JP3320882B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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JP3320882B2
JP3320882B2 JP414994A JP414994A JP3320882B2 JP 3320882 B2 JP3320882 B2 JP 3320882B2 JP 414994 A JP414994 A JP 414994A JP 414994 A JP414994 A JP 414994A JP 3320882 B2 JP3320882 B2 JP 3320882B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵装置に関
し、特に、運転者のステアリングホイール操舵に応じて
後輪又は前輪を強制的に操舵して車両の運転性や安定性
を高めるようにしたものの改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の車両の操舵装置とし
て、運転者のステアリングホイール操作時に前輪の操舵
角に対応する後輪の操舵角の比つまり操舵比を車速に応
じて決定し、該操舵比で後輪を前輪操舵に合せて操舵制
御するものが知られている。このものでは、運転者の意
思に合致した操舵性能を得ることが可能である反面、運
転者がステアリングホイールを操作した直後の初期状態
では、前輪と後輪とが同相になる場合が多いため、該初
期状態での車両の回頭性が低い憾みがあった。
【0003】そのため、従来、例えば特開平1−262
268号公報に開示されるものでは、運転者のステアリ
ングホイール操舵量に基づいて車両の制御目標ヨーレイ
トを演算するとともに、車両のヨーレイトを実測し、該
ヨーレイトの実測値と制御目標値との偏差に応じたフィ
ードバック制御量でもって後輪の操舵角をフィードバッ
ク制御することにより、ステアリングホイール操作直後
の初期状態でもヨーレイトを素早く発生させて、初期状
態での車両の回頭性を高めるようにしている。しかし、
この従来のフィードバック制御では、ヨーレイトの実測
値と制御目標値との偏差のみに応じて後輪操舵角のフィ
ードバック制御量を演算して後輪を操舵制御する、1入
力1出力制御系であるため、例えば車両の横滑り角が大
値の場合には小値の場合に比べて制御のハンチングが生
じ易くなる。このため、制御のハンチングが生じ難くな
るよう制御ゲインを常に小値に設定する必要があるが、
その場合、制御目標ヨーレイト値への速応性が悪くなる
とともに、実際ヨーレイトを制御目標値に精度良く制御
することができず、定常特性を高めるにも限界があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人は、
先に、例えば特願平4−237437号等の明細書及び
図面において、上記のフィードバック制御に代えて、実
測ヨーレイトの状態フィードバック制御を採用すること
を提案している。このヨーレイトの状態フィードバック
制御は、車両のヨーレイトを実測する他、車両の複数の
状態変数、例えば車両の横滑り角、前輪及び後輪のコー
ナリングフォース等を車両の状態方程式及び出力方程式
に基づいて推定して車両の運動状態を把握し、これらの
状態変数を用いて車両の実際ヨーレイトを制御目標値に
するよう例えば後輪操舵角を最適制御するものである。
この制御系は多変数1出力制御系であるので、車両の運
動状態に合致したフィードバック制御量でもって後輪等
を操舵制御でき、ステアリングホイール操作時当初の車
両の回頭性を向上できる等、制御の速応性及び定常特性
の双方の向上を図ることが可能である。
【0005】更に、本出願人は、上記の状態フィードバ
ック制御では、次のような欠点があることに着目し、こ
れを解消するためにH∞制御を適用することを発明し
た。すなわち、状態フィードバック制御では、車両の横
滑り角やコーナリングフォース等の推定に際し、車速や
車輪のコーナリングパワーを定数として演算している
が、これらは実際には変数であり、後者の車輪のコーナ
リングパワーは路面の摩擦係数やタイヤの空気圧に応じ
て変化するものである。従って、予め設定した車両の運
動特性の下では、制御の速応性及び定常特性の向上を図
り得るが、図20に示すように車速や路面の摩擦係数等
の変化に応じて車両の運動特性に大きな変化が生じる
と、車両の横滑り角等の推定に誤差が生じて最適制御に
ズレが生じ、その分、目標ヨーレイトへの速応性が低下
するとともに、車両の安定性は保証されなくなる。
【0006】そこで、例えば制御系の一巡伝達関数が
「1」以下であることを全ての周波数領域に亘って満足
させて、制御系の安定性の向上を図るH∞制御(例えば
学会誌「計測と制御」の第29巻,第2号(1990年
2月)の第111頁〜第119頁参照)に着目して、車
両の特性変動に対する安定性,即ちロバスト安定性の向
上を図ることが考えられる。この前輪又は後輪操舵に対
するH∞制御は、車両の定常特性及び速応性がステアリ
ングホイール操舵の周波数として例えば1Hz以下の低
周波数域で要求され、1Hzを越える高周波数域では車
両の特性変動時の安定性が要求され、これらの要求が周
波数領域で異なる点から、同学会誌にも開示されるよう
に混合感度問題として捉え、前輪又は後輪の操舵に対す
る車両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制御ゲイン
特性として、車両の速応性及び定常特性を与える性能目
標指標と、該性能目標指標とは相補感度関数の関係にあ
る車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指標との
2種を設定し、低周波数域では前者を、高周波数域では
後者を重視して、制御ゲインを周波数軸で決定するもの
である。従って、H∞制御を利用すれば、車両の特性変
動があっても、その変動が設定許容幅の中であれば、常
に車両の速応性、定常性能及び安定性の全てを良好に制
御し得る。
【0007】しかしながら、上記従来のヨーレイトのフ
ィードバック制御、並びに本出願人が提案のヨーレイト
の状態フィードバック制御及びH∞制御では、いずれも
車輪の横滑り角に対する車輪のコーナリングフォースが
線形な運転領域で車両を安定して制御できるものの、非
線形な運転領域では、車両を確実に安定して制御し得る
ことは困難である。
【0008】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記従来のヨーレイト
のフィードバック制御、状態フィードバック制御及びH
∞制御等において、該制御が車両の安定性を保証する範
囲を越えて車両が特性変動した場合には、この安定保証
範囲を越えた状況を早期に判断し、前輪又は後輪の操舵
角の制御系を安定化することにより、車両の安定性を保
証し得る車両の操舵装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1又は2記載の発明は、車両の操舵装置とし
て、例えば図1に示すように、前輪又は後輪をステアリ
ングホイールとは別途に操舵する操舵手段20と、車両
に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト検出
手段36と、該検出手段36により検出された実際ヨー
レイトと目標ヨーレイトとの偏差に基づいて制御量を演
算し、該制御量により実際ヨーレイトを目標ヨーレイト
に一致させるよう上記操舵手段20をフィードバック制
御する第1の制御手段45とを備えることを前提とす
る。そして、更に、上記第1の制御手段45による制御
が車両の安定性を保証する範囲を越えたときを判定する
判定手段49と、車両の安定性が本質的に保証されるよ
