのが望ましい。
【0044】図13は、ネジ式ロックボルトの一の実施
形態を示す図である。このロックボルト2Bは、ボルト
本体24と、その先端側に設けられた雄ネジ部25とで
構成されている。この雄ネジ部25は貫通孔11aおよ
び掘削孔3からなる連続孔の内壁面に刻設された雌ネジ
部32と螺合可能となっている。
【0045】一方、ボルト本体24は中空管となってお
り、その中央内部に固結材を供給するための案内孔24
1を有している。また、雄ネジ部25の先端側には掘削
孔3の底側に向けて固結材を吐出するための先端吐出口
242が設けられる一方、雄ネジ部25の後端側にはボ
ルト本体24の略中央部から掘削孔3内に固結材を吐出
するための中央吐出口243が設けられている。このた
め、後述するように雄ネジ部25が雌ネジ部32と螺合
して掘削孔3が先端側と後端側の2つの空間に分かれて
も固結材を両空間に確実に充填可能となっている。
【0046】なお、同図中の符号26はボルト本体24
の略中央部に設けられたリブであり、また符号27はボ
ルト本体24の後端(同図中の上方端)に刻設されたネ
ジ部である。
【0047】図10に戻って、施工方法について説明を
続ける。上記のように構成されたロックボルト2Bの雄
ネジ部25を雌ネジ部32に螺合させながら、ロックボ
ルト2Bを貫通孔11aおよび掘削孔3に挿入すると、
同図(c)に示すように、ロックボルト2Bの最先端部
が掘削孔3の底部と当接して係止される。このように、
本実施形態では、ボルト本体24に設けられた雄ネジ部
25を掘削孔3の雌ネジ部32と螺合させて岩盤Rに対
して固定しているため、岩盤Rに対するロックボルト2
Bの引き抜き強度が向上し、ロックボルト2Bの引き抜
き耐久性も向上されている。その結果、後述するように
基礎コンクリート(基礎部分)11をロックボルト2B
によって岩盤Rに対して締結固定することで得られる締
結固定力を高めることができる。
【0048】上記のようにして掘削孔3へのロックボル
ト2Bの螺合固定が完了すると、図11(a)に示すよ
うに、基礎コンクリート11の表面側でボルト本体24
にアンカープレート7を取付ける。そして、アンカープ
レート7により基礎コンクリート11の表面を押え付け
ながら、ボルト本体24の後端(同図の上側)に刻設さ
れたネジ部27にナット28を締結してロックボルト2
Bを岩盤Rに対して緊結させる。これによって、雄ネジ
部25が雌ネジ部32に対して密着し、その結果、岩盤
Rに対する基礎コンクリート11の締結固定力をより一
層高めることができる。
【0049】最後に、ボルト本体24の案内孔241を
介して掘削孔3に固結材8を充填し、支持抵抗を高めて
締結固定力をさらに向上させている。なお、この実施形
態では、固結材8として2種類のものを併用している。
すなわち、雄ネジ部25および雌ネジ部32が相互に螺
合する螺合部(定着部)に対して樹脂系接着剤からなる
定着用固結材81を充填する一方、それより基礎コンク
リート11の表面側には、モルタル、セメントミルクや
グラウト等の閉塞用固結材82を用いている。このよう
に、定着部に樹脂系接着剤を定着用固結材81として用
いることで、モルタル、セメントミルクやグラウト等を
用いる場合に比べて、締結固定力を向上させることがで
きる。しかも、締結固定力の向上に対してあまり寄与し
ない閉塞個所においては、安価なモルタルなどを用いる
ことでトータルコストを低減させることが可能となる。
【0050】図14は、この発明にかかるロックボルト
の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は側面図で
あり、同図(b)はロックボルト2Bの雄ネジ部25を
先端側から見た平面図である。なお、同図(b)では、
雄ネジ部25の構造理解を助けるために、セリ矢29を
省略した状態で図示されている。このロックボルト2B
が先の実施形態と相違する点は、雄ネジ部25がボルト
本体24の先端側において径方向に拡張可能に設けられ
ており、図15に示すセリ矢29(ネジ拡径手段)によ
って径方向に拡張されることで雄ネジ部25が雌ネジ部
に向けて押圧されるように構成されている点である。な
お、それ以外の構成はほぼ同一である。したがって、以
下において、同一構成については、同一符号を付して構
成に関する説明を省略する。
【0051】この実施形態では、図14に示すように、
このボルト本体24の先端に設けられた雄ネジ部25
は、スリット251によって4つの雄ネジ分割片252
に分割され、これらの雄ネジ分割片252が先端吐出口
242を中心として放射状に配置されている。このた
め、雄ネジ分割片252は径方向に拡張移動可能となっ
ている。なお、雄ネジ部25の分割個数は「4」に限定
されるものではなく、セリ矢29(ビット拡径手段)に
