JP3325631B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置

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JP3325631B2
JP3325631B2 JP03164593A JP3164593A JP3325631B2 JP 3325631 B2 JP3325631 B2 JP 3325631B2 JP 03164593 A JP03164593 A JP 03164593A JP 3164593 A JP3164593 A JP 3164593A JP 3325631 B2 JP3325631 B2 JP 3325631B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの他にモータ
等のアクチュエータを利用して車輪の回転駆動力を得る
ようにした車両の駆動装置に関し、特にアクチュエータ
により駆動力のアシストを行うようにしたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の駆動形態においては、エン
ジンの出力を全車輪に適切に分配して各車輪の路面との
スリップを低減できる等の利点があることから、4輪駆
動車が増加する傾向にある。しかし、その反面、一般的
な4輪駆動車、例えば車体前部にエンジンが配置された
ものにあっては、エンジンの駆動力を後輪へ伝達するた
めのプロペラシャフト等がフロアパネルの下側に配設さ
れるので、この収容スペースを確保するためにフロアパ
ネルを車室内側に膨出させる必要があり、車体重量が増
大したり、或いはフロア面が高くなって車室内空間が狭
くなったりする等の問題がある。
【0003】これら問題を解消するために、従来、例え
ば特開昭57−74222号、特開昭63−38031
号、特開平2−12036号の各公報に示されているよ
うに、左右前輪又は左右後輪のうちの何れか一方をエン
ジンにより駆動する主駆動輪とし、他方をモータにより
駆動する補助駆動輪とした車両の駆動装置が提案されて
いる。
【0004】すなわち、特開昭57−74222号公報
の従来例には、左右2つの油圧モータ(油圧シリンダ)
に対する油圧供給の分配を左右の補助駆動輪に加わる路
面負荷に応じて自動的に行うようにすることにより、差
動装置の機能を付加するようにしたものが開示されてい
る。
【0005】また、特開昭63−38031号公報の従
来例には、左右2つの電動モータを用い、車速が大きく
なるほど発電電圧を大きくして、モータの発生トルクが
一定となるようにするとともに、マニュアルスイッチに
よってモータによる駆動実行と駆動停止とを切換選択し
得るようにすることが示されている。
【0006】さらに、特開平2−12036号公報に
は、変速段に応じて、駆動力の異なる2つの油圧モータ
の作動状態を切り換えるようにしたものが示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の車両
においては、車輪はエンジンに駆動連結されているの
で、車両の減速時にエンジンブレーキによって制動力を
得る場合、その制動力の大きさは変速機の変速段によっ
て変わるものの、その制動負荷はスロットル弁を閉じた
ときのエンジンの回転抵抗により決定される。従って、
例えばエンジンブレーキによる制動効果を高めてブレー
キペダルの踏み操作までの空走距離を短くしようとして
も限度がある。
【0008】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その主たる目的は、上記のように左右の前輪又は後
輪の一方をエンジンにより駆動する主駆動輪とし、他方
をモータ等のアクチュエータにより駆動する補助駆動輪
とした車両に着目し、その補助駆動輪の回転制御を行う
ことにより、車両減速時のエンジンブレーキによる制動
効果を高めて、車両の乗員による負担を軽減して運転性
を向上させるとともに、空走距離を短縮し得るようにす
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、図1に示すように、左右前輪
1FL,1FR又は左右後輪1RL,1RRの何れか一
方の車輪1FL,1FRをエンジン2により駆動する第
1駆動手段98と、他方の車輪1RL,1RRを油圧
クチュエータML,MRにより駆動する第2駆動手段9
9とを備え、車両の減速時に上記油圧アクチュエータM
L,MRにより車輪1RL,1RRに制動負荷を与える
ようにした車両の駆動装置を前提とする。
【0010】そして、車両の減速状態が緩減速状態にあ
るときには、上記油圧アクチュエータML,MRに接続
される作動油路を絞ってその絞り抵抗により車両への減
速力を与える一方、車両の運転状態としてのアクセルペ
ダルの戻し速度が所定値以上であるとき、又はフットブ
レーキペダルが踏み込まれたときには、上記車輪1R
L,1RRに制動負荷を与えるために上記油圧アクチュ
エータML,MRを逆駆動するように上記第2駆動手段
99を制御する制御手段102を設けたことを特徴とす
る。
【0011】また、請求項2の発明は、車両の運転状態
として変速機4の変速段を検出する運転状態検出手段1
01を設け、制御手段102は、上記運転状態検出手段
101により検出された変速機4の変速段が低いほど上
記油圧アクチュエータML,MRによる車輪1RL,1
RRに対する逆駆動力を増大させるように構成されてい
るのとする。
【0012】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、車両
の減速時には制御手段102により、油圧アクチュエー
タML,MRが車輪1RL,1RRに制動負荷を加える
ように第2駆動手段99が制御される。そして、車両の
減速状態が緩減速状態にあると、上記油圧アクチュエー
タML,MRに接続される作動油路が絞られてその絞り
抵抗により車両への減速力が与えられるように第2駆動
手段99が制御される。一方、車両の運転状態としての
アクセルペダルの戻し速度が所定値以上であるとき、又
はフットブレーキペダルが踏み込まれたとき、つまり車
両の減速状態が急減速状態にあるときには、上記車輪1
RL,1RRに制動負荷を与えるために上記油圧アクチ
ュエータML,MRを逆駆動するように上記第2駆動手
段99が制御される。
【0013】このようにエンジン2の出力を車輪駆動力
とする第1駆動手段98とは別個に独立して第2駆動手
段99が作動し、この第2駆動手段99の油圧アクチュ
エータML,MRにより車輪1RL,1RRに制動負荷
が与えられるので、この油圧アクチュエータML,MR
による制動負荷特性を変えれば、第1駆動手段98のエ
ンジン2のみでエンジンブレーキ効果を得る場合に比
べ、多様なエンジンブレーキ効果を得ることができ、例
えば制動負荷の増大によりブレーキペダルの踏み操作ま
での空走距離を短くして車両制動距離を短縮することが
できる。また、車両の減速時には自動的に油圧アクチュ
エータML,MRによるエンジンブレーキ効果が加わる
ので、乗員の負担を軽減して車両の運転性を向上させる
ことができる。
【0014】また、車両の運転状態としてのフットブレ
ーキペダルが踏み込まれたとき、又はアクセルペダルの
戻し速度が所定値以上であるときに、制御手段102に
より油圧アクチュエータML,MRが逆駆動されて、こ
の油圧アクチュエータML,MRによる車輪1RL,1
RRに対する上記緩制動時よりも制動負荷が増大され
る。すなわち、フットブレーキペダルの踏込み時、又は
アクセルペダルの戻し速度が速いときは、その分、大き
な制動力が要求されているので、それに見合った適正な
エンジンブレーキ特性が得られる。
【0015】請求項2の発明では、車両の運転状態とし
て変速機4の変速段が運転状態検出手段101により検
出され、制御手段102により、この変速機4の変速段
が低いほど油圧アクチュエータML,MRによる車輪1
RL,1RRに対する逆駆動力が増大するように制御さ
れるため、変速機4の変速段に応じた適正なエンジンブ
レーキ特性が得られる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、説明の手順としては油圧系統等の構成の説
明、各制御モードの説明、制御系統の説明、各制御のフ
ローチャートの説明の順で行う。
【0017】[油圧系統等の説明(図2参照)] 図2において、1FLは車両の左前輪、1FRは右前
輪、1RLは左後輪、1RRは右後輪である。車体前部
にはエンジン2が横置き状態に配置され、このエンジン
2の駆動力つまり発生トルクはクラッチ3と前進5段で
後進1段の手動変速機4とを介して差動装置5へ伝達さ
