JP3319452B2 - 微小病変のx線撮影システム - Google Patents

微小病変のx線撮影システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はX線の回折、屈折、
散乱、透過、並びに偏光効果等を伴う物理学的過程を利
用して、各種材料の表面構造や内部構造、ヒトや動物の
微小病変をX線により撮影するシステムに関するもので
ある。特に、板状のシリコン単結晶(以下シリコン単結
晶板という)からなるX線光学系を用いて患部の大きさ
に合わせた照射野を高輝度X線を利用して作成し、この
X線を人体、動物等の患部に照射して微小病変の撮影を
可能にした微小病変のX線撮影システムに関する。
【0002】
【従来の技術】撮影に利用するX線は、高さと位相に関
する情報を持つ波動の性質を有する。従来の医療用X線
管装置によるX線撮影画像は、被写体透過後のX線波動
における強度の変化(高さの変化)(組織間のX線吸収
差)を像として描画するものである。この方法は、X線
吸収差の少ない組織から成る被写体に対して、高い画像
コントラスト(写真濃度の黒白の差)を得ることが難し
く、診断能の低い、もしくは診断能のほとんど無いX線
画像しか得られなかった。X線吸収差の小さい被写体
は、X線位相の変化を利用して描画すると画像コントラ
ストが非常に高くなることが知られている。
【0003】例えば、特表平11−502620号公報
には、屈折率変化を示す対象物の境界のイメージを得る
方法が提案されている。この方法は、境界に高い横方向
空間干渉性および該屈折率変化を横切る伝播成分を有す
る透過性放射線を照射し、画面上で、境界が対応する強
度変化によってイメージ上に表示されるように境界によ
り屈折された放射線の少なくとも一部を受光して、イメ
ージを形成する技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のX線撮影法は、
X線吸収差の非常に小さな被写体の描画ができないこと
にあった。例えば、骨の微小骨折や人体の軟部組織中の
腫瘍や血管等は従来法の単純撮影による描画は困難であ
り、観血的に行う以外に病変の診断を行うことはできな
い。従来法では複数のスリットや多重シャッターを用い
て照射面のサイズを調整していたので、スリットやシャ
ツターで削除されたX線は画像形成に寄与しない。つま
り、X線の利用効率が悪く、より短時間での撮影実施に
は不向きであるなどの問題があった。
【0005】本発明の目的は、X線光学系により被写体
に合わせてX線照射野サイズを設定し、X線のパワーを
効率よく撮影に用いることで、より短い撮影時間で微小
病変をはじめ、X線吸収差の少ない組織を高画像コント
ラストで描画し、患者に適切な診断、治療方針の決定、
並びに病後管理を行えるようにした微小病変等のX線撮
影システムを提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、被写体に合わせてX
線照射野サイズを設定し、X線のパワーを効率よく撮影
に用いることで短時間撮影を行い被写体の動きによるぼ
けの影響が少ない画像を得るためのX線撮影システムの
X線光学装置を提供することにある。
【0007】請求項1の発明は、人体または馬体の組織
における数μm〜数10μm程度の変化として現れる病
変のX線撮影システムであって、放射光X線源と、1ま
たは複数のシリコン単結晶板により構成され、放射光X
線源からのX線を非対称に反射させ、X線の空間干渉性
を保持、ないしは増強するとともに、X線の均一照射野
を確保するX線光学装置と、該X線光学装置で確保され
た均一照射野のX線を人体または馬体の撮影部位に照射
する撮影部と、X線を照射された撮影部位を画像記録媒
体に記録する画像記録部と、画像記録部側に設けられ、
人体または馬体の撮影部位を固定する被写体固定部と画
像記録媒体間の距離を調整する手段とを備えていること
を特徴とする。
【0008】請求項1の発明によれば、人体または馬体
の組織おける数μm〜数10μm程度の変化として現れ
る微小な病変部位(骨表面や内部のキズなど)に平行性
