JP3320884B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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JP3320884B2 JP1797694A JP1797694A JP3320884B2 JP 3320884 B2 JP3320884 B2 JP 3320884B2 JP 1797694 A JP1797694 A JP 1797694A JP 1797694 A JP1797694 A JP 1797694A JP 3320884 B2 JP3320884 B2 JP 3320884B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵装置に関
し、特に、運転者のステアリングホイール操舵に応じて
後輪又は前輪を強制的に操舵して車両の運転性や安定性
を高めるようにしたものの改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の車両の操舵装置とし
て、運転者のステアリングホイール操作時に前輪の操舵
角に対応する後輪の操舵角の比つまり操舵比を車速に応
じて決定し、該操舵比で後輪を前輪の操舵に合せて操舵
制御するものが知られている。このものでは、運転者の
意思に合致した操舵性能を得ることが可能である反面、
運転者がステアリングホイールを操作した直後の初期状
態では、前輪と後輪とが同相になる場合が多いため、該
初期状態での車両の回頭性が低い憾みがあった。
【0003】そのため、従来、例えば特開平1−262
268号公報に開示されるものでは、運転者のステアリ
ングホイール操舵量に基づいて車両の制御目標ヨーレイ
トを演算するとともに、車両のヨーレイトを実測し、該
ヨーレイトの実測値と制御目標値との偏差に応じたフィ
ードバック制御量でもって後輪の操舵角をフィードバッ
ク制御することにより、ステアリングホイール操作直後
の初期状態でもヨーレイトを素早く発生させて、初期状
態での車両の回頭性を高めるようにしている。しかし、
この従来のフィードバック制御では、ヨーレイトの実測
値と制御目標値との偏差のみに応じて後輪操舵角のフィ
ードバック制御量を演算して後輪を操舵制御する、1入
力1出力制御系であるため、例えば車両の横滑り角が大
値の場合には小値の場合に比べて制御のハンチングが生
じ易くなる。このため、制御のハンチングが生じ難くな
るよう制御ゲインを常に小値に設定する必要があるが、
その場合、制御目標ヨーレイト値への速応性が悪くなる
とともに、実際ヨーレイトを制御目標値に精度良く制御
することができず、定常特性を高めるにも限界があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人は、
先に、例えば特願平4−237437号等の明細書及び
図面において、上記のフィードバック制御に代えて、実
測ヨーレイトの状態フィードバック制御を採用すること
を提案している。このヨーレイトの状態フィードバック
制御は、車両のヨーレイトを実測する他、車両の複数の
状態変数、例えば車両の横滑り角、前輪及び後輪のコー
ナリングフォース等を車両の状態方程式及び出力方程式
に基づいて推定して車両の運動状態を把握し、これらの
状態変数を用いて車両の実際ヨーレイトを制御目標値に
するよう例えば後輪操舵角を最適制御するものである。
この制御系は多変数1出力制御系であるので、車両の運
動状態に合致したフィードバック制御量でもって後輪等
を操舵制御でき、ステアリングホイール操作時当初の車
両の回頭性を向上できる等、制御の速応性及び定常特性
の双方の向上を図ることが可能である。
【0005】更に、本出願人は、上記の状態フィードバ
ック制御では、次のような欠点があることに着目し、こ
れを解消するためにH∞制御を適用することを発明し
た。すなわち、状態フィードバック制御では、車両の横
滑り角やコーナリングフォース等の推定に際し、車速や
車輪のコーナリングパワーを定数として演算している
が、これらは実際には変数であり、後者の車輪のコーナ
リングパワーは路面の摩擦係数やタイヤの空気圧に応じ
て変化するものである。従って、予め設定した車両の運
動特性の下では、制御の速応性及び定常特性の向上を図
り得るが、図23に示すように車速や路面の摩擦係数μ
等の変化に応じて車両の運動特性に大きな変化が生じる
と、車両の横滑り角等の推定に誤差が生じて最適制御に
ズレが生じ、その分、目標ヨーレイトへの速応性が低下
するとともに、車両の安定性は保証されなくなる。
【0006】そこで、例えば制御系の一巡伝達関数が
「1」以下であることを全ての周波数領域に亘って満足
させて、制御系の安定性の向上を図るH∞制御(例えば
学会誌「計測と制御」の第29巻,第2号(1990年
2月)の第111頁〜第119頁参照)に着目して、車
両の特性変動に対する安定性つまりロバスト安定性の向
上を図ることが考えられる。この前輪又は後輪操舵に対
するH∞制御は、車両の定常特性及び速応性がステアリ
ングホイール操舵の周波数として例えば1Hz以下の低
周波数域で要求され、1Hzを越える高周波数域では車
両の特性変動時の安定性が要求され、これらの要求が周
波数領域で異なる点から、同学会誌にも開示されるよう
に混合感度問題として捉え、前輪又は後輪の操舵に対す
る車両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制御ゲイン
特性として、車両の速応性及び定常特性を与える性能目
標指標と、該性能目標指標とは相補感度関数の関係にあ
る車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指標との
2種を設定し、低周波数域では前者を、高周波数域では
後者を重視して、制御ゲインを周波数軸で決定するもの
である。従って、H∞制御を利用すれば、車両の特性変
動があっても、その変動が設定許容幅の中であれば、常
に車両の速応性、定常性能及び安定性の全てを良好に制
御し得る。
【0007】しかしながら、上記従来のヨーレイトのフ
ィードバック制御、並びに本出願人が提案のヨーレイト
の状態フィードバック制御及びH∞制御では、いずれも
車輪の横滑り角に対する車輪のコーナリングフォースが
線形な運転領域で車両を安定して制御できるものの、非
線形な運転領域では、車両を確実に安定して制御し得る
ことは困難である。
【0008】そこで、本出願人は、先に、このような問
題を解決するために、従来のヨーレイトのフィードバッ
ク制御、状態フィードバック制御及びH∞制御等におい
て、該制御が車両の安定性を保証する範囲を越えて車両
が特性変動した場合にはマップ制御に変更することを提
案している(特願平5−67683号)。このマップ制
御は、予め設定されたマップに基づいて、ステアリング
ホイール操舵に応じた制御量を設定し、該制御量でもっ
て操舵制御を行うものであり、制御系が本質的に安定な
ものである。
【0009】しかし、例えば上記マップ制御で後輪を前
輪の操舵方向と同じ同位相に操舵する場合、その操舵角
は、ステアリングホイール操舵に応じて一義的に設定さ
れるが、アンダステアリング特性が強くなるのを回避す
るために余り大きくすることができない。そのため、車
両の運動変化が激しいとき、また運転者の運転操作に大
きな変化が生じたときには車両の安定性を十分に確保す
ることはできない。
【0010】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、上記マップ制御で後
輪を前輪の操舵に応じて操舵する場合、車両の運動変化
が激しいとき、また運転者の運転操作に大きな変化が生
じたときはマップ制御に対し適切な補正を加えることに
より、車両の安定性を十分に確保し得る車両の操舵装置