れる。さらに、エンジン2の駆動力は差動装置5から左
駆動シャフト6Lを介して左前輪1FLへ、また右駆動
シャフト6Rを介して右前輪1FRへそれぞれ伝達され
る。つまり、上記クラッチ3、変速機4、差動装置5及
びシャフト6L,6Rにより、左右前輪1FL,1FR
をエンジン2により駆動するようにした第1駆動手段9
8が構成されている。
【0018】また、操舵輪となる上記左右前輪1FL,
1FR同士はタイロッド等のステアリングリンク7によ
って連係され、このステアリングリンク7はステアリン
グホイール8に対しラックアンドピニオン機構9を介し
て連係されている。
【0019】一方、上記左右の後輪1RL,1RRは左
右1対の油圧式モータML,MRによりエンジン2とは
別途独立して駆動されるようになっている。すなわち、
左後輪1RLは左駆動シャフト11Lを介して後輪駆動
用アクチュエータとしての左モータMLにより、また右
後輪1RRは右駆動シャフト11Rを介して同様のアク
チュエータとしての右モータMRによりそれぞれ駆動さ
れるようになっている。この左モータMLつまり左駆動
シャフト11Lと、右モータMRつまり右駆動シャフト
11Rとは互いに分断されていて、左右個々独立して駆
動可能となっている。そして、左右の駆動シャフト11
L,11R同士は油圧式のクラッチ12によって断続可
能とされている。つまり、上記油圧系により、左後輪1
RL,1RRをモータML,MR(アクチュエータ)に
より駆動するようにした第2駆動手段99が構成されて
いる。
【0020】上記モータML(MR)はタービン式(羽
根車式)のもので、それぞれ第1接続口La(Ra)及
び第2接続口Lb(Rb)を有し、第1接続口La(R
a)から第2接続口Lb(Rb)へ高圧の作動油が流れ
たときに前進方向に回転し、これとは逆方向に高圧の作
動油が流れたときに後退方向の回転となる。そして、モ
ータML,MRは互いに同一仕様とされ、その最大発生
トルクの合計値はエンジン2の最大発生トルクの1/3
〜1/2程度に設定されている。
【0021】尚、本実施例では、モータML,MRによ
る後輪駆動は後述する所定条件下においてのみ実行され
るものである。すなわち、エンジン2により左右前輪1
FL,1FRが駆動されているときでも、左右後輪1R
L,1RRがモータML,MRによって駆動されない場
合もある。
【0022】Pは油圧発生源としての容量可変型ポンプ
で、このポンプPは駆動プーリ13、ベルト14及び従
動プーリ15を介してエンジン2の出力軸2aにより駆
動連結されている。つまり、このポンプPにより、エン
ジン2にて駆動されてモータML,MRの駆動エネルギ
ーとしての油圧を発生するエネルギー発生手段が構成さ
れる。リザーバタンク16からポンプPによって汲み上
げられた高圧の作動油は、チェック弁17を配設した高
圧ライン18へ吐出される。この高圧ライン18には、
チェック弁10,32を配設した互いに並列な第1及び
第2の油圧供給ライン31A,31Bが接続されてい
る。また、リザーバタンク16には解放ライン23が接
続されている。さらに、モータML(MR)の各接続口
La,Lb(Ra,Rb)には互いに並列なライン20
L,21L(20R,21R)が接続されている。
【0023】上記左モータMLのライン20L,21L
は切換弁VVA、互いに並列なライン19,19L及び
ライン22,22L、並びに切換弁VVB・L,VVE
・Lの利用により、第1油圧供給ライン31Aと解放ラ
イン23とに対し選択的に接続可能とされている。同様
に、右モータMRのライン20R,21Rは切換弁VV
A、互いに並列なライン19,19R及びライン22,
22R、並びに切換弁VVB・R,VVE・Rの利用に
より、第1油圧供給ライン31Aと解放ライン23とに
対して選択的に接続可能とされている。
【0024】上記第2油圧供給ライン31Bには、上記
チェック弁32の下流側において切換弁VVIが、また
該切換弁VVI下流側において分流弁34がそれぞれ接
続されている。上記分流弁34により2本に分岐された
一方の分岐供給ライン33Lは上記ライン19Lに接続
され、他方の分岐供給ライン33Rは上記ライン19R
に接続されている。
【0025】高圧ライン18には、上記モータML,M
R用の駆動エネルギーとしての高圧の油圧を貯留してお
くためのエネルギー備蓄手段としてのアキュムレータ4
1が接続されている。この高圧ライン18には上記ライ
ン20L(20R)が通路42L(42R)によって接
続されている。この通路42L(42R)にはチェック
弁43L(43R)及び切換弁VVF・L(VVF・
R)が配設されている。両通路42L,42Rは互いに
並列で、前述の各弁VVA,VVB・L(VVB・
R),VVE・L(VVE・R),VVIや分流弁34
等をバイパスしている。
【0026】上記ライン20L(20R)とライン21
L(21R)とは連通路51L(51R)によって連通
され、この連通路51L(51R)には可変オリフィス
VVC・L(VVC・R)が配設されている。
【0027】また、61は上記クラッチ12を断続する
ためのアクチュエータで、このアクチュエータ61用の
供給ライン62が高圧ライン18に対して、また排出ラ
イン63が解放ライン23に対してそれぞれ切換弁VV
Jを利用して選択的に接続可能とされており、切換弁V
VJによって両ライン62,63が共に遮断された状態
をとり得るようになっている。
【0028】左右のモータML,MR同士は連通路71
によって接続され、この連通路71には開閉弁VVDが
配設されている。
【0029】上記解放ライン23は高圧ライン18に対
し、チェック弁17よりも上流側(ポンプP側)におい
てロード・アンロード弁VVHを介して、またチェック
弁17よりも下流側において安全弁VVGを介してそれ
ぞれ接続されている。
【0030】[制御モードの説明(表1)] 本実施例においては、後述するように合計8種類の制御
モードを有しており、各モードが実行されるときの上記
各弁の作動状態をまとめて表1に示す。この表1におい
て、左右を識別する符号「L」及び「R」の表示は省略
している。
【0031】尚、表1に示されないロード・アンロード
弁VVHは、高圧ライン18の圧力が下限値と上限値と
の間での所定圧範囲となるように開閉制御される。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示された各制御モードにおいて、主
要な作用を果たす弁の作動状態を具体的に説明すると、
次のとおりである。
【0034】(1)統合モード 統合モードは、後に詳述するように左右後輪1RL,1
RRが同一回転数となるようにモータML,MRの駆動
制御を行うもので、正駆動(駆動補助)と逆駆動(制
動)との2種類がある。この統合モードにおいては、ク
ラッチ12が締結され(切換弁VVJがライン62を開
きかつライン63を閉じた状態)、切換弁VVB・L
(VVB・R),VVE・L(VVE・R),VVIの
作動態様は図2に示す状態とされる。この状態で、切換
弁VVAを制御して、正駆動或いは逆駆動に応じた油圧
供給方向の切換え(モータML,MRの正転、逆転の方
向設定)と、モータML,MRに対する供給流量とが制
御される(第1供給ライン31Aを利用した油圧供
給)。
【0035】尚、逆駆動においては、後述する油圧ロッ
クモードよりも大きい減速力を得るものであるが、当然
のことながら、車両の前進時にあっては、後輪1RL,
1RRが車両の進行方向に対して逆方向に回転するよう
な大きな駆動力を与えるものではなく、後輪1RL,1
RRに制動力を与えるものである。
【0036】(2)独立モード 独立モードは、後に詳述する如く左右後輪1RL,1R
Rがそれぞれ個々独立して設定される目標車輪速度とな
るようにモータML,MRの駆動制御を行うもので、上
述した統合モードの場合と同様に正駆動と逆駆動との2
種類がある。また、この独立モードにおいては、クラッ
チ12が締結解除される(切換弁VVJがライン62を
閉じライン63を開いた状態)。切換弁VVE・L(V
VE・R)の作動態様は図2に示す状態とされるが、切
換弁VVAは中央切換位置とされて、第1油圧供給ライ
ン31Aが遮断される。切換弁VVIは開位置とされ
て、第2油圧供給ライン31Bを利用した油圧供給態様
とされる。この状態で、切換弁VVB・L(VVB・
R)を制御して、正駆動或いは逆駆動に応じた油圧供給
方向の切換え(モータML,MRの正転、逆転の方向設
定)と、モータML,MRに対する供給流量とが制御さ
れる。
【0037】(3)LSDモード LSDモードは差動制限機能を得るもので、切換弁VV
B・L,VVB・Rがライン20L,21L(20R,