の高いX線を照射し、上記病変部によって起こるX線の
回折等の効果を利用して撮影することで、微小病変をX
線位相差像として描出できる。また、撮影部位を安定し
た***で固定することにより、被写体の動きによる画像
ぼけを軽減し、短時間撮影の実施が可能となる。さら
に、位相差画像のコントラストは撮影部位のX線照射位
置と画像記録媒体との距離により変化する為、前記距離
を調整することにより高画像コントラストが得られると
共に、人体または馬体を動かさないため、不安感から生
じる体動の防止に役立つ。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、人体または馬体の撮影部位に対して異なる入射角度
でX線照射を行うX線照射位置変更手段を備えているこ
とを特徴とする。
【0010】請求項2の発明によれば、微小病変部位を
複数の異なる角度で撮影することにより微小病変の位
置、大きさ、形などの特定がし易くなる。
【0011】請求項3の発明は、1または複数枚のシリ
コン単結晶板により構成され、X線の空間干渉性を保
持、ないしは増強するとともに、X線の均一照射野を確
保する為のX線撮影システムのX線光学装置であって、
複数枚のシリコン単結晶板により構成する場合はシリコ
ン単結晶板における入射面を直交させて配置し、それぞ
れのシリコン単結晶板に対し、その原子面の法線方向を
軸とする回転操作によりX線照射野のサイズを調整する
ことを特徴とする。
【0012】請求項3の発明によれば、シリコン単結晶
におけるX線のブラッグ反射により、X線の進行方向が
変わる。シリコン単結晶板を複数組み合わせることで、
いろいろな角度で飛来するX線を作ることができる。ま
た、特定方向におけるX線の長さを非対称度に応じて連
続的に変更することで、X線照射野の縦方向と横方向の
それぞれのサイズを独立調整することができる。
【0013】請求項4の発明は、請求項3の発明におい
て、横幅サイズを調整するシリコン単結晶板と縦幅サイ
ズを調整するシリコン単結晶板とをそれぞれ複数枚で構
成し、X線の入射光軸と出射光軸が一直線となるよう前
記各シリコン単結晶板が配置されていることを特徴とす
る。
【0014】請求項4の発明によれば、X線光学系の調
整において、X線光軸が一定であれば、装置全体の設置
調整が非常に簡単になる。X線の出射位置が正確に予測
できればより正確な撮影が実施できる。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の態様】本発明の実施例について図面を参
照しながら説明する。先ず、本発明の原理を説明する。
本発明は被写体透過後のX線における波動の位相変化を
発生・顕在化させる為のX線機器システム工学と画像ぼ
けの少ない短時間撮影を実施する為のX線撮影技術工学
を応用した技術であり、放射光X線の高い空間干渉性と
十分なX線強度を利用するものである。本発明の撮影方
法における画像コントラストは、X線の回折に伴うX線
位相の変化に起因する。つまりX線波動の位相の変化が
大きい程画像コントラストが高くなる。ゆえに、このよ
うな部位を線画像として描写する能力が高くなる特徴を
有する。
【0019】実際の撮影においては、放射光X線の空間
干渉性をより高めるため、数枚のシリコン単結晶板をX
線経路に配置し、その表面でブラッグ反射した単色X線
を利用した。得られた単色X線を被写体に照射し、高分
解能X線フィルムやX線TV等の受像器で撮影する。位
相の変化に起因する画像のコントラストは、被写体とX
線フィルム等の距離により変化する。通常、被写体と画
像記録媒体との間の距離が数10cm〜数mの範囲に高
画像コントラストを得る撮影位置がある。
【0020】上記原理を微小骨折の撮影に応用した放射
光X線撮影システムについて説明する。図1は人体の手
部撮影に用いる微小病変のX線撮影システムの模式図で
ある。図2は撮影部の他の実施形態を示す側面図、図3
は撮影部の他の実施形態を示す上面図である。微小病変
のX線撮影システムは、X線源1、X線光学素子2によ
りX線の均一照射野を作成するX線光学系3、撮影部
