JP3303798B2 - ポリエステル繊維 - Google Patents

ポリエステル繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はふくらみ感、ソフト
感、反発感に優れ、染色斑のない織編物を提供できるポ
リエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ様々
な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめ各種分
野に利用されている。衣料用途では天然繊維をターゲッ
トとして品質の改良が行われてきているが、特にふくら
み、ソフト感のある風合いの実現のための手段として、
熱による収縮特性の異なる繊維を混繊するいわゆる収縮
差混繊糸が広く用いられている。そして最近、熱により
伸長性を示すいわゆる自発伸長糸を用いた収縮差混繊糸
が注目を集めている。このタイプの収縮差混繊糸を用い
れば織物組織の密度が増しても十分な糸長差を染色加工
後に得ることができ、ふくらみ、ソフト感に優れた布帛
を得ることができるのである。
【0003】従来、自発伸長糸の製造方法は、例えば特
開平2-293410号公報に高配向未延伸糸(以下POYと略
す)をそのまま弛緩熱処理する方法等が開示されてい
る。そして、この時の供給糸であるPOYは、一般に30
00m/分程度で紡糸された実質的に非晶性の繊維であっ
た。しかしながら、従来の自発伸長糸の製造方法では弛
緩熱処理工程で200℃程度の高温処理を採用する場合が
ほとんどであり、供給糸が非晶性であると、溶融切断が
多発し生産性が低下したり、繊維どうしの融着が発生し
品質が低下するといった問題があった。さらに、供給す
るPOYが非晶性繊維であるため経時変化に起因する加
工張力変動による工程不安定化、糸斑が問題となってい
た。
【0004】糸斑の改善を目的として、自発伸長糸用の
供給糸として糸斑の小さいPOYが特開平9-324321号公
報に提案されている。しかしながら、このPOYは紡糸
速度2900〜3200m/分で製造されるため、従来供給糸と同
じく実質的に非晶性であり、上記したような問題は解決
されない。
【0005】一方、特開昭62-206015号公報には紡糸速
度5000m/分以上の高速紡糸、あるいは高粘度ポリエステ
ルを用いた、高度に配向結晶化した繊維を延伸後弛緩熱
処理し、特殊な表面形状の繊維を得る方法が開示されて
いる。しかしながら、該公報の実施例に示されるように
供給糸の乾熱収縮率が5%程度と高度に配向結晶化が進ん
でいるため、延伸弛緩熱処理を施しても自発伸長糸とす
ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自発伸長糸
の製造に際し、加工に供給する繊維が非晶性であること
に起因する様々な問題を解決し、より生産性が高く、簡
易でしかも染め斑等の品質に優れた自発伸長糸を得るた
めの供給糸であるポリエステル繊維を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記特性を
同時に有するポリエステル繊維により達成される。 (1)小角X線散乱によりX字パターンを示す (2)伸度≧80% (3)ウースター斑≦2%(4)沸騰水収縮率≧10%
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、自発伸長糸の製造に
際し、結晶化したPOYを供給糸とすることにより、従
来の非晶性高配向未延伸糸の弛緩熱処理に起因する様々
な課題を解決し、品質の優れた自発伸長糸を簡単に操業
性、生産性良く得ることができ、風合いに優れしかも高
品質の織編物を提供できるものである。
【0009】本発明でいうポリエステルとはエステル結
合を有するポリマーのことを指すが、ポリエチレンテレ
フタレート(以下PETと略す)が最も汎用的であり好
ましい。また、ジオール成分および酸成分の一部が各々
15mol%以下の範囲で他の共重合可能な成分で置換された
ものであってもよい。また、これらは他ポリマー、艶消
剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を含有して
いてもよい。以下、PETを例として説明する。
【0010】本発明では、小角X線散乱パターンがX字
パターンを示すことが必須である。このX字パターン
(図2)は、例えば繊維学会誌、vol.38、P-514(1982)
に記載されているように、高結晶化度の高速紡糸繊維特
有のものであり、結晶が規則的に配列した秩序構造が提
案されている(図3)。図3でこの秩序構造を説明す
る。図3において長方形は結晶領域を示し、これが市松
模様状に規則正しく配列していることを示している。そ
して非晶領域は結晶領域に挟まれる形で存在している。
すなわち、X字パターンは結晶化が高度に進行し、秩序
構造が形成されていることを示すものである。このた
め、X字パターンが観測される繊維では結晶化の進行に
より寸法安定性および耐熱性が良好である。
【0011】また、(100)面方向の結晶サイズが1.
