JP3332527B2 - 間接加熱式塗装乾燥炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、炉内ゾーンにおけるゾ
ーン内空気と高温の燃焼排気とを熱交換手段をもって熱
交換させることにより炉内ゾーンを加熱する間接加熱式
塗装乾燥炉に関し、詳しくは、炉内ゾーン換気として、
目標ゾーン温度に調整する炉内ゾーンからゾーン内空気
を所定の排気風量で系外に排出するとともに、前記炉内
ゾーンに換気用の新鮮空気を所定の給気風量で導入し、
この炉内ゾーン換気に伴い、所定排気風量で系外に排出
する前記ゾーン内空気を燃焼装置により所定の焼却温度
で焼却処理する間接加熱式塗装乾燥炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】間接加熱式塗装乾燥炉は、燃焼排気を炉
内ゾーンに持ち込むことなく炉内ゾーンを加熱すること
から、燃焼排気導入により炉内ゾーンを加熱する直接加
熱式の塗装乾燥炉に比べ、燃焼排気による塗装物乾燥品
質の低下を防止して高い塗装物乾燥品質を確保できる利
点を有するが、従来、間接加熱式塗装乾燥炉の運転とし
ては、図２に示すように、並設された炉内ゾーンＺの各
々について、ゾーン内空気Ａの外部循環風路４、及び、
ゾーン温度調整用の燃焼装置Ｂａを設けるとともに、そ
れら外部循環風路４における循環空気Ａとゾーン温度調
整用燃焼装置Ｂａからの送出燃焼排気Ｇとを熱交換させ
るゾーン温度調整用の熱交換器Ｎ１を設けておき、そし
て、各炉内ゾーンＺにおけるゾーン内空気温度の検出情
報に基づきゾーン温度調整用燃焼装置Ｂａの燃焼量を調
整（換言すれば、ゾーン温度調整用熱交換器Ｎ１におけ
る熱交換量を調整）することで、各炉内ゾーンＺのゾー
ン温度を夫々の目標ゾーン温度ｔｚに調整していた。

【０００３】また、このゾーン温度調整に並行して実施
する炉内ゾーン換気として、導出風路５より各炉内ゾー
ンＺからゾーン内空気Ａｅを炉内ゾーン毎の所定の排気
風量ｑｅで導出し、これら導出したゾーン内空気Ａｅ
（すなわち、塗料溶剤蒸気を含む処理対象空気）を共通
の焼却処理用燃焼装置Ｂｂに導いて所定の焼却温度ｔｂ
で焼却処理し、一方、各外部循環風路４に接続した導入
風路３により換気用の新鮮空気ＯＡ（一般に外気）を炉
内ゾーン毎の所定の給気風量ｑｏ（一般には炉内ゾーン
毎の前記所定排気風量ｑｅに等しい風量）で各炉内ゾー
ンＺに供給し、そして、焼却処理用の燃焼装置Ｂｂから
排気風路２へ送出される処理済の燃焼排気Ｇｅは、熱交
換器Ｎ２において焼却処理用燃焼装置Ｂｂへの導入空気
Ａｅの予熱に用いた後（また、場合によっては、その予
熱に続き別の熱交換器で換気用新鮮空気ＯＡの加熱に用
いた後）、全量を系外に排出していた。

【０００４】 そして、従来の間接加熱式乾燥炉において
は、上記の各熱交換器Ｎ１，Ｎ２として、固定の伝熱壁
を介して気体どうしを熱交換させる固定型の熱交換器を
用いていた。

【０００５】なお、図中Ｆｃは新鮮空気導入ファンを兼
ねる循環ファン、Ｆａはゾーン温度調整用燃焼装置Ｂａ
に対する空気導入ファン、Ｆｅは排気ファン、ｆはフィ
ルタ、Ｓは触媒層であり、排気ファンＦｅは、炉内ゾー
ン毎の所定排気風量ｑｅの和Σｑｅに等しい一定風量で
運転される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の乾燥炉では、炉内ゾーンＺの夫々に対しゾーン温度調
整用の燃焼装置Ｂａを各別に装備することに加えて、焼
却処理用の燃焼装置Ｂｂを別途装備する必要があるた
め、全体としての燃焼装置の必要装備数が多く、このた
め、設備コスト及び設備スペースが嵩むとともに、燃焼
装置類に対する保守管理が煩雑となり、また、燃焼装置
類に対する制御構成も複雑となる問題があった。