を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1〜3記載の発明は、車両の操舵装置とし
て、車輪をステアリングホイールとは別途に操舵する操
舵手段と、車両に発生する実際のヨーレイトを検出する
ヨーレイト検出手段と、該検出手段により検出された実
際ヨーレイトと目標ヨーレイトとの偏差に基づいて制御
量を演算し、該制御量により実際ヨーレイトを目標ヨー
レイトに一致させるよう上記操舵手段をフィードバック
制御する第1の制御手段と、該第1の制御手段による制
御が車両の安定性を保証する範囲を越えたときを判定す
る判定手段と、予め設定されたマップに基づいて、ステ
アリングホイール操舵に応じて設定される制御量で上記
操舵手段を制御する第2の制御手段と、上記判定手段の
出力を受け、上記第1の制御手段による制御が車両の安
定性を保証する範囲を越えたとき、車輪の操舵制御を該
第1の制御手段による制御から上記第2の制御手段によ
るマップ制御に切換える制御切換手段と、上記マップ制
御に対し、運転者の運転操作に関する第1補正と車両の
挙動としてヨーレイト変化率に関する第2補正とを共に
加える補正手段とを備える構成とする。
【0012】そして、ヨーレイト変化率に関する第2補
正を行う際、上記ヨーレイト変化率として、その実測値
をローパスフィルターに通した値を用いるとともに、上
記ローパスフィルターのカットオフ周波数を、車両の走
行状態に応じて変更するように設ける。ここで、上記ロ
ーパスフィルターのカットオフ周波数は、具体的には、
請求項1記載の発明の如く車速が大きい程高くなるよう
に設けられ、あるいは請求項2記載の発明の如くステア
リングホイールの操舵速度が大きい程高くなるように設
けられる。
【0013】また、請求項3記載の発明では、ヨーレイ
ト変化率に関する第2補正を行う際、上記ヨーレイト変
化率として、その実測値をローパスフィルターに通した
値を用いるとともに、上記ローパスフィルターのカット
オフ周波数を、ステアリングホイールの操舵角とヨーレ
イトとのコヒーレンシーに基づいて変更するように設け
る。
【0014】
【作用】上記の構成により、請求項1〜3記載の発明で
は、第1の制御手段による制御で車両の安定性が保証さ
れる範囲のとき、該制御手段において、実際ヨーレイト
と目標ヨーレイトとの偏差に基づく制御量を演算し、該
制御量により実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致さ
せるよう車輪(後輪又は前輪)の操舵が制御されるの
で、車両の特性が多少変動しても車両の良好な安定性が
確保される。一方、第1の制御手段による車輪の操舵制
御の安定保証範囲を越え、その制御系が非線形領域に入
って不安定になった場合には、車輪の操舵制御が上記第
1の制御手段から第2の制御手段による、制御系が本質
的に安定なマップ制御に切換えられる。そして、このマ
ップ制御中に車両の運動変化が激しいとき、また運転者
の運転操作に大きな変化が生じたときには、補正手段に
より上記マップ制御に対する補正、つまり運転者の運転
操作に関する第1補正と車両の挙動としてのヨーレイト
変化率に関する第2補正とが加えられ、これにより、車
両の安定性が十分に確保される。
【0015】請求項1又は2記載の発明では、ヨーレイ
ト変化率に関する第2補正を行う際、ヨーレイト変化率
として、その実測値をローパスフィルターに通した値を
用いるので、ノイズの影響を受けることなくヨーレイト
変化率を正確に算出して第2補正を適切に行うことがで
きる。しかも、ヨーレイトノイズは、車速やステアリン
グホイール操舵速度が大きい程周波数が高くなることに
対応して、上記ローパスフィルターのカットオフ周波数
が車速やステアリングホイール操舵速度等車両の走行状
態に応じて変更されるので、ヨーレイトノイズの除去が
確実に行われる。
【0016】請求項3記載の発明でも、請求項1又は2
記載の発明と同じく、ヨーレイト変化率に関する第2補
正を行う際、ヨーレイト変化率として、その実測値をロ
ーパスフィルターに通した値を用いるので、ノイズの影
響を受けることなくヨーレイト変化率を正確に算出して
第2補正を適切に行うことができる。しかも、ヨーレイ
トノイズは、基本的には操舵に比例しないヨー成分であ
り、ステアリングホイールの操舵角とヨーレイトとの相
関性つまりコヒーレンシーが低下した周波数域で発生す
ることに対応して、上記ローパスフィルターのカットオ
フ周波数が上記コヒーレンシーに基づいて変更されるの
で、ヨーレイトノイズの除去が確実に行われる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0018】図1は本発明の第1実施例に係わる車両の
操舵装置の概略構成を示し、1はステアリングホイー
ル、2は左右の前輪、3は左右の後輪、10は上記ステ
アリングホイール1の操作により左右の前輪2、2を操
舵する前輪操舵装置、20は該前輪操舵装置10による
前輪2、2の操舵に応じて左右の後輪3、3を操舵する
操舵手段としての後輪操舵装置である。
【0019】上記前輪操舵装置10は、車体幅方向に配
置されたリレーロッド11を有し、該ロッド11の両端
部は各々タイロッド12、12及びナックルアーム1
3、13を介して左右の前輪2、2に連結されている。
該リレーロッド11には、ステアリングホイール1の操
作に連動して該リレーロッド11を左右に移動させるラ
ック&ピニオン機構14が配置され、ステアリングホイ
ール1の操作時にその操作量に応じた角度だけ左右の前
輪2、2を操舵するように構成されている。
【0020】一方、後輪操舵装置20は、上記と同様に
車体幅方向に配置されたリレーロッド21を有し、該ロ
ッド21の両端部は各々タイロッド22、22及びナッ
クルアーム23、23を介して左右の後輪3、3に連結
されている。該リレーロッド21には、該ロッド21を
中立位置に付勢するセンタリングバネ24が配置されて
いるとともに、ラック&ピニオン機構25が配置され、
該機構25には、クラッチ26、減速機構27及びモー
タ28が連携されていて、クラッチ26の締結時にモー
タ28の回転駆動によりラック&ピニオン機構25を介
してリレーロッド21を車幅方向に移動させて、後輪
3,3をモータ28の回転量に応じた角度だけ操舵する
ように構成されている。
【0021】上記モータ28の作動はコントロールユニ
ット29により制御される。該コントロールユニット2
9は、図2に示すように、その内部に、H∞制御を行う
第1の制御手段41を備えている。該制御手段41は、
少なくとも車両の実際ヨーレイト及び推定横滑り角を車
両の状態量とする車両の状態方程式並びに出力方程式に
基づいて図3の制御フローに従い車両の実際ヨーレイト
を制御目標ヨーレイトに状態フィードバック制御するよ
うに、モータ28により後輪3の操舵角を制御する状態
フィードバック制御手段42と、該状態フィードバック
制御手段42の状態方程式及び出力方程式の制御ゲイン
を図4に示す制御ゲイン算出フローに基づいて算出する
制御ゲイン算出手段43とから成っている。
【0022】また、上記コントロールユニット29は、
予め設定記憶されたマップに基づいて後輪3を操舵制御
する第2の制御手段としてのマップ制御手段44と、上
記第1の制御手段41が車両の安定性を保証する範囲を
越えた状況を判定する判定手段45と、該判定手段45
の出力に基づいて後輪3の操舵制御を上記第1の制御手
段41とマップ制御手段44とに選択的に切換える制御
切換手段46と、上記マップ制御手段44による制御に
対し所定の補正を加える補正手段47とを備えている。
【0023】更に、図2において、31は車両に作用す
る横加速度を検出する横加速度センサ、32は車両に発
生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段