21R)を共に閉じて、モータML,MRに対する油圧
の給排を完全に遮断した状態とされる。そして、開閉弁
VVDが開かれて両モータML,MR各々の閉じられた
左右の油圧経路内同士を連通し、左右のモータML,M
Rの間で大きな回転差を生じてしまうのを防止する。ま
た、このLSDモードでは可変オリフィスVVC・L
(VVC・R)は全閉とされている。
【0038】(4)油圧ロックモード 油圧ロックモードは、通路抵抗つまり可変オリフィスV
VC・L(VVC・R)の絞り抵抗を利用した減速力を
得るものである。この油圧ロックモードでは、切換弁V
VB・L,VVB・Rが中央切換位置にあってライン2
0L,21L,20R,21Rが遮断され、かつ開閉弁
VVDが閉じられ、また可変オリフィスVVC・L,V
VC・Rが開かれる。この状態では、作動油はモータM
L(MR)の回転に応じて、可変オリフィスVVC・L
(VVC・R)を含んで形成される閉じられた閉油圧回
路を循環されることになるが、その循環中に作動油が通
過する可変オリフィスVVC・L(VVC・R)の絞り
抵抗が車両への減速力を与えることになる。そして、可
変オリフィスVVC・L,VVC・Rの開度は、車両の
減速度が大きいほど小さくなるように制御される(減速
度に応じた可変オリフィスVVC・L,VVC・Rの開
度設定を図5のステップE37に例示してある)。尚、
クラッチ12は締結状態又は締結解除状態のいずれでも
よい。
【0039】(5)蓄圧モード 蓄圧モードは、走行中に車両つまり後輪1RL,1RR
によって駆動されるモータML,MRをポンプとして機
能させてアキュムレータ41に蓄圧させるものである。
この蓄圧モードでは、ライン21L(21R)がリザー
バタンク16に連通される一方、開閉弁VVF・L(V
VF・R)が開となってリザーバタンク16内に作動油
がモータML(MR)により汲み上げられ、アキュムレ
ータ41に蓄圧される。
【0040】(6)停車モード 停車モードは、パーキングブレーキが作動していない状
態において車両を停止させるようにモータML,MRを
駆動制御するものである(車速が目標車速「0」となる
ようにモータML,MRの駆動を制御する)。この場
合、油圧供給のラインは第2油圧供給ライン31Bが利
用され、油圧の給排制御は切換弁VVB・L(VVB・
R)を利用して行われる。
【0041】(7)駐車モード 駐車モードは、パーキングブレーキが作動した状態にお
いて駐車状態を維持しようとする作用を高めるものであ
る。すなわち、駐車モードでは、切換弁VVB・L(V
VB・R)が中央切換位置の閉位置とされて油圧の給排
ラインが遮断されるとともに、クラッチ12が締結され
る。
【0042】(8)F/Sモード F/Sモードはフェイルセーフモードであり、何等かの
異常があったとき、例えば高圧ライン18が異常に高圧
となったとき、モータML,MRが正常に駆動されなく
なったとき、ある弁が固着してしまったとき、さらには
油温が所定温度以上に高くなってしまったとき等に安全
弁VVGが開かれて、高圧ライン18の油圧が解放され
る。
【0043】[制御系統の説明(図3参照)] 図3は本発明における制御系統を示す。図中、U1〜U
3はそれぞれマイクロコンピュータを内蔵した制御ユニ
ットで、制御ユニットU1が前述した各弁VVA等の制
御を行うメイン制御ユニットである。また、制御ユニッ
トU2はABS制御(アンチロックブレーキ制御)用で
あり、制御ユニットU3はトラクション制御用である。
さらに、S1〜S10,S14はそれぞれセンサ、S1
1〜S13はそれぞれスイッチである。
【0044】上記センサS1〜S4はそれぞれ車輪1F
L〜1RRの回転速度つまり車輪速を個々独立して検出
するものであり、各センサS1〜S4で検出された車輪
速信号は、制御ユニットU2から制御ユニットU1,U
3へ伝送される。センサS5は車速を検出するもので、
本実施例では対地車速を検出する(絶対車速の検出)。
センサS6は上記変速機4の変速段を検出する変速段セ
ンサ、センサS7はエンジン回転数を、またセンサS8
はステアリングホイール8の操舵角であるハンドル舵角
をそれぞれ検出するものである。センサS9はアクセル
ペダルの踏込み量つまりアクセル開度を検出するアクセ
ル開度センサである。またセンサS10はフットブレー
キペダルの踏込み量を検出するフットブレーキ踏込みセ
ンサである。スイッチS11はイグニッションキースイ
ッチ、スイッチS12はパーキングブレーキが作動した
か否かを検出するものである。
【0045】スイッチS13はマニュアルスイッチで、
「AUTO」、「統合制御」、「独立制御」及び「OF
F」の4つの制御態様を選択するものである。センサS
14は悪路(凹凸路)を検出するものであり、例えばセ
ンサS14がサスペンションの上下ストロークを検出し
て、所定時間内に所定量以上のストロークが所定回数以
上生じた場合を悪路とするようにメイン制御ユニットU
1が判定する。また、センサS14を車体に作用する上
下G(加速度)を検出するものとして、所定以上の上下
Gが所定時間内に所定回数以上生じたときを悪路である
とメイン制御ユニットU1が判定するように構成するこ
ともできる。尚、悪路の度合の判定は、上記の悪路判定
の各しきい値のいずれか1つ或いは複数を変更すること
により行えばよい。
【0046】上記各センサ及びスイッチS5〜S14の
信号はメイン制御ユニットU1に入力され、このメイン
制御ユニットU1は前述した各弁VVA〜VVJを制御
する。勿論、制御ユニットU2はブレーキ時に車輪1F
L〜1RRがロックするのを防止するためのもので、こ
の制御ユニットU2により、各車輪1FL〜1RRのブ
レーキを個々独立して調整するためのブレーキ液圧調整
手段81を制御する。また、制御ユニットU3は、加速
時等に常時駆動輪となる左右前輪1FL,1FRの路面
に対するスリップが過大になったときに、少なくともエ
ンジン出力(エンジン2の発生トルク)を低減させるも
ので、例えばエンジン2のスロットル弁の開度、点火時
期、燃料噴射量等を調整するトルク調整手段82を制御
する。
【0047】制御ユニットU2からメイン制御ユニット
U1へは、センサS1〜S4で検出された車輪速信号の
他に、ABS制御実行中であることを示すABS信号
と、路面μ(摩擦係数)を示すμ信号とが伝送される。
また、制御ユニットU2から制御ユニットU3へは車輪
速信号が伝送される。さらに制御ユニットU3からメイ
ン制御ユニットU1へは、トラクション制御実行中であ
ることを示すTRC信号の他に、トラクション制御によ
って行われたエンジントルクの減少量を示すトルク減少
量信号と、路面μ信号とが伝送される。尚、路面μの検
出はメイン制御ユニットU1によって行うこともでき、
またセンサS1〜S4で検出された各車輪速はメイン制
御ユニットU1に直接入力させるようにしてもよい。
【0048】[メイン制御の説明(図4参照)] 次に、図4以下のフローチャートを参照しつつ、メイン
制御ユニットU1の制御内容について説明する。最初
に、図4のメインフローチャートについて説明すると、
このメインフローチャートにおいては、先ず、ステップ
D0において各センサ等からの信号を入力させた後、ス
テップD1においてイグニッションスイッチS11がO
FF状態であるか否かを判定する。このステップD1で
イグニッションスイッチS11がOFF状態でないNO
と判定されたときには、ステップD2においてイグニッ
ションスイッチS11がON状態であるが否かを判定
し、このステップD2でイグニッションスイッチS11
がON状態でないNOと判定されたときには、ステップ
D3に進み、安全弁VVGを開いて高圧ライン18の圧
力を解放した状態とする。また、上記ステップD2でイ
グニッションスイッチS11がON状態であるYESと
判定されたときには、ステップD4において安全弁VV
Gを閉じて高圧ライン18に高圧の油圧を供給した状態
とする。
【0049】その後、ステップD5において、車速セン
サS5によって検出される車速(対地車速)が略0であ
るか否かを判定する。このステップD5で車速が略0で
あるYESと判定されたときには、ステップD6におい
てギヤ位置検出センサS6の検出により変速機4のギア
位置がニュートラルであるか否かを判定する。このステ
ップD6で変速機4のギア位置がニュートラルであるY
ESと判定されたときには、ステップD7においてパー
キングブレーキ検出スイッチS12の検出によりパーキ
ングブレーキが作動されているか否かを判定する。この
ステップD7でパーキングブレーキが作動状態であるY
ESと判定されたときには、ステップD8において上述
したような駐車モードの制御を実行し、車両の駐車状態
の維持性能が高められるように制御する。また、ステッ
