JP3117916B2 - 耐摩耗性に優れたパーライト系レールの製造法 - Google Patents

耐摩耗性に優れたパーライト系レールの製造法

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JP3117916B2
JP3117916B2 JP08237085A JP23708596A JP3117916B2 JP 3117916 B2 JP3117916 B2 JP 3117916B2 JP 08237085 A JP08237085 A JP 08237085A JP 23708596 A JP23708596 A JP 23708596A JP 3117916 B2 JP3117916 B2 JP 3117916B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重荷重鉄道のレー
ルに要求される耐摩耗性を大きく向上させたパーライト
系レールの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道輸送の高効率化の手段として、列車
速度の向上や列車積載重量の増加が図られている。この
ような鉄道輸送の効率化はレール使用環境の過酷化を意
味し、レール材質の一層の改善が要求されるに至ってい
る。具体的には、海外の重荷重鉄道の曲線区間に敷設さ
れたレールでは摩耗が急激に増加し、レールの摩耗寿命
の点で問題視されるようになった。
【0003】しかしながら、最近のレール高強度化熱処
理技術の向上により、共析炭素鋼を用いた微細パーライ
ト組織を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レー
ルが開発され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛
躍的に改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報参照)。 Cr,Nbなどの合金を添加し、耐摩耗性ばかりでな
く溶接部の硬度低下を改善した低合金熱処理レールの製
造法(特公昭59−19173号公報参照)。 これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼による微細パ
ーライト組織を呈する高強度(高硬度)レールであり、
その目的とするところは耐摩耗性を向上させるところに
あった。
【0004】しかし、近年、海外の重荷重鉄道ではより
一層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高積載化を
強力に進めており、特に急曲線のレールでは上記開発の
レールを用いても耐摩耗性が確保できず、摩耗によるレ
ール寿命の低下が問題となってきた。このような背景か
ら、現状の共析炭素含有の高強度レール以上の耐摩耗性
を有するレールの開発が求められるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の共析炭素成分の
パーライト組織を呈したレール鋼においては、耐摩耗性
を向上させるため、パーライト組織中のラメラ間隔を微
細化し、硬さを向上させる方法が用いられている。しか
し、共析炭素成分のパーライト組織を呈したレール鋼で
は現状の硬さが上限(Hv420)であり、硬さの向上
を狙って熱処理冷却速度や合金の添加量を増加させる
と、パーライト組織中にベイナイトやマルテンサイト組
織が生成し、レールの耐摩耗性や靭性を低下させるとい
った問題点があった。また、もう一つの解決方法として
はパーライト組織より耐摩耗性が高い金属組織を呈した
材料をレール鋼として使用する方法が考えられるが、レ
ールと車輪のようなころがり摩耗環境下では微細パーラ
イト組織よりも安価で耐摩耗性に優れた材料は見いださ
れていないのが現状である。
【0006】従来レール鋼として用いられている共析炭
素成分のパーライト組織は硬さの低いフェライト組織と
板状の硬いセメンタイト組織の層状構造になっている。
本発明者らはパーライト組織の摩耗機構を解析した結
果、まずはじめに車輪の通過により柔らかなフェライト
相が絞り出され、その後ころがり面直下に硬いセメンタ
イト相のみが積層化し、耐摩耗性が確保されていること
を確認した。そこで、本発明者らは耐摩耗性を向上させ
るためパーライト組織の硬さを向上させると同時に、炭
素量を高くし、耐摩耗性を確保しているパーライト組織
中の板状の硬いセメンタイト相の比率を増加させ、ころ
がり面直下でのセメンタイト相密度を高めることによ
り、耐摩耗性が飛躍的に向上することを実験により見い
だした。
【0007】しかし、耐摩耗性を向上させるため炭素量
を増加させると、レール頭部に初析セメンタイトが生成
し易く、レールの靭性および延性が大きく低下するとい
った問題点があった。この問題に対して、特願平7−4
6753号明細書に示すようにレール頭部を加速冷却す
る方法が開発されたが、鋳片中心偏析部の炭素等の濃化
が著しく激しい場合には、加速冷却が行われないレール
柱部では初析セメンタイトが生成し易く、柱部の靭性が
低下するといった問題点があった。しかし、このような
問題点があるにも関わらず、この柱部の初析セメンタイ
トの生成を防止し、かつ、頭部においてセメンタイト比
率が高く、硬さの高いパーライト組織を安定的に生成さ
せるレール製造法については十分な検討が行われていな
