JP3331957B2 - 被処理構造体の表面処理方法 - Google Patents

被処理構造体の表面処理方法

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JP3331957B2 JP10379898A JP10379898A JP3331957B2 JP 3331957 B2 JP3331957 B2 JP 3331957B2 JP 10379898 A JP10379898 A JP 10379898A JP 10379898 A JP10379898 A JP 10379898A JP 3331957 B2 JP3331957 B2 JP 3331957B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理構造体の表
面処理方法に関し、特に、被処理構造体の表面に薄い有
機ケイ素重合膜を形成する被処理構造体の表面処理方法
に関する。
【0002】
【背景技術】表面マイクロマシーニングにより基板表面
上に形成した可動構造を含む微小な構造体を用い、加速
度センサ、ヨーレートセンサ素子などを作製できる。こ
れら素子において、スティッキング、図1に示すよう
に、すなわち、構造体形成時あるいは素子動作時に、宙
に浮いた構造体、たとえば一端が固定されたビーム44
の自由端がシリコンウエハ40と、付着してしまう問題
が生じる。スティッキングの防止法の一つとして、基板
およびシリコン系構造体の表面エネルギーを低下させ、
スティッキングを防止することが有効であると報告され
ている。この文献では、シリル化剤を含んだ溶液中にシ
リコン系構造体を浸漬し、構造体表面に吸着している水
分により加水分解を起こさせることにより表面を処理す
る方法が記載されている(Self-assembled Monolayer Fi
lms as Durable Anti-Stiction Coatings for Polysili
con Microstructures.Michel R.Houston et al.,Solid-
State Sensor and Actuator Workshop,South Carolina
June2-6,42,1996)。
【0003】しかし、この手法では、加水分解させる水
分量の制御が困難である。もし水分が大量に存在する場
合には構造体の表面に過剰の堆積物が付着するため、構
造体がスティッキングしたり、正常な動作が妨げられる
場合がある。逆に水分量が少ない場合には、充分な表面
処理が困難になる。さらに、処理後の洗浄工程に大量の
有機溶媒が必要であること、また、有機溶剤を他の溶剤
に変える場合に、濡れ性が悪くなるため表面張力による
液滴の流れが起き、表面構造体にダメージを与えること
などの不具合があった。
【0004】また、上述の手法の他、スティッキングの
防止法として、フルオロカーボンのプラズマ重合によっ
て、微小構造体の表面に、撥水性のフッ素系ポリマーを
コーティングすることにより、スティッキングの防止を
図るという提案もなされている(A Novel Method to Avo
id Sticking of Surface Micromachined Structures.,
F.Kozlwski,et al.,Transducers`95,220(1995))。
【0005】しかし、この方法は、フッ素系のポリマー
の重合膜の堆積により、表面コーティングを行うもので
あり、微小構造体の上面にはポリマーが堆積するもの
の、裏面にはポリマーが堆積しにくく、膜の均一性に劣
ること、3層構造といった多層構造体になると内部の構
造体へのコーティングが困難となること、微小振動体に
おいては、質量増加に伴う共振周波数の変化が起こるこ
と、堆積状態が表面に厚く裏面は薄いため、均等な振動
が阻害されること、重合膜の応力により、構造体にそり
が発生すると予想されること、などの問題があった。
【0006】以上の問題を解決するため、気相系でシリ
ル化剤の蒸気を供給することにより、被処理構造体の表
面処理を施すことも考えられる。
【0007】しかし、単に、シリル化剤の蒸気を供給す