5nm以上であれば、結晶化が充分進行していることを示
しており好ましい。より好ましくは2.0nm以上である。
本発明のポリエステル繊維はこのように結晶化が進行し
た秩序構造を取るため、耐熱性が良好であり、しかも経
時変化が小さいのである。
【0012】また、経時変化による寸法安定性を抑制
し、工程をさらに安定化させるためには、いわゆる構造
一体性パラメータ(ε0.2)は0.40以下であることが好
ましい。構造一体性パラメータは特開昭48-35112号公報
記載のように、0.18cN/dtex(0.2gf/d)荷重下で沸騰水
中2分間処理を行い、処理前後の糸の寸法変化から下記
式で算出する。 構造一体性パラメータ(ε0.2)=[(L1’−L0’)/L0’)] L0’:糸をかせ取りし初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)
下で測定したかせの原長 L1’:L0'を測定したかせを0.18cN/dtex(0.2gf/d)
荷重下の状態で沸騰水中で2分間処理し、風乾後初荷重
0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ長 このように、構造一体性パラメータは湿熱下でのクリー
プ特性を示すものであり、この値が小さいほど、結晶化
が進行し寸法安定性が良好であることを示している。構
造一体性パラメータは、より好ましくは0.25以下、さら
に好ましくは0.15以下である。このように、本発明のポ
リエステル繊維は従来の供給糸である非晶性のPOYに
比べ生産性が向上し、工程および品質の安定性が飛躍的
に向上するのである。
【0013】また、品質安定性の観点から、糸斑は小さ
い方が良く、ウースター斑は2%以下が必須である。好ま
しくはウースター斑は1%以下である。
【0014】ところで、本発明のポリエステル繊維は後
の加工の汎用性を考えると糸の伸度は80%以上が必要で
ある。好ましくは100%以上である。
【0015】また、自発伸長糸の製造には弛緩熱処理が
好適であるが、弛緩熱処理工程を安定化させるには、な
るべく低温で収縮することおよび収縮率が重要である。
収縮応力のピーク温度は好ましくは85℃以下であり、こ
れにより弛緩熱処理時のヒーター温度を低下させること
が可能となり、糸の融着が起こりにくく、しかもエネル
ギー代を削減することができる。収縮応力のピーク温度
はより好ましくは80℃以下である。また、収縮率は弛緩
熱処理安定性を考えると、沸騰水収縮率で10%以上であ
ることが必須である。沸騰水収縮率を10%以上とするこ
とにより、弛緩熱処理工程での糸切れを大幅に抑制する
ことができるのである。好ましくは15%以上である。
【0016】本発明で得られる繊維の断面形状には特に
制限は無く、丸断面、三角等の異形断面、中空断面等を
採用することができる。また、単糸繊度も特に制限はな
いが、混繊糸の鞘糸に使用する場合を考えると、単糸繊
度は0.3〜5.0dtexが好ましい。より好ましくは0.6〜3.0
dtexである。
【0017】本発明のポリエステル繊維は結晶化が進行
しているため、そのまま使用したり、定長熱処理を施し
て使用することも可能であるが、弛緩熱処理、あるいは
一旦延伸した後弛緩熱処理を行い、自発伸長糸として用
いることが好ましい。自発伸長糸とは、乾熱収縮率が0%
以下であるものを言うものとする。
【0018】また、本発明のポリエステル繊維は弛緩熱
処理した後、沸騰水収縮率が10%以上であるポリエステ
ル収縮糸と交絡混繊し、収縮差混繊糸として用いること
が好ましい。ポリエステル収縮糸の沸騰水収縮率は15%
以上であれば、さらにふくらみ感が優れているため好ま
しい。また、ポリエステル収縮糸において沸騰水収縮率
≧乾熱収縮率であれば、織物の乾熱セットの際、織物拘
束を緩め、織物中の糸に自由度が与えられ、さらにソフ
トで反発感に優れた織物が得られ好ましい。
【0019】また、ポリエステル収縮糸としてPBT等
のストレッチ性に優れる繊維を使用すると、PETとは
また異なったソフトで反発感のある風合いとなり好まし
い。
【0020】本発明のポリエステル繊維は公知の紡糸装
置により製造可能であり、製造方法に限定されるもので
はない。しかし、糸斑抑制の観点から、集束給油ガイド
を用いることおよび集束給油位置は口金下1.3〜3.0mと
することが好ましい。集束給油位置が口金下1.3m以上で
あれば糸条が充分冷却されてから集束給油されるため単
糸間融着を抑制できる。また、空気抵抗による紡糸張力
アップにより糸揺れが減少し、糸斑が抑制できるのであ
