JP3287496B2 - 耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法 - Google Patents
耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、高速鉄道、主として直
線区間においてレール頭部表面に生成する損傷、および
高速蛇行運転区間や緩和曲線区間のように車輪フランジ
が強く押し付けられるレール頭部ゲージコーナー部の表
面に生成する表面損傷に対して抵抗性を有する、耐表面
損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法に関する
ものである。
線区間においてレール頭部表面に生成する損傷、および
高速蛇行運転区間や緩和曲線区間のように車輪フランジ
が強く押し付けられるレール頭部ゲージコーナー部の表
面に生成する表面損傷に対して抵抗性を有する、耐表面
損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法に関する
ものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、鉄道輸送がそのエネルギー効率あ
るいは大気汚染の観点から再評価されており、特に旅客
鉄道においては、輸送効率化として高速化が精力的に図
られている。このような輸送の効率化は、一方でレール
の使用環境を過酷化し、レール材質の抜本的な改善を必
要としている。すなわち、従来から旅客鉄道の直線区間
に使用されてきたパーライト組織鋼は、耐摩耗性に優れ
ているために疲労ダメージが摩耗によって取り去られる
ことなくレール表面に蓄積し、一定の経年後に頭頂面シ
ェリングあるいはダークスポット損傷と呼ばれる表面損
傷が発生し、やがてレール折損をもたらすため高速鉄道
における安全性確保の最重要課題となっている。この対
策として従来のパーライト組織レールの硬さを低下さ
せ、摩耗を促進させる方法が考えられるが、強度が低下
することにより高速鉄道での蛇行運転によって車輪フラ
ンジが接触するレール頭部ゲージコーナー（ＧＣ）表面
には、塑性変形が生じ、フレーキングと呼ばれる剥離損
傷が生成し、騒音および振動を発生させる問題があっ
た。
るいは大気汚染の観点から再評価されており、特に旅客
鉄道においては、輸送効率化として高速化が精力的に図
られている。このような輸送の効率化は、一方でレール
の使用環境を過酷化し、レール材質の抜本的な改善を必
要としている。すなわち、従来から旅客鉄道の直線区間
に使用されてきたパーライト組織鋼は、耐摩耗性に優れ
ているために疲労ダメージが摩耗によって取り去られる
ことなくレール表面に蓄積し、一定の経年後に頭頂面シ
ェリングあるいはダークスポット損傷と呼ばれる表面損
傷が発生し、やがてレール折損をもたらすため高速鉄道
における安全性確保の最重要課題となっている。この対
策として従来のパーライト組織レールの硬さを低下さ
せ、摩耗を促進させる方法が考えられるが、強度が低下
することにより高速鉄道での蛇行運転によって車輪フラ
ンジが接触するレール頭部ゲージコーナー（ＧＣ）表面
には、塑性変形が生じ、フレーキングと呼ばれる剥離損
傷が生成し、騒音および振動を発生させる問題があっ
た。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】一方、最近開発された
高強度でかつ摩耗しやすいレール材料としてのベイナイ
ト鋼においては、図１で示すように従来のパーライト組
織鋼よりも硬さが高くても摩耗量が多くなる特徴を有し
ており、レール頭部に特別な冷却制御を行うことなく圧
延ままでベイナイト組織を生成させ、直線区間での車輪
の繰り返し接触で蓄積するレール頭頂面の疲労ダメージ
層を摩耗により除去し、また曲線区間あるいは高速蛇行
運転区間では、車輪フランジがＧＣ部に強く押し付けら
れるために塑性変形、塑性フローが生成し、これに基づ
く表面損傷に対する抵抗性も有する高硬度化した高合金
ベイナイト鋼の発明が開示されている。しかしながら、
これまでのベイナイト鋼レールは、多量のＣｒ，Ｍｏを
含有しこれに必要に応じてＮｂ，Ｖ，Ｔｉの一種または
二種以上を含有して圧延後の硬さがＨｖ３７０以上を有
する高硬質であるため溶接性が悪く、電気抵抗も高くな
るため信号への影響も無視できない問題があった。
高強度でかつ摩耗しやすいレール材料としてのベイナイ
ト鋼においては、図１で示すように従来のパーライト組
織鋼よりも硬さが高くても摩耗量が多くなる特徴を有し