プD7でパーキングブレーキが作動していないNOと判
定されたときには、ステップD9において上述したよう
な停車モードの制御を実行し、車両の車速が0となるよ
うに制御する。
【0050】一方、上記ステップD5で車速が略0でな
いNOと判定されたとき、つまり車両の走行時であると
きや、或いはステップD6で変速機4のギア位置がニュ
ートラルでないNOと判定されたときは、ステップD1
0において変速機4のギア位置が後退位置であるか否か
を判定する。このステップD10で変速機4のギア位置
が後退位置でないNOと判定されたときは、ステップD
11において現在スタック中であるか否かを判定する。
このスタック中であるか否かの判定は、例えばアクセル
開度検出センサS9の検出によりアクセルが踏込み操作
されており、車速が略0でかつ車輪速センサS1〜S4
によって検出される左右前輪1FL,1FRの回転速度
が車速に比べて十分高いときに、スタック中であると判
定する。そして、このステップD11でスタック中でな
いNOと判定されたときは、ステップD12において、
後述するような駐車モードと停車モード以外の他の制御
モードとを行う制御条件が満足したか否かを判定し、そ
の後、ステップD13において、後述するように制御モ
ードの実行判定により制御の実行/非実行を行う。
【0051】また、上記ステップD10で変速機4のギ
ア位置が後退位置にあるYESと判定されたときは、ス
テップD15においてモータML,MRを利用した駆動
を実行するが、この場合は、独立モードでの逆駆動とさ
れる(後退方向へ後輪1RL,1RRを駆動する)。
尚、この後退動作の詳細については後述する。
【0052】また、ステップD11でスタック中である
YESと判定されたときは、ステップD14においてモ
ータML,MRを利用した駆動補助を実行するが、この
場合は、目標車速を低車速(例えばスタック解除条件と
なる10km/h程度)に設定した後述する独立モード
での正駆動を行う。
【0053】さらに、上記ステップD1でイグニッショ
ンスイッチがOFF状態であるYESと判定されたとき
は、ステップD16においてクラッチ12を締結した
後、ステップD17においてクラッチ締結の保持を行い
(切換弁VVJがライン62,63を共に閉とする)、
その後、ステップD18において安全弁VVGを開く。
【0054】 [モード判定制御の説明(図5〜図8参照)] 次に、上述したメインフローチャート(図4参照)にお
けるステップD12の制御モードを行う制御条件が満足
したか否かの判定動作の詳細を、図5〜図8のモード判
定フローチャートに基づいて説明する。このモード判定
フローチャートは良路つまり悪路でないときを前提とし
ており、先ず、図5のステップE24において、現在、
制御ユニットU3によるトラクション制御中であるか否
かを判定する。このステップE24でトラクション制御
中でないNOと判定されたときは、ステップE25にお
いて路面が低μであるか否かを判定し、このステップE
25で路面が低μでないNOと判定されたときは、ステ
ップE26において現在直進中であるか否かを判定す
る。この直進であるか否かの判定は、本実施例では、ハ
ンドル舵角センサS8によって検出されるハンドル舵角
と車速センサS5によって検出される車速とにより横G
を演算し、この横Gが所定値以下のときに直進時である
と判定するようにしている。
【0055】そして、このステップE26で直進中であ
るYESと判定されたときは、ステップE27〜E39
の処理を行う。この処置は良路、高μ路かつ直進時を前
提としたものであり、最終的に、統合モードでの正駆動
(ステップE28)及び逆駆動(ステップE35)、蓄
圧モード(ステップE33,E39)或いは油圧ロック
モード(ステップE31,E37)を行う制御条件が満
足されたか否かを判定する。具体的には、ステップE2
7において急加速運転状態であるか否かを判定し、この
ステップE27で急加速運転状態であるYESと判定さ
れたときには、ステップE28において統合モードでの
正駆動の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路の
直進時でかつ急加速時には後輪1RL,1RRを正転駆
動させることにより、駆動力の補助が行われるようにし
ている。
【0056】また、上記ステップE27で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE29に
おいて高速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE29で高速運転状態でないNOと判定されたときに
は、ステップE30において緩減速運転状態であるか否
かを判定する。このステップE30で緩減速運転状態で
あるYESと判定されたときには、ステップE31にお
いて油圧ロックモードの条件が成立されたと判断する。
つまり、高μ路の直進時でかつ中低速運転状態の緩減速
時においては、後輪1RL,1RRの回転に抵抗を与え
ることにより、減速力を僅かに増大させるようにしてい
る。
【0057】一方、上記ステップE30で緩減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE32に
おいて急減速運転状態であるか否かを判定し、このステ
ップE32で急減速運転状態であるYESと判定された
ときには、ステップE33において蓄圧モードの条件が
成立されたと判断する。つまり、高μ路の直進時でかつ
中低速運転状態の急減速時においては、後輪1RL,1
RRの回転に抵抗を与えながら、この後輪1RL,1R
Rの回転を利用してアキュムレータ41に蓄圧するよう
にしている。
【0058】さらに、上記ステップE29で高速運転状
態であるYESと判定されたときには、ステップE34
において急減速運転状態であるか否かを判定し、このス
テップE34で急減速運転状態であるYESと判定され
たときには、ステップE35において統合モードでの逆
駆動の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路の直
進時でかつ高速運転状態の急減速時においては、後輪1
RL,1RRの回転に大きな制動力を与えることによ
り、減速力を増大させるようにしている。
【0059】一方、上記ステップE34で急減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE36に
おいて緩減速運転状態であるか否かを判定し、このステ
ップE36で緩減速運転状態であるYESと判定された
ときには、ステップE37において油圧ロックモードの
条件が成立されたと判断し、減速度に応じた可変オリフ
ィスVVCの開度を設定することになる。つまり、高μ
路の直進時でかつ高速運転状態の緩減速時においては、
減速度に応じた抵抗を後輪1RL,1RRの回転に与え
ることにより、減速力を僅かに増大させるようにしてい
る。
【0060】また、上記ステップE36で緩減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE38に
おいて定常運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE38で定常運転状態であるYESと判定されたとき
には、ステップE39において蓄圧モードの条件が成立
されたと判断する。つまり、高μ路の直進時でかつ高速
運転状態の定常時においては、後輪1RL,1RRの回
転を利用してアキュムレータ41に蓄圧するようにして
いる。
【0061】また、上記ステップE32及びステップE
38でNOと判定されたときには、運転モードが成立せ
ず、そのままエンドされる。つまり、中低速運転状態の
定常時等では、後輪1RL,1RRの駆動を行わないよ
うにしている。
【0062】尚、上述したような加速の度合及び減速の
度合は既知の種々の手法によりなし得る。すなわち、加
速の度合は、例えばアクセルの踏込み速度の大きさ、ア
クセル踏込み量の増大量、車速を微分して得られる車体
加速度等の何れか1つ或いは任意の複数の組合せによっ
て知ることができる。また、減速の度合は、例えばアク
セル解放速度の大きさ、ブレーキ踏込み速度の大きさ、
ブレーキ踏込み量の増大量、車速を微分して得られる車
体減速度等のいずれか1つ或いは任意の複数の組合せに
よって知ることができる。
【0063】そして、上記ステップE26(図5参照)
で直進運転状態でないNOと判定されたときは、図6の
処理を行うが、この図6の処理は良路、高μ路かつ旋回
時を前提としたものである。そして、最終的に、独立モ
ードでの正駆動(ステップE42)と逆駆動(ステップ