るだけでは被処理構造体の表面に凝結結露が生じたり、
充分に反応しないという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、被処
理構造体の表面処理層の厚みを制御しながら、気相系で
の表面処理が可能な被処理構造体の表面処理方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の被処理構造体の
表面処理方法は、被処理構造体の表面を、飽和蒸気圧以
下の所定の圧力の水蒸気の雰囲気下にさらし、該表面に
水酸基を導入する工程(a)と、前記被処理構造体の表
面を、飽和蒸気圧以下の圧力の長鎖アルキル基もしくは
長鎖フルオロアルキル基を分子内に有する有機ケイ素化
合物の雰囲気下にさらし、前記水酸基と該有機ケイ素化
合物とを反応させる工程(b)と、を含む。
【0010】この表面処理方法においては、水蒸気圧を
コントロールすることで、コーティングの厚みの制御を
行うことができる。この理由を以下に述べる。
【0011】被処理構造体の表面の水酸基と前記有機ケ
イ素化合物の反応基とが縮合反応することにより、有機
ケイ素重合膜からなるコーティングが形成される。ま
た、水酸基上には水が吸着されており、この吸着水によ
前記有機ケイ素化合物の反応基がさらに加水分解さ
れ、水酸基が形成される。つまり、水酸基が存在する被
処理構造体の表面に、選択的に、コーティングが形成さ
れる。したがって、前記有機ケイ素化合物の飽和蒸気圧
以下の圧力の状態で、かつ、前記有機ケイ素化合物が十
分に存在している場合においては、上記の有機ケイ素重
合膜の形成は、水酸基および吸着水の量に依存する。ま
た、水酸基の量は、水蒸気雰囲気下において、水蒸気の
吸着量に影響を受ける。さらに、この水蒸気の吸着量
は、水蒸気圧に依存する。そのため、チャンバ内の水蒸
気圧をコントロールすることにより、被処理構造体表面
の水酸基の量を制御することができる。その結果、チャ
ンバ内の水蒸気圧をコントロールすることにより、コー
ティングの形成の制御を可能とし、ひいては、コーティ
ングの厚みの制御も可能となる。
【0012】以上のように、本発明の被処理構造体の表
面処理方法は、表面処理層の厚みを制御しながら気相系
での表面処理を可能とするものである。したがって、洗
浄などの後処理が不要、被処理構造体の細部まで表面処
理が可能であるという利点を有し、さらに、過剰の堆積
物の問題、大量の廃液の問題、液体から取り出す際に生
じる種種の問題などの、従来の湿式法でみられた不具合
を解決することができる。
【0013】さらに、本発明は、構造体表面に非常に薄
いコーティング層を形成することが目的であり、それを
水蒸気分圧の制御により、膜厚を制御可能とする方法で
ある。したがって、過剰の前記有機ケイ素化合物が存在
する状態で、前記工程(a)を行うと、未反応の前記
機ケイ素化合物が加水分解を受け、過剰なコーティング
層が形成されるおそれがある。また、未反応の水蒸気存
在下で、さらに、水蒸気を供給すると、その供給量が制
御できなくなるおそれがある。以上の理由で、未反応の
前記有機ケイ素化合物および水蒸気の少なくとも一方を
被処理構造体の表面から除く工程(c)を含むことが望
ましい。
【0014】また、前記工程(a)、前記工程(b)お
よび前記工程(c)を1サイクルとして、2サイクル以
上繰り返す被処理構造体の表面の処理方法によれば、さ
らに、むらのない均一なコーティングを、以下のような
理由で、達成することができる。
【0015】被処理構造体の表面に、水蒸気を吸着さ
せ、シリル化するという処理を繰り返し行っていくにつ
れて接触角は次第に大きくなっていく。このシリル化に
よるコーティングによって、コーティングされた被処理
構造体の表面と水との接触角が90°以上になると、コ
ーティング部の表面エネルギーは、水でおおわれたコー
ティング部におけるコーティング部の界面エネルギーよ
り小さくなり、水に吸着されない状態の方が安定とな
る。これにより、飽和蒸気圧以下の水を供給してもコー
ティング部には水の吸着はほとんど起きず、このため、
その部分に、水酸基がほとんど導入されなくなる。した
がって、コーティングされた部分へ前記有機ケイ素化合