うにステアリングホイール操舵に応じた制御量で上記操
舵手段20を制御する第2の制御手段48と、上記判定
手段49の出力を受け、上記第1の制御手段45による
制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、前輪
又は後輪の操舵制御を該第1の制御手段45による制御
から上記第2の制御手段48による制御に切換える制御
切換手段50とを備える構成とする。
【0010】そして、更に、請求項1記載の発明では、
第1の制御手段45において、H∞制御を行う構成とす
る。すなわち、上記第1の制御手段45は、少なくとも
車両の実際ヨーレイト及び推定横滑り角を車両の状態量
とする車両の状態方程式、並びに出力方程式に基づいて
車両の実際ヨーレイトを制御目標ヨーレイトに状態フィ
ードバック制御するよう上記操舵手段20を制御する状
態フィードバック制御手段と、上記前輪又は後輪の操舵
に対する車両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制御
ゲイン特性として、車両の特性変動時の安定性を与える
性能目標指標並びに車両の速応性及び定常特性を与える
性能目標指標の2種と、前輪又は後輪の舵角を入力とす
る車両の状態方程式及び出力方程式とに基づいて上記状
態フィードバック制御手段の制御ゲインを算出する制御
ゲイン算出手段とからなる。
【0011】そして、更に、請求項1記載の発明では、
上記判定手段49は、第1の制御手段45による前輪又
は後輪の操舵制御時に前輪又は後輪の操舵に対する車両
のヨーレイト変化の制御ゲインの周波数成分が車両の特
性変動時の安定性を与える性能目標指標を越えたことで
第1の制御手段45による制御が車両の安定性を保証す
る範囲を越えたときを判定するものである。
【0012】請求項2記載の発明では、上記判定手段4
9は、第1の制御手段45による前輪又は後輪の操舵制
御時に車両の実際ヨーレイトの所定周波数での位相遅れ
量が所定値を越えたことで第1の制御手段45による制
御が車両の安定性を保証する範囲を越えたときを判定す
るものである。
【0013】請求項3及び4記載の発明は、いずれも
求項2記載の発明に従属し、判定手段49による位相遅
れ量の判定しきい値である所定値を適宜変更するもので
ある。すなわち、上記所定値は、請求項3記載の発明で
は車速に応じて変更されるものであり、請求項4記載の
発明では車両の横滑り角に応じて変更されるものであ
る。
【0014】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明によれ
ば、第1の制御手段45による制御で車両の安定性が保
証される範囲では、該制御手段45において、実際ヨー
レイトと目標ヨーレイトとの偏差に基づく制御量を演算
し、該制御量により実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに
一致させるよう前輪又は後輪の操舵が制御されるので、
車両の特性が多少変動しても車両の良好な安定性が確保
される。一方、第1の制御手段45による前輪又は後輪
の操舵制御の安定保証範囲を越え、その制御系が非線形
領域に入って不安定になった場合には、前輪又は後輪の
操舵制御が上記第1の制御手段45から制御系が本質的
に安定な例えばマップ制御、ファジイ制御、又はニュー
ラルネットに基づく制御等の第2の制御手段48による
制御に切換えられるので、車両の運動特性が通常変動幅
を越えて大きく変動しても車両の安定性が良好に確保さ
れる。特に、ニューラルネットに基づく制御に切換えら
れた場合、車両の運動特性が通常変動幅を越えて大きく
変動しても熟練した運転者がステアリングホイール操作
して対処する場合と略同等に車両の安定性が確保され
る。
【0015】また、請求項1記載の発明によれば、第1
の制御手段45による制御が車両の安定性を保証する範
囲では、該制御手段45による前輪又は後輪の操舵制御
がH∞制御により行われ、その制御ゲインが車両の特性
変動時の安定性を与える性能目標指標と、車両の速応性
及び定常特性を与える性能目標指標との2種により定ま
る範囲内で設定されるので、車両の安定性、速応性及び
定常特性の全てが良好に確保される。
【0016】さらに、請求項1記載の発明によれば、第
1の制御手段45による制御が車両の安定性を保証する
範囲の限界近傍では、前輪又は後輪の操舵に対する車両
のヨーレイト変化の制御ゲインの周波数成分が車両の特
性変動時の安定性を与える性能目標指標を越えたことに
着目し、その周波数成分を判定手段49により検知する
ことで安定性の保証範囲を越えたことが早期にかつ正確
に判定される。
【0017】請求項2記載の発明によれば、第1の制御
手段45による制御が車両の安定性を保証する範囲の限
界近傍では、前輪又は後輪の操舵に対する車両の実際ヨ
ーレイトの設定周波数での位相遅れ量が大きくなること
に着目し、その位相遅れ量を判定手段49により検知す
ることで安定性の保証範囲を越えたことが早期にかつ正
確に判定される。ここで、請求項3及び4記載の発明で
は、上記第1の制御手段45が車両の安定性を保証する
範囲の限界近傍であっても、その際の車速が高ければ上
記安定性の保証範囲の限界値に相当する位相遅れ量も増
大し、またその際の車輪又は車両の横滑り角が大きけれ
ば上記位相遅れ量は減少するものの、該安定性の保証範
囲の判定基準値としての設定値がこれら車速又は車輪若
しくは車両の横滑り角に応じて変更されるので、車両の
安定性の保証範囲を越えた状況の判定がより正確に行わ
れる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0019】図2は本発明の第1実施例に係わる車両の
操舵装置の概略構成を示し、1はステアリングホイー
ル、2は左右の前輪、3は左右の後輪、10は上記ステ
アリングホイール1の操作により左右の前輪2、2を操
舵する前輪操舵装置、20は該前輪操舵装置10による
前輪2、2の操舵に応じて左右の後輪3、3を操舵する
操舵手段としての後輪操舵装置である。
【0020】上記前輪操舵装置10は、車体幅方向に配
置されたリレーロッド11を有し、該ロッド11の両端
部は各々タイロッド12、12及びナックルアーム1
3、13を介して左右の前輪2、2に連結されている。
該リレーロッド11には、ステアリングホイール1の操
作に連動して該リレーロッド11を左右に移動させるラ
ック&ピニオン機構14が配置され、ステアリングホイ
ール1の操作時にその操作量に応じた角度だけ左右の前
輪2、2を操舵するように構成されている。
【0021】一方、後輪操舵装置20は、上記と同様に
車体幅方向に配置されたリレーロッド21を有し、該ロ
ッド21の両端部は各々タイロッド22、22及びナッ
クルアーム23、23を介して左右の後輪3、3に連結
されている。該リレーロッド21には、該ロッド21を
中立位置に付勢するセンタリングバネ24が配置されて
いるとともに、ラック&ピニオン機構25が配置され、
該機構25には、クラッチ26、減速機構27及びモー
タ28が連携されていて、クラッチ26の締結時にモー
タ28の回転駆動によりラック&ピニオン機構25を介
してリレーロッド21を車幅方向に移動させて、後輪
3,3をモータ28の回転量に応じた角度だけ操舵する
ように構成されている。
【0022】上記モータ28の作動はコントロールユニ
ット29により制御される。該コントロールユニット2
9は、図3に示すように、その内部に、H∞制御を行う
第1の制御手段45を備えている。該制御手段45は、
少なくとも車両の実際ヨーレイト及び推定横滑り角を車
両の状態量とする車両の状態方程式並びに出力方程式に
基づいて図4の制御フローに従い車両の実際ヨーレイト
を制御目標ヨーレイトに状態フィードバック制御するよ
うに、モータ28により後輪3の舵角を制御する状態フ