ており、レール頭部に特別な冷却制御を行うことなく圧
延ままでベイナイト組織を生成させ、直線区間での車輪
の繰り返し接触で蓄積するレール頭頂面の疲労ダメージ
層を摩耗により除去し、また曲線区間あるいは高速蛇行
運転区間では、車輪フランジがＧＣ部に強く押し付けら
れるために塑性変形、塑性フローが生成し、これに基づ
く表面損傷に対する抵抗性も有する高硬度化した高合金
ベイナイト鋼の発明が開示されている。しかしながら、
これまでのベイナイト鋼レールは、多量のＣｒ，Ｍｏを
含有しこれに必要に応じてＮｂ，Ｖ，Ｔｉの一種または
二種以上を含有して圧延後の硬さがＨｖ３７０以上を有
する高硬質であるため溶接性が悪く、電気抵抗も高くな
るため信号への影響も無視できない問題があった。
【０００４】本発明は溶接性を損なうことなく、かつ電
気抵抗の増大を最小限度に止めた高速鉄道の直線区間に
敷設されたレールのころがり疲労損傷であるダークスポ
ット損傷の発生を防止し、かつ曲線区間および高速蛇行
運転がもたらす直線区間におけるレールＧＣ表面のフレ
ーキング損傷の発生を防止した、新幹線より列車速度の
遅い在来線タイプの高速運転区間に敷設されるレールに
適した、耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製
造方法を提供するものである。
気抵抗の増大を最小限度に止めた高速鉄道の直線区間に
敷設されたレールのころがり疲労損傷であるダークスポ
ット損傷の発生を防止し、かつ曲線区間および高速蛇行
運転がもたらす直線区間におけるレールＧＣ表面のフレ
ーキング損傷の発生を防止した、新幹線より列車速度の
遅い在来線タイプの高速運転区間に敷設されるレールに
適した、耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製
造方法を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨と
するところは重量で、 Ｃ ；０．１５〜０．４５％ Ｓｉ；０．１５
〜１．００％ Ｍｎ；０．３０〜２．００％ Ｃｒ；０．２０
〜２．００％ を含有し、これに必要に応じて Ｍｏ；０．１０〜０．６０％ Ｃｕ；０．０５
〜０．５０％ Ｎｉ；０．０５〜２．００％ Ｔｉ；０．０１
〜０．０５％ Ｖ ；０．０５〜０．３０％ Ｎｂ；０．０１
〜０．０５％ Ｂ ；０．０００５〜０．００５０％の一種または二種
以上 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
で、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱さ
れたオーステナイト域温度以上の熱を保有する高温レー
ルを、レール頭部側面から１〜１０℃/secで加速冷却し
て、レール頭部コーナー部表面の硬さをＨｖ３００以上
にする耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造
方法である。すなわち、低合金化することによってレー
ルＧＣ部の強度低下によって懸念されるフレーキング損
傷に対処するため、ＧＣ部を熱処理により高強度化し、
レール頭頂面はかえって強度を上昇させないことによっ
て摩耗を促進させダークスポット損傷を防止することを
目的としている。
するところは重量で、 Ｃ ；０．１５〜０．４５％ Ｓｉ；０．１５
〜１．００％ Ｍｎ；０．３０〜２．００％ Ｃｒ；０．２０
〜２．００％ を含有し、これに必要に応じて Ｍｏ；０．１０〜０．６０％ Ｃｕ；０．０５
〜０．５０％ Ｎｉ；０．０５〜２．００％ Ｔｉ；０．０１
〜０．０５％ Ｖ ；０．０５〜０．３０％ Ｎｂ；０．０１
〜０．０５％ Ｂ ；０．０００５〜０．００５０％の一種または二種
以上 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
で、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱さ
れたオーステナイト域温度以上の熱を保有する高温レー
ルを、レール頭部側面から１〜１０℃/secで加速冷却し
て、レール頭部コーナー部表面の硬さをＨｖ３００以上
にする耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造
方法である。すなわち、低合金化することによってレー
ルＧＣ部の強度低下によって懸念されるフレーキング損
傷に対処するため、ＧＣ部を熱処理により高強度化し、