【０００７】ちなみに、前記の従来の乾燥炉においてゾ
ーン温度調整用の燃焼装置Ｂａを省き、これにより、全
体としての燃焼装置の必要装備数を削減する別法として
は、各炉内ゾーンＺへ供給する換気用新鮮空気ＯＡと焼
却処理用燃焼装置Ｂｂからの送出燃焼排気Ｇｅとの熱交
換等により、焼却処理用燃焼装置Ｂａから系外に排出す
る燃焼排気Ｇｅの保有熱を回収して、この回収熱を各炉
内ゾーンＺに分配供給する構成とし、これにおいて、炉
内ゾーン夫々への回収熱の分配量を調整することで各炉
内ゾーンＺのゾーン温度を目標ゾーン温度ｔｚに調整す
るようにして、ゾーン温度調整用の燃焼装置Ｂａを省く
ことも考えられるが、この場合、炉及び炉内ゾーンＺが
常温となっている状態から炉内ゾーンＺを目標ゾーン温
度ｔｚ（例えば１７０℃程度）にまで昇温するのに要す
る立ち上げ時間が極めて長時間となり、このため、その
立ち上げの後に目標ゾーン温度ｔｚで実施する塗装物乾
燥運転の稼働時間が大きく制限される問題を生じる。

【０００８】つまり、各炉内ゾーンＺから系外に排出す
るゾーン内空気Ａｅの風量、及び、各炉内ゾーンＺへ導
入する新鮮空気ＯＡの風量は、各炉内ゾーンＺでの塗料
溶剤蒸気の発生量に応じて夫々が適当な所定風量ｑｅ，
ｑｏに設定され、また仮に、各炉内ゾーンＺから系外に
排出するゾーン内空気Ａｅの風量を変更調整可能にする
にしても、各炉内ゾーンＺの給排気バランス（換言すれ
ば、ゾーン内圧）を安定的に保つ必要上、各炉内ゾーン
Ｚから系外に排出するゾーン内空気Ａｅの風量を適宜に
変更調整するといったことは難しく、さらに、焼却処理
用燃焼装置Ｂｂから系外に送出する燃焼排気Ｇｅを触媒
層Ｓに通過させる処理形態では、触媒層Ｓを安定的に作
用させる上で燃焼排気Ｇｅの通過量が規定され、これら
制約のため、各炉内ゾーンＺから排出したゾーン内空気
Ａｅを焼却処理用燃焼装置Ｂｂで焼却処理して、その焼
却処理用燃焼装置Ｂｂからの送出燃焼排気Ｇｅの全量を
系外に排出するといった先述の従来形態では、焼却処理
用燃焼装置Ｂｂでの処理風量が一定量に規定される。

【０００９】そして、このように焼却処理用燃焼装置Ｂ
ｂでの処理風量が一定量に規定されることに加え、焼却
処理用燃焼装置Ｂｂでの焼却温度も、燃焼装置の耐熱温
度面や塗料溶剤蒸気を含む空気Ａｅを熱効率の良い状態
で安定的に焼却処理する面で、また、燃焼排気Ｇｅを触
媒層Ｓに通過させる形態では触媒の耐熱温度面や触媒を
安定的に作用させる面で、やはり所定の温度ｔｂに制約
されるものであり、このことから焼却処理用燃焼装置Ｂ
ｂでの燃焼量は規定されてしまい、このため、ゾーン温
度調整用の燃焼装置Ｂａを省いて、燃焼排気Ｇｅからの
回収熱を各炉内ゾーンＺに分配供給することだけで各炉
内ゾーンＺの昇温を図る上記の別法では、各炉内ゾーン
Ｚを目標ゾーン温度ｔｚにまで昇温するのに極めて長い
立ち上げ時間を要することとなる。

【００１０】 また、ゾーン温度調整用の熱交換器Ｎ１に
固定型熱交換器を用いる従来の間接加熱式塗装乾燥炉で
は、その固定型熱交換器Ｎ１の熱容量が大きいため、ゾ
ーン温度調整用燃焼装置Ｂａの燃焼量を大きく変更して
も、熱交換器Ｎ１から送出される循環空気Ａの温度は緩
慢にしか変化せず、このため、応答性の面及び精度面で
ゾーン温度の調整機能が低く制限されて、塗装乾燥品質
が低くなる問題があった。

