JP3292903B2 - ポリオレフィン系樹脂成型体の塗装方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂成型体の塗装方法

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JP3292903B2
JP3292903B2 JP25240294A JP25240294A JP3292903B2 JP 3292903 B2 JP3292903 B2 JP 3292903B2 JP 25240294 A JP25240294 A JP 25240294A JP 25240294 A JP25240294 A JP 25240294A JP 3292903 B2 JP3292903 B2 JP 3292903B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
成型体の新規な塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】ポリオレフィン系樹脂成型
体は、廉価で優れた機械的特性を有し、かつリサイクル
が可能なためバンパー等の自動車外板部に広く使用され
ている。そして、該成型体には、通常、美匠性、キズつ
き防止、耐候性向上等のためにプライマー及び上塗り塗
料が塗装されている。ところが、このポリオレフィン系
樹脂成型体は、該樹脂が化学構造的に極性基を持たずし
かも結晶性が高いので、そのままではプライマー塗膜と
の付着性が劣るために、その表面を1,1,1−トリク
ロルエタン等の有機ハロゲン系溶剤で蒸気洗浄して脱脂
し、その表面をエッチングして、付着性を向上させる必
要があった。
【0003】しかしながら、トリクロルエタン等の有機
ハロゲン系溶剤は、大気のオゾン層破壊の原因の一つと
してあげられており、その使用に十分注意をはらう必要
があり、使用禁止が検討されているものである。
【0004】また、上記プライマーはポリプロピレンを
主成分としており、塗装時での有機溶剤量が多い。大気
中に有機溶剤ガスが揮散するのを防止する方法として活
性炭吸着法、直炎燃焼法、触媒燃焼(酸化)法等がある
が、塗料分野では、アルコール系等の水可溶性有機溶剤
を使用し、その塗装及び乾燥硬化工程で発生する溶剤蒸
気を水中に捕捉する方法がよく行われている。しかしな
がら、ポリプロピレンを主成分とする上記プライマーに
上記水可溶性有機溶剤を適用すると、該樹脂の溶解性乃
至分散性が劣り、相分離等を起こすので好ましくなかっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の課題を解決すべく、鋭意研究した結果、ポリオレフ
ィン系樹脂成型体にプライマー及び上塗り塗料組成物を
順に塗装する方法において、特に該プライマーとして特
定組成のものを使用することによって、トリクロルエタ
ン等の有機ハロゲン系溶剤による該成型体の洗浄が不要
となり、しかもプライマーの相分離等を起こすことなく
プライマーの塗装及び乾燥硬化工程で発生する溶剤蒸気
を水中で捕捉可能になることを見出し、ついに本発明を
完成させるに至った。
【0006】即ち本発明は、ポリオレフィン系樹脂成型
体表面を、有機ハロゲン系溶剤で洗浄することなく、プ
ライマー(A)及び上塗塗料(B)で順次塗装すること
を含む塗装方法であって、該プライマー(A)として、
酸価が20〜60mgKOH/g、塩素含有率が18〜28重
量%及び重量平均分子量が30000〜170000で
あるマレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(A−1)及
びウレタン変性ポリエステル樹脂(A−2)を樹脂成分
とし、かつ、塗装時における溶剤成分(A−3)が、水
に対する溶解度(20℃)0.5重量%以上で、蒸気圧
(20℃)90mmHg以下の水可溶性有機溶剤(A−4)
を主成分とし、かつ該水可溶性有機溶剤(A−4)の8
0重量%以上がケトン系水可溶性有機溶剤であるプライ
マーを使用することを特徴とするポリオレフィン系樹脂
成型体の塗装方法に係る。
【0007】本発明における被塗物であるポリオレフィ
ン系樹脂成型体は、エチレン、プロピレン、ブチレン、
ヘキセン等の炭素数が2〜10のオレフィン類から選ば
れた1種又は2種以上を重合せしめてなる樹脂を任意の
形状に成型してなるものであり、例えば自動車外板部に
使用されているバンパー、スポイラー、グリル等があげ
られるが、これらのみに制限されるものではない。
【0008】本発明ではこのポリオレフィン系樹脂成型
体にプライマー(A)を塗装するにあたり、有害なトリ
クロルエタン等の有機ハロゲン系溶剤や芳香族炭化水素
系溶剤のような環境保護の観点からその使用が懸念され
る成分を含有する洗浄剤を使用することなしに、塗装す
る方法が採用される。
【0009】即ち、該成型体を製造(成型)したそのま