よって径方向に拡張移動可能に構成されておれば、分割
数および形態などは任意である。
【0052】また、セリ矢29は上記のように雄ネジ部
25を拡径するビット拡径手段として機能するものであ
り、この実施形態では、図15に示す略円錐形状に仕上
げられている。そして、セリ矢29の先端部291が雄
ネジ部25の中央下部に挿入されている。したがって、
先の実施形態における掘削孔3へのロックボルト2Bの
螺合固定工程(図10(c))と同様にして、ロックボ
ルト2Bの雄ネジ部25を掘削孔3の雌ネジ部32に螺
合させながら、ロックボルト2Bを掘削孔3に挿入して
いくと、まずセリ矢29の底部が掘削孔3の底部と当接
する。さらに、ロックボルト2Bを挿入していくと、セ
リ矢29の先端部291が雄ネジ部25の中央部に入り
込み雄ネジ部25を径方向に拡径する。なお、ビット拡
径手段としては、セリ矢29以外に従来より周知の方法
によって雄ネジ部25を拡径するように構成してもよ
い。
【0053】このように、この実施形態では、セリ矢2
9によって雄ネジ部25が径方向に拡径される。つま
り、分割された雄ネジ分割片252が径方向に移動し、
雌ネジ部32に向けて押圧される。このため、岩盤Rに
対するロックボルト2Bの引き抜き強度がさらに向上
し、引き抜き耐久性もさらに向上する。その結果、岩盤
Rに対する基礎コンクリート11の締結固定力をより一
層高めることができる。
【0054】なお、上記実施形態では、掘削孔3に充填
する固結材として2種類の固結材を用いているが、1種
類、あるいは3種類以上の固結材を用いてもよい。ま
た、掘削孔3全体に固結材を充填するようにしてもよ
い。ただし、固結材による引き抜き強度の増大を図る上
では、少なくとも定着部(螺合部)に充填するのが望ま
しい。
【0055】また、上記実施形態では、固結材の充填に
先立って、ロックボルト2Bを岩盤Rに対して緊結して
いるが、固結材の充填および養生を行った後で、アンカ
ープレート7により基礎コンクリート11の表面を締め
付けるようにしてもよい。すなわち、基礎コンクリート
11の表面側でボルト本体24にアンカープレート7を
取付けた後、アンカープレート7により岩盤表面を押え
付けながら、ボルト本体24のネジ部27にナット28
を締結してもよい。
【0056】また、上記実施形態では、雄ネジ部25を
ボルト本体24の先端に形成しているが、雄ネジ部の形
成位置は先端に限定されるものではなく、任意の位置に
形成することができる。また、雄ネジ部25をボルト本
体24全体に形成してもよい。
【0057】B.第2実施形態 上記第1実施形態では岩盤R上に直接コンクリート構造
物を構築しているが、岩盤R上に比較的硬い層、例えば
N値が約15以上の普通土が堆積している場合には、そ
の普通土の上にコンクリート構造物を構築してもよい。
このように普通土が岩盤上に堆積されている場合には、
次のようにしてコンクリート構造物の基礎部分をロック
ボルトによって岩盤に対して締結固定すればよい。ここ
でも、第1実施形態と同様に、ロックボルトとしては従
来より公知のものを使用してもよいが、「A−1.拡径
式ロックボルト工法」の項で説明したと同様の拡径式ボ
ルトや「A−2.ネジ式ロックボルト工法」の項で説明
したと同様のネジ式ボルトを使用するのが望ましい。以
下、上記した拡径式ロックボルトおよびネジ式ロックボ
ルトを用いた場合について、それぞれ分けて説明する。
【0058】B−1.拡径式ロックボルト工法 図16および図17は、第2実施形態にかかるコンクリ
ート構造物の施工方法で拡径式ロックボルトを用いる場
合の施工方法を示す図である。これらの図(および後で
説明する図18)における符号Sは、N値が約15以上
の普通土を示している。
【0059】まず、二重管構造のボーリングマシーンに
よって普通土Sの表面から岩盤Rの表面に達するまで比
較的口径の大きな貫通孔35を形成する。この貫通孔3
5内に普通土Sが崩れ落ちないように、貫通孔35の内
面にシールド部材36が設けられており、この状態でボ
ーリングマシーンの内側ボーリング部44によって今度
は貫通孔35よりも小径の掘削孔3を形成する(図16
(a))。このように、ボーリングマシーンを用いてロ
ックボルトを施工するための掘削孔3を形成するように
した場合、このボーリングによって掘削孔3を形成しな
がら、掘削孔3の深さおよびロックボルトの長さを決定
することができる。なお、二重管構造のボーリングマシ
ーンを用いる代わりに、第1実施形態と同様に、掘削機
を用いてもよいことは言うまでもない。
【0060】これに続いて、同図(b)に示すように、
貫通孔35および掘削孔3からなる連続孔に拡径式ロッ
クボルト2Aを挿入する。そして、同図(c)に示すよ
うに、拡径式ロックボルト2Aのビット22を径方向に
拡張し、その拡径状態のビット22によって掘削孔3を