【００１１】本発明の目的は、間接加熱式の塗装乾燥炉
において、立ち上げ時間の長時間化を伴うことなく、燃
焼装置装備数の削減を可能にするとともに、炉内ゾーン
の温度調整機能を効果的に高める点にある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明による間接加熱式
塗装乾燥炉の第１特徴構成は、炉内ゾーン換気として、
目標ゾーン温度に調整する炉内ゾーンからゾーン内空気
を所定の排気風量で系外に排出するとともに、前記炉内
ゾーンに換気用の新鮮空気を所定の給気風量で導入し、
この炉内ゾーン換気に伴い、所定排気風量で系外に排出
する前記ゾーン内空気を燃焼装置により所定の焼却温度
で焼却処理する基本構成を実施するに、前記炉内ゾーン
のゾーン内空気を系外に排出する風路に前記燃焼装置を
介装する構成において、その燃焼装置から送出される処
理済燃焼排気を、前記の所定排気風量で系外に排出する
ものと、ループ風路を介して前記燃焼装置の空気導入側
に還流するものとに分流し、前記燃焼装置における焼却
温度を前記の所定焼却温度に保つように前記燃焼装置の
燃焼量を調整するとともに、通気性蓄熱材により構成し
たロータを前記ループ風路とゾーン内空気の風路とに亘
らせた状態で回転させる回転式熱交換器により、前記ル
ープ風路における燃焼排気と前記炉内ゾーンのゾーン内
空気とを熱交換させ、前記の燃焼量調整を伴う形態で、
前記回転式熱交換器での熱交換量を前記ロータの回転速
度調整を以って調整することにより、前記炉内ゾーンに
おけるゾーン温度を前記の目標ゾーン温度に調整する構
成にしてある点にある。

【００１３】本発明による間接加熱式塗装乾燥炉の第２
特徴構成は、上記第１特徴構成の実施において好適な具
体構成を特定するものであり、塗装物の搬送方向に並設
した複数炉内ゾーンの夫々に対し前記燃焼装置、前記ル
ープ風路、及び、前記回転式熱交換器を各別に装備して
おき、それら炉内ゾーンの各々について独立に、前記の
燃焼量調整を伴う形態で前記のロータ回転速度調整によ
る熱交換量調整を実施して、各炉内ゾーンのゾーン温度
を夫々の目標ゾーン温度に調整する構成にしてある点に
ある。

【００１４】

【作用】すなわち、第１特徴構成においては、燃焼装置
から送出される燃焼排気を、系外に排出するものと、ル
ープ風路を介し燃焼装置の空気導入側に還流させるもの
とに分流して、このループ風路における還流燃焼排気と
炉内ゾーンのゾーン内空気とを回転式熱交換器で熱交換
させることにより、炉内ゾーンをいわゆる間接式加熱形
態で加熱し、換言すれば、上記の燃焼装置を焼却処理用
燃焼装置とゾーン温度調整用燃焼装置とに兼用する形態
とする。

【００１５】そして、この回転式熱交換器での熱交換量
を、その回転式熱交換器におけるロータの回転速度調整
を以って調整することにより、炉内ゾーンに対する加熱
量を調整して炉内ゾーンのゾーン温度を目標ゾーン温度
に調整する。

【００１６】上記の熱交換量を調整すると、それに伴
い、燃焼装置の空気導入側に戻る燃焼排気の保有熱量も
変化するが、これに対しては、燃焼装置での焼却温度を
所定の焼却温度に保つように燃焼量を調整する（すなわ
ち、この燃焼量調整を伴う形態で上記の熱交換量調整を
行う）ことにより、炉内ゾーンから燃焼装置を介し系外
に排出するゾーン内空気の焼却処理を所定の焼却温度で
確実に行うとともに、ループ風路の側に分流する炉内ゾ
ーン加熱媒体としての燃焼排気の温度を一定温度に保
つ。

【００１７】また、燃焼装置における通過風量は、炉内
ゾーンから系外へ排出するゾーン内空気の排気風量に一
致せず、その排気風量とループ風路における還流風量と
の和となるが、上記の分流においてループ風路の側に分
流する燃焼排気は燃焼装置の空気導入側に還流するもの
であって、その還流風量は炉内ゾーンからのゾーン内空
気導出風量と系外への排気風量との収支に関与せず、し
たがって、上記の分流において、燃焼装置からの送出燃
焼排気を所定の排気風量で系外に排出するものと、ルー
プ風路を介し燃焼装置の空気導入側に還流するものとに
分流すれば、結果として、炉内ゾーンから系外に排出す
るゾーン内空気の風量は、ループ風路における還流風量
にかかわらず所定の排気風量に保つことができ、これに
より、炉内ゾーンにおける給排気バランス（すなわち、
所定給気風量で炉内ゾーンに導入する換気用新鮮空気と
炉内ゾーンから系外に排出するゾーン内空気との収支バ
ランス、換言すれば、ゾーン内圧）を安定的に一定状態
に保つことができる。