ィードバック制御手段47と、該状態フィードバック制
御手段47の状態方程式及び出力方程式の制御ゲインを
図5に示す制御ゲイン算出フローに基づいて算出する制
御ゲイン算出手段47とから成っている。
【0023】また、上記コントロールユニット29は、
車両の運転状況が図21に示すように車両の横滑り角β
に対する車輪のコーナリングフォースの非線形な領域に
入った場合に制御系が本質的に安定性を保持するよう
に、予め記憶するマップに基づいて後輪3を操舵制御す
る第2の制御手段としてのマップ制御手段48と、上記
第1の制御手段45が車両の安定性を保証する範囲を越
えた状況を判定する判定手段49と、該判定手段49の
出力に基づいて後輪3の操舵制御を上記第1の制御手段
45とマップ制御手段48とに選択的に切換える制御切
換手段50とを備えている。
【0024】更に、図3において、35は車両に作用す
る横加速度を検出する横加速度センサ、36は車両に発
生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段
としてのヨーレイトセンサ、37は後輪3の操舵角を検
出する後輪操舵角センサ、38は前輪2の操舵角を検出
する前輪操舵角センサであって、これら四つのセンサ3
5〜38の検出信号は、上記状態フィードバック制御手
段47に入力される。また、39は車速を検出する車速
センサ、40は車両下方の路面の摩擦係数μを検出する
路面摩擦係数センサであって、この両センサ39,40
の検出信号は上記制御ゲイン算出手段46に入力され
る。更に、上記マップ制御手段48には前輪操舵角セン
サ38の検出信号が入力されるとともに、上記判定手段
49にはヨーレイトセンサ36、前輪操舵角センサ38
及び車速センサ39の各検出信号が入力される。
【0025】次に、上記コントロールユニット29によ
るモータ28の制御を、図4の制御フローに従って説明
する。
【0026】図4において、ステップS1 で例えば20
msec等の設定周期毎の制御タイミングになるのを待
った後、ステップS2 において上記各センサ36〜39
の検出信号に基づいて車速Vsp、前輪操舵角Fstg 、後
輪操舵角Rstg 、車両に発生している実際ヨーレイトy
r 、及び車両に作用する横加速度Yg の各車両の運動状
態量を計測する。
【0027】そして、ステップS3 で前輪操舵に対して
車両に発生するヨーレイトの伝達関数を同定するべく、
この同定用の信号として多数個(例えば1024個)の
前輪操舵角Fstg 及び車両の実際ヨーレイトyr の信号
対を更新した後、ステップS4 で同定を行う。この同定
は、先ず前輪操舵角Fstg に対するヨーレイトyr のク
ロススペクトルSfyを計算するとともに、前輪操舵角F
stg のパワースペクトルSffを計算し、その後、下記の
式に基づいて周波数伝達関数H(ω)を算出する。
【0028】
【数1】
【0029】続いて、ステップS5 で周波数伝達関数H
(ω)の設定周波数(ステアリングホイール操舵の周波
数で例えば1Hz)での位相遅れ角φ(1)をその位相
特性phase(H(ω))から算出し、ステップS6
で該位相遅れ角φ(1)を上記第1の制御手段45によ
る車両の安定性の保証範囲を越えたか否かの基準値とし
ての所定値(例えば30deg)と比較する。そして、
φ(1)≦30degの保証範囲内にある場合には、ス
テップS7 で後輪3をH∞制御する一方、φ(1)>3
0degの保証範囲を越えた場合には、ステップS8 で
後輪3をマップ制御する。
【0030】上記H∞制御は下記の如く行われる。即
ち、先ず、下記の式に基づいて車両の目標ヨーレイトy
rtを設定するとともに、該目標ヨーレイトyrtと実際ヨ
ーレイトyr とのヨーレイト偏差en を算出する。
【0031】
【数2】
【0032】但し、Aはスタビリティーファクター、L
は車両のホイールベースである。
【0033】その後、H∞制御のフィードバック制御量
としての後輪3の操舵量rをH∞制御における下記の車
両の状態方程式(1)及び出力方程式(2)に基づいて
決定し、この制御量rでもって後輪3の操舵制御を行
う。
【0034】
【数3】
【0035】但し、Xh は車両の複数の状態量に相当す
る状態量(以下、本明細書の記載における「状態量」は
これを意味する)であり、該車両の状態量は例えば車両
の横滑り角、後輪の舵角若しくはその変化速度、前輪及
び後輪のコーナリングフォース、又は車両に作用するヨ
ーレイトであり、これらを上記両方程式により推定す
る。
【0036】また、上記車両の状態方程式(1)及び出
力方程式(2)の制御ゲインAcl,Bcl,Ccl及びDcl
は、図5に示す制御ゲイン決定フローに基づいて予め算
出決定される。
【0037】次に、図5に示すH∞制御における制御ゲ
イン決定フローを説明する。
【0038】図5において、先ず、ステップS11で後輪
3の操舵に対する車両のヨーレイト変化の周波数伝達関
数の制御ゲイン特性としての車両の特性変動時の安定性
を与える性能目標指標W3 を変更するための補正係数
(重み)Wn を車速Vspに応じて変更する。この変更
は、同ステップS11に示す如く、車速Vspの上昇に応じ
て補正係数Wn を大値に決定して行う。
【0039】その後、ステップS12で上記車両の特性変
動時の安定性を与える性能目標指標W3 を下記のラプラ
ス変数sの2次式に基づいて決定する。
【0040】
【数4】
【0041】但し、a及びcは定数である。上記の式に
基づけば、図18に示すように、車両の特性変動時の安
定性を与える性能目標指標W3 は、補正係数Wn が大値
のとき低周波数側に変更され、補正係数Wn が小値のと
き高周波数側に変更される。
【0042】続いて、ステップS13で今度は後輪3の操
舵に対する車両のヨーレイト変化の周波数伝達関数の制
御ゲイン特性としての車両の速応性及び定常特性を与え
る図18に示す性能目標指標W1 (但し、逆数表示)を
下記のラプラス変数sの3次式に基づいて固定値に指定
する。
【0043】
【数5】
【0044】但し、d,e,f,g及びhは定数であ
る。
【0045】そして、ステップS14で、上記2つの性能
目標指標W3 ,W1 を各々状態方程式に変換するととも
に、この両状態方程式と下記に示す車両の状態方程式
(3)及び出力方程式(4)の四者を1つの状態方程式
に合成し、この合成後の状態方程式を2つのリカッチ方
程式に分解し、この方程式をハミルトン行列により固有
値問題として解を求めることにより、H∞制御の各制御
ゲインAcl〜Dclを求める。
【0046】
【数6】
【0047】但し、車両の状態方程式(3)及び出力方
程式(4)において、βは車両の重心点における横滑り
角、Cf 及びCr は各々前輪及び後輪のコーナリングフ
ォース、Rstg は後輪の操舵角、lf 及びlr は各々前
後車軸と車両重心点との距離、Iは車両のヨーレイトに
対する慣性モーメント、mは車体質量、Vspは車速、G
y は車輪の横弾性係数、Kyf及びKyrは各々前輪及び後
輪のコーナリングパワーである。ここで、車速Vspは車
速センサ39により検出された実際の車速が用いられ、
他は予め設定された固定値である。
【0048】その後、ステップS15で上記各制御ゲイン
Acl〜Dclを双一次変換手法により連続制御系からディ
ジタル制御系に変更して、終了する。尚、各制御ゲイン
Acl〜Dclの決定は上記の逐次演算の他、車両の運動状
態に応じて予めマップに記憶した値を逐次読出す方式で
も可能である。
【0049】また、図4のステップS8 のマップ制御
は、同ステップに示すように、後輪操舵量rを前輪操舵
角Fstg に応じて下記の式
【0050】
【数7】
【0051】により演算する。但し、kは比例定数であ
って、該比例定数kは、所定高車速値V0 までは車速に
応じて大値に設定され、上記所定値V0 を越える車速で