削孔して掘削孔3の底側に大径部31を形成する。
【0061】次に、予め準備しておいた中空防食管5を
ボルト本体21に挿入した後、油圧ジャッキ(図5
(a))によって中空防食管5を掘削孔3内に押し込
む。これによって、防食管5の先端部53は、ビット2
2の外周面と当接することで径方向に拡張し、大径部3
1の内側面に噛着する(図17(a))。また、岩盤表
面側でボルト本体21にアンカープレート7を取付け、
ネジ部212にナット213を締結することで防食管5
に対してボルト本体21を相対的に引き上げて両者を緊
結する。これによって、引き抜き強度および引き抜き耐
久性を向上させることができる。その結果、後述するよ
うに基礎コンクリート(基礎部分)11をロックボルト
2Aによって岩盤Rに対して締結固定することで得られ
る締結固定力を高めることができる。
【0062】そして、同図(b)に示すように、ボルト
本体21の案内孔211を介して掘削孔3(大径部31
を含む)に固結材8を充填する。また、貫通孔35内も
固結材83を注入する。この固結材83が所定の強度に
なるまで硬化すると、シールド部材36を抜き取る。
【0063】こうした固結材8(81,82および8
3)の養生後に、同図(c)に示すように、ボルト本体
21の後端を突出させた状態で普通土Sの上に基礎コン
クリート11を打設する。そして、基礎コンクリート
(基礎部分)11の形成完了後に、岩盤表面側でボルト
本体21にアンカープレート7を取付ける。そして、ア
ンカープレート7により基礎コンクリート(基礎部分)
11の表面を押え付けながら、ボルト本体21の後端
(同図の上側)に刻設されたネジ部212にナット21
4を締結してロックボルト2Aを基礎コンクリート11
に対して緊結させる。
【0064】以上のように、第1実施形態と同様に、基
礎コンクリート(基礎部分)11をロックボルト2Aに
よって岩盤Rに締結固定することで特有の作用効果が得
られる。すなわち、コンクリート構造物(砂防ダム)1
3に作用する外力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対
する抵抗として、コンクリート構造物13の自重に加え
て、ロックボルト2Aによる締結固定力が加わる。その
結果、コンクリート構造物13を軽量化することが可能
となり、使用するコンクリート量を削減することがで
き、施工期間を短縮し、しかも施工コストを低減するこ
とができる。また、コンクリート構造物13の小型化に
よって、構築予定箇所を整形するために必要となる掘削
領域が狭くなり、施工期間の短縮化および施工コストの
低減にとって有利である。
【0065】また、ロックボルトとして、拡径式ロック
ボルト2Aを用いているので、ロックボルト1本当たり
の締結固定力が高くなり、さらなる低コスト化および工
期短縮化が可能となる。
【0066】B−2.ネジ式ロックボルト工法 図18は、第2実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法でネジ式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【0067】まず、先の「B−1.拡径式ロックボルト
工法」の場合と同様に、二重管構造のボーリングマシー
ンによって普通土Sの表面から岩盤Rの表面に達するま
で比較的口径の大きな貫通孔35を形成するとともに、
貫通孔35内にシールド部材36を設けて普通土Sの崩
落を防止しながら、貫通孔35よりも小径の掘削孔3を
形成する。そして、「A−2.ネジ式ロックボルト工
法」の項で説明したと同様にして、掘削孔3の内壁面に
雌ネジ部32を形成する。
【0068】それに続いて、図18(a)に示すよう
に、ロックボルト2Bの雄ネジ部25を雌ネジ部32に
螺合させながら、ロックボルト2Bを貫通孔11aおよ
び掘削孔3に挿入する。すると、ロックボルト2Bの最
先端部が掘削孔3の底部と当接して係止される。このよ
うに、本実施形態では、ボルト本体24に設けられた雄
ネジ部25を掘削孔3の雌ネジ部32と螺合させて岩盤
Rに対して固定しているため、岩盤Rに対するロックボ
ルト2Bの引き抜き強度が向上し、ロックボルト2Bの
引き抜き耐久性も向上されている。その結果、後述する
ように基礎コンクリート(基礎部分)11をロックボル
ト2Bによって岩盤Rに対して締結固定することで得ら
れる締結固定力を高めることができる。
【0069】次に、ボルト本体24の案内孔241を介
して掘削孔3に固結材8を充填し、支持抵抗を高めて締
結固定力をさらに向上させている。また、貫通孔35内
も固結材83を注入する。この固結材83が所定の強度
になるまで硬化すると、シールド部材36を抜き取る。
【0070】こうした固結材8(81,82および8
3)の養生後に、ボルト本体21の後端を突出させた状
