JP3310981B2 - 車両用縦桁の端部部材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は請求項１の前提部による車両用縦桁の端部
部材に関する。

車両ボディの支持構造、特に車両下部構造には、縦桁
と横桁が用いられる。現在、通常のフレーム一体ボディ
の場合、これらの桁は中空形材であり、これらは少なく
とも２枚の深絞りして互いに溶接した薄板から製造され
ている。

前端と後端には縦桁部材がそれぞれ端部部材を備えて
おり、これはまた取付部品の固定のための固定要素を有
している。このような端部部材も鋼板からなる深絞り部
品であり、縦桁部材と溶接されている。取付部品は、例
えば縦桁の前端ではバンパー取付け金具、通気孔、ラジ
エータ、投光装置あるいは牽引用留め環固定部である。

このようなフレーム一体鋼板ボディの構成には、深絞
り法で変形した鋼板が使用される。薄板の変形のための
プレス工具は比較的高価であるが、しかし多くの個数が
可能であるため、大量生産にはコストの有利な解決策と
なる。

したがって、特に多量生産における小量シリーズのた
めには、中空形材からなる支持構造をもつ乗用車のため
の車両ボディを製作することが既に知られており（ヨー
ロッパ特許 ０ 146 716 B1）、これらは接続要素に
よって互いに結合している。中空形材はこの場合、軽金
属押出し成形形材として、また接続要素は軽金属鋳造部
品として構成されている。比較的小量のシリーズのため
のコストの有利な解決策の他に、このような構造により
ボディ重量の減少と、防食の際の改善も達成されて有利
である。車両用縦桁部材の前方末端部は、軽金属鋳造部
品としての接続要素の方式で、成形したホルダーを付け
て製作される。このような軽金属鋳造部品は、製作の種
類により、また比較的大きい材料需要のため、比較的高
価となる。

軽金属押出し成形形材からなる他の既に知られたボデ
ィの場合（アルミニウム・ジャーナル、発行者：アルミ
ニウムセンター協会、デュッセルドルフ、雑誌「アルミ
ニウム」64（1988年）、第９巻）、前方縦桁部材の両端
は突合せて乗せて溶接した横桁部材によって互いに結合
している。取付部品のための固定の可能性はここには述
べられていない。

車両用縦桁の既に知られた同種の端部部材（米国特許
４ 988 230）は、中空形材の桁としての縦桁部材
と、端部部材とからなり、後者は縦桁部材の一端に差し
込まれ、これと結合しており、取付部品の固定のための
少なくとも１個の固定要素を備えている。端部部材はリ
ング状に閉鎖された外壁をもつ押出し成形形材の一部で
ある。

端部部材の縦軸と、縦桁部材の縦軸とは、ここではそ
れぞれ互いに直角になっており、端部部材の長さは縦桁
部材の内径に相当する。端部部材の対向する両切断面
は、それぞれ一平面上にあり、互いに平行である。差込
み結合の形は、はめ合い構造のため、縦桁部材の内部輪
郭も、対応して互いに平行の二つの平面に構成する必要
がある。縦桁形材の断面形状は、したがって末端領域に
おいて、もはや自由に寸法決めできず、主として端部部
材の断面積によって決定される。これは縦桁が同じく押
出し成形形材であり、このため断面形状がその全長にわ
たり指定されている場合には特に不利である。というの
も縦桁は、その端部部材の形態によってではなく、その
他の判定基準、例えばその剛性や変形性状ならびに衝突
の際のエネルギー吸収に従って設計されるためである。

押出し成形形材の部品としての製作のため、成形した
固定要素の進行は縦方向に定められている。特にネジ継
手のための差込み開口部は、したがって縦桁の使用時の
既に知られた配置では、車両の横面に走っている。例え
ば、バンパーのための縦桁末端での取付部品のためのね
じ止め方向はしかし車両の縦方向である。

日本特許要約のセクション.M Vol.16（1992年）No.27
0（Ｍ−1266）で既に知られた構造においては、車両用
縦桁の端部部材で、端部部材の縦軸と、縦桁部材の縦軸
が同じ方向になっている。しかし、端部部材には固定要
素も取付けられておらず、また形材断面全体にわたり差
込み結合も設けられていない。