は次第に小値に設定されて、非線形領域で制御系を本質
的に安定にするようになっている。
【0052】よって、図4の制御フローのステップS7
により、車両の実際ヨーレイトyr、車両の推定横滑り
角β及び前後輪の各コーナリングフォースCf ,Cr 等
を車両の状態量とする車両の状態方程式(1)並びに出
力方程式(2)に基づいて車両の実際ヨーレイトyr を
制御目標ヨーレイトyrtに状態フィードバック制御する
よう上記後輪操舵装置20を制御する状態フィードバッ
ク制御手段46が構成されている。
【0053】また、図5の制御ゲイン決定フローによ
り、後輪3の操舵に対する車両のヨーレイト変化の周波
数伝達関数の制御ゲイン特性として車両の特性変動時の
安定性を与える性能目標指標W3 及び車両の速応性及び
定常特性を与える性能目標指標W1 の2種と、上記後輪
3の操舵角Rstg を入力とする車両の状態方程式(3)
及び出力方程式(4)とに基づいて、車両の運動特性
(制御ゲイン特性)が図18に実線で示すように一巡伝
達関数が0dbとなる所定周波数(図18では0.3r
ad/sec)を越える高周波数域では上記安定性を与
える性能目標指標W3 の直下方に位置し、所定周波数
(0.3rad/sec)以下の低周波数域では上記定
常特性等を与える性能目標指標W1 の直上方に位置する
ように、上記状態フィードバック制御手段46の制御ゲ
インAcl〜Dclを算出する制御ゲイン算出手段47が構
成されている。そして、上記状態フィードバック制御手
段46及び制御ゲイン算出手段47により、ヨーレイト
センサ36で検出された実際ヨーレイトyr と目標ヨー
レイトyrtとの偏差en に基づいて制御量(後輪操舵
量)rを演算し、該制御量rにより実際ヨーレイトyr
を目標ヨーレイトyrtに一致させるよう後輪操舵装置2
0をフィードバック制御する第1の制御手段45が構成
されている。
【0054】更に、図4の制御フローのステップS8 に
より、車両の安定性が本質的に保証されるように予め設
定した車速−比例係数特性マップ、及び前輪操舵角Fst
g に基づいてステアリングホイール操舵に応じた制御量
rを演算し、該制御量rでもって後輪操舵装置20を制
御する第2の制御手段としてのマップ制御手段48が構
成されている。
【0055】加えて、同制御フローのステップS3 〜S
6 により、上記第1の制御手段45による後輪3の操舵
制御時に前輪2の操舵に対する車両の実際ヨーレイトy
r の所定周波数(1HZ)での位相遅れ量φ(1)が所
定値(30deg)を越えたことを判定する判定手段4
9が構成されているとともに、ステップS6 からステッ
プS8 への移行により、上記判定手段49が上記車両の
周波数伝達関数の位相遅れ量φ(1)が所定値(30d
eg)を越えたことを判定したとき、後輪3の操舵制御
をH∞制御からマップ制御手段48による制御に切換え
る制御切換手段50が構成されている。
【0056】したがって、上記第1実施例においては、
H∞制御による車両の安定性の保証範囲内では、前輪2
の操舵に対する車両のヨーレイトの周波数伝達関数H
(ω)の位相遅れ角φ(1)が所定値(30deg)未
満であるので、後輪3の操舵制御が上記のH∞制御によ
り行われる。その結果、この後輪3のH∞制御により、
車両の運動特性は図18に実線で示すように、所定周波
数(0.3rad/sec)を越える高周波数域では安
定性を与える性能目標指標W3 の直下方に位置し、0.
3rad/sec以下の低周波数域では定常特性等を与
える性能目標指標W1 の直上方に位置するので、図19
に示すH∞制御が行われない通常の車両の運動特性に対
して、0.3rad/secを越える高周波数域では制
御ゲインが小値となり、0.3rad/sec以下の低
周波数域では制御ゲインは大値になる。従って、上記高
周波数域では、制御ゲインが小さい分、後輪操舵制御の
発振が確実に防止されて車両の特性変動に対する安定性
が向上し、ロバスト安定性が向上するとともに、低周波
数域では運転者のステアリングホイール操作に応じて大
値の制御ゲインでもって車両は素早く応答し、かつ車両
には目標ヨーレイトに対して偏差の極く少ないヨーレイ
トが発生して、速応性及び定常特性が向上することにな
る。
【0057】これに対し、車両の運動がH∞制御による
車両の安定性の保証範囲の限界近傍となるに従い、前輪
2の操舵に対する車両のヨーレイトの周波数伝達関数H
(ω)の位相遅れ角φ(1)が増大し、上記保証範囲を
越えた時点で位相遅れ角φ(1)が所定値30degを
越えると、これが判定手段49により判定され、その時
点で直ちにかつ確実に後輪3の操舵制御が制御切換手段
50により上記H∞制御からマップ制御に切換えられ
る。このマップ制御は本質的に車両の安定性を保証する
制御系に形成されているので、H∞制御の保証範囲を越
える非線形領域であっても、車両を安定して制御するこ
とができる。
【0058】図6は本発明の第2実施例に係わる車両の
操舵装置における制御系のブロック構成を示す。この第
2実施例の場合、制御系の構成において、図3に示す第
1実施例のそれと異なる点は、第2の制御手段としてマ
ップ制御手段48の代りに、ファジイ制御手段61を設
けたことである。尚、制御系のその他の構成は、第1実
施例の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付し
てその説明は省略する。
【0059】そして、上記制御系のコントロールユニッ
ト29によるモータ28の制御は、図7に示す制御フロ
ーに従って行われる。この制御フローは、基本的には図
4の制御フローと同じであるが、異なる点は、ステップ
S5 の後にステップSx で車両の安定性の保証範囲を越
えたことの判定基準値(所定値)としての制御切換位相
角φ1を固定せず、車速Vspの増大に応じて大値に変更
した後、ステップS6でφ(1)>φ1となれば、ステ
ップS8'でH∞制御に代わる他の制御としてファジイ制
御を用い、該ファジイ制御による後輪操舵のファジイ制
御量rを演算して、該制御量rでもってモータ28を駆
動制御して後輪3の舵角を操舵制御する。
【0060】上記ステップS8'のファジイ制御は、制御
系が本質的に安定となるように非線形領域専用にチュー
ニングされた制御系であって、具体的には、ヨーレイト
偏差en と、その変化率den /dtとの関数であるメ
ンバーシップ関数に基づいて下記の式
【0061】
【数8】
【0062】から車両の安定性を良好に確保しつつ車両
の実際ヨーレイトyr の変化率が低下するように制御量
rを算出するものである。
【0063】上記ステップS8'により、車両の安定性が
本質的に保証されるように予め設定したヨーレイト偏差
en とその変化率den /dtとの関数であるメンバー
シップ関数に基づいてステアリングホイール操舵に応じ
た制御量rを演算し、該制御量rでもって後輪操舵装置
のモータ28を制御する第2の制御手段としてのフィジ
イ制御手段61が構成されている。
【0064】したがって、上記第2本実施例において
は、車両の運転状況がH∞制御の保証範囲の限界近傍に
ある場合、その際の車速が高いときには、低車速時に比
べて制御応答性が低下し、上記保証範囲の限界値に相当
する位相遅れ量が低車速時よりも増大するが、制御切換
えの判定基準値としての所定値φ1が高車速時ほど大値
に変更されるので、車両の安定性の保証範囲を越えた状
況の判定が正確にかつ素早くに行われる。しかも、この
ようにして判定されたH∞制御の保証範囲を越えた状況
では、後輪3の操舵制御はH∞制御からファジイ制御に
切換えられ、このファジイ制御が図21に示すように車
両の推定横滑り角βに対する車両のコーナリングフォー
スの非線形領域で車両を本質的に安定にさせる制御系に
チューニングされているので、H∞制御の保証範囲を越
