JP3295149B2 - ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体 - Google Patents

ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体

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JP3295149B2 JP32683692A JP32683692A JP3295149B2 JP 3295149 B2 JP3295149 B2 JP 3295149B2 JP 32683692 A JP32683692 A JP 32683692A JP 32683692 A JP32683692 A JP 32683692A JP 3295149 B2 JP3295149 B2 JP 3295149B2
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貴子 高▲桑▼
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浩 松永
壽 清水
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた血管拡張作用、
降圧作用、抗高脂血症作用、血小板凝集抑制作用、Ca
++ブロッカー作用等の循環器系疾患の治療に有効な作用
を有し、かつ容易に代謝しないため、それらの効果が持
続するという特徴を有する新規なピロロ[3,2−e]
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体又はその塩、
及びこれらの化合物を有効成分とする循環器系疾患治療
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】我国の人口の老齢化に伴ない、その死因
は循環器系疾患が増加し、悪性腫瘍と共に大きな割合を
占めていることは周知の事実である。循環器系疾患治療
薬として血管拡張により血圧を降下させかつ血流の改善
作用を行うことは極めて有効な方法であり、また血小板
凝集作用を抑制することは動脈血栓の発生を防止する有
用な手段である。またCa++ブロッカー作用を有する化
合物は抗不整脈作用を有する場合が多く、これらの疾患
は相互に関連がある。従って、これらの循環器系疾患に
対し総合的に有効な薬剤の開発が望まれていた。
【0003】かかる観点に立脚し、本発明者らは先に次
の一般式(A)
【0004】
【化2】
【0005】(式中、Ra はアルキル基を示す)で表わ
されるピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピ
リミジン誘導体が、優れた循環器系疾患に対する治療作
用を有することを見出し、特許出願した(特開平2−2
75882号公報)。
【0006】しかしながら、この化合物(A)は、イン
ビトロでは、優れた効果を示すものの、インビボにおい
ては、ピロール環部分が容易に酸化的代謝を受け、不活
性化が起こり、効果が持続しないという欠点を有してい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、このような不
活性化が生じることがなく、優れた効果を示す循環器系
疾患治療剤が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み本発明
者らは、鋭意研究を行った結果、後記一般式(I)で表
わされる化合物が、生体内で不活性化し難く、薬効の持
続性が良好であり、高血圧、狭心症等の循環器系疾患の
予防・治療に極めて有効であることを見い出し、本発明
を完成した。
【0009】すなわち、本発明は次の一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1は水素原子;水酸基、アルコ
キシ基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一級、二級若
しくは三級アミノ基、カルボキシル基、シクロアルキル
基、フェニル基、ハロゲン原子及び異項環基から選ばれ
る置換基を有してもよい直鎖若しくは分岐鎖のアルキル
基、アルケニル基若しくはアルキニル基;又は水酸基、
アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一級、
二級若しくは三級アミノ基、カルボキシル基、シクロア
ルキル基、フェニル基及びハロゲン原子から選ばれる置
換基を有してもよいシクロアルキル基、フェニル基若し
くは異項環基を示し、R2、R3、R4及びR5は同一又は
異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;水酸
基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一
級、二級若しくは三級アミノ基、カルボキシル基、シク
ロアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子及び異項環基
から選ばれる置換基を有してもよい直鎖若しくは分岐鎖
のアルキル基;又はシアノ基を示すか、R2とR3又は/
及びR4とR5が一緒になって酸素原子を示す。ただし、
2、R3、R4及びR5のすべてが水素原子である場合を
除く)で表わされるピロロ[3,2−e]ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン誘導体又はその塩を提供する
ものである。
【0012】本発明のピリミジン誘導体(I)におい
て、式中、R1 〜R5 の直鎖又は分岐鎖のアルキル基と
しては、炭素数1〜16のもの、例えばメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ヘキシル基、オクチル基、デカニル基等が挙
げられる。また、R1 の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基
及びアルキニル基としては、炭素数1〜16のもの、例
えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、n−ブテ
ニル基、イソブテニル基、sec−ブテニル基等のアル
ケニル基;エチニル基、プロパルギル基、1−プロピニ
ル基、n−ブチニル基、sec−ブチニル基、n−ペン
チニル基、イソペンチニル基等のアルキニル基が挙げら
れる。R1 のシクロアルキル基としては、炭素数4〜8
のもの、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等
が挙げられる。また、R1 の異項環基としては、例えば
ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエ
ニル基等が挙げられる。更に、これらの基は置換基を有
していてもよく、かかる置換基としては、例えば水酸
基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一
級、二級若しくは三級アミノ基、カルボキシル基、シク
ロアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ハロゲン
原子、異項環基(ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピ
ペリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピペリジン、
モルホリン、ピロリドン等)、置換異項環基等が挙げら
れる。また、R2 〜R5 のハロゲン原子としては、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ
る。
【0013】これらのうち、R1 としては直鎖若しくは
分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基若し
くはアルキニル基又はシクロアルキル基が特に好まし
く、R 2 〜R5 としては、これらの1〜2個が、アルコ
キシ基若しくはアルケニルオキシ基で置換されてもよい
直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、又は
ハロゲン原子であって残りの置換基が水素原子である場
合、又はR2 とR3 若しくはR4 とR5 が一緒になって
酸素原子である場合が特に好ましい。
【0014】本発明の化合物(I)において、その6位
又は7位に不斉炭素原子が存在する場合には、それぞれ
の光学活性体が存在する。従って、本発明の化合物には
化合物(I)の光学活性体及びラセミ体が含まれる。な
お、本明細書の以下の化学構造式の番号に付す添字a
は、その化合物が光学活性体として得られるものである
ことを示す。
【0015】本発明の化合物(I)及びこの光学活性体
は、例えば以下の方法に従って製造することができる。 (I)7位置換化合物 (1)ラセミ体の製造法 化合物(I)において、7位に置換基が導入された化合
物のラセミ体(I−1)は、例えば下記反応式(B)に
従って製造することができる。
【0016】
【化4】
【0017】(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同じ
ものを示し、Xはハロゲン原子を示す)
【0018】すなわち、α−アセチル−γ−ブチロラク
トン(A.B.L)γ−置換体(II)に3−アミノ−4
−シアノピラゾール(III)を脱水縮合せしめた後、ラ
クトン環の開裂を行って6−(2−ヒドロキシエチル)
−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7
(4H)−オン類(IV−1)となし、次いでこれをハロ
ゲン化して7−ハロ−6−(2−ハロエチル)−5−メ
チルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類(V−1)と
なし、更にこれにアミン類を反応せしめれば、本発明の
7位置換化合物(I−1)を製造することができる。
【0019】化合物(II)と(III)から(IV−1)を
製するには、適当な溶媒、例えばジメチルホルムアミ
ド、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオ
キサン、酢酸等の溶媒中、無触媒又はトリフルオロボラ
ン等のルイス酸等の触媒の存在下、化合物(II)と(II
I)を反応させる。
【0020】化合物(IV−1)から(V−1)を製する
には、化合物(IV−1)に塩化チオニル、オキシ塩化リ
ン、五塩化リン、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素
等のハロゲン化剤を、無溶媒又はテトラクロロエタン、
エチレンジクロライド、クロロホルム、トリクロロエチ
レン、ベンゼン、クロロベンゼン等の溶媒中、加熱反応
させる。この際、N−メチルモルホリン、トリエチルア
ミン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルホルムア
ミド等の触媒を使用することもできる。
【0021】化合物(V−1)から(I−1)を製する
には、化合物(V−1)とアミン類を、メタノール、エ
タノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド等の溶媒中で反応させる。このとき、炭酸ソーダ、炭
酸カリウム、トリエチルアミン、過剰のアミン類、ピリ
ジン等の脱酸剤を添加することができる。
【0022】(2)光学活性体の製造法 (i)光学活性な7位置換化合物(I−1a)は、例え
ば光学活性なα−アセチル−γ−ブチロラクトン(A.
