JP3299509B2 - 光書き込み型プリンタヘッド、及び光書き込み型プリンタ - Google Patents

光書き込み型プリンタヘッド、及び光書き込み型プリンタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、光書込み波長によ
りプリント色を選択し、光書込みパワーにより発色濃度
を制御することができるプリンタ、例えば感光型マイク
ロカプセルが塗布されたプリント用紙を用いるプリンタ
に適した光書込み型プリンタヘッド、及びこのプリンタ
ヘッドを備えた光書込み型プリンタに関する。
【０００２】
【従来の技術】感光型マイクロカプセルが塗布されたプ
リント用紙を用いるプリンタは、このプリント用紙を赤
色と緑色と青色の三種類の発光素子を備えたプリンタヘ
ッドで走査して潜像を形成させ、潜像が形成された前記
プリント用紙にプリントローラにより機械的圧力を加え
て現像するものである。前記プリント用紙は基紙に直径
約４ミクロンの感光型マイクロカプセルを均一に塗布
し、その上に顕色剤を含む受像層を塗布し、更にその上
にポリエステルフィルムをラミネートしたものである。
マイクロカプセル自体は光透過性を有し、且つプリント
ローラの機械的圧力で破壊される程度の強度を有する単
なる透明なゼラチンの微小容器である。
【０００３】三種類の感光型マイクロカプセルを塗布し
たフルカラー用プリント用紙にＲ、Ｇ、Ｂの中の一種類
の光、即ち単色光を選択して照射した場合、Ｍ、Ｙ、Ｃ
三種類の感光型マイクロカプセルの中、前記選択された
単色光と補色関係にある光硬化物質が封入された感光型
マイクロカプセルのみが光に反応して硬化し、他の二種
類は硬化しない。即ちＲの光を照射した場合、Ｃの感光
型マイクロカプセルは、その光硬化物質が赤色光に反応
して硬化し、他の二種類即ちＭとＹの感光型マイクロカ
プセルは硬化しない。この状態で前記プリント用紙にプ
リントローラの圧力を加えると、ＭとＹの感光型マイク
ロカプセルは完全に破壊されるが、Ｃの感光型マイクロ
カプセルは破壊されないか又は硬化の程度に応じて不完
全に破壊される。このため、ＭとＹの発色物質が前記プ
リント用紙の受像層に接触し、その領域はＭとＹを混ぜ
た赤色に発色する。前記のＭとＹを混ぜた赤色は、Ｃの
感光型マイクロカプセルの硬化の程度によって色調が変
化する。不完全ではあるがＣの感光型マイクロカプセル
は破壊されるので、Ｃ用の発色物質が受像層と接触する
からである。同様にＧの光を照射した場合はＹとＣを混
ぜた緑色に発色し、更にＢの光を照射した場合はＭとＣ
を混ぜた青色に発色する。
【０００４】要するに、三種類の感光型マイクロカプセ
ルを塗布したフルカラー用プリント用紙に波長の異なる
三種類の光、即ちＲ、Ｇ、Ｂの中の一種類の光を選択し
て照射した場合、当該選択された光が照射された領域は
ＭとＹ、ＹとＣ又はＣとＭをそれぞれ混ぜた色に発色す
る。また、前記フルカラー用プリント用紙にＲ、Ｇ、Ｂ
の中の二種類の光を選択して照射した場合、当該選択さ
れた二種類の光が照射された領域はＭ、Ｙ又はＣの一つ
に対応した色に発色する。いずれの種類の光も照射され
なかった領域は、Ｍ、Ｙ、Ｃ全てに対応した発色が行わ
れるから、黒色を呈する。印刷の色調、彩度、明度は照
射光の強さと照射時間を調節することによって行われ
る。
【０００５】上述のプロセスに従って感光型マイクロカ
プセルを塗布したフルカラー用プリント用紙にプリント
を行うプリンタは、例えば図６に示す如く、発光素子を
備えプリント用紙に選択的に光を照射して潜像を形成さ
せるプリンタヘッド１、潜像が形成されたプリント用紙
に圧力を加えて現像するプリントローラ２、キャリッジ
３、プリント用紙を所定の速度で一方向に移動させる紙