4、画像記録部5から構成されている。X線源1は、高
輝度且つ高空間干渉性を有する放射線(矢印実線)を発
生する。好ましくは、空間コヒーレンス長(λ/△θ)
が10μm、ないしはそれより長い放射線を用いる。ここ
で、λはX線の波長、△θはその波長を持つX線の空間
発散角である。ここで、放射線とは、例えば偏向電磁石
や挿入光源から得られる放射光X線やこれをシリコン単
結晶に当てることで得られるX線であり、そのエネルギ
ーは3keV〜200keVである。空間干渉性の高い
X線は、微小病変部でX線回折を起こし、画像記録媒体
としてフィルム50上に微細干渉画像51を記録する作
用を持っている。
【0021】X線光学系3は、X線の性質を保持ないし
増強すると共に、被写体の大きさに合わせて均一強度の
X線照射野を作成する機能を有する。特に、放射光X線
を複数枚のシリコン単結晶板で反射させることにより空
間干渉性の高いX線光子を十分な量フィルムに与えるこ
とができるので、被写体40の動きによる画像ぼけの少
ない、短時間撮影が実施可能となる。X線光学系3は、
後述する図11に示す各種構成を用いることができる。
【0022】本例では、入射光軸と出射光軸が同一軸と
なる複数のシリコン結晶板の組み合わせたX線光学系を
用いている。図6は放射光X線を8枚のシリコン単結晶
板で反射させるX線光学系の上面から見た模式図、図7
は図6のX線光学系を側面から見た模式図である。前4
枚の結晶(X線源側)a〜dは横(縦)方向のサイズを
調整し、後4枚の結晶e〜hは縦(横)方向のサイズが
調整可能である。各結晶a〜hは、原子面に対して回転
可能に構成されている。即ち、結晶a〜hを図示の如
く、原子面の法線方向を軸とする回転操作によりX線照
射野サイズの縦と横、それぞれ任意に調整できる。
【0023】図8はシリコン単結晶板の原子面に対して
ある角度でX線を入射させたとき出射されるX線を示す
図、図9はX線が対称反射の場合を示す図、図10はX
線が非対称反射の場合を示す図である。
【0024】(1)対称反射について 図9において、結晶の表面とブラッグ面が平行(α=
0)のときは、入射X線の幅Dinと出射X線の幅D
outは、同じとなる。
【0025】Din=Dout シリコン単結晶板による対称反射は、X線束の単色化
(エネルギーの決定)、X線進行方向の調整に役立つも
のである。
【0026】(2)非対称反射について 結晶の表面とブラッグ面が角度αをなすときは、入射X
線の幅(サイズ)Dinと出射X線の幅(サイズ)D
outは異なる。ここで、結晶の非対称度をbと定義
し、b=sin(θ−α)/sin(θ+α)とお
くと、 Dout=(1/b)×Din (b>0) となる。
【0027】図10において、従来からの横方向Aと縦
方向Bの操作に加え、軸周りCの回転を加えることによ
り照射野サイズの拡大や縮小ができる。一辺の拡大率M
は、1/b≦M≦bの範囲で任意に選べる。
【0028】シリコン単結晶板による非対称反射は、照
射面積(照射野)の拡大縮小(サイズの調整)、X線束
の単色化(X線エネルギーの決定/被曝線量の軽減)、
空間的干渉性の向上、X線進行方向の調整に役立つもの
である。
【0029】本発明のX線光学系は、次の特徴を持って
いる。基準となる照射面積に対して、照射面積を連続
的に変更できる。結晶の非対象度を図10に示すよう
に、bとすれば、その拡大率Mは、1/b≦M≦bから
任意に選べる。放射線の進行方向(光軸)が8枚結晶
の前後で変わらない。照射面一辺のサイズが縦横それ
ぞれについて、拡大率を自由に設定可能である。X線
の波長を連続的に変化できるので、自由にX線波長(又
はエネルギー)の選択ができる。
【0030】X線光学系の他の実施形態について説明す
る。図11(A)は結晶を用いずにX線スリットのみで
構成した例、図11(B)は1枚で横方向サイズを調整
する結晶で構成した例、図11(C)は2枚で横方向サ
イズを調整する結晶で構成した例、図11(D)は1枚
で縦方向サイズを調整する結晶と1つの横方向サイズを
調整する結晶で構成した例、図11(E)は2枚で横方