E44)、或いはLSDモード(ステップE45)を行
う制御条件が満足されたか否かを判定する。具体的に
は、ステップE41において急加速運転状態であるか否
かを判定し、このステップE41で急加速運転状態であ
るYESと判定されたときには、ステップE42におい
て独立モードでの正駆動の条件が成立したと判断する。
つまり、高μ路での旋回を伴う急加速時に後輪1RL,
1RRを独立して正転駆動させることにより、旋回駆動
力の補助が行われるようにしている。
【0064】また、上記ステップE41で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE43に
おいて減速運転状態であるか否かを判定する。このステ
ップE43で減速運転状態であるYESと判定されたと
きには、ステップE44において独立モードでの逆駆動
の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路での旋回
を伴う減速時に後輪1RL,1RRにそれぞれ独立した
大きな制動力を与えることにより、減速力を増大させる
ようにしている。
【0065】一方、ステップE43で減速運転状態でな
いNOと判定されたときには、ステップE45において
LSDモードの条件が成立したと判断する。つまり、高
μ路での加減速を伴わない旋回時に左右後輪1RL,1
RRの大きな回転差の発生を抑制しながら円滑な旋回が
行われるようにしている。
【0066】さらに、上記ステップE25(図5参照)
で路面が低μであるYESと判定されたときは、図7に
示す処理を行う。この図7の処理では、先ず、ステップ
E51において直進時であるか否かを判定する。このス
テップE51で直進時であるYESと判定されたとき
は、ステップE52〜E59の処理を行うが、これは良
路、低μ路でかつ直進時を前提とした処理となる。そし
て、最終的に、独立モードでの正駆動(ステップE5
5)と逆駆動(ステップE57)、油圧ロックモード
(ステップE54)、LSDモード(ステップE59)
を行う制御条件が満足したか否かを判定する。具体的に
は、ステップE52において高速運転状態であるか否か
を判定し、このステップE52で高速運転状態であるY
ESと判定されたときには、ステップE53において減
速運転状態であるか否かを判定し、このステップE53
で減速運転状態であるYESと判定されたときには、ス
テップE54において油圧ロックモードの条件が成立し
たと判断する。つまり、低μ路の直進時でかつ高速運転
状態からの減速時に後輪1RL,1RRの回転に抵抗を
与えることにより、減速力を僅かに増大させるようにし
ている。
【0067】また、上記ステップE53で減速運転状態
でないNOと判定されたときには、ステップE55にお
いて独立モードでの正駆動の条件が成立したと判断す
る。つまり、低μ路の直進時でかつ高速運転時に後輪1
RL,1RRを独立して正転駆動させることにより、駆
動力の補助が行われるようにしている。
【0068】一方、上記ステップE52で高速運転状態
でないNOと判定されたときには、ステップE56にお
いて急加速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE56で急加速運転状態であるYESと判定されたと
きには、ステップE57において独立モードでの正駆動
の条件が成立したと判断する。つまり、低μ路の直進時
でかつ停車又は中低速運転状態からの急加速時にも後輪
1RL,1RRを独立して正転駆動させることにより、
駆動力の補助が行われるようにしている。
【0069】また、上記ステップE56で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE58に
おいて減速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE58で減速運転状態でないNOと判定されたときに
は、ステップE59においてLSDモードの条件が成立
したと判断する。つまり、低μ路での加減速を伴わない
直進時に左右後輪1RL,1RRの大きな回転差の発生
を抑制しながら安定した走行が行われるようにしてい
る。
【0070】尚、上記ステップE58の判定がYESの
ときには、運転モードを成立させずにそのままエンドと
する。
【0071】また、上記ステップE51(図7参照)で
直進運転状態でないNOと判定されたときは、図8に示
す処理を行う。この処理は良路、低μ路でかつ旋回時を
前提とした処理であり、最終的に、独立モードでの正駆
動(ステップE62)、油圧ロックモード(ステップE
65)、LSDモード(ステップE66)を行う制御条
件が満足したか否かを判定する。具体的には、ステップ
E61において急加速運転状態であるか否かを判定し、
このステップE61で急加速運転状態であるYESと判
定されたときには、ステップE62において独立モード
での正駆動の条件が成立したと判断する。つまり、低μ
路での旋回を伴う急加速時に後輪1RL,1RRを独立
して正転駆動させることにより、旋回駆動力の補助が行
われるようにしている。
【0072】一方、上記ステップE61で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE63に
おいて高速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE63で高速運転状態であるYESと判定されたとき
には、ステップE64において減速運転状態であるか否
かを判定し、このステップE64で減速運転状態である
YESと判定されたときには、油圧ロックモードの条件
が成立したと判断する。つまり、低μ路での旋回を伴う
高速運転時からの減速時に後輪1RL,1RRの回転に
抵抗を与えることにより、減速力を僅かに増大させるよ
うにしている。
【0073】また、上記ステップE64で減速運転状態
でないNOと判定されたときや、上記ステップE63で
高速運転状態でないNOと判定されたときには、ステッ
プE66においてLSDモードの条件が成立したと判断
する。つまり、低μ路での加減速のない旋回を伴う高速
運転時や中低速運転時には左右後輪1RL,1RRの大
きな回転差の発生を抑制しながら円滑な旋回が行われる
ようにしている。
【0074】[実行判定制御の説明(図9参照)] 次に、上述したメインフローチャート(図4参照)にお
けるステップD13の制御内容について図9に基づいて
説明する。この図9の処理は、前述した図5〜図8での
制御条件を満足したモードの実行及び非実行を最終的に
行うためのものである。
【0075】先ず、ステップW0において、統合モード
及び独立モード以外の制御モードを行う制御条件が満足
されたか否かを判定する。このステップW0で統合モー
ド及び独立モード以外の制御モードを行う制御条件が満
足されたYESと判定されたときは、ステップW4にお
いて制御条件を満足した制御モードを実行する(LSD
モード、油圧ロックモード、蓄圧モードの実行)。
【0076】上記ステップW0で統合モード或いは独立
モードの制御モードを行う制御条件が満足されたNOと
判定されたときは、ステップW1においてマニュアルス
イッチS13の操作状態(選択状態)が「OFF」であ
るか否かを判定する。このステップW1でマニュアルス
イッチS13の操作状態が「OFF」であるYESと判
定されたときは、運転者がモータML,MRを利用した
駆動補助を望んでいないときであるとして、ステップW
2に進み、モータML,MRを利用した駆動補助を禁止
する(非実行)。
【0077】一方、ステップW1でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「OFF」でないNOと判定された
ときは、ステップW3においてマニュアルスイッチS1
3の操作状態が「AUTO」であるか否かを判定する。
このステップW3でマニュアルスイッチS13の操作状
態が「AUTO」であるYESと判定されたときは、ス
テップW4においてモータML,MRによる駆動補助を
含めて、制御条件が満足された制御モードの実行を行
う。
【0078】また、ステップW3でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「AUTO」でないNOと判定され
たときは、ステップW5において統合モードでの制御条
件が満足されているか否かを判定する。このステップW
5で統合モードでの制御条件が満足されているYESと
判定されたときは、ステップW6においてマニュアルス
イッチS13の操作状態が「統合モード」選択であるか
否かを判定する。このステップW6でマニュアルスイッ
チS13の操作状態が「統合モード」選択であるYES