物が吸着しても、その部分において、反応する相手がな
いため、加水分解反応や縮合反応が起きず、シリル化反
応が生じ難くなるため、繰り返しの処理を行っても、コ
ーティングは、ほとんど進行しない。一方、接触角の小
さい、すなわち、コーティングが存在しない部分あるい
は不十分な部分には、水が吸着するため、優先的にシリ
ル化反応が進行することになる。こうして、むらのな
い、かつ、過剰にならないコーティングが可能となる。
【0016】また、前記被処理構造体は、その表面で
有機ケイ素化合物とシロキサン結合した、安定なコー
ティング層を形成する必要がある。このため、表面にシ
ラノール基が形成されうる構造体材料である、単結晶シ
リコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、シリコン窒
化膜、シリコン酸化膜およびシリコン酸窒化膜の群から
選ばれる少なくとも1種からなることが望ましい。この
場合は、構造体全体が上記物質でなくとも少なくとも表
面が上記物質からなればよい。
【0017】前記有機ケイ素化合物は、長鎖アルキル基
を有する二もしくは三官能性化合物が望ましい。
【0018】コーティングで表面エネルギーを低下させ
るには、コーティング表面にアルキル基が垂直方向に密
に並んだ非常に表面エネルギーの低い状態を作り出す必
要がある。このためには、自由に動きうる長鎖アルキル
基の存在が必要である。表面エネルギーを充分低下する
ためにはある程度以上長い鎖が必要であり、炭素数6以
上が望ましい。最大の長さに関しては限定されるもので
はないが、揮発性の観点から炭素鎖数20以下が望まし
い。ここで長鎖アルキル基には直鎖状のアルキル基以外
に、直鎖状のアルキル基の少なくともケイ素と結合して
いない方の先端部分の水素がフッ素に置き換わった直鎖
フルオロアルキル基を用いることができる。直鎖フルオ
ロアルキル基は、上記の長鎖アルキル基が並んだ理想的
な構造が乱れた場合でも低い表面エネルギーを示すこと
や、高い耐熱性、耐酸化性といった高安定性を実現でき
る点で、長鎖アルキル基より望ましい。
【0019】官能基に関しては水酸基と縮合反応を起こ
すのものならその種類に限定されるものではなく、塩
素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、メトキシ基、エト
キシ基といったアルコキシ基、メチルアミノ基、ジメチ
ルアミノ基といったアミノ基、アセトキシ基などが、も
しくはそれらの組み合わせを用いることができる。この
中で特に容易に加水分解が起こるハロゲン基、その中で
も、最も安価な化合物である塩素を官能基とした長鎖ア
ルキル基を有する化合物が望ましい。
【0020】また、官能基の数は2もしくは3である
が、編み目構造を有し強固なコーティング層が形成でき
る三官能性化合物が望ましい。
【0021】以上の条件を満たす化合物として、例え
ば、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリ
クロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等の長鎖
アルキルトリクロロシラン、また、ナノフルオロ−1,
1,2,2−テトラヒドロヘキシルトリクロロシラン、
トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオク
チルトリクロロシラン、などの長鎖フルオロアルキルト
リクロロシランを用いることができる。
【0022】また、前記工程(a)、前記工程(b)、
前記工程(c)は、真空中の他、不活性ガス中で行うこ
ともできる。この後考の方法は、真空容器を用いないと
いうメリットがあるものの、微少な多層構造体の内部ま
で均一なコーティングを行うには、水蒸気下と有機ケイ
素蒸気下の雰囲気の置換が十分に出来ない可能性がある
こと、水蒸気と有機化合物の両者の共存状態を作り出す
場合にはその混合が不均一になる可能性があることなど
の問題点が考えられる。また、ガス中のパーティクルに
よるゴミの付着や十分な置換を行うために大量のガスを
流すと微少構造体がガスによって破損するおそれがある