向サイズを調整する結晶と1枚で縦方向サイズを調整す
る結晶で構成した例、図11(F)は2枚で縦方向サイ
ズを調整する結晶と2枚で横方向サイズを調整する結晶
で構成した例を示す。図11(B)〜(F)のX線の放
射軸上に図6の8枚組のX線光学系を配置することで光
軸の位置を維持しかつ縦横のサイズの独立調整が可能と
なる。
【0031】図1における撮影部4は、撮影台41、患
者が座る椅子42、被写体40の手部を固定し、X線を
透過して照射するアクリル板等のX線吸収効果の小さい
材質からなる被写体固定部43から構成されている。ア
クリル板の場合は厚さ数mm程度でよい。図1に示す例
では、被写体固定部43が撮影台41に支持する被写体
固定部支持体44によって支持されており、図2の例で
はX線源からの散乱X線を遮蔽する部屋の仕切り壁6側
に固定されている。被写体固定部43は、スリット7に
対向配置される。スリット7は、X線照射野の外周にほ
ぼ一致させるよう配置される。X線はスリット7を通し
て放射され、被写体固定部43を透過し人体の手部40
に照射される。被写体固定部43の後方にはX線の照射
線上に画像記録部5が設置される。
【0032】図2中の破線のX線(斜め上方へ放射)の
利用については、患者の状態、疾患の種類、状態によ
り、検査部位(手、足、体患部等)にX線を斜め入射す
る方がより診断に適した画像が得られる場合に用いる。
このような斜め入射機能を付属させることによりシステ
ムの汎用性が高められる。
【0033】被写体固定部43は、図1に示すように撮
影台41に固定された被写体固定部支持体44に取付け
る構造、或いは図2に示すようにX線源を格納し、又撮
影部との区分を図る部屋の仕切壁6に固定された被写体
固定部支持体44に取付ける構造により実施される。図
5において、被写体固定部43は、被写体固定部支持体
44にフレーム45を傾倒機構部49に取り付け、この
フレーム45に被写体固定部46を取着する。フレーム
45には被写体の下部を支える支え部材47と被写体を
固定するためのX線吸収の少ない材質によるベルト48
等が設けられている。固定された被写体の疾患部位に合
わせてフレーム45を任意角に傾倒させる。被写体40
をベルト48等で固定することにより、被写体40の動
きによる画像ぼけを軽減すると共に、短時間撮影であっ
ても、その準備から終了までの間、苦痛の少ない楽な体
位で被験者の整位(ポジショニング)がとれる。
【0034】図2に示す撮影台41は、人体を倒伏させ
て足部の撮影を可能にする為、身長にほぼ等しい長さの
寝台410により構成されており、その寝台410をほ
ぼ1/3で2分割し、ヒンジ411にて90度回転可能
に構成されている。患者を座らせて手部40等を撮影す
るとき図示の実線で示すように椅子にセットし、または
患者を倒伏させて足部等を撮影する場合には図示の破線
で示すように寝台410にセットする。
【0035】手部や足部の疾患部位に対してX線の照射
位置を変える為に撮影台41の高さと方向の位置調整が
可能な構造になっている。図2において、回転テーブル
82は、床面と同レベルになる載置面を有し、昇降機構
部80と回転機構部90とによって撮影台41の高さと
向きの調整が行われる。昇降機構部80は、例えば図示
の如くリンク機構81によって回転テーブル82を支
え、このリンク機構81を駆動部(図示せず)によって
矢印方向に上下動(Y方向)させ、撮影台41の高さを
調節する。また、回転機構部90は、回転テーブル82
を水平方向に回転自在に支持し、電動部91と回転テー
ブル駆動軸92との間を伝動ベルト93により連結し、
回転テーブル82を任意の方向に回転させ撮影台41の
向きをX線放射方向に対して調整する。レール412
は、寝台410をX方向に移動する目的で用いる。
【0036】画像記録部5は、X線フィルム等の画像記
録媒体50に画像を記録する機能を有し、画像記録媒体
50と被写体固定部43との間の距離(Z方向)を調整
する記録媒体移動手段52が設けられている。画像記録
媒体50と被写体固定部43の距離は、0.3〜4mの範囲
を調整可能になっている。