まの状態で、なんらの前処理を施すことなくその表面に
プライマー(A)を塗装しても差支えないが、必要によ
り無公害の水系の洗浄剤、蒸気、アルコール系溶剤等で
払拭、洗浄して除塵、脱脂を施しておくことが好まし
い。
【0010】本発明で使用するプライマー(A)は、上
塗塗料の塗装に先立ってポリオレフィン系樹脂成型体に
直接塗装する塗料であり、酸価が20〜60mgKOH/g、
塩素含有率が18〜28重量%及び重量平均分子量が3
0000〜170000であるマレイン酸変性塩素化ポ
リプロピレン(A−1)及びウレタン変性ポリエステル
樹脂(A−2)を樹脂成分とし、かつ、塗装時における
溶剤成分(A−3)が、水に対する溶解度(20℃)
0.5重量%以上で、蒸気圧(20℃)90mmHg以下の
水可溶性有機溶剤(A−4)を主成分とし、かつ該水可
溶性有機溶剤(A−4)の80重量%以上がケトン系水
可溶性有機溶剤からなるプライマーである。
【0011】まず、本発明で使用するプライマー(A)
における樹脂成分について説明する。
【0012】マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(A
−1)のベースとなるポリプロピレンは、プロピレンの
単独重合体、又はプロピレンとその他の例えばエチレ
ン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン等から選ば
れた1種又は2種以上のオレフィン類との共重合体等で
ある。該共重合体でのプロピレンの含有率は40重量%
以上、特に60重量%以上が好ましい。
【0013】上記(A−1)成分は、通常、ベースとな
るポリプロピレンにマレイン酸(無水マレイン酸も含
む、以下同じ)をグラフト変性し、次いで塩素化するこ
とによって得られるが、このグラフト変性及び塩素化の
順序を逆に又は同時に行っても差支えない。グラフト変
性はそれ自体既知の方法で行えば良く、例えばポリプロ
ピレンの有機溶剤液中でラジカル発生剤の存在下でマレ
イン酸を反応させることによって行われる。マレイン酸
の変性量即ちマレイン化度は、得られるマレイン酸変性
塩素化ポリプロピレン(A−1)の酸価が20〜60mg
KOH/g、特に30〜40mgKOH/gの範囲になるように行
うことが好ましい。酸価が20mgKOH/gより小さくなる
と上塗塗料塗膜との付着性が低下し、酸価が60mgKOH/
gより大きくなるとプライマー塗膜の耐水性が十分でな
くなるので好ましくない。
【0014】マレイン酸変性(グラフト変性)したポリ
プロピレンの塩素化は、グラフト変性したポリプロピレ
ンの有機溶液中に塩素ガスを導入することによって行わ
れ、反応温度は50〜120℃が好ましい。塩素化はマ
レイン酸変性塩素化ポリプロピレン中の塩素含有率が1
8〜28重量%、特に20〜25重量%の範囲内が好ま
しく、18重量%より少なくなると有機溶剤への溶解性
が低下し、かつ該プライマーの貯蔵安定性や塗装作業性
等が悪くなり、塩素含有率が28重量%より多くなると
ポリオレフィン系樹脂成型体との付着性や耐有機溶剤性
等が低下するので好ましくない。
【0015】また、該マレイン酸変性塩素化ポリプロピ
レン(A−1)の重量平均分子量は30000〜170
000、特に50000〜130000が適している。
【0016】ウレタン変性ポリエステル樹脂(A−2)
は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合
物との反応生成物である。該ポリエステルポリオールは
多塩基酸とポリオールとを縮重合することによって得ら
れる。多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル
基を有する化合物であり、例えば、アジピン酸、コハク
酸、セバチン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、
フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テト
ラヒドロフタル酸、これらの無水物等の脂肪族、芳香族
及び脂環族多塩基酸があげられる。ポリオールは、1分
子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサンジオール、ポリラクトン
ポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が
あげられる。多塩基酸とポリオールとは水酸基が過剰に
なるような比率で反応せしめる。また、ポリイソシアネ
ート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基
を有する化合物であり、例えばヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチレンジイソシアネート、プロピレン
ジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合
物;イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シク
ロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサンジイソシ
アネート、シクロペンタンジイソシアネート等の脂環族
ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネー
ト、メタキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフ
タレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート
等の芳香族ジイソシアネート化合物;等があげられる。
【0017】該(A−2)は、ポリエステルポリオール
の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート
基とをウレタン化反応させたもので、両官能基の比率は
目的に応じて任意に選べるが、水酸基1モルあたりイソ
シアネート基を1モル以下の割合で反応させて、生成し
たウレタン変性ポリエステル樹脂中に遊離のイソシアネ
ート基が残存しないことが好ましい。また、このウレタ
ン化反応において、必要に応じて上記ポリオールを鎖伸
長剤として併用することも差支えない。
【0018】本発明で使用するプライマー(A)は、上
記のマレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(A−1)及
びウレタン変性ポリエステル樹脂(A−2)が必須樹脂
成分であり、これらの比率は特に制限されないが、該両
成分の合計重量を基準にして、(A−1)成分は95〜
70重量%、特に90〜80重量%、(A−2)成分は
5〜30重量%、特に10〜20重量%が好ましい。
【0019】次に、本発明で使用するプライマー(A)
における溶剤成分について説明する。
【0020】本発明で使用するプライマー(A)の溶剤
成分(A−3)は、塗装時において、水に対する溶解度
(20℃)0.5重量%以上で、蒸気圧(20℃)90
mmHg以下の水可溶性有機溶剤(A−4)を主成分とし、
かつ該(A−4)の80重量%以上がケトン系水可溶性
有機溶剤からなることが必要である。
【0021】ここで、「塗装時において」とは、被塗物
にプライマー(A)を塗装する際の溶剤成分を規定して
いるものであり、プライマー(A)の調製時の溶剤成分
がそのままで上記要件を満たしていても良いし、プライ
マー(A)の調製時の溶剤成分を適宜水可溶性有機溶剤
で希釈した結果上記要件を満たしても良いことを意味す
る。
【0022】水可溶性有機溶剤(A−4)の水に対する
溶解度(20℃)が0.5重量%以上で、蒸気圧(20
℃)が90mmHg以下であることにより、水中での捕捉効
率が良くなる。
【0023】また、該水可溶性有機溶剤(A−4)がプ
ライマー(A)の溶剤成分(A−3)の主成分であるこ
とにより、該プライマーの塗装時に発生する有機溶剤の
殆どを水中に捕捉できることになり、公害防止上有効で
ある。ここで、主成分であるためには、より具体的に
は、塗装時のプライマー溶剤成分(A−3)中の水可溶
性有機溶剤(A−4)の含有量(以下、WS化率とい
う)が65重量%以上であることが望ましい。
【0024】また、水可溶性有機溶剤(A−4)のうち
のケトン系水可溶性有機溶剤の含有量(以下、WSのケ
トン化率という)が80重量%以上であることにより、
マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(A−1)及びウ
レタン変性ポリエステル樹脂(A−2)に対する溶解性
が良好になってプライマー(A)の相分離、顔料沈降等
が防止できることとなる。WSのケトン化率が80重量
%未満になると、相分離、顔料沈降等が生じ易くなるの
で好ましくない。
【0025】かかる特性値を有するケトン系水可溶性有
機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチル
ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等があげられ
る。
【0026】水可溶性有機溶剤(A−4)の80重量%
以上、特に好ましくは85重量%以上該ケトン系水可溶
性有機溶剤で構成され、残りの20重量%以下はこれら
以外の水可溶性有機溶剤であって、例えば、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、
酢酸セコンダリーブチル、酢酸エチレングリコールモノ
メチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等
の酢酸エステル系溶剤;エタノール、n−プロピルアル
コール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、セコンダリーブチルアルコ
ール、ターシャリーブチルアルコール、n−アミルアル
コール、イソアミルアルコール、セコンダリーアミルア
ルコール、ターシャリーアミルアルコール、シクロヘキ
サノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
ジオキサン、ジメチルジオキサン等のエーテル系溶剤;
等があげられる。これらはいずれも水に対する溶解度
(20℃)が0.5重量%以上で、蒸気圧(20℃)が
90mmHg以下の水可溶性有機溶剤である。
【0027】また、前記溶剤(A−4)において、溶解
度(20℃)が0.5重量%より小さくなったり、蒸気
圧(20℃)が90mmHgより大きくなると、水溶解性が
低下し、しかも蒸気圧が高いため、水中への捕捉が困難
になる。また、溶解度が0.5重量%以上で、蒸気圧が
90mmHgより大きくなると、塗装ブースの排風量が極め
て大であるために、溶剤蒸気を水中へ捕捉する場合の効
率が低下する。溶解度が0.5重量%より小さく、かつ
蒸気圧が90mmHg以下であると、水への溶解性が低く、
該捕捉効率が低下する。前記溶剤(A−4)として、特
に好ましいものは、溶解度(20℃)が1重量%以上
で、かつ蒸気圧(20℃)が75mmHg以下の範囲のもの
である。
【0028】プライマー(A)の溶剤成分(A−3)
は、塗装時において、前記水可溶性有機溶剤(A−4)
を主成分としているが、該(A−4)以外の水不溶性有
機溶剤、例えばトルエン、キシレンや、その他の石油系
高沸点芳香族溶剤等を、該(A−3)中35重量%以下
の範囲で併用できる。
【0029】該プライマー(A)は、上述の如き樹脂成
分及び溶剤成分を含有してなるが、さらに目的に応じて
着色顔料、体質顔料、メタリック顔料、レベリング剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、塩素捕捉剤、顔
料沈降防止剤等を配合することができる。
【0030】本発明において使用する上塗塗料(B)
は、それ自体既知のものが使用でき、例えば水酸基を含
有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹
脂、フッソ樹脂等の基体樹脂に、メラミン樹脂、尿素樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイソシアネート化合物
(ブロック化物も含む)等の架橋剤を併用してなる架橋
硬化性組成物を主成分とする塗料組成物が好ましい。該
上塗塗料(B)は、着色塗料(ソリッドカラー)、メタ
リック塗料及びクリヤー塗料のいずれでもよく、またこ
れらを適宜組み合わせて複数回塗るものであってもよ
い。
【0031】本発明において、ポリオレフィン系樹脂成
型体表面へのプライマー(A)の塗装は、通常、エアス
プレー等の噴霧塗装方式により好適に行なわれる。プラ
イマー(A)は、通常、乾燥硬化塗膜に基いて5〜35
μm、好ましくは10〜20μmの厚さになるように塗
装され、室温で数分放置又は70〜100℃で5〜60
分乾燥してから、通常、室温において上塗塗料(B)を
塗装する。上塗り塗膜の膜厚は、通常、硬化塗膜に基い
て20〜50μm、好ましくは25〜35μmの厚さに
なるように塗装し、70〜160℃で5〜60分加熱し
て硬化させる。
【0032】そして、本発明塗装方法では、特にプライ
マー(A)の塗装工程及び該塗膜の乾燥硬化工程で発生
する有機溶剤蒸気等を水中に好適に捕捉するができる。
【0033】塗装工程及び塗膜硬化工程で発生する飛散
又は揮散したミスト、溶剤蒸気及び硬化時の揮発性生成
物等は水で洗浄してその大部分を捕捉できる。洗浄方式
としては通常の気液接触方式、例えばスクラバー法、バ
ブリング法、シャワー法、濡れ壁法等がいずれも好適に
採用できる。特に、除去効率の点からスクラバー法、シ
ャワー法及び濡れ壁法が適している。
【0034】塗料ミストや溶剤蒸気等を捕捉した水は、
水処理装置に送られて処理される。具体的には活性汚泥
法、空気酸化法、オゾン酸化法、凝集沈殿法、加圧浮上
法等が単独で又は複数組合せて用いられる。特に、洗浄
排水中の塗料ミストの固形分及び一部水不溶性溶剤は通
常の加圧浮上法で処理し、水溶化した溶剤成分は活性汚
泥法で処理する組合せが好ましい。処理された水は水資
源の再利用という見地から通常洗浄装置に送り返されて
循環使用される。
【0035】
【発明の効果】本発明塗装方法によれば、被塗物のポリ
オレフィン系樹脂成型体を、環境保護の観点から使用に
十分注意する必要があるか又は一部使用禁止が考慮され
ている有機ハロゲン系有機溶剤で洗浄しなくても、十分