える非線形領域であっても、車両を安定して制御でき
る。
【0065】図8は本発明の第3実施例に係わる車両の
操舵装置における制御系のブロック構成を示す。この第
3実施例の場合、制御系の構成において、図3に示す第
1実施例のそれと異なる点は、第2の制御手段としてマ
ップ制御手段48の代りに、ニューラルネット制御手段
62を設けたことである。該制御手段62にはヨーレイ
トセンサ36、前輪操舵角センサ38及び車速センサ3
9の各検出信号が入力される。尚、制御系のその他の構
成は、第1実施例の場合と同じであり、同一部材には同
一符号を付してその説明は省略する。
【0066】そして、上記制御系のコントロールユニッ
ト29によるモータ28の制御は、図9に示す制御フロ
ーに従って行われる。この制御フローにおいては、ステ
ップS5 の後のステップSy で車両重心点の横滑り角β
に応じて制御切換位相角(所定値)φ1を変更し、30
degを基準に横滑り角βが増大したアンダーステア傾
向の増大時にはより小値に設定する一方、横滑り角が減
少したオーバーステア傾向時にはより大値に設定する。
そして、ステップS6でφ(1)>φ1となった時点
で、ステップS8'' でニューラルネットによる後輪の操
舵制御量rを演算して、該制御量rで後輪3を操舵制御
する。
【0067】ここで、ニューラルネットは、図10に示
すように例えば3層より成り、入力層aは4個、中間層
bも4個、出力層cは1個である。入力層aの各々には
前輪操舵角Fstg ,実際ヨーレイトyr ,車速の逆数1
/Vsp、車速の2乗の逆数1/Vsp2が入力され、出力
層cは制御量としての後輪操舵量rを出力する。また、
3層の各々の出力関数f1 ,f2 ,f3 は入力をxとし
て下記式の通りである。
【0068】
【数9】
【0069】更に、各層a〜cの重みは、予め、極めて
熟練した運転者が幾度も車両の安定性の限界を越えて走
行した際の車速、前輪及び後輪の操舵角、実際ヨーレイ
ト、並びに車両重心点の横滑り角と、その際の熟練運転
者のステアリングホイール操作を教師入力として与えら
れて学習され、その学習結果を制御則として組込まれて
得られるものである。
【0070】上記ニューラルネットに入力する車速Vsp
が、その逆数1/Vsp、及び2乗の逆数1/Vsp2の形
であるのは、通常の2輪操舵車両の線形な運動モデルが
次式で表され、その演算式の車速に関する項が1/Vsp
及び1/Vsp2の形で表現されるので、この演算式(車
速はVで表現している)と整合させるためである。
【0071】
【数10】
【0072】図9のステップS8'' により、車両の安定
性が本質的に保証されるように予め、車両を安定性の限
界を越えて走行した際の熟練運転者のステアリングホイ
ール操作を学習して組込まれた制御則に基づいてステア
リングホイール操舵に応じた制御量rを演算し、該制御
量rでもって後輪操舵装置のモータ28を制御する第2
の制御手段としてのニューラルネット制御手段62が構
成されている。
【0073】したがって、上記第3実施例においては、
車両の実際ヨーレイトの周波数伝達関数の位相遅れ特性
が車両重心点の横滑り角βに応じて変化しても、制御切
換位相角(所定値)φ1もこれに対応して該横滑り角β
に応じて変更されるので、車両の運転状況がH∞制御の
保証範囲の限界を越えた時点の横滑り角βに拘らず、そ
の保証範囲を越えた時点を正確にかつ素早く判定するこ
とができる。
【0074】しかも、H∞制御の保証範囲を越えた状況
では、後輪3の操舵制御が上記H∞制御からニューラル
ネットに基づく制御に切換えられ、このニューラルネッ
トに基づく制御が車輪の横滑り角βに対する車両のコー
ナリングフォースの非線形領域で熟練運転者の操作を模
倣した制御系であるので、H∞制御の保証範囲を越える
非線形領域であっても、車両を安定して制御することが
できる。
【0075】その上、図10に示すニューラルネットへ
の入力は実際ヨーレイトyr 、前輪操舵角Fstg 及び車
速Vspであり、これらの入力は比較的安定して測定でき
るので、車両の状態量を安定して検出できる。また、実
際ヨーレイトを入力するので、前輪操舵に対する後輪の
操舵応答性の向上、及び横風や路面等の外乱に対する安
定性の向上を図ることができる。更に、車速Vspは、車
両の2輪操舵モデルの特性の演算式の車速に関する項に
適応した1/Vsp,1/Vsp2の形で入力されるので、
ニューラルネットに基づく後輪操舵量rの演算速度を早
めることができる。
【0076】図11は本発明の第4実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
4実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
及び図3に示す第1実施例のそれと略同じであり、以下
の制御フローの説明では、図2及び図3に示す部材符号
を用いる。
【0077】図11において、ステップS21で所定周期
毎の制御タイミングになるのを待った後、ステップS22
で各種センサ35〜39の検出信号に基いて車速Vsp、
前輪操舵角Fstg 、後輪舵角Rstg 、車両に発生してい
る実際ヨーレイトyr 、及び車両に作用する横加速度Y
g の各車両の運動状態量を計測する。
【0078】続いて、ステップS23で車両の目標ヨーレ
イトyrt、及び該目標ヨーレイトyrtと実際ヨーレイト
yr とのヨーレイト偏差en を算出し、ステップS24で
H∞制御のフィードバック制御量としての後輪3の操舵
制御量rをH∞制御における車両の状態方程式及び出力
方程式に基づいて決定する。尚、ステップS23,S24の
計算は、第1実施例において図4のステップS7 のH∞
制御を説明した所と同じであり、目標ヨーレイトyrt及
びヨーレイト偏差en の計算式は「数2」に、車両の状
態方程式及び出力方程式は「数3」にそれぞれ記載され
ている。
【0079】しかる後、ステップS25で上記車両の状態
方程式及び出力方程式から推定した車両の状態量Xh ,
例えば車両の推定横滑り角又は車輪の推定コーナリング
フォース等を車両の不安定への限界値(つまり車両の性
能限界を示す所定値)Xr と比較し、Xh ≦Xr の限界
以下の状況では、ステップS26で上記H∞制御によるフ
ィードバック制御量rに基づいてモータ28を駆動制御
して後輪3の舵角を操舵制御する。
【0080】一方、ステップS25で車両の推定状態量X
h が所定値Xr を越えたXh >Xrの状況では、ステッ
プS27で制御系が本質的に安定となるように予め設定し
た車速−比例係数特性マップ、及び前輪操舵角Fstg に
基づいてステアリングホイール操舵に応じた制御量rを
演算し、ステップS26で該マップ制御量rでもって後輪
操舵装置20を制御する。
【0081】以上の制御フローのうち、ステップS27に
より、車輪の横すべり角に対するコーナリングフォース
の変化が非線形な領域で制御系が本質的に安定なマップ
制御を行う第2の制御手段としてのマップ制御手段48
が構成されている。また、ステップS25により、車両の
状態量Xh が所定値Xr を越えたときを判定する判定手
段49が構成され、ステップS25からステップS27への
移行により、上記判定手段49で車両の状態量Xh が所
定値Xr を越えたと判定されたとき、後輪3の操舵制御
をH∞制御からマップ制御手段48による制御に切換え
る制御切換手段50が構成されている。
【0082】したがって、上記第4実施例においては、
車両の推定横滑り角βや前後輪のコーナリングフォース
Cf ,Cr 等の内部状態量Xh が所定値Xr以下にある
H∞制御の保証範囲では、後輪3の操舵制御がH∞制御
により行われ、後輪操舵制御の制御ゲインは、図18に
示すように、0.3rad/sec以下の低周波域では
車両の速応性及び定常特性を与える性能目標指標W1 に
沿って大値に設定され、0.3rad/secを越える
