JP3332451B2 - 無機質下地板およびその製造方法 - Google Patents

無機質下地板およびその製造方法

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JP3332451B2 JP05052793A JP5052793A JP3332451B2 JP 3332451 B2 JP3332451 B2 JP 3332451B2 JP 05052793 A JP05052793 A JP 05052793A JP 5052793 A JP5052793 A JP 5052793A JP 3332451 B2 JP3332451 B2 JP 3332451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁下地に使用される無機
質下地板、特に、クロス貼りする際におけるカッターの
切り刃の摩耗を低減できる無機質下地板およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、石膏ボードが重いため、これを軽
量化した無機質下地板としては、例えば、無機発泡体を
主体とし、かつ、補強材として繊維状物を添加してなる
中層部の表裏面に、鉱物質繊維および炭酸カルシウムな
どの無機粉状体からなる表層部および裏層部をそれぞれ
積層一体化したものが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
無機質下地板では、モース硬度6ないし7程度のカッタ
ーの切り刃と同程度の硬度を有する鉱物質繊維が表面に
露出しているため、クロス貼りの際にクロスの重なり部
分をカッターで切断すると、カッターの切り刃が摩耗し
やすく、30cm程度の切断作業でひっかかりが生じ始
めるので、しばしばカッターの切り刃を交換しなければ
ならず、壁下地板として用いた場合に作業性が悪いとい
う問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点に鑑み、鉱物質繊維が露出する無機質下地板の表面に
パルプおよび無機粉状体からなる薄膜層を設けると、ク
ロス貼りする際におけるカッターの切り刃の摩耗が低減
することに着目し、この知見に基づいて本願発明を完成
するに至った。
【0005】本発明の要旨は、図1に示すように、軽量
な中層部1の表裏面に積層した鉱物質繊維および無機粉
状体からなる表層部2および裏層部3の少なくともいず
れか一方の表面に、パルプおよび無機粉状体からなる薄
膜層4(5)を積層一体化したことを特徴とする無機質
下地板6にある。
【0006】また、前記無機質下地板の製造方法として
は、中層部1の表裏面に表層部2および裏層部3を積層
して形成した積層体の少なくともいずれか一方の表面に
薄膜層4(5)を積層して製造してもよく、あるいは、
中層部1の表裏面に表層部2および裏層部3を積層して
積層体を形成する際、少なくとも薄膜層4を一体的に抄
造した表層部2を積層して製造する方法がある。
【0007】中層部1を形成する材料は特に限定するも
のではないが、製造される無機質下地板6の運搬性,作
業性および防火性の見地より、軽量な無機質材料で形成
することが好ましく、例えば、無機発泡体を主体とし、
これに適量の繊維状物および結合剤を添加してなる比重
0.5以下のものが好ましい。
【0008】無機発泡体としては、軽量化のため、例え
ば、パーライト,シラス発泡体などが使用できる。
【0009】繊維状物としては、例えば、ロックウー
ル,ミネラルウール,ガラス繊維等の鉱物繊維あるいは
パルプその他の植物繊維、オレフィン系等の合成繊維が
挙げられる。
【0010】結合剤は無機発泡体および鉱物質繊維を結
合一体化するために添加されるものであり、例えば、ア
クリル樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂やスターチ等
が挙げられる。特に、スターチは膨潤し、少量で充分な
結合効果を有するため、軽量な不燃材,準不燃材を生産
する場合、非常に有効なものである。
【0011】これら無機発泡体、繊維状物および結合剤
はすべて任意に選択でき、単独あるいは適宜組み合わせ
て使用できる。
【0012】ただし、所望の防火性、すなわち、準不燃