態で普通土Sの上に基礎コンクリート11を打設する。
そして、基礎コンクリート(基礎部分)11の形成完了
後に、岩盤表面側でボルト本体24にアンカープレート
7を取付ける。そして、アンカープレート7により基礎
コンクリート(基礎部分)11の表面を押え付けなが
ら、ボルト本体24の後端(同図の上側)に刻設された
ネジ部27にナット28を締結してロックボルト2Bを
基礎コンクリート11に対して緊結させる。
【0071】以上のように、第1実施形態と同様に、基
礎コンクリート(基礎部分)11をロックボルト2Bに
よって岩盤Rに締結固定することで特有の作用効果が得
られる。すなわち、コンクリート構造物(砂防ダム)1
3に作用する外力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対
する抵抗として、コンクリート構造物13の自重に加え
て、ロックボルト2Bによる締結固定力が加わる。その
結果、コンクリート構造物13を軽量化することが可能
となり、使用するコンクリート量を削減することがで
き、施工期間を短縮し、しかも施工コストを低減するこ
とができる。また、コンクリート構造物13の小型化に
よって、構築予定箇所を整形するために必要となる掘削
領域が狭くなり、施工期間の短縮化および施工コストの
低減にとって有利である。
【0072】また、ロックボルトとして、ネジ式ロック
ボルト2Bを用いているので、ロックボルト1本当たり
の締結固定力が高くなり、さらなる低コスト化および工
期短縮化が可能となる。
【0073】C.第3実施形態 図19および図20は、この発明にかかるコンクリート
構造物の施工方法の第3実施形態を示す図である。この
第3実施形態では、岩盤上にL型擁壁を形成している。
以下、これらの図を参照しながら、発明の詳細について
説明する。
【0074】まず最初に、図19(a)に示すように、
L型擁壁の構築予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、
岩盤掘削等により構築予定個所を整形する。ここでは、
山の斜面を切り崩して道路RDを作成するとともに、そ
の道路RDの山側面にL型コンクリート擁壁を構築する
場合を例にとって説明する。
【0075】このように山の斜面を切り崩した場合、そ
の斜面を補強しておくことが望ましく、同図に示すよう
に、斜面にロックボルト2Cが施工されて岩盤補強が行
われている。ここで使用するロックボルト2Cとしては
従来より公知のものであってもよいが、低コストで、補
強強度を効果的に高めるためには、既に説明した拡径式
ロックボルト2Aやネジ式ロックボルト2Bを使用する
のが望ましい。
【0076】また、この実施形態では、基礎岩盤Rの表
面が水平面に対して所定角度αだけ傾斜するように岩盤
整形している。しかも、その傾斜方向は、山側に向かっ
て深くなるように整形されている。こうすることで、次
のようにして打設されるコンクリート16も水平面に対
して角度αだけ傾斜している。
【0077】次に、構築予定箇所の基礎岩盤R上に型枠
(図示省略)を組み立て、次に同図(b)に示すように
コンクリート16を打設する。このとき、ロックボルト
を挿通するため、箱抜きによって貫通孔16aを形成す
る。
【0078】そして、このコンクリート16が所定の強
度になるまで硬化してL型擁壁の基礎コンクリート(基
礎部分)16が形成されると、図20(a)に示すよう
に、この基礎コンクリート16をロックボルト2によっ
て岩盤Rに対して締結固定する。
【0079】こうして、ロックボルト2による岩盤Rへ
の基礎コンクリート16の締結固定が完了すると、その
基礎コンクリート16の上に更にコンクリート17を打
ち継ぐための第二段目の型枠(図示省略)を組み立て、
コンクリート17を打設する。このような作業を繰り返
すことによって、L型コンクリート擁壁18が構築され
る。そして最後に、L型擁壁18をさらに補強すべく、
タイロッドTによってロックボルト2CとL型擁壁18
とを連結固定している(同図(b))。
【0080】以上のように、L型擁壁18を岩盤R上に
構築する場合にも、第1および第2実施形態と同様に、
基礎コンクリート(基礎部分)16をロックボルト2に
よって岩盤Rに締結固定することで特有の作用効果が得
られる。すなわち、L型擁壁(コンクリート構造物)1
8に作用する外力(堆砂圧、地震力など)に対する抵抗
として、L型擁壁18の自重に加えて、ロックボルト2
による締結固定力が加わる。その結果、L型擁壁18の
軽量化することが可能となり、使用するコンクリート量
を削減することができ、施工期間を短縮し、しかも施工
コストを低減することができる。また、L型擁壁18の
小型化によって、構築予定箇所を整形するために必要と
なる掘削領域が狭くなり、施工期間の短縮化および施工