【００１８】第２特徴構成においては、複数炉内ゾーン
の夫々に対し前記の燃焼装置、ループ風路、及び、回転
式熱交換器を各別に装備した構成で、それら炉内ゾーン
の各々について独立に前記の第１特徴構成を実施する。

【００１９】

【発明の効果】つまり、本発明の第１特徴構成によれ
ば、燃焼装置を焼却処理用燃焼装置とゾーン温度調整用
燃焼装置とに兼用することから、燃焼装置の必要装備数
を削減でき、これにより、設備コスト及び設備スペース
を縮小し得るとともに、燃焼装置類に対する保守管理が
容易になり、また、燃焼装置類に対する制御構成も簡素
化し得る。

【００２０】また、炉内ゾーンの温度調整は、燃焼装置
の燃焼量調整を伴う形態で炉内ゾーンに対する加熱量を
調整して行うから、上記の如く燃焼装置の装備数を削減
しながらも、炉内ゾーンを目標ゾーン温度にまで昇温す
る立ち上げ運転の必要時間を短いものとすることがで
き、これにより、この立ち上げの後に実施する塗装物乾
燥運転の稼働を有利にすることができる。

【００２１】しかも、炉内ゾーンから系外に排出するゾ
ーン内空気の風量を所定の排気風量に安定的に保つこと
ができて、炉内ゾーンにおける給排気バランス（ゾーン
内圧）を安定的に一定状態に保ち得ることにより、炉内
ゾーンと外部との間での不適当な空気流出入、及び、炉
内ゾーン間にわたる不適当気流の発生を安定的に防止で
きて、塗装乾燥品質を向上し得る。

【００２２】 更に、通気性蓄熱材により構成したロータ
をループ風路とゾーン内空気の風路とに亘らせた状態で
回転させることを以って、ループ風路の燃焼排気からゾ
ーン内空気に熱を移行させる回転式熱交換器であれば、
固定伝熱壁の面積を大きくすることで必要な熱交換能力
を得る固定型の熱交換器に比べ、装置を熱容量の小さな
コンパクトなものにしながらも高い熱交換能力を得るこ
とができて、熱交換器から送出されるゾーン内空気の温
度をロータの回転速度調整により応答良く変化させるこ
とができ、これにより、炉内ゾーンの温度調整機能を応
答性の面及び精度面で効果的に高めることができて、こ
のことからも塗装乾燥品質を向上することができ、ま
た、熱交換器の設置に要するスペースも小さくすること
ができる。

【００２３】本発明の第２特徴構成によれば、前記の第
１特徴構成を複数炉内ゾーンの個々について独立に実施
することにより、炉内ゾーンのゾーン温度を目標ゾーン
温度に調整することや、炉内ゾーンから系外へ排出する
風量を所定の排気風量に維持する（すなわち、炉内ゾー
ンの給排気バランスを維持する）こと等を、炉内ゾーン
間での相互干渉を回避した状態で、各炉内ゾーンについ
て精度良く安定的に行うことができる。また、並設され
ている複数の炉内ゾーンのうちのいくつかの炉内ゾーン
の運転を他の炉内ゾーンの運転に影響を与えることなく
停止させることも可能となり、この点で生産量調整の機
能も高めることができる。

【００２４】

【実施例】次に実施例を図１に基づいて説明する。

【００２５】１は間接加熱式塗装乾燥炉におけるトンネ
ル状の炉体であり、炉内には、塗装物Ｘ（本例では自動
車ボディー）の搬送方向に並べて複数の炉内ゾーンＺを
設定してある。