B.L)γ−置換体(IIa)を出発原料として、下記反
応式(C)に従って製造することができる。
【0023】
【化5】
【0024】(式中、R1 、R2 、R3 及びXは前記と
同じものを示す)
【0025】すなわち、光学活性な化合物(IIa)と3
−アミノ−4−シアノピラゾール(III)とを反応せし
め、得られた化合物をアセチル化して光学活性な6−
(2−アセトキシエチル)−5−メチル−ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン類(VI
a)となし、これをハロゲン化して光学活性な6−(2
−アセトキシエチル)−7−ハロ−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン類(VIIa)とし、次いでこ
れにアミン類を反応せしめて光学活性な6−(2−アセ
トキシエチル)−7−アミノ−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン類(VIIIa)とした後、脱ア
セチル化を行って光学活性な7−アミノ−6−(2−ヒ
ドロキシエチル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]
ピリミジン類(IXa)となし、更に環化反応を行えば、
本発明の光学活性な7位置換化合物(I−1a)を製造
することができる。
【0026】出発原料として用いられる光学活性なα−
アセチル−γ−ブチロラクトン(A.B.L)γ−置換
体(IIa)は、例えば光学活性なプロピレンオキシドに
アセト酢酸エチルを反応させることにより、容易に製造
することができる。
【0027】化合物(IIa)と(III)から化合物(VI
a)を製するには、まず、前記反応式(B)に示した方
法に準じて光学活性な6−(2−ヒドロキシエチル)−
5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7(4
H)−オン類を得、これに塩化アセチル又は無水酢酸等
のアセチル化剤を、無溶媒又はジクロロメタン、クロロ
ホルム、テトラクロロエタン、エチレンジクロライド、
トリクロロエチレン、ベンゼン、クロロベンゼン等の溶
媒中で反応させる。この際、トリエチルアミン、ジイソ
プロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリ
ジン等の触媒を使用することができる。また、上記中間
体である光学活性な6−(2−ヒドロキシエチル)−5
−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7(4
H)−オン類は、例えばジメチルホルムアミド、トルエ
ン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒中、無
触媒又はトリフルオロボラン等のルイス酸等の触媒の存
在下、化合物(IIa)と(III)を脱水縮合せしめ、次
いで得られた化合物を、水、メタノール、エタノール、
ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒中
で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピル
エチルアミン等で処理してラクトン環を開裂せしめるこ
とによって行うこともできる。
【0028】化合物(VIa)から(VIIa)を製するに
は、化合物(VIa)に塩化チオニル、オキシ塩化リン、
五塩化リン、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素等の
ハロゲン化剤を、無溶媒又はテトラクロロエタン、エチ
レンジクロライド、クロロホルム、トリクロロエチレ
ン、ベンゼン、クロロベンゼン等の溶媒中で、加熱反応
させる。この際、N−メチルモルホリン、トリエチルア
ミン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルホルムア
ミド等の触媒を使用することもできる。
【0029】化合物(VIIa)から(VIIIa)を製する
には、化合物(VIIa)とアミン類を、メタノール、エ
タノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルエチルケトン等の溶媒中で反応させる。この
とき、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミ
ン、tert−ブチルアミン、過剰のアミン類、ピリジ
ン等の脱酸剤を添加することができる。
【0030】化合物(VIIIa)から(IXa)を製するに
は、化合物(VIIIa)を、メタノール、エタノール、ジ
メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒中
で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム
等を用いて脱アセチル化させる。
【0031】化合物(IXa)から(I−1a)を製する
には、まず、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中
で、化合物(IXa)に、塩化メタンスルホニル、塩化p
−トルエンスルホニル等を反応させて、ヒドロキシ基の
反応性誘導体を得る。このとき、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の脱酸剤を添
加することができる。次に、この反応で得られた化合物
を、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メ
チルエチルケトン等の溶媒中で、N−メチルモルホリ
ン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、
ジメチルホルムアミド等の触媒を用いて閉環させること
によって本発明化合物(I−1a)を得ることができ
る。
【0032】(ii)光学分割法 カルボベンジルオキシ(Cbz)−L−アラニンを用い
る光学分割法により、下記反応式(D)に従って、光学
活性な7位置換化合物(I−1a)を製造することがで
きる。
【0033】
【化6】
【0034】(式中、R1 、R2 、R3 及びXは前記と
同じものを示し、Cbz−L−Ala−OHはカルボベ
ンジルオキシ−L−アラニンを示す)
【0035】すなわち、前記反応式(B)におけるラセ
ミ化合物(IV−1)とカルボベンジルオキシ(Cbz)
−L−アラニンとを反応させて6−〔2−(N−ベンジ
ルオキシカルボニル−L−アラニルオキシ)エチル〕−
5−メチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7
(4H)−オン類の2種のジアステレオ異性体を製し、
この異性体の夫々を分離した後、加水分解して2種の光
学活性な6−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン
類(IV−1a)を得、更にこの化合物を上記反応式
(B)に示す方法に従って反応させれば、光学活性な本
発明化合物(I−1a)を製造することができる。
【0036】化合物(IV−1)のラセミ体とカルボベン
ジルオキシ(Cbz)−L−アラニンとの反応は、例え
ばジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中、N,
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩
酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カ
ルボジイミド(W.S.C)等の縮合剤の存在下で行う
ことができる。この際、トリエチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン等の触媒を
使用することもできる。上記反応で得られたジアステレ
オ混合物は、通常行われる分離精製手段、例えばカラム
クロマト等に付すことによって、2種のジアステレオ異
性体に分離することができる。
【0037】分離された2種のジアステレオ異性体の加
水分解反応は、例えばアルコール、ジメチルホルムアミ
ド等の溶媒中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸カリウム等を用いて行うことができる。上記加水分
解反応によって得られる2種の光学活性な化合物(IV−
1a)は、それぞれ上記反応式(B)に示した方法に従
って、ハロゲン化及びアミン類との反応を行わしめ、目
的とする光学活性な本発明化合物(I−1a)に誘導す
ることができる。
【0038】(iii)酵素法 リパーゼを用い、下記反応式(E)に従って、光学活性
な7位置換化合物を製造することができる。
【0039】
【化7】
【0040】(式中、R1 、R2 、R3 及びXは前記と
同じものを示す)
【0041】すなわち、ラセミ体であるα−アセチル−
γ−ブチロラクトン(A.B.L)γ−置換体(II)を
出発原料として、前記反応式(C)に示す方法に準じて
ラセミ化合物(VIII)を得る。このラセミ化合物をリパ
ーゼで処理すると、一方のエナンチオ異性体のみが選択
的に加水分解されて化合物(IXa)の一方のエナンチオ
異性体のみが得られ、この化合物を前記反応式(C)で
示した方法に従って環化せしめれば、光学活性な本発明
化合物(I−1a)を製造することができる。また、上
記リパーゼ処理によって加水分解されなかった他方のエ
ナンチオ異性体(VIIIa)を、前記反応式(C)に示し
た方法に従って加水分解して光学活性な化合物(IXa)
を得、次いで環化反応を行えば、もう一方の光学活性な
本発明化合物(I−1a)を製造することができる。
【0042】ここで用いられるリパーゼとしては、市販
されている種々の起源のもの、例えばアスペルギルス・
ニガー(Aspergillus niger)由来の
「リパーゼ A−6」、ムーコル・ジャポニカス(Mu
col japonicus)由来の「リパーゼ M−
10」、カンジダ・ルゴーザ(Candida rug
osa)由来の「リパーゼ AY−30」、リゾプス・
ジャポニカス(Rhizopus japonicu
s)由来の「リパーゼ F−AP15」、ポーシン・パ
ンクレア(Porcine Pancreae)由来の
「パンクレアチンF」、リゾプス・ニベウス(Rhiz
opus Niveus)由来の「ニューラーゼ
F」、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseud
omonasfluorescens)由来の「リパー
ゼ PS」等(以上、天野製薬(株)製)を用いること
ができる。これらのリパーゼは、水に溶解し、セライト
を加えて攪拌し、セライトに吸着させた懸濁液として用
いることができる。
【0043】リパーゼ処理は、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチル
エーテル、イソプロピルエーテル、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の溶媒中で、ラセミ化合物(VIII)をリ
パーゼを吸着させたセライトの懸濁液中で、室温程度で
攪拌することによって行うことができる。加水分解反応
は数時間ないし数日間で終了し、反応生成物(IXa)と
未反応物とは、通常行われる分離精製手段、例えばカラ
ムクロマトグラフィー、分別再結晶等に付すことによっ
て分離することができる。
【0044】(II)6位置換化合物 (1)ラセミ体の製造法 (i)化合物(I)において、6位に置換基が導入され
た化合物のラセミ体(I−2)及び(I−3)は、例え
ば下記反応式(F)に従って製造することができる。
【0045】
【化8】
【0046】(式中、R1 、R4 、R5 及びXは前記と
同じものを示し、R6 及びR7 は水素原子又はエステル
残基を示す)
【0047】すなわち、コハク酸類あるいはそのエステ
ル誘導体(X)と3−アミノ−4−シアノピラゾール
(III)とを脱水縮合せしめ、3−シアノ−5−メチル
−7(4H)−オキソピラゾロ[1,5−a]ピリミジ
ン化合物(XI)となし、次いでこれをハロゲン化し、3
−シアノ−5−メチル−7−ハロピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン類(XII)へ導びく。続いて化合物(XI
I)にアミン類を反応せしめて化合物(XIII)とした
後、閉環反応を行うことによって、本発明化合物(I)
のうち、置換基R2 とR3 が一緒になって酸素原子であ
る6,7−ジヒドロ−7−オキソ−8H−ピロロ[3,
2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類(I−
2)を得ることができる。次いで、化合物(I−2)を
還元して化合物(XIV)となし、この化合物(XIV)を再
度閉環することによって、本発明の6位置換化合物(I
−3)を製造することができる。
【0048】化合物(X)と(III)から化合物(XI)
を製するには、反応式(B)で示した化合物(II)と
(III)から化合物(IV−1)へ導びくのと類似した反
応で実施することができる。すなわち、酢酸中又は酢酸
と適当な溶媒、例えばジメチルホルムアミド、トルエ
ン、キシレン、イソプロパノール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、エタノール等との混合溶媒中、無触媒
又はトリフルオロボラン等のルイス酸等の触媒の存在
下、化合物(X)と(III)とを反応させる。
【0049】化合物(XI)から(XII)を製するには、
化合物(XI)に塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化
リン、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素等のハロゲ
ン化剤を、無溶媒又はテトラクロロエタン、エチレンジ
クロライド、クロロホルム、トリクロロエチレン、ベン
ゼン、クロロベンゼン等の溶媒中、加熱反応させる。こ
の際、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ピリ
ジン、ジメチルアニリン、ジメチルホルムアミド等の触
媒を使用することもできる。
【0050】化合物(XII)から(XIII)を製するに
は、化合物(XII)とアミン類を、メタノール、エタノ
ール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
イソプロパノール等の溶媒中で反応させる。このとき炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、過剰
のアミン類、ピリジン等の脱酸剤を存在させることがで
きる。なお、この反応においては反応条件により更に反
応が進行し、閉環された化合物(I−2)も生成する場
合がある。化合物(XIII)から(I−2)を製するに
は、エステル残基を加水分解した後、反応に直接の影響
を与えない適当な溶媒の存在下あるいは無溶媒下、N,
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩
酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カ
ルボジイミド(W.S.C)等の縮合剤を添加し、反応
させる。
【0051】化合物(I−2)から(XIV)への誘導
は、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール系溶媒、あるいはこれらと水との混合溶
媒中、水素化ホウ素ナトリウム等の還元試薬による還元
反応により行うことができる。最後に化合物(XIV)か
ら本発明化合物(I−3)を製するには、化合物(XI
