JP3308312B2 - スチレン系樹脂基材用射出成形同時転写用転写シート - Google Patents

スチレン系樹脂基材用射出成形同時転写用転写シート

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスチレン系樹脂からなる
プラスチック成形品に、射出成形と同時に転写を行っ
て、該成形品の表面に絵付けを行うための転写シートに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の樹脂からなるプラチスチッ
ク成形品の表面に絵柄を設ける手段の一つに、所望の絵
柄等の転写層を設けた転写シートを用い、ホットスタン
プ等の、加熱押圧して転写層を転移せしめる転写方法が
知られている。この転写シートとして、基材フィルムの
表面に離型層、剥離層、絵柄層、隠蔽層、接着剤層を順
次積層してなり、上記基材シートにプラスチックフィル
ムを用い、プラスチック成形品がスチレン系樹脂からな
る場合は、接着剤層にアクリル系樹脂とスチレン系樹脂
の混合物、またはアクリル−スチレン共重合体、或いは
種類の異なるアクリル系単量体の共重合体等が用いられ
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、転写方法とし
て、プラスチック射出成形する際、転写シートを成形用
金型内に載置した後、成形用樹脂を金型内に射出して、
プラスチック成形品の成形と同時に上記転写シートの転
写層を転移せしめて、該成形品表面に絵付けを行う射出
成形同時転写法があり、この方法は立体形状の成形品に
対して容易に表面の意匠を付与できるので、広く用いら
れるようになっている。ところが、従来の転写シートを
用いてスチレン系樹脂の射出成形同時転写を行うと、例
えば転写シートの接着剤層の樹脂がアクリル系樹脂とス
チレン系樹脂の混合物であるものは、Tgが高過ぎ、ま
た、アクリル−スチレン共重合体であるものでも、該共
重合体の平均分子量が大きすぎ、Tgが高過ぎるため、
スチレン系樹脂を用いた射出成形同時転写加工時の温度
が最高150℃で、1〜5秒間程度の加工条件では、成
形品に対して充分な接着力を発現できないという問題が
あった。接着剤の樹脂を溶融させるために、温度、時間
を更に上げたり、または射出樹脂の圧力を上げた場合
は、転写シートが変形したり、著しい場合には破れた
り、或いは模様が溶融流動する等の欠点が発生して、結
局、従来の接着剤樹脂を用いた場合には、転写条件を種
々検討しても、転写性を改良することは極めて困難であ
った。
【0004】また、従来の転写シートを用いて転写を行
った成形品は、アクリルとスチレンの混合物を接着剤層
に用いたものは、アクリル系成分の吸水性の性質がその
まま表面化され、耐水性が悪かった。また、接着剤層の
樹脂にアクリル−スチレン共重合体を用いたものでも、
該共重合体の平均分子量が小さすぎ、Tgが低すぎるた
め、耐温水性が低く、転写後の成形品を40℃×7日の
温水浸漬を行うと、接着剤層が劣化してクラックが入っ
たり、白化、密着性の低下等の不具合があった。
【0005】このように、従来の転写シートは、ホット
スタンプ等の転写シートとして用いるため、接着剤の種
類、分子量、Tgなどを特に限定する必要がなく、接着
剤のこれらの種々の物性に合わせて、転写時の温度や時
間等の加工条件を自由に選択して、接着剤を充分溶融さ
せてやり、スチレン系樹脂からなるプラスチック成形品
と充分接着させることが可能であった。しかし、射出成
形用同時転写に用いるには不十分であり、射出成形同時
転写の転写条件に合わせた接着剤層の樹脂が要望されて
いた。
【0006】本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされ
たもので、射出成形同時転写加工を施して得られる、ス
チレン系樹脂基材からなるプラスチック成形品におい
て、該成形品に対する接着剤層の熱的溶融接着性に優
れ、しかも転写時の射出樹脂による絵柄の流れがなく、
転写性に優れていて、かつ、接着剤層の耐温水性に優
れ、クラックが入ったり、白化、密着性の低下等の不具
合がない、スチレン系樹脂基材用射出成形同時転写用転
写シートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明スチレン系樹脂基
材用射出成形同時転写用転写シートは、スチレン系樹脂
基材の表面に、射出成形と同時に絵柄を設けるために用
いられる射出成形同時転写用転写シートであり、基材フ
ィルム上に少なくとも絵柄層、および接着剤層が転写層