【００２６】各炉内ゾーンＺは加熱によりゾーン温度を
夫々の目標ゾーン温度ｔｚ（例えば１７０℃程度）に調
整・維持し、また、塗装物Ｘの乾燥に伴うゾーン内での
塗料溶剤蒸気の発生に対し、ゾーン内空気Ａｅ（Ｇｅ）
を各炉内ゾーンＺ毎の所定の排気風量ｑｅで排気風路２
を介し系外に排出するとともに、外気導入風路３から取
り入れる換気用の新鮮外気ＯＡを各炉内ゾーンＺ毎の所
定の給気風量ｑｏ（本例ではｑｏ＝ｑｅ）で各炉内ゾー
ンＺに供給する炉内ゾーン換気を行う。

【００２７】そして、炉内ゾーン換気において、所定排
気風量ｑｅで系外に排出するゾーン内空気Ａｅ（すなわ
ち、塗料溶剤蒸気を含む空気）は、燃焼装置Ｂにおいて
所定の焼却温度ｔｂ（例えば３００℃）で焼却処理する
とともに、それに続き触媒層Ｓに通過させて触媒反応処
理し、これにより、無公害化処理した燃焼排気Ｇｅの状
態で系外に排出する。

【００２８】上記のゾーン温度調整、炉内ゾーン換気、
及び、系外排出気処理は、各炉内ゾーンＺ毎に装備した
同構成の設備により、同等の運転法をもって炉内ゾーン
Ｚ毎に独立して行う形式としてあり、以下、一つの炉内
ゾーンＺについて、これら設備構成及び運転法を説明す
る。

【００２９】４はゾーン内空気状態の均等化のためにゾ
ーン内空気Ａを循環させる外部循環風路、５は系外に排
出するゾーン内空気Ａｅを導出して燃焼装置Ｂに導く導
出風路、６は燃焼装置Ｂから送出される処理済燃焼排気
Ｇを触媒層Ｓに導く送出風路、７は送出風路６から分流
した燃焼排気Ｇｒを導出風路５に還流（すなわち、燃焼
装置Ｂの空気導入側に還流）するループ風路であり、炉
内ゾーンＺは、このループ風路７における燃焼排気Ｇｒ
と外部循環風路４における循環空気Ａとを回転式熱交換
器Ｎａにおいて熱交換させることにより前記の目標ゾー
ン温度ｔｚに加熱する。

【００３０】なお、前記の外気導入風路３は回転式熱交
換器Ｎａよりも上流側で外部循環風路４に接続してあ
る。

【００３１】Ｆｃは外部循環風路４に介装の循環ファ
ン、Ｆｂは導出風路５に介装の導出ファン、Ｆｅは排気
風路２に介装の排気ファンであり、循環ファンＦｃは、
外部循環風路４において外気導入風路３の接続部よりも
下流位置に介装することにより、ゾーン内空気Ａの循環
とともに外気導入風路３からの外気導入を行わせ、ま
た、導出ファンＦｂは、導出風路５においてループ風路
７の接続部よりも下流位置に介装することにより、炉内
ゾーンＺから導出風路５へのゾーン内空気Ａｅの取出し
とともに、ループ風路７を介しての送出風路６から導出
風路５への燃焼排気還流を行わせる。

【００３２】そして、循環ファンＦｃは所定の循環風量
ｑｃで一定風量運転を行い、また、排気ファンＦｅは前
記の所定排気風量ｑｅで一定風量運転を行い、さらに、
導出ファンＦｂは上記の所定排気風量ｑｅよりも大きい
所定の還流誘導風量ｑｂ（ｑｂ＞ｑｅ）で一定風量運転
する。

【００３３】つまり、前記のループ風路７を設けた構成
において、導出ファンＦｂの送風量ｑｂを排気ファンＦ
ｅの送風量ｑｅよりも大きく設定することにより、前述
の如きループ風路７を介しての送出風路６から導出風路
５への燃焼排気還流を発生させ、これにより、燃焼装置
Ｂから送出される燃焼排気Ｇを、触媒層Ｓ及び排気風路
２を介し前記の所定排気風量ｑｅで系外に排出するもの
と、ループ風路７を介し導出風路５（燃焼装置Ｂの空気
導入側）に還流するものとに分流する形態とする。

【００３４】なお、導出ファンＦｂの送風量ｑｂ（すな
わち、燃焼装置Ｂの通過風量）のうち排気ファンＦｅの
送風量ｑｅを減じた風量（ｑｂ−ｑｅ）は上記の分流に
よりループ風路７から導入風路５に還流する燃焼排気風
量であるから、結果として、炉内ゾーンＺから取り出さ
れて焼却処理及び触媒層通過のうえ系外に排出される風
量は前記の所定排気風量ｑｅに保たれる。