材を得る場合には、有機繊維および結合剤は両者あわせ
て全体の15重量%以下にする必要があり、不燃材を得
る場合には、有機成分の総量を全体の7重量%以下にす
る必要がある。
【0013】また、中層部1の比重を0.5以下とする
のは、所定の強度,硬度等を確保するために表層部2ま
たは裏層部3を高比重にする必要があるので、中層部1
の比重が0.5以上であると、無機質下地板6の軽量化
を図ることが困難となるからである。
【0014】中層部1または中層部1となる中層部形成
層の表裏面に配される表層部2および裏層部3は、鉱物
質繊維および無機粉状体を主体とし、さらに、これらを
結合一体化するために添加される適量の結合剤、およ
び、必要に応じて添加される補強材としての有機繊維か
らなるものである。
【0015】表層部2および裏層部3に用いられる鉱物
質繊維は前記中層部1を形成するための鉱物質繊維から
任意に選択出来るが、必要に応じて中層部1に用いたも
のと異なる鉱物質繊維を選択してもよい。そして、表層
部2および裏層部3における鉱物質繊維の組成比は20
〜80重量%であることが好ましい。20重量%未満で
は結合剤を増量しないと、所望の強度が得られず、反
面、結合剤を増量すると、防火性が低下してしまうから
であり、80重量%を越えると、無機粉状体の添加量が
相対的に減少し、所望の表面硬度が得られず、釘の保持
力が充分でないからである。
【0016】無機粉状体は防火性を維持しつつ、硬度を
高めてネジ止め性能を確保するために添加されるもので
あり、例えば、炭酸カルシウム,硅砂,マイクロシリ
カ,スラグ,水酸化アルミニウム等が用いられる。そし
て、無機粉状体の平均粒径は40〜300μであればよ
く、特に、100μ程度のものを用いた場合には表層部
2および裏層部3の強度が最も大きくなる。
【0017】また、表層部2および裏層部3を形成する
ために添加される結合剤および有機繊維の材質,添加量
は、必要に応じて適宜選択すればよく、特に限定するも
のではない。
【0018】なお、表層部2および裏層部3の比重は
0.6以上が必要である。比重が0.6未満のもので
は、所望の硬さを有する緻密な表層部2および裏層部3
が得られないからである。
【0019】表層部2または裏層部3の少なくともいず
れか一方の表面に形成される薄膜層4(5)は、中層部
1の表裏面に積層した表層部2または裏層部3のカッタ
ー適性を向上させるためのものであり、パルプおよび無
機粉状体を主体とし、適量の結合剤を添加して形成され
る。
【0020】パルプは後述する無機粉状体を保持するた
めに添加されるものであり、例えば、木材パルプ,再生
パルプ,合成パルプ等が挙げられる。そして、薄膜層
4,5におけるパルプの組成比は20〜60重量%であ
ることが好ましい。20重量%未満であると、無機粉状
体の保持が困難で表面が粉っぽくなり、接着剤の塗布が
困難となるからであり、逆に、60重量%を越えると、
所定の厚みであっても有機分が多いために防火性が低下
するからである。
【0021】無機粉状体は、主として表面の平滑性を確
保するとともに、カッターの切り刃を保護するために添
加されるものであり、例えば、炭酸カルシウム,水酸化
アルミニウム等が挙げられる。特に、無機粉状体が水酸
化アルミニウムの場合には、そのもの自身が結合水を有
する結晶化した粉体であるので、防火上、有効である。
また、水酸化アルミニウムは炭酸カルシウムよりも粉っ
ぽくないので、クロス貼りする際により優れた接着性を
発揮する。
【0022】なお、ここで用いる無機粉状体は炭酸カル
シウム、あるいは、それよりもモース硬度の低いものが
好ましい。本発明にかかる無機粉状体のモース硬度が炭
酸カルシウムのモース硬度よりも高いと、市販の石膏ボ
ードよりもカッター適性が悪くなるからである。
【0023】結合剤はパルプおよび無機粉状体を結合一
体化するためのものであり、例えば、スターチ等が使用
され、薄膜層4,5の組成比の5重量%程度が添加され
る。
【0024】さらに、薄膜層4,5の厚さは0.05〜
0.4mmであることが好ましい。厚さが0.05mm
未満であると、カッターの切り刃が表層部2または裏層
部3に食い込んでしまい、カッター適性を改善できない
からであり、0.4mmを越えると、防火性が低下する
からである。
【0025】次に、本発明にかかる無機質下地板の製造