としてのヨーレイトセンサ、33は後輪3の操舵角を検
出する後輪操舵角センサ、34は前輪2の操舵角を検出
する前輪操舵角センサ、35は車速を検出する車速セン
サ、36は走行路面の摩擦係数μを検出する路面摩擦係
数センサ、37はアクセルペダルの踏込み状態(ON−
OFF又は踏込み速度)を検出するアクセルセンサ、3
8はブレーキペダルの踏込み状態(ON−OFF又は踏
込み速度)を検出するブレーキセンサであって、これら
各種センサ31〜38の検出信号は、いずれもコントロ
ールユニット29に入力され、該コントロールユニット
29によるモータ28の作動制御に供される。
【0024】次に、上記コントロールユニット29によ
るモータ28の制御を、図4の制御フローに従って説明
する。
【0025】図3において、ステップS1 で例えば20
msec等の設定周期毎の制御タイミングになるのを待
った後、ステップS2 において上記各種センサ31〜3
8の検出信号に基づいて車速Vsp、前輪操舵角Fstg 、
後輪操舵角Rstg 、車両に発生している実際ヨーレイト
yr 、及び車両に作用する横加速度Yg 等車両の各運動
状態量を計測する。
【0026】そして、ステップS3 で車両の目標ヨーレ
イトyrt、及び該目標ヨーレイトyrtと実際ヨーレイト
yr とのヨーレイト偏差en を下記の式により、 yrt={Vsp/(1+A・Vsp2)}×Fstg /L en =yrt−yr 算出する。但し、Aはスタビリティーファクター、Lは
車両のホイールベースである。
【0027】続いて、ステップS4 でH∞制御のフィー
ドバック制御量としての後輪3の操舵量rをH∞制御に
おける下記の車両の状態方程式(1)及び出力方程式
(2)に基づいて、 dXh /dt=Acl・Xh +Bcl・en …(1) r=Ccl・Xh +Dcl・en …(2) 計算する。但し、Xh は車両の複数の状態量に相当する
内部状態量であり、該車両の状態量は例えば車両の横滑
り角、後輪の舵角若しくはその変化速度、前輪及び後輪
のコーナリングフォース、又は車両に作用するヨーレイ
ト等に相当する量(但し、直接物理的な意味を持った状
態量そのものではない)であり、これらを上記両方程式
により推定する。また、Acl,Bcl,Ccl及びDclは制
御ゲインであって、図4に示す制御ゲイン決定フローに
基づいて予め設定される。
【0028】しかる後、ステップS5 で上記推定状態量
Xh の絶対値がリミッター値Xhlより大きいか否かを判
定する。該リミッター値Xhlは、車両の走行状態に応じ
て変更されるもので、例えば車速Vspや車両の加減速度
が高い程小さくなるように、また走行路面の摩擦係数μ
が高い程大きくなるように変更される。
【0029】そして、上記ステップS5 の判定がNOの
ときには、そのままステップS8 で先に求めた制御量r
でもって後輪3の操舵を制御する。一方、判定がYES
のときには、ステップS6 〜S8 において、H∞制御か
ら制御系が本質的にマップ制御に切換えて後輪3の操舵
を制御する。
【0030】すなわち、先ず、ステップS6 で図5に示
すようなマップを用いて制御量rを計算する。マップ制
御量rは、下記の式で示す通り、 r=K1 ×Fstg 前輪の操舵角Fstg と係数K1 との積である。また、係
数K1 は、図5のマップに示すように、車速Vspの関数
値でかつ常に正の値である。従って、マップ制御では、
後輪3を前輪2の操舵方向と同じ同位相に操舵するよう
になっている。
【0031】続いて、ステップS7 で上記マップ制御量
rに対し、下記の置換式により、 r←r×|yr |/K2 +|yr(n)−yr(n-1)|×K0 /Fstg 補正を加える。置換式右辺の第1項は、ヨーレイトyr
が大きいときつまり車両の時点運動が大きいとき、後輪
3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくすることで
車両の安定性を向上させる補正項である。また第2項
は、ステアリングホイール操舵量(つまり前輪操舵角)
Fstg に対するヨーレイト変化率dyr (=yr(n)−y
r(n-1))に関するものであり、運転者の操舵に対する車
両の応答性が敏感なとき、後輪3を前輪2と同相に操舵
する操舵量を大きくすることで車両の安定性を改善する
補正項である。尚、K2 は係数、K0 は補正係数であ
る。また、第2項の補正は、ヨーレイト変化率dyr と
係数K3 との積として求められる補正制御量r0 (=d
yr ×K3 )と代えることができる。但し、係数K3
は、図6に示すように、前輪操舵角Fstg に応じて変更
され、前輪操舵角Fstg が大きい程小さくなる。
【0032】しかる後、ステップS8 で補正したマップ
制御量rでもって後輪3の操舵を制御する。
【0033】図3の制御フローのうち、ステップS3 及
びS4 の計算は状態フィードバック制御手段42で行わ
れるものであって、該状態フィードバック制御手段42
は、車両の実際ヨーレイトyrt、車速Vsp及び前輪2の
操舵角Fstg に基づいて車両の内部状態量Xh を推定す
るとともに、該内部状態量Xh から後輪3の操舵制御量
rを算出し、該制御量rによりモータ28を作動させて
後輪操舵を制御するように設けられている。また、ステ
ップS6 の計算はマップ制御手段44で行われるもので
あって、該制御手段44は、図5のマップに基づいて、
ステアリングホイール操舵に応じてマップ制御量rを算
出し、該制御量rによりモータ28を作動させて後輪操
舵を制御するように設けられている。
【0034】更に、ステップS5 の判定は判定手段45
で行われるものであって、該判定手段45は、上記状態
フィードバック制御手段42によるH∞制御で推定され
る内部状態量Xh がリミッター値Xhlより大きくなった
とき、上記H∞制御が車両の安定性を保証する範囲を越
えたものと判定するようになっている。ステップS5か
らステップS6 への移行は制御切換手段46により行わ
れる。ステップS7 の補正は補正手段47により行われ
るものであって、該補正手段47は、マップ制御量rに
対し、運転者の運転操作に係わるステアリングホイール
操舵角ないし前輪操舵角Fstg に関する第1補正と、車
両の挙動に係わるヨーレイトyr 及びヨーレイト変化率
(yr(n)−yr(n-1))に関する第2補正とを共に加える
ように設けられている。
【0035】次に、図4に示すH∞制御における制御ゲ
イン決定フローを説明する。
【0036】図4において、先ず、ステップS11で後輪
3の操舵に対する車両のヨーレイト変化の周波数伝達関
数の制御ゲイン特性としての車両の特性変動時の安定性
を与える性能目標指標W3 を変更するための補正係数
(重み)Wn を車速Vspに応じて変更する。この変更
は、同ステップS11に示す如く、車速Vspの上昇に応じ
て補正係数Wn を大値に決定して行う。
【0037】その後、ステップS12で上記車両の特性変
動時の安定性を与える性能目標指標W3 を下記のラプラ
ス変数sの2次式に基づいて決定する。
【0038】 W3 =(s2+Wn ・s+c)/a 但し、a及びcは定数である。上記の式に基づけば、図
21に示すように、車両の特性変動時の安定性を与える
性能目標指標W3 は、補正係数Wn が大値のとき低周波
数側に変更され、補正係数Wn が小値のとき高周波数側
に変更される。
【0039】続いて、ステップS13で今度は後輪3の操
舵に対する車両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制
御ゲイン特性としての車両の速応性及び定常特性を与え
る図21に示す性能目標指標W1 (但し、逆数表示)を
下記のラプラス変数sの3次式に基づいて固定値に指定
する。
【0040】 W1 =(g・s+h)/(s3+d・s2+e・s+f) 但し、d,e,f,g及びhは定数である。