V)をクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、トル
エン、キシレン等反応に関与しない溶媒に溶解せしめ、
塩化チオニルを添加し、化合物(XIV)のアルコール性
水酸基をハロゲン置換せしめたのち、アミノ基と閉環反
応させる。
【0052】(ii)また、6位置換化合物のラセミ体
(I−3)は、下記反応式(G)に従って製造すること
もできる。
【0053】
【化9】
【0054】(式中、R1 、R4 、R5 、R6 及びXは
前記と同じものを示す)
【0055】すなわち、上記反応式(F)で示した方法
で得られる化合物(XI)を還元して6−(2−ヒドロキ
シエチル)−5−メチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリ
ミジン−7(4H)−オン類(IV−2)となし、次いで
これをハロゲン化して7−ハロ−6−(2−ハロエチ
ル)−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類
(V−2)となし、更にこれにアミン類を反応せしめる
ことにより、本発明の6位置換化合物(I−3)を製造
することができる。
【0056】化合物(XI)から化合物(IV−2)を製す
るには、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶
媒中、化合物(XI)に水素化リチウムアルミニウム等の
水素化金属化合物を反応させる。この際、反応液にシリ
カゲルを添加することが好ましい。化合物(IV−2)か
ら化合物(V−2)を経て本発明化合物(I−3)を得
るには、上記反応式(B)において示した化合物(IV−
1)から化合物(I−1)へ誘導した方法に準じて行う
ことができる。
【0057】(2)光学活性体の製造法 光学活性な6位置換化合物は、例えば化合物(XI)を出
発原料として、下記反応式(H)に従って製造すること
ができる。
【0058】
【化10】
【0059】(式中、R1 、R4 、R5 及びXは前記と
同じものを示す)
【0060】すなわち、上記反応式(F)に示す方法で
得られる化合物(XI)を加水分解して得られるカルボン
酸誘導体に、光学活性な(R)−(+)−乳酸メチルを
縮合させて(1R)−1−メトキシカルボニルエチル
2−〔5−メチル−7(4H)−オキソピラゾロ[1,
5−a]ピリミジン−6−イル〕プロピオナート類の2
種のジアステレオ異性体を製し、この異性体のそれぞれ
を分離した後還元して、反応式(G)において示した化
合物(IV−2)のエナンチオ異性体(IV−2a)を得、
この2種のエナンチオ異性体を原料として、前記反応式
(G)に示す方法に従って、それぞれ反応させることに
より、本発明の光学活性な6位置換化合物(I−3a)
を製造することができる。
【0061】化合物(XI)の加水分解は、例えばメタノ
ール、エタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒド
ロフラン等の溶媒中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を用いて行うこ
とができる。ここで得られるカルボン酸誘導体と(R)
−(+)−乳酸メチルとの縮合反応は、例えばジメチル
ホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロ
ロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中、N,N′−ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩酸1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド(W.S.C)等の縮合剤の存在下で行うことができ
る。この際、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、ジメチルアミノピリジン等の触媒を使用するこ
ともできる。上記反応で得られたジアステレオ混合物
は、通常行われる分離精製手段、例えばカラムクロマト
グラフィー等に付すことによって2種のジアステレオ異
性体に分離することができる。
【0062】分離された2種のジアステレオ異性体の還
元反応は、前記反応式(G)で示した化合物(XI)から
化合物(IV−2)への還元反応に準じて行うことができ
る。また、この還元反応によって得られる2種のエナン
チオ異性体(IV−2a)は、前記反応式(B)において
示した、化合物(IV−1)から化合物(I−1)へ誘導
する方法に準じて、目的とする光学活性な化合物(I−
3a)に誘導することができる。
【0063】上記した反応式(B)〜(H)で示した方
法を適宜組合せることにより、本発明化合物(I)を収
率よく得ることができるが、得られた本発明化合物
(I)は、薬物学的に許容される無機又は有機酸の塩と
することができ、更にアルキルヨーダイド等と反応させ
て四級アンモニウム塩とすることもできる。
【0064】本発明化合物(I)は医薬としてヒトに投
与する場合、年齢及び症状等によっても異なるが、その
有効量、例えば、通常1日に10〜100mgを1〜3回
に分けて経口投与するのが好ましい。
【0065】本発明の循環器系疾患治療剤は種々の剤
型、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤、液剤
等の経口投与剤とすることができる。上記製剤化は、自
体公知の方法によってなし得る。すなわち、本発明化合
物(I)をデンプン、マンニトール、乳糖等の賦形剤;
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプ
ロピルセルロース等の結合剤;結晶セルロース、カルボ
キシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、
ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸
等の流動性向上剤等を適宜組み合せて処方することによ
り錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はトローチ剤を製
造することができる。
【0066】
【実施例】次に実施例及び試験例を挙げて本発明を説明
する。
【0067】実施例1:7位置換化合物(1) (1)ナトリウム25gを溶解した無水メタノール溶液
700mlに、アセト酢酸エチル138ml及びプロピレン
オキサイド75mlを加えて、室温で2日攪拌する。次い
で溶媒を留去して、得られる固体を水に溶解する。この
水溶液に50%硫酸水溶液を加えて酸性とした後、ベン
ゼンで抽出する。抽出液を水洗してNa2SO4で乾燥し
た後、溶媒を減圧下留去する。残留微黄色液体を減圧蒸
留に付し、沸点110〜115℃(6mmHg)の無色液体
であるα−アセチル−γ−バレロラクトン〔(II)式
中、R2=CH3、R3=H〕95.7g(収率62%)
を得た。
【0068】1H-NMR(CDCl3) δ;1.42(1.5H,d,J=5.9Hz),
1.44(1.5H,d,J=6.3Hz),1.82-1.96(0.5H,m), 2.35-2.44
(1H,m), 2.43(1.5H,s),2.47(1.5H,s), 2.82-2.91(0.5H,
m), 3.73-3.80(1H,m),4.57-4.72(1H,m).
【0069】(2)上記(1)で得られた化合物(II)
〔R2=CH3、R3=H〕25g、3−アミノ−4−シ
アノピラゾール(III)11g、BF3−2酢酸試薬1m
l、トルエン100ml及び酢酸100mlを混合し、13
0〜135℃にて12時間脱水還流する。反応液を室温
まで戻した後、クロロホルムを加えて生じる不溶物をセ
ライトで濾去する。得られた溶液を水及び炭酸ナトリウ
ム水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減
圧下留去して淡橙紅色油状物を46g得る。この油状物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n
−ヘキサン−メチルエチルケトン)に付し、融点206
℃の白色結晶である6−(2−アセトキシプロピル)−
3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミ
ジン−7(4H)−オン11.4g(収率23.7%)
を得た。
【0070】1H-NMR(DMSO-d6)δ;1.22(3H,d,J=6.2Hz),
1.93(3H,s),2.42(3H,s),2.69(1H),2.78(1H),4.99(1H,
m),8.33(1H,s),13.14(1H,brs).
【0071】(3)上記(2)で得られた6−(2−ア
セトキシプロピル)−3−シアノ−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン 1.3
g、水酸化ナトリウム250mg及びメタノール60mlを
混合し、2時間加熱還流する。反応液を室温まで戻した
後、酢酸を加えて弱酸性とし、溶媒を減圧下留去する。
得られた残留物をアルミナカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒;ジクロロメタン−メタノール)に付し、融
点248〜250℃の微黄色結晶である3−シアノ−6
−(2−ヒドロキシプロピル)−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン〔(IV−
1)式中、R2=CH3、R3=H〕1.1g(収率9
9.9%)を得た。
【0072】1H-NMR(DMSO-d6)δ;1.09(3H,d,J=6.3Hz),
2.39(3H,s), 2.41-2.60(2H,m),3.79-3.83(1H,m), 4.55
(1H,brs), 8.34(1H,s),13.02(1H,s).
【0073】(4)上記(3)で得られた化合物(IV−
1)〔R2=CH3、R3=H〕1.1g、オキシ塩化リ
ン10ml及びトリエチルアミン0.5mlを混合し、3時
間、135℃で加熱還流する。反応液を室温まで戻した
後、氷水中に投入し、飽和炭酸カリウム水溶液で中和し
てクロロホルムで抽出する。抽出液を水洗してNa2
4で乾燥し、この溶液をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出溶媒;クロロホルム−酢酸エチル)に付
し、黄緑色結晶である7−クロロ−6−(2−クロロプ
ロピル)−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン〔(V−1)式中、R2=CH3、R3
H、X=Cl〕1.1g(収率85.7%)を得た。
【0074】1H-NMR(CDCl3)δ;1.71(3H,d,J=6.5Hz),2.8
2(3H,s),3.28-3.37(2H,m),4.40(1H,m),8.39(1H,s).
【0075】(5)上記(4)で得られた化合物(V−
1)〔R2=CH3、R3=H、X=Cl〕1.35g、
tert−ブチルアミン6ml、トリエチルアミン1.2
ml及び無水ジメチルホルムアミド20mlを混合し、封管
中90〜95℃で10時間加熱攪拌する。反応液をその
まま室温で5日間放置し、管底部に析出する結晶を濾取
し、この結晶をイソプロピルアルコールで洗浄する。更
に、濾液及び洗液を合わせて、溶媒を減圧下留去し、先
に得た結晶と同様な黄緑色結晶を得る。これらの結晶を
クロロホルム40mlに溶解して、この溶液を希食塩水で
洗浄しNa2SO4で乾燥する。溶媒を減圧下留去して得
られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
付し(溶出溶媒;クロロホルム−酢酸エチル)、融点2
23℃の淡黄色結晶である本願発明の8−tert−ブ
チル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチ
ル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1=C(C
33、R2=CH3、R3=H〕0.75g(収率5
5.6%)を得た。
【0076】1H-NMR(CDCl3)δ;1.30(3H,d,J=6.5Hz),1.7
2(9H,s),2.40(3H,s),2.51(1H,dd,J=14.9,1.4Hz),3.27(1
H,dd,J=14.9,9.5Hz),4.51(1H,m),8.14(1H,s).
【0077】実施例1に記載した方法に準じて、以下の
7位置換化合物(2)〜(10)を製造した。
【0078】実施例2:7位置換化合物(2) 3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8
−(1−メチルエチル)−8H−ピロロ[3,2−e]
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、
1=CH(CH32、R2=CH3、R3=H〕(融点1
95℃、収率50%)
【0079】1H-NMR(CDCl3)δ;1.33(3H,d,J=7.0Hz),1.4
3(3H,d,J=6.8Hz),1.45(3H,d,J=7.0Hz),2.39(3H,s),2.64
(1H,dd,J=15.4,4.1Hz),3.38(1H,dd,J=15.4,10.5Hz),4.3
6(1H,m),5.53(1H,m),8.13(1H,s).
【0080】実施例3:7位置換化合物(3) 3−シアノ−8−シクロペンチル−6,7−ジヒドロ−
5,7−ジメチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾ
ロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1
シクロペンチル、R2=CH3、R3=H〕(融点178
℃の白色結晶、収率78.8%)
【0081】1H-NMR(CDCl3)δ;1.41(3H,d,J=6.2Hz),1.5
5-1.95(8H,m),2.39(3H,s),2.65(1H,dd,J=15.1,3.8Hz),
3.38(1H,dd,J=15.1,10.5Hz),4.32(1H,m),5.43(1H,m),8.
13(1H,s).
【0082】実施例4:7位置換化合物(4) 8−アリル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−
ジメチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,
5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1 =CH2
H=CH2、R2 =CH3、R3 =H〕(融点141℃の
白色結晶、収率70%)
【0083】1H-NMR(CDCl3)δ;1.44(3H,d), 2.43(3H,
s), 2.74(1H,dd), 3.38(1H,dd),4.22(2H,m), 5.33(3H,
m), 5.82(1H,m), 8.13(1H,s).
【0084】実施例5:7位置換化合物(5) 3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8
−プロパルギル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1 =C
2C≡CH、R2 =CH3、R3 =H〕(融点204℃
の白色結晶、収率75%)
【0085】1H-NMR(CDCl3)δ;1.49(3H,d), 2.27(1H,
t), 2.47(3H,s), 2.77(1H,q),3.41(1H,q), 4.28(2H,d
d), 4.43(1H,m), 5.82(1H,dd),8.18(1H,s).