送り機構４、固体表示素子を備えた表示装置５、駆動部
６、及び制御部７を含む。前記駆動部６は、プリンタヘ
ッド１の発光素子の選択的発光と照射量を制御するＰＷ
Ｍ形感光制御回路、プリント用紙の移動方向に対して直
角にキャリッジ３を往復移動させるキャリッジ駆動部、
プリントローラ２を駆動するローラ駆動部、紙送り機構
４を駆動する紙送り駆動部、及び表示装置駆動部を含
む。プリンタは、更に、制御部７にフラッシュメモリカ
ードや伝送信号で与えられるデジタルカメラ等の影像機
器の画像データを入力するための入力手段８、制御部７
にプリンタの各種パラメータの設定や画像編集等を行う
ための設定手段９を有する。
【０００６】フルカラー用プリント用紙に印刷するのに
用いられる従来のプリンタヘッド１の一例は、図７に示
す如く、ヘッド基板１０に３列３行に整列して取り付け
られた９個のＬＥＤを有する。第１列は赤色ＬＥＤ群
で、１１Ｒ１、１１Ｒ２及び１１Ｒ３とからなり、第２
列は緑色ＬＥＤ群で、１１Ｇ１、１１Ｇ２及び１１Ｇ３
とからなり、そして第３列は青色ＬＥＤ群で、１１Ｂ
１、１１Ｂ２及び１１Ｂ３とからなる。アパーチャ板１
３は、３列３行に整列して形成された９個のビーム絞り
孔を有する。第１列は赤色ＬＥＤ用ビーム絞り孔群で、
１２Ｒ１、１２Ｒ２及び１２Ｒ３とからなり、第２列は
緑色ＬＥＤ用ビーム絞り孔群で、１２Ｇ１、１２Ｇ２及
び１２Ｇ３とからなり、そして第３列は青色ＬＥＤ用ビ
ーム絞り孔群で、１２Ｂ１、１２Ｂ２及び１２Ｂ３とか
らなる。これらのビーム絞り孔は、それぞれ対応するＬ
ＥＤに中心線を揃えて対向するように設けられている。
【０００７】プリンタヘッド１は、上述の如く、発光素
子として赤、緑、青のそれぞれに各１個でなく各３個の
ＬＥＤを備えている。これは、感光型マイクロカプセル
を塗布したプリント用紙にプリンタが表現可能な解像度
の潜像を形成させるにはＬＥＤの光ビームを解像度程度
の発色径に絞る必要があるが、各１個のＬＥＤの光エネ
ルギーでは不十分であるからである。ここで、光ビーム
の発色径とは発光素子であるＬＥＤの光ビームが感光型
マイクロカプセルを塗布したプリント用紙を照射した軌
跡円、即ち露光ドットの直径を指し、これはアパーチャ
板のビーム絞り孔の孔径と略等しい。
【０００８】発光素子を各３個でなく各４個或いはそれ
以上にすれば、十二分な光エネルギーが得られるが、コ
スト低減、装置の小型化、更には省エネルギーという小
型プリンタに要求される条件に相反することになるので
現実的でない。感光型マイクロカプセルを塗布したプリ
ント用紙の感度を上げることも考えられるが、取り扱い
の点であまり感度は上げられないのが現状である。従っ
て、発光素子としては各１個でなく、各２ないし３個の
赤色、緑色及び青色ＬＥＤを備えたプリンタヘッドが実
用化されている。そして、この制約された発光素子数の
下でプリントに要する十分な光エネルギーを得るため
に、アパーチャ板１３のビーム絞り孔の孔径は解像度と
することができず、全てその１・５倍程度（図４の円を
参照）とされている。このため、プリント画素の隣接す
る画素をも照射してしまい、プリント画素の分解能が低
下し、画像がぼけてしまうという問題があった。また、
画像のぼけを生じさせるのに光エネルギーが使われてい
るのであるから、エネルギーの無駄使いという問題があ
った。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、感光型マイクロカプセルが塗布されたプリ
ント用紙の如き光感光性プリント用紙に鮮明な潜像を形
成することができる光書込み型プリンタヘッド、及びこ
のプリンタヘッドを備えた光書込み型プリンタを提供す
ることである。解決しようとする他の課題は、基板上に