コストの低減にとって有利である。
【0081】また、この実施形態では、基礎コンクリー
ト16が水平面に対して角度αだけ傾斜して設けられて
いるため、L型擁壁(コンクリート構造物)18に作用
する外力に対する抵抗を高めることができ、L型擁壁1
8の小型軽量化にさらに寄与する。
【0082】D.第4実施形態 図21は、この発明にかかるコンクリート構造物の施工
方法の第4実施形態を示す図である。この第4実施形態
では、岩盤上に調整池を形成している。以下、同図を参
照しながら、発明の詳細について説明する。
【0083】まず最初に、同図(a)に示すように、調
整池の構築予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、さら
に岩盤Rを大きく掘削して凹部RPを形成する。
【0084】この凹部RPの底面、つまり基礎岩盤R上
に型枠(図示省略)を組み立て、コンクリート19を打
設する。このとき、ロックボルトを挿通するため、箱抜
きによって貫通孔19aを形成する。
【0085】そして、このコンクリート19が所定の強
度になるまで硬化して調整池の基礎コンクリート(基礎
部分)19が形成されると、同図(b)に示すように、
この基礎コンクリート19をロックボルト2によって岩
盤Rに対して締結固定する。
【0086】こうして、ロックボルト2による岩盤Rへ
の基礎コンクリート19の締結固定が完了すると、その
基礎コンクリート19の上に更にコンクリート20を打
ち継ぐための型枠(図示省略)を組み立て、コンクリー
ト20を打設する。このような作業を繰り返すことによ
って、調整池が構築される。
【0087】以上のように、調整池を岩盤R上に構築す
る場合にも、第1ないし第3実施形態と同様に、基礎コ
ンクリート(基礎部分)19をロックボルト2によって
岩盤Rに締結固定することで特有の作用効果が得られ
る。すなわち、このように構成された調整池に対する外
力として浮力が作用するが、この浮力に対する抵抗とし
て、従来の調整池はその自重のみであった。これに対
し、本実施形態では、その抵抗として、調整池の自重に
加えて、ロックボルト2による締結固定力が加わる。そ
の結果、調整池を軽量化することが可能となり、使用す
るコンクリート量を削減することができ、施工期間を短
縮し、しかも施工コストを低減することができる。ま
た、調整池の基礎コンクリート19を薄肉化すること
で、凹部RPの深さを抑制することができる。このた
め、掘削深さが浅くなり、施工期間の短縮化および施工
コストの低減にとって有利である。
【0088】E.その他 なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものでは
なく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの
以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、本
発明にかかる施工方法を適用可能な実施形態として、砂
防ダム、L型擁壁および調整池を例示しているが、本発
明の適用対象はこれらに限定されるものではなく、コン
クリート橋脚やコンクリート高層建物などにも本発明を
適用することができる。
【0089】また、上記実施形態では、基礎コンクリー
ト(基礎部分)へのロックボルトの施工本数や施工間隔
などについては一切言及していないが、これらは任意で
あり、コンクリート構造物の大きさ、それに作用する外
力の大きさなどに基づき決定することができる。特に、
ロックボルトの施工間隔を適切に設定することにより、
ロックボルト2が施工され、その影響力が及ぶ岩盤領域
がコンクリート構造物と一体化したものとみなせる。
【0090】また、上記第1、第3および第4実施形態
では、基礎コンクリート(基礎部分)の打設時にロック
ボルト挿通用の貫通孔を設けておき、その後で岩盤Rに
掘削孔3を形成しているが、貫通孔と掘削孔との形成タ
イミングはこれに限定されるものではない。例えば、貫
通孔を設けることなく基礎コンクリートを打設した後
に、貫通孔と掘削孔とを同時に削孔してもよい。
【0091】さらに、上記実施形態は、新たにコンクリ
ート構造物を形成するものであるが、既に構築されてい
るコンクリート構造物に対しても本発明を適用すること
ができる。すなわち、既に構築されているコンクリート
構造物の基礎部分に対して貫通孔を削孔し、さらに掘り
進めて岩盤にも掘削孔を設けた後で、上記実施形態と同
様にしてロックボルトを施工することで当該コンクリー
ト構造物を補強することができる。したがって、本件発
明は、他の目的として既存コンクリート構造物の強度を
補強することを含んでいるといえる。
【0092】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、ダ