な塗膜の付着性が得られ、その上、プライマーの塗装工
程及び乾燥硬化工程で発生する有機溶剤蒸気等を水中で
捕捉可能となり、これらの工程での有機溶剤蒸気の排出
量を著しく減少させることが可能になり、公害防止上極
めて有効である。
【0036】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、
本発明を更に具体的に説明する。各例における部及び%
はいずれも原則として重量に基いている。
【0037】製造例1 マレイン酸変性塩素化ポリプロ
ピレン(A−1)の調製 表1に示した特性値を有するマレイン酸変性塩素化ポリ
プロピレンのトルエン溶液(固形分含有率30%)を調
製した。a、bは実施例用、c〜gは比較例用である。
【0038】
【表1】
【0039】製造例2 ウレタン変性ポリエステル樹脂
(A−2)の調製 イソフタル酸0.157モル、ヘキサヒドロフタル酸
0.315モル、アジピン酸0.315モル、ネオペン
チルグリコール0.14モル、1,6−ヘキサンジオー
ル0.51モル、トリメチロールプロパン0.35モル
を縮合反応させてポリエステル樹脂を合成し、さらにイ
ソホロンジイソシアネート0.05モルを反応させてウ
レタン変性ポリエステル樹脂を作成し、固形分含有率7
0%のキシレン溶液を得た。
【0040】製造例3 顔料分散液の調製 上記ウレタン変性ポリエステル樹脂(A−2)の固形分
含有率70%のキシレン溶液14.3部にチタン白顔料
(帝国化工社製、JR−602、商品名)100部、メ
チルエチルケトン10部を混合し、ペブルミルボールミ
ルでツブゲージによるツブ評価10μm以下になるまで
分散を行い、さらにメチルエチルケトン15部を添加し
て粘度調整して顔料分散液Taを得た。この分散液Taの固
形分(樹脂分及び顔料分)含有率は、79%であった。
【0041】また、上記マレイン酸変性塩素化ポリプロ
ピレン(A−1)aのトルエン溶液(固形分含有率30
%)100重量部当り、上記チタン白顔料100部を混
合し、上記と同様に分散を行い、さらにメチルエチルケ
トン30部を添加して粘度調整して顔料分散液Tbを得
た。この分散液Tbの固形分(樹脂分及び顔料分)含有率
は、56%であった。
【0042】製造例4 プライマーの調製 マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(A−1)のトル
エン溶液(固形分含有率30%)、ウレタン変性ポリエ
ステル樹脂(A−2)のキシレン溶液(固形分含有率7
0%)及び顔料分散液(固形分含有率79%又は56
%)を表2に示す割合で配合して、プライマー塗料を調
製した。ここで、表2のプライマー組成の配合量におい
て、(A−1)成分の固形分(樹脂分)には顔料分散液
Tb中の(A−1)成分の樹脂分が含まれ、又(A−2)
成分の固形分(樹脂分)には顔料分散液Ta中の(A−
2)成分の樹脂分が含まれる。また、顔料分散液の配合
量は、顔料分(分散液中の顔料成分の固形分)を示して
いる。
【0043】得られた塗料100部(溶剤を含む)当り
表2の溶剤欄に示す量の割合の水可溶性有機溶剤で希釈
して、塗装時の溶剤組成に調整したオレフィン系樹脂成
型体用プライマーP1〜P18を得た。
【0044】
【表2】
【0045】表中における溶剤の略号は、次のものを示
す。括弧内の数値は、溶解度が20℃における水に対す
る溶解度を、蒸気圧が20℃における蒸気圧を夫々示
す。
【0046】MEK:メチルエチルケトン(溶解度26.8
重量%、蒸気圧71mmHg)、MIBK:メチルイソブチルケ
トン(溶解度2.0重量%、蒸気圧5mmHg)、CHEX: シ
クロヘキサノン(溶解度10.0重量%、蒸気圧4mmH
g)、ETA:酢酸エチル(溶解度2.3重量%、蒸気圧7
3mmHg)、IPA:イソプロピルアルコール(水と任意の割
合で溶解する、蒸気圧32mmHg)、EGME: エチレングリ
コールモノメチルエーテル(水と任意の割合で溶解す
る、蒸気圧6mmHg)。
【0047】表2のプライマーの内、P1、P2、P
8、P9、P11〜P13及びP18は本発明用のものであ
る。また、P3〜P7はマレイン酸変性塩素化ポリプロ
ピレン(A−1)が比較例用のものであることに、P10
はウレタン変性ポリエステル樹脂(A−2)を配合して
いないことに、P14〜P16はWSのケトン化率が所定範
囲外であることに、夫々基づいて比較例用のものであ
る。
【0048】実施例1〜8及び比較例1〜10 被塗物として、バンパー用ポリプロピレン樹脂射出成型
板(三菱油化社製、NX−280AK、商品名)を使用
し、これをイソプロピルアルコールを染込ませたガーゼ
で表面を拭いた上に、製造例4で塗装時の溶剤組成に調
整したプライマーをエアースプレーで硬化塗膜に基いて
5〜15μmになるように塗布し、10分室温で放置し