取り付けられた波長の異なるＮ（Ｎは１以上の整数）種
類の発光源をそれぞれ複数個有する発光モジュールと、
前記発光源に対応する位置にビーム絞り孔が形成され且
つ前記発光モジュールから所定距離を隔てて配置された
アパーチャ板とを具備する光書き込み型プリンタヘッド
において、発光源が照射するエネルギーを光書き込みに
効率良く利用することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、光書き込み型プリンタヘッドを波長の異なるＮ種類
の印字用発光源とプレ露光用発光源とを有し、それぞれ
の波長毎に複数個の印字用発光源と１個のプレ露光用発
光源とを基板上に配設してなる発光モジュールと、前記
発光源に対応する位置にビーム絞り孔が形成され且つ前
記発光モジュールから所定距離を隔てて配置されたアパ
ーチャ板とを具備し、且つ前記発光源がＰＷＭ形感光制
御回路によってその選択的発光と照射量が制御されるよ
うに構成した。そして、前記アパーチャ板の印字用発光
源に対応するビーム絞り孔の孔径をプリンタの解像度程
度とし、且つ前記プレ露光用発光源に対応するビーム絞
り孔の孔径をそれよりも大きくした。
【００１１】前記プレ露光用発光源には、白色ＬＥＤの
如き白色光源を用いた。前記波長の異なるＮ種類の印字
用発光源には、赤色ＬＥＤ、緑色ＬＥＤ及び青色ＬＥＤ
で構成されたもの、放電発光ランプで構成されたもの、
または波長フィルターを用いたフィラメントランプと光
シャッターで構成されたものを用いた。
【００１２】また、上記課題を解決するために、感光型
マイクロカプセルが塗布されたプリント用紙を光書き込
み型プリントヘッドで走査して潜像を形成させ、潜像が
形成された前記プリント用紙にプリントローラにより機
械的圧力を加えて現像する光書き込み型プリンタにおい
て、前記光書き込み型プリントヘッドを、複数の印字用
赤色ＬＥＤと１個のプレ露光用赤色ＬＥＤ、複数の印字
用緑色ＬＥＤと１個のプレ露光用緑色ＬＥＤ及び複数の
印字用青色ＬＥＤと１個のプレ露光用青色ＬＥＤとを基
板上に配設してなる発光モジュールと、前記印字用ＬＥ
Ｄに対応する位置に形成された孔径がプリンタの解像度
程度であるビーム絞り孔と前記プレ露光用ＬＥＤに対応
する位置に形成された孔径がプリンタの解像度程度より
も大きいビーム絞り孔とを有し且つ前記発光モジュール
から所定距離を隔てて配置されたアパーチャ板とを具備
し、且つ前記ＬＥＤがＰＷＭ形感光制御回路によってそ
の選択的発光と照射量が制御されるように構成した。そ
して、他の光書き込み型プリンタを、前記プレ露光用赤
色ＬＥＤ、プレ露光用緑色ＬＥＤ及びプレ露光用青色Ｌ
ＥＤを白色ＬＥＤで置換して構成した。
【００１３】
【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施例で、フル
カラー用プリント用紙に印刷するのに用いられるプリン
タヘッド１の斜視図である。図１において、プリンタヘ
ッド１はヘッド基板１０に３列３行に整列して取り付け
られた９個のＬＥＤからなる発光モジュールを有する。
第１列は赤色ＬＥＤ群で、１１Ｒ１、１１Ｒ２及び１１
Ｒ３とからなり、第２列は緑色ＬＥＤ群で、１１Ｇ１、
１１Ｇ２及び１１Ｇ３とからなり、そして第３列は青色
ＬＥＤ群で、１１Ｂ１、１１Ｂ２及び１１Ｂ３とからな
る。
【００１４】発光モジュールを構成する９個のＬＥＤの
うち、基板上に取り付けられたプレ露光用発光源は、第
１行に配置された赤色ＬＥＤ１１Ｒ１、緑色ＬＥＤ１１
Ｇ１及び青色ＬＥＤ１１Ｂ１である。
【００１５】ここにプレ露光とは、或る程度の光エネル
ギーを与えなければ光書き込み型プリンタヘッドで印字
することが不可能なメディア、例えば感光型マイクロカ
プセルを塗布したされたプリント用紙に印字を行う直前