として設けられていて、接着剤層のビヒクルとして、平
均分子量が50000〜70000、Tgが70〜12
0℃であるアクリル−スチレン共重合体を用いることを
特徴とする。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図面は本発明の1実施例を示し、図1は本
発明スチレン系樹脂基材用射出成形同時転写用転写シー
トの1例を示す断面図である。
【0009】本発明転写シートは図1に示すように、基
材フィルム2の表面に離型層3が設けられ、該離型層3
の表面に剥離層4、絵柄層5、隠蔽層6、接着剤層7が
転写層8として順次積層されてなる。尚、本発明におい
ては少なくとも基材フィルム2の表面に絵柄層5、接着
剤層7が設けられていればよく、離型層3、剥離層4、
隠蔽層6の層は必要に応じ設けることができる。
【0010】本発明転写シートの転写層8を形成する接
着剤層7は、転写層8を被転写体に転移、接着させるた
めの層であり、耐温水性を向上させるために本発明で
は、アクリル−スチレン共重合体を用いる。上記共重合
体の平均分子量が50000〜70000、Tgが70
〜120℃で、好ましくは平均分子量が65000、T
gが100℃であるものを用いる。
【0011】アクリル−スチレン共重合体の平均分子量
が50000未満になると、接着剤層全体の樹脂の分子
鎖間への水(特に40℃以上の温水)の浸透性が急激に
増加し、そのため樹脂に膨潤性が生じて耐温水性が低下
する。また70000を越えると、基材樹脂との熱的溶
融接着性が不充分なため、接着剤層と基材との接着力が
急激に弱くなり、また上記の如く接着が不充分な状態に
おいては、接着剤層と基材との接着界面には容易に水が
浸入してしまう。特に水の温度が高い場合、転写層と基
材との熱膨張係数の差により、接着界面に引張り応力と
圧縮応力がアンバランスに働いて、該界面において転写
層と基材とが容易に剥離する。また、接着力を補うため
に転写条件を高樹脂温、高射出圧側に移すと、転写層の
絵柄の流れや、転写シートの破れが発生する。
【0012】また、Tgが70℃未満になると、樹脂分
子鎖の熱運動が、温水(特に40℃以上の温水)の熱に
よって急激に活発になり、樹脂分子鎖間への水の浸透性
が増加することによって耐温水性が低下し、Tgが12
0℃を越えると、射出したスチレン系溶融樹脂の熱(最
高150℃)では充分に溶融されず、従って接着不充分
となる。また、平均分子量が50000未満では、Tg
を70℃より高くすることは困難で、平均分子量が70
000を越えると、Tgを120℃より低くすることが
困難となる。
【0013】接着剤層7のビヒクルとして用いられるア
クリル−スチレン共重合体を構成するアクリル系単量体
およびスチレン系単量体の各単量体において、アクリル
系単量体としては例えば、アクリル酸メチル、メタアク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチルなどのア
クリル酸エステル類やメタアクリル酸エステル類を、ス
チレン系単量体としては例えば、スチレンなどを用いる
ことができる。
【0014】接着剤層7に用いられるビヒクルには、接
着剤層の耐温水性、接着力を低下させない範囲で、各種
添加剤を加えることができる。例えば、印刷した転写シ
ートを帯状シートの捲取ロールとして保存する場合、ブ
ロッキング防止のため、粒径1〜3μm位のシリカを1
重量%加えるなどの態様が挙げられる。また、接着剤層
7の厚みは、通常1〜4μmに形成し、好ましくは2〜
3μmである。接着剤層7の厚みが4μmを越えると密
着性が向上するものの、箔切れ性が低下して、いわゆる
糸引きが起こって作業性が悪くなり、又1μm未満では
充分な密着力が得られない。
【0015】本発明転写シートで用いられる上記基材フ
ィルム2は転写層8と離型性の良い5〜200μmのフ
ィルムを用いる。材料としては例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンテレフタレート/イソフタレートの共重合体等のポ
リエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
メチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビ
ニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、
エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のポリ4フッ化
エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリア
ミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニル
アルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン
等のビニル重合体、三酢酸セルロース、セロファン等の
セルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリア
クリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系
樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の合成樹脂フィルム又はシートの単層
体又は複数の積層体を用いる。
【0016】本発明転写シートの離型層3としては、成
形時の耐熱性、可撓性、剥離層との経時安定性を考慮し
て、アクリル、メラミン、ウレタン、ポリエステル、ア
ミノアルキッド、エポキシ等の熱硬化層の単体或いはそ
れら2種以上の混合物を用いるのが好ましい。必要に応
じ離型性を調整するために、フッ素樹脂やパラフィン等
の離型性の樹脂を添加する。
【0017】剥離層4は基材フィルム2を剥離した際に
被転写体側に残存するもので、両者の剥離を容易成らし
める効果を有するものである。この様な剥離層4の材質
としては種々のものが使用でき、例えば、ウレタン樹
脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド
樹脂、繊維系樹脂、エポキシ樹脂等の反応型樹脂、或い
は電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。なかでも電離
線硬化型樹脂が好ましい。また上記の樹脂以外にも、接
着剤層7に用いる、平均分子量が50000〜7000
0、Tgが70〜120℃のアクリル−スチレン共重合
体を用いることもできる。特に、上記アクリル−スチレ
ン共重合体を剥離層にも用いた場合は、絵柄層5および
接着剤層7との相溶接着性が増し、更に強固に接着し
て、耐温水性がより向上する。剥離層4の厚みは1〜2
μmに形成される。
【0018】絵柄層5は全面に設けても、部分的に模様
状に設けても良く、模様としては例えば、木目、石目、
布目等の天然物の意匠、文字、図形、記号、各種抽象模
様のいずれでもよい。絵柄層5は、ビヒクルに必要に応
じて、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定
剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したインキを用
いて形成される。
【0019】絵柄層5を形成するインキのビヒクルとし
ては、熱可塑性アクリル樹脂や塩化ビニル・酢酸ビニル
・マレイン酸共重合体などの従来のもののほか、接着剤
層7に用いた、平均分子量が50000〜70000、
Tgが70〜120℃のアクリル−スチレン共重合体を
用いることもできる。絵柄層5は、転写シート形成時に
接着剤層7と充分に接着させることができるので、充分
に耐温水性を有しているが、特に上記アクリル−スチレ
ン共重合体を用いることにより、接着剤層との相溶接着
性が増し、強固に接着することによって、耐温水性を増
すことができる。
【0020】絵柄層5を形成するすインキにはビヒクル
として、上記ビヒクル以外に耐温水性を低下させない範
囲で他の樹脂を添加してもよい。又、絵柄層5の厚みは
通常1〜4μm程度に形成し、好ましくは2〜3μmで
ある。
【0021】隠蔽層6は転写後の絵柄層5の下層(絵柄
層5と接着剤層7との間)となるように通常設けられ、
絵柄層5の下地の色を調整したり、成形品の色や柄を隠
蔽して絵柄層の意匠を自由に表現可能にするために必要
に応じて設けるられるもので、絵柄層と同様の材質から
なるインキを用いて全面ベタに印刷形成することができ
る。
【0022】本発明転写シート1を製造するには上記各
層を形成するためのインキを用い、公知の印刷方法又は
塗工方法により印刷形成又は塗工して形成することがで
きる。上記印刷法としては、グラビア、グラビアオフセ
ット等の凹版印刷、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版
オフセット等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印