る。一方、集束給油位置が3.0m以下であると、空気抵抗
に起因する過度の紡糸張力アップによる冷延伸を防ぐこ
とができ、糸斑が抑制できるのである。さらに、集束給
油位置を過度に口金に近づけた場合、単糸間融着が発生
するのみならず、糸を給油により急冷してしまい結晶化
を妨げる場合もあるので、糸温度が80℃以下まで低下し
たところで給油するよう集束給油位置を適宜選択するこ
とが好ましい。
【0021】また、紡糸だけで配向結晶化を進める観点
から、高速紡糸を行うことが好ましい。しかし、紡糸速
度を上げていくと過度に配向結晶化が進行し、繊維の伸
度や収縮率が過度に低下するので、紡糸速度としては35
00〜4500m/分が好ましい。より好ましくは3700〜4300m/
分である。また、同一紡糸速度で紡糸を行っても、ポリ
マー粘度や単糸繊度、冷却条件等により繊維の配向結晶
化の程度が異なるため、紡糸速度はポリマー粘度や紡糸
条件により適宜変更することが好ましい。
【0022】本発明により得られた繊維はブラウス、ス
ーツ、パンツ、コート等の衣料用途に好適に用いられ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
【0024】B.小角X線散乱 下記条件で散乱パターン撮影を行った。 X線発生装置 : (株)理学電機社製 RU-200 X線源 : Cu-Kα線(Niフィルター使用) 出力 : 50kV−150mA スリット系 : 0.5mmφ カメラ半径 : 400mm 露出時間 : 120分 フィルム : Kodak DEF-5
【0025】C.結晶サイズ 下記条件で広角X線回折測定を行い、(100)面反射
の半値幅からScherrerの式を用いて計算した。 X線回折装置 : (株)理学電機社製 4036A2型 X線源 : Cu-Kα線(Niフィルター使用) 出力 : 40kV−20mA ゴニオメータ : (株)理学電機社製 スリット系 : 2mmφ−1°−1° 検出器 : シンチレーションカウンター 計数記録装置 : (株)理学電機社製 RAD-C型
赤道方向スキャン : ステップスキャン 2θ=10〜55°、ステップ=0.05°、積算時間=2秒 Scherrerの式 L=λ/β0cosθB L:結晶サイズ[オングストローム]、λ:X線の波長
(1.5418オングストローム) θB:ブラッグ角、β0:(βE 2−βI 21/2 βE:半値幅の測定値、βI:装置定数(1.046×10-2
【0026】D.沸騰水収縮率および乾熱収縮率 沸騰水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0)]×100(%) 乾熱収縮率(%)=[(L0−L2)/L0)]×100(%) L0:延伸糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dtex下で測定し
かせの原長 L1:L0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で
沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex
下でのかせ長 L2:L1を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で
乾熱(160℃)で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/
dtex下でのかせ
【0027】E.構造一体性パラメータ 特開昭48-35112号公報記載のように、0.18cN/dtex(0.2
gf/d)荷重下で沸騰水中2分間処理を行い、処理前後の
糸の寸法変化から下記式で算出した。 構造一体性パラメータ=[(L1’−L0’)/L0’)] L0’:糸をかせ取りし初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)
下で測定したかせの原長 L1’:L0’を測定したかせを0.18cN/dtex(0.2gf/d)
荷重下の状態で沸騰水中で2分間処理し、風乾後初荷重
0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ
【0028】F.伸度 JIS規格 L1013にしたがい荷重−伸長曲線を求め、伸び
を初期試料長で割り伸度とした。
【0029】G.ウースター斑 Zellweger 社製 USTER TESTER 1 Model C を使用し、2
00m/分の速度で糸を給糸しながらノーマルモードで測定
を行った。