に、印字を行えない大きさであって且つ直後の印字動作
を効率良く行える程度の大きさの光エネルギーを前記メ
ディアに与える予備的光照射のことである。図２は感光
型マイクロカプセルを塗布したプリント用紙の印字特性
を示す図で、横軸は光書き込み型プリンタヘッドから前
記プリント用紙に与えられた光エネルギー、縦軸は前記
プリント用紙の印字濃度である。図２の特性の感光型マ
イクロカプセルを塗布したプリント用紙の場合、プレ露
光に用いられる光エネルギーは光エネルギーの増加に対
してほとんど変化しない状態から大きく変化する状態へ
移行するスレシホールドレベル（特性曲線上のＰ点）に
対応した大きさである。
【００１６】発光モジュールを構成する９個のＬＥＤの
うち、基板上に取り付けられた波長の異なるＮ種類の印
字用発光源は、３種類の波長の異なる発光素子、即ち第
２行に配置された赤色ＬＥＤ１１Ｒ２、緑色ＬＥＤ１１
Ｇ２及び青色ＬＥＤ１１Ｂ２と、第３行に配置された赤
色ＬＥＤ１１Ｒ３、緑色ＬＥＤ１１Ｇ３及び青色ＬＥＤ
１１Ｂ３である。
【００１７】アパーチャ板１３は、３列３行に整列して
形成された９個のビーム絞り孔を有する。第１列は赤色
ＬＥＤ用ビーム絞り孔群で、１２Ｒ１、１２Ｒ２及び１
２Ｒ３とからなり、第２列は緑色ＬＥＤ用ビーム絞り孔
群で、１２Ｇ１、１２Ｇ２及び１２Ｇ３とからなり、そ
して第３列は青色ＬＥＤ用ビーム絞り孔群で、１２Ｂ
１、１２Ｂ２及び１２Ｂ３とからなる。これらのビーム
絞り孔は、それぞれ対応するＬＥＤに中心線を揃えて対
向するように設けられている。
【００１８】また、上記９個のビーム絞り孔のうち、ヘ
ッド基板１０上に配置された第１行の赤色ＬＥＤ１１Ｒ
１、緑色ＬＥＤ１１Ｇ１及び青色ＬＥＤ１１Ｂ１にそれ
ぞれ対応する第１行の赤色ＬＥＤ用ビーム絞り孔１２Ｒ
１、緑色ＬＥＤ用ビーム絞り孔１２Ｇ１及び青色ＬＥＤ
用ビーム絞り孔１２Ｂ１の孔径は、これらのビーム絞り
孔により照射される光ビームの発色径がプリンタの解像
度程度よりも大きくなるようにした。これは、図７に示
す従来のプリンタヘッド１のアパーチャ板１３に設けら
れているビーム絞り孔の孔径よりかなり大きいものであ
る。
【００１９】上記９個のビーム絞り孔のうち、ヘッド基
板１０上に配置された第２行の赤色ＬＥＤ１１Ｒ２、緑
色ＬＥＤ１１Ｇ２及び青色ＬＥＤ１１Ｂ２にそれぞれ対
応する第１行の赤色ＬＥＤ用ビーム絞り孔１２Ｒ２、緑
色ＬＥＤ用ビーム絞り孔１２Ｇ２及び青色ＬＥＤ用ビー
ム絞り孔１２Ｂ２と、ヘッド基板１０上に配置された第
３行の赤色ＬＥＤ１１Ｒ３、緑色ＬＥＤ１１Ｇ３及び青
色ＬＥＤ１１Ｂ３にそれぞれ対応する第２行の赤色ＬＥ
Ｄ用ビーム絞り孔１２Ｒ３、緑色ＬＥＤ用ビーム絞り孔
１２Ｇ３及び青色ＬＥＤ用ビーム絞り孔１２Ｂ３の孔径
は、これらのビーム絞り孔により照射される光ビームの
発色径がプリンタの解像度程度となるようにしてある。
【００２０】側板１４はアパーチャ板１３をヘッド基板
１０に所定の間隔を経て固着するとともに、カバーとし
て機能するものである。ＬＥＤの光が横方向に漏れない
ようにＬＥＤ間に設けられているセパレータ板も本発明
に係るプリンタヘッドに設けられているが、ＬＥＤとビ
ーム絞り孔の配置関係を明瞭に示すために、図１におい
ては省略されている。
【００２１】図５は、プリンタヘッド１とプリントロー
ラ２が取り付けられたキャリッジ３の一実施例の要部断
面図である。キャリッジ３は、ガイドレール２１上を走
行する略箱形のキャリッジ部材１８と、キャリッジ部材
１８の下部にそれぞれ固着されたプリンタヘッド支持部
材１９とプリントローラ支持部材２０とから概ね構成さ
れ、キャリッジ駆動部により紙送り方向に対して直角に
往復移動させられる。なお、キャリッジ部材１８を駆動