刷、ダイリソ印刷、静電印刷、インキジェットプリント
法等が挙げられる。
【0023】本発明転写シートを用いて転写を行う際
に、被転写体として用いられるスチレン系樹脂基材とし
ては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル−スチレン共
重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合樹脂などからなるものが挙げられるが、これら例示
の樹脂に限定されるものではない。
【0024】本発明スチレン系樹脂基材用射出成形同時
転写用転写シートを用いて実際に転写を行うにあたって
は、特開昭48−43760号に記載の方法のよう
に、金型内に本発明転写シートを載置して、予備成形な
しに直接樹脂を射出して、該射出樹脂の射出圧により転
写シートを金型に沿わせるとともに、該射出樹脂の熱に
より転写シートを該射出樹脂に接着させる方法(所謂イ
ンモ−ルド転写)、特開昭57−129731号公
報、および特公平1−48845号公報に記載のよう
に、転写シートを載置して金型内部を真空引きする等し
て予め金型形状に沿うように予備成形を行った後、射出
樹脂を流して射出成形を行うことにより、該射出樹脂の
熱により転写シートを該射出樹脂に接着させる方法等を
用いることができる。
【0025】以下、具体的実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。実施例1 表面にアクリルメラミン離型層を有する厚さ50μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルム〔ダイアホイル
(株) 製:GH50〕の離型層の塗工してある面に、ア
クリル系ビヒクルを有するハクリインキ〔 (株) 昭和イ
ンク工業所製:ハクリニス45LC〕をグラビア印刷に
て塗工し剥離層を形成し、該剥離層の表面に下記に示す
アクリル/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)
混合系のビヒクル(アクリル/塩酢ビ=8/2)を含む
柄インキ〔 (株) 昭和インク工業所製:BCT〕を用い
グラビア印刷にて柄層を形成した。更に上記柄層の上に
アクリル/塩酢ビ混合系のビヒクル(平均分子量500
00、アクリル/塩酢ビ=6/4、Tg:70℃)を有
する柄インキ〔 (株) 昭和インク工業所製:BC−7
2〕を用い、ベタ状に3層設け隠蔽層をグラビア印刷に
て形成し、該隠蔽層の上に下記ビヒクルを含む接着剤
〔 (株) 大日精化工業製:K−63〕をグラビア印刷に
て形成して射出成形同時転写用転写シートを得た。
【0026】 〔柄層に用いた柄インキのビヒクル組成〕 アクリル/塩酢ビの混合比=8/2(重量比) アクリル系樹脂 ・平均分子量 60000 ・Tg 50℃ 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ・平均分子量 27000 ・Tg 70℃
【0027】〔接着剤層のビヒクル組成〕 アクリル−スチレン共重合体 ・平均分子量 65000 ・Tg 100℃
【0028】上記転写シートを接着材層が成形樹脂に接
するように金型内に設置し、ポリスチレン樹脂を用い、
転写条件として樹脂温度220℃、射出時間5秒、冷却
時間25秒、射出圧力80%、サイクルタイム35秒で
インモールド転写し、絵柄の流れ、シートの変形などが
なく、良好な絵柄が表面に転写された成形品が得られ
た。この結果を表1に示す。また、この成形品について
耐温水性試験を行って得られた結果を表1に示す。尚、
耐温水性試験の試験条件は、0.2%柔軟仕上げ剤水
溶液〔花王 (株) 製:ハミング〕、0.2%漂白剤水
溶液〔花王 (株)製:ハイター〕、0.4%洗剤水溶
液〔花王 (株) 製:ザブ〕に、各々40℃、7日間浸漬
して転写層の状態を観察した。
【0029】実施例2実施例3 接着剤層の樹脂を表1に示すようなものを用いた以外
は、実施例1と同様に転写シートを形成し、転写、耐温
水性試験を行って、表1に示す結果を得た。尚、実施例
2は平均分子量及びTgが本件条件範囲内の下限付近の
アクリル−スチレン共重合樹脂を、実施例3は平均分子
量及びTgが本件条件範囲内の上限付近のアクリル−ス
チレン共重合樹脂を、それぞれ接着剤層の樹脂として用
いた。
【0030】比較例1比較例4 比較のために、接着剤層の樹脂を、表1に示す樹脂を用
いた以外は、実施例1と同様に転写シートを形成し、転
写、耐温水性試験を行って、表1に示す結果を得た。