方法を説明する。まず、4層の無機質下地板を製造する
方法としては、例えば、図2に示すように、鉱物質繊
維,無機粉状体,結合剤,有機繊維を水中に懸濁せしめ
て水性スラリーを得、これを湿式抄造して裏層部3とな
る湿潤マットを得る。そして、無機発泡体,繊維状物お
よび結合剤を混合して得た混合物7を前記裏層部3の上
面に散布,堆積させて中層部となる中層部形成層8を形
成する。ついで、前述の裏層部3と同様にして得た表層
部2を前記中層部形成層8の上面に積層して積層体9を
形成する。さらに、パルプ,無機粉状体,結合剤および
凝集剤を水中に投入,混合して水性スラリーを得、これ
を抄造して得た薄膜層4となる湿潤シートを前記表層部
2の上面に積層し、圧締一体化することにより、無機質
下地板6を製造する方法がある。
【0026】また、製造方法は前述のように中層部1と
なる中層部形成層8の上面に表層部2,薄膜層4を順次
積層する方法に限らず、例えば、図3に示すように、パ
ルプおよび無機粉状体からなる薄膜層4を片面に一体的
に抄造した鉱物質繊維および無機粉状体からなる表層部
2の残る片面を、前記中層部形成層8の露出する上面に
配して積層一体化することにより、無機質下地板6を製
造してもよい。
【0027】前述のように湿式法と乾式法とを組み合わ
せると、中層部形成層8を形成する混合物7の散布量と
プレス圧とを調整することにより、最終製品の比重を簡
単に調整できるという利点がある。
【0028】さらに、前述の製造方法では、湿式法と乾
式法とを組み合わせた場合について説明したが、必ずし
もこれに限らず、すべての工程を湿式法で行ってもよ
い。例えば、図4に示すように、無機発泡体,鉱物質繊
維,結合剤および有機繊維を水中に投入,混合して水性
スラリーを得、これを湿式抄造して中層部1となる湿潤
マット(中層部形成層)を得る一方、鉱物質繊維,無機
粉状体,結合剤,有機繊維を水中に懸濁せしめて水性ス
ラリーを得、これを湿式抄造して表層部2,裏層部3と
なる湿潤マットを得た後、中層部1となる前記湿潤マッ
ト(中層部形成層)の表裏面に表層部2,裏層部3とな
る前記湿潤マットをそれぞれ積層して積層体9を形成す
る。ついで、パルプ,無機粉状体,結合剤および凝集剤
を水中に投入,混合して水性スラリーを得、これを抄造
して得た薄膜層4となる湿潤シートを前記表層部2に積
層し、圧締一体化することにより、無機質下地板6を製
造する方法がある。
【0029】表裏層部2,3、薄膜層4を別個に抄造す
る場合は、表裏層部2,3、薄膜層4のそれぞれの厚さ
調整が容易であるので、用途に応じた最終製品を生産し
やすいという利点がある。
【0030】また、すべて湿式法で製造する場合であっ
ても、必ずしも積層体9を形成した後に薄膜層4を積層
する必要はなく、例えば、図5に示すように、中層部1
となる湿潤マット(中層部形成層)の上面に、パルプお
よび無機粉状体からなる薄膜層4を片面に一体的に抄造
した鉱物質繊維および無機粉状体からなる表層部2の残
る片面を、前記中層部1となる湿潤マット(中層部形成
層)の露出する片面に積層し、圧締一体化することによ
り、無機質下地板6を製造してもよい。
【0031】表層部2と同時に薄膜層4を一体的に抄造
する方法は工程を省略できるとともに、各層の繊維が絡
み合うので、表層部2と薄膜層4とが層間剥離を生じに
くいという利点がある。
【0032】次に、5層の無機質下地板を製造する方法
について説明する。まず、図6に示すように、パルプ,
無機粉状体,結合剤および凝集剤を水中に投入,混合し
て水性スラリーを得、これを抄造して得た薄膜層5とな
る湿潤シートを得る。そして、鉱物質繊維,無機粉状
体,結合剤および有機繊維を水中に懸濁せしめて水性ス
ラリーを得、これを湿式抄造して得た裏層部3を、前記
薄膜層5の上面に積層する。ついで、無機発泡体,繊維
状物および結合剤を混合して得た混合物7を前記裏層部
3の上面に散布,堆積させて中層部となる中層部形成層
8を形成する。さらに、前述の裏層部3と同様にして得
た表層部2を前記中層部形成層8の上面に積層して積層
体9を形成する。一方、パルプ,無機粉状体,結合剤お
よび凝集剤を水中に投入,混合して水性スラリーを得、
これを抄造して得た薄膜層4となる湿潤シートを前記表
層部2に積層し、圧締一体化することにより、無機質下
地板6を製造する方法がある。
