JP3281767B2 - ランダム異捲縮糸 - Google Patents

ランダム異捲縮糸

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JP3281767B2
JP3281767B2 JP20926295A JP20926295A JP3281767B2 JP 3281767 B2 JP3281767 B2 JP 3281767B2 JP 20926295 A JP20926295 A JP 20926295A JP 20926295 A JP20926295 A JP 20926295A JP 3281767 B2 JP3281767 B2 JP 3281767B2
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道雄 久保田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランダム異捲縮糸
に関する。更に詳しくは、互いに異なる捲縮波形を有す
るフィラメントを混繊、合糸過程を施すことなく、同一
マルチフィラメント中に混在させた天然繊維ライクなふ
くらみ感、嵩高性と共に、ハリ、コシ感を有するランダ
ム異捲縮糸に関する。
【0002】
【従来の技術】天然繊維、例えばウ−ル、シルク、綿な
どは、合成繊維に比較して個々の単繊維の繊度、形状、
クリンプ等の構造上或いは物性上のバラツキが大きいと
いう特徴を有している。このような構造、物性のバラツ
キのため、合成繊維製品に比べふくらみが大きく、風合
いが良好である。
【0003】合成繊維でもこのようなふくらみを発現さ
せるために、収縮率の異なる2本以上の糸を混繊し、弛
緩熱処理したものが挙げられる。かかる加工法では、フ
ィラメント間に繊度差をつけて収縮特性の差を付与した
ものであるが、これは同じ捲縮波形のフィラメントの集
合である為に、ふくらみ感は発現するが、未だ尚フラッ
トで単調な感じを与えるものである。
【0004】又、固有粘度の違う2種のポリエステル重
合体を貼合せてサイド・バイ・サイド型にした複合繊維
糸条は広く知られている。このようなポリエステル糸条
では捲縮は発現するが、2種の成分の複合比率が全ての
糸条で実質的に同一であり、未尚フラットで単調な感じ
しかなく、天然繊維ライクな風合いを発現できない。
【0005】このようなフラット感を改善するために、
捲縮波形の異なる2本以上の糸を別々に製造し、混繊す
る方法もある。例えば、特公昭63−30421号公報
には、捲縮率の異なるポリエステル系フィラメントが混
繊された捲縮糸を製造する際、ポリマ−成分間の固有粘
度差のあるサイド・バイ・サイド型複合繊維を形成さ
せ、互いの複合比が異なる実質的に同一繊度のフィラメ
ントを加熱流体押込ノズルにより混繊、捲縮加工する異
捲縮混繊糸が開示されている。しかしながら、この方法
では別々に得られた糸を混繊することによる製造工程の
複雑さ或いは煩雑さが生じるばかりか、この方法で得ら
れたフィラメントも捲縮波形の変化が少なく、充分なふ
くらみ感を与えることができない。
【0006】一方、特開平2−221414号公報およ
び特開平2−221415号公報には、2種のポリエス
テル重合体成分A、Bからなる貼り合わせ型フィラメン
ト群と、重合体成分A及び重合体成分Bが各々100%
で構成される捲縮のないフィラメント群とが混在してな
る複合繊維糸条が開示されている。この方法は、2種の
重合体成分A、Bの複合比率を変えるために、紡糸口金
内に設けた各種孔径の異なった前板を有する紡糸口金か
ら紡出するものである。孔径を変えることによりA、B
両成分の複合比率を制御することができるし、A、B成
分のみの部分による織編物のハリ、コシ感は発現する。
しかしながら、該公報の発明に基づいて得られた織編物
の風合いは、従来のサイド・バイ・サイド型の糸の混繊
糸等からのものとさほど変わらない。
【0007】又、特開平4−136209号公報にも、
口金内で2種のポリマ−の流量を制御して複合比率を変
える方法が開示されている。この方法も口金内のポリマ
−の流量を、孔径を変えて複合比率を特定の値に制御す
るものである。しかしながら、該公報は、口金により複
合比率を変える方法についてのものであるが、得られる
織編物の風合いは際立って良好とは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来技
術の欠点を改善し、互いに異なった捲縮波形を有するフ
ィラメントをマルチフィラメント中に混在させ、天然繊
維ライクなふくらみ感、嵩高性や、得られる織編物がハ
リ、コシ感を有するランダム異捲縮糸を提供するもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
行なった結果、本発明を完成した。まず、(1)捲縮を
発現させるために、収縮性の大きいポリエステル(A成
分)と収縮性の小さいポリエステル(B成分)をサイド
・バイ・サイド型に接合させ、A成分とB成分の収縮特
性の違いを利用して捲縮性能を発現させた。しかも、各
フィラメントにおけるA成分とB成分の複合比率が互い
に異なるフィラメントの集合体とすることにより、従来
にない充分なふくらみ感、嵩高性を付与することができ
た。
【0010】次に、(2)A成分のみ、B成分のみの各
フィラメントを混在させることにより更に捲縮波形の変
化を大きくした。この方法により捲縮波形の異なる糸を
混繊或いは合糸することなく、マルチフィラメント中に
混在することができた。
【0011】更に、(3)A成分とB成分の複合比率