た後、1液型ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系上塗り
塗料(関西ペイント社製、ソフレックスNo. 1200
白、商品名)をエアースプレーで塗装し、120℃で3
0分加熱して硬化させた。上塗り硬化塗膜の厚さは、付
着性試験用には80〜120μm、その他は30〜40
μmである。
【0049】上記のプライマーの塗装の際、スクラバー
法により、有機溶剤蒸気等を水中に捕捉した。
【0050】次いで、上記塗装時の溶剤組成に調整した
プライマーの顔料沈降性及び層分離性、並びに得られた
塗膜の付着性、耐水性及び耐ガソリン性を調べた。試験
方法は、次の通りである。
【0051】顔料沈降性 プライマーをガラス製試験管に入れ、20℃で48時間
放置した後、下記の基準により、顔料沈降性を評価し
た。
【0052】○は試験管の底に顔料沈降が全くないか、
又は僅かに顔料沈降があっても試験管を10回上下に振
ると再分散できることを、△は試験管の底に顔料が沈降
しており、試験管を10回上下に振っても再分散が困難
であることを、×は試験管の底に顔料が著しく沈降して
おり、試験管を10回上下に振っても再分散が不可能で
あることを、夫々示す。
【0053】層分離性 プライマーをガラス製試験管に入れ、20℃で48時間
放置した後、下記の基準により、層分離性を評価した。
【0054】○は層分離が全くないか、又は僅かに層分
離があっても試験管を2〜3回上下に振ると均一になる
ことを、△は層分離が認められ、試験管を2〜3回上下
に振っても均一にならないことを、×は層分離が明確に
認められ、二層に分離し白濁していることを、夫々示
す。
【0055】付着性 塗膜を幅10mmにスリットし、オートグラフ「AG50
0B型」(島津製作所製、商品名)を用いて、速度50
mm/分で180度剥離試験を行ない、剥離強度を測定し
た。付着性の評価は、下記の基準によった。
【0056】○は剥離強度が900g/cm2 を超え、付
着性が優れていることを、△は剥離強度が900〜70
0g/cm2 であり付着性が普通であることを、×は剥離
強度が700g/cm2 未満であり付着性が劣ることを、
夫々示す。
【0057】耐水性 試料を40℃の温水に10日間浸漬させた後、剃刀で塗
膜を貫通する2mm×2mmの碁盤目の刻みを100個作
り、その上にセロハン粘着テープ(JIS−Z152
2)をしっかり圧着し、その向こう側のテープの端を塗
膜面と30度に保ちながら手前に一気に剥がして、剥離
後の碁盤目の残存数を数えた。耐水性の評価は、下記の
基準によった。
【0058】○は残存数が100個で、耐水性が優れて
いることを、△は残存数が90〜99個であり耐水性が
劣ることを、×は残存数が89個以下であり耐水性が著
しく劣ることを、夫々示す。
【0059】耐ガソリン性 試料を20℃の温度のガソリン中に24時間浸漬させた
後、上記耐水性試験と同様の方法により碁盤目剥離試験
を行ない、上記耐水性試験と同様の基準により耐ガソリ
ン性を評価した。
【0060】試験結果を、表3に示す。
【0061】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐賀根 正彦 兵庫県尼崎市神崎町33番1号 関西ペイ ント株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−18104(JP,A) 特開 平6−172565(JP,A) 特開 平5−239292(JP,A) 特開 平3−182534(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 C09D 123/26 C08L 1/00 - 101/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂成型体表面を、有機
    ハロゲン系溶剤で洗浄することなく、プライマー(A)
    及び上塗塗料(B)で順次塗装することを含む塗装方法
    であって、該プライマー(A)として、酸価が20〜6
    0mgKOH/g、塩素含有率が18〜28重量%及び重量平
    均分子量が30000〜170000であるマレイン酸
    変性塩素化ポリプロピレン(A−1)及びウレタン変性
    ポリエステル樹脂(A−2)を樹脂成分とし、かつ、塗
    装時における溶剤成分(A−3)が、水に対する溶解度
    (20℃)0.5重量%以上で、蒸気圧(20℃)90
    mmHg以下の水可溶性有機溶剤(A−4)を主成分とし、
    かつ該水可溶性有機溶剤(A−4)の80重量%以上が
    ケトン系水可溶性有機溶剤であるプライマーを使用する
    ことを特徴とするポリオレフィン系樹脂成型体の塗装方
    法。
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