【0033】また、他の製造方法としては、例えば、図
7に示すように、薄膜層5を片面に一体的に抄造した裏
層部3の残る片面に混合物7を散布,堆積させて中層部
1となる中層部形成層8を形成した後、パルプおよび無
機粉状体からなる薄膜層4を片面に一体的に抄造した鉱
物質繊維および無機粉状体からなる表層部2の残る片面
を、前記中層部形成層8の露出する上面に積層して一体
化することにより、無機質下地板6を製造する方法があ
る。
【0034】さらに、5層の無機質下地板を製造する場
合には、湿式法と乾式法とを組み合わたものに限る必要
はなく、4層の無機質下地板を製造する場合と同様、す
べての工程を湿式法で行ってもよい。例えば、図8に示
すように、無機発泡体,鉱物質繊維,結合剤および有機
繊維を水中に投入,混合して水性スラリーを得、これを
湿式抄造して中層部1となる湿潤マットを得る。そし
て、薄膜層5となる湿潤シートを片面に一体的に抄造し
た裏層部3の残る片面を、中層部1となる前記湿潤マッ
ト(中層部形成層)の下面に積層一体化するとともに、
薄膜層4となる湿潤シートを片面に一体的に抄造した表
層部2の残る片面を、中層部1となる前記湿潤マット
(中層部形成層)の上面に積層一体化して無機質下地板
6を得る方法がある。
【0035】この方法によれば、表層部2と薄膜層4、
あるいは、裏層部3と薄膜層5とが一体的に抄造されて
いるので、各層の繊維が絡み合い、層間剥離を生じにく
いという利点がある。
【0036】さらに、図9に示すように、中層部1の表
裏面に表層部2および裏層物3をそれぞれ積層して積層
体9を形成した後、この積層体9の表裏面に薄膜層4,
5となる湿潤シートを積層一体化して無機質下地板6を
形成してもよい。また、表層部,中層部および裏層部を
積層し、かつ、圧締一体化して積層体を形成した後、少
なくとも表層部に薄膜層を一体化するように設けてもよ
い。さらに、薄膜層,裏層部,中層部(中層部形成
層),表層部および薄膜層を順次積層し、圧締一体化し
てもよい。
【0037】なお、前記積層体とは、表層部,裏層部お
よび中層部(中層部形成層も含む)の少なくとも3層か
らなるものをいい、単に積み重ねて積層したものであっ
てもよく、さらに、必要に応じて各層を適宜、予備圧締
したもの、あるいは、圧締一体化したものであってもよ
い。また、中層部形成層は、混合物を散布,堆積させて
乾式で形成したものであってもよく、あるいは、湿式抄
造で得た湿潤マットであってもよい。
【0038】次に、本発明にかかる実施例を説明する。 (実施例1)パルプ28重量部、無機粉状体として水酸
化アルミニウム68重量部、結合剤としてスターチ4重
量部の割合で清水中に投入,撹拌して濃度2%のスラリ
ーを得、これを長網式抄造機に導入して厚さ0.2mm
の薄膜層となる湿潤シートを形成した。
【0039】一方、鉱物質繊維としてミネラルウール4
2重量部、無機粉状体として炭酸カルシウム53重量
部、熱融着繊維を含むパルプ等の繊維状物1重量部、結
合剤としてスターチ4重量部の割合で、若干量の撥水
剤,定着剤とともに、清水中に投入,撹拌して濃度2%
のスラリーを得、このスラリーを前述とは別の長網式抄
造機に導入し、厚さ3mmの裏層部を抄造した。
【0040】そして、無機発泡体としてパーライトおよ
びシラス発泡体を合計95重量部、繊維状物として熱融
着繊維1重量部、結合剤としてスターチおよび粉末フェ
ノールを合計4重量部、そして、これらを若干量の撥水
剤とともに、40重量部の清水の噴霧下で均一に混合し
て中層部用混合物を得、この混合物を前記裏層部の上面
に散布,堆積させて厚さ28mmの中層部形成層を形成
し、さらに、この中層部形成層の上面に、前記裏層部と
同様に抄造し、かつ、前記薄膜層を片面に抄き合わせた
厚さ3mmの表層部を積層し、厚さ34.2mmのマッ
ト状無機質下地材を得た。
【0041】ついで、このマット状無機質下地材を温度
180℃の熱圧プレスに送り込み、5kg/cm2の圧力で厚
さ9mmまで圧締一体化して解圧した後、温度200℃
の乾燥機で乾燥して4層の無機質下地板を得、これをサ
ンプルとした。なお、この無機質下地板の有機成分は
6.4重量%であり、不燃材として合格しうるものであ
る。
【0042】(実施例2)パルプ23重量部、無機粉状
体として水酸化アルミニウム74重量部、スターチ3重