【0086】実施例6:7位置換化合物(6) 3−シアノ−6,7−ジヒドロ−7−エチル−5−メチ
ル−8−tert−ペンチル−8H−ピロロ[3,2−
e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式
中、R1 =C(CH32CH2CH3、R2 =CH2
3、R3 =H〕(融点153℃の黄色結晶、収率6
7.1%)
【0087】1H-NMR(CDCl3)δ;0.88(3H,t), 0.93(3H,
t), 1.56(3H,s), 1.70(1H,m),1.76(1H,t), 2.43(3H,s),
2.55(2H,m), 2.66(1H,d),3.20(1H,q), 4.25(1H,t), 8.
12(1H,s).
【0088】実施例7:7位置換化合物(7) 7−〔(2−プロペン−1−イル)オキシメチル〕−3
−シアノ−6,7−ジヒドロ−5−メチル−8−ter
t−ペンチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1 =C
(CH32CH2CH3 、R2 =−CH2OCH2CH=
CH2、R3 =H〕
【0089】1H-NMR(CDCl3)δ;0.75(3H,t), 1.53(3H,
s), 1.66(3H,s), 1.76(2H,m),2.34(3H,s), 2.40(1H,m),
2.76(1H,d), 3.15(1H,t),3.20(1H,q), 3.43(1H,q), 3.
90(2H,d), 4.46(1H,q),5.14(2H,q), 5.78(1H,m), 8.04
(1H,s).
【0090】実施例8:7位置換化合物(8) 7−〔(2−プロペン−1−イル)オキシメチル〕−8
−tert−ブチル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−
5−メチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン〔(I−1)式中、R1 =C
(CH33、R2 =−CH2OCH2CH=CH2、R3
=H〕
【0091】1H-NMR(CDCl3)δ;1.71(3H,s), 2.42(3H,
s), 2.86(1H,d), 3.15-3.33(1H,m),3.50(1H,q), 3.96(2
H,t), 4.57(1H,q), 5.26(2H,m),8.17(1H,s).
【0092】実施例9:7位置換化合物(9) 3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5−メチル−7−メト
キシメチル−8−tert−ペンチル−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
〔(I−1)式中、R1 =C(CH32CH2CH3、R
2 =CH2OCH3、R3 =H〕(微黄色結晶、収率89
%)
【0093】1H-NMR(CDCl3)δ;0.82(3H,t), 1.57(3H,
s), 1.74(3H,s),1.82(1H,quintet), 2.43(3H,s), 2.48
(1H,quintet),2.84(1H,dd), 3.18(1H,dd), 3.24(1H,d
d), 3.35(3H,s),3.44(1H,dd), 4.48(1H,m),8.14(1H,s).
【0094】実施例10:7位置換化合物(10) 3−シアノ−6,7−ジヒドロ−8−tert−ブチル
−7−メトキシメチル−5−メチル−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
〔(I−1)式中、R1 =C(CH33、R2 =CH2
OCH3、R3 =H〕(微黄色結晶、収率85%)
【0095】1H-NMR(CDCl3)δ;1.70(9H,s), 2.42(3H,
s), 2.82(1H,dd), 3.18(1H,dd),3.25(1H,dd), 3.35(1H,
s), 3.44(1H,dd), 4.53(1H,m),8.15(1H,s).
【0096】実施例11:光学活性な7位置換化合物 (1)ナトリウム597mgを溶解した無水メタノール溶
液15mlに、アセト酢酸エチル3.3ml及び(S)−プ
ロピレンオキサイド2mlを加え、室温で40時間攪拌す
る。反応終了後、溶媒を減圧下留去して得られる残渣に
適当量の氷水を加える。濃塩酸を用いてこの溶液のpHを
4〜5とした後、塩化メチレンで抽出する。抽出液を
水、飽和食塩水で洗浄し、MgSO4 で乾燥した後、溶
媒を減圧下留去する。得られる残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エ
チル)に付し、無色油状物である(S)−α−アセチル
−γ−バレロラクトン〔(IIa)式中、R2 =H、R3
=CH3〕2.033g(収率55%)を得た。得られ
た化合物の沸点、NMRスペクトルは、前記実施例1
(1)で得られた化合物のものと完全に一致した。
【0097】(2)上記(1)で得られた化合物(II
a)〔R2 =H、R3 =CH3 〕1.933g、3−ア
ミノ−4−シアノピラゾール(III)0.9g及びBF3
−エーテル錯体0.08mlを、酢酸16ml及びトルエン
16mlの混合溶媒に溶解し、この溶液を終夜加熱還流す
る。反応液を室温まで戻した後、溶媒を減圧下留去して
得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒;クロロホルム−メタノール)に付し、淡黄
白色固体である6−〔(2R)−2−アセトキシプロピ
ル〕−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]
ピリミジン−7(4H)−オン〔(VIa)式中、R2
CH3、R3 =H〕1.787g(収率78%)を得
た。得られた化合物の融点、NMRスペクトルは、前記
実施例1(2)で得られた化合物のものと完全に一致し
た。
【0098】(3)上記(1)に記載した方法に準じ
て、(R)−プロピレンオキサイド1mlを用いて無色油
状物である(R)−α−アセチル−γ−バレロラクトン
〔(IIa)式中、R2 =CH3、R3 =H〕1.46g
(収率79%)を得た。得られた化合物の融点、NMR
スペクトルは、前記実施例1(1)で得られた化合物の
ものと完全に一致した。
【0099】(4)上記(3)で得られた化合物(II
a)〔R2 =CH3、R3 =H〕1.46g及び3−ア
ミノ−4−シアノピラゾール(III)0.822gのエ
タノール1.5ml懸濁液に、BF3−メタノール錯体7
6μl を加え、室温下で18時間攪拌する。反応液の溶
媒を減圧下留去して得られる残渣に酢酸エチル6mlを加
え、析出する結晶を濾取し乾燥して、淡黄白色固体であ
る3−〔1−((5R)−テトラヒドロ−2−オキソ−
5−メチル−3−フリルデン)エチルアミノ〕−4−シ
アノピラゾール1.5g(収率85%)を得た。
【0100】1H-NMR(CDCl3)δ;1.43(3H,d,J=6.2Hz), 2.
21(3H,s),2.50(1H,dd,J=14.6,6.1Hz),3.06(1H,dd,J=14.
6,8.2Hz), 4.64-4.76(1H,m),7.92(1H,s), 10.26(1H,s),
11.07(1H,brs).
【0101】(5)上記(4)で得られた化合物1.5
gを水3.2mlに懸濁し、この懸濁液にトリエチルアミ
ン5.0mlを加え、室温下で16時間攪拌する。反応液
に6N−塩酸を加えてpH4とし、析出する無色結晶を濾
取し、無色固体である3−シアノ−6−〔(2R)−2
−ヒドロキシプロピル〕−5−メチルピラゾロ[1,5
−a]ピリミジン−7(4H)−オン 935mg(収率
62%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトル
は、前記実施例1(3)で得られた化合物のものと完全
に一致した。
【0102】(6)上記(5)で得られた化合物0.8
gのジクロロメタン8ml懸濁液に無水酢酸0.42ml、
トリエチルアミン0.53ml及びジメチルアミノピリジ
ン42mgを順次加え、室温下2時間攪拌する。反応液を
2規定塩酸及び水で洗浄した後、MgSO4 で乾燥し、
溶媒を減圧下留去して得られる残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エ
チル)に付し、淡黄白色結晶である6−〔(2R)−2
−アセトキシプロピル〕−3−シアノ−5−メチルピラ
ゾロ[1,5−a]ピリミジン−7(4H)−オン
〔(VIa)式中、R2=CH3、R3 =H〕0.9g(収
率95%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトル
は、前記実施例1(2)で得られたものと完全に一致し
た。
【0103】(7)上記(2)で得られた化合物(VI
a)〔R2 =CH3、R3 =H〕0.9g、オキシ塩化
リン1.5ml及びトリエチルアミン0.46mlを混合
し、130℃で2時間加熱還流する。反応液を室温まで
戻した後、氷水中に投入し、炭酸カリウム水溶液で中和
してクロロホルムで抽出する。抽出液を水洗してMgS
4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去する。得られる残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;
n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、淡黄白色固体であ
る6−〔(2R)−2−アセトキシプロピル〕−7−ク
ロロ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]
ピリミジン〔(VIIa)式中、R2 =CH3、R3 =H、
X=Cl〕865mg(収率90%)を得た。
【0104】1H-NMR(CDCl3)δ;1.42(3H,d,J=6.3Hz), 1.
96(3H,s), 2.81(3H,s),3.08(1H,dd,J=5.0,14.5Hz), 3.2
1(1H,dd,J=9.2,14.5Hz),5.18-5.30(1H,m), 8.37(1H,s).
【0105】(8)上記(7)で得られた化合物(VII
a)〔R2 =CH3、R3 =H、X=Cl〕865mg、
t−ブチルアミン1.55ml及びトリエチルアミン0.
41mlをジメチルホルムアミド10mlに溶解し、この溶
液を90℃で2時間攪拌する。反応液を室温まで戻した
後、溶媒を減圧下留去して、得られる残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−
酢酸エチル)に付し、淡黄白色結晶である6−〔(2
R)−2−アセトキシプロピル〕−7−tert−ブチ
ルアミノ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン〔(VIIIa)式中、R1 =C(C
33、R2 =CH3、R3 =H〕876mg(収率90
%)を得た。
【0106】1H-NMR(CDCl3)δ;1.32(3H,d,J=6.3Hz), 1.
56(9H,s), 2.05(3H,s),2.62(3H,s), 2.91(1H,dd,J=6.9,
15.2Hz),2.99(1H,dd,J=6.9,15.2Hz), 4.95(1H,dq,J=6.
3,6.9Hz),5.72(1H,s), 8.19(1H,s).
【0107】(9)上記(8)で得られた化合物(VIII
a)〔R1 =C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕
767mgのメタノール11.5ml溶液に、水酸化カリウ
ム308mgの水溶液1.5mlを加え、室温にて7時間攪
拌する。反応液を2規定塩酸で中和し、溶媒を減圧下留
去して得られる残渣を酢酸エチルで抽出する。抽出液を
飽和食塩水で洗浄した後、MgSO4 で乾燥し、溶媒を
減圧下留去して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)
に付し、淡黄白色固体である6−〔(2R)−2−ヒド
ロキシプロピル〕−7−tert−ブチルアミノ−3−
シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
〔(IXa)式中、R1 =C(CH33、R2 =CH3
3 =H〕532mg(収率90%)を得た。
【0108】1H-NMR(CDCl3)δ;1.37(3H,d,J=6.3Hz), 1.
52(9H,s), 2.53(3H,s),2.74(1H,dd,J=8.7,15.2Hz), 2.8
6(1H,dd,J=2.3,15.2Hz),4.14-4.19(1H,m), 6.58(1H,s),
8.15(1H,s).