と判定されたときは、ステップW7において極悪路であ
るか否かを判定し、このステップW7で極悪路でないN
Oと判定されたときは、ステップW8において統合モー
ドでのモータML,MRの駆動を実行する。
【0079】また、ステップW6でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「統合モード」選択でないNOと判
定されたとき、或いはステップW7で極悪路であるYE
Sと判定されたときは、ステップW9において独立モー
ドでもってモータML,MRの駆動を実行する。
【0080】一方、上記ステップW5で統合モードでの
制御条件が満足されていないNOと判定されたときは、
ステップW10〜W15の処理を行うが、この処理は、
上述したステップW6〜W9の処理に対応したものとな
っている。すなわち、ステップW10において、独立モ
ードでの制御条件が満足されているか否かを判定し、こ
のステップW10で独立モードでの制御条件が満足され
ているYESと判定されたときは、ステップW11にお
いてマニュアルスイッチS13の操作状態が「独立モー
ド」の選択であるか否かを判定する。ステップW11で
マニュアルスイッチS13の操作状態が「独立モード」
の選択であるYESと判定されたときは、ステップW1
3において独立モードでのモータML,MRによる駆動
補助を実行する。
【0081】また、ステップW11でマニュアルスイッ
チS13の操作状態が「独立モード」の選択でないNO
と判定されたときは、ステップW12において極悪路で
あるか否かを判定し、このステップW12で極悪路でな
いNOと判定されたときは、ステップW14において旋
回時であるか否かを判定し、このステップW14で旋回
時でないNOと判定されたときに、ステップW15にお
いて統合モードによるモータML,MRによる駆動補助
を実行する。また、ステップW10で独立モードでの制
御条件が満足されていないNOと判定されたとき、ステ
ップW12で極悪路であるYESと判定されたとき、ス
テップW14で旋回時であるYESと判定されたとき
は、それぞれステップW2においてモータML,MRに
よる駆動補助を禁止する。
【0082】 [独立モード正駆動制御の説明(図10及び図11参
照)] 図10及び図11は、独立モードでの正駆動制御の詳細
を示す。尚、統合モードでの正駆動制御は、左右後輪に
ついて同じ目標車速を与える点において異なるのみで、
独立モードでの正駆動制御と実質的に同じように行われ
る。
【0083】先ず、ステップZ1において、対地車速V
Aや車輪速VB等の信号を入力した後、ステップZ2に
おいて、アクセル開度と変速機4の変速段とをパラメー
タとして目標車速VTRを設定する。
【0084】次いで、ステップZ3において、目標車速
VTRから左後輪1RLの実際の車輪速VBLを差し引
いた値が所定速度V1以上であるか否かを判定する。こ
のステップZ3の判定がN0のときは、正駆動による駆
動補助は必要ない状態であるとし、ステップZ13にお
いて左後輪の正駆動を中止する。上記ステップZ3,Z
14の処理は、右後輪1RRについても左後輪1RLと
別個独立して行う。尚、上記所定速度V1は加速に十分
なスリップ量を示す速度に設定されるが、一定値でもよ
く、車速VAが大きいほど大きくなるように可変の値と
して設定することもできる。
【0085】上記ステップZ3の判定がYESのとき
は、ステップZ4においてアクセルが全閉であるか否か
を判定し、ステップZ4の判定がYESのときも、モー
タML,MRを利用した駆動補助は必要ない状態である
として、ステップZ14に移行する(この場合は、左右
後輪1RL,1RRを同時に正駆動中止する)。
【0086】ステップZ4の判定がNOのときは、ステ
ップZ5において車速VAとハンドル舵角とに基づい
て、車体に作用する横Gを演算する。この後、ステップ
Z6において、この横Gに基づいた補正係数k1,k2
を設定する。つまり、ここで、旋回時に回転差が生ずる
旋回外輪と旋回内輪との目標車輪速をそれぞれ補正する
ための補正係数が得られることになる。そして、ステッ
プZ7(図11)において、右旋回であるか否かを判定
する。このステップZ7の判定がYESのときはステッ
プZ9に進み、ステップZ2で決定された目標車速VT
Rに対して補正係数k1を乗算することにより、左後輪
1RLの目標車輪速VTRLを算出し、同様に、目標車
速VTRに対して補正係数k2を乗算することにより、
右後輪1RRの目標車輪速VTRRを算出する。
【0087】ステップZ7の判定がNOのときは、ステ
ップZ8において左右後輪1RL,1RRの各目標車輪
速を算出する。このステップZ6〜Z9の処理は、つま
るところ、旋回外輪側の目標車輪速を大きくし、旋回内
輪側の目標車輪速を小さくする処理に相当する。但し、
直進時には、ステップZ7の判定がNOとなってステッ
プZ8へ移行するが、このときは補正係数k1,k2が
共に1とされているので(横Gが0或いは略0であ
る)、左右後輪1RL,1RRの目標車輪速は互いに等
しくされることになる。
【0088】ステップZ8又はステップZ9の後は、ス
テップZ10において、目標車輪速VTRL(VTR
R)から後輪1RL(1RR)の実際の車輪速VBL
(VBR)を差し引いた値に応じて、モータML(M
R)に供給する油量Qを決定する。この油量Qは、左右
のモータML,MRに対して個々独立して決定されるも
のである。そして、ステップZ11において、決定され
た油量Qを実現するように、切換弁VVB・L,VVB
・Rを個々独立して制御する。
【0089】その後のステップZ12においては、車速
VAから左後輪1RLの実際の車輪速VBLを差し引い
た値が所定速度「−V2」よりも小さいか否かを判定す
る。このステップZ12の判定は、つまるところ、左後
輪1RLの実際の車輪速VBLが車速VAに比して大き
過ぎるか否かの判定となるもので、この判定がYESの
ときは、ステップZ13において後輪が所定スリップ値
を維持するように供給流量Qを小さくする補正を行う。
尚、ステップZ12,Z13の処理は右後輪1RRにつ
いても同様に行う。ステップZ12の判定がNOのとき
は、ステップZ13を経ることなくリターンする。
【0090】統合モードでの正駆動制御においてはステ
ップZ5〜Z9の処理が不用になり、ステップZ2で決
定された目標車速VTRが左右後輪1RL,1RRの目
標車輪速VTRL,VTRRとなる。また、ステップZ
11での流量Qを実現するために、切換弁VVAが利用
される。
【0091】 [独立モード逆駆動制御の説明(図12及び図13参
照)] 図12及び図13は独立モードでの逆駆動の詳細を示
す。尚、統合モードでの逆駆動制御は、流量調整に用い
られる切換弁が独立モード時に用いられる切換弁と相違
するのみであり、その他は独立モードでの正駆動制御と
同じように行われる。
【0092】先ず、ステップZ21において各種信号を
入力した後、ステップZ22において逆駆動フラグが1
であるか否かを判定する。このステップZ22の判定が
NOのときは、ステップZ35において、ハンドル舵角
と車速VAとをパラメータとして設定された領域のどこ
に現在状態があるかの確認を行う。その後、ステップZ
36において現在の状態がステップZ35に示す領域中
ハッチングを施したC領域にあるか否かを判定する。こ
のステップZ36の判定がYESのときは、ステップZ
37において逆駆動フラグを1にセットした後、ステッ
プZ21に戻る一方、ステップZ36の判定がNOのと
きは、ステップZ37を経ることなくステップZ21に
戻る。
【0093】ステップZ37を経たときはステップZ2
2の判定がYESとなり、このときは、ステップZ23
において現在ABS制御中であるか否かを判定する。こ
のステップZ23の判定がNOのときは、ステップZ2
4においてブレーキ踏込み量が大きいか否かを判定す
る。このステップZ24の判定がNOのときは、ステッ
プZ25において車速VAが所定値V3以下の低車速時
であるか否かを判定する。
【0094】ステップZ25の判定がNOのときは、ス
テップZ26においてアクセルペダルの戻し速度Xが基
準値X0以上にあるかどうかを判定し、この判定がX≧
X0のYESのときには、ステップZ27において、セ
ンサS10からの出力信号を基にフットブレーキがON
状態にあるかどうかを判定する。この判定が「フットブ
レーキOFF」のNOのときにはステップZ28でゲイ
ンKをK=1に、また「フットブレーキON」のYES
のときにはステップZ29でゲインKをK=1.5にそ
れぞれ設定した後、ステップZ30に進み、ここで車速
VAと変速機4の変速段とをパラメータとしたマップか
らモータML,MRに対する供給流量QAを読み込む。