量部からなる濃度2%のスラリーを用いて0.2mmの
薄膜層となる湿潤シートを形成し、これを表層部および
裏層部の各表面に積層した点を除き、他は前述の実施例
1と同様に処理して5層の無機質下地板を得、これをサ
ンプルとした。この時の有機成分の総量は7.0重量%
であり、不燃材として合格しうるものである。
【0043】(比較例1)表層部および裏層部の各表面
に薄膜層を形成しない点を除き、他は前述の実施例1と
同様に処理して3層の無機質下地板を得、これをサンプ
ルとした。
【0044】試験例 実施例1,2および比較例1で得た各サンプルについて
行った品質試験の結果を下記に示す。 実施例1 実施例2 比較例1 厚 み (mm) 9 9 9 比 重 0.47 0.47 0.47 曲げ強度 (kgf/cm2) 72 80 70 表面硬度 (kgf) 164 165 160 ビス貫通力(kgf) 23 25 20 防 火 性 不燃合格 不燃合格 不燃合格
【0045】なお、前記試験結果は下記の方式に基づい
て得られたものである。 曲げ強度:JIS 5907−1977に基づく。 表面強度:JIS HARDNESS TESTERに
基づく。 ビス貫通力:JIS A5910に準じた試験方法に基
づく。 防火性:JIS A1321に基づく。
【0046】曲げ強度,表面硬度およびビス貫通力にお
いて、実施例1,2が比較例1よりも優れていることが
わかった。これは、表層部あるいは表裏層部の各表面に
薄膜層を積層したことによるものと考えられる。
【0047】また、実施例1,2および比較例1の各サ
ンプルにクロスを貼り付け、クロスの重なり部分をカッ
ターで切断したところ、実施例1,2の場合は2m以上
切断可能であったのに対し、比較例1の場合には約30
cm切断した後、ひっかかりが生ずるようになった。ま
た、ひっかかりの生じた部分ではクロスの一部に剥離が
生じていた。以上の結果から、実施例1,2は、比較例
1よりもカッターの摩耗を低減し、かつ、作業性に優れ
ていることがわかった。
【0048】(実施例3)鉱物質繊維としてミネラルウ
ール40重量部、炭酸カルシウムを主体とする無機粉状
体50重量部、結合剤としてスターチ5重量部、パルプ
5重量部、および、若干量の撥水剤,定着剤を清水中に
投入,撹拌して2%のスラリーを得、これを長網式抄造
機に導入して厚さ3mmの表層部および裏層部を抄造し
た。
【0049】一方、無機発泡体としてパーライトおよび
シラス発泡体を合計90重量部、繊維状物として熱融着
繊維およびパルプを合計4重量部、結合剤としてスター
チおよび粉末フェノールを合計6重量部、そして、これ
らを若干量の撥水剤とともに、40重量部の清水の噴霧
下で均一に混合して中層部用混合物を得、この混合物を
前記裏層部の上面に散布,堆積して厚さ28mmの中層
部形成層を形成し、この中層部形成層の上面に前記表層
部を積層する。
【0050】さらに、パルプ40重量部、水酸化アルミ
ニウム55重量部、スターチ5重量部を清水に投入,撹
拌して2%のスラリーを得、このスラリーを抄造して得
た厚さ0.2mmの薄膜層となる湿潤シートを前記表層
部の表面に積層して厚さ34.2mmのマット状無機質
下地材を得た。ついで、このマット状無機質下地材を温
度180℃の熱圧プレスに送り込み、5kg/cm2の圧力で
厚さ9mmまで圧締一体化して解圧した後、温度200
℃の乾燥機で乾燥して4層の無機質下地板を得、これを
サンプルとした。なお、この無機質下地板の有機成分は
12重量%であり、準不燃材として合格しうるものであ
る。
【0051】(実施例4)裏層部の表面にも薄膜層を積
層一体化した点を除き、他は実施例3と同様に処理して
5層の無機質下地板を得、これをサンプルとした。この
無機質下地板の有機成分は14%であり、準不燃材とし
て合格しうるものである。
【0052】(比較例2)表層部および裏層部の各表面
に薄膜層を積層しない点を除き、他は実施例3と同様に
処理して3層の無機質下地板を得、これをサンプルとし
た。この無機質下地板の有機成分の総量は10%であ
り、準不燃材として合格しうるものである。
【0053】試験例 実施例3,4および比較例2で得た各サンプルについて
