JP3291276B2 - ポリエステル系ポリマーアロイ - Google Patents

ポリエステル系ポリマーアロイ

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JP3291276B2
JP3291276B2 JP28570399A JP28570399A JP3291276B2 JP 3291276 B2 JP3291276 B2 JP 3291276B2 JP 28570399 A JP28570399 A JP 28570399A JP 28570399 A JP28570399 A JP 28570399A JP 3291276 B2 JP3291276 B2 JP 3291276B2
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政則 林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れた
ポリエステル系のポリマーアロイに関し、より詳細に
は、再生ポリエステル樹脂や再生ポリオレフィン樹脂に
も適用可能な、高い耐衝撃性と高剛性を有するポリエス
テル系のポリマーアロイに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート樹脂(以
降、PET樹脂と言う)は、その延伸強度が高いことか
ら、フィラメント、フィルム、テープ、ボトル等の延伸
物性を活かした分野で広く使われている。一方、PET
樹脂は、高い剛性を有しているものの、そのガラス転移
温度が約81℃と高いことから、耐衝撃性を必要とする
成形品の製造には不向きであって、射出成形や押出成形
分野で使用する時には主に小型成形品への利用に限られ
ていた。
【0003】最近、使用済みPETボトルの再生技術が
進歩し、再生PET樹脂が生産されているが、その再生
処理過程でPET樹脂の分子量が低下し、またそれに伴
って機械的な物性低下も起こっている。従って、分子量
低下に伴う物性への影響を補いつつ、PET樹脂が本来
有している高剛性を活かし、さらに耐衝撃性の向上が実
現されるならば、再生品を含むPET樹脂の射出成形や
押出成形分野への利用範囲が広がると期待されている。
【0004】一方、ポリオレフィン樹脂においても、使
用済みポリオレフィン樹脂の回収が自動車部品を初めと
して多くの産業分野で検討されており、その場合にも再
生PET樹脂と同様な物性低下が起こっている。従っ
て、再生PET樹脂と再生ポリオレフィン樹脂とを併せ
た新たな活用策が考えられるならば、資源リサイクルの
観点から大いに寄与できることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ポリ
エステル樹脂を主体にして、高い耐衝撃性、高い剛性を
有するポリマーアロイの提供を目的とする。また本発明
は、未使用の樹脂だけでなく、再生PET樹脂や再生ポ
リオレフィン樹脂にも適用可能なポリマーアロイの提供
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ポリ
エステル樹脂(A)30〜90重量%、カルボン酸変性
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜20重量
%、およびプロピレン系重合体(C)または密度0.9
20(g/cm3)未満のエチレン系重合体(D)5〜
50重量%とからなる樹脂組成物で形成されたポリエス
テル系ポリマーアロイに関する。
【0007】ここで、ポリエステル樹脂としてはポリエ
チレンテレフタレート、酸変性エチレン・α−オレフィ
ン共重合体としてはα,β−不飽和カルボン酸グラフト
変性エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン系
重合体としてはプロピレン・エチレンブロック共重合
体、エチレン系重合体としては結晶性ないし非晶性のエ
チレン・α−オレフィン共重合体であることが好まし
い。このような樹脂組成物は、−20℃におけるIzo
d衝撃強度(ノッチ付き)が40(J/m)以上である
とポリマーアロイとして特に好ましい。
【0008】
【発明の具体的説明】本発明に係わるポリマーアロイ
は、基本的にはポリエステル樹脂、カルボン酸変性エチ
レン・α−オレフィン共重合体、およびプロピレン系重
合体またはエチレン系重合体とから構成されており、次
にそれら各成分およびポリマーアロイについて詳細に説
明する。
【0009】ポリエステル樹脂(A) 本発明に使用可能なポリエステル樹脂は、芳香族または
脂肪族のジカルボン酸とジオールとの重縮合体であっ
て、製造に際して、ジカルボン酸およびジオールは、各
々1種類を選んで通常の重縮合条件下で製造してもよ
く、あるいは2種類以上を適宜組み合わせて製造しても
よい。
【0010】ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン−
1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸、ジフニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等を
例示することができる。
【0011】ジオールとしては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
等を例示することができる。重縮合に際して、p−ヒド
ロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を共存させて
もよい。
【0012】前記のジカルボン酸およびジオールとから
製造したポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等を代表例に挙
げることができる。またポリエステル樹脂は、それらの
成形品を一旦使用した後の再生品であってもよく、さら
に未使用品と再生品との混合物であってもよい。それら
ポリエステル樹脂は、フェノール/テトラクロロエチレ
ン=50/50(重量比)混合溶媒中、25℃で測定し
た極限粘度(IV)が、0.60〜0.85(dl/
g)である樹脂が使用に適している。
【0013】酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体
(B) 本発明で使用できる変性体は、カルボン酸基を含むエチ
レン・α−オレフィン共重合体であって、具体的にはエ
チレン・α−オレフィン共重合体へα,β−不飽和カル
ボン酸化合物をグラフト共重合して得た重合体、あるい
はエチレン・α−オレフィン共重合体を酸化処理してそ
の共重合体分子中にカルボン酸基を生成させた重合体等
を例示することができる。このカルボン酸変性エチレン
・α−オレフィン共重合体は、ポリエステル樹脂とプロ
ピレン系重合体またはエチレン系重合体との均一混合を
促し、ポリマーアロイの形成に寄与する。本発明におい
ては、特に前者のグラフト変性体がポリマーアロイの形
成に好適である。
【0014】ここでエチレン・α−オレフィン共重合体
は、エチレン含量60〜95、好ましくは70〜90
(モル%)、α−オレフィン含量5〜40、好ましくは1
0〜30(モル%)のランダム共重合体である。α−オレ
フィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20
のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−デセンを挙げることがで
き、またそれらを2種類以上組み合わせて使用してもよ
い。これら共重合体の中でも、エチレン・プロピレン共
重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1
−オクテン共重合体が好ましい。この共重合体中には、
少量のジエン成分含まれていてもよい。
【0015】また、このエチレン・α−オレフィン共重
合体は、その密度が0.85〜0.90(g/c
3)、ASTM D−1238に準拠し、230℃、
2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(M
FR)が0.2〜20(g/10分)であって、またX
線回折法で測定した結晶化度が25%以下の低結晶性な
いし非晶性の重合体であることが望ましい。このような
エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、チーグ
ラー系触媒またはメタロセン系触媒の存在下に、エチレ
ンとα−オレフィンとの共重合を溶液状態で行うことに
よって製造することができる。
【0016】グラフトモノマーとなるα,β−不飽和カ
ルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン
酸、ソルビン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水シトラコン酸、無水ハイミック酸等を例
として挙げることができ、特にアクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸が好ましい。
【0017】カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン
共重合体は、前記したグラフト変性体のみから構成され
ていてもよく、またグラフト変性体と未変成のエチレン
・α−オレフィン共重合体との混合体であってもよい。
グラフト変性体またはその混合体中のα,β−不飽和カ
ルボン酸の含量は、0.01〜5、好ましくは0.05
〜3(重量%)である。カルボン酸の含量が前記の範囲
内にあると、ポリエステル樹脂とプロピレン系またはエ
チレン系樹脂との相溶性を高める効果が高い。
【0018】エチレン・α−オレフィン共重合体への
α,β−不飽和カルボン酸のグラフト共重合体は、エチ
レン・α−オレフィン共重合体の溶液状態ないし溶融状
態の下で、前記したα,β−不飽和カルボン酸をグラフ
ト重合反応させることによって製造することができる。
この際、過酸化物のようなラジカル発生剤を共存させる
と、効率よくグラフト化反応を進めることができる。
【0019】プロピレン系重合体(C) 使用可能なプロピレン系重合体としては、プロピレン単
独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共
重合体、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重
合体、あるいはプロピレンとα−オレフィンとのゴム状
共重合体のいずれであってもよく、これらは未使用の重
合体であっても、あるいは一旦使用した後の再生重合体
であってもよい。
【0020】プロピレンと共重合させるα−オレフィン
は、プロピレン以外の前述したと同様の炭素数2〜20
のオレフィンが使用でき、ランダム共重合体の場合に