を、捲縮により発現するクリンプの数、及び沸水収縮率
の最大値と最小値の差(以下ΔShmax と記す。)が所
定の値になるように制御した。即ち、クリンプの数と得
られる織編物の風合い、ハリ、コシ等の相関性から最も
よいクリンプの数になるように、A成分とB成分の複合
比率を決定した。即ち、クリンプの数が多いフィラメン
ト、クリンプの数が中程度のフィラメント、クリンプの
数が少ないか、或いはクリンプが生じないフィラメント
が所定の割合で混在するように、A成分とB成分の複合
比率を制御した。この方法によって、天然繊維に限りな
く近いふくらみ感、嵩高性を有し、かつハリ、コシ感を
与える織編物の作成が可能となった。
【0012】即ち、本発明は、マルチフィラメント中の
各フィラメントが、(1)収縮性の大なるポリエステル
(A成分)と収縮性の小なるポリエステル(B成分)よ
りなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フ
ィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合
繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分のみから
なるフィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィ
ラメントの3種が実質的に同一繊度で混在しており、マ
ルチフィラメント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜3
0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とする
ランダム異捲縮糸である。
【発明の実施の形態】
【0013】本発明で言うランダム異捲縮糸とは、単一
フィラメントの横断面においてA成分とB成分のサイド
・バイ・サイド型の接合形態を有する複合フィラメン
ト、及びA成分のみのフィラメント、及びB成分のみの
フィラメントの計3種が混在しているマルチフィラメン
トを言う。サイド・バイ・サイド型のフィラメントの任
意の横断面における接合形態は、該フィラメントの長手
方向に沿って一様に連続していることが好ましいが、そ
の一部に非連続構造を含んでいてもよい。一様に連続し
た構造を有する糸は、紡糸、延伸操業性が良好な事や製
品となってから欠点を出さないという点から好ましい。
ここで、接合形態とは、A成分とB成分の貼り合わせの
形態を言う。
【0014】前記複合フィラメントのサイド・バイ・サ
イド型の接合形態は、本発明の目的、効果を損なわない
限り、A成分とB成分がどのように接合されもよい。
又、該複合フィラメントの断面形状は、A成分とB成分
がサイド・バイ・サイド型の接合形態を形成でき、か
つ、本発明の目的とする捲縮性能が発現するものであれ
ば、丸断面、三角断面、Y断面、U断面、偏平断面等の
公知の形状のいずれでもよい。又、本発明のランダム
捲縮糸における前記A成分、或いはB成分のみからなる
フィラメントもその断面形状はこれら各種の形状を取る
ことができる。
【0015】本発明で使用するA成分は、熱収縮特性の
大きなポリエステルである必要があり、詳しくはフィラ
メントの沸収値が10%以上、好ましくは15%以上、
更に好ましくは20%以上であるポリエステルを言う。
A成分としては、通常のポリエステル、例えばテレフタ
ル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とす
るジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル又は1,4
−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からな
る芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する際に、第
三成分として一般式
【化1】 (式中、Rは水素原子或いはメチル、エチル、n−プロ
ピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基等
のアルキル基を記す。)で表されるイソフタル酸或いは
その脂肪族エステル類、或いは一般式
【化2】 (式中、Xは、水素原子或いはメチル、エチル、n−プ
ロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基
等のアルキル基を、l、mは整数を、Bは水素原子又は
メチル基を記す。)で表されるビスフェノ−ルA骨格を
有する化合物、或いは一般式
【化3】 (式中、Yは、水素原子或いはメチル、エチル、n−プ
ロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基
等のアルキル基を、l、mは整数を、Bは水素原子又は
メチル基を記す。)で表されるビスフェノ−ルS骨格を
有する化合物を共重合せしめて得られる。
【0016】A成分に共重合せしめる第三成分の添加配
合量は、3.0〜30重量%、好ましくは5.0〜20
重量%である。3.0重量%より少ないと、充分な収縮
性能が得られず、目的とする嵩高性、ふくらみ感を発現
できない。又、30重量%より多いと、ポリマ−の力学
的物性或いは熱的物性が低下するばかりか、収縮性が高
すぎるため粗硬感が増したり、共重合成分を添加したポ
リエステルが濃染となりすぎ、織編物の均一染色が劣
る。
【0017】本発明で使用するB成分は、熱収縮特性の
小さなポリエステルである必要があり、詳しくはフィラ
メントの沸収値が10%未満、好ましくは5%以下、更