ム、擁壁および調整池などを含むコンクリート構造物の
基礎部分をロックボルトによって岩盤に対して締結固定
しているため、コンクリート構造物に作用する外力(静
水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗として、コン
クリート構造物の自重に加えて、ロックボルトによる締
結固定力が加わり、コンクリート構造物の小型軽量化す
ることができる。したがって、使用するコンクリート量
を削減することができ、施工期間を短縮し、しかも施工
コストを低減することができる。また、コンクリート構
造物の小型化によって、構築予定箇所を整形するために
必要となる掘削領域が狭くなり、施工期間の短縮化およ
び施工コストの低減の面で有利なものとなる。
【0093】特に、請求項1および2にかかる発明によ
ればロックボルトとして拡径式ロックボルトを使用し、
また請求項3ないし5にかかる発明によれば、ロックボ
ルトとしてネジ式ロックボルトを使用しているので、各
発明ともロックボルト1本当たりの締結固定力が高くな
り、さらなる低コスト化および工期短縮化が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるコンクリート構造物の施工方
法の第1実施形態を示す図である。
【図2】この発明にかかるコンクリート構造物の施工方
法の第1実施形態を示す図である。
【図3】この発明にかかるコンクリート構造物の施工方
法の第1実施形態を示す図である。
【図4】第1実施形態にかかるコンクリート構造物の施
工方法で拡径式ロックボルトを用いる場合の施工方法を
示す図である。
【図5】第1実施形態にかかるコンクリート構造物の施
工方法で拡径式ロックボルトを用いる場合の施工方法を
示す図である。
【図6】拡径式ロックボルトの一の実施形態を示す部分
斜視図である。
【図7】ビットを先端側から見た平面図である。
【図8】セリ矢の斜視図である。
【図9】中空防食管を示す図である。
【図10】第1実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法でネジ式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【図11】第1実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法でネジ式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【図12】岩盤の掘削孔に雌ネジ部を形成するための岩
用タップを示す図である。
【図13】ネジ式ロックボルトの一の実施形態を示す図
である。
【図14】この発明にかかるロックボルトの他の実施形
態を示す図である。
【図15】セリ矢の斜視図である。
【図16】第2実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法で拡径式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【図17】第2実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法で拡径式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【図18】第2実施形態にかかるコンクリート構造物の
施工方法でネジ式ロックボルトを用いる場合の施工方法
を示す図である。
【図19】この発明にかかるコンクリート構造物の施工
方法の第3実施形態を示す図である。
【図20】この発明にかかるコンクリート構造物の施工
方法の第3実施形態を示す図である。
【図21】この発明にかかるコンクリート構造物の施工
方法の第4実施形態を示す図である。
【図22】従来のコンクリート構造物の施工方法を示す
図である。
【図23】従来のコンクリート構造物の施工方法を示す
図である。
【符号の説明】
2…ロックボルト 2A…拡径式ロックボルト 2B…ネジ式ロックボルト 3…掘削孔 5…中空防食管(管部材) 7…アンカープレート 8…固結材 11,16,19…基礎コンクリート(基礎部分) 11a,16a,19a…貫通孔 13…砂防ダム(コンクリート構造物) 18…L型擁壁(コンクリート構造物) 21,24…ボルト本体 22…ビット 23,29…セリ矢(ビット拡径手段) 25…雄ネジ部 31…大径部 32…雌ネジ部 35…貫通孔 81…定着用固結材 82…閉塞用固結材 83…固結材 R…(基礎)岩盤 S…普通土