かった。
【0008】そこで、本発明者らは柱部の初析セメンタ
イトの生成を抑制し、かつ、頭部においてセメンタイト
比率が高く、硬さの高いパーライト組織を安定的に生成
させる冷却方法を実験により検討した。その結果、熱間
圧延直後または再加熱されたレール頭部を1〜10℃/s
ecで加速冷却することにより、セメンタイト比率が高
く、硬さの高いパーライト組織を安定的に生成させ、同
時にレール柱部において、初析セメンタイトが生成し易
いパーライト変態開始直前の高温度域を1〜10℃/sec
で加速冷却することにより、初析セメンタイトの生成を
抑制できることを確認した。
【0009】以上の結果から、本発明者らはレール頭部
の耐摩耗性の向上、さらに、レール柱部の靭性低下を防
止するため、まず、レール鋼の炭素量を増加させ、同時
に、熱間圧延直後または再加熱されたレール頭部および
柱部を加速冷却することにより、レール頭部の硬さおよ
びレール柱部の靭性を確保し、耐摩耗性に優れた高強度
レールが製造できることを確認した。すなわち本発明
は、重荷重鉄道のレールに要求される耐摩耗性を大きく
向上させたレールを低コストで提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは、重量%
で、C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10
〜1.00%、Mn:0.10〜1.50%を含有し
て、さらに必要に応じて、Cr:0.05〜1.00
%、 Mo:0.01〜0.20%、V :0.02
〜0.30%、 Nb:0.002〜0.050%、
Co:0.10〜2.00%、 B :0.0005
〜0.0050%の1種または2種以上を含有して、残
部が鉄および不可避的不純物からなる熱間圧延した高温
度の熱を保有する鋼レール、あるいは熱処理する目的で
高温に加熱された鋼レールの頭部および柱部において、
頭部をオーステナイト域温度から700〜500℃の間
の温度までを1〜10℃/secで加速冷却し、さらに、柱
部をオーステナイト域温度から750〜600℃の間の
温度までを1〜10℃/secで加速冷却することを特徴と
する耐摩耗性に優れたパーライト系レールの製造法であ
る。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明においてレールの化学成分を上記のように限
定した理由について説明する。Cはパーライト変態を促
進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素であ
り、通常のレール鋼としてはC量0.60〜0.85%
が添加されているが、C量0.85%以下では耐摩耗性
の向上を図るためのパーライト組織中のセメンタイト密
度が確保できず、さらに、レール頭部内部疲労損傷の起
点となる初析フェライトが生成し易くなる。また、C量
が1.20%を超えると、熱処理後のレール頭部や柱部
に初析セメンタイトが多く生成し、延性および靭性が低
下するため、C量を0.85超〜1.20%に限定し
た。
【0012】Siはパーライト組織中のフェライト相へ
の固溶体硬化により強度を向上させる元素であるが、
0.10%未満ではその効果が十分に期待できず、ま
た、1.00%を超えるとレールの脆化をもたらし溶接
性も低下するので、Si量を0.10〜1.00%に限
定した。
【0013】Mnはパーライト変態温度を低下させ、焼
き入れ性を高めることによって高強度化に寄与し、さら
に、初析セメンタイトの生成を抑制する元素であるが、
0.10%未満の含有量ではその効果が小さく、熱処理
後のレール頭部の硬さが低下し、初析セメンタイトが生
成し易くなる。また、1.50%を超えるとレールの靭
性に有害なマルテンサイト組織を生成させ易くするた
め、Mn量を0.10〜1.50%に限定した。なお、
Mnが1.00%を超えると、高炭素の本成分系では、
添加元素の組み合わせや冷却条件によっては、偏析部に
微量なマルテンサイト組織が生成する場合がある。この
微量なマルテンサイト組織はレールの靭性や耐摩耗性に
大きな影響を及ぼさないが、熱処理においてパーライト
組織を安定的に生成させるには、Mn量を0.10〜
1.00%の範囲とすることが望ましい。
【0014】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種または2種以上を添加する。 Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜
0.20%、V :0.02〜0.30%、 Nb:
0.002〜0.050%、Co:0.10〜2.00
%、 B :0.0005〜0.005%
【0015】次に、これらの化学成分を上記のように定
めた理由について説明する。Crはパーライトの平衡変
態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にし
て高強度化に寄与すると同時に、パーライト組織中のセ
メンタイト相を強化することによって耐摩耗性を向上さ
せる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さ
く、1.00%を超える過剰な添加はマルテンサイト組
織を多量に生成させ、鋼を脆化させるため、Cr添加量
を0.05〜1.00%に限定した。なお、Crが0.