【0041】そして、ステップS14において、上記2つ
の性能目標指標W3 ,W1 を各々状態方程式に変換する
とともに、この両状態方程式と下記に示す車両の状態方
程式(3)及び出力方程式(4)の四者を1つの状態方
程式に合成し、この合成後の状態方程式を2つのリカッ
チ方程式に分解し、この方程式をハミルトン行列により
固有値問題として解を求めることにより、H∞制御の各
制御ゲインAcl〜Dclを求める。
【0042】
【数1】
【0043】但し、車両の状態方程式(3)及び出力方
程式(4)において、βは車両の重心点における横滑り
角、Cf 及びCr は各々前輪及び後輪のコーナリングフ
ォース、Rstg は後輪の操舵角、lf 及びlr は各々前
後車軸と車両重心点との距離、Iは車両のヨーレイトに
対する慣性モーメント、mは車体質量、Vspは車速、G
y は車輪の横弾性係数、Kyf及びKyrは各々前輪及び後
輪のコーナリングパワーである。ここで、車速Vspは車
速センサ39により検出された実際の車速が用いられ、
他は予め設定された固定値である。
【0044】その後、ステップS15で上記各制御ゲイン
Acl〜Dclを双一次変換手法により連続制御系からディ
ジタル制御系に変更して、終了する。尚、各制御ゲイン
Acl〜Dclの決定は上記の逐次演算の他、車両の運動状
態に応じて予めマップに記憶した値を逐次読出す方式で
も可能である。
【0045】以上のような制御ゲイン決定フローの実行
は、制御ゲイン算出手段43で行われるものであって、
該制御ゲイン算出手段43は、後輪3の操舵に対する車
両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制御ゲイン特性
として、車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指
標W3 並びに車両の速応性及び定常特性を与える性能目
標指標W1 の2種と、上記後輪3の操舵角Rstg を入力
とする車両の状態方程式(3)及び出力方程式(4)と
に基づいて、車両の運動特性(制御ゲイン特性)が図2
1に実線で示すように一巡伝達関数が0dbとなる所定
周波数(図21では6.28rad/sec(=1H
z))を越える高周波数域では上記安定性を与える性能
目標指標W3 の直下方に位置し、所定周波数(1rad
/sec)以下の低周波数域では上記定常特性等を与え
る性能目標指標W1 の直上方に位置するように、上記制
御ゲインAcl〜Dclを算出するように設けられている。
【0046】次に、上記第1実施例の作用・効果につい
て説明するに、H∞制御で推定される車両の内部状態量
Xh が小さいときには、H∞制御の下に後輪操舵装置2
0のモータ28が作動して後輪3が前輪2の操舵に応じ
て操舵される。この場合、車両の運動特性は図21に実
線で示すように、所定周波数(6.28rad/se
c)を越える高周波数域では安定性を与える性能目標指
標W3 の直下方に位置し、1rad/sec以下の低周
波数域では定常特性等を与える性能目標指標W1の直上
方に位置するので、図22に示すH∞制御が行われない
通常の車両の運動特性に対して、6.28rad/se
cを越える高周波数域では制御ゲインが小値となり、1
rad/sec以下の低周波数域では制御ゲインは大値
になる。従って、上記高周波数域では、制御ゲインが小
さい分、後輪操舵制御の発振が確実に防止されて車両の
特性変動に対する安定性が向上し、ロバスト安定性が向
上するとともに、低周波数域では運転者のステアリング
ホイール操作に応じて大値の制御ゲインでもって車両は
素早く応答し、かつ車両には目標ヨーレイトに対して偏
差の極く少ないヨーレイトが発生して、速応性及び定常
特性が向上することになる。
【0047】一方、車両の運動状態が何かの原因で一旦
不安定な状態に陥ると、上記内部状態量Xh はリミッタ
ー値Xhlより大きくなり、H∞制御による車両の安定性
を保証する範囲を越える。このときには、H∞制御から
マップ制御に切換えられる。このマップ制御は本質的に
車両の安定性を保証する制御系に形成されているので、
H∞制御の保証範囲を越える非線形領域であっても、車
両を安定して制御することができる。
【0048】その上、上記マップ制御においては、マッ
プに基づいて設定した制御量rに対し補正が加えられ、
ヨーレイトyr が大きいときつまり車両の時点運動が大
きいときには、後輪3を前輪2と同相に操舵する操舵制
御量が大きくなり、また運転者の操舵に対する車両の応
答性が敏感なときにも後輪3を前輪2と同相に操舵する
操舵制御量が大きくなるので、車両の安定性をより向上
させることができる。
【0049】図7は第1実施例に係わる後輪操舵の制御
フローの変形例を示す。この制御フローは、基本的には
図3の制御フローと同じであるが、マップ制御量rに対
する補正が異なる(ステップS7 ´)。すなわち、変形
例の場合、マップ制御量rに対し、下記の置換式によ
り、 r←r×|yr |/K2 +|yr(n)−yr(n-1)|×K0 /|Fstg(n)−Fstg(n-1)| 補正を加える。置換式右辺の第1項は、ヨーレイトyr
が大きいとき、後輪3を前輪2と同相に操舵する操舵量
を大きくすることで車両の安定性を向上させる補正項で
あり、第2項は、ステアリングホイール操舵速度dFst
g (=Fstg(n)−Fstg(n-1))に対するヨーレイト変化
率dyr (=yr(n)−yr(n-1))に関するものであり、
運転者の操舵に対する車両の応答性が敏感なとき、後輪
3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくすることで
車両の安定性を改善する補正項である。尚、K2 は係
数、K0 は補正係数である。また、第2項の補正は、ヨ
ーレイト変化率dyr と係数K4 との積として求められ
る補正制御量r0 (=dyr ×K4 )と代えることがで
きる。但し、係数K4 は、図8に示すように、ステアリ
ングホイール操舵速度dFstg に応じて変更され、操舵
速度dFstg が大きい程小さくなる。
【0050】そして、上記変形例においても、マップに
基づいて設定した制御量rに対し補正が加えられ、ヨー
レイトyr が大きいときには、後輪3を前輪2と同相に
操舵する操舵制御量が大きくなり、また運転者の操舵に
対する車両の応答性が敏感なときにも後輪3を前輪2と
同相に操舵する操舵制御量が大きくなるので、車両の安
定性を向上させることができるのは勿論である。
【0051】図9〜図11は、いずれも第1実施例に係
わる後輪操舵の制御フローのその他の変形例を示すもの
であって、図3の制御フローと異なるところの、マップ
制御量に対する補正部分のフローを示す。
【0052】図9の変形例の場合、ステップS6 でマッ
プ制御量rを計算した後、ステップSa で該マップ制御
量rに対し、車両の挙動に係わるヨーレイトyr に関す
る補正を下記の置換式により、 r←r×|yr |/K2 加える。但し、K2 は係数である。
【0053】続いて、ステップSb で上記ヨーレイトy
r に関する補正を行った後の制御量rに対し、更に運転
者の運転操作に係わるアクセルペダルの踏込み速度ΔA
cpに関する補正を下記の置換式により、 r←r×(1+ΔAcp×K5 ) 加える。上記踏込み速度ΔAcpは、アクセルセンサ37
で検出される実測値が用いられる。また、係数K5 は、
例えば図12に示すように、踏込み速度Acpが2%/秒
以下では0、2〜25%/秒の範囲内では踏込み速度A
cpの増加に伴い一次関数的に増大し、踏込み速度Acpが
25%/秒以上では0.01となる。
【0054】そして、上記変形例においては、マップに
基づいて設定した制御量rに対し補正が加えられ、ヨー
レイトyr が大きいときには、後輪3を前輪2と同相に