する駆動機構２２は、図示されていない駆動モータ及び
力伝達機構を含むキャリッジ駆動部の一部を構成してい
る。図１において省略されているセパレータ板１５は、
第１列の赤色ＬＥＤ群と第２列の緑色ＬＥＤ群との間、
及び第２列の緑色ＬＥＤ群と第３列の青色ＬＥＤ群との
間にそれぞれ設けられている。
【００２２】本発明に係る光書き込み型プリンタの一実
施例は、感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント
用紙を光書き込み型プリンタヘッドで走査して潜像を形
成させ、潜像が形成された前記プリント用紙にプリント
ローラにより機械的圧力を加えて現像する光書き込み型
プリンタにおいて、前記光書き込み型プリンタヘッドを
図１に示す如き構成としたものである。
【００２３】即ち、本発明に係る光書き込み型プリンタ
に用いられる光書き込み型プリンタヘッドは、図１に示
す如く、ヘッド基板１０上に取り付けられた印字用赤色
ＬＥＤ１１Ｒ２並びに１１Ｒ３、印字用緑色ＬＥＤ１１
Ｇ２並びに１１Ｇ３及び印字用青色ＬＥＤ１１Ｂ２並び
に１１Ｂ３と、赤色、緑色及び青色毎にそれぞれ設けら
れたプレ露光用赤色ＬＥＤ１１Ｒ１、プレ露光用緑色Ｌ
ＥＤ１１Ｇ１及びプレ露光用青色ＬＥＤ１１Ｂ１とから
なる発光モジュールと、前記印字用ＬＥＤにそれぞれ対
応する位置に形成された孔径を、この孔により照射され
る光ビームの発色径がプリンタの解像度程度となるよう
にしたビーム絞り孔１２Ｒ２並びに１２Ｒ３、１２Ｇ２
並びに１２Ｇ３及び１２Ｂ２並びに１２Ｂ３と、前記プ
レ露光用ＬＥＤに対応する位置に形成された孔径を、こ
の孔により照射される光ビームの発色径がプリンタの解
像度程度よりも大きくなるようにしたビーム絞り孔１２
Ｒ１、１２Ｇ１及び１２Ｂ１とを有し、発光モジュール
から所定距離を隔てて配置されたアパーチャ板１３とを
具備するものである。
【００２４】本発明に係る感光型マイクロカプセルを塗
布したフルカラー用プリント用紙にプリントを行うプリ
ンタは、例えば図６に示す如く、プリンタヘッド１、プ
リントローラ２、キャリッジ３、紙送り機構４、固体表
示素子を備えた表示装置５、駆動部６、制御部７、入力
手段８、及び設定手段９を含む。前記制御部７は、ＣＰ
Ｕ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、入出力インターフェースＩ／Ｏ、
及びこれらを接続するバスを含む。前記駆動部６は、プ
リンタヘッド１の発光素子の選択的発光と照射量を制御
するＰＷＭ形感光制御回路、キャリッジ駆動部、ローラ
駆動部、紙送り駆動部、及び表示装置駆動部を含む。
【００２５】印字用発光源とプレ露光用発光源とからな
る発光モジュールを備えた図１の光書き込み型プリンタ
ヘッド１で、図２の印字特性の感光型マイクロカプセル
を塗布したフルカラー用プリント用紙にプリントを行う
場合、プリンタヘッド１は図１の矢印の方向に移動する
ときに露光を行う。即ち、先ず、第１行に配置されたプ
レ露光用発光源、即ち赤色ＬＥＤ１１Ｒ１、緑色ＬＥＤ
１１Ｇ１及び青色ＬＥＤ１１Ｂ１が、対応するビーム絞
り孔１２Ｒ１、１２Ｇ１及び１２Ｂ１を介して前記プリ
ント用紙に光照射してプレ露光を行う。
【００２６】プレ露光の直後に、第２行に配置された印
字用発光源、即ち赤色ＬＥＤ１１Ｒ２、緑色ＬＥＤ１１
Ｇ２及び青色ＬＥＤ１１Ｂ２は、対応するビーム絞り孔
１２Ｒ２、１２Ｇ２及び１２Ｂ２を介して前記プリント
用紙に光照射して第１段の印字を行う。この第１段の印
字の直後に、第３行に配置された印字用発光源、即ち赤
色ＬＥＤ１１Ｒ３、緑色ＬＥＤ１１Ｇ３及び青色ＬＥＤ
１１Ｂ３は、対応するビーム絞り孔１２Ｒ３、１２Ｇ３
及び１２Ｂ３を介して前記プリント用紙に光照射して第