【0037】記録媒体移動手段52は、地上走行装置や
天井走行装置によって構成される。地上走行装置は、図
1に示すように設置台53の上にレール54を敷き、こ
のレール54上を動く走行部55に画像記録媒体50を
取付ける。また、天井走行装置は、図4に示すように天
井56にレール57を固定し、この天井レール57に吊
り下げられて動く走行部58に画像記録媒体50を取付
ける。画像記録媒体50は、伸縮式アームで上下し、ヒ
ンジ部58Bで水平より45゜まで傾く。又、天井走行
装置は、被写体40と画像記録媒体50の距離を小さく
する(0.3〜1m程)場合やX線斜入射撮影時に用い
る。地上走行装置や天井走行装置は、手動又は動力によ
るもので構成される。
【0038】本実施例の作用を説明する。X線源1が高
輝度且つ高空間干渉性を有する放射線を発生し、X線光
学系にて被写体の大きさに合わせたX線照射野を持つX
線を生成する。撮影条件(撮影時間、X線エネルギー
等)は、撮影部位により異なる。画像記録媒体50と被
写体固定部43との距離をX線の干渉度に合わせて設定
する。手足40の撮影部位を被写体固定部43に当接さ
せ、好ましくはしっかりと固定した後、X線を照射して
画像記録媒体50に記録撮影する。ここで、X線の干渉
度と前記距離との関係は、X線の干渉度が比較的高いと
きは2〜4mぐらいが適し、低いときは0.3〜2mぐらい
が適する。ただし、同時にフィルム等に記録されるX線
吸収効果による画像も診断情報を含むのでこれが失われ
ない程の距離に定める。
【0039】微小骨折像は、骨試料と画像記録媒体の距
離により大きく依存する。図12は被写体とフィルム間
の距離Z=0.7mにおける撮影画像(白矢印部分が骨折
部位を示す)である。図13は撮影画像の微小骨折部位
をスケッチした図である。本例は乾燥人骨に対して、衝
撃を与えて人為的に微小骨折を作ったものである。尚、
図中の符号Hは骨上で圧力(外力)のかかった点(打撃
点)、AはHから生じた縦方向の微小骨折像、BはHか
ら生じた横方向の微小骨折像を示す。
【0040】図12に示す画像は印画紙に焼き付けてい
るので、原フィルムとは白黒濃度が反転している。この
画像には試料のX線吸収差に起因するコントラストとX
線位相の変化に起因するコントラストによる画像情報が
含まれている。被写体とフィルムが近いZ=0.1mにお
ける画像は、主にX線吸収効果により生じており、この
位置で撮影した画像では亀裂(微小骨折)を捉えること
ができなかった。図14は同じ試料をX線焦点サイズ0.
1mmの医療用X線管で撮影したX線吸収効果による画
像を示す。管電圧は45kV、露光量は約1000mA・sで
ある。X線増感紙は用いていない。ここでも微小骨折像
は捉えることができなかった。
【0041】図12と図14の画像を比較すると、放射
光X線を用いた位相の変化に起因する画像(図12)に
のみ微小骨折(矢印部分)が写っていることが分かる。
微小骨折のようにX線吸収差の小さな部位はX線位相の
変化に基づくコントラストでなければ描写できない。X
線管に比べて単色で干渉性の高い放射光X線の方が、位
相コントラストの描写には有利である。
【0042】骨表面を金属顕微鏡で観察した結果、微小
骨折の発生様式(走行状態)には、少なくとも2種類あ
ることが確認できた。これを骨断面を模式的に描いた図
で説明する。図15は、:亀裂幅が数μm〜数10μ
m程度の開口構造型の微小骨折である。また、図16
は、:明瞭な開口部を示さない、骨組織の変位による
界面ずれ構造型の微小骨折である。
【0043】において生じた位相コントラストは、図
15に示したX線に対して半透明な単スリット(位相物
質のスリット)模型で説明できる。この表式における画
像コントラストはフレネル積分関数で表され、試料とX
線フィルムの距離の違いにおける画像コントラストの変
化を説明することができる。生ずるX線位相差φは、 φ=2π(△n)L/λ で表される。上式において、△nは、該単スリットの開
口部と非開口部の屈折率の差、Lはスリットの厚さ、λ
はX線の波長である。ここに、△n〜0.4×10-6、λ=4.