60%を超えると、高炭素の本成分系では、添加元素の
組み合わせや冷却条件によっては、偏析部に微量なマル
テンサイト組織が生成する場合がある。この微量なマル
テンサイト組織はレールの靭性や耐摩耗性に大きな影響
を及ぼさないが、熱処理においてパーライト組織を安定
的に生成させるには、Cr量を0.05〜0.60%の
範囲とすることが望ましい。
【0016】MoはCr同様パーライトの平衡変態点を
上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にすること
により高強度化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素で
あるが、0.01%未満ではその効果が小さく、0.2
0%を超える過剰な添加は、パーライト変態速度を低下
させて靭性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くな
るため、Mo添加量を0.01〜0.20%に限定し
た。
【0017】Vは熱間圧延時の冷却過程で生成したV炭
・窒化物による析出硬化で強度を高め、さらに、高温度
に加熱する熱処理が行われる際に結晶粒の成長を抑制す
る作用によりオーステナイト粒を微細化させ、レールに
要求される強度と靭性を向上させるのに有効な成分であ
るが、0.02%未満ではその効果が期待できず、0.
30%を超えて添加してもそれ以上の効果が期待できな
いことから、V量を0.02〜0.30%に限定した。
【0018】NbはVと同様にNb炭・窒化物を形成し
てオーステナイト粒を細粒化する有効な元素であり、そ
のオーステナイト粒成長抑制効果はVよりも高温度域
(1200℃近傍)まで作用し、レールの延性と靭性を
改善する。その効果は、0.002%未満では期待でき
ず、また、0.050%を超える過剰な添加を行っても
それ以上の効果が期待できない。従って、Nb量を0.
002〜0.050%に限定した。
【0019】Coはパーライトの変態エネルギーを増加
させて、パーライト組織を微細にすることにより強度を
向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果
が期待できず、また、2.00%を超える過剰な添加を
行ってもその効果が飽和域に達するため、Co量を0.
10〜2.00%に限定した。
【0020】Bは旧オーステナイト粒界から生成する初
析セメンタイトを抑制する効果があり、パーライト組織
を安定的に生成させるために有効な元素である。しか
し、0.0005%未満ではその効果が弱く、0.00
50%を超えて添加するとBの粗大な炭ほう化物が生成
し、レールの延性および靭性等を劣化させるため0.0
005〜0.0050%に限定した。
【0021】上記のような成分組成で構成されるレール
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に加熱されたレールの頭部およ
び柱部を加速冷却し、レール頭部のパーライト組織の硬
さの向上を図り、柱部初析セメンタイト組織の生成を防
止する。ここで、図1に本発明の耐摩耗パーライト系レ
ールの横断面での呼称を示す。レールは頭部:1、柱
部:2、底部:3を有しており、この柱部:2はレール
の頭部:1と底部:3に挟まれた部分である。
【0022】次に、各冷却停止温度範囲および加速冷却
速度を上記のように定めた理由を詳細に説明する。ま
ず、レール頭部をオーステナイト域温度から加速冷却停
止温度700〜500℃の間までを1〜10℃/secで加
速冷却する理由について説明する。700℃を超える温
度で加速冷却を停止すると、加速冷却直後に、粗大で、
かつ、硬さの低いパーライト組織が多く生成し、レール
頭部の耐摩耗性に必要な硬さが確保できないため、70
0℃以下に限定した。また、500℃未満まで加速冷却
を行うと、加速冷却後にレール内部からの十分な自然復
熱が期待できず、レールの靭性、耐摩耗性に有害なマル
テンサイト組織が生成し易くなるため、500℃以上に
限定した。
【0023】加速冷却速度を1〜10℃/secに限定した
のは、加速冷却速度が1℃/sec未満になると、加速冷却
途中の高温度域で、粗大で、かつ、硬さの低いパーライ
ト組織が多く生成し、レール頭部の耐摩耗性に必要な硬
さが確保できないことや、レールの靭性および延性に有
害な初析セメンタイトが多く生成するため、1℃/sec以
上に限定した。また、10℃/sec以上の冷却速度で加速