【0109】(10)上記(8)で得られた化合物(VI
IIa)〔R1 =C(CH33、R2=CH3、R3 =H〕
876mgのメタノール−テトラヒドロフラン(3:1)
混合溶液10mlに炭酸カリウム1.1gを加え、室温下
30分間攪拌する。反応液中に析出する塩を濾去した
後、溶媒を減圧下留去する。得られる残渣を酢酸エチル
に溶解し、この溶液を2規定塩酸、水で洗浄した後Mg
SO4 で乾燥する。溶媒を減圧下留去して得られる残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n
−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、淡黄白色固体である
6−〔(2R)−2−ヒドロキシプロピル〕−7−te
rt−ブチルアミノ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン〔(IXa)式中、R1 =C
(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕688mg(収率
90%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトル
は、上記(9)で得られた化合物のものと完全に一致し
た。
【0110】(11)上記(9)で得られた化合物(IX
a)〔R1 =C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕
366mgのジクロロメタン4ml懸濁液を−30℃まで冷
却し、これに塩化メタンスルホニル0.13ml及びトリ
エチルアミン0.23mlを加え、同温度にて1.5時間
攪拌する。反応液に飽和塩化アンモニウム水を加えてジ
クロロメタンで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄した
後、MgSO4 で乾燥する。溶媒を減圧下留去して得ら
れる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、淡黄白色固
体である6−〔(2R)−2−メタンスルホニルオキシ
プロピル〕−7−tert−ブチルアミノ−3−シアノ
−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン460
mg(収率98.8%)を得た。
【0111】1H-NMR(CDCl3)δ;1.49(3H,d,J=6.3Hz), 1.
53(9H,s), 2.65(3H,s),2.84(3H,s), 3.07-3.22(2H,m),
4.89-4.99(1H,m),5.40(1H,brs), 8.20(1H,s).
【0112】(12)上記(11)で得られた化合物4
00mgのジメチルホルムアミド4ml溶液にトリエチルア
ミン0.16mlを加え、90℃にて2.5時間攪拌す
る。反応液の溶媒を減圧下留去して得られる残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキ
サン−酢酸エチル)に付し、無色固体である本願発明の
(7S)−8−tert−ブチル−3−シアノ−6,7
−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8H−ピロロ[3,2
−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1
a)式中、R1 =C(CH33、R2 =H、R3 =CH
3 〕294mg(収率99.7%)を得た。得られた化合
物のNMRスペクトルは、前記実施例1(5)で得られ
た化合物のものと完全に一致した。また、得られた化合
物は(+)の旋光性を示し、この光学純度は80%e.e.
以上(液体クロマトグラフィー法による)であった。
【0113】実施例12:光学活性な7位置換化合物
(光学分割法) (1)前記実施例1(3)で得られた化合物(IV−1)
〔R2 =CH3、R3 =H〕3g、カルボベンジルオキ
シ(Cbz)−L−アラニン4.32g、塩酸1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド(W.S.C)3.72g及びジメチルアミノピリジ
ン78mgをジメチルホルムアミド21ml及びジクロロメ
タン30mlの混合溶媒に溶解し、室温下で終夜攪拌す
る。反応液の溶媒を減圧下留去して得られる残渣を酢酸
エチルで抽出し、水、飽和重ソウ水、飽和食塩水で順次
洗浄した後、MgSO4 で乾燥する。溶媒を減圧下留去
して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶出溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、以
下の2種のジアステレオ異性体を単離した。
【0114】(a)6−〔(2R)−2−(N−ベンジ
ルオキシカルボニル−L−アラニルオキシ)プロピル〕
−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリ
ミジン−7(4H)−オン;無色結晶
【0115】1H-NMR(CDCl3)δ;1.34(3H,d,J=6.6Hz), 1.
34(3H,d,J=6.6Hz), 2.52(3H,s),2.71-2.80(1H,m), 2.97
-3.00(1H,m), 4.20-4.26(1H,m),5.00及び5.06(2H,ABq,J
=12.2Hz), 5.24(1H,brs),5.50(1H,d,J=7.3Hz), 7.28(5
H,s), 7.94(1H,s).
【0116】(b)6−〔(2S)−2−(N−ベンジ
ルオキシカルボニル−L−アラニルオキシ)プロピル〕
−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリ
ミジン−7(4H)−オン;無色結晶
【0117】1H-NMR(CDCl3)δ;1.31(3H,d,J=6.9Hz), 1.
34(3H,d,J=6.6Hz), 2.54(3H,s),2.8-3.0(2H,m), 4.2-4.
4(1H,m), 5.07(2H,s),5.12-5.18(1H,m), 5.49(1H,d,J=
7.3Hz), 7.31(5H,s),7.92(1H,s).
【0118】(2)上記(1)で得られた化合物(a)
26.2gのエタノール200ml溶液に、氷冷下1規定
水酸化ナトリウム水溶液150mlを加え、0℃で4時間
攪拌する。反応液に1規定塩酸90mlを加えて酸性とし
た後、溶媒を減圧下留去して得られる残渣にメタノール
50mlを加えて析出する塩を濾去する。濾液の溶媒を減
圧下留去して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に
付し、無色結晶である6−〔(2R)−2−ヒドロキシ
プロピル〕−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5
−a]ピリミジン−7(4H)−オン〔(IV−1a)式
中、R2 =CH3、R3 =H〕12.8g(収率92
%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトルは、前
記実施例1(3)で得られた化合物のものと完全に一致
した。
【0119】(3)上記(2)で得られた化合物(IV−
1a)〔R2 =CH3、R3 =H〕1.495g及びト
リフェニルホスフィン3.38gのテトラヒドロフラン
45ml溶液に四塩化炭素8.5mlを加え、80℃で2時
間加熱還流する。反応液の溶媒を減圧下留去して得られ
る残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、淡黄白色結晶
である6−〔(2R)−2−クロロプロピル)−3−シ
アノ−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−
7(4H)−オン 1.47g(収率91%)を得た。
【0120】1H-NMR(CDCl3)δ;1.64(3H,d,J=6.3Hz), 2.
54(3H,s),2.81(1H,dd,J=9.6,14.2Hz), 3.13(1H,dd,J=3.
6,14.2Hz),4.4-4.6(1H,m), 8.03(1H,s).
【0121】(4)上記(3)で得られた化合物1.4
7gをオキシ塩化リン4.5mlに溶解し、この溶液に氷
冷下トリエチルアミン0.83mlを加え、130℃で2
時間加熱還流する。反応液を室温まで戻した後、氷水中
に投入し、炭酸カリウム水溶液で中和してクロロホルム
で抽出する。抽出液を水洗してMgSO4 で乾燥した
後、溶媒を減圧下留去する。得られる残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−
酢酸エチル)に付し、淡黄白色結晶である6−〔(2
R)−2−クロロプロピル〕−7−クロロ−3−シアノ
−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(V
−1a)式中、R2 =CH3、R3 =H、X=Cl〕
0.983g(収率67%)を得た。得られた化合物の
NMRスペクトルは、前記実施例1(4)で得られた化
合物のものと完全に一致した。
【0122】(5)上記(4)で得られた化合物(V−
1a)〔R2 =CH3、R3 =H、X=Cl〕0.98
3gを用い、前記実施例1(5)に記載した方法に準じ
て、無色結晶である本願発明の(7S)−8−tert
−ブチル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジ
メチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5
−a]ピリミジン〔(I−1a)式中、R1 =C(CH
33、R2 =H、R3 =CH3 〕683mg(収率69
%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトルは、前
記実施例1(5)で得られた化合物のものと完全に一致
した。また、得られた化合物は(+)の旋光性を示し、
この光学純度は96%e.e.以上(液体クロマトグラフィ
ー法による)であった。
【0123】(6)上記(1)で得られた化合物(b)
2.1gを用い、上記(2)〜(5)に記載した方法に
準じて、無色固体である本願発明の(7R)−8−te
rt−ブチル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7
−ジメチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン〔(I−1a)式中、R1
C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕756mg(化
合物(b)からの総収率46.5%)を得た。得られた
化合物のNMRスペクトルは、前記実施例1(5)で得
られた化合物のものと完全に一致した。また、得られた
化合物は(−)の旋光性を示し、この光学純度は99%
e.e.以上(液体クロマトグラフィー法による)であっ
た。
【0124】実施例13:光学活性な7位置換化合物
(酵素法) (1)前記実施例1(2)で得られた化合物(VI)〔R
2 =CH3、R3 =H〕15.54gを用い、前記実施
例11(7)及び(8)に記載した方法に準じて、淡黄
白色固体である6−(2−アセトキシプロピル)−7−
tert−ブチルアミノ−3−シアノ−5−メチルピラ
ゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(VIII)式中、R1
C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕14.13g
(化合物(VI)からの総収率75.7%)をラセミ混合
物として得た。得られた化合物のNMRスペクトルは、
前記実施例11(8)で得られたものと完全に一致し
た。
【0125】(2)カンジダ・ルゴーザ(Candid
a rugosa)由来の「リパーゼAY−30」(天
野製薬(株)製)500mgを水1mlに溶解する。この溶
液に、セライト(No.535、Johns−Manv
ille社製)1.3gを加え、懸濁液が均一となるま
で攪拌してリパーゼ溶液を得た。次に上記(1)で得ら
れた化合物100mg、上記で得られたリパーゼ溶液、イ
ソプロピルエーテル7ml、トルエン3ml及びn−ブタノ
ール0.1mlを混合し、37〜40℃で4日間振とうす
る。反応液からセライトを濾取し、これを酢酸エチル1
0mlで洗浄する。濾液に洗液を合せて、減圧下濃縮した
ものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、淡黄白色結晶
である6−〔(2R)−2−アセトキシプロピル)−7
−tert−ブチルアミノ−3−シアノ−5−メチルピ
ラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(VIIIa)式中、R
1 =C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕46.1m
g(収率46.1%)及び無色固体である6−〔(2
S)−2−ヒドロキシプロピル)−7−tert−ブチ
ルアミノ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン〔(IXa)式中、R1 =C(CH33
2 =H、R3 =CH3 〕47.0mg(収率53.9
%)を得た。得られた化合物のNMRスペクトルは、そ
れぞれ前記実施例11(8)及び(9)で得られたもの
と完全に一致した。
【0126】(3)上記(2)で得られた化合物(VIII
a)〔R1 =C(CH33、R2 =CH3、R3 =H〕
を用い、前記実施例11(9)、(11)及び(12)
に記載の方法に準じて、無色固体である本願発明の(7
S)−8−tert−ブチル−3−シアノ−6,7−ジ
ヒドロ−5,7−ジメチル−8H−ピロロ[3,2−
e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1a)
式中、R1 =C(CH33、R2 =H、R3 =CH3
を得た(化合物(VIIIa)からの総収率64.7%)。
得られた化合物のNMRスペクトルは、前記実施例1
(5)で得られた化合物のものと完全に一致した。ま
た、得られた化合物は(+)の旋光性を示し、この光学
純度は95%e.e.以上(液体クロマトグラフィー法によ
る)であった。
【0127】(4)上記(2)で得られた化合物(IX
a)〔R1 =C(CH33、R2 =H、R3 =CH3
を用い、前記実施例11(11)及び(12)に記載の
方法に準じて、無色固体である本願発明の(7R)−8
−tert−ブチル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−
5,7−ジメチル−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾ
ロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−1a)式中、R1
=C(CH33、R2 =CH3 、R3 =H〕を得た(化
合物(IXa)からの総収率74.6%)。得られた化合
物のNMRスペクトルは、前記実施例1(5)で得られ
た化合物のものと完全に一致した。また、得られた化合
物は(−)の旋光性を示し、この光学純度は95%e.e.