操舵する操舵制御量が大きくなり、また運転者のアクセ
ルペダルの踏込み速度が大きい急加速状態のときにも後
輪3を前輪2と同相に操舵する操舵制御量が大きくなる
ので、車両の安定性を向上させることができる。
【0055】図10の変形例の場合、ステップS6 でマ
ップ制御量rを計算した後、ステップSa で該マップ制
御量rに対し、車両の挙動に係わるヨーレイトyr に関
する補正を下記の置換式により、 r←r×|yr |/K2 加える。但し、K2 は係数である。
【0056】続いて、ステップSc でアクセルペダルの
踏込み速度ΔAcpが負の値、つまりアクセルペダルが戻
されているか否かを判定する。この判定がYESのとき
には、ステップSd で上記ヨーレイトyr に関する補正
を行った後の制御量rを0.8倍した値を最終的な制御
量とする一方、判定がNOのときには、ヨーレイトyr
に関する補正を行った後の制御量rをそのまま最終的な
制御量とする。
【0057】そして、上記変形例においては、マップに
基づいて設定した制御量rに対し補正が加えられ、ヨー
レイトyr が大きいときには、後輪3を前輪2と同相に
操舵する操舵制御量が大きくなるので、車両の安定性を
向上させることができる。また、アクセルペダルが戻さ
れているとき、つまり減速状態のときには、後輪3を前
輪2と同相に操舵する操舵制御量が小さくなるので、旋
回性を高めることができる。
【0058】図11の変形例の場合、ステップS6 でマ
ップ制御量rを計算した後、ステップSa で該マップ制
御量rに対し、下記の置換式により、 r←r×|yr |/K2 車両の挙動に係わるヨーレイトyr に関する補正を加え
る。但し、K2 は係数である。
【0059】続いて、ステップSe で上記ヨーレイトy
r に関する補正を行った後の制御量rに対し、更に運転
者の運転操作に係わるブレーキペダルの踏込み速度又は
この踏込み速度と略比例関係にある車両の減速度ΔVsp
に関する補正を下記の置換式により、 r←r×(1+ΔVsp×K6 ) 加える。係数K6 は、例えば図13に示すように、減速
度Vspが1m/s2以下では0、1〜10m/s2の範囲
内では減速度Vspの増加に伴い一次関数的に増大し、減
速度Vspが10m/s2以上では0.02となる。尚、
ブレーキペダルの踏込み速度はブレーキセンサ38で検
出される実測値が用いられ、車両の減速度ΔVspは、車
速Vspの前回値と今回値との差分から算出される。
【0060】そして、上記変形例においては、マップに
基づいて設定した制御量rに対し補正が加えられ、ヨー
レイトyr が大きいときには、後輪3を前輪2と同相に
操舵する操舵制御量が大きくなり、またブレーキ操作に
より減速度Vspが大きいときにも、後輪3を前輪2と同
相に操舵する操舵制御量が大きくなるので、車両の安定
性を高めることができる。
【0061】尚、マップ制御に対するブレーキ操作によ
る補正としては、ブレーキペダルの踏込み操作時に制御
量rを、例えば1.2倍した値を最終的な制御量とする
ようにしても良い。
【0062】図14は本発明の第2実施例に係わる後輪
操舵の制御フローを示す。尚、第2実施例の場合、操舵
装置のハード構成は、第1実施例の場合と同じであり、
以下の制御フローの説明では、図1及び図2に示す部材
符号を用いる。
【0063】図14において、ステップS21で所定周期
毎の制御タイミングになるのを待った後、ステップS22
で車両の運動状態量を計測し、ステップS23で目標ヨー
レイトyt 及びヨーレイト偏差en を計算し、ステップ
S24でH∞制御量rを計算する。これらの計測及び計算
は、第1実施例のとき(図3中のステップS2 〜S4)
と同じである。
【0064】続いて、ステップS25で上記H∞制御量r
の計算途中で求めた車両の内部状態量Xh の絶対値が所
定値(リミッター値)Xhlより大きいか否かを判定す
る。この判定がNOのときには、そのままステップS36
でH∞制御量rでもって後輪3の操舵を制御する。
【0065】一方、上記判定がYESのときには、ステ
ップS26で前輪2の操舵角Fstg の絶対値が所定値Fa
より小さいか否かを判定し、この判定がNOのときに
は、ステップS28でカウンタtを零にリセットした後、
ステップS31へ移行する一方、判定がYESのときに
は、ステップS27でカウンタtを1カウントアップした
後、ステップS29でカウンタtが所定数ta より大きい
か否かを判定する。この判定がNOのときには、そのま
まステップS31へ移行する一方、判定がYESのときに
は、ステップS30で最大操舵速度dFmax 及びカウンタ
tを零にリセットした後、ステップS31へ移行する。そ
して、ステップS31では前輪操舵角の今回値Fstg(n)と
前回値Fstg(n-1)との差分から前輪2ないしステリング
ホイール1の操舵速度dFstg を算出する。続いて、ス
テップS32で該操舵速度dFstg の絶対値と最大操舵速
度dFmax の絶対値との大小比較をし、操舵速度dFst
g の絶対値の方が大きいときには、ステップS33で該操
舵速度dFstg を新たに最大操舵速度dFmax に設定す
る。以上のステップS26〜S35は、結局、車両の直進走
行状態からステアリングホイール1が操舵されたとき、
その操舵中の最大操舵速度dFmax を求めているのであ
る。
【0066】しかる後、ステップS34でマップ制御量r
を計算し、ステップS35で該マップ制御量rに対し、下
記の置換式により、 r←r×|yr |/K2 +dFmax ×yr ×K0 補正を加える。置換式右辺の第1項は、ヨーレイトyr
が大きいときつまり車両の時点運動が大きいとき、後輪
3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくすることで
車両の安定性を向上させる補正項である。また第2項
は、ステアリングホイール操舵速度(特に、その最大
値)dFmax に関するものであり、車両の運動変化が激
しく、運転者がこれに素早く対応しようとしていると
き、後輪3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくす
ることで車両の安定性を改善する補正項である。そし
て、ステップS36で補正後の制御量rでもって後輪3を
操舵する。
【0067】図14の制御フローのうち、ステップS23
及びS24の計算は状態フィードバック制御手段42で行
われるものであって、該状態フィードバック制御手段4
2は、車両の実際ヨーレイトyrt、車速Vsp及び前輪2
の操舵角Fstg に基づいて車両の内部状態量Xh を推定
するとともに、該内部状態量Xh から後輪3の操舵制御
量rを算出し、該制御量rによりモータ28を作動させ
て後輪操舵を制御するように設けられている。また、ス
テップS34の計算はマップ制御手段44で行われるもの
であって、該制御手段44は、予め設定されたマップに
基づいて、ステアリングホイール操舵に応じてマップ制
御量rを算出し、該制御量rによりモータ28を作動さ
せて後輪操舵を制御するように設けられている。
【0068】更に、ステップS25の判定は判定手段45
で行われるものであって、該判定手段45は、上記状態
フィードバック制御手段42によるH∞制御で推定され
る内部状態量Xh がリミッター値Xhlより大きくなった
とき、上記H∞制御が車両の安定性を保証する範囲を越
えたものと判定するようになっている。ステップS25か
らステップS26への移行は制御切換手段46により行わ
れる。ステップS26〜S35の一連の制御フロー(ステッ
プS34の計算を除く)は、補正手段47により行われる
ものであって、該補正手段47は、マップ制御量rに対
し、運転者の運転操作に係わるステアリングホイール操
舵速度dFstg に関する第1補正と、車両の挙動に係わ