は、α−オレフィン単位の含量が0.5〜5モル%、ブ
ロック共重合体の場合には、α−オレフィン単位の含量
が0.5〜20モル%含有されていることが望ましい。
これらの中で好ましいプロピレン系重合体は、プロピレ
ン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテ
ンランダム共重合体、またはプロピレン・エチレンブロ
ック共重合体であって、特に、ブロック共重合体を用い
るとポリマーアロイの耐衝撃性改良効果が高い。
【0021】そのメルトフローレート(MFR)は、A
STM D−1238に準拠し、230℃、2.16k
g荷重下で測定した値が、0.1〜50、好ましくは
0.5〜20(g/10分)である。この範囲内にある
プロピレン系重合体を用いると、ポリマーアロイの成形
性が良好であり、その機械的強度を高めることができ
る。このようなプロピレン系重合体は、チーグラー・ナ
ッタ系触媒、あるいはメタロセン系触媒のようなオレフ
ィン立体規則性重合触媒を使用することによってプロピ
レンを、必要に応じてα−オレフィンを共存させて重合
することによって製造することができる。
【0022】エチレン系重合体(D) 本発明に使用できるエチレン系重合体は、一般のエチレ
ン系重合体の中でも低密度の重合体に属する。具体的に
は、その密度が0.920未満、好ましくは0.850
〜0.915、より好ましくは0.870〜0.910
(g/cm3)の範囲内にある重合体で、ポリエチレ
ン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレンとビ
ニルモノマーとの共重合体等、エチレン繰り返し単位を
主体に有する重合体であればいずれをも使用することが
できる。その密度が0.920(g/cm3)未満の重
合体をポリマーアロイの一成分として使用すると、十分
な耐衝撃性の改良効果が得られる。また、このエチレン
系重合体は、未使用の重合体であっても、再生重合体で
あってもよい。
【0023】ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリ
エチレン、あるいは中低圧法低密度ポリエチレンのいず
れをも使用することができる。後者の場合には、その構
成単位中に通常10モル%以下のα−オレフィンを含ん
でおり、従って次に説明するエチレン・α−オレフィン
共重合体と部分的に重複している。
【0024】エチレン・α−オレフィン共重合体として
は、前述したカルボン酸変性エチレン・α−オレフィン
共重合体を製造する際に原料として使用した低結晶性な
いし非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が使用
できる他に、結晶性を有しかつポリエチレンに近い物性
を有するエチレン・α−オレフィン共重合体も包含す
る。従って、このエチレン・α−オレフィン共重合体を
構成するモノマー組成は、エチレン単位が70モル%以
上、α−オレフィン単位が30モル%以下と広範囲に亘
っている。ここで、α−オレフィンは、前述した炭素数
3〜20のオレフィンの中から適宜選択使用することが
でき、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1
−オクテンが好ましい。
【0025】使用可能なエチレンとビニルモノマーとの
共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エ
チレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸
メチル共重合体等を挙げることができる。
【0026】エチレン系重合体としては、前述したポリ
エチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体が好
ましく、特に結晶性のエチレン・1−ヘキセン共重合
体、非晶性のエチレン・プロピレン共重合体、非晶性の
エチレン・1−ブテン共重合体、非晶性のエチレン・1
−オクテン共重合体が好適である。なお、エチレン系重
合体をポリマーアロイの一成分として添加すると、樹脂
は白色不透明化することもあるが、外観良好な成形体を
製造することができる。
【0027】このエチレン系重合体に属する結晶性から
非晶性の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体
は、バナジウム化合物やチタン化合物と有機アルミニウ
ム化合物との組み合わせを一例としたチーグラー系触
媒、シクロペンタジエニル環を有するジルコニウム化合
物とオキシアルミニウム化合物との組み合わせを一例と
したメタロセン系触媒のようなオレフィン立体規則性重
合触媒を用いることによって製造することができる。
【0028】そのメルトフローレート(MFR)は、A
STM D−1238に準拠し、190℃、2.16k
g荷重下に測定した値が、0.1〜20、好ましくは
0.5〜10(g/10分)である。この範囲内にある
と、ポリマーアロイの射出成形性、押出成形性を高め、
機械的強度を高めることができる。
【0029】樹脂組成物 樹脂組成物を構成する各成分の混合割合は、ポリエステ
ル樹脂(A)30〜90、好ましくは45〜85重量
%、酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5
〜20、好ましくは5〜15量%、プロピレン系重合体
(C)またはエチレン系重合体(D)5〜50、好まし