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−117265(JP,A) 特開 平10−140561(JP,A) 特開 平5−18175(JP,A) 特開 平10−292393(JP,A) 特開 昭54−137401(JP,A) 実用新案登録3030020(JP,U) 「アース・アンカー工法」土質工学会 (昭和54年),p.85−121 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/80 E21D 20/00 E02B 7/00 E02D 27/00 - 29/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 岩盤上にコンクリート構造物を構築する
    コンクリート構造物の施工方法において、 前記岩盤上に前記コンクリート構造物の基礎部分を形成
    するとともに以下の第1ないし第7工程を実行して該基
    礎部分を前記岩盤に対して締結固定した後、前記基礎部
    分の上にコンクリートを打設して前記コンクリート構造
    物を構築することを特徴とするコンクリート構造物の施
    工方法。 前記第1工程は、下記のように構成された拡径式ロック
    ボルトおよび管部材を準備する工程であり、 前記第2工程は、前記ロックボルトを挿通させるための
    貫通孔を前記基礎部分に形成する工程であり、 前記第3工程は、前記第2工程と同時にあるいは前記第
    2工程に前後して、前記貫通孔と連通する掘削孔を前記
    岩盤に形成する工程であり、 前記第4工程は、前記貫通孔および前記掘削孔からなる
    連続孔に前記拡径式ロックボルトを挿入する工程であ
    り、 前記第5工程は、前記拡径式ロックボルトのビットを径
    方向に拡張し、その拡径状態の前記ビットによって前記
    掘削孔を削孔して前記掘削孔の底側に大径部を形成する
    工程であり、 前記第6工程は、前記第5工程後に、前記管部材を前記
    ボルト本体に対して挿入するとともに、その先端を前記
    ビットの外周面と当接して径方向に拡張させる工程であ
    り、 前記第7工程は、前記第6工程後に、前記拡径式ロック
    ボルトのボルト本体の後端に取付けたプレートにより前
    記基礎部分の表面を押え付けながら、前記拡径式ロック
    ボルトを前記岩盤に対して緊結させて前記基礎部分を前
    記岩盤に対して締結固定する工程であり、 前記拡径式ロックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト
    本体の先端に設けられて岩盤を削孔するビットとを備
    え、前記ビットは径方向に拡張可能となっており、ビッ
    ト拡径手段によって前記ビットを径方向に拡張させるこ
    とでビット拡張前よりも大きな径を有する大径部を岩盤
    中に形成可能となっており、 前記管部材は、前記拡径式ロックボルトのボルト本体の
    外径よりも大きく、しかも前記ビットの外径よりも小さ
    な内径を有し、その先端が径方向に拡張可能となってい
    る。
  2. 【請求項2】 岩盤上に堆積されたN値が約15以上の
    普通土の上にコンクリート構造物を構築するコンクリー
    ト構造物の施工方法において、 以下の第1ないし第9工程を実行して前記コンクリート
    構造物の基礎部分を前記岩盤に対して締結固定した後、
    前記基礎部分の上にコンクリートを打設して前記コンク
    リート構造物を構築することを特徴とするコンクリート
    構造物の施工方法。 前記第1工程は、下記のように構成された拡径式ロック
    ボルトおよび管部材を準備する工程であり、 前記第2工程は、前記普通土の表面から岩盤表面に達す
    るまで貫通孔を形成する工程であり、 前記第3工程は、前記第2工程によって露出した岩盤表
    面から前記貫通孔よりも小径の掘削孔を前記岩盤中に形
    成する工程であり、 前記第4工程は、前記貫通孔および前記掘削孔からなる
    連続孔に、前記拡径式ロックボルトを挿入する工程であ
    り、 前記第5工程は、前記拡径式ロックボルトのビットを径
    方向に拡張し、その拡径状態の前記ビットによって前記
    掘削孔を削孔して前記掘削孔の底側に大径部を形成する
    工程であり、 前記第6工程は、前記5工程の後で、前記管部材を前記
    ボルト本体に対して挿入するとともに、その先端を前記
    ビットの外周面と当接して径方向に拡張させる工程であ
    り、 前記第7工程は、前記第6工程後に、前記連続孔に固結
    材を充填する工程であり、 前記第8工程は、前記固結材の養生後に、前記ボルト本
    体の後端を突出させた状態で前記普通土の上に前記基礎
    部分を形成する工程であり、 前記第9工程は、前記基礎部分の形成完了後に、前記ボ
    ルト本体の後端に取付けたプレートにより前記基礎部分
