JP3289815B2 - 断線検出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えばモータの
位置や速度検出などに用いられる電圧出力形パルスエン
コーダと、その制御装置としてのインバータ装置等との
間の信号線の断線検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の装置は、モータ軸に電圧出力形
パルスエンコーダを取り付け、速度や位置のフィードバ
ック制御を行なう場合に、パルスエンコーダからの信号
をインバータ等の制御装置に出力するための信号線が断
線すると、制御装置が暴走することがあるので、これを
防止するために通常設けられる。

【０００３】その１例を図３に示す。図４はその動作を
説明するための波形図である。図３において、１は電圧
出力形のパルスエンコーダ、２はインタフェース回路２
１および断線検出装置２２等からなるインバータ等の制
御装置、３は信号線である。インタフェース回路２１は
電圧調整のためのアンプＡＭＰや、信号絶縁のためのフ
ォトカプラＰＨなどからなり、パルスエンコーダ１と制
御装置２とのインタフェースを司っている。

【０００４】また、断線検出装置２２はオペアンプＯ
Ｐ、整流器ＲＥ、アンプＡＭＰおよびフォトカプラＰＨ
などからなり、信号線３に流れる電流をシャント抵抗Ｒ
ｓで検出し、オペアンプＯＰにて増幅，波形成形したの
ち、整流器ＲＥにより整流して断線検出を行なうもので
ある。すなわち、信号線３には正常時は図４（ロ）に示
すような、パルスエンコーダ１の出力レベルに応じたハ
イレベル，ローレベルの電流Ｉ（Ｉ_H ，Ｉ_L ）が流れる
のに対し、断線時には電流Ｉが零となることを利用して
断線を検出するものである。

【０００５】なお、正常時に信号線３に流れる電流によ
り、シャント抵抗Ｒｓには図４（ハ）のような電位差が
生じるが、これはオペアンプＯＰにて増幅，波形成形さ
れたのち整流器ＲＥにより整流され、図４（ニ）に示す
ような出力が得られる。整流器ＲＥの出力はアンプＡＭ
Ｐを介してフォトカプラＰＨに与えられ、正常，異常を
示す検出信号ＦＬＴとして、図４（ホ）の如く出力され
ることになる。なお、図４（イ）は信号線３とコモン線
（ＣＭ）との間の電圧波形を示す。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来装置では、検出電圧の値が電源電圧近傍（電
流がハイレベルＩ_H のとき）または０Ｖ近傍（電流がロ
ーレベルＩ_L のとき）のいずれかであるが、これがオペ
アンプの動作可能な電圧入力範囲から外れてしまい、動
作不能となるおそれがある。このため、パルスエンコー
ダの電源電圧よりも高い電圧でオペアンプを駆動した
り、両極性の電源でオペアンプを動作させて０Ｖ近傍の
検出ができるようにする、などの工夫が必要とされる。
また、シャント抵抗はパルスエンコーダの検出信号の波
高値を小さくするためのものであることから、その抵抗
値は極力小さいことが望ましい。その結果、オペアンプ
の入力電圧も微小なものとなる傾向があり、したがって
耐ノイズ性が悪化するという問題が生じることになる。
したがって、この発明の課題は、回路構成を簡単にし低
コスト化を図ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】制御装置内に、発光素子
と受光素子からなる２つのフォトカプラを設けて各発光
素子を直列接続するとともに、その２つの発光素子の接
続点を信号線に接続する。これにより、正常時には２つ
のフォトカプラの各発光素子に流れる電流の方向に応じ
て、いずれか一方が必ず発光する。これに対し、断線が
生じた場合は各発光素子には電流が流れなくなって、い
ずれの発光素子も発光しないので、２つの発光素子の光
を受光するか否かで、断線を検出することができる。パ
ルスエンコーダの電源と受光素子とが電気的に絶縁され
ているため、従来例のような追加回路なしで絶縁ができ
るだけでなく、受動素子のみで構成できるため、回路構
成が簡素化され耐ノイズ性の高い装置とすることができ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１はこの発明の実施の形態を示
す回路図、図２はその動作を説明するための波形図であ
る。制御装置２内に、発光素子と受光素子からなる２つ
のフォトカプラＰＨ１，ＰＨ２を設けて各発光素子を直
列接続するとともに、その２つの発光素子の接続点を前
記信号線３に接続して構成される。

【０００９】すなわち、パルスエンコーダ１はモータ等
の回転に応じ、パルス信号を出力する。このパルス信号
は、電圧ＶＡとインタフェース回路２１の負荷抵抗Ｒ
１，Ｒ２によって交番電流Ｉ_H ，Ｉ_L となり、これがフ
ォトカプラＰＨ１，ＰＨ２の各発光素子を流れることに
なる。そして、電流Ｉ_H が流れているときは、図２
（ハ）のようにＰＨ１の発光素子が発光して対応する受
光素子がオンし、電流Ｉ_L が流れているときは、図２
（ニ）のようにＰＨ２の発光素子が発光して対応する受
光素子がオンする。したがって、電流Ｉ_H ，Ｉ_L のいず
れかが流れている場合は、ＰＨ１，ＰＨ２のどちらかが
オンしており、図２（ホ）に示す信号Ｓ１はオン状態
（ローレベル）を保つ。

【００１０】これに対し、パルスエンコーダ１と制御装
置２との間の信号線３が断線した場合は、電流Ｉ_H ，Ｉ
_L が流れないためフォトカプラＰＨ１，ＰＨ２は図２
（ハ），（ニ）に示すようにオフし、図２（ホ）に示す
信号Ｓ１がハイレベル（Ｐ５）となる。これにより、検
出信号ＦＬＴも図２（ヘ）のようにハイレベルとなり、
断線として検出されることになる。なお、図２（ホ）に
示す信号Ｓ１の波形に、電流の向きが変化する瞬間にヒ
ゲ状の波形が観測される。これは、パルスエンコーダ１
そのものの、電圧レベルが変化するときの瞬間的な傾き
と、フォトカプラＰＨ１，ＰＨ２のターンオン，ターン
オフの傾きの不一致によるもので誤検出の原因となる。
そこで、図１には抵抗ＲおよびコンデンサＣからなるフ
ィルタを設けて、除去するようにしている（図２（ヘ）
の信号ＦＬＴ参照）。

【００１１】

【発明の効果】この発明によれば、２つのフォトカプラ
を設けて各発光素子を直列接続するとともに、その２つ
の発光素子の接続点を信号線に接続するようにしたの
で、従来例のような追加回路なしで絶縁ができるだけで
なく、受動素子のみで構成できることから回路構成が簡
素化され、耐ノイズ性を高めることができるという利点
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による実施の形態を示す回路図であ
る。

【図２】図１の動作を説明するための波形図である。

【図３】断線検出装置の従来例を示す回路図である。

【図４】図３の動作を説明するための波形図である。

【符号の説明】 １…パルスエンコーダ、２…制御装置、２１…インタフ
ェース回路、２２…断線検出装置、３…信号線。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被制御対象に設置される電圧出力形パル
   スエンコーダと１本の信号線を介して接続される制御装
   置に、発光素子と受光素子からなる２つのフォトカプラ
   を設けて各発光素子を直列接続し、その２つの発光素子
   の接続点を前記信号線に接続するとともに、２つの発光
   素子の前記接続点とは別の側も共通にして、前記制御装
   置内インタフェース回路の入力端子に１本の信号線を介
   して接続し、前記各発光素子に流れる電流の有無から前
   記信号線の断線を検出することを特徴とする断線検出装
   置。