こと等の問題点が考えられる。したがって、10〜10
00Paの真空下でコーティング処理を行うことが望ま
しい。
【0023】
【発明の実施の形態】(表面処理装置)図2は、本発明
に係る実施の形態に用いられる表面処理装置の一例を模
式的に示す図である。
【0024】この表面処理装置は、チャンバ10内に、
支柱11により支持されたホルダ12を有している。チ
ャンバ10には、チャンバ10内を真空または排気する
ための排気手段22、第1の容器30において発生した
水蒸気をチャンバ10内に導入するための、バルブ24
が取り付けられた第1のガス供給路26、第2の容器3
2において発生したガス状の有機ケイ素化合物をチャン
バ10内に導入するための、バルブ27が取り付けられ
た第2のガス供給路28、およびチャンバ10の側壁に
チャンバ10内を所定の温度に保つためのヒータ16
b,16cが、ホルダ12上には、被処理構造体14が
載置され、ホルダ12の下の面にはヒータ16aが設け
られている。このヒータ16aにより被処理構造体の温
度を調節する。また、ホルダ12には、ホルダ12の温
度を測定するための熱電対34が取り付けられている。
【0025】(処理方法)以下に、被処理構造体の処理
方法の一例を述べる。
【0026】(a)まず被処理構造体の前駆体を形成
後、宙に浮いた被処理構造体をつくるため、例えば犠牲
層が酸化ケイ素である場合はフッ化水素を用いた犠牲層
エッチングと呼ばれるエッチングを行う。この時、シリ
コン表面に水素で終端された状態が形成される。液体の
エッチャントであるフッ化水素酸を用いる場合には被構
造体を過酸化水素中に浸漬し、酸化処理を行う。また、
ガス状のフッ化水素ガスによってエッチングする場合に
は、酸素雰囲気下で紫外線処理したり、長時間大気中に
保持するなどして酸化処理を行う。こうして構造体表面
に酸化膜を形成する。液体であるフッ化水素酸を用いた
場合には、本発明のコーティングを行う前に乾燥工程が
必要となる。これは、通常酸化処理が終わった後、十分
に純水で置換洗浄した被構造体をイソプロパノールのよ
うな水と混じる有機溶剤で十分に置換洗浄し、その後、
溶融させたパラジクロルベンゼン中に浸漬、置換洗浄
し、さらに大気中に取り出しパラジクロルベンゼンを昇
華除去する工程で乾燥させる。
【0027】(b)次に、被処理構造体を図に示す表
面処理装置のチャンバ10内のホルダ12に載置する。
その後、排気手段22により、チャンバ10内の圧力を
1×10−2Pa以下の真空状態にし、さらにチャンバ
10内の温度を30〜50℃に保持する。この温度は、
有機ケイ素化合物の凝縮結露を防ぎ、過剰なコーティン
グを防止することを考慮して設定される。
【0028】(c)次いで、水蒸気を、チャンバ10内
の圧力が10〜500Paになるまで、第1のガス供給
路26を介して、チャンバ内に導入し、被処理構造体を
水蒸気の雰囲気下にさらし、被処理構造体の表面に水酸
基を導入する。
【0029】(d)続いて、有機ケイ素化合物を、チャ
ンバ内の圧力が20〜600Paになるまで第2の供給
路28を介してチャンバ内に導入する。その圧力の状態
を5〜30分間保ち、被処理構造体を有機ケイ素化合物
の雰囲気下にさらし、水酸基と有機ケイ素化合物の反応
基との縮合反応によって、有機ケイ素重合膜からなるコ
ーティングを形成する。
【0030】(e)排気手段22でチャンバ10内を排
気することにより、未反応の有機ケイ素化合物と水蒸気
をチャンバ内から除去する。
【0031】上述の(b)〜(d)工程を1サイクルと
して、複数のサイクルを繰り返すことにより、所望の膜
厚、たとえば単分子層レベルの膜厚を有し、均一のコー
ティングを得ることができる。
【0032】(評価用TEG)図3は、評価用TEGの
一例を示す模式図である。
【0033】評価用TEGは、シリコンウエハ40およ
びシリコンウエハ40上に形成された片持ち梁構造のビ
ーム44を有している。シリコンウエハ40のビーム4
4に対向する面には、下部電極42および下部構造体4
3が設けられ、下部電極42とビーム44は、導電線4
6で接続され、下部電極42とビーム44との間に電圧
がかけられる構造である。ビーム44を下部電極42に