以上(液体クロマトグラフィー法による)であった。
【0128】実施例14:6位置換化合物 (1)ジエチル 2−アセチル−3−メチルスクシナー
ト〔(X)式中、R4=CH3、R5=H、R6=R7=C
2CH3〕69gを酢酸150mlに溶解し、3−アミノ
−4−シアノピラゾール(III)64.8gを加えて7
時間加熱還流する。反応液を室温まで戻した後、水80
0mlに投入してクロロホルムで抽出する。抽出液をMg
SO4で乾燥し、溶媒を減圧下留去して得られた残留物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;エ
タノール−クロロホルム)に付し、n−ヘキサン−酢酸
エチルの混合溶液から結晶化を行い、融点114〜11
7℃の微黄白色結晶であるエチル 2−〔3−シアノ−
5−メチル−7(4H)−オキソピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン−6−イル〕プロピオナート〔(XI)式
中、R4=CH3、R5=H、R6=CH2CH3〕38.8
1g(収率47.2%)を得た。
【0129】1H-NMR(CDCl3)δ;1.24(3H,t,J=7.0Hz), 1.
52(3H,d,J=7.6Hz),2.51(3H,s), 3.90(1H,q,J=7.6Hz),
4.18(2H,m),8.00(1H,s), 12.22-12.26(1H,m).
【0130】(2)上記(1)で得られた化合物(XI)
〔R4=CH3、R5=H、R6=CH2CH3〕38.81
gにオキシ塩化リン130ml及びトリエチルアミン13
mlを加えて、攪拌しながら6時間加熱還流する。反応液
を室温まで戻し、オキシ塩化リンを留去した後、氷水1
200mlに投入する。この水溶液を粉末炭酸水素ナトリ
ウムでアルカリ性とし、クロロホルムで抽出する。抽出
液をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下留去して得られ
た残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶媒;メタノール−クロロホルム及びn−ヘキサン−酢
酸エチル)に付し、淡黄色油状物であるエチル 2−
(7−クロロ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,
5−a]ピリミジン−6−イル)プロピオナート〔(XI
I)式中、R4=CH3、R5=H、R6=CH2CH3、X
=Cl〕30.65g(収率74.0%)を得た。
【0131】1H-NMR(CDCl3)δ;1.24(3H,t,J=7.3Hz), 1.
61(3H,d,J=7.3Hz), 2.70(3H,s),4.23(2H,q,J=7.3Hz),
4.27(1H,q,J=7.3Hz), 8.40(1H,s).
【0132】(3)上記(2)で得られた化合物(XI
I)〔R4=CH3、R5=H、R6=CH2CH3、X=C
l〕6.94g、tert−ブチルアミン4.34g及
びイソプロパノール30mlを混合し、8時間加熱還流す
る。反応液を室温まで戻した後、減圧下溶媒を濃縮して
これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。得られ
た溶液をクロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄して
MgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去する。得ら
れる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、融点12
6〜130℃の白色結晶であるエチル 2−(7−te
rt−ブチルアミノ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン−6−イル)プロピオナート
〔(XIII)式中、R1=C(CH33、R4=CH3、R5
=H、R6=CH2CH3〕3.77g(収率48.3
%)と、融点175〜182℃の微黄白色結晶である8
−tert−ブチル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−
5,6−ジメチル−7−オキソ−8H−ピロロ[3,2
−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(I−2)
式中、R1=C(CH33、R4=CH3、R5=H〕2.
10g(収率31.3%)を得た。
【0133】化合物(XIII)〔R1=C(CH33、R4
=CH3、R5=H、R6=CH2CH31 H-NMR(CDCl3)δ;1.24(3H,t,J=7.3Hz), 1.54(3H,d,J=7.
3Hz), 1.55(9H,s),2.60(3H,s), 4.16-4.32(3H,m), 5.98
(1H,brs), 8.17(1H,s). 化合物(I−2)〔R1=C(CH33、R4=CH3
5=H〕1 H-NMR(CDCl3)δ;1.57(3H,d,J=7.3Hz), 1.88(9H,s),2.6
1(3H,s),3.51(1H,q,J=7.3Hz), 8.32(1H,s).
【0134】(4)上記(3)で得られた化合物(XII
I)〔R1=C(CH33、R4=CH3、R5=H、R6
CH2CH3〕3.77g、KOH1.29g、メタノー
ル 30ml及び水24.5mlを混合し、室温下2時間攪
拌する。反応液を1規定塩酸で酸性にした後、メタノー
ルを減圧下留去する。得られた水溶液に飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液を加えてpHを6〜7に調整し、食塩で飽
和した後、クロロホルムで抽出する。抽出液をMgSO
4 で乾燥した後、溶媒を減圧下留去して得られる残留物
をジオキサン40mlに溶解する。この溶液に、氷冷下攪
拌しながらN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド
2.83gを加え、室温に戻した後14時間攪拌する。
反応終了後、析出する不溶物を留去して得られる濾液の
溶媒を減圧下留去する。得られる残留物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;メタノール−クロ
ロホルム)に付し、8−tert−ブチル−3−シアノ
−6,7−ジヒドロ−5,6−ジメチル−7−オキソ−
8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピ
リミジン〔(I−2)式中、R1=C(CH33、R4
CH3、R5=H〕1.45g(収率44.7%)を得
た。得られた化合物の融点、NMRスペクトルは、前記
(3)で得られた化合物(I−2)のものと完全に一致
した。
【0135】(5)前記(3)で得られた化合物(I−
2)〔R1=C(CH33、R4=CH 3、R5=H〕3.
55gをメタノール125mlに溶解する。得られた溶液
に、氷冷下攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム1.4
3gを加えて同温度にて15分間、室温に戻して1時間
攪拌する。反応液を再び氷冷し、上記と同様に水素化ホ
ウ素ナトリウム1.43gを加えて同温度にて15分
間、更に室温に戻して1時間撹拌する。反応終了後、溶
媒を減圧下留去して得られる濃縮液に飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出する。抽
出液をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去して
得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)に付し、更に
エタノールから再結晶して、融点172〜175℃の白
色結晶である7−tert−ブチルアミノ−3−シアノ
−6−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−5−メ
チルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(XIV)式
中、R1=C(CH33、R4=CH3、R5=H〕1.5
8g(収率43.9%)を得た。
【0136】1H-NMR(CDCl3)δ;1.48(3H,d,J=7.3Hz), 1.
57(9H,s), 2.53(3H,s),3.31(1H,broad), 3.47(1H,m),
3.98(1H,m),4.05(1H,m), 7.38(1H,broad), 8.12(1H,s).
【0137】(6)上記(5)で得られた化合物(XI
V)〔R1=C(CH33、R4=CH3、R5=H〕1.
58gをジクロロメタン50mlに溶解する。得られる溶
液に塩化チオニル1.31gを加え、室温下1時間30
分撹拌する。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液
20mlを加え、室温下2時間撹拌する。反応終了後、有
機層を分離して得られる抽出液をMgSO4で乾燥した
後、溶媒を減圧下留去する。得られる残留物をイソプロ
ピルアルコールから再結晶し、融点225〜228℃の
白色結晶である本発明の8−tert−ブチル−3−シ
アノ−6,7−ジヒドロ−5,6−ジメチル−8H−ピ
ロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
〔(I−3)式中、R1=C(CH33、R4=CH3
5=H〕1.2g(収率81.0%)を得た。
【0138】1H-NMR(CDCl3)δ;1.26(3H,d,J=7.0Hz), 1.
70(9H,s), 2.44(3H,s),3.30(1H,m),3.64(1H,dd,J=10.0,
3.2Hz),4.08(1H,t,J=10.0Hz), 8.14(1H,s).
【0139】実施例15:7−オキソ化合物 (1)ジエチル 2−アセチルスクシナート〔(X)式
中、R4=R5=H、R6=R7=CH2CH3〕43.28
gを酢酸100mlに溶解し、3−アミノ−4−シアノピ
ラゾール(III)26gを加えて8時間加熱還流する。
反応液を室温まで戻した後、氷水500mlに投入してク
ロロホルムで抽出する。抽出液をMgSO4で乾燥し、
溶媒を減圧下留去して得られた残留物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶出溶媒;エタノール−クロロ
ホルム)に付し、融点216〜219℃の淡黄褐色結晶
であるエチル 〔3−シアノ−5−メチル−7(4H)
−オキソピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イ
ル〕アセタート〔(XI)式中、R4=R5=H、R6=C
2CH3〕24.21g(収率46.5%)を得た。
【0140】1H-NMR(CDCl3)δ;1.28(3H,t,J=7.0Hz), 2.
48(3H,s), 3.68(2H,s),4.19(2H,q,J=7.0Hz), 8.01(1H,
s), 12.04(1H,s).
【0141】(2)上記(1)で得られたエチル 〔3
−シアノ−5−メチル−7(4H)−オキソピラゾロ
[1,5−a]ピリミジン−6−イル〕アセタート(X
I)〔R4=R5 =H、R6 =CH2CH3〕24.1gに
オキシ塩化リン85mlを加え、撹拌しながら4時間加熱
還流する。反応液を室温まで戻し、氷水1200mlに投
入する。この水溶液を粉末炭酸ナトリウムでアルカリ性
とし、クロロホルムで抽出する。抽出液を飽和食塩水で
洗浄した後MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下留去して
得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒;エタノール−クロロホルム)に付し、融点
が106〜108℃の淡黄白色結晶であるエチル 〔7
−クロロ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン−6−イル〕アセタート〔(XII)式
中、R4=R5=H、R6=CH2CH3、X=Cl〕2
0.73g(収率80.3%)を得た。
【0142】1H-NMR(CDCl3)δ;1.30(3H,t,J=7.0Hz), 2.