上記マップは、変速機4の変速段が低いほど供給流量Q
Aが大きく、かつ各変速段において車速VAの増大に応
じて供給流量QAが増大するように設定されている。こ
の後、ステップZ31で供給流量QAに上記ゲインKを
乗じて最終の供給流量Qを決定する。そして、ステップ
Z32において、ステップZ31で決定された流量Qが
左右のモータML,MRに供給されるように切換弁VV
B・L,VVB・Rを制御する。このステップZ32の
後はステップZ33,Z34の処理が行われるが、この
処理は図11のステップZ12,Z13の処理に対応し
ており、逆駆動力が大きくなり過ぎるのを補正する処理
となる。
【0095】上記ステップZ23,Z24,Z25のい
ずれかの判定がYESのとき、又はステップZ26の判
定がNOのときは、ステップZ38において逆駆動制御
を中止した後、ステップZ39において逆駆動フラグを
0にリセットする。
【0096】尚、統合モードでの逆駆動制御は、ステッ
プZ31で決定された流量Qを実現する切換弁として、
VVAが利用される。
【0097】 [トラクション制御制御の説明(図14及び図15参
照)] 図14及び図15は、図5のステップE24の判定がY
ESのときに行われるもので、制御ユニットU3によっ
てトラクション制御が実行されているときのモータM
L,MRを利用した駆動補助(左右独立した正駆動とな
る)の制御となる。
【0098】先ず、ステップZ41において各種信号を
入力した後、ステップZ42において、制御ユニットU
3のトラクション制御に起因して生じる前輪1FL,1
FRへの付与トルクの減少量、つまりエンジン2での発
生トルク減少量TFを制御ユニットU3からの信号に基
づいて読み込む。この後、ステップZ43において上記
トルク減少量TFに応じた車速の減少量VCを決定す
る。
【0099】ステップZ44では、モータML,MRに
供給すべき供給流量Qを車速減少量VCに応じて決定す
る。この供給流量Qは、モータML,MRの合計発生ト
ルクがエンジン2の発生トルク低減量と同じになるよう
に決定される。この後、ステップZ45においてトラク
ション制御が中止されたか否かを判定する。ステップZ
45の判定がNOのときは、ステップZ46において車
速VAとハンドル舵角とに基づき車体に作用する横Gを
演算する。この後、ステップZ47において、この横G
に基づいた補正係数F1,F2を設定する。つまり、こ
こで、旋回時に回転差が生ずる旋回外輪と旋回内輪とに
対応するモータML,MRへの供給流量の分配割合、つ
まりトルクの分配比を決定するための補正係数が得られ
ることになる。そして、ステップZ48(図15)にお
いて右旋回であるか否かを判定する。このステップZ4
8の判定がYESのときは、ステップZ49において、
ステップZ44で決定された供給流量Qに対して補正係
数F1を乗算することにより、左後輪1RLを駆動させ
るモータMLへの作動油の供給流量QTRLを算出し、
同様に、ステップZ44で決定された供給流量Qに対し
て補正係数F2を乗算することにより、右後輪1RRを
駆動させるモータMRへの作動油の供給流量QTRRを
算出する。
【0100】また、ステップZ48の判定がNOのとき
は、ステップZ50において、左旋回であるか否かを判
定する。このステップZ50の判定がYESのときは、
ステップZ51において、ステップZ44で決定された
供給流量Qに対して補正係数F2を乗算することによ
り、左後輪1RLを駆動させるモータMLへの作動油の
供給流量QTRLを算出し、同様に、ステップZ44で
決定された供給流量Qに対して補正係数F1を乗算する
ことにより、右後輪1RRを駆動させるモータMRへの
作動油の供給流量QTRRを算出する。
【0101】さらに、ステップZ50の判定がNOのと
きは直進状態であるので、ステップZ52に進み、ステ
ップZ44で決定された供給流量Qに0.5を乗算する
ことにより、各モータML,MRへの作動油の供給流量
QTR(L,R)を算出する。
【0102】このステップZ47〜Z52の処理は、つ
まるところ、旋回外輪側の駆動力を大きくし、旋回内輪
側の駆動力を小さくする処理に相当する。
【0103】このような処理の後は、ステップZ53に
おいて、決定された油量QTR(L,R)を実現するよ
うに切換弁VVB・L,VVB・Rを個々独立して制御
する。ステップZ54においては、車速VAから左後輪
1RLの実際の車輪速VBLを差し引いた値が所定速度
「−V4」よりも小さいか否かを判定する。このステッ
プZ54の判定は、つまるところ、左後輪1RLの実際
の車輪速VBLが車速VAに比して大き過ぎるか否かの
判定となるもので、ステップZ54の判定がYESのと
きは、ステップZ55において、後輪が所定スリップ値
を維持するように供給流量Qを小さくする補正を行う。
尚、ステップZ54,Z55の処理は、右後輪1RRに
ついても同様に行う。ステップZ54の判定がNOのと
きは、ステップZ55を経ることなくリターンする。
【0104】[停車モード制御の説明(図16参照)] 図16は、図4のステップD9における停車モードの制
御内容を示すものである。先ず、ステップZ61におい
て各種信号を入力した後、ステップZ62においてアク
セルが踏込み操作されているか否かを判定する。このス
テップZ62の判定がNOのときは、ステップZ63に
おいて目標車速VTRを0にセットした後、ステップZ
64において、左右後輪1RL,1RRの実際の車輪速
VBL或いはVBRがそれぞれ目標車速VTRとなるよ
うにモータML,MRに対する供給流量をフィードバッ
ク制御する(左右独立した制御)。
【0105】ところで、変速機4が自動変速機とされた
場合(この場合は、クラッチ3がトルクコンバータとさ
れる)には、アクセルを踏込み操作していなくても極低
速でのクリープと呼ばれる走行が行われるようになって
いる。このクリープを得るために、目標車速VTRを例
えば5km/h等に設定すれば、停車中の路面の傾斜に
拘りなく、常にクリープ速度を一定に維持することがで
きる。そして、目標車速VTRを例えばマニュアル式に
0〜15km/h程度の範囲で連続可変式或いは無段階
式に選択し得るようにすることもできる(目標車速が0
のときはクリープなし)。
【0106】この実施例では、上記ステップZ30によ
り、変速機4の変速段に基づいて車両の運転状態を検出
するようにした運転状態検出手段101が構成されてい
る。
【0107】さらに、ステップE30,E31,E3
6,E37,Z24,Z26,Z27,Z31により、
車両の減速状態が緩減速状態にあるときには、油圧ロッ
クモードとなり、上記油圧アクチュエータML,MRに
接続される作動油路を絞ってその絞り抵抗により車両へ
の減速力を与える一方、アクセルペダルの戻し速度Xが
基準値X0以上であるとき、又はフットブレーキペダル
が踏み込まれたときには、上記車輪1RL,1RRに制
動負荷を与えるために上記油圧アクチュエータML,M
Rを逆駆動するように上記第2駆動手段99を制御する
制御手段102が構成されている。そして、この制御手
段102は、上記運転状態検出手段101 により検出さ
れた変速機4の変速段が低いほど上記油圧アクチュエー
タML,MRによる車輪1RL,1RRに対する逆駆動
力を増大させるように構成されている。
【0108】したがって、上記実施例においては、車両
所定の減速時にアキュムレータ41にモータML,M
Rの駆動エネルギーとしての油圧が蓄えられる。また、
車両の減速状態が緩減速状態にあると、油圧ロックモー
ドとなり、切換弁VVB・L,VVB・Rが中央切換位
置にあってライン20L,21L,20R,21Rが遮
断され、かつ開閉弁VVDが閉じられ、また可変オリフ
ィスVVC・L,VVC・Rが開かれる。この状態で
は、作動油はモータML(MR)の回転に応じて、可変
オリフィスVVC・L(VVC・R)を含んで形成され
る閉じられた閉油圧回路を循環され、その循環中に作動
油が通過する可変オリフィスVVC・L(VVC・R)
の絞り抵抗が車両への減速力を与える。
【0109】これに対し、車両の運転状態として変速機
4の変速段、フットブレーキペダルの踏込み状態及びア
クセルペダルの戻し速度Xがそれぞれ検出され、フット
ブレーキペダルの踏込み時、或いはアクセルペダルの戻
し速度Xが基準値X0以上であって、車両が急減速状態
になると、その急減速時には、上記アキュムレータ41
に蓄えられている油圧POによりモータML,MRが逆
駆動され、この逆駆動によりエンジン2の制動力とは独
立的に後輪1RL,1RRが制動される。このようにエ
ンジン2と前輪1FL,1FRとを連結した第1駆動手
段98とは別個に独立して第2駆動手段99が作動し、