【0030】H.収縮応力のピーク温度 カネボウエンジニアリング社製 熱応力測定機 TYPE KE
-2S を用いて測定を行った。試料長10cm×2のループを
作成しそれに初期張力(テ゛シテックス×0.9×1/30×0.98)cN
をかけた。昇温速度は150℃/分とし、温度に対する収縮
応力曲線を描かせ、収縮応力の最大値とそこの温度を読
んだ。
【0031】I.染め斑 繊維を筒編みし、常法により染色を行い、官能評価によ
り染め斑を評価した。この時、染め斑全く無しを0点と
して点数付けを行った。15点以下を合格とした。
【0032】実施例1 極限粘度0.63の酸化チタンを含まないホモPETを285
℃で溶融し、絶対濾過径15μのステンレス製不織布フィ
ルター2を用い濾過を行った後、孔径0.25mm、孔長0.4m
m、孔数24の丸孔口金3から紡糸温度290℃で吐出した。
そして、口金下1.9mでガイド給油装置6により集束給油
した後、紡糸速度を3700、4000、4300m/分として糸条を
引き取り、56dtex、24フィラメントの繊維を巻き取った
(図4)。この時の第1ローラー8および第2ローラー
9の周速は同一とし、これを紡糸速度とした。
【0033】巻取糸はいづれも図1のような小角X線散
乱によりX字パターンを示した。また、物性値を表1に
示す。これらの供給糸を、図5に示す装置で第1ローラ
ー13/第2ローラー15間で非接触ヒーターを用いリ
ラックス率15%の弛緩熱処理することにより、乾熱収縮
率がそれぞれ-10%、-7%、-3%の品位の高い自発伸長糸が
得られた。また、供給糸の耐熱性が高いため、加工時の
融着や溶融切断による糸切れは皆無であった。さらに、
経時変化が小さいため、加工張力変動が小さく加工が安
定であり、染め斑も10点と糸斑も小さいものであっ
た。なお、非接触ヒーター14の温度(有効長1000mm)
は180℃とし、リラックス率(%)は[(第1ローラー1
3の周速−第2ローラー15の周速)/第1ローラー1
3の周速]×100(%)で定義されるものである。加工
速度(第2ローラー周速)は650m/分とした。
【0034】比較例1 紡糸速度を3000m/分とした以外は実施例1と同様の条件
で紡糸を行い56dtex、24フィラメントの繊維を巻き取っ
た。巻取糸は小角X線散乱により中心散乱が観測される
だけで、X字パターンは観測されず、実質的に非晶性の
繊維であった。そのため、実施例1と同様に弛緩熱処理
を行ったところ融着や溶融切断による糸切れが多発し
た。
【0035】比較例2 紡糸速度を5000m/分とした以外は実施例1と同様の条件
で紡糸を行い56dtex、24フィラメントの繊維を巻き取っ
た。巻取糸は伸度が70%と低く、また過度に結晶化が進
み沸騰水収縮率が6%と低いものであった。この繊維を供
給糸とし実施例1と同様に弛緩熱処理を行ったところ、
沸騰水収縮率が低いため弛緩熱処理が不安定となり、糸
切れが多発した。さらに、弛緩熱処理糸は乾熱収縮率1.
2%と自発伸長性を示さなかった。
【0036】比較例3 ガイド給油位置を口金下3.3mとした以外は実施例1と同
様の条件で紡糸速度4000m/分で紡糸を行い、56dtex、24
フィラメントの繊維を巻き取った。巻取糸のウースター
斑は2.5%と高いものであった。この繊維を供給糸とし実
施例1と同様に弛緩熱処理を行い、布帛を形成した後染
色を施したところ、染め斑70点と染色斑が多発した。
【0037】比較例4 ガイド給油位置を口金下1.0mとした以外は実施例1と同
様の条件で紡糸速度4000m/分で紡糸を行い、56dtex、24
フィラメントの繊維を巻き取った。巻取糸のウースター
斑は2.2%と高いものであり、さらに小角X線散乱では中
心散乱が観測されるだけで、X字パターンは観測されな
かった。この繊維を供給糸とし実施例1と同様に弛緩熱
処理を行ったところ、融着や溶融切断が多発した。ま
た、この弛緩熱処理糸を用い布帛を形成した後染色を施
したところ、染め斑60点と染色斑が多発した。
【0038】実施例2 繊維を56dtex、144フィラメント、ガイド給油位置を口
金下1.5mとした以外は、実施例1と同様の条件で紡糸速
度3500m/分で紡糸を行った。巻取糸は図1のような小角
X線散乱によりX字パターンを示した。また、物性値を
表1に示すが、結晶化が進行し糸斑の小さい自発伸長糸
の供給糸として好適な繊維が得られた。この供給糸を、
図5の装置で1.1倍の延伸を行った後、リラックス率20%
の弛緩熱処理することにより、乾熱収縮率-7%の品位の
高い自発伸長糸が得られた。また、供給糸の耐熱性が高
いため、加工時の融着や溶融切断による糸切れは皆無で