72(3H,s), 3.95(2H,s),4.24(2H,q,J=7.0Hz), 8.40(1H,
s).
【0143】(3)上記(2)で得られたエチル 〔7
−クロロ−3−シアノ−5−メチルピラゾロ[1,5−
a]ピリミジン−6−イル〕アセタート(XII)〔R4
=R5=H、R6 =CH2CH3、X=Cl〕20.6
g、tert−ブチルアミン13.53g及びイソプロ
パロール80mlを混合し、5時間加熱還流する。反応液
を室温まで戻した後、減圧下溶媒を濃縮してこれに飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。得られた溶液をク
ロロホルムで抽出しMgSO4で乾燥した後、溶媒を減
圧下留去する。得られる残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出溶媒;エタノール−クロロホル
ム)に付し、融点が150〜153℃の白色結晶である
エチル 〔7−tert−ブチルアミノ−3−シアノ−
5−メチルピラゾロ[1,5−a]−ピリミジン−6−
イル〕アセタート〔(XIII)式中、R1=C(C
33、R4=R5=H、R6=CH2CH3〕22.12
g(収率95.2%)を得た。
【0144】1H-NMR(CDCl3)δ;1.32(3H,t,J=7.0Hz), 1.
52(9H,s), 2.66(3H,s),3.76(2H,s), 4.21(2H,q,J=7.0H
z), 5.85(1H,brs),8.20(1H,s).
【0145】(4)上記(3)で得られたエチル 〔7
−tert−ブチルアミノ−3−シアノ−5−メチルピ
ラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル〕アセター
ト(XIII)〔R1 =C(CH33、R4 =R5 =H、R
6 =CH2CH3〕10.0g、水酸化カリウム3.53
g、テトラヒドロフラン100ml及び水70mlを混合
し、室温下14時間撹拌する。反応液を1規定塩酸で酸
性にした後、減圧下テトラヒドロフランを留去する。得
られた水溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて
pHを6〜7に調整し、食塩で飽和した後、クロロホルム
で抽出する。抽出液をMgSO4で乾燥した後、溶媒を
減圧下留去して得られる残留物をジオキサン140mlに
溶解する。この溶液に、氷冷下撹拌しながら1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩6.98gを加え、室温に戻した後、3時間撹拌
する。反応液を水400mlに投入してクロロホルムで抽
出する。抽出液をMgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧
下留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル)
に付し、白色結晶である8−tert−ブチル−3−シ
アノ−6,7−ジヒドロ−5−メチル−7−オキソ−8
H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリ
ミジン〔(I−2)式中、R1=C(CH33、R4=R
5=H〕3.98g(収率43.7%)を得た。
【0146】1H-NMR(CDCl3)δ;1.90(9H,s), 2.56(3H,
s), 3.62(2H,s), 8.32(1H,s).
【0147】実施例16:光学活性な6位置換化合物 (1)前記実施例14(1)で得られた化合物(XI)
〔R4 =CH3、R5 =H、R6 =CH2CH3〕1.1
gのメタノール6ml溶液にテトラヒドロフラン6ml及び
10%水酸化カリウム水溶液9mlを加え、70℃で2時
間加熱攪拌する。反応液に4規定塩酸を加えてpHを酸性
とし、析出する結晶を濾取する。得られる結晶を水及び
テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧下乾燥し、白色
結晶である2−〔3−シアノ−5−メチル−7(4H)
−オキソピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イ
ル〕プロピオン酸〔(XI)式中、R4 =CH3、R5
6 =H〕0.78g(収率79.2%)を得た。
【0148】1H-NMR(DMSO-d6)δ;1.29(3H,d,J=7.2Hz),
2.39(3H,s),3.76(1H,q,J=7.2Hz), 8.36(1H,s), 12.12(1
H,brs),13.18(1H,brs).
【0149】(2)上記(1)で得られた化合物(XI)
〔R4 =CH3、R5 =R6 =H〕591mg、塩酸1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド(W.S.C)460mg、トリエチルアミン20
2mg及びジメチルアミノピリジン25mgをジクロロメタ
ン15mlに溶解し、窒素ガス気流中、室温にて1時間攪
拌する。反応液に、更に、(R)−(+)−乳酸メチル
208mgを加え、窒素ガス気流中、室温にて15時間攪
拌する。反応液にジクロロメタンを加えて抽出し、水洗
した後MgSO4 で乾燥する。溶媒を留去して得られる
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
媒;クロロホルム−メタノール)に付し、以下の2種の
ジアステレオ異性体を単離した。
【0150】(a)(1R)−1−メトキシカルボニル
エチル 2−〔3−シアノ−5−メチル−7(4H)−
オキソピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル〕
プロピオナート;無色油状物1 H-NMR(CDCl3)δ;1.46(3H,d,J=7.2Hz), 1.50(3H,d,J=7.
2Hz),2.50(3H,s), 3.69(3H,s), 4.14(1H,q,J=7.2Hz),5.
13(1H,q,J=7.2Hz), 7.98(1H,s).
【0151】(b)(1R)−1−メトキシカルボニル
エチル 2−〔3−シアノ−5−メチル−7(4H)−
オキソピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル〕
プロピオナート;無色油状物1 H-NMR(CDCl3)δ;1.35(3H,d,J=7.2Hz), 1.46(3H,d,J=7.
2Hz),2.51(3H,s), 3.72(3H,s), 3.97(1H,q,J=7.2Hz),5.
05(1H,q,J=7.2Hz), 8.00(1H,s).
【0152】(3)水素化リチウムアルミニウム114
mgの無水テトラヒドロフラン3ml溶液にシリカゲル0.
75gを加え、窒素ガス気流中、室温にて1時間攪拌す
る。この溶液に、氷冷下、上記(2)で得られた化合物
(b)166mgを加え、窒素ガス気流中、60℃で1時
間加熱攪拌する。反応液を氷冷後、少量の飽和塩化アン
モニウム水溶液を加えた後、反応液中のシリカゲルを濾
去する。濾液をMgSO 4 で乾燥した後、溶媒を減圧下
留去し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒;クロロホルム−メタノール)に付
し、無色油状物である3−シアノ−6−〔2−ヒドロキ
シ−1−メチルエチル〕−5−メチルピラゾロ[1,5
−a]ピリミジン−7(4H)−オン〔(IV−2a)式
中、R4 及びR5 =CH3 及びH〕98mg(収率84.
4%)を光学活性体として得た。
【0153】1H-NMR(DMSO-d6)δ;0.99(3H,d,J=6.2Hz),
2.38(3H,s), 3.51-3.56(2H,m),3.72-3.79(1H,m), 4.48
(1H,brs), 8.31(1H,s),12.97(1H,brs).
【0154】(4)上記(3)で得られた化合物(IV−
2a)〔R4 及びR5 =CH3 及びH〕98mg、オキシ
塩化リン322mg及びトリエチルアミン43mgを混合
し、窒素ガス気流中、120℃で3時間加熱攪拌する。
反応液を室温まで戻した後、氷水中に投入し、この溶液
に炭酸カリウムを加えてpHをアルカリ性とする。クロロ
ホルムで抽出し、MgSO4 で乾燥した後、溶媒を減圧
下留去して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン−クロロホルム−酢
酸エチル)に付し、白色結晶である7−クロロ−6−
〔2−クロロ−1−メチルエチル〕−3−シアノ−5−
メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン〔(V−2
a)式中、R4 及びR5 =CH3 及びH、X=Cl〕8
1mg(収率71.2%)を得た。
【0155】1H-NMR(CDCl3)δ;1.56(3H,d,J=7.5Hz), 2.
81(3H,s), 3.74-3.92(2H,m),4.08-4.18(1H,m), 8.38(1
H,s).
【0156】(5)上記(4)で得られた化合物(V−
2a)〔R4 及びR5 =CH3 及びH、X=Cl〕81
mgの無水ジメチルホルムアミド0.8ml溶液に、ter
t−ブチルアミン174mg及びトリエチルアミン57.
7mgを加え、窒素ガス気流中、90℃で2時間加熱攪拌
する。反応液を室温まで戻した後溶媒を減圧下留去し
て、得られる残渣をジクロロメタンに溶解する。この溶
液を水洗し、MgSO4 で乾燥した後、溶媒を減圧下留
去して得られる残渣をエタノールで再結晶し、白色結晶
である本願発明の8−tert−ブチル−3−シアノ−
6,7−ジヒドロ−5,6−ジメチル−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
〔(I−3a)式中、R1 =C(CH33、R4 及びR
5 =CH3及びH〕52mg(収率64.1%)を光学活
性体として得た。得られた化合物は(−)の旋光性を示
し、この光学純度は81.7%e.e.以上(液体クロマト
グラフィー法による)であった。
【0157】1H-NMR(CDCl3)δ;1.25(3H,d,J=6.9Hz), 1.
69(9H,s), 2.43(3H,s),3.26-3.33(1H,m), 3.63(1H,dd,J
=9.9,2.9Hz),4.07(1H,dd,J=9.9,9.7Hz), 8.13(1H,s).