るヨーレイトyr に関する第2補正とを共に加えるとと
もに、上記ステアリングホイール操舵速度dFstg を用
いて第1補正を行う際操舵中の最大値dFmax を用いる
ように設けられている。
【0069】そして、上記第2実施例においても、H∞
制御で推定される車両の内部状態量Xh が小さいときに
は、H∞制御の下に後輪操舵装置20のモータ28が作
動して後輪3が前輪2の操舵に応じて操舵されるので、
高周波数域での車両の特性変動に対する安定性を向上さ
せることができるとともに、低周波数域での速応性及び
定常特性を向上させることができる。
【0070】また、上記内部状態量Xh がリミッター値
Xhlより大きくなり、H∞制御による車両の安定性を保
証する範囲を越えたときには、H∞制御から制御系が本
質的に安定なマップ制御に切換えられるので、H∞制御
の保証範囲を越える非線形領域であっても、車両を安定
して制御することができる。しかも、上記マップ制御に
おいては、マップに基づいて設定した制御量rに対し補
正が加えられ、ヨーレイトyr が大きいときつまり車両
の時点運動が大きいときには、後輪3を前輪2と同相に
操舵する操舵制御量が大きくなり、また運転者のステア
リングホイール操舵速度が大きいときにも後輪3を前輪
2と同相に操舵する操舵制御量が大きくなるので、車両
の安定性をより向上させることができる。
【0071】さらに、上記ステアリングホイール操舵速
度を用いて補正を行う際には、操舵中の最大操舵速度値
dFmax を用いるため、ステアリングホイール1を一方
向に操舵した後逆方向に操舵するカウンタステア時にも
後輪3を同相に大きく操舵することができ、安定性を確
保することができる。
【0072】図15は本発明の第3実施例に係わる後輪
操舵の制御フローを示す。尚、第3実施例の場合、操舵
装置のハード構成は、第1実施例の場合と同じであり、
以下の制御フローの説明では、図1及び図2に示す部材
符号を用いる。
【0073】図15において、ステップS41で所定周期
毎の制御タイミングになるのを待った後、ステップS42
で車両の運動状態量を計測し、ステップS43で目標ヨー
レイトyt 及びヨーレイト偏差en を計算し、ステップ
S44でH∞制御量rを計算する。これらの計測及び計算
は、第1実施例のとき(図3中のステップS2 〜S4)
と同じである。
【0074】続いて、ステップS45でヨーレイト変化率
dyr(n)を、下記の演算式により、実際ヨーレイトの今
回値yr(n)と前回値yr(n-1)とに基づいて、 dyr(n)=yr(n)−yr(n-1) 算出する。
【0075】しかる後、ステップS46で上記H∞制御量
rの計算途中で求めた車両の内部状態量Xh の絶対値が
所定値(リミッター値)Xhlより大きいか否かを判定す
る。この判定がNOのときには、そのままステップS51
でH∞制御量rでもって後輪3の操舵を制御する。
【0076】一方、上記ステップS46の判定がYESの
ときには、ステップS47でローパスフィルター(図示せ
ず)のカットオフ周波数cを、予め設定されたマップを
用いて決定する。上記カットオフ周波数cは、車速Vsp
に応じて変更され、低車速時には一定値で、中・高車速
時に車速の増加に伴い高くなるように設定されている。
そして、ステップS48でヨーレイト変化率dyr に対し
フィルター処理を行う。該フィルター処理は、先に決定
したカットオフ周波数c以下の成分のみを通過させ、周
波数の高いノイズ成分を除去するものであり、フィルタ
ー処理後のヨーレイト変化率はdyrfと表す。尚、図1
6はヨーレイト変化率に対するフィルター処理を示すも
のであり、低車速時のゲイン曲線を実線で、高車速時の
ゲイン曲線を破線で、低車速時及び高車速時の各カット
オフ周波数を仮想線でそれぞれ示す。
【0077】続いて、ステップS49でマップ制御量rを
計算し、ステップS50で該マップ制御量rに対し、下記
の置換式により、 r←r×|yr |/K2 +dyrf×K0 /Fstg 補正を加える。置換式右辺の第1項は、ヨーレイトyr
が大きいときつまり車両の時点運動が大きいとき、後輪
3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくすることで
車両の安定性を向上させる補正項である。また第2項
は、運転者の操舵に対する車両の応答性(つまりフィル
ター処理後のヨーレイト変化速度)が敏感なとき、後輪
3を前輪2と同相に操舵する操舵量を大きくすることで
車両の安定性を改善する補正項である。そして、ステッ
プS51で補正後の制御量rでもって後輪3を操舵する。
【0078】図15の制御フローのうち、ステップS43
及びS44の計算は状態フィードバッH∞制御で推定され
る内部状態量Xh がリミッター値Xhlより大きくなった
とき、上記H∞制御が車両の安定性を保証する範囲を越
えたものと判定するク制御手段42で行われるものであ
って、該状態フィードバック制御手段42は、車両の実
際ヨーレイトyrt、車速Vsp及び前輪2の操舵角Fstg
に基づいて車両の内部状態量Xh を推定するとともに、
該内部状態量Xh から後輪3の操舵制御量rを算出し、
該制御量rによりモータ28を作動させて後輪操舵を制
御するように設けられている。また、ステップS49の計
算はマップ制御手段44で行われるものであって、該制
御手段44は、予め設定されたマップに基づいて、ステ
アリングホイール操舵に応じてマップ制御量rを算出
し、該制御量rによりモータ28を作動させて後輪操舵
を制御するように設けられている。
【0079】更に、ステップS46の判定は判定手段45
で行われるものであって、該判定手段45は、上記状態
フィードバック制御手段41によるH∞制御で推定され
る内部状態量Xh がリミッター値Xhlより大きくなった
とき、上記H∞制御が車両の安定性を保証する範囲を越
えたものと判定するようになっている。ステップS46か
らステップS47への移行は制御切換手段46により行わ
れる。ステップS45〜S50の一連の制御フロー(ステッ
プS46の判定及びステップS49の計算を除く)は、補正
手段47により行われるものであって、該補正手段47
は、マップ制御量rに対し、運転者の運転操作に係わる
ステアリングホイール操舵角Fstg に関する第1補正
と、車両の挙動に係わるヨーレイトyr 及びヨーレイト
変化率dyr に関する第2補正とを共に加えるととも
に、上記ヨーレイト変化率dyr を用いて第1補正を行
う際ローパスフィルターに通した値を用いるように設け
られている。
【0080】したがって、上記第3実施例においても、
H∞制御で推定される車両の内部状態量Xh がリミッタ
ー値Xhlより大きくなり、H∞制御による車両の安定性
を保証する範囲を越えたときには、H∞制御から制御系
が本質的に安定なマップ制御に切換えられる。そして、
該マップ制御においては、マップに基づいて設定した制
御量rに対し補正が加えられ、ヨーレイトyr が大きい
ときつまり車両の時点運動が大きいときには、後輪3を
前輪2と同相に操舵する操舵制御量が大きくなり、ま
た、ステアリングホイール操舵速度Fstg に対しヨーレ
イト変化率dyrが大きいときつまり運転者の操舵に対
する車両の応答性が敏感なときにも、後輪3を前輪2と
同相に操舵する操舵制御量が大きくなるので、車両の安
定性をより向上させることができる。
【0081】ここで、上記ヨーレイト変化率dyr は、
ヨーレイトセンサ32で検出したヨーレイトyr の微分
量であるため、ノイズ成分を増幅し易い。これに対し、
本実施例では、ヨーレイト変化率dyr を用いて補正を
行う際には、該ヨーレイト変化率をローパスフィルター
に通した値dyrfを用いているので、ノイズ成分を除去
することができ、補正を適切に行うことができる。しか
も、車速Vspが高くなる程ノイズ成分の周波数が高くな
ることに対応して、上記ローパスフィルターのカットオ