レール頭頂面はかえって強度を上昇させないことによっ
て摩耗を促進させダークスポット損傷を防止することを
目的としている。
【０００６】本発明は転炉あるいは電気炉などで製造す
る上記化学鋼成分に限定したわけであるが、以下にそれ
ぞれの化学成分の限定理由について述べる。Ｃは一定の
硬さを確保し、ベイナイト組織を安定的に生成するため
の重要な元素であり、０．１５％未満では、レール鋼の
硬さを確保することが難しくなるばかりか、塑性変形に
対して抵抗性の低いフェライト組織が混入してしまい、
また０．４５％を超えると、レール頭頂面の耐摩耗性を
向上させ、ころがり疲労損傷ダメージ蓄積に有害なパー
ライト組織が生成してしまうため、０．１５〜０．４５
％に限定した。
る上記化学鋼成分に限定したわけであるが、以下にそれ
ぞれの化学成分の限定理由について述べる。Ｃは一定の
硬さを確保し、ベイナイト組織を安定的に生成するため
の重要な元素であり、０．１５％未満では、レール鋼の
硬さを確保することが難しくなるばかりか、塑性変形に
対して抵抗性の低いフェライト組織が混入してしまい、
また０．４５％を超えると、レール頭頂面の耐摩耗性を
向上させ、ころがり疲労損傷ダメージ蓄積に有害なパー
ライト組織が生成してしまうため、０．１５〜０．４５
％に限定した。
【０００７】Ｓｉはベイナイト組織中の素地に固溶する
ことによって強度を上昇させる元素であり、０．１５％
未満ではその効果が期待できず、また１．００％を超え
るとベイナイト組織中に島状のマルテンサイト組織が生
成し、靭性を劣化させるため０．１５〜１．００％に限
定した。
ことによって強度を上昇させる元素であり、０．１５％
未満ではその効果が期待できず、また１．００％を超え
るとベイナイト組織中に島状のマルテンサイト組織が生
成し、靭性を劣化させるため０．１５〜１．００％に限
定した。
【０００８】ＭｎはＣ同様に安価にレール硬度を増加さ
せる元素であり、０．３％未満ではそれらの効果が少な
く、また２．００％を超えるとＣ同様にレール頭頂面の
ころがり疲労損傷ダメージの蓄積に有害なパーライト組
織が生成してしまうため、０．３０〜２．００％に限定
した。
せる元素であり、０．３％未満ではそれらの効果が少な
く、また２．００％を超えるとＣ同様にレール頭頂面の
ころがり疲労損傷ダメージの蓄積に有害なパーライト組
織が生成してしまうため、０．３０〜２．００％に限定
した。
【０００９】Ｃｒはベイナイト組織中の炭化物を微細に
分散させ強度を確保するために重要な元素であるが、
０．２％未満ではその効果が期待できず、２．００％を
超えると炭化物が微細になりすぎてレール頭頂面の耐摩
耗性を向上させ、疲労ダメージの除去に有害となるばか
りか、熱処理を施すＧＣ部の焼入性を向上させマルテン
サイト組織を生成させやすくするため、０．２０〜２．
００％に限定した。
分散させ強度を確保するために重要な元素であるが、
０．２％未満ではその効果が期待できず、２．００％を
超えると炭化物が微細になりすぎてレール頭頂面の耐摩
耗性を向上させ、疲労ダメージの除去に有害となるばか
りか、熱処理を施すＧＣ部の焼入性を向上させマルテン
サイト組織を生成させやすくするため、０．２０〜２．
００％に限定した。
【００１０】さらに、本発明は上記のような成分組成
に、Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｔｉ，Ｖ，Ｎｂ，Ｂなどを一種
または二種以上を、必要に応じて添加する。Ｍｏはベイ
ナイト組織の安定的な生成に重要な元素であり、化学成
分の組み合わせあるいは、熱処理条件に応じてベイナイ
ト組織の安定化のために用いる。その添加量の範囲は、
０．１０〜０．６０％で０．１０％未満ではその効果を
期待することができず、また０．６０％を超えるとベイ
ナイト組織の変態速度が極端に低下してしまい、ベイナ
イト組織中にマルテンサイト組織が生成してしまうので
０．１０〜０．６０％に限定した。
に、Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｔｉ，Ｖ，Ｎｂ，Ｂなどを一種
または二種以上を、必要に応じて添加する。Ｍｏはベイ
ナイト組織の安定的な生成に重要な元素であり、化学成
分の組み合わせあるいは、熱処理条件に応じてベイナイ
ト組織の安定化のために用いる。その添加量の範囲は、
０．１０〜０．６０％で０．１０％未満ではその効果を
期待することができず、また０．６０％を超えるとベイ
ナイト組織の変態速度が極端に低下してしまい、ベイナ
イト組織中にマルテンサイト組織が生成してしまうので