に好ましくは3%以下であるポリエステルを言う。B成
分のポリエステルとしては、通常のポリエステル、例え
ばテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を
主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル
又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル
成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造す
る際、第三成分を添加することなくそのまま用いるか、
或いはA成分を製造する際、A成分に共重合させる化合
物を、A成分における添加配合量よりも3.0重量%以
上少なくした共重合ポリエステルが挙げられる。
【0018】A成分、B成分共に第三成分を共重合させ
たポリエステルを使用する場合、A成分とB成分の添加
配合量の差が3.0重量%より小さいと、A成分、B成
分の収縮特性の違いによる充分な捲縮が得られず、目的
とする嵩高性が発現できない。
【0019】かかるA成分、B成分のポリエステルの製
造時或いは成形加工時に、顔料、艶消し剤、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制電剤及び有機アミ
ン、有機カルボン酸アミドなどのエ−テル結合抑制剤
等、必要に応じ種々使用してもよい。
【0020】本発明のランダム異捲縮糸の一つの成分で
ある複合繊維からなるフィラメントは、A成分とB成分
をサイド・バイ・サイド型に接合させ、A成分とB成分
の収縮特性の違いを利用して捲縮を発現させるものであ
る。この成分中に更にA成分のみからなるフィラメン
ト、或いはB成分のみからなるフィラメントを混在させ
て、本発明の目的を達成させた。
【0021】本発明では、A成分とB成分の複合比率
(A成分/B成分)は、マルチフィラメント中にクリン
プの数が、 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜3
0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつマルチフィラメントの熱水収縮率のΔSh
max が10〜30%となるように制御する。即ち、クリ
ンプの数、熱水収縮特性を制御するために複合比率を制
御させることにより、限りなく天然繊維に近いふくらみ
感、嵩高性及びハリ、コシ感を与えることができる。こ
こで、複合比率とは、繊維の横断面でA成分とB成分の
ポリマーが占有する割合で重量%で表す。
【0022】マルチフィラメント中にクリンプの数が、
10個/インチ未満のフィラメントは、マルチフィラメ
ント中で小さな捲縮性能或いはフクラミ感や表面毛羽感
を発現させるものである。この割合が60%を越える
と、嵩高性を示す残りのフィラメントが少なすぎ、良好
な天然繊維ライクな風合いを発現できない。又、40%
より少ないと、織編物のハリ、コシ感のないものが得ら
れる。
【0023】マルチフィラメント中にクリンプの数が、
10以上20個/インチ未満のフィラメントは、マルチ
フィラメント中で最も重要な働きをするもので、適度な
ふくらみ、ハリ、コシ感及び毛羽感等を与える。この割
合が30%を越えると、嵩高性を示すフィラメント又
は、小さな捲縮性能或いはハリ、コシ感を与えるフィラ
メントの量を適度なものにすることができず、良好な天
然繊維ライクな風合いを発現できない。又、20%より
少ないと、中程度の捲縮性能を示すフィラメントが少な
く、捲縮波形の変化が小さいものとなる。
【0024】マルチフィラメント中にクリンプの数が、
20個/インチ以上のフィラメントは、マルチフィラメ
ント中で大きな捲縮性能を発現させるものである。この
割合が30%を越えると、嵩高性を示すフィラメントが
多くなりすぎ、粗硬感が増し好ましくない。又、20%
より少ないと、嵩高性を示すフィラメントが少なすぎ、
良好な天然繊維ライクな風合いを発現できない。
【0025】クリンプの数を変化させるためには、フィ
ラメントを構成するA成分とB成分の比率を制御する方
法や、延伸条件を変えるなどして行うことができる。例
えば、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメン
トは、A成分/B成分が通常好ましくは0/10〜1/
2、又は5/1〜10/0、10以上20個/インチ未
満のフィラメントは、A成分/B成分が通常好ましくは
1/2〜1/1、又は3/1〜5/1、20個/インチ
以上のフィラメントは、A成分/B成分が通常好ましく
は1/1〜3/1になるように制御する。延伸条件は、
ローラーの温度は通常80〜84℃であり、プレートヒ
ーターの温度は通常150℃未満、好ましくは100〜
120℃である。プレートヒーターの温度が150℃以
上の場合、A成分とB成分の複合比率を制御しても、目
的とする良好な捲縮性能が得られない。
【0026】A成分、B成分の複合比率を変える方法
は、例えば、あらかじめ口金内でのポリマーの流路をA
成分、B成分の複合比率に対応するように規制する方法
などが挙げられる。まず、A成分については、A成分の
ポリマーの流路を、A成分のみから構成されるポリマー
と、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構成す
るポリマーに分岐する。B成分についても同様で、B成
分のポリマーの流路を、B成分のみから構成されるポリ