高周波域では車両の特性変動時の安定性を与える性能目
標指標W3 に沿って小値に制限されるので、運転者のス
テアリング操作に応じて車両は素早く応答し且つ車両に
は目標ヨーレイトに対して偏差の極く少いヨーレイトが
発生する共に、車両の運動特性が変動しても後輪操舵制
御の発振が確実に防止されて、車両の安定性が良好に確
保されることになる。
【0083】一方、上記車両の状態量Xh が所定値Xr
を越えてH∞制御の保証範囲を越えた状況では、後輪3
の操舵制御はH∞制御からマップ制御に切換えられ、こ
のマップ制御が車両の推定横滑り角βに対する車両のコ
ーナリングフォースの非線形領域で車両を本質的に安定
にさせる制御系にチューニングされているので、H∞制
御の保証範囲を越える非線形領域であっても、車両の安
定性を確保することができる。
【0084】図12は本発明の第5実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
5実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
に示す第1実施例及び図6に示す第2実施例のそれと略
同じであり、以下の制御フローの説明では、図2及び図
6に示す部材符号を用いる。
【0085】第5実施例の制御フローは、基本的には図
11の制御フローと同じであるが、異なる点は、ステッ
プS25で車両の内部状態量Xh が所定値Xr を越える領
域では、ステップS27' でH∞制御に代わる他の制御と
してファジイ制御を用い、該ファジイ制御による後輪操
舵のファジイ制御量rを演算して、該制御量rでもって
モータ28を駆動制御して後輪3の舵角を操舵制御す
る。
【0086】上記ステップS27' のファジイ制御は、第
2実施例で詳述したように、車両の安定性が本質的に保
証されるように予め設定したヨーレイト偏差en とその
変化率den /dtとの関数であるメンバーシップ関数
に基づいてステアリングホイール操舵に応じた制御量r
を演算し、該制御量rでもって後輪操舵装置のモータ2
8を制御するものであり、このステップS27' により第
2の制御手段としてのフィジイ制御手段61が構成され
ている。尚、他は図11の制御フローと同一であるの
で、同一ステップに同一符号を付してその説明を省略す
る。
【0087】そして、上記第5実施例においても、H∞
制御の保証範囲を越える非線形領域では、後輪3の操舵
制御はH∞制御からファジイ制御に切換えられ、このフ
ァジイ制御が車両の推定横滑り角βに対する車両のコー
ナリングフォースの非線形領域で車両を本質的に安定に
させる制御系にチューニングされているので、車両の安
定性を確保することができる。
【0088】図13は本発明の第6実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
6実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
に示す第1実施例及び図8に示す第3実施例のそれと略
同じであり、以下の制御フローの説明では、図2及び図
8に示す部材符号を用いる。
【0089】第6実施例の制御フローは、基本的には図
11の制御フローと同じであるが、異なる点は、ステッ
プS25で車両の内部状態量Xh が所定値Xr を越える領
域では、ステップS27''でH∞制御に代わる他の制御と
してニューラルネットに基づく制御を用い、該ニューラ
ルネット制御による後輪操舵のファジイ制御量rを演算
して、該制御量rでもってモータ28を駆動制御して後
輪3の舵角を操舵制御する。
【0090】上記ステップS27''のニューラルネット制
御は、第3実施例で詳述したように、車両の安定性が本
質的に保証されるように予め、車両を安定性の限界を越
えて走行した際の熟練運転者のステアリングホイール操
作を学習して組込まれた制御則に基づいてステアリング
ホイール操舵に応じた制御量rを演算し、該制御量rで
もって後輪操舵装置のモータ28を制御するものであ
り、このステップS27''により第2の制御手段としての
ニューラルネット制御手段62が構成されている。尚、
他は図11の制御フローと同一であるので、同一ステッ
プに同一符号を付してその説明を省略する。
【0091】そして、上記第6実施例においても、H∞
制御の保証範囲を越える非線形領域では、後輪3の操舵
制御はH∞制御からニューラルネットに基づく制御に切
換えられ、このファジイ制御が車両の推定横滑り角βに
対する車両のコーナリングフォースの非線形領域で車両
を本質的に安定にさせる制御系にチューニングされてい
るので、車両の安定性を確保することができる。
【0092】図14は本発明の第7実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
7実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
及び図3に示す第1実施例のそれと略同じであり、以下
の制御フローの説明では、図2及び図3に示す部材符号
を用いる。
【0093】図14において、ステップS31で所定周期
毎の制御タイミングになるのを待った後、ステップS32
で各種センサ35〜39の検出信号に基いて車速Vsp、
前輪操舵角Fstg 、後輪舵角Rstg 、車両に発生してい
る実際ヨーレイトyr 、及び車両に作用する横加速度Y
g の各車両の運動状態量を計測する。
【0094】続いて、ステップS33で車両の目標ヨーレ
イトyrt、及び該目標ヨーレイトyrtと実際ヨーレイト
yr とのヨーレイト偏差en を算出し、ステップS34で
H∞制御のフィードバック制御量としての後輪3の操舵
制御量rをH∞制御における車両の状態方程式及び出力
方程式に基づいて決定する。尚、ステップS33,S34の
計算は、第1実施例において図4のステップS7 のH∞
制御を説明した所と同じであり、目標ヨーレイトyrt及
びヨーレイト偏差en の計算式は「数2」に、車両の状
態方程式及び出力方程式は「数3」にそれぞれ記載され
ている。
【0095】続いて、ステップS35でヨーレイトセンサ
36により検出された車両のヨーレイトのパワースペク
トルPを計算した後、ステップS36でノイズ強度,即ち
上記パワースペクトルPの全体に対する1Hz以上の成
分比Pizを下記式により演算する。
【0096】
【数11】
【0097】その後、ステップS37でノイズ強度Pizが
車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指標W3 に
相当する所定値Pi を越えたか否かを判定し、Piz≦P
i のH∞制御の保証範囲内ではステップS38でH∞制御
による後輪3の操舵制御を行う一方、Piz>Pi となっ
てH∞制御の保証範囲を越えた状況では、ステップS39
で制御系が本質的に安定となるように予め設定した車速
−比例係数特性マップ、及び前輪操舵角Fstg に基づい
てステアリングホイール操舵に応じた制御量rを演算
し、ステップS38で該マップ制御量rでもって後輪操舵
装置20を制御する。
【0098】以上の制御フローのうち、ステップS39に
より、車輪の横すべり角に対するコーナリングフォース
の変化が非線形な領域で制御系が本質的に安定なマップ
制御を行う第2の制御手段としてのマップ制御手段48
が構成されている。また、ステップS35〜S37により、
実際ヨーレイトに混入するノイズ強度Pizが車両の特性
変動時の安定性を与える性能目標指標W3 に相当する所
定値Pi を越えたことで車両の安定性を保証される範囲
を越えたときを判定する判定手段49が構成され、ステ
ップS37からステップS39への移行により、上記判定手
段49が車両の安定性の保証範囲を越えたときを判定し
たとき、後輪3の操舵制御をH∞制御からマップ制御手