行った品質試験の結果を下記に示す。 実施例3 実施例4 比較例2 厚 み (mm) 9 9 9 比 重 0.43 0.43 0.43 曲げ強度 (kgf/cm2) 80 93 75 表面硬度 (kgf) 172 172 170 ビス貫通力(kgf) 26 28 21 防 火 性 準不燃合格 準不燃合格 準不燃合格 なお、試験方法は前述と同様であるので、説明を省略す
る。
【0054】曲げ強度,表面硬度およびビス貫通力にお
いて、実施例3,4は比較例2よりも優れていることが
わかった。これは、実施例1,2と同様、表層部,裏層
部の各表面に薄膜層を設けたことによるものであると考
えられる。
【0055】また、前述の実施例1,2と同様に各サン
プルにクロスを貼り付け、クロスの重なり部分をカッタ
ーで切断したところ、実施例3,4および比較例2と、
実施例1,2および比較例1とは、それぞれほぼ同様の
結果を生じた。
【0056】(実施例5)無機発泡体としてパーライト
40重量部、鉱物質繊維としてロックウール45重量
部、有機繊維としてパルプ5重量部、結合剤として粉末
フェノール樹脂およびスターチを合計8重量部、そし
て、これらを若干量のサイズ剤等とともに、水中に懸濁
せしめて水性スラリーを得、これを抄造して厚さ6.5
mmの湿潤マットを得た。
【0057】そして、鉱物質繊維としてロックウール3
5重量部、無機粉状体として炭酸カルシウム45重量
部、有機繊維としてパルプ7重量部、結合剤として粉末
フェノール樹脂およびスターチを合計8重量部、そし
て、これらを若干量のサイズ剤等とともに、水中に懸濁
せしめて水性スラリーを得、これを抄造して厚さ4.0
mmの表層部および裏層部を得た後、この表層部および
裏層部を前記湿潤マット(中層部形成層)の表裏面に各
々積層する。
【0058】ついで、パルプ30重量部、無機粉状体と
して水酸化アルミニウム65重量部、若干量の結合剤,
凝集剤を水中に懸濁せしめて水性スラリーを得、これを
抄造して得た厚さ0.1mmの薄膜層を表層部の表面に
積層し、プレスで圧着一体化して厚さ9mmの板状体と
し、乾燥させて全体比重0.45の4層の無機質下地板
を得、これをサンプルとした。なお、前記炭酸カルシウ
ムには50メッシュを通過する粒径のものを用いてお
り、パーライトには平均粒径300μのものを用いた。
【0059】(比較例3)表層部の表面に薄膜層を設け
ない点を除き、他は前述の実施例5と同様に操作して得
た3層の無機質下地板をサンプルとした。
【0060】各サンプルのビス貫通力を測定したとこ
ろ、実施例5の場合は21kgfであったのに対し、比
較例3の場合は16kgfであった。これは表層部の表
面に設けた薄膜層が無機質下地板の脆性を改善するため
であると考えられる。
【0061】また、実施例5および比較例3の各サンプ
ルの表面、特に、実施例5の場合には薄膜層の表面にク
ロスを貼り付け、クロスの重なり部分をカッターで切断
したところ、実施例5の場合には、連続して2m以上切
断可能であったのに対し、比較例3の場合には、約30
cm切断後、ひっかかりが生ずるようになった。また、
ひっかかりが生じた部分ではクロスの一部に剥離が生じ
ていた。この結果から、実施例5の方が比較例3よりも
優れたカッター適性を有していることがわかった。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる無機質下地板によれば、鉱物繊維が露出する表
層部または裏層部のいずれか一方の表面が、パルプ等で
被覆されるため、クロスを貼る際にクロスの重なり部分
をカッターで切断しても、カッターの切り刃が摩耗しに
くくなり、カッターの切り刃の交換期間が長くなり、作
業性が向上する。しかも、表層部の表面がパルプ分の多
い薄膜層で被覆されるので、薄膜層を設けない場合より
も曲げ強度が向上し、特に両面に設けた場合には、より
一層向上する。さらに、表層部のみに薄膜層を設けた場
合であっても、ビス貫通力が増大する。また、得られた
無機質下地板は一般に下地材として用いられる石膏ボー
ドよりも重量で40%以上軽く、トラックの積載容量一
杯に積載できる。このため、物流コストの節減、施工現
場への搬入、ハンドリングが容易になるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明にかかる5層の無機質下地板を
示す概略斜視図である。(b) 本発明にかかる4層の
無機質下地板を示す概略斜視図である。