冷却を行うと、加速冷却中にパーライト変態が終了せ
ず、加速冷却途中やその後の自然冷却領域でレールの靭
性、耐摩耗性に有害なマルテンサイトやベイナイトなど
の異組織が生成するため、1〜10℃/secに限定した。
【0024】次に、レール柱部をオーステナイト域温度
から加速冷却停止温度750〜600℃の間までを1〜
10℃/secで加速冷却する理由について説明する。75
0℃を超える温度で加速冷却を停止すると、その後の自
然冷却領域で柱部の中心偏析線に沿って初析セメンタイ
トが生成し、レール柱部の靭性が大きく低下するため、
750℃以下に限定した。また、600℃未満まで加速
冷却を行うと、その後の自然冷却領域でパーライト変態
が終了せず、中心偏析線に沿ってマルテンサイト組織が
生成し易く、レール柱部の靭性が大きく低下するため、
600℃以上に限定した。
【0025】加速冷却速度を1〜10℃/secに限定した
のは、加速冷却速度が1℃/sec未満になると、加速冷却
途中の高温度域で中心偏析線に沿って初析セメンタイト
が生成し、レール柱部の靭性が大きく低下するため、1
℃/sec以上に限定した。また、10℃/secを超える冷却
速度で加速冷却を行うと、その後の自然冷却領域でパー
ライト変態が終了せず、偏析線に沿ってマルテンサイト
組織が生成し、レール柱部の靭性が低下するため、1〜
10℃/secに限定した。
【0026】従って、パーライト系組織を呈した耐摩耗
性に優れたレールを製造するには、レール頭部におい
て、粗大で、かつ、硬さの低いパーライト組織の生成を
防止し、延性、靭性および耐摩耗性に有害な初析セメン
タイト、ベイナイトおよびマルテンサイト組織が生成し
ないように、オーステナイト域温度から700〜500
℃の間の温度までを1〜10℃/secで加速冷却し、硬さ
の高いパーライト組織を安定的に生成させ、さらに、レ
ール柱部において、靭性に有害な初析セメンタイト組織
が生成しないように、オーステナイト域温度から750
〜600℃の間の温度までを1〜10℃/secで加速冷却
し、パーライト組織を安定的に生成させる必要がある。
【0027】なお、レールの金属組織としてはパーライ
ト組織であることが望ましいが、成分系、冷却速度およ
び素材の偏析状態によっては、レール頭部および柱部の
パーライト組織中に微量な初析セメンタイトが生成する
ことがある。しかし、パーライト組織中に微量な初析セ
メンタイトが生成してもレールの延性、靭性、耐摩耗性
および強度に大きな影響をおよぼさないため、本パーラ
イト系レールの組織としては若干の初析セメンタイト組
織の混在も含んでいる。
【0028】加速冷却時の冷却媒体としては空気あるい
はミストなどの気液混合物を用いることが望ましい。な
お、加速冷却時のレール頭部と柱部の冷却速度は冷却時
に噴射する冷却媒体の量および速度を独立に制御するこ
とによって確保することができる。また、加速冷却後の
レール頭部の硬さについては耐摩耗性を確保する点でH
v320以上とすることが望ましい。なお、このHv3
20以上の硬さの領域は、レール寿命を確保する点で、
図2に示すように、レール頭頂部aおよびレール頭部コ
ーナー部bにおいて頭部表面(頭側部全体を含む)を起
点として少なくとも深さ20mmの範囲であることが望ま
しい。
【0029】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1−1、表1−2に本発明レール鋼の化学成分および冷
却条件を示す。さらに、表2には冷却後のレール頭部の
硬さ、組織、図3に示す西原式摩耗試験機によるレール
頭部材料の摩耗特性評価結果、および、レール柱部中心
偏析部の組織、シャルピー衝撃試験機による衝撃特性評
価結果も併記した。図において、4はレール試験片、5
は相手材、6は冷却ノズルである。また、表3に比較レ
ール鋼の化学成分および冷却条件を示す。さらに、表4
には冷却後のレール頭部の硬さ、組織、図3に示す西原
式摩耗試験機によるレール頭部材料の摩耗特性評価結
果、および、レール柱部中心偏析部の組織、シャルピー
衝撃試験機による衝撃特性評価結果も併記した。
【0030】なお、レールの構成は以下のとおりであ
る。 ・本発明レール鋼(16本) 符号:A〜P :上記成分範囲でレール頭部および柱部に上記限定範囲
内の加速冷却を施した熱処理レール。 ・比較レール鋼(7本) 符号:Q〜W :共析炭素含有鋼による比較レール(Q〜S)および上
記成分範囲内でレール柱部に上記限定範囲外の冷却を施
した熱処理レール(T〜W)。