フ周波数cは、車速Vspの増加に伴い高くなるように変
更されるので、ノイズ成分の除去を適切に行うことがで
き、補正の適正化をより図ることができる。
【0082】図17は後輪操舵の制御フローの変形例を
示す。この制御フローは、基本的には図15の制御フロ
ーと同じであるが、カットオフ周波数cの決定が異なる
(ステップS47´)。すなわち、変形例の場合、カット
オフ周波数cの決定に先立って、ステップSx でステア
リングホイール操舵速度dFstg を、下記の式により、
ステアリングホイール操舵角の今回値Fstg(n)と前回値
Fstg (n-1)とに基づいて、 dFstg =(Fstg(n)−Fstg (n-1))×K7 算出する。但し、K7 は操舵速度定数である。
【0083】そして、ステップS47´で予め設定された
マップに基づいてカットオフ周波数cを決定する。上記
カットオフ周波数cは、ステアリングホイール操舵速度
dFstg が大きい程高くなるように設定されている。こ
こで、カットオフ周波数cをステアリングホイール操舵
速度dFstg に応じて変更したのは、車速Vspと同様に
ステアリングホイール操舵速度dFstg が高い程ノイズ
成分の周波数が高くなることに対応させるためであり、
このカットオフ周波数cの変更により、補正の適正化を
図ることができるものである。
【0084】図18は本発明の第4実施例に係わる後輪
操舵の制御フローの他の変形例を示す。この制御フロー
も、基本的には図15の制御フローと同じであるが、カ
ットオフ周波数cの決定が異なる。
【0085】すなわち、変形例の場合、フィルター処理
に先立って、ステップSg でヨーイレトyr とステアリ
ングホイール操舵角Fstg とのコヒーレンシー関数Coh
(yr ,Fstg )を求め、該関数Cohからnc個の各周
波数成分についてコヒーレンシー度(相関度)Cv(j)を
算出する。続いて、ステップSh で周波数成分値jを1
にセットした後、ステップSi でコヒーレンシー度Cv
(j)が0.2より小さいか否かを判定する。この判定が
YESのときには、ステップSj でカットオフ周波数c
に、該周波数成分値jと周波数変換定数ffとの積の値
を設定する一方、判定がNOのときには、ステップSk
で周波数成分値jを1カウンタアップした後、ステップ
Sl で周波数成分値jがncより大きいか否かを判定す
る。この判定がNOのときにはステップSi に戻り、判
定がYESのときにはステップSmでカットオフ周波数
cにコヒーレンシーの最大周波数maxfを設定する。以上
のステップSh 〜Sm の制御フローは、結局、図19に
示すように、コヒーレンシー度Cv が0.2より小さく
なる周波数をサーチし、その周波数をカットオフ周波数
cに設定するものである。
【0086】このように、ステアリングホイール操舵角
Fstg とヨーレイトyr とのコヒーレンシー度Cv(j)を
求め、そのコヒーレンシー度Cv が小さくなる周波数を
カットオフ周波数cに設定したのは、コヒーレンシー度
Cv が小さい、つまりステアリングホイール操舵角Fst
g とヨーレイトyr との相関性が崩れている周波数領域
ではヨーレイトノイズが発生し易いためであり、また、
このカットオフ周波数cの設定により、ヨーレイト変化
率に基づく補正を適正に行うことができる。
【0087】図20は本発明の第4実施例に係わる車両
の操舵装置を示す。上述した第1〜第3実施例では、い
ずれも後輪3,3を後輪操舵装置20を用いて操舵制御
したのに対し、第4実施例では、前輪2,2をステアリ
ングホイール1とは別途に電気的に操舵制御するものに
適用したものである。
【0088】すなわち、第4実施例の場合、操舵装置
は、図2に示す後輪操舵装置20を備えず、前輪操舵装
置10と並列に、リレーロッド11に配置したラック&
ピニオン機構71と、該機構71を駆動するモータ72
とを設け、該モータ72の作動をコントロールユニット
29により制御するように構成されている。操舵装置の
その他の構成は、上述の第1実施例と同様であるが、前
輪を操舵する関係上、第1実施例の後輪操舵で後輪を前
輪と逆位相に操舵制御する場合には本実施例では前輪の
操舵角を増す側に操舵制御し、第1実施例で後輪を同位
相に操舵制御する場合には本実施例では前輪の操舵角を
減す側に操舵制御すればよい。
【0089】尚、以上の説明では、後輪操舵の状態フィ
ードバック制御において、車両の推定観測量として車両
の横滑り角、後輪の操舵角、該操舵角の変化速度、前輪
と後輪のコーナリングフォース、及び車両に作用するヨ
ーレイトを用いて車両の状態を正確に観測したが、車両
の状態を観測するには、少なくとも車両の実際ヨーレイ
ト及び車両の横滑り角の2種を観測すれば足りる。
【0090】また、上記各実施例では、第1の制御手段
41のH∞制御で推定される内部状態量Xh が所定値
(リミッター値)Xhlより大きくなったとき、該∞制御
が車両の安定性を保証する範囲を越えたものと判定した
が、場合によっては、第1の制御手段41による後輪3
の操舵制御時に後輪の操舵に対する車両のヨーレイト変
化の制御ゲインの周波数成分が車両の特性変動時の安定
性を与える性能目標指標W3 を越えたことで第1の制御
手段41による制御(つまりH∞制御)が車両の安定性
を保証する範囲を越えたものと判定したり、第1の制御
手段41による後輪3の操舵制御時に車両の実際ヨーレ
イトの所定周波数での位相遅れ量が所定値を越えたこと
で第1の制御手段41による制御が車両の安定性を保証
する範囲を越えたものと判定したりしても良い。
【0091】さらに、以上の説明では、第1の制御手段
45をH∞制御するもので構成したが、車両のヨーレイ
トのLQG制御(状態フィードバック制御)を行うも
の、又は実際ヨーレイトとその目標値との偏差に応じた
フィードバック制御量でもって後輪の操舵角をフィード
バック制御するものにも同様に適用できるのは勿論であ
る。
【0092】
【発明の効果】以上の如く、請求項1〜3記載の発明に
よれば、第1の制御手段による車輪の操舵制御の安定保
証範囲を越えて車両の運動特性が変動した場合には、制
御系が本質的に安定なマップ制御に切換えられるので、
車両の安定性を良好に確保することができる。しかも、
このマップ制御中に車両の運動変化が激しいとき、また
運転者の運転操作に大きな変化が生じたときには、マッ
プ制御に対し、運転者の運転操作に関する第1補正と車
両の挙動に関する第2補正とが加えられるので、車両の
安定性を良好にかつ十分に確保することができる。
【0093】また、ヨーレイト変化率に関する第2補正
を行う際、ヨーレイト変化率として、その実測値をロー
パスフィルターに通した値を用いるとともに、該ローパ
スフィルターのカットオフ周波数を、車速やステアリン
グホイール操舵速度等の車両の走行状態、又はステアリ
ングホイールの操舵角とヨーレイトとのコヒーレンシー
に応じて変更するので、ヨーレイトノイズの除去を確実
に行うことができ、補正の適正化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる車両の操舵装置の
全体構成を示す概略構成図である。
【図2】同操舵装置における制御系のブロック構成図で
ある。
【図3】後輪の操舵制御のフローチャート図である。
【図4】H∞制御の制御ゲインを決定するためのフロー
チャート図である。
【図5】車速Vspと係数K1 との関係を示す図である。
【図6】操舵角Fstg と係数K3 との関係を示す図であ
る。
【図7】変形例を示す図3相当図である。
【図8】操舵速度dFstg と係数K4 との関係を示す図
である。
【図9】他の変形例に係わる車両の操舵制御のフローチ
ャートの部分図である。
【図10】同じく他の変形例を示す図9相当図である。
【図11】同じく他の変形例を示す図9相当図である。