くは5〜40重量%が望ましい。ここで、前記3成分の
合計量が100重量%になっている。各成分が、この組
成範囲内にあると、耐衝撃性に優れかつ剛性の高い成形
体を得ることができる。
【0030】この樹脂組成物において、プロピレン系重
合体(C)を選択する場合には、その組成が、ポリエス
テル樹脂(A)30〜85、好ましくは45〜85重量
%、カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体
(B)5〜20、好ましくは5〜15重量%、およびプ
ロピレン系重合体(C)10〜50、好ましくは10〜
40重量%の範囲にあることが望ましい。
【0031】また、この樹脂組成物において、エチレン
系重合体(D)を選択する場合には、その組成が、ポリ
エステル樹脂(A)60〜90、好ましくは65〜85
重量%、カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重
合体(B)5〜20、好ましくは5〜15重量%、およ
びエチレン系重合体(D)5〜30、好ましくは5〜2
0重量%の範囲にあることが望ましい。
【0032】この樹脂組成物には、本発明の目的から逸
脱しない範囲内で、各種の添加剤を適宜加えることがで
きる。添加剤の例としては、酸化防止剤、耐候安定剤、
帯電防止剤、顔料、核剤、難燃剤、充填剤等を挙げるこ
とができる。
【0033】ポリマーアロイの製造 本発明に係わるポリマーアロイは、まずヘンシェルミキ
サー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー
ブレンダー等を用いて前記樹脂組成物を構成する各成分
を前記の混合割合にドライブレンドした後、通常一軸押
出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ミ
キシングロール等を用いて溶融混練りを加えることによ
って、均一組成に調製された高品質のアロイ体を製造す
ることができる。
【0034】ポリエステル樹脂を混合するに際して、そ
れが加水分解されることを避けるために、事前に十分に
乾燥しておくことが望ましいが、押出機のベント口から
減圧操作を加えることによって、物性低下を招かない吸
水量の範囲にまで水分を除去することもできる。
【0035】ポリマーアロイの物性 このポリマーアロイは、低温において高い衝撃強度を有
しているが、射出成形品や押出成形品として使用するた
めに、−20℃におけるIzod衝撃強度(ノッチ付き)
が40(J/m)以上の値を有していることが望まし
い。なお、このポリマーアロイは、ノッチを付けない場
合の試験方法である高速衝撃試験(HighRate Impact
Test)、すなわち平板状角板にダートを貫通させる試験
方法においても、高い衝撃強度を有している。
【0036】また、このポリマーアロイは、引張り破断
点伸度が100%以上、曲げ弾性率が1100MPa以
上の値を有していることが望ましい。このような物性を
有するポリマーアロイは、高剛性を保持するプラスチッ
ク材料であり、自動車内外装部品、パレットやコンテナ
ー等運輸送用品を一例とした産業資材用樹脂として好適
である。
【0037】
【実施例】次に本発明を実施例を通して説明するが、本
発明はそれら実施例によってなんら限定されるものでは
ない。
【0038】まず実施例および比較例で使用した材料
は、次の通りである。 (1)ポリエステル樹脂: ポリエチレンテレフタレート樹脂; 極限粘度(IV)=0.73(dl/g) (2)カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合
体: マレイン酸グラフト変性エチレン・プロピレン共重合
体; エチレン・プロピレン共重合体(エチレン含量=80モ
ル%、X線回折による結晶化度=5%、MFR=0.2
g/10分;230℃)へ無水マレイン酸をグラフト共
重合した変性体(マレイン酸含量=1.0重量%)
【0039】(3)エチレン系重合体(A): エチレン・プロピレン共重合体; エチレン含量=80モル%、密度=0.870(g/c
3)、X線回折法による結晶化度=5%、MFR=
0.4(g/10分)(4)エチレン系重合体(B): エチレン・1−ヘキセン共重合体; エチレン含量=94モル%、密度=0.905(g/c
3)、MFR=4(g/10分) (5)エチレン系重合体(C): エチレン・1−ヘキセン共重合体; エチレン含量=94モル%、密度=0.920(g/c
3)、MFR=4(g/10分)
【0040】(6)エチレン系重合体(D): エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体; エチレン含量=96.5モル%、密度=0.920(g
/cm3)、MFR=8(g/10分)(7)エチレン
系重合体(E): 高密度ポリエチレン; エチレン含量=100モル%、密度=0.968(g/
cm3)、MFR=5(g/10分)
【0041】(8)プロピレン系重合体: プロピレン・エチレンブロック共重合体; プロピレン含量=93モル%、密度=0.91(g/c
3)、MFR=5(g/10分)
【0042】なお、各試験は次の方法で行った。 (1)Izod衝撃試験:ASTM D256に準拠
し、−20℃でノッチ付きで測定した。 単位:J/m (2)引張試験:ASTM D−638に準拠し、23
℃で測定した。 降伏点強度単位:MPa、破断点伸度の単位:% (3)曲げ試験:ASTM D−790に準拠し、23
