JP3278082B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂組成物製造時にス
トランド切れを起こさずかつ耐衝撃性、表面外観性およ
び寸法安定性の物性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成
物、並びにその熱可塑性樹脂組成物を得るのに適用でき
る熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルは、一般に耐酸化
性、耐溶剤性に優れるが、その結晶性が大きいためにソ
リ、ヒケ等が生じ成形品の寸法安定性が特に悪く、また
耐衝撃性や耐熱性に劣る欠点がある。一方、ポリカーボ
ネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性に優れるが、耐溶剤性
に劣り、また溶融粘度が高いため成形が難しく、成形時
の残留応力が生じ易く耐溶剤性に劣る欠点がさらに増長
される。
【0003】熱可塑性ポリエステルとポリカーボネート
の互いの欠点を補完しあうため、両者を溶融混合する方
法(例えば特公昭36−14035号)があり、この組
成物ではポリカーボネート樹脂から見ると、溶融粘度が
低下し成形性が改良され、同時に耐溶剤性も改良される
が、衝撃強度は著しく低下する。また樹脂組成物の組成
物製造時にストランド切れが生じ易く、生産性が悪くな
る。
【0004】さらに第3成分としてABSまたはMBS
グラフト共重合体(例えば特公昭55−9435号)や
酸変性EPR(例えば特開昭57−92045)などの
適当なエラストマーを加えて溶融混合し、高い衝撃強度
を有する熱可塑性樹脂組成物が得られており、各種工業
部品、家電製品や車両の外装部品用材料として広く利用
されている。しかし、成形時の残留歪の無い成形品であ
っても熱変形温度に近い温度下でアニールすると、ポリ
エステル成分の結晶化が進行するために成形品の寸法が
変化するという問題は改良されず、精密部品あるいは塗
装のための加熱処理工程を必要とする部品の材料として
は適していない。また樹脂組成物製造時にストランド切
れが生じ易く、生産性が悪くなるという欠点も解決され
ず残されている。
【0005】熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、及び特定のグラフト共重合体から成る熱可塑
性樹脂組成物に対して、上記欠点を改良するため無機充
填材を配合(例えば、特開昭60−92350、特開昭
63−132961)し、アニールによって生じるソリ
等の寸法変化を減じる試みが見られる。しかし、無機充
填材を配合すると樹脂組成物の衝撃強度が低下したり外
観性が悪化する等の弊害が生じてしまう。
【0006】一方、熱可塑性ポリエステル樹脂の成形材
としての使用は、ほとんどがガラス繊維入りであり、そ
のガラス繊維強化ポリエステル樹脂では特定の結晶核剤
を配合(例えば特公昭44−7542)し、寸法安定性
をはじめ、射出成形サイクル、耐熱性が改良されること
が知られている。ガラス繊維強化ポリエステル樹脂に使
用されている結晶核剤は、大別すると有機カルボン酸金
属塩類に代表される有機系結晶核剤と、タルク、クレー
に代表される無機系結晶核剤に分かれる。また、結晶核
剤の他にポリエチレングリコールに代表されるグリコー
ル系誘導体等が、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂に好
適な結晶化促進剤として用いられている。しかしガラス
繊維強化ポリエステル樹脂の場合には、寸法安定性、射
出成形サイクル、耐熱性の問題は改良されるが、成形品
の表面光沢や外観が悪くなり、更に樹脂組成物の製造時
又は成形加工時に押出機又は成形加工機のシリンダー、
スクリュー及び金型等の金属を磨耗させる問題を有して
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に述べた
ような問題を解決することで、特に熱可塑性ポリエステ
ル樹脂、及びポリカーボネート樹脂から成る熱可塑性樹
脂組成物のこれまで欠点、即ち成形品のアニールによる
寸法変化、衝撃強度の低下、成形品表面外観の不良或い
は樹脂組成物製造時のストランド切れ等の改良を成し遂
げることである。そこで、本発明者は熱可塑性ポリエス
テル樹脂、ポリカーボネート樹脂、特定のグラフト共重
合体から成る熱可塑性樹脂組成物に、更に結晶核剤を配
合することによって、ポリエステル成分の結晶化速度を
改良し、アニールによって生じる寸法変化を減少させ、
また樹脂組成物の衝撃強度および表面外観良好な本発明
を完成するにいたった。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】本発明は、熱可塑性樹
脂組成物およびその製造方法の関する発明であって、上
記の課題を解決するために次の構成をとる。(A)熱可
塑性ポリエステル樹脂9〜60重量%、(B)ポリカー
ボネート樹脂29〜90重量%、(C)ゴム状重合体
に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタ
クリル酸エステルより成る群から選ばれたビニル系単量
体の1種以上をグラフト共重合したグラフト共重合体1
〜40重量%の混合物、(A)+(B)+(C)=10
0重量部に対し(D)無機系結晶核剤(但し、マイカを
除く)0.1〜10重量部から成る熱可塑性樹脂組成物
と、この熱可塑性樹脂組成物の製造において(A)熱可
塑性ポリエステル樹脂に(D)無機系結晶核剤を加えて
溶融混練した後、さらにこの溶融混合物に(B)ポリカ
ーボネート樹脂および(C)グラフト共重合体を溶融混
練する製造方法にある。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用できる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、アルキ
レンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするもので
あれば特に制限はなく、他の共重合可能な成分との共重
合体あるいは他の樹脂とのブロック状樹脂であってもよ
い。アルキレンテレフタレート繰り返し単位としては、
エチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレー
ト、1,4−シクロヘキシレンテレフタレートが挙げら
れ、共重合可能な成分としてはイソフタル酸等のジカル
ボン酸や1,3−プロパンジオール等のジオールが挙げ
られ、さらにブロック状成分としてはポリエチレンオキ
シド等のポリアルキレンオキシドが挙げられる。具体的
にはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、ポリ1,4−シクロヘキシレンテレ
フタレートであり、特にポリエチレンテレフタレート樹
脂が好ましい。
【0010】ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘
度は、フェノール/テトラクロロエタン=6/4を溶媒
として20℃測定した値が0.5〜1.5の範囲のもの
が用いられ、特に0.7〜1.2の範囲が好ましい。
【0011】本発明で使用できる(B)ポリカーボネー
ト樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物を原料としたもので
あれば特に制限は無く、具体的には2,2’−ビス(4
−ジヒドロキシジフェニル)−プロパン(ビスフェノー
ルA)ポリカーボネートが好ましい。 ポリカーボネー
ト樹脂の粘度平均分子量は、衝撃強度の点から1500
0以上であることが必要であり、20000〜4000
0の範囲にあることが好ましい。
【0012】本発明で使用できる(C)グラフト共重合
体は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メ
タクリル酸エステルより成る群から選ばれた1種以上の
ビニル系単量体をゴム状重合体にグラフト共重合させた
グラフト共重合体である。
【0013】ゴム状重合体としては、ブタジエン重合
体、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル単量体との
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体、ブタジエンと芳香族ビニ
ルとのブロック共重合体、アクリル酸エステル共重合体
およびアクリル酸エステルとこれと共重合可能なビニル
単量体との共重合体等が用いられる。
【0014】芳香族ビニル単量体としては、例えばスチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチ
ルスチレン、クロロスチレン等のスチレン単量体および
その置換単量体が挙げられる。
【0015】シアン化ビニル単量体としては、例えばア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアク
リロニトリル等が挙げられる。メタクリル酸エステルと
しては、メチルエステル、エチルエステル等が挙げられ
る。
【0016】上記(C)グラフト共重合体の中で、芳香
族ビニル単量体0〜70モル%、シアン化ビニル単量体
0〜60モル%およびメタクリル酸エステル0〜100
モル%の単量体混合物がゴム状重合体30〜80重量部
とグラフト共重合したABSグラフト重合体、MBSグ
ラフト共重合体、AESグラフト共重合体の単独または
上記共重合体のち2種以上の混合物でもよく、特にAB
Sグラフト共重合体、MBSグラフト共重合体が好まし
い。
【0017】本発明で使用できる(D)無機系結晶核剤
は、溶融状態の熱可塑性ポリエステルに対してぬれ性が
良くしかもへき開性のある無機系化合物であれば限定は
ないが、平均粒径10μ以下のものが好ましい。具体的
には、タルク、窒化ほう素モンモリロナイト、グラフ
ァイト等が挙げられ、特に粒径1μ程度のタルク、窒化
ほう素が好ましい。
【0018】また本発明で使用できるシランカップリン
グ剤は、下記一般式 R1 −Si−(OR2 3 (−R1 :官能性有機基、−OR2 :加水分解性のアル
コキシル基)で表されるものが好ましい。具体的には、
γ−グリシドキシプロピルトリメチルシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメチルシラン、N−
β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン等が挙げられる。
【0019】本発明では(D)無機系結晶核剤に加え、
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ートの結晶化促進剤として一般に公知の化合物を使用す
ることができる。具体的には、エチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペン
タエリスリトール、ポリエチレングリコール等の脂肪族
ポリオールのジ安息香酸エステル、ジフェニルエステ
ル、ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物における
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネ
ート樹脂、(C)グラフト共重合体および(D)無機系
結晶核剤の割合は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂9
〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、(B)ポ
リカーボネート樹脂29〜90重量%、好ましくは35
〜80重量%、(C)グラフト共重合体1〜40重量
%、好ましくは3〜30重量%、さらに(A)+(B)
+(C)=100重量部あたり(D)無機系結晶核剤