２段の印字を行い、これによって或る特定の画素に対す
る印字を完了する。
【００２７】ところで、１８個の同一径の円が規則正し
く配列されている図４は、図３に示すような赤ライン
Ｌ、即ちプリンタの解像度に対応する大きさの幅とその
４倍の長さの赤ラインを感光型マイクロカプセルを塗布
したフルカラー用プリント用紙にプリントする場合に、
プリンタヘッド１のＬＥＤがそれぞれのビーム絞り孔を
介して照射した光ビームの軌跡を円で示したものであ
る。なお、図３において、赤ラインＬの周囲の１４個の
桝目Ｗは白のデータを表す。
【００２８】図４において、赤色、緑色及び青色各１個
のＬＥＤとこれに対応する同一径のビーム絞り孔を各１
個備えたプリンタヘッドを用いた場合に、１色のＬＥＤ
で円ａ、ｂ、ｃ、ｄ全てを照射することを考える。仮に
この領域に白のデータを印字する場合、３色のＬＥＤが
円ａ、ｂ、ｃ、ｄを全て照射するため、領域Ａは１２回
の照射を受けることになる。但し、図３に示したパター
ンを印字する場合には、１回だけは赤のデータを印字す
るための照射であるため、領域Ａは１０回、領域Ｂは５
回、領域Ｃは４回、領域Ｄは２回の照射を受ける。各３
個のＬＥＤと対応する同一径のビーム絞り孔を各１個備
えた図７の従来のプリンタヘッドを用いた場合は、これ
らの照射回数はそれぞれ３倍となる。図３と図４から明
らかな如く、従来のプリンタヘッドでは白データに囲ま
れた赤ラインの印字範囲において、ＬＥＤで照射される
回数が一様でなく、中央領域は少なく周辺領域は多く、
最大で５倍も異なる。このため、図３に示すような鮮明
な赤ラインを印字することができなかった。
【００２９】これに対して、プレ露光と印字のための照
射を行う本発明に係る光書き込み型プリンタヘッドは、
プレ露光は光ビームの発色径がプリンタの解像度よりも
大きな、具体的には図４の照射軌跡円よりも大きな照射
軌跡円となるような孔径のビーム絞り孔を介してプレ露
光用ＬＥＤで照射するが、印字用ＬＥＤは光ビームの発
色径がプリンタの解像度と同程度となるような孔径のビ
ーム絞り孔を介して照射するものである。本発明におい
て、プレ露光の照射軌跡円は相変わらず重なり合うが、
プレ露光用ＬＥＤによる照射エネルギーはしきい値に達
しないがこれに近い大きさであるから、感光型マイクロ
カプセルを塗布したプリント用紙に印字を行うものでは
ない。
【００３０】このようなプレ露光という事前準備がなさ
れた直後に、印字用ＬＥＤによる照射が行われる。従っ
て、印字の照射で与えられた光エネルギーの増加は図２
のしきい値を直ちに超えるから、印字濃度は直ちに変化
し始め、図２に示す特性曲線に沿って略直線的に減少す
る。しかも、印字用ＬＥＤは光ビームの発色径がプリン
タの解像度と同程度となるような孔径のビーム絞り孔を
介して照射するので、隣り合う印字の照射軌跡円は重な
り合うことが無いから、印字は極めて鮮明である。
【００３１】上述の赤色、緑色及び青色各３個のＬＥＤ
を３列３行に整列して配置した光書き込み型プリンタヘ
ッドの実施例で、プレ露光用ＬＥＤは第１列のみとした
が、これに第２列を加え、印字用ＬＥＤを第３列のみと
してもよい。この場合、第２列のプレ露光用ＬＥＤに対
応するアパーチャ板１３の第２列のビーム絞り孔の孔径
は、第１列のビーム絞り孔の孔径と同様に、これらのビ
ーム絞り孔による光ビームの発色径がプリンタの解像度
よりも大きくなるようにするのが好ましい。
【００３２】なお、本発明に係る光書き込み型プリンタ
ヘッドは、プレ露光用発光源として、それぞれが対応す
る印字用発光源と同一波長の発光源を用いた図１に示す
ものの他に、或いは白色ＬＥＤの如き白色光源を用いた
ものを用いたものも実現できる。
【００３３】同様に、本発明に係る光書き込み型プリン