段48による制御に切換えるようにした制御切換手段5
0が構成されている。
【0099】したがって、上記第7実施例においては、
車両のヨーレイトに混入するノイズ強度Pizが所定値P
i 以下にあって車両の運動状態が性能目標指標W3 未満
にあるH∞制御の保証範囲では、後輪操舵制御の制御ゲ
インは、図18に示すように、0.3rad/sec以
下の低周波域では車両の速応性等を与える性能目標指標
W1に沿って大値に設定され、0.3rad/secを
越える高周波域では車両の特性変動時の安定性を与える
性能目標指標W3 に沿って小値に制限されるので、運転
者のステアリング操作に応じて車両は素早く応答し、且
つ車両には目標ヨーレイトに対して偏差の極く少ないヨ
ーレイトが発生する共に、車両の特性が変動しても後輪
操舵制御の発振が確実に防止されて、車両の安定性が良
好に確保されることになる。
【0100】一方、車両のヨーレイトに混入するノイズ
強度Pizが所定値Piを越えて車両の運動状態が性能
目標指標W3 を越え、H∞制御の保証範囲外となった状
況では、後輪3の操舵制御が上記H∞制御からマップ制
御に切換えられ、このマップ制御が図21に示す車両の
推定横滑り角βに対する車両のコーナリングフォースの
非線形領域でも熟練運転者の操作を模倣した制御系であ
るので、H∞制御の保証範囲を越える非線形領域であっ
ても、車両の安定性を確保することができる。
【0101】図15は本発明の第8実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
8実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
に示す第1実施例及び図6に示す第2実施例のそれと略
同じであり、以下の制御フローの説明では、図2及び図
6に示す部材符号を用いる。
【0102】第8実施例の制御フローは、基本的には図
14の制御フローと同じであるが、異なる点は、ステッ
プS37で車両のヨーレイトに混入するノイズ強度Pizが
車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指標W3 に
相当する所定値Pi を越える領域では、ステップS39'
でH∞制御に代わる他の制御としてファジイ制御を用
い、該ファジイ制御による後輪操舵の制御量rを演算し
て、該制御量rでもってモータ28を駆動制御して後輪
3の舵角を操舵制御する。
【0103】上記ステップS39' のファジイ制御は、第
2実施例で詳述したように、車両の安定性が本質的に保
証されるように予め設定したヨーレイト偏差en とその
変化率den /dtとの関数であるメンバーシップ関数
に基づいてステアリングホイール操舵に応じた制御量r
を演算し、該制御量rでもって後輪操舵装置のモータ2
8を制御するものであり、このステップS39' により第
2の制御手段としてのフィジイ制御手段61が構成され
ている。尚、他は図14の制御フローと同一であるの
で、同一ステップに同一符号を付してその説明を省略す
る。
【0104】そして、上記第8実施例においても、H∞
制御の保証範囲を越える非線形領域では、後輪3の操舵
制御はH∞制御からファジイ制御に切換えられ、このフ
ァジイ制御が車両の推定横滑り角βに対する車両のコー
ナリングフォースの非線形領域で車両を本質的に安定に
させる制御系にチューニングされているので、車両の安
定性を確保することができる。
【0105】図16は本発明の第9実施例として後輪の
操舵制御の変形例を示すフローチャートである。尚、第
9実施例の場合、車両の操舵装置のハード構成は、図2
に示す第1実施例及び図8に示す第3実施例のそれと略
同じであり、以下の制御フローの説明では、図2及び図
8に示す部材符号を用いる。
【0106】第6実施例の制御フローは、基本的には図
14の制御フローと同じであるが、異なる点は、ステッ
プS37で車両のヨーレイトに混入するノイズ強度Pizが
車両の特性変動時の安定性を与える性能目標指標W3 に
相当する所定値Pi を越える領域では、ステップS39''
でH∞制御に代わる他の制御としてニューラルネットに
基づく制御を用い、該ニューラルネット制御による後輪
操舵の制御量rを演算して、該制御量rでもってモータ
28を駆動制御して後輪3の舵角を操舵制御する。
【0107】上記ステップS39''のニューラルネット制
御は、第3実施例で詳述したように、車両の安定性が本
質的に保証されるように予め、車両を安定性の限界を越
えて走行した際の熟練運転者のステアリングホイール操
作を学習して組込まれた制御則に基づいてステアリング
ホイール操舵に応じた制御量rを演算し、該制御量rで
もって後輪操舵装置のモータ28を制御するものであ
り、このステップS39''により第2の制御手段としての
ニューラルネット制御手段62が構成されている。尚、
他は図14の制御フローと同一であるので、同一ステッ
プに同一符号を付してその説明を省略する。
【0108】そして、上記第9実施例においても、H∞
制御の保証範囲を越える非線形領域では、後輪3の操舵
制御はH∞制御からニューラルネットに基づく制御に切
換えられ、このファジイ制御が車両の推定横滑り角βに
対する車両のコーナリングフォースの非線形領域で車両
を本質的に安定にさせる制御系にチューニングされてい
るので、車両の安定性を確保することができる。
【0109】図17は本発明の第10実施例に係わる車
両の操舵装置を示す。上述した第1〜第9実施例では、
いずれも後輪3,3を後輪操舵装置20を用いて操舵制
御したのに対し、第10実施例では、前輪2,2をステ
アリングホイール1とは別途に電気的に操舵制御するも
のに適用したものである。
【0110】すなわち、第10実施例の場合、操舵装置
は、図2に示す後輪操舵装置20を備えず、前輪操舵装
置10と並列に、リレーロッド11に配置したラック&
ピニオン機構71と、該機構71を駆動するモータ72
とを設け、該モータ72の作動をコントロールユニット
29により制御するように構成されている。操舵装置の
その他の構成は、上述の第1実施例と同様であるが、前
輪を操舵する関係上、第1実施例の後輪操舵で後輪を前
輪と逆位相に操舵制御する場合には本実施例では前輪の
操舵角を増す側に操舵制御し、第1実施例で後輪を同位
相に操舵制御する場合には本実施例では前輪の操舵角を
減す側に操舵制御すればよい。
【0111】尚、以上の説明では、後輪操舵の状態フィ
ードバック制御において、車両の推定観測量として車両
の横滑り角、後輪の操舵角、該操舵角の変化速度、前輪
と後輪のコーナリングフォース、及び車両に作用するヨ
ーレイトを用いて車両の状態を正確に観測したが、車両
の状態を観測するには、少なくとも車両の実際ヨーレイ
ト及び車両の横滑り角の2種を観測すれば足りる。
【0112】また、以上の説明では、第1の制御手段4
5をH∞制御するもので構成したが、車両のヨーレイト
のLQG制御(状態フィードバック制御)を行うもの、
又は実際ヨーレイトとその目標値との偏差に応じたフィ
ードバック制御量でもって後輪の操舵角をフィードバッ
ク制御するものにも同様に適用できるのは勿論である。
【0113】
【発明の効果】以上の如く、本発明における車両の操舵
装置によれば、第1の制御手段による前輪又は後輪の操
舵制御が車両の安定性を保証する範囲を越えて車両の運
動特性が変動した場合には、その状況を早期に把握し、
本質的に安定な第2の制御手段による前輪又は後輪の操
舵制御に切換えられるので、車両の安定性を良好に確保
することができる。
【0114】特に、請求項1記載の発明によれば、上記
第1の制御手段による前輪又は後輪の操舵制御がH∞制
御により行われるので、車両の特性変動時の車両の安定
性、速応性及び定常特性の全てを良好に確保できるとい
う効果をも奏する。
【0115】また、請求項1又は2記載の発明によれ