℃で測定した。 弾性率の単位:MPa
【0043】(実施例1〜3)ポリエステル樹脂、カル
ボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレ
ン系重合体(A)または(B)を表1記載の割合でドラ
イブレンドし、次に同方向回転スクリュー二軸押出機
(65mmφ、L/D=27、2個所ベント付き;池貝
株式会社製 PCM−65)に供給し、樹脂温度265
℃で混練りし、ペレットを得た。
【0044】このペレットを80トン射出成形機(東洋
機械金属株式会社製 Ti−80G2)に供給し、シリ
ンダー温度280℃、金型温度30℃の条件で、試験片
を作成した。前記の試験片を用いて、Izod衝撃試
験、引張試験および曲げ試験を行い、その結果を表1に
記載した。
【0045】(比較例1〜7)ポリエステル樹脂、カル
ボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレ
ン系重合体(C)、(D)または(E)を表1記載の割
合で混合し、実施例1と同様にしてペレタイズし、その
後射出成形によって試験片を製作し、各種物性試験を行
った。測定結果を、表1に併せて記した。
【0046】なお、表1における総合評価は、次の基準
で行った。 ○・・・・Izod衝撃強度が40(J/m)以上、破
断点伸度が300%以上で、かつ曲げ弾性率が高いこ
と。 △・・・・Izod衝撃強度が30以上かつ40(J/
m)未満であって、曲げ弾性率が高いこと。 ×・・・・Izod衝撃強度が30(J/m)未満であ
るか、または造粒不可の場合。
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果から、このポリマーアロイの構
成にとって、ポリエステル樹脂、カルボン酸変性エチレ
ン・α−オレフィン共重合体、およびエチレン系重合体
の3成分の組み合わせが不可欠であることを示してい
る。また、使用するエチレン系重合体は、その密度が
0.920(g/cm3)未満の重合体に特定すること
によって、ポリマーアロイの引張強度および曲げ弾性率
を高い水準に維持しつつ、耐衝撃性を向上させることが
できる。
【0049】(実施例4〜7)実施例1において、エチレ
ン系重合体の代わりにプロピレン系重合体を用い、各成
分の組成を表2記載の割合で変え、同様の操作でペレッ
トを得た。なお、押出機中の樹脂温度は275℃であっ
た。このペレットをシリンダー温度280℃、金型温度
30℃の条件で試験片を作成し、各種試験を行い、その
結果を表2に記載した。
【0050】(比較例8〜9)ポリエステル樹脂、カルボ
ン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレ
ン系重合体を表2記載の割合で混合し、実施例4と同様
にしてペレタイズし、その後射出成形によって試験片を
製作し、各種物性試験を行った。測定結果を、表2に併
せて記した。
【0051】
【表2】
【0052】表2の結果より、このポリマーアロイは、
ポリエステル樹脂よりも耐衝撃性の高い樹脂であり、ま
たポリプロピレンよりも剛性の高い樹脂になっている。
さらに、ポリエステル樹脂およびプロピレン系樹脂の配
合量を広い範囲で変化させても、そのポリマーアロイ
は、衝撃強度、引張強度および曲げ弾性率を高い水準に
かつバランスよく保持させることができる。
【0053】
【発明の効果】本発明に係わるポリマーアロイは、ポリ
エステル樹脂、酸変性エチレン・α−オレフィン共重合
体およびプロピレン系またはエチレン系重合体が均一混
合した組成物になっていることから、高い衝撃強度およ
び高い剛性を有する成形品を製造することができる。な
お、この衝撃強度は、ノッチ付きの条件のみならずノッ
チなしの条件下でも、高い値を示す。また、このポリマ
ーアロイは、未使用のポリエステル樹脂だけでなく、再
生ポリエステル樹脂についても、適用することができ
る。
【0054】従って、この高い機械的強度を有するポリ
マーアロイは、各種射出成形品、押出し成形品等の製造
に適しており、パレット、コンテナー、容器、シート、
自動車内外装部品等の産業資材に好適に使用することが
できる。
【0055】また、このポリマーアロイの主成分である
ポリエステル樹脂の発熱量はポリオレフィン樹脂の約1
/2と低く、使用後の成形品を焼却処分する際にも焼却
炉を損傷しにくいことから、例えば、衛生医療用具等の
廃棄物を焼却前に一時的に保存するための容器としても
好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08L 67/00 - 67/04

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル樹脂(A)30〜90重量
    %、カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体
    (B)5〜20重量%、およびプロピレン系重合体
    (C)または密度0.920(g/cm3)未満のエチ
    レン系重合体(D)5〜50重量%(ここで、A、B、
    CまたはDの合計量が100重量%になる)とからなる
    樹脂組成物で形成されていることを特徴とするポリエス
    テル系ポリマーアロイ。
  2. 【請求項2】前記の樹脂組成物が、ポリエステル樹脂
    (A)30〜85重量%、カルボン酸変性エチレン・α
    −オレフィン共重合体(B)5〜20重量%、およびプ