これに対してこの発明の課題は、車両用縦桁の同種の
端部部材を再構成し、さらにコストの有利で安定した仕
様で一層自由な寸法決定を可能とすることである。

この課題は請求項１の特徴部によって解決される。

請求項１によれば端部部材の外部輪郭は、縦桁中空形
材の内部輪郭に対応している。縦桁中空形材と端部部材
は、互いの接触面で適正な形で挿入されており、しかも
端部部材の縦軸と縦桁部材の縦軸は同じ方向にある。

これによって端部部材が縦桁中空形材の複雑な断面形
態の場合にも、適正な形の安定した密接結合に適するよ
うになる。押出し成形法で成形された固定要素は、縦桁
部材の縦方向にあり、したがって応用事例の大部分には
取付部品の固定のために適切に整列している。

また、固定要素としての端部部材の外部輪郭には少な
くとも１本の（形材縦方向に通る）枠縁が成形されてお
り、これは固定フランジと、ナットホルダーの少なくと
もいずれか一つとして、取付部品の固定に用いられる。
これらのフランジはネジ固定のために孔またはネジ山を
施すことができる。ナットホルダーとしてフランジはＣ
字形形材とするのが好ましい。しかし外部輪郭において
縦方向に走る中空シリンダ状形材も可能であり、これら
は例えば差込み開口部として、またはネジ山の取付けに
使用することができる。これらの枠縁やフランジは、す
でに押出し成形の際に成形され、したがって有利なコス
トで追加の部材も処置もなしに使用される。

外部輪郭に成形された固定要素は、端部部材に対応し
て形成された縦桁中空形材の中へ滑り込むのを妨げる。
したがって請求項１では、これらの固定要素のそれぞれ
片側で、端部部材の一方の末端側で切れ込みを入れるこ
とが提案されている。これによって切れ込みの領域では
縦桁中空形材が端部部材の上へ重なって適切な方法での
結合と優れた結合可能性のために押し込むことができ
る。

別の固定要素として有利であるのは請求項２にしたが
い、固定要素としての端部部材の中空形材の内部に、特
にネジ継手を収めるために、少なくとも１本の縦方向に
走る中空筒を設けることができる。これらの中空筒はさ
らに端部部材の強化と安定に役立つ。

強化要素としてはさらに請求項３により、中空形材内
部に縦方向に走る強化壁を配置することができ、これは
必要に応じて縦方向に走る中空筒を保持し結合する。

特に有利であるのは請求項４によるこの発明の端部部
材が、軽金属ボディの場合に使用できることであり、こ
の場合、すべての支持構造が軽金属部品、特に軽金属押
出し成形形材と、接合要素としての軽金属鋳造部品から
なっている。縦桁部材も端部部材も軽金属、特にアルミ
ニウム合金からなっているのが望ましい。

縦桁部材と端部部材との間の結合技術として適切であ
るのは請求項５により、それ自体は、既に知られた方法
で溶接、ネジ連結、接着、リベット留めの少なくともい
ずれか一つを用いる。

請求項６によるこの発明の端部部材は、縦桁中空形材
（１）の外部輪郭が、端部部材（３）の内部輪郭に対応
し、縦桁中空形材（１）の端部に端部部材（３）の端部
が外嵌している。

一実施例を用いてその他の詳細、特徴、利点を有する
この発明をさらに詳しく説明する。

図１において（破線で）車両用縦桁部材１の前端が示
されている。この縦桁部材１は、中空形材であり、押出
し成形形材としてアルミニウム合金から製作されてい
る。縦桁部材１の中空形材は（少なくとも前端の領域に
おいて）内部部品から独立した内部輪郭２を有してい
る。