タヘッドは、波長の異なるＮ種類の印字用発光源とし
て、図１に示す如く赤色ＬＥＤ、緑色ＬＥＤ及び青色Ｌ
ＥＤで構成されたものの他に、放電発光ランプで構成さ
れたもの、または波長フィルターを用いたフィラメント
ランプと光シャッターで構成されたものを用いたものも
実現できる。
【００３４】
【発明の効果】本発明の光書込みプリンタは、プレ露光
用発光源と印字用発光源とからなる発光モジュールと、
前記発光源に対応する位置にビーム絞り孔が形成され且
つ前記発光モジュールから所定距離を隔てて配置された
アパーチャ板とを具備する光書き込み型プリンタヘッド
であって、前記アパーチャ板の印字用発光源に対応する
ビーム絞り孔の孔径を、このビーム絞り孔による光ビー
ムの発色径がプリンタの解像度程度となるようにし、且
つプレ露光用発光源に対応するビーム絞り孔の孔径をそ
れよりも大きくしたものであるから、極めて鮮明な印字
ができるという優れた特長を有する。
【００３５】しかも、従来の光書き込み型プリンタヘッ
ドでは印字が非鮮明なだけでなく、この非鮮明な印字を
行うのに光エネルギーを無駄に使っていたのに対し、本
発明においてはそのようなことがなく、光エネルギーの
効率的利用がなされ、省エネルギー、省電力、発熱量の
低下等の様々な効果がもたらされた。このため、本発明
に係る光書き込み型プリンタヘッドそのものは勿論のこ
と、この特長あるプリンタヘッドを備えたプリンタは、
装置の小型化、コスト低減という効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光書込み型プリンタヘッドの一実施例
の斜視図である。
【図２】感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント
用紙の印字特性、即ち照射エネルギーと発色濃度の関係
を示す図である。
【図３】感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント
用紙にプリントされたプリンタの解像度と同程度の赤ラ
インを示す図である。
【図４】図３の赤ラインをプリントした場合、感光型マ
イクロカプセルが塗布されたプリント用紙を照射した場
合の照射軌跡円の大きさと個数、及び照射回数を説明す
るための図である。
【図５】感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント
用紙を用いるプリンタのプリンタヘッドを備えたキャリ
ッジの一実施例の断面図である。
【図６】感光型マイクロカプセルが塗布されたプリント
用紙を用いるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図７】従来の光書込みプリンタヘッドの斜視図であ
る。
【符号の説明】
１ プリンタヘッド ２ プリントローラ ３ キャリッジ ４ 紙送り機構 ５ 表示装置 ６ 駆動部 ７ 制御部 ８ 入力手段 ９ 設定手段 １０ ヘッド基板 １１Ｒ１，１１Ｒ２，１１Ｒ３ 赤色ＬＥＤ １１Ｇ１，１１Ｇ２，１１Ｇ３ 緑色ＬＥＤ １１Ｂ１，１１Ｂ２，１１Ｂ３ 青色ＬＥＤ １２Ｒ１，１２Ｒ２，１２Ｒ３ 赤色ＬＥＤ用ビーム絞
り孔 １２Ｇ１，１２Ｇ２，１２Ｇ３ 緑色ＬＥＤ用ビーム絞
り孔 １２Ｂ１，１２Ｂ２，１２Ｂ３ 青色ＬＥＤ用ビーム絞
り孔 １３ アパーチャ板 １４ 側板 １５ セパレータ板 １８ キャリッジ部材 １９ ヘッド支持部材 ２０ ローラ支持部材 ２１ ガイド部材 ２２ キャリッジ駆動部 ａ，ｂ，ｃ，ｄ ＬＥＤの照射軌跡円 Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ 異なる照射回数の領域 Ｌ 赤ライン Ｐ 印字特性曲線のしきい値に対応する点 Ｗ 白データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B41J 2/44 B41J 2/45 B41J 2/455 H04N 1/036