０．１０〜０．６０％に限定した。
【００１１】また、ＣｕおよびＮｉもベイナイト組織を
安定的に生成させる元素であり、Ｃｕ，Ｎｉともに固溶
硬化によってベイナイト素地の硬さ向上に有効であり、
Ｃｕは０．０５％未満ではその効果は少なく、０．５０
％を超えると赤熱脆性を生じさせるため０．０５〜０．
５０％に限定した。ＮｉはＣｕの赤熱脆性を緩和させる
元素として公知であるが０．０５％未満では、その効果
および固溶硬化は期待できず、また２．００％を超える
とオーステナイトの安定化によってベイナイト変態速度
を低下させマルテンサイト組織を生成させやすくするた
め、０．０５〜２．００％に限定した。
安定的に生成させる元素であり、Ｃｕ，Ｎｉともに固溶
硬化によってベイナイト素地の硬さ向上に有効であり、
Ｃｕは０．０５％未満ではその効果は少なく、０．５０
％を超えると赤熱脆性を生じさせるため０．０５〜０．
５０％に限定した。ＮｉはＣｕの赤熱脆性を緩和させる
元素として公知であるが０．０５％未満では、その効果
および固溶硬化は期待できず、また２．００％を超える
とオーステナイトの安定化によってベイナイト変態速度
を低下させマルテンサイト組織を生成させやすくするた
め、０．０５〜２．００％に限定した。
【００１２】さらに、Ｔｉ，Ｖ，Ｎｂなどのオーステナ
イト結晶粒微細化元素を添加することによって、ベイナ
イト組織を微細にしレール鋼の靭性および延性を確保す
ることができる。このとき有効なＴｉ添加量は０．０１
％以上であり、０．０５％を超えるとＴｉの炭窒化物が
粗大析出し、レール内部からの疲労損傷起点となるた
め、０．０１〜０．０５％に限定した。ＶはＶ（Ｃ，
Ｎ）の析出によってベイナイト組織を強化することがで
き、この析出硬化は摩耗に寄与しないため金属組織の塑
性フローによる表面損傷の生成に効果的である。この効
果の期待できる下限の添加量は０．０５％であり、０．
３０％を超えるとＶ（Ｃ，Ｎ）の粗大化によってかえっ
て脆化を生じさせるため、０．０５〜０．３０％に限定
した。ＮｂもＶと同様の作用を有しているが、０．０１
％が下限であり、０．０５％を超えるとＮｂの金属間化
合物が生成し、かえって脆化をもたらすため、０．０１
〜０．０５％に限定した。
イト結晶粒微細化元素を添加することによって、ベイナ
イト組織を微細にしレール鋼の靭性および延性を確保す
ることができる。このとき有効なＴｉ添加量は０．０１
％以上であり、０．０５％を超えるとＴｉの炭窒化物が
粗大析出し、レール内部からの疲労損傷起点となるた
め、０．０１〜０．０５％に限定した。ＶはＶ（Ｃ，
Ｎ）の析出によってベイナイト組織を強化することがで
き、この析出硬化は摩耗に寄与しないため金属組織の塑
性フローによる表面損傷の生成に効果的である。この効
果の期待できる下限の添加量は０．０５％であり、０．
３０％を超えるとＶ（Ｃ，Ｎ）の粗大化によってかえっ
て脆化を生じさせるため、０．０５〜０．３０％に限定
した。ＮｂもＶと同様の作用を有しているが、０．０１
％が下限であり、０．０５％を超えるとＮｂの金属間化
合物が生成し、かえって脆化をもたらすため、０．０１
〜０．０５％に限定した。
【００１３】Ｂはオーステナイト粒界から生成するフェ
ライトの生成を抑制する効果があり、ベイナイト組織を
安定的に生成させるためには有効な元素であり、０．０
００５％未満ではその効果が弱く、０．００５０％を超
えて以上添加するとＢの粗大な化合物が生成し、レール
材質を劣化させるため０．０００５〜０．００５０％に
限定した。
ライトの生成を抑制する効果があり、ベイナイト組織を
安定的に生成させるためには有効な元素であり、０．０
００５％未満ではその効果が弱く、０．００５０％を超
えて以上添加するとＢの粗大な化合物が生成し、レール
材質を劣化させるため０．０００５〜０．００５０％に
限定した。
【００１４】上記のような成分組成を有するベイナイト
鋼レールを、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的
で加熱されたオーステナイト域温度以上の熱を保有する
高温度から、レール頭部側面に対局した一対のノズルに
よりレールＧＣを含めたレール側面をレールＧＣ表面が
Ｈｖ３００以上となるように１〜１０℃/secの冷却速度
で室温までを連続的に冷却する。このとき１℃/sec未満
の冷却速度では、ＧＣ部が目的とするＨｖ３００以上の
高硬度を得ることができず、また１０℃/secを超えると
ＧＣ部にマルテンサイト組織が生成してしまうため、冷
却速度範囲を１〜１０℃/secに限定した。さらに、ＧＣ