より強制的に引っ張り、下部構造体43に一度付着させ
た後、電圧を切り、付着変化をみる。付着、すなわちス
ティッキングが生じた場合は、ビーム44が下部構造体
43に付着することにより、歪んでおり、干渉顕微鏡で
の観察で、スティッキングの現象を測定することができ
る。
【0034】(実験例1) まず、フッ化水素酸処理された、シリコンウエハおよび
片持ち梁構造の微小構造体を有する被処理構造体(試
料)を過酸化水素中に浸漬し、酸化処理を行った。次
に、前記乾燥工程を行い乾燥した被処理構造体を図
示す表面処理装置のチャンバ10内のホルダ12に載置
し、その後、排気手段22により、チャンバ10内の圧
力を1.3×10−2Pa以下の真空状態にし、チャン
バ10内の温度を35℃に、ホルダの温度を40℃に保
持した。次いで、水蒸気を、チャンバ10内の圧力が1
30Paになるまで、第1のガス供給路を介してチャン
バ10内に導入し、被処理構造体を水蒸気の雰囲気下に
さらした。続いて、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラ
ヒドロオクチルトリクロロシランを、チャンバ10内の
圧力が170Paになるまで第2のガス供給路28を介
してチャンバ10内に導入した。その圧力の状態を10
分間保ち、被処理構造体をトリデカフルオロ-1,1,2,2-
テトラヒドロオクチルトリクロロシランの雰囲気下にさ
らしコーティングを形成した。
【0035】その後、チャンバ10内の圧力を1.3×
10-3Pa以下まで排気手段22により排気した。前記
水蒸気の供給、次いで前記トリデカフルオロ-1,1,2,2-
テトラヒドロオクチルトリクロロシランの供給排気の操
作を1サイクルとして、さらにもう2サイクル繰り返し
た。
【0036】表面処理後のシリコンウエハおよび微小構
造体を検討したところ、これら双方とも外観に白濁など
の異常は観察されなかった。また、このシリコンウエハ
の水に対する接触角を測定したところ、108°と非常
に高く、本手法によって、撥水化処理がなされるという
ことが確認された。また、そのウエハの赤外分光測定を
行った結果、検出限界以下であり、非常に薄いコーティ
ング層であることが確認された。
【0037】さらに、図3に示す評価用TEGを用いた
手法において、シリコンウエハと微小構造体(ビーム)
とを一度接触させ、その後の回復度合いを調べた。その
結果を図4に示す。図4に示すとおり、表面処理が施さ
れていない場合は、ビーム長さが400nm以上では、
付着現象、すなわちスティッキングが生じているが、本
手法の表面処理を施した場合は、いずれのビーム長さに
おいても、スティッキングが生じていないことがわか
る。これにより、従来の湿式法と同様に、片持ち梁構造
の微小構造体(ビーム)の裏面においても、充分コーテ
ィングでき、スティッキング防止にも有効であることが
わかった。
【0038】(実験例2) フッ化水素酸処理した後の酸化工程を、過酸化水素処理
を行うことなく乾燥した後、酸素中UV照射することに
より行った以外は実験例1と同様な手法により表面処理
を行った。その結果、シリコンウエハの水に対する接触
角を測定したところ108°と非常に大きく、本手法に
よって、撥水化処理ができていることがわかった。図
に示す評価用TEGを用いた手法において、本手法の表
面処理を施したシリコンウエハと微小構造体(ビーム)
とを一度接触させ、その後の回復度合いを調べたとこ
ろ、実験例1と同様に、スティッキングが観察されず、
本手法によっても、片持ち梁構造の微小構造体(ビー
ム)の裏面にも十分コーティングでき、スティッキング
防止に有効であることがわかった。
【0039】(実験例3)酸化工程を大気下、2日保持
することにより行った以外は、実験例2と同様な方法
で、表面処理を施した。この手法においても、実験例1
と同様に、スティッキング防止に有効であることがわか
った。
【0040】(実験例4) 真空中での処理の代わりに大気圧の窒素雰囲気下で処理
を行った。50℃に加熱したシリコンウエハと片持ち構
造の微小構造体を有する被処理構造体を容器に入れ、窒
素ガスを水蒸気および有機ケイ素化合物のキャリアーガ