    の表面を締め付ける工程であり、 前記拡径式ロックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト
    本体の先端に設けられて岩盤を削孔するビットとを備
    え、前記ビットは径方向に拡張可能となっており、ビッ
    ト拡径手段によって前記ビットを径方向に拡張させるこ
    とでビット拡張前よりも大きな径を有する大径部を岩盤
    中に形成可能となっており、 前記管部材は、前記拡径式ロックボルトのボルト本体の
    外径よりも大きく、しかも前記ビットの外径よりも小さ
    な内径を有し、その先端が径方向に拡張可能となってい
    る。
  3. 【請求項3】 岩盤上にコンクリート構造物を構築する
    コンクリート構造物の施工方法において、 前記岩盤上に前記コンクリート構造物の基礎部分を形成
    するとともに以下の第1ないし第6工程を実行して該基
    礎部分を前記岩盤に対して締結固定した後、前記基礎部
    分の上にコンクリートを打設して前記コンクリート構造
    物を構築することを特徴とするコンクリート構造物の施
    工方法。前記第1工程は、下記のように構成されたネジ
    式ロックボルトを準備する工程であり、 前記第2工程は、前記ネジ式ロックボルトを挿通させる
    ための貫通孔を前記基礎部分に形成する工程であり、 前記第3工程は、前記第2工程と同時にあるいは前記第
    2工程に前後して、前記貫通孔と連通する掘削孔を前記
    岩盤に形成する工程であり、 前記第4工程は、少なくとも前記掘削孔の内壁面に雌ネ
    ジ部を刻設する工程であり、 前記第5工程は、前記ネジ式ロックボルトの雄ネジ部を
    前記雌ネジ部に螺合させながら、前記ネジ式ロックボル
    トを前記連続孔および前記掘削孔からなる連続孔に挿入
    する工程であり、 前記第6工程は、前記第5工程後に、前記ネジ式ロック
    ボルトのボルト本体の後端に取付けたプレートにより前
    記基礎部分の表面を押え付けながら、前記ネジ式ロック
    ボルトを前記岩盤に対して緊結させる工程であり、 前記ネジ式ロックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト
    本体の少なくとも一部に、前記掘削孔の内壁面に刻設さ
    れた雌ネジ部に対して螺合可能に刻設された雄 ネジ部と
    を備えている。
  4. 【請求項4】 岩盤上に堆積されたN値が約15以上の
    普通土の上にコンクリート構造物を構築するコンクリー
    ト構造物の施工方法において、 以下の第1ないし第8工程を実行して前記コンクリート
    構造物の基礎部分を前記岩盤に対して締結固定した後、
    前記基礎部分の上にコンクリートを打設して前記コンク
    リート構造物を構築することを特徴とするコンクリート
    構造物の施工方法。 前記第1工程は、下記のように構成されたネジ式ロック
    ボルトを準備する工程であり、 前記第2工程は、前記普通土の表面から岩盤表面に達す
    るまで貫通孔を形成する工程であり、 前記第3工程は、前記第2工程によって露出した岩盤表
    面から前記貫通孔よりも小径の掘削孔を前記岩盤中に形
    成する工程であり、 前記第4工程は、少なくとも前記掘削孔の内壁面に雌ネ
    ジ部を刻設する工程であり、 前記第5工程は、前記ネジ式ロックボルトの雄ネジ部を
    前記雌ネジ部に螺合させながら、前記ネジ式ロックボル
    トを前記連続孔および前記掘削孔からなる連続孔に挿入
    する工程であり、 前記第6工程は、前記第5工程後に、前記連続孔に固結
    材を充填する工程であり、 前記第7工程は、前記固結材の養生後に、前記ネジ式ロ
    ックボルトのボルト本体の後端を突出させた状態で前記
    普通土の上に前記基礎部分を形成する工程であり、 前記第8工程は、前記基礎部分の形成完了後に、前記ボ
    ルト本体の後端に取付けたプレートにより前記基礎部分
    の表面を締め付ける工程であり、 前記ネジ式ロックボルトは、ボルト本体と、前記ボルト
    本体の少なくとも一部に、前記掘削孔の内壁面に刻設さ
    れた雌ネジ部に対して螺合可能に刻設された雄ネジ部と
    を備えている。
  5. 【請求項5】 前記ネジ式ロックボルトは、前記雄ネジ
    部が前記ボルト本体の先端側において径方向に拡張可能
    に設けられ、ネジ拡径手段によって径方向に拡張される
    ことで前記雄ネジ部が前記雌ネジ部に向けて押圧される
    という特徴を有している請求項3または4記載のコンク
    リート構造物の施工方法。
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