【図2】 本発明にかかる4層の無機質下地板の製造方
法を示す概略工程図である。
【図3】 本発明にかかる4層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【図4】 本発明にかかる4層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【図5】 本発明にかかる4層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【図6】 本発明にかかる5層の無機質下地板の製造方
法を示す概略工程図である。
【図7】 本発明にかかる5層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【図8】 本発明にかかる5層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【図9】 本発明にかかる5層の他の無機質下地板の製
造方法を示す概略工程図である。
【符号の説明】 1…中層部、2…表層部、3…裏層部、4,5…薄膜
層、6…無機質下地板、7…混合物、8…中層部形成
層、9…積層体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−2404(JP,A) 特開 平5−178650(JP,A) 特開 平4−161554(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 13/00 E04F 13/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中層部の表裏面に積層された鉱物質繊維
    および無機粉状体からなる表層部および裏層部の少なく
    ともいずれか一方の表面に、パルプおよび無機粉状体か
    らなる薄膜層を積層一体化してなることを特徴とする無
    機質下地板。
  2. 【請求項2】 鉱物質繊維および無機粉状体からなる表
    層部と裏層部との間に、無機発泡体および繊維状物から
    なる中層部形成層を配して形成した積層体の少なくとも
    表層部の表面に、パルプおよび無機粉状体からなる薄膜
    層を積層して圧締一体化することを特徴とする無機質下
    地板の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉱物質繊維および無機粉状体からなる裏
    層部の上面に配した無機発泡体および繊維状物からなる
    中層部形成層の上面に、上面にパルプおよび無機粉状体
    からなる薄膜層を有する鉱物質繊維および無機粉状体か
    らなる表層部を積層して圧締一体化することを特徴とす
    る無機質下地板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉱物質繊維および無機粉状体からなる裏
    層部の上面に配した無機発泡体および繊維状物からなる
    中層部形成層の上面に、鉱物質繊維および無機粉状体か
    らなる表層部、パルプおよび無機粉状体からなる薄膜層
    を順に積層して圧締一体化することを特徴とする無機質
    下地板の製造方法。
  5. 【請求項5】 下面にパルプおよび無機粉状体からなる
    薄膜層を有する鉱物質繊維および無機粉状体からなる裏
    層部と、鉱物質繊維および無機粉状体からなる表層部と
    の間に、無機発泡体および繊維状物からなる中層部形成
    層を配して形成した積層体の表層部の表面に、パルプお
    よび無機粉状体からなる薄膜層を積層して圧締一体化す
    ることを特徴とする無機質下地板の製造方法。
  6. 【請求項6】 下面にパルプおよび無機粉状体からなる
    薄膜層を有する鉱物質繊維および無機粉状体からなる裏
    層部の上面に配した無機発泡体および繊維状物からなる
    中層部形成層の上面に、上面にパルプおよび無機粉状体
    からなる薄膜層を有する鉱物質繊維および無機粉状体か
    らなる表層部を積層して圧締一体化することを特徴とす
    る無機質下地板の製造方法。
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