尚、比較例1はアクリル系共重合樹脂(BMA−MM
A)〔(株)昭和インク工業所製:HS−32〕を、比
較例2はアクリル系樹脂/スチレン系樹脂の混合物
〔(株)昭和インク工業所製:HS−52〕を、比較例
3は平均分子量及びTgが本件条件範囲未満のアクリル
−スチレン共重合樹脂を、比較例4は平均分子量及びT
gが本件条件範囲を越えたアクリル−スチレン共重合樹
脂を、それぞれ接着剤層の樹脂として用いた。
【0031】
【表1】
【0032】表1中の評価結果を表す符号の説明。 ◎:異常が全く見られず極めて良好であった。 ○:異常が見られず概ね良好であった。 △:一部に異常が見られた。 ×:実用に値しない程度に不具合が見られた。
【0033】
【作用】従来の接着剤層に用いた接着剤樹脂は、平均分
子量が高過ぎ、Tgが高過ぎるために、スチレン系樹脂
基材に対する熱的溶融接着性が劣り、転写条件が前記範
囲では、基材に充分に接着しないか、或いは樹脂の平均
分子量が低過ぎ、Tgが低過ぎるために、基材に対する
熱的溶融接着性は充分であるが、接着剤層そのものの吸
水性が高く、耐温水性に劣り、その結果、通常30〜5
0℃の温水中で、前者の理由によれば、基材と接着層と
の接着界面において水の浸入が容易に起こり、後者の理
由によれば、接着剤層そのものの接着剤樹脂の膨潤が容
易に起こり、基材と接着剤層との界面における転写層の
剥離や、接着剤層の白化等が生じた。更に温水がただの
水ではなく洗剤、柔軟仕上げ剤、漂白剤等の溶液を含む
ように界面活性剤や次亜塩素酸ソーダ等を含む場合、雰
囲気の極性が高くなり溶媒和をおこし樹脂の膨潤が促進
され、ビヒクル樹脂の側鎖や主鎖が加水分解を受けるこ
とにより、上記の不具合が更に助長された。
【0034】しかし、本願発明では接着剤層のビヒクル
として、平均分子量、Tgを特定したアクリル−スチレ
ン共重合体を使用することで、接着剤樹脂の基材に対す
る熱的溶融接着性が充分で、強い接着力が得られ、接着
層の界面への水の浸透を起こしにくく、かつ接着剤樹脂
そのものの吸水性および極性が低いので、溶媒和を起こ
しにくく、接着剤層の吸水による膨潤も抑制される。従
って上記の特定の樹脂をビヒクルとして用いた接着剤層
を有する本願発明の転写シートは、転写時の得柄の流れ
や、転写シートの破れ等の欠点が発生せず、かつ転写層
の剥離や白化等がなく、良好な耐温水性を示す。
【0035】
【発明の効果】以上説明した如く本発明スチレン系樹脂
基材用射出成形同時転写用転写シートは接着剤層のビヒ
クルとして、上記の如く、平均分子量とTgを特定した
共重合体を使用したことにより、射出成形同時転写の作
業時に転写不良等が発生する虞れがなく、しかも、従来
の射出成形同時転写用転写シートと比較して、スチレン
系樹脂基材に対して優れた耐温水性を示し、転写層が成
形品から剥離したり転写層にクラックが入ったり白化し
たりして意匠性が低下するのを防止することができる効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明転写シートの1例を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 スチレン系樹脂基材用射出成形同時転写用転写シー
ト 2 基材フィルム 5 絵柄層 7 接着剤層 8 転写層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−53885(JP,A) 特開 平2−63900(JP,A) 特開 平4−83700(JP,A) 特開 平4−113900(JP,A) 特開 平4−166311(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 B32B 1/00 - 35/00 B44C 1/16 - 1/175

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂基材の表面に、射出成形
    と同時に絵柄を設けるために用いられる射出成形同時転
    写用転写シートであり、基材フィルム上に少なくとも絵
    柄層、および接着剤層が転写層として設けられていて、
    接着剤層のビヒクルとして、平均分子量が50000〜
    70000、Tgが70〜120℃であるアクリル−ス
    チレン共重合体を用いることを特徴とするスチレン系樹
    脂基材用射出成形同時転写用転写シート。
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