部の硬さをＨｖ３００以上に限定した理由は、これ未満
の硬さでは在来線のＧＣ部にフレーキング損傷が生成し
てしまい、従来のパーライト組織鋼と比較して改善が認
められないことからＧＣ部の硬さをＨｖ３００以上に限
定した。この熱処理法により、比較的安価に在来線にお
ける耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼を製造す
ることができ、Ｈｖ３００以上の硬さを確保することに
よってその目的を果たすことができる。
鋼レールを、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的
で加熱されたオーステナイト域温度以上の熱を保有する
高温度から、レール頭部側面に対局した一対のノズルに
よりレールＧＣを含めたレール側面をレールＧＣ表面が
Ｈｖ３００以上となるように１〜１０℃/secの冷却速度
で室温までを連続的に冷却する。このとき１℃/sec未満
の冷却速度では、ＧＣ部が目的とするＨｖ３００以上の
高硬度を得ることができず、また１０℃/secを超えると
ＧＣ部にマルテンサイト組織が生成してしまうため、冷
却速度範囲を１〜１０℃/secに限定した。さらに、ＧＣ
部の硬さをＨｖ３００以上に限定した理由は、これ未満
の硬さでは在来線のＧＣ部にフレーキング損傷が生成し
てしまい、従来のパーライト組織鋼と比較して改善が認
められないことからＧＣ部の硬さをＨｖ３００以上に限
定した。この熱処理法により、比較的安価に在来線にお
ける耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼を製造す
ることができ、Ｈｖ３００以上の硬さを確保することに
よってその目的を果たすことができる。
【００１５】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表１
には、本発明鋼の代表的な化学成分と熱処理条件を示
す。また、表２には本発明ベイナイト鋼レールと比較鋼
として従来鋼のパーライト組織レールと、比較鋼ベイナ
イトについて評価試験を行った結果について示す。評価
試験は、１／４に縮尺加工したレール円盤試験片のレー
ル頭部コーナーに相当する位置に所定の熱処理を施し、
同じく１／４に縮尺加工した車輪形状を持った円盤試験
片による、水潤滑試験後のレール試験片表面損傷発生寿
命の比較結果を示す。試験条件として、レールと車輪の
接触条件を直線区間再現としてレール頭表面と車輪中心
を接触させダークスポット損傷特性の評価を、また曲線
区間の接触条件を再現してレールコーナー部と車輪フラ
ンジを接触させフレーキング損傷の評価試験を行った。
には、本発明鋼の代表的な化学成分と熱処理条件を示
す。また、表２には本発明ベイナイト鋼レールと比較鋼
として従来鋼のパーライト組織レールと、比較鋼ベイナ
イトについて評価試験を行った結果について示す。評価
試験は、１／４に縮尺加工したレール円盤試験片のレー
ル頭部コーナーに相当する位置に所定の熱処理を施し、
同じく１／４に縮尺加工した車輪形状を持った円盤試験
片による、水潤滑試験後のレール試験片表面損傷発生寿
命の比較結果を示す。試験条件として、レールと車輪の
接触条件を直線区間再現としてレール頭表面と車輪中心
を接触させダークスポット損傷特性の評価を、また曲線
区間の接触条件を再現してレールコーナー部と車輪フラ
ンジを接触させフレーキング損傷の評価試験を行った。
【００１６】
【表１】
【００１７】
【表２】
【００１８】
【発明の効果】上記実施例からも明らかのように、本発
明によれば、ＧＣ部の硬さがＨｖ３００以上のベイナイ
ト鋼において比較用鋼のパーライト鋼レールと比べてダ
ークスポット損傷生成直線再現寿命の大幅な改善が認め
られ、フレーキング損傷の生成曲線再現寿命において
も、本発明の鋼成分から逸脱するベイナイト組織の比較
用レールに比べて大幅な改善効果が認められた。
明によれば、ＧＣ部の硬さがＨｖ３００以上のベイナイ
ト鋼において比較用鋼のパーライト鋼レールと比べてダ
ークスポット損傷生成直線再現寿命の大幅な改善が認め
られ、フレーキング損傷の生成曲線再現寿命において
も、本発明の鋼成分から逸脱するベイナイト組織の比較
用レールに比べて大幅な改善効果が認められた。
【図１】摩耗試験機における摩耗量とレール材の硬さの
関係を示したもので、パーライト組織レール材とベイナ
イト組織材を比較して示す。
関係を示したもので、パーライト組織レール材とベイナ