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 波長の異なるＮ種類の印字用発光源とプ
    レ露光用発光源とを有し、それぞれの波長毎に複数個の
    印字用発光源と１個のプレ露光用発光源とを基板上に配
    設してなる発光モジュールと、前記発光源に対応する位
    置にビーム絞り孔が形成され且つ前記発光モジュールか
    ら所定距離を隔てて配置されたアパーチャ板とを具備
    し、且つ前記発光源がＰＷＭ形感光制御回路によってそ
    の選択的発光と照射量が制御されるように構成された光
    書き込み型プリンタヘッドであって、前記アパーチャ板
    の印字用発光源に対応するビーム絞り孔の孔径をプリン
    タの解像度程度とし、且つプレ露光用発光源に対応する
    ビーム絞り孔の孔径をそれよりも大きくしたことを特徴
    とする光書き込み型プリンタヘッド。
  2. 【請求項２】 前記プレ露光用発光源が白色光源である
    ことを特徴とする請求項１の光書き込み型プリンタヘッ
    ド。
  3. 【請求項３】 前記プレ露光用発光源が白色ＬＥＤであ
    ることを特徴とする請求項１の光書き込み型プリンタヘ
    ッド。
  4. 【請求項４】 前記波長の異なるＮ種類の印字用発光源
    が、赤色ＬＥＤ、緑色ＬＥＤ及び青色ＬＥＤで構成され
    たものであることを特徴とする請求項１の光書き込み型
    プリンタヘッド。
  5. 【請求項５】 前記波長の異なるＮ種類の印字用発光源
    が、放電発光ランプで構成されたものであることを特徴
    とする請求項１の光書き込み型プリンタヘッド。
  6. 【請求項６】 前記波長の異なるＮ種類の印字用発光源
    が、波長フィルターを用いたフィラメントランプと光シ
    ャッターで構成されたものであることを特徴とする請求
    項１の光書き込み型プリンタヘッド。
  7. 【請求項７】 感光型マイクロカプセルが塗布されたプ
    リント用紙を光書き込み型プリントヘッドで走査して潜
    像を形成させ、潜像が形成された前記プリント用紙にプ
    リントローラにより機械的圧力を加えて現像する光書き
    込み型プリンタにおいて、前記光書き込み型プリントヘ
    ッドは、複数の印字用赤色ＬＥＤと１個のプレ露光用赤
    色ＬＥＤ、複数の印字用緑色ＬＥＤと１個のプレ露光用
    緑色ＬＥＤ及び複数の印字用青色ＬＥＤと１個のプレ露
    光用青色ＬＥＤとを基板上に配設してなる発光モジュー
    ルと、前記印字用ＬＥＤに対応する位置に形成された孔
    径がプリンタの解像度程度であるビーム絞り孔と前記プ
    レ露光用ＬＥＤに対応する位置に形成された孔径がプリ
    ンタの解像度程度よりも大きいビーム絞り孔とを有し且
    つ前記発光モジュールから所定距離を隔てて配置された
    アパーチャ板とを具備し、且つ前記ＬＥＤがＰＷＭ形感
    光制御回路によってその選択的発光と照射量が制御され
    るように構成されたものであることを特徴とする光書き
    込み型プリンタ。
  8. 【請求項８】 前記プレ露光用赤色ＬＥＤ、プレ露光用
    緑色ＬＥＤ及びプレ露光用青色ＬＥＤを白色ＬＥＤで置
    換して構成したことを特徴とする請求項７の光書き込み
    型プリンタ。
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