1×10-11m、L〜50μmとすれば、計算による位相差
は、およそπ(rad)である。微小骨折像の線幅は約2
0μmである。計算による像の全線幅W〜2dで与えら
れる。ここに、全線幅Wとは、バッググランド濃度を除
く位相コントラストのみにおける1/10値幅、つまり
位相コントラストのみを考慮したときの最大強度に対し
て1/10の強度を与える線プロファイル(図17)上
の2点間の距離を指す。dは、該単スリットの開口幅で
ある。線の形(プロファイル)は、d=7.5μmとした場
合の計算結果との一致が良い。X線フィルムの分解能が
約5μmであることを考慮すると、開口幅とX線フィル
ム分解能のたたみこみから生じる実測の線幅についても
合理性がある。において生じた位相コントラストは、
図16に示したX線に対して半透明な片スリット模型で
説明できる。
【0044】放射光X線による位相差画像の骨微細構造
(骨梁)描写は、X線管による撮像に比べてはるかに優
れている。これは、X線の屈折による辺縁部の強調現象
(エッジ効果)である。図14に示すように、エッジ効
果は焦点サイズが0.1mmのX線管では顕著に現れない。
微小骨折部の描写能力は、干渉性の高い放射光X線に比
べずっと低い。骨折撮影の臨床試験に進むに当たり、照
射野サイズとして15cm×20cm程度が必要であ
る。これについては非対称反射結晶を利用した照射野拡
大の技術を用いれば良い。放射光X線は、X線出力が大
きく、短時間撮影に向いている。つまり、被写体の動き
に起因する画像ブレを抑制するのに役立つ。これは微小
骨折のような小さな被写体の撮影には非常に有利な条件
である。
【0045】次に動物の足部の微小骨折を撮影する微小
病変のX線撮影システムについて説明する。尚、本実施
例は馬で代表される四肢動物の足部撮影に応用した微小
病変のX線撮影システムである。図18は動物用の微小
病変のX線撮影システムの概念を示す全体斜視図、図1
9は撮影部の側面図、図20は撮影台の駆動部を含む撮
影装置の正面図である。
【0046】撮影台100は、回転可能に軸支された回
転テーブル101を備えており、回転テーブル101は
モータ102の駆動力を変速部103により変速し軸1
04に伝えられ回転する。動物108を誘導するU字形
の柵112が垂直に設けられている。柵112は、天井
113に設置された回転機構114により必要に応じて
回転軸114Aを中心に回転させることができる。
【0047】設置台105には、X−Zレール106が
配備されており、このX−Zレール106は撮影台10
0を挟んでX線放射部110とは反対側に設置され、X
線の照射方向に敷設されたXレール106Aと、Xレー
ル106A上を移動可能でX線の照射方向に直交する方
向に敷設されたZレール106Bから構成されている。
画像記録媒体107は、Zレール106B上を走行す
る。画像記録媒体107と撮影台100との間に、画像
記録媒体107を除く上部を動物から見えないように遮
蔽する遮蔽体111が配置されている。これは、動物の
恐怖心をあおらないための措置である。
【0048】本実施例の作用を説明する。動物108を
撮影台100に載せ、足部の撮影部位に正しくX線が照
射されるよう回転テーブル101を回転させて動物10
8の向きを調節する。撮影部位に画像記録媒体107を
移動させてセットし、X線を照射して撮影する。
【0049】本発明の実施例には、次の効果が期待され
る。即ち、 平行性(干渉性)の高い(強い)X線を用いることで
短時間撮影が可能となり、骨を始めとして、その表面や
内部に生じた微小なキズ等の疾患における診断に役立
つ。 非侵襲的手法により得られる診断画像として、従来法
では描画できない微小病変等の像を高い画像コントラス
トで描画できるので、患者により適切な診断、治療方針
の決定、並びに病後管理を行えるようになると共に、人
や動物を対象にした、X線撮影装置の開発に寄与でき
る。
【0050】本発明の応用としては、位相画像法におけ
る造影検査法への実施ができる。物質元素の違い(原子
番号の違い)から生じる位相の変化を画像にすることが
できる。血管内、体内に適切な薬品を注入することで、
位相の変化に起因するコントラストをより高めることが
できる。薬品の併用により微少病変やX線吸収差の少な
い組織の画像コントラストを強調することで、より多く
の診断情報を提供する造影検査法を実施できる。
【0051】
【発明の効果】本発明のX線撮影システムによれば、
体または馬体の骨のキズ(例えば、微小骨折などの微細
な割れ目)など、数μm〜数10μm程度の変化として
現れる組織の微小な病変部位に平行性の高いX線を照射
すると上記病変部位によるX線の回折等の効果により画
像が形成され、微小病変をX線位相差像として描出でき
る。また、競技選手や事故の被害者等の打撲症等、大小
の骨折を伴う恐れのある疾患において、より適切な診
断、治療方針の決定、並びに疾患管理指導ができる。ま
た、骨質の変化に対しても感度が高いことから、骨粗鬆
症の早期診断法として撮影法が実施できる。また、癌病
変における石灰化病巣も位相被写体であり、病巣の新し
い検出法としての応用撮影が実施できる。更に、馬体
四肢撮影に適用すれば、運動中の大骨折に至る前、微小
骨折のうちに病巣を発見できる。特に、競争馬等の健康