イト組織材を比較して示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−330175（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−282448（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−34133（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−316727（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C21D 9/04 C22C 38/00 - 38/60
Claims (2)
- 【請求項１】 重量で Ｃ ；０．１５〜０．４５％ Ｓｉ；０．１５〜１．００％ Ｍｎ；０．３０〜２．００％ Ｃｒ；０．２０〜２．００％ を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
で、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱さ
れたオーステナイト域温度以上の熱を保有する高温度レ
ールを、レール頭部側面から１〜１０℃/secで加速冷却
して、レール頭部コーナー部表面の硬さをＨｖ３００以
上にすることを特徴とする耐表面損傷性に優れたベイナ
イト鋼レールの製造方法。 - 【請求項２】 重量で Ｃ ；０．１５〜０．４５％ Ｓｉ；０．１５〜１．００％ Ｍｎ；０．３０〜２．００％ Ｃｒ；０．２０〜２．００％ を含有し、さらに Ｍｏ；０．１０〜０．６０％ Ｃｕ；０．０５〜０．５０％ Ｎｉ；０．０５〜２．００％ Ｔｉ；０．０１〜０．０５％ Ｖ ；０．０５〜０．３０％ Ｎｂ；０．０１〜０．０５％ Ｂ ；０．０００５〜０．００５０％の一種または二種
以上 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
で、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱さ
れたオーステナイト域温度以上の熱を保有する高温度レ
ールを、レール頭部側面から１〜１０℃/secで加速冷却
して、レール頭部コーナー部表面の硬さをＨｖ３００以
上にすることを特徴とする耐表面損傷性に優れたベイナ
イト鋼レールの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10482393A JP3287496B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10482393A JP3287496B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06316728A JPH06316728A (ja) | 1994-11-15 |
| JP3287496B2 true JP3287496B2 (ja) | 2002-06-04 |
Family
ID=14391124
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10482393A Expired - Lifetime JP3287496B2 (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 耐表面損傷性に優れたベイナイト鋼レールの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3287496B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN106435367A (zh) * | 2016-11-23 | 2017-02-22 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种贝氏体钢轨及其制备方法 |
| RU2639373C1 (ru) * | 2016-09-23 | 2017-12-21 | Александр Поликарпович Лялин | Летательный аппарат-1 |
| RU2766483C2 (ru) * | 2021-07-21 | 2022-03-15 | Александр Поликарпович Лялин | Мультиплан |
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