スとして用い、水蒸気ついで有機ケイ素化合物、それぞ
れを室温でバブリングさせ容器内に供給した。その後、
窒素ガスのみを流し未反応原料を除去した。これらの操
作を3回繰り返した。シリコンウエハの水に対する接触
角を測定したところ108°と非常に大きく、その結
果、本手法によって、撥水化処理が施されていることが
確認された。図に示す評価用TEGを用いた手法にお
いて、シリコンウエハと微小構造体(ビーム)とを一度
接触させ、その後の回復度合いを調べた結果、実験例1
と同様に、スティッキングが観察されず、本手法によっ
ても、方持ち梁構造の微小構造体(ビーム)の裏面にも
十分コーティングでき、スティッキング防止にも有効で
あることがわかった。
【0041】(実験例5) 有機ケイ素化合物としてオクタデシルトリクロロシラン
を用いた以外は、実験例1と同様な手法で処理を行っ
た。シリコンウエハの水に対する接触角を測定したとこ
ろ113°と非常に大きく、本手法によっても、撥水化
処理が施されていることが確認された。図に示す評価
用TEGを用いた手法において、本手法の表面処理を施
されたシリコンウエハと微小構造体とを一度接触させ、
その後の回復度合いを調べた。その結果、実験例1と同
様に、スティッキングが観察されず、本手法によって、
片持ち梁構造の微小構造体(ビーム)の裏面にも十分コ
ーティングでき、スティッキング防止にも有効であるこ
とがわかった。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】スティッキング現象の一例を模式的に示す図で
ある。
【図2】表面処理装置の一例を模式的に示す図である。
【図3】評価用TEGの一例を模式的に示す図である。
【図4】スティッキング防止能力評価の結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 チャンバ 11 支持柱 12 ホルダ 14 被処理構造体 16a ヒータ 16b ヒータ 16c ヒータ 22 排気手段 24 第1のバルブ 26 第1のガス供給路 27 第2のバルブ 28 第2のガス供給路 30 第1の容器 32 第2の容器 34 熱電対 40 シリコンウエハ 42 下部電極 43 下部構造体 44 微小構造体(ビーム) 46 導電線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−335758(JP,A) 特開 平8−190204(JP,A) 特開 平4−287308(JP,A) 特開 平11−21186(JP,A) 特開 平5−86353(JP,A) 特開 平5−70761(JP,A) 特開 平10−194784(JP,A) 特表 平10−512675(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/18 G03F 7/38 H01L 21/312 H01L 29/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理構造体の表面を、飽和蒸気圧以下
    の所定の圧力の水蒸気の雰囲気下にさらし、該表面に水
    酸基を導入する工程(a)と、 前記被処理構造体の表面を、飽和蒸気圧以下の圧力の
    鎖アルキル基もしくは長鎖フルオロアルキル基を分子内
    に有する有機ケイ素化合物の雰囲気下にさらし、前記水
    酸基と該有機ケイ素化合物とを反応させる工程(b)
    と、 を含む被処理構造体の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 さらに、未反応の前記有機ケイ素化合物および水蒸気の
    少なくとも一方を被処理構造体の表面から除く工程
    (c)を含む被処理構造体の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記工程(a)、前記工程(b)および前記工程(c)
    を1サイクルとして、2サイクル以上繰り返す被処理構
    造体の表面処理方法。
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