0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜6重量部であ
る。(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が9重量%未満で
は成形性および耐溶剤性の改良がなされず、60重量%
を越えると衝撃強度が低下する。(B)ポリカーボネー
ト樹脂が29重量%未満では衝撃強度が低下し、90重
量%を越えると成形性および耐溶剤性が悪くなる。
(C)グラフト共重合体が1重量%未満では衝撃強度が
低下し、40重量%を越えると、耐熱性、剛性および成
形性が低下する。(D)無機系結晶核剤が0.1重量部
未満では寸法安定性、製造時のストランド性の改良がな
されず、10重量部を越えると表面外観性が悪化し、衝
撃強度も低下する。
【0021】(D)無機系結晶核剤表面にコーティング
するシランカップリング剤の量は、無機系結晶核剤10
0重量部に対して0.2〜5重量部、好ましくは0.5
〜3重量部であり、0.2重量部未満では熱可塑性ポリ
エステルとのカップリングが充分でなく、5重量部を越
えると熱可塑性ポリエステルが加水分解して分子量が低
下する。
【0022】本発明で使用できる結晶化促進剤の添加量
は、該熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0〜1
0重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。10
重量部を越える場合は成形時の揮発成分の増加、金型汚
染等の弊害を生じる。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造は、通
常用いられている混練機、例えばバンバリーミキサー、
ブラベンダー、混練ロール、1軸または2軸押出機によ
る溶融混練により造ることが出来る。またその製造方法
は熱可塑性樹脂組成物成分の(A)熱可塑性ポリエステ
ル樹脂、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)(C)グ
ラフト共重合体、(D)無機系結晶核剤及び他の添加剤
を一括配合して溶融混練する方法でも良いが、まず
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(D)無機系結晶核
剤を溶融混練した後で、(B)ポリカーボネート樹脂と
(C)グラフト共重合体とをさらに溶融混練することに
よって優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物の物性特性及
び製造時のストランド状態良好等の機能が発揮できる。
溶融混練する方法は上記に述べたような溶融樹脂に対し
て充分に混練できるせん断力がかかる方法であれば特に
限定するものではない。
【0024】具体的には、まず(A)熱可塑性ポリエス
テル樹脂と(D)無機系結晶核剤をヘンシェルミキサ
ー、タンブラー等で配合したものを1軸または2軸押出
機、混練ロール、ブラベンダー、バンバリーミキサー等
で1段目の溶融混練を行い、造粒、乾燥後更に(B)ポ
リカーボネート樹脂と(C)ゴム状グラフト共重合体と
を加えて1段目と同様な方法で配合、溶融混練を行う2
段階の溶融混練工程を有する製造方法が好ましいが、工
業的な生産性の面から、(A)熱可塑性ポリエステル樹
脂と(D)無機系結晶核剤を1軸または2軸押出機で混
練し、(B)ポリカーボネート樹脂と(C)グラフト共
重合体を押出機の途中からフィードしてさらに溶融混練
する方法が特に好ましい。
【0025】また、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の
重合後、造粒工程で無機系結晶核剤を配合した熱可塑性
ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂および
(C)グラフト共重合体を1軸または2軸押出機で押出
してもよい。いずれの方法でも(A)熱可塑性ポリエス
テル樹脂と(D)無機系結晶核剤の溶融混練後であれ
ば、その他の必須成分である(B)ポリカーボネート樹
脂と(C)グラフト共重合体の溶融混練順序については
限定しない。
【0026】無機系結晶核剤に対してシランカップリン
グ処理する方法としては、結晶核剤表面にシランカップ
リング剤が均一にコーティングされる方法であれば特に
限定されないが、例えば結晶核剤をブレンダー等で強制
的に撹拌し、続いて水/アルコール混合溶媒に希釈した
シランカップリング剤を徐々に適下した後さらに撹拌を
続けて混合し、最後に強制循環乾燥器等で混合溶媒を乾
燥させるような方法が推奨される。
【0027】また、本発明の熱可塑性組成物には、さら
に酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑
剤、着色剤、金属粉などを添加することも可能である。
【0028】また、目的に応じて他の樹脂を添加するこ
とができる。具体的には、AS樹脂、スチレン−マレイ
ミド共重合体、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。こ
れらの樹脂の添加量は(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
100重量部に対して、50重量部以下、好ましくは0
〜30重量部が望ましい。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって何ら制限されるもので
はない。 実施例1〜10および比較例1〜6 本発明で使用した熱可塑性樹脂及び結晶核剤、無機充填
剤を示す。 (1) 組成物の原料 (a) 熱可塑性ポリエステル樹脂:市販のポリエチレンテ
レフタレート樹脂「NEH−2050」[ユニチカ
(株)製](固有粘度:0.77、溶媒フェノール/テ
トラクロロエタン=6/4で、温度20℃で測定)を用
いた。A−1とする。
【