さらに前方縦桁部材の端部と結合した端部部材３が示
されている。この端部部材３は、アルミニウム合金から
なる押出し成形形材の一部であって、押出し成形形材部
分の縦軸と、縦桁部材１の縦軸４とは同じ方向に向いて
いる。端部部材３は中空形材として、周囲を取り巻くリ
ング状に閉じられた外壁５で製作されており、その外部
輪郭６は、縦桁部材１の内部輪郭２に対応している。

端部部材３の外部輪郭６には固定要素としてネジ孔８
付きの固定フランジ７と、透孔10を備えたナットホルダ
ーとしてのＣ字形形材９、および別の（破線で記入し
た）押出し成形形材または牽引環ホルダーの接続のため
のブラケット11が成形されている。

これらの固定要素７、９、11は、端部部材３の縦桁部
材１に向いた末端側、領域12でそれぞれ切れ込みを入れ
るか、嵌め込む。

この領域12で端部部材３は縦桁部材１の中へ形に合わ
せる方法で挿入され、接触面で溶接または接着により固
く結合している。

端部部材３の外壁５の内部には、縦方向に走る中空筒
13、14が固定孔として配置されている。これらの中空筒
13、14は、ネジボルトのための差込み開口部としても、
またネジ孔を設けるのにも用いることができる。

さらに端部部材３の外壁５の内部には、星形にまた縦
方向に走る強化壁15が形成されており、これらはここで
中空筒13、14を互いに結合し支持している。

この発明により安価で簡単に組立てることができ、取
付け部品の固定に充分適した、車両用縦桁部材の締結部
材が創り出される。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中空形材の桁としての縦桁部材を備え、縦
   桁部材の一端に一部分が差し込まれてこれと結合し、取
   付部品の固定のための少なくとも一つの固定要素を有す
   る端部部材を備え、しかも端部部材がリング状に閉じた
   外壁を有する押出し成形形材の一部である、車両用縦桁
   の端部部材であって、 端部部材（３）の外部輪郭（６）が、縦桁中空形材
   （１）の内部輪郭（２）に対応し、 また縦桁中空形材（２）と端部部材（３）とが、互いの
   接触面ではめ合いで互いに挿入されており、端部部材
   （３）の縦軸と、縦桁部材（１）の縦軸（４）とが同一
   方向に向いており、 固定要素として、端部部材（３）の外部輪郭（６）に少
   なくとも一つの枠縁が成形されており、固定フランジ
   （７、11）と、ナットホルダー（９）の少なくともいず
   れか一つを取付部品の固定に供し、 固定要素（７、９、11）がそれぞれ片側で端部部材
   （３）の一方の末端側で切れ込みが入れられており、切
   れ込みの領域12に縦桁中空形材（１）が外嵌しているこ
   とを特徴とする車両用縦桁の端部部材。
2. 【請求項２】固定要素としての端部部材（３）の中空形
   材の内部に、縦方向に走る少なくとも一つの中空筒（1
   3、14）が、固定孔として、ねじ継手に適応させて設け
   られていることを特徴とする請求項１に記載の車両用縦
   桁の端部部材。
3. 【請求項３】端部部材（３）の中空形材の内部に、縦方
   向に走る強化壁（15）が配置されており、これらが縦方
   向に走る中空筒（13、14）と結合することを特徴とする
   請求項２に記載の車両用縦桁の端部部材。
4. 【請求項４】縦桁部材（１）と端部部材（３）の少なく
   ともいずれか一方が軽金属、アルミニウム合金からなっ
   ていることを特徴とする請求項１から３までのいずれか
   一つの請求項に記載の車両用縦桁の端部部材。
5. 【請求項５】縦桁部材（１）と端部部材（３）との間の
   結合が、溶接、ネジ継手、接着、リベット留めの少なく
   ともいずれか一つによってなされていることを特徴とす
   る請求項１から４までのいずれか一つの請求項に記載の
   車両用縦桁の端部部材。
6. 【請求項６】縦桁中空形材（１）の外部輪郭が、端部部
   材（３）の内部輪郭に対応し、縦桁中空形材（１）の端
   部に端部部材（３）の端部が外嵌していることを特徴と
   する請求項１から５までのいずれか一つの請求項に記載
   の車両用縦桁の端部部材。