    ロピレン系重合体(C)10〜50重量%(ここで、
    A、B、Cの合計量が100重量%になる)とからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系ポリ
    マーアロイ。
  3. 【請求項3】前記の樹脂組成物が、ポリエステル樹脂
    (A)60〜90重量%、カルボン酸変性エチレン・α
    −オレフィン共重合体(B)5〜20重量%、およびエ
    チレン系重合体(D)5〜30重量%(ここで、A、
    B、Dの合計量が100重量%になる)とからなること
    を特徴とする請求項1に記載のポリエステル系ポリマー
    アロイ。
  4. 【請求項4】前記のポリエステル樹脂(A)が、ポリエ
    チレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロ
    イ。
  5. 【請求項5】前記のポリエチレンテレフタレートが、再
    生樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のポリエ
    ステル系ポリマーアロイ。
  6. 【請求項6】前記のカルボン酸変性エチレン・α−オレ
    フィン共重合体(B)が、α,β−不飽和カルボン酸グ
    ラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエ
    ステル系ポリマーアロイ。
  7. 【請求項7】前記のカルボン酸変性エチレン・α−オレ
    フィン共重合体(B)が、α,β−不飽和カルボン酸を
    0.01〜5重量%含有していることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーア
    ロイ。
  8. 【請求項8】前記のエチレン・α−オレフィン共重合体
    が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共
    重合体であって、その結晶化度が25%以下であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエス
    テル系ポリマーアロイ。
  9. 【請求項9】前記のエチレン・α−オレフィン共重合体
    が、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブ
    テン共重合体およびエチレン・1−オクテン共重合体か
    らなる群から選ばれる共重合体であることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル系ポリマ
    ーアロイ。
  10. 【請求項10】前記のプロピレン系重合体(C)が、プ
    ロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴
    とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル系
    ポリマーアロイ。
  11. 【請求項11】前記のエチレン系重合体(D)は、その
    密度が0.850〜0.915(g/cm3)であるこ
    とを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリ
    エステル系ポリマーアロイ。
  12. 【請求項12】前記のエチレン系重合体(D)が、結晶
    性または非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体で
    あることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載
    のポリエステル系ポリマーアロイ。
  13. 【請求項13】前記のエチレン系重合体(D)が、結晶
    性エチレン・1−ヘキセン共重合体であることを特徴と
    する請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステル系
    ポリマーアロイ。
  14. 【請求項14】前記のエチレン系重合体(D)が、非晶
    性のエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブ
    テン共重合体およびエチレン・1−オクテン共重合体か
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の共重合体である
    ことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポ
    リエステル系ポリマーアロイ。
  15. 【請求項15】前記のプロピレン系重合体(C)または
    エチレン系重合体(D)が、再生樹脂であることを特徴
    とする請求項1〜14のいずれかに記載のポリエステル
    系ポリマーアロイ。
  16. 【請求項16】請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂
    組成物であって、−20℃におけるIzod衝撃強度
    (ノッチ付き)が40(J/m)以上であることを特徴
    とするポリエステル系ポリマーアロイ。
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