管理において有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微小病変のX線撮影システムの実
施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る微小病変のX線撮影システムにお
ける撮影部の他の実施形態を示す側面図である。
【図3】図2の上面図である。
【図4】本発明に係る微小病変のX線撮影システムにお
ける画像記録部の他の実施形態を示す側面図である
【図5】本発明に係る微小病変のX線撮影システムにお
ける被写体固定部の斜視図である。
【図6】本発明に係る微小病変のX線撮影システムに用
いられるX線光学系の上面から見た模式図である。
【図7】図6のX線光学系を側面から見た模式図であ
る。
【図8】非対称型シリコン単結晶板の原子面に対してあ
る角度でX線を入射させたとき出射されるX線を示す図
である。
【図9】X線が対称反射の場合を示す図である。
【図10】X線が非対称反射の場合を示す図である。
【図11】本発明に係る微小病変のX線撮影システムに
用いられるX線光学系の他の実施形態を示す説明図であ
る。
【図12】本発明に係る微小病変のX線撮影システムに
よる撮影画像の一例を示す図である。
【図13】図12に示す撮影画像の微小骨折部位をスケ
ッチした図である。
【図14】図12における被写体と同じものを医療用X
線管により撮影した画像を示す図である。
【図15】亀裂幅が数μm〜数10μm程度の開口構造
型の微小骨折のモデル図である。
【図16】明瞭な開口部を示さない、骨組織の変位によ
る界面構造型の微小骨折のモデル図である。
【図17】微小骨折像の線幅の線プロファイルを示す図
である。
【図18】本発明に係る動物用の微小病変のX線撮影シ
ステムの概念を示す全体斜視図である。
【図19】本発明に係る動物用の微小病変のX線撮影シ
ステムにおける撮影部の側面図である。
【図20】本発明に係る動物用の微小病変のX線撮影シ
ステムにおける撮影台の駆動部を含む撮影装置の正面図
である。
【符号の簡単な説明】
1 X線源 2 シリコン単結晶板(X線光学素子) 3 X線光学系 4 撮影部 5 画像記録部 7 X線スリット 40 被写体 41 撮影台 43 被写体固定部 47 回転テーブル 50 画像記録媒体 51 撮影画像 52 記録媒体移動手段 80 昇降装置 90 回転装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 張 小威 茨城県つくば市吾妻4−202−301 (72)発明者 杉山 弘 茨城県つくば市吾妻2−807−309 (56)参考文献 特開 平10−248833(JP,A) 特開2000−356603(JP,A) 特開 平10−248834(JP,A) 特開 平9−187455(JP,A) 特開 昭63−302829(JP,A) 特表 平11−502620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 6/00 - 6/14 G01N 23/00 - 23/18 G03B 42/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人体または馬体の組織における数μm〜
    数10μm程度の変化として現れる病変のX線撮影シス
    テムであって、 放射光X線源と、 1または複数のシリコン単結晶板により構成され、前記
    放射光X線源からのX線を非対称に反射させ、前記X線
    の空間干渉性 を保持、ないしは増強するとともに、X線
    の均一照射野を確保するX線光学装置と、 該X線光学装置で確保された均一照射野のX線を人体
    たは馬体の撮影部位に照射する撮影部と、 X線を照射された撮影部位を画像記録媒体に記録する画
    像記録部と、前記画像記録部側に設けられ、人体または馬体の撮影部
    位を固定する被写体固定部と画像記録媒体間の距離を調
    整する手段と、 を備えていることを特徴とする X線撮影システム。
  2. 【請求項2】 人体または馬体の撮影部位に対して異な
    る入射角度でX線照射を行うX線照射位置変更手段を備
    えていることを特徴とする請求項1記載のX線撮影シス
    テム。
  3. 【請求項3】 1または複数枚のシリコン単結晶板によ
    り構成され、X線の空間干渉性を保持、ないしは増強す
    るとともに、X線の均一照射野を確保する為のX線撮影
    システムのX線光学装置であって、 前記複数枚のシリコン単結晶板により構成する場合はシ
    リコン単結晶板における入射面を直交させて配置し、そ
    れぞれのシリコン単結晶板に対し、その原子面の法線方
    向を軸とする回転操作によりX線照射野のサイズを調整
    することを特徴とするX線撮影システムのX線光学装
    置。
  4. 【請求項4】 横幅サイズを調整するシリコン単結晶板
    と縦幅サイズを調整するシリコン単結晶板とをそれぞれ
    複数枚で構成し、X線の入射光軸と出射光軸が一直線と
    なるよう前記各シリコン単結晶板が配置されていること
    を特徴とする請求項3記載のX線撮影システムのX線光
    学装置。
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