そのモータML,MRにより後輪1RL,1RRに制動
負荷が与えられるので、このモータML,MRによる制
動負荷特性を可変とすることで、エンジン2のみによる
エンジンブレーキ効果を得る場合に比べ、多様なエンジ
ンブレーキ効果を得ることができ、例えば制動負荷の増
大により車両制動距離を短縮することができる。しか
も、車両の減速時には自動的にモータML,MRによる
エンジンブレーキ効果が加わるので、乗員の負担を軽減
して車両の運転性を向上させることができる。
【0110】その際、車両の運転状態として変速機4の
変速段、フットブレーキペダルの踏込み状態及びアクセ
ルペダルの戻し速度がそれぞれ検出され、これら車両運
転状態に応じて後輪1RL,1RRに対する制動負荷が
可変とされる。具体的には、フットブレーキペダルの踏
込み時、或いはアクセルペダルの戻し速度Xが基準値X
0以上であるときに、何れも制御ゲインKがK=1.5
と大に設定されてモータML,MRに対する供給流量Q
が増加され、また変速機4の変速段が低いときにはマッ
プ特性に基づいて供給流量Qが増加される。この供給流
量Qの増加に伴い後輪1RL,1RRに対する制動負荷
が増大される。こうして車両の運転状態に応じてモータ
ML,MRによる後輪1RL,1RRの制動負荷が変わ
るので、そのモータML,MRによる制動負荷とエンジ
ン2による制動負荷とを加えた車両全体のエンジンブレ
ーキ特性を、車両の運転状態に応じた適正な制動特性と
することができる。
【0111】すなわち、変速機4の変速段が低いほど大
きな減速度の要求があると見做されて、後輪1RL,1
RRに対する制動負荷が増大するので、変速機4の変速
段に応じた適正なエンジンブレーキ特性が得られる。ま
た、フットブレーキペダルの踏込み時は大きな制動力が
要求されている状態とされ、このときにも後輪1RL,
1RRに対する制動負荷が増大するので、大きな制動力
に見合った適正なエンジンブレーキ特性が得られる。さ
らに、アクセルペダルの戻し速度Xが基準値X0以上で
速いときにも、大きな制動力が要求されているので、こ
のときも後輪1RL,1RRに対する制動負荷が増大さ
れ、大きな制動力に見合った適正なエンジンブレーキ特
性が得られる。
【0112】尚、本発明は上記実施例に限らず、次のよ
うな変形例をも含むものである。
【0113】(1)マニュアルスイッチが選択している
モード(統合モード或いは独立モード)と、図4のステ
ップD12(図5〜図8参照)で制御条件が成立してい
たモード(統合モード或いは独立モード)とが相違する
ときは、モータML,MRを利用した駆動補助を何等行
わないようにしてもよい。
【0114】(2)悪路の場合についても、良路の場合
と全く同じようにモータML,MRを利用した駆動補助
を行うようにしてもよい。
【0115】(3)マニュアルスイッチによるモード選
択に優先して、悪路に応じた統合モードと独立モードと
の制御領域の設定を行うようにしてもよい。
【0116】また、極悪路では独立モードでの制御のみ
を許容する一方、緩悪路では統合モードでの制御を許容
するようにしてもよい。これとは逆に、極悪路では統合
モードでの制御のみを許容する一方、緩悪路では独立モ
ードでの制御を許容するようにしてもよい。
【0117】(4)左右後輪1RL,1RRをエンジン
2により駆動し、左右前輪1FL,1FRをモータM
L,MRにより駆動するようにしてもよい
【0118】(5)直進時は、低速時は独立モードと
し、高速時は統合モードとしてもよい。このような設定
は、高μ路で行うこともできるが、特に低μ路において
行うことで、低速時の走破性向上と、高速時での直進安
定性とを満足させる上で好ましいものとなる。
【0119】(6)手動変速機4に限らず、自動変速機
を搭載した車両に適用することもできる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、左右前輪又は左右後輪の何れか一方の車輪をエ
ンジンにより変速機を介して駆動する第1駆動手段と、
他方の車輪を油圧アクチュエータで駆動する第2駆動手
段とを備え、車両の減速時に油圧アクチュエータにより
車輪に制動負荷を与えるようにした車両に対し、その緩
慢速時には、油圧アクチュエータに接続される作動油路
を絞ってその絞り抵抗に より車両への減速力を与える一
方、アクセルペダルの戻し速度が所定値以上であると
き、又はフットブレーキペダルが踏み込まれたときに
は、油圧アクチュエータを逆駆動するように上記第2駆
動手段を制御するので、第1駆動手段のエンジンのみに
よるエンジンブレーキ効果を得る場合に比べ、例えば制
動負荷の増大によりブレーキペダルの踏み操作までの空
走距離を短くでき、延いては車両制動距離の短縮化、及
び乗員の負担軽減による車両の運転性の向上を図ること
ができるとともに、アクセルペダルの戻し速度が速く、
又はフットブレーキペダル踏込み時で大きな制動力が要
求されているときには、油圧アクチュエータが逆駆動さ
れて、車輪対する制動負荷が緩制動時よりも増大される
ので、車両の減速状態に見合った適正なエンジンブレー
キ特性を得ることができる。
【0121】請求項2の発明によると、車両の運転状態
として変速機の変速段を検出し、この変速機の変速段が
低いほど油圧アクチュエータによる車輪に対する逆駆動
力を増大させるようにしたので、変速機の変速段に応じ
た適正なエンジンブレーキ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係る車両の油圧系統を示す説
明図である。
【図3】制御系統を示すブロック図である。
【図4】モータ駆動制御ルーチンを示すメインフローチ
ャート図である
【図5】モード判定制御ルーチンの一部を示すフローチ
ャート図である。
【図6】モード判定制御ルーチンの残部を示すフローチ
ャート図である。
【図7】モード判定制御ルーチンの他の残部を示すフロ
ーチャート図である。
【図8】モード判定制御ルーチンのさらに他の残部を示
すフローチャート図である。
【図9】実行判定制御ルーチンを示すフローチャート図
である。
【図10】独立正駆動制御ルーチンの一部を示すフロー
チャート図である。
【図11】独立正駆動制御ルーチンの残部を示すフロー
チャート図である。
【図12】独立逆駆動制御ルーチンの一部を示すフロー
チャート図である。
【図13】独立逆駆動制御ルーチンの残部を示すフロー
チャート図である。
【図14】トラクション制御ルーチンの一部を示すフロ
ーチャート図である。
【図15】トラクション制御ルーチンの残部を示すフロ
ーチャート図である。
【図16】停車モードの制御ルーチンを示すフローチャ
ート図である。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪 1RL,1RR 後輪 2 エンジン 4 変速機 41 アキュムレータ 98 第1駆動手段 99 第2駆動手 01 運転状態検出手段 102 制御手段 P ポンプ ML,MR モータ(油圧アクチュエータ) U1 メイン制御ユニット S6 変速段センサ S9 アクセル開度センサ S10 フットブレーキ踏込みセンサ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右前輪又は左右後輪の何れか一方の車
    輪をエンジンにより駆動する第1駆動手段と、他方の車
    輪を油圧アクチュエータにより駆動する第2駆動手段と
    を備え、車両の減速時に上記油圧アクチュエータにより
    車輪に制動負荷を与えるようにした車両の駆動装置にお
    いて、車両の減速状態が緩減速状態にあるときには、上記油圧
    アクチュエータに接続される作動油路を絞ってその絞り
    抵抗により車両への減速力を与える一方、車両の運転状
    態としてのアクセルペダルの戻し速度が所定値以上であ
    るとき、又はフットブレーキペダルが踏み込まれたとき
    には、上記車輪に制動負荷を与えるために上記油圧アク
    チュエータを逆駆動するように上記第2駆動手段を制御
    する制御手段 を設けたことを特徴とする車両の駆動装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の駆動装置におい
    て、 車両の運転状態として変速機の変速段を検出する運転状
    態検出手段を設け、 制御手段は、上記運転状態検出手段により検出された変
    速機の変速段が低いほど上記油圧アクチュエータによる
    車輪に対する逆駆動力を増大させるように構成されてい
    ことを特徴とする車両の駆動装置。
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