あった。さらに、経時変化が小さいため、加工張力変動
が小さく加工が安定であり、染め斑10点と糸斑も小さ
いものであった。
【0039】実施例3 繊維を56dtex、12フィラメント、ガイド給油装置を口金
下2.7mとした以外は、実施例1と同様の条件で紡糸速度
4500m/分で紡糸を行った。巻取糸は図1のような小角X
線散乱によりX字パターンを示した。また、物性値を表
1に示すが、結晶化が進行し糸斑の小さい自発伸長糸の
供給糸として好適な繊維が得られた。これらの供給糸
を、実施例1と同様にリラックス率10%で弛緩熱処理す
ることにより、乾熱収縮率-2%の品位の高い自発伸長糸
が得られた。また、供給糸の耐熱性が高いため、加工時
の融着や溶融切断による糸切れは皆無であった。さら
に、経時変化が小さいため、加工張力変動が小さく加工
が安定であり、染め斑5点と糸斑も小さいものであっ
た。
【0040】実施例4 ホモPETの極限粘度を0.75とした以外は実施例1と同様
の条件で紡糸速度3400m/分で紡糸を行った。巻取糸は図
1のような小角X線散乱によりX字パターンを示した。
また、物性値を表1に示すが、結晶化が進行し糸斑の小
さい自発伸長糸の供給糸として好適な繊維が得られた。
これらの供給糸を、実施例1と同様にリラックス率15%
で弛緩熱処理することにより、乾熱収縮率-3%の品位の
高い自発伸長糸が得られた。また、供給糸の耐熱性が高
いため、加工時の融着や溶融切断による糸切れは皆無で
あった。さらに、経時変化が小さいため、加工張力変動
が小さく加工が安定であり、染め斑10点と糸斑も小さ
いものであった。
【0041】
【表1】 実施例5 33dtex、24フィラメンント、沸騰水収縮率21.2%、乾熱
収縮率19.4%の収縮糸と実施例1で4000m/分で紡糸した
繊維を用いた自発伸長糸(自発伸長率7%)とをインター
レースでエア交絡を施しつつ混繊し、99dtex、48フィラ
メントの収縮差混繊糸を得た。これに300ターン/mのS
撚りを施し、経糸および緯糸に用いて平織りを製織し
た。これに、常法により10%のアルカリ減量を施した後
染色、乾熱セットを行った。得られた布帛は、自発伸長
糸が布帛表面に浮き出て、ソフトでふくらみ感があり、
さらに反発感にも優れたものであった。また、染色斑、
シワもほとんど無く品位の高い布帛であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維を採用するこ
とにより、非晶性高配向未延伸糸の弛緩熱処理に起因す
る様々な課題を解決し、品質の優れた自発伸長糸を簡単
に操業性、生産性良く得ることができ、風合いに優れし
かも高品質の織編物を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小角X線散乱パターンを表す図であ
る。
【図2】高速紡糸繊維の小角X線散乱パターンを表す図
である。
【図3】高速紡糸繊維の秩序構造を表す図である。
【図4】紡糸装置を表す図である。
【図5】弛緩熱処理装置を表す図である
【符号の説明】
1:スピンブロック 11:供給糸 2:不織布フィルター 12:フィードローラ
ー 3:口金 13:第1ローラー 4:チムニー 14:非接触ヒーター 5:糸条 15:第2ローラー 6:給油ガイド 17:加工糸 7:インターレースノズル 8:第1ローラー 9:第2ローラー 10:巻取糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/62

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記特性を同時に有するポリエステル繊
    維。 (1)小角X線散乱によりX字パターンを示す (2)伸度≧80% (3)ウースター斑≦2%(4)沸騰水収縮率≧10%
  2. 【請求項2】(100)面方向の結晶サイズが1.5nm以
    上である請求項1記載のポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のポリエステル繊維
    を弛緩熱処理したポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】請求項3記載の弛緩熱処理したポリエステ
    ル繊維を沸収10%以上の高収縮糸と混繊してなるポリエ
    ステル混繊糸。
  5. 【請求項5】請求項4記載のポリエステル混繊糸を用い
    ることを特徴とする織編物。
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