【0031】摩耗試験条件は以下のとおりとした。 ・試験機 :西原式摩耗試験機(図3参照) ・試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm,厚さ:8mm) ・試験荷重 :686N ・すべり率 :20% ・相手材 :パーライト鋼(Hv390) ・雰囲気 :大気中 ・冷却 :圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min) ・繰返し回数:70万回
【0032】また、衝撃試験条件は以下のとおりとし
た。 ・試験片 :JIS3号2mmUノッチシャルピー衝撃試験片 ・試験温度 :常温(+20℃)
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】本発明および比較レール鋼の頭部硬さ
(Hv)と摩耗量(g/70万回)の関係を図4に示
す。また、柱部衝撃値(J/cm2 )と頭部摩耗量との関
係を図5に示した。図4に示したように本発明レール鋼
は共析炭素含有の比較レール鋼(符号:Q〜S)よりも
炭素量を高め、同時に熱処理を行うことにより、比較レ
ール鋼よりも同一硬さで摩耗量が少なく、耐摩耗性が大
きく向上している。また、図5に示すように本発明レー
ル鋼はレール柱部に適切な熱処理を行うことにより、比
較レール鋼(符号:T〜W)と比べて高炭素成分におい
ても柱部初析セメンタイトの生成が防止でき、レール頭
部の耐摩耗性と柱部の靭性を十分に確保することが可能
となる。このように本発明によれば、重荷重鉄道におい
て耐摩耗性に優れたレールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レールの横断面での呼称を示す図。
【図2】レール頭部軸断面における各部の呼称を示す
図。
【図3】西原式摩耗試験機の概略図。
【図4】表1に示す本発明レール鋼と表2に示す比較レ
ール鋼(符号:Q〜S)の頭部摩耗試験結果を硬さと摩
耗量の関係で比較した図。
【図5】表1に示す本発明レール鋼と表2に示す比較レ
ール鋼(符号:T〜W)の柱部衝撃値と頭部摩耗量の関
係を示した図。
【符号の説明】
1:頭部 2:柱部 3:底部 a:レール頭頂部 b:レール頭部コーナー部 4:レール試験片 5:相手材 6:冷却ノズル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−279929(JP,A) 特開 昭63−28824(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50%を含有して、残部が鉄およ
    び不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延した高温度の熱
    を保有する鋼レール、あるいは熱処理する目的で高温に
    加熱された鋼レールの頭部および柱部において、頭部を
    オーステナイト域温度から700〜500℃の間の温度
    までを1〜10℃/secで加速冷却し、さらに、柱部をオ
    ーステナイト域温度から750〜600℃の間の温度ま
    でを1〜10℃/secで加速冷却することを特徴とする耐
    摩耗性に優れたパーライト系レールの製造法。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.10〜1.50%を含有して、さらに Cr:0.05〜1.00%、 Mo:0.01〜0.20%、 V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.05%、 Co:0.10〜2.00%、 B :0.0005〜0.005%の1種または2種以
    上を含有して、残部が鉄および不可避的不純物からなる
    鋼を熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
    は熱処理する目的で高温に加熱された鋼レールの頭部お
    よび柱部において、頭部をオーステナイト域温度から7
    00〜500℃の間の温度までを1〜10℃/secで加速
    冷却し、さらに、柱部をオーステナイト域温度から75
    0〜600℃の間の温度までを1〜10℃/secで加速冷
    却することを特徴とする耐摩耗性に優れたパーライト系
    レールの製造法。
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