ば、第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証す
る範囲を越えたことを早期にかつ正確に検知することが
でき、車両の安定性をより良好に確保することができ
る。
【0116】請求項3及び4記載の発明によれば、第1
の制御手段が車両の安定性を保証する範囲を越えた時点
の車速又は車両の横滑り角の相違に拘らず、その保証範
囲を越えた状況の判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明のブロック構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係わる車両の操舵装置の
全体構成を示す概略構成図である。
【図3】同操舵装置における制御系のブロック構成図で
ある。
【図4】後輪の操舵制御のフローチャート図である。
【図5】H∞制御の制御ゲインを決定するためのフロー
チャート図である。
【図6】第2実施例を示す図3相当図である。
【図7】同じく図4相当図である。
【図8】第3実施例を示す図3相当図である。
【図9】同じく図4相当図である。
【図10】ニューラルネットの具体例を示す図である。
【図11】第4実施例を示す図4相当図である。
【図12】第5実施例を示す図4相当図である。
【図13】第6実施例を示す図4相当図である。
【図14】第7実施例を示す図4相当図である。
【図15】第8実施例を示す図4相当図である。
【図16】第9実施例を示す図4相当図である。
【図17】第10実施例を示す図2相当図である。
【図18】H∞制御に使用する2種の性能目標指標W1
,W3 を示す図である。
【図19】H∞制御を行わない場合の後輪操舵に対する
車両の運動特性の周波数伝達関数のゲイン特性を示す図
である。
【図20】路面の摩擦係数が変化した場合に後輪操舵に
対する車両の運動特性の周波数伝達関数が変化する様子
の説明図である。
【図21】車輪の横滑り角に対する車輪のコーナリング
フォース特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 前輪 3 後輪 20 後輪操舵装置(操舵手段) 28 モータ 29 コントロールユニット 36 ヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出
手段) 45 第1の制御手段 46 制御ゲイン算出手段 47 状態フィードバック制御手段 48 マップ制御手段(第2の制御手段) 49 判定手段 50 制御切換手段 61 ファジイ制御手段(第2の制御手
段) 62 ニューラルネット制御手段(第2の
制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00 B62D 137:00 (56)参考文献 特開 平4−362472(JP,A) 特開 平4−201784(JP,A) 特開 平4−356280(JP,A) 特開 平4−138970(JP,A) 特開 平4−339509(JP,A) 特開 平3−61650(JP,A) 特開 平5−69845(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B62D 7/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪又は後輪をステアリングホイールと
    は別途に操舵する操舵手段と、 車両に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト
    検出手段と、 該検出手段により検出された実際ヨーレイトと目標ヨー
    レイトとの偏差に基づいて制御量を演算し、該制御量に
    より実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致させるよう
    上記操舵手段をフィードバック制御する第1の制御手段
    と、 該第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証する
    範囲を越えたときを判定する判定手段と、 車両の安定性が本質的に保証されるようにステアリング
    ホイール操舵に応じた制御量で上記操舵手段を制御する
    第2の制御手段と、 上記判定手段の出力を受け、上記第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、前輪
    又は後輪の操舵制御を該第1の制御手段による制御から
    上記第2の制御手段による制御に切換える制御切換手段
    とを備え、 上記第1の制御手段は、少なくとも車両の実際ヨーレイ
    ト及び推定横滑り角を車両の状態量とする車両の状態方
    程式、並びに出力方程式に基づいて車両の実際ヨーレイ
    トを制御目標ヨーレイトに状態フィードバック制御する
    よう上記操舵手段を制御する状態フィードバック制御手
    段と、上記前輪又は後輪の操舵に対する車両のヨーレイ
    ト変化の周波数伝達関数の制御ゲイン特性として、車両
    の特性変動時の安定性を与える性能目標指標並びに車両
    の速応性及び定常特性を与える性能目標指標の2種と、
    前輪又は後輪の操舵角を入力とする車両の状態方程式及
    び出力方程式とに基づいて上記状態フィードバック制御
    手段の制御ゲインを算出する制御ゲイン算出手段とから
    なり、 上記判定手段は、第1の制御手段による前輪又は後輪の
    操舵制御時に前輪又は後輪の操舵に対する車両のヨーレ
    イト変化の制御ゲインの周波数成分が車両の特性変動時
    の安定性を与える性能目標指標を越えたことで第1の制
    御手段による制御が車両の安定性を保証する範囲を越え
    たときを判定するものであることを特徴 とする車両の操
    舵装置。
  2. 【請求項2】 前輪又は後輪をステアリングホイールと
    は別途に操舵する操舵手段と、 車両に発生する実際のヨーレイトを検出するヨーレイト
    検出手段と、 該検出手段により検出された実際ヨーレイトと目標ヨー
    レイトとの偏差に基づいて制御量を演算し、該制御量に
    より実際ヨーレイトを目標ヨーレイトに一致させるよう
    上記操舵手段をフィードバック制御する第1の制御手段
    と、 該第1の制御手段による制御が車両の安定性を保証する
    範囲を越えたときを判定する判定手段と、 車両の安定性が本質的に保証されるようにステアリング
    ホイール操舵に応じた制御量で上記操舵手段を制御する
    第2の制御手段と、 上記判定手段の出力を受け、上記第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたとき、前輪
    又は後輪の操舵制御を該第1の制御手段による制御から
    上記第2の制御手段による制御に切換える制御切換手段
    とを備え、 上記判定手段は、第1の制御手段による前輪又は後輪の
    操舵制御時に車両の実際ヨーレイトの所定周波数での位
    相遅れ量が所定値を越えたことで第1の制御手段による
    制御が車両の安定性を保証する範囲を越えたときを判定
    するものであることを特徴とする車両の操舵装置。
  3. 【請求項3】 上記判定手段による位相遅れ量の判定し
    きい値である所定値は、車速に応じて変更されるもので
    ある請求項2記載の車両の操舵装置。
  4. 【請求項4】 上記判定手段による位相遅れ量の判定し
    きい値である所定値は、車両の横滑り角に応じて変更さ
    れるものである請求項2記載の車両の操舵装置。
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