マーと、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構
成するポリマーに分岐する。A成分又はB成分のみから
構成されるポリマーについては、そのまま口金吐出孔か
ら吐出される。一方、A成分とB成分のサイド・バイ・
サイド型を構成するポリマーについては、上記のごとく
分岐された後、A成分/B成分のフィラメント間分布の
複合比率に合わせて、2成分の流路幅を制御した流路会
合を経た後、口金吐出孔より吐出される。
【0027】本発明のランダム異捲縮糸は、該フィラメ
ント間及び各フィラメントの長手方向に沿って、実質的
に同一繊度を有する必要がある。繊度の違いがあると、
該フィラメント間のA成分/B成分の違いによる異なる
捲縮挙動を充分に発現させることができない。又、繊度
ムラがあると、紡糸、延伸時の操業性が著しく低下す
る。ここで、捲縮波形とは、糸のA成分とB成分の収縮
特性の差異により生じた捲縮の出方を平面的に波形に模
した曲線として表したものである。A成分とB成分の複
合比率が実質的に同一である場合の捲縮波形とA成分と
B成分の複合比率が各フィラメントでそれぞれ異なる場
合の捲縮波形をそれぞれ図1、図2に記す。
【0028】熱水収縮率のΔShmax は、同一条件で溶
融紡糸、延伸した糸の沸水収縮率の最大値と最小値の差
を示す。具体的には、例えば紡糸温度285℃、紡糸速
度1000m/分で巻き取った未延伸糸を、次いで、延
伸倍率3.5倍、延伸速度730m/分で84℃のロ−
ラ−ヒ−タ−で延伸し、120℃のプレ−トヒ−タ−で
セットした延伸糸について、任意の点から1mの長さの
試料を10本採取し、各本について荷重0.12gをつ
けてあらかじめ糸の原長を測定しておき、次いで、10
0℃の熱水中に15分間浸して処理し、熱水中から取り
出し、風乾後処理後の糸長を測定し、
【数1】 より算出した全10ケの沸収値の最大値と最小値の差を
言う。
【0029】以上のごとくして得られた延伸糸のΔSh
max は10〜30%である。ΔShmax が10%より小
さいと、織編物とした場合充分な嵩高性が発現できず、
30%より大きいと、収縮性能が高すぎるため粗硬感が
増し好ましくない。
【0030】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明のランダム異捲
縮糸は、各フィラメントの繊度が実質的に同一であり、
単一フィラメントにおけるA成分とB成分の収縮特性の
違いを利用して捲縮を発現させたものである。又、実質
的に同一繊度のフィラメント間におけるA成分とB成分
の複合比率を任意に変え、かつA成分のみ、B成分のみ
のフィラメントを混在させることにより、異なる捲縮波
形を有するフィラメントの集合体とした。そのため織編
物とした場合、捲縮波形が大きいフィラメントは捲縮に
より嵩高性を発現せしめ、捲縮波形が小さいフィラメン
ト或いは実質的に捲縮波形を有しないフィラメントはハ
リ、コシ感を付与せしめることとなる。
【0031】従来のように捲縮波形の異なる糸を、紡糸
後に混繊、合糸することなく、又、複雑な口金を使用す
ることなく、マルチフィラメント中に異なる捲縮波形を
有するフィラメントを混在させることができる。本発明
のランダム異捲縮糸は、工業生産性、経済的に非常に優
れたものであり、衣料用途としても最適なものである。
【0032】本発明の最善実施態様は、 (1)マルチフィラメント中の各フィラメントが、テレ
フタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分
とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は1,
4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分から
なる芳香族ポリエステル(A成分)と、A成分のポリエ
ステルを公知の方法で製造する際、第三成分として一般
【化4】 で表されるイソフタル酸、或いはそのメチルエステル
体、或いは一般式
【化5】 で表されるビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
体、或いは一般式
【化6】 で表されるビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加
体より任意に選択された化合物の1種を5〜10重量%
共重合せしめた芳香族ポリエステル(B成分)よりなる
サイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フィラメ
ント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維か
らなるフィラメント、及び(2)A成分のみからなるフ
ィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィラメン
トの3種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフ
ィラメント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが50% 10以上20個/インチ未満のフィラメントが30% 20個/インチ以上のフィラメントが20% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とする
ランダム異捲縮糸である。
【0033】(2)マルチフィラメント中の各フィラメ
ントが、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコ
−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ
−ル成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製
造する際、第三成分として一般式
【化7】 で表されるイソフタル酸、或いはそのメチルエステル
体、或いは一般式
【化8】 で表されるビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
体、或いは一般式
【化9】 で表されるビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加
体より任意に選択された化合物の1種を8.0〜15重
量%共重合せしめた芳香族ポリエステル(A成分)と、
テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主
成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は
1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分
からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する
際、第三成分として、A成分に添加配合する第三成分と
同種の化合物の中から任意に選択された化合物の1種を
5〜10重量%共重合せしめた芳香族ポリエステル(B
成分)よりなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有
し、該フィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異
なる複合繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分
のみからなるフィラメント、及び(3)B成分のみから
なるフィラメントの3種が実質的に同一繊度で混在して
おり、マルチフィラメント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが50% 10以上20個/インチ未満のフィラメントが30% 20個/インチ以上のフィラメントが20% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とする
ランダム異捲縮糸である。
【0034】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中「部」とあるのはことわりのない限り「重
量部」を意味し、「%」とあるのはことわりのない限り
「重量%」を意味する。固有粘度〔η〕は、フェノール
/テトラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常
法により求めた。融点は理学電気社製示差走査熱量計
(以下DSCと記す)の吸熱ピ−クより求めた。又、走
査電子顕微鏡(以下SEMと記す。)測定は、明石製作
所社製明石走査電子顕微鏡にて測定した。又、捲縮の数
は、SEM観察或いは肉眼によりある一定長における捲
縮の数を求め、その値を1インチ当たりの数に直したも
のを記載した。
【0035】実施例1 (a)A成分のポリエステルの重合工程 ジメチルテレフタレ−ト1500部、エチレングリコ−
ル1100部、イソフタル酸90.0部(ジメチルテレ
フタレ−トに対して7.0モル%)及び酢酸カルシウム
1.2部とよりなる混合物を155〜220℃で130
分間加熱してエステル交換反応を行った。その後、三酸
化アンチモン0.6部、亜リン酸トリメチル0.5部、
二酸化チタン7.5部を添加し、系内の温度を30分間
要して275℃に,系内の圧力を45分間要して減じて
0.2mmHgとして、このまま60分間反応を続け
た。このポリマ−を索状に押出し切断して2.5mmφ
×3mmの大きさのペレットとした後、水分率0.00
5%まで乾燥した。得られたポリマ−の粘度は〔η〕=
0.63で、融点は256℃であった。
【0036】(b)B成分のポリエステルの重合工程 ジメチルテレフタレ−ト388部、エチレングリコ−ル
248部、ジメチルテレフタレ−トに対して0.07%
の酢酸亜鉛、0.02%のシュウ酸チタニル及び0.0
1%の三酸化アンチモンからなる混合物を150〜23
0℃で120分間加熱しエステル交換反応を行った。そ
の後、系内の温度を30分間要して275℃に,系内の
圧力を45分間要して減じて0.2mmHgとして、こ
のまま60分間反応を続け、ポリマ−を索状に押出し切
断して2.5mmφ×3mmの大きさのペレットとした
後、水分量0.005%まで乾燥した。得られたポリマ
−の粘度は〔η〕=0.65で、融点は263℃であっ
た。
【0037】(c)工程aで得られたポリエステル(A
成分)と工程bで得られたポリエステル(B成分)をA
成分とB成分の接合比率が1:1になるように、それぞ
れ別々のギアポンプで計量してA成分/B成分が10/
0、2/1、1/1、1/20/10となるように、口
金内のポリマーの流路を制御し、かつそれぞれのホール
数がA成分/B成分が10/0、0/10、1/2のホ
ールが合わせて50%、A成分/B成分が1/1のホー
ルが30%、A成分/B成分が2/1のホールが20%
となるように設計された口金を用いて、紡糸温度285
℃、紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸を行った。そ
の後、延伸倍率3.5倍、延伸速度730m/分で84