【００３５】前記の回転式熱交換器Ｎａは、通気性蓄熱
材により構成されたロータｒを備えており、このロータ
ｒをループ風路７と外部循環風路４とにわたらせた状態
で回転させることにより、ループ風路７における燃焼排
気Ｇｒと外部循環風路４における循環空気Ａとを熱交換
させ、また、そのロータｒの回転速度を変更調整するこ
とにより、ループ風路７における燃焼排気Ｇｒと外部循
環風路４における循環空気Ａとの単位時間当たりの熱交
換量を変更して、炉内ゾーンＺの温度調整を行う。

【００３６】炉内ゾーンＺのゾーン温度調整は、上記の
如く回転式熱交換器Ｎａにおけるロータｒの回転速度調
整をもって行うが、これについては、燃焼装置Ｂから送
出される燃焼排気Ｇの温度を検出する焼却温度センサｓ
１、、及び、炉内ゾーンＺから取り出すゾーン内空気Ａ
ｅの温度（すなわち、炉内ゾーンＺのゾーン温度）を検
出するゾーン温度センサｓ２を設け、燃焼装置Ｂは、そ
の焼却温度を前記の所定焼却温度ｔｂに調整・維持する
ように、焼却温度センサｓ１の検出情報に基づき制御器
により燃焼量を自動調整し、これにより、上記の回転式
熱交換器Ｎａでの熱交換量調整に伴う燃焼装置導入気の
保有熱量変化にかかわらず、系外へ排出するゾーン内空
気Ａｅの焼却処理を所定の焼却温度ｔｂで確実にすると
ともに、炉内ゾーンＺの加熱媒体としてループ風路７へ
還流させて回転式熱交換器Ｎａに対し通過させる燃焼排
気Ｇｒの温度を一定温度に保つ。

【００３７】そして、この燃焼量の自動調整下におい
て、回転式熱交換器Ｎａにおけるロータｒは、その熱交
換量調整をもってゾーン温度を目標ゾーン温度ｔｚに調
整・維持するように、ゾーン温度センサｓ２の検出情報
に基づき制御器により回転速度を自動調整する。

【００３８】以上要するに、本例における間接加熱式塗
装乾燥炉の運転としては、炉内ゾーンＺのゾーン内空気
Ａｅを系外に排出する風路５，２に燃焼装置Ｂを介装す
る構成において、その燃焼装置Ｂから送出される処理済
燃焼排気Ｇを、前記の所定排気風量ｑｅで系外に排出す
るものと、ループ風路７を介して燃焼装置Ｂの空気導入
側に還流するものとに分流し、燃焼装置Ｂにおける焼却
温度を前記の所定焼却温度ｔｂに保つように燃焼装置Ｂ
の燃焼量を調整するとともに、ループ風路７における燃
焼排気Ｇｒと炉内ゾーンＺのゾーン内空気Ａとを回転式
熱交換器Ｎａにより熱交換させ、そして、その燃焼量調
整を伴う形態で、ロータの回転速度調整により回転式熱
交換器Ｎａでの熱交換量を調整することにより、炉内ゾ
ーンＺにおけるゾーン温度を目標ゾーン温度ｔｚに調整
する。

【００３９】なお、図中Ｎｂは、ロータｒ’を排気風路
２と外気導入風路３とにわたらせた状態で回転させるこ
とにより、系外へ排出する燃焼排気Ｇｅと導入外気ＯＡ
を熱交換させて導入外気ＯＡを加熱する回転式の熱交換
器である。

【００４０】また、図中ｆはフィルタ、Ｄｏは外気導入
量を調整するダンパである。

【００４１】〔別実施例〕 次に別実施例を列記する。

【００４２】（１）燃焼装置Ｂにおける焼却温度を所定
焼却温度ｔｂに保つように燃焼装置Ｂの燃焼量を調整す
るための設備構成は種々の構成変更が可能である。

【００４３】（２）前述の実施例においては複数炉内ゾ
ーンＺの夫々に対し各別に燃焼装置Ｂを装備して、炉内
ゾーンＺ毎に独立に、ゾーン温度の調整、及び、系外排
出空気の焼却処理を行う形態を示したが、本発明の実施
においては、複数の炉内ゾーンＺに対し各別の回転式熱
交換器Ｎａと共通の燃焼装置Ｂを装備する設備構成と
し、そして、各炉内ゾーンＺから燃焼装置Ｂへ送るゾー
ン内空気Ａｅの個別風量調整を伴う形態で、本発明を実
施してもよい。