【図12】踏込み速度ΔAcpと係数K5 との関係を示す
図である。
【図13】減速度ΔVspと係数K6 との関係を示す図で
ある。
【図14】第2実施例を示す図3相当図である。
【図15】第3実施例を示す図3相当図である。
【図16】フィルター処理を説明するための図である。
【図17】変形例を示す図3相当図である。
【図18】他の変形例を示す図3相当図である。
【図19】フィルター処理を説明するための図である。
【図20】第4実施例を示す第1相当図である。
【図21】H∞制御に使用する2種の性能目標指標W1
,W3 を示す図である。
【図22】H∞制御を行わない場合の後輪操舵に対する
車両の運動特性の周波数伝達関数のゲイン特性を示す図
である。
【図23】路面の摩擦係数が変化した場合に後輪操舵に
対する車両の運動特性の周波数伝達関数が変化する様子
の説明図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 前輪 3 後輪 20 後輪操舵装置(操舵手段) 28 モータ 29 コントロールユニット 32 ヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出
手段) 41 第1の制御手段 42 状態フィードバック制御手段 43 制御ゲイン算出手段 44 マップ制御手段(第2の制御手段) 45 判定手段 46 制御切換手段 47 補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00 B62D 137:00 (56)参考文献 特開 平4−362472(JP,A) 特開 平4−166473(JP,A) 特開 平2−189276(JP,A) 特開 平3−248967(JP,A) 特開 平4−78670(JP,A) 特開 平4−231265(JP,A) 特開 平4−339509(JP,A) 特開 平3−61650(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B62D 7/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪をステアリングホイールとは別途に
    操舵する操舵手段と、 車両に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト
    検出手段と、 該検出手段により検出された実際ヨーレイトと目標ヨー
    レイトとの偏差に基づいて制御量を演算し、該制御量に
    より実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致させるよう
    上記操舵手段をフィードバック制御する第1の制御手段
    と、 該第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証する
    範囲を越えたときを判定する判定手段と、 予め設定されたマップに基づいて、ステアリングホイー
    ル操舵に応じて設定される制御量で上記操舵手段を制御
    する第2の制御手段と、 上記判定手段の出力を受け、上記第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、車輪
    の操舵制御を該第1の制御手段による制御から上記第2
    の制御手段によるマップ制御に切換える制御切換手段
    と、 上記マップ制御に対し、運転者の運転操作に関する第1
    補正と車両の挙動に関する第2補正とを共に加える補正
    手段とを備え、 上記第2補正は、ヨーレイト変化率に関するものであ
    り、 上記ヨーレイト変化率は、その実測値をローパスフィル
    ターに通した値が用いられており、 上記ローパスフィル
    ターのカットオフ周波数は、車速が大きい程高くなるよ
    うに設けられていることを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 【請求項2】 車輪をステアリングホイールとは別途に
    操舵する操舵手段と、 車両に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト
    検出手段と、 該検出手段により検出された実際ヨーレイトと目標ヨー
    レイトとの偏差に基づいて制御量を演算し、該制御量に
    より実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致させるよう
    上記操舵手段をフィードバック制御する第1の制御手段
    と、 該第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証する
    範囲を越えたときを判 定する判定手段と、 予め設定されたマップに基づいて、ステアリングホイー
    ル操舵に応じて設定される制御量で上記操舵手段を制御
    する第2の制御手段と、 上記判定手段の出力を受け、上記第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、車輪
    の操舵制御を該第1の制御手段による制御から上記第2
    の制御手段によるマップ制御に切換える制御切換手段
    と、 上記マップ制御に対し、運転者の運転操作に関する第1
    補正と車両の挙動に関する第2補正とを共に加える補正
    手段とを備え、 上記第2補正は、ヨーレイト変化率に関するものであ
    り、 上記ヨーレイト変化率は、その実測値をローパスフィル
    ターに通した値が用いられており、 上記ローパスフィル
    ターのカットオフ周波数は、ステアリングホイールの操
    舵速度が大きい程高くなるように設けられていることを
    特徴とする車両の操舵装置。
  3. 【請求項3】 車輪をステアリングホイールとは別途に
    操舵する操舵手段と、 車両に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト
    検出手段と、 該検出手段により検出された実際ヨーレイトと目標ヨー
    レイトとの偏差に基づいて制御量を演算し、該制御量に
    より実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致させるよう
    上記操舵手段をフィードバック制御する第1の制御手段
    と、 該第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証する
    範囲を越えたときを判定する判定手段と、 予め設定されたマップに基づいて、ステアリングホイー
    ル操舵に応じて設定される制御量で上記操舵手段を制御
    する第2の制御手段と、 上記判定手段の出力を受け、上記第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、車輪
    の操舵制御を該第1の制御手段による制御から上記第2
    の制御手段によるマップ制御に切換える制御切換手段
    と、 上記マップ制御に対し、運転者の運転操作に関する第1
    補正と車両の挙動に関する第2補正とを共に加える補正
    手段とを備え、 上記第2補正は、ヨーレイト変化率に関するものであ
    り、 上記ヨーレイト変化率は、その実測値をローパスフィル
    ターに通した値が用いられており、上記ローパスフィル
    ターのカットオフ周波数は、ステアリングホイールの操
    舵角とヨーレイトとのコヒーレンシーに基づいて変更さ
    れるように設けられていることを特徴とする車両の操舵
    装置。
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