℃のロ−ラ−ヒ−タ−で延伸し、120℃のプレ−トヒ
−タ−でセットし、50デニール(以下dと記す)/2
4フィラメント(以下fと記す)のマルチフィラメント
を得た。
【0038】得られたマルチフィラメントの画像解析よ
り、該マルチフィラメント中にA成分/B成分が10/
0、0/10、1/2のホールが合わせて52%、A成
分/B成分が1/1のホールが28%、A成分/B成分
が2/1のホールが20%存在していることが判明し
た。
【0039】前述の方法により熱水処理を施したマルチ
フィラメントを風乾した後、SEM測定により、各フィ
ラメントのクリンプの数を算出した。SEM測定の結
果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個
/インチ未満のフィラメントが52%、10以上20個
/インチ未満のフィラメントが28%、20個/インチ
以上のフィラメントが20%存在していた。
【0040】実施例2 イソフタル酸の添加配合量を194.4部(ジメチルテ
レフタレ−トに対して0.15モル%)とする以外、実
施例1(a)記載の工程で製造したものをA成分とし、
又、イソフタル酸の添加配合量を130.0部(ジメチ
ルテレフタレ−トに対して0.10モル%)とする以
外、実施例1(a)記載の工程で製造したものをB成分
とする。この2種のポリエステルを使用して、実施例1
記載の工程で実施した。SEM測定の結果、該マルチフ
ィラメント中に、クリンプの数が10個/インチ未満の
フィラメントが49%、10以上20個/インチ未満の
フィラメントが27%、20個/インチ以上のフィラメ
ントが24%存在していた。
【0041】比較例1 10個/インチ未満のフィラメントが20%、10以上
20個未満/インチのフィラメントが30%、20個/
インチ以上のフィラメントが50%となるように変更す
る以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の
結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10
個/インチ未満のフィラメントが18%、10以上20
個/インチ未満のフィラメントが31%、20個/イン
チ以上のフィラメントが51%存在していた。
【0042】比較例2 10個/インチ未満のフィラメントが70%、10以上
20個未満/インチのフィラメントが20%、20個/
インチ以上のフィラメントが10%となるように変更す
る以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の
結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10
個/インチ未満のフィラメントが68%、10以上20
個/インチ未満のフィラメントが22%、20個/イン
チ以上のフィラメントが10%存在していた。
【0043】得られた延伸糸を平織りにし、熟練者の手
触りで風合い評価を行った。評価は、ふくらみ感、ソフ
ト感、ハリ、コシ感について行い、特に優れているもの
を◎、優れているものを○、やや劣っているものを△、
劣っているものを×と記した。又、総合評価についても
同様な評価で行った。
【0044】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】A成分とB成分の複合比率が実質的に同一であ
る場合の捲縮波形の模式図である。
【図2】A成分とB成分の複合比率が各フィラメント間
でそれぞれ異なる場合の捲縮波形の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−109639(JP,A) 特開 昭58−208418(JP,A) 特開 平1−266220(JP,A) 特開 平2−259135(JP,A) 特開 平6−116826(JP,A) 特開 平4−185729(JP,A) 特開 平3−33246(JP,A) 特開 昭62−85026(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D01D 5/32 D01F 8/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント中の各フィラメント
    が、(1)収縮性の大なるポリエステル(A成分)と収
    縮性の小なるポリエステル(B成分)よりなるサイド・
    バイ・サイド型の複合形態を有し、フィラメント間のA
    成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィ
    ラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメン
    ト、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種
    よりなり、該3種が実質的に同一繊度で混在しており、
    マルチフィラメント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜3
    0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
    値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とする
    ランダム異捲縮糸。
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