【００４４】（３）炉内ゾーンＺから系外に排出する所
定排気風量ｑｅ、及び、炉内ゾーンＺに導入する新鮮空
気ＯＡの所定給気風量ｑｏの夫々は、許容範囲内で適宜
変更する形態としてもよく、例えば、これら所定排気風
量ｑｅと所定給気風量ｑｏとを変更指令に応じ同調的に
変更調整する制御手段を設ける構成としてもよい。

【００４５】（４）乾燥対象の塗装物Ｘは自動車ボディ
ーに限定されるものではなく、本発明は、種々の塗装物
を乾燥対象とする間接加熱式の塗装乾燥炉に適用でき
る。

【００４６】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするため符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す設備構成図

【図２】従来例を説明する設備構成図

【符号の説明】

ｔｚ 目標ゾーン温度 Ｚ 炉内ゾーン Ａｅ ゾーン内空気 ｑｅ 所定排気風量 ＯＡ 換気用新鮮空気 ｑｏ 所定給気風量 Ｂ 燃焼装置 ｔｂ 所定焼却温度 ５，２ ゾーン内空気排出風路 Ｇ 燃焼排気 ７ ループ風路 Ｇｅ 還流燃焼排気 Ｎａ 回転式熱交換器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F26B 25/00 F26B 21/04 F26B 21/10 F27D 17/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉内ゾーン換気として、目標ゾーン温度
   （ｔｚ）に調整する炉内ゾーン（Ｚ）からゾーン内空気
   （Ａｅ）を所定の排気風量（ｑｅ）で系外に排出すると
   ともに、前記炉内ゾーン（Ｚ）に換気用の新鮮空気（Ｏ
   Ａ）を所定の給気風量（ｑｏ）で導入し、 この炉内ゾーン換気に伴い、所定排気風量（ｑｅ）で系
   外に排出する前記ゾーン内空気（Ａｅ）を燃焼装置
   （Ｂ）により所定の焼却温度（ｔｂ）で焼却処理する間
   接加熱式塗装乾燥炉であって、 前記炉内ゾーン（Ｚ）のゾーン内空気（Ａｅ）を系外に
   排出する風路（５，２）に前記燃焼装置（Ｂ）を介装す
   る構成において、その燃焼装置（Ｂ）から送出される処
   理済燃焼排気（Ｇ）を、前記の所定排気風量（ｑｅ）で
   系外に排出するものと、ループ風路（７）を介して前記
   燃焼装置（Ｂ）の空気導入側に還流するものとに分流
   し、 前記燃焼装置（Ｂ）における焼却温度を前記の所定焼却
   温度（ｔｂ）に保つように前記燃焼装置（Ｂ）の燃焼量
   を調整するとともに、通気性蓄熱材により構成したロー
   タ（ｒ）を前記ループ風路（７）とゾーン内空気（Ａ）
   の風路（４）とに亘らせた状態で回転させる回転式熱交
   換器（Ｎａ）により、前記ループ風路（７）における燃
   焼排気（Ｇｒ）と前記炉内ゾーン（Ｚ）のゾーン内空気
   （Ａ）とを熱交換させ、 前記の燃焼量調整を伴う形態で、前記回転式熱交換器
   （Ｎａ）での熱交換量を前記ロータ（ｒ）の回転速度調
   整を以って調整することにより、前記炉内ゾーン（Ｚ）
   におけるゾーン温度を前記の目標ゾーン温度（ｔｚ）に
   調整する構成にしてある間接加熱式塗装乾燥炉。
2. 【請求項２】 塗装物（Ｘ）の搬送方向に並設した複数
   炉内ゾーン（Ｚ）の夫々に対し前記燃焼装置（Ｂ）、前
   記ループ風路（７）、及び、前記回転式熱交換器（Ｎ
   ａ）を各別に装備しておき、 それら炉内ゾーン（Ｚ）の各々について独立に、前記の
   燃焼量調整を伴う形態で前記のロータ（ｒ）の回転速度
   調整による熱交換量調整を実施して、各炉内ゾーン
   （Ｚ）のゾーン温度を夫々の目標ゾーン温度（ｔｚ）に
   調整する構成にしてある請求項１記載の間接加熱式塗装
   乾燥炉。