【0158】(6)上記(2)で得られた化合物(a)
166mgを用い、上記(3)〜(5)に記載した方法に
準じて、白色結晶である本願発明の8−tert−ブチ
ル−3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,6−ジメチル
−8H−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]
ピリミジン〔(I−3a)式中、R1 =C(CH33
4 及びR5 =CH3 及びH〕27.6mg(化合物
(a)からの総収率21.6%)を光学活性体として得
た。得られた化合物のNMRスペクトルは、上記(5)
で得られた化合物のものと完全に一致した。また、得ら
れた化合物は、(+)の旋光性を示し、この光学純度は
80.0%e.e.以上(液体クロマトグラフィー法によ
る)であった。
【0159】試験例1 本発明化合物(I)の無麻酔自然発症高血圧ラット(S
HR)における降圧作用を、tail−cuff法によ
り評価した。なお、被験薬物として以下の本発明化合物
を用いた。 化合物1:(±)8−tert−ブチル−3−シアノ−
6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、 化合物2:(±)3−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,
7−ジメチル−8−(1−メチルエチル)−8H−ピロ
ロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、 化合物3:(±)8−tert−ブチル−3−シアノ−
6,7−ジヒドロ−5,6−ジメチル−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、 化合物4:8−tert−ブチル−3−シアノ−6,7
−ジヒドロ−5−メチル−7−オキソ−8H−ピロロ
[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、 化合物5:(+)(7S)−8−tert−ブチル−3
−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8H
−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミ
ジン、 化合物6:(−)(7R)−8−tert−ブチル−3
−シアノ−6,7−ジヒドロ−5,7−ジメチル−8H
−ピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミ
ジン
【0160】なお、対照化合物として化合物(A)〔R
a=C(CH33;特開平2−275882号公報参
照〕を用いた。被験薬物及び対照化合物は、5mg/kg及
び10mg/kgを、それぞれ0.5%CMC生理食塩溶液
に懸濁して経口投与した。降圧作用は、被験薬物投与後
の血圧の変化を正常時血圧を100%とした降圧率
(%)で表わし、最大反応時の降圧率(%)を求めて評
価した。また、投与後5時間及び8時間の降圧率(%)
の経時変化をプロットして血圧曲線を求め、この曲線下
の面積(降圧面積)から降圧作用の持続性を評価した。
結果は、最大の反応時の降圧率(%)及び降圧面積を、
対照化合物(A)に対する相対値として表1に示した。
【0161】
【表1】
【0162】上記の結果から明らかなように、本発明化
合物1〜6のいずれについても降圧作用が認められた。
特に化合物1、3及び5は、対照化合物(A)とほぼ同
様な降圧率と持続性を示した。
【0163】試験例2 本発明化合物の無麻酔正常血圧ラットにおける降圧作用
を観血的に測定して評価した。被験薬物として前記化合
物1〜3及び対照化合物として化合物(A)を用いた。
被験薬物は、0.1mg/kg及び0.5mg/kgを0.05
規定生理食塩溶液又はPEG400−エタノール溶液に
溶解し、大腿静脈に挿入したカニューレから投与した。
降圧作用は、大腿動脈に挿入したカニューレを圧トラン
スジューサーに接続して血圧を測定し、上記試験例1に
記載した方法で求めた最大反応時の降圧率(%)を比較
して評価した。結果は、各投与量における対照化合物
(A)に対する相対値として、表2に示した。
【0164】
【表2】
【0165】上記の結果から明らかなように、化合物1
及び3は高濃度(0.5mg/kg)の投与において、対照
化合物(A)とほぼ同様の降圧率(%)を示した。
【0166】試験例3 本発明化合物の血管拡張作用をマグヌス法により測定し
た。すなわち、ウィスター系雄性ラット(9〜13週
齢)を放血致死させ、直ちに胸部大動脈を摘出した。摘
出した血管は幅約2〜3mmのリング標本として、37℃
で混合ガス(O295%、CO25%)を通気したKre
bs−Henseleit溶液10mlで満たしたオルガ
ンバス中に張力2gを負荷し、等尺性に張力を記録し
た。被験薬物として化合物1〜6及び対照化合物として
化合物(A)を用いた。被験薬物は、塩化カリウム30
mM又は25mMで収縮させた標本に1×10-7〜1×10
-5Mの累積投与を行い、その拡張作用を検討した。結果
を、50%抑制濃度で表3に示した。
【0167】
【表3】
【0168】試験例4 本発明化合物による、ノルエピネフリン収縮の抑制作用
を測定した。すなわち、試験例3に記載した方法に準じ
て標本を作製し、被験薬物1×10 -7〜1×10-5Mに
よって前処置した標本にノルエピネフリン1×10-9
1×10-7Mの範囲、及び1×10-9〜1×10-6Mの
範囲で累積投与を行った。得られた濃度−反応曲線から
血管収縮抑制作用を検討した。被験薬物として、化合物
1〜6及び対照化合物として化合物(A)を用いた。結
果は、最大反応の50%抑制濃度として表4に示した。
【0169】
【表4】
【0170】試験例5 本発明化合物による、麻酔犬の降圧及び冠動脈血流量増
加作用を測定した。すなわち、ビーグル犬(8〜11k
g)をペントバルビタール・ナトリウム(30mg/kg)
にて麻酔した後、気管カニューレを挿入して人工呼吸器
により人工呼吸を行った。左第4又は第5肋間にて開胸
し、心膜を切開して心臓を露出した。冠血管(左回旋
枝)分岐部より1cm程度のところから、冠血管を約1cm
周囲組織より剥離して、超音波血流計プローブを装着し
冠血流量を測定した。更に、心拍数及び右側大腿動脈圧
をモニターした。被験薬物として化合物1〜3及び化合
物(A)を用いた。降圧作用及び冠血流量増加作用は、
無処置時の血圧及び冠血流量の値を100%として、被
験薬物を100μg /kg静脈内投与した後の最大変化率
(Δ%)を算出して評価した。結果を表5に示した。
【0171】
【表5】
【0172】試験例6 本発明化合物による抗狭心症作用を、以下の方法で測定
した。すなわち、Donryu系ラットに被験薬物を、
無麻酔下で経口投与する。その後、45分後にペントバ
ルビタール60mg/kgを腹腔内投与し、更に15分後に
バソプレシン0.75U/kgを静脈内投与して第2誘導
心電図を計測し、ST部の降下の被験薬物による抑制効
果を比較した。被験薬物としては化合物1、5及び6を
用いた。結果を、降下値の40%抑制濃度(IC40)と
して表6に示した。
【0173】
【表6】
【0174】試験例7 本発明化合物の酸化に対する安定性を評価した。すなわ
ち、酸化剤として2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ
−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を用い、クロロホル
ム溶液中の被験薬物の25℃での分解速度定数(K)を
求めて比較した。溶液中のDDQの濃度は0.0032
mol /lとし、被験薬物の濃度は0.0016mol /l
とした。被験薬物として化合物1及び対照化合物として
化合物(A)を用いた。結果を表7に示した。
【0175】
【表7】
【0176】試験例8(毒性) 本発明化合物の急性毒性試験を下記の方法で行った。I
CR系雄性マウスを4週齢で購入し、約10日間の予備
飼育の後、実験に供した。被験薬物は、マウス体重10
g当り0.1mlになるように1%メチルセルロース液に
懸濁し、金属製胃ゾンデを用いて強制経口投与した。
尚、マウスは実験の前日から16時間絶食とした。投与
後の観察期間を14日間とし、14日後の生存率からリ
ッチフィールド・ウィルコクソン法によってLD50値を
求めた。その結果、化合物1〜3及び5はいずれも2g
/kg以上であった。
【0177】
【表8】実施例17(錠剤) 組成:化合物1 25g 乳糖 130g 結晶セルロース 20g とうもろこし澱粉 20g 3%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液 100ml ステアリン酸マグネシウム 2g
【0178】製法:化合物1に乳糖、結晶セルロース及
びとうもろこし澱粉を60メッシュふるいで篩過して、
均一に混合したのち、練合機に入れ、3%ヒドロキシプ
ロピルセルロース水溶液を注加して練合した。次いで1
6メッシュふるいで篩過造粒し、50℃で送風乾燥し
た。乾燥後、16メッシュふるいを通して整粒を行い、
ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機で直径8m
m、重量200mgの錠剤にした。
【0179】
【表9】実施例18(カプセル剤) 組成:化合物1 25g 乳糖 125g コーンスターチ 48.5g ステアリン酸マグネシウム 1.5g
【0180】製法:上記成分を細かく粉末にし、均一な
混合物になるよう充分撹拌したのち、これを0.2gず
つゼラチンカプセルに充填し、経口投与用のカプセル剤
を得た。
【0181】
【表10】実施例19(錠剤) 組成:化合物5 25g 乳糖 130g 結晶セルロース 20g とうもろこし澱粉 20g 3%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液 100ml ステアリン酸マグネシウム 2g
【0182】製法:化合物5に乳糖、結晶セルロース及
びとうもろこし澱粉を60メッシュふるいで篩過して、
均一に混合したのち、練合機に入れ、3%ヒドロキシプ
ロピルセルロース水溶液を注加して練合した。次いで1
6メッシュふるいで篩過造粒し、50℃で送風乾燥し
た。乾燥後、16メッシュふるいを通して整粒を行い、
ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機で直径8m
m、重量200mgの錠剤にした。
【0183】
【発明の効果】本発明化合物(I)は、優れた血管拡張
作用、冠血流量増加作用、抗高脂血症作用、血小板凝集
抑制作用、降圧作用、Ca++拮抗作用などを有し、かつ
安全性も高く、循環器系疾患治療剤として有用である。
また、本発明化合物(I)は効果の持続性も高いため、
これを含有する本発明の循環器系疾患治療剤は、虚血性
心疾患、例えば狭心症、心筋梗塞など、脳を含む循環不
全に伴う疾患、高血圧症、動脈硬化症、血栓症などの予
防及び治療剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 9/08 A61P 9/08 9/12 9/12 (72)発明者 本木 芳昭 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 岸井 兼一 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 稲津 正人 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 森本 敏博 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 鈴木 利光 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 松尾 市郎 東京都町田市東玉川学園1−25−5 (72)発明者 高▲桑▼ 貴子 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポー ラ化成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 長瀬 祐之助 東京都練馬区西大泉3丁目2番7号 (72)発明者 熊谷 年夫 埼玉県川越市小波町3丁目15番37号 (72)発明者 松永 浩 埼玉県新座市新座3−6−3−307 (72)発明者 清水 壽 埼玉県新座市新座1−17−33−202 (72)発明者 金田 宗一 埼玉県浦和市南浦和2−26−7−202 (56)参考文献 特開 平2−275882(JP,A) 特開 平5−262774(JP,A) 特開 平4−307543(JP,A) 特開 平2−76880(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 487/00 - 487/22 A61K 31/505 A61P 3/00 - 3/14 A61P 7/02 A61P 9/00 - 9/14 MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) REGISTRY(STN) CA(STN) CAOLD(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子;水酸基、アルコキシ基、アル
    ケニルオキシ基、ニトロ基、一級、二級若しくは三級ア
    ミノ基、カルボキシル基、シクロアルキル基、フェニル
    基、ハロゲン原子及び異項環基から選ばれる置換基を有
    してもよい直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、アルケニ
    ル基若しくはアルキニル基;又は水酸基、アルコキシ
    基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一級、二級若しく
    は三級アミノ基、カルボキシル基、シクロアルキル基、
    フェニル基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有し
    てもよいシクロアルキル基、フェニル基若しくは異項環
    基を示し、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なってい
    てもよく、水素原子;ハロゲン原子;水酸基、アルコキ
    シ基、アルケニルオキシ基、ニトロ基、一級、二級若し
    くは三級アミノ基、カルボキシル基、シクロアルキル
    基、フェニル基、ハロゲン原子及び異項環基から選ばれ
    る置換基を有してもよい直鎖若しくは分岐鎖のアルキル
    基;又はシアノ基を示すか、R2とR3又は/及びR4
    5が一緒になって酸素原子を示す。ただし、R2
    3、R4及びR5のすべてが水素原子である場合を除
    く)で表わされるピロロ[3,2−e]ピラゾロ[1,
    5−a]ピリミジン誘導体又はその塩。
  2. 【請求項2】 光学活性である請求項1記載のピロロ
    [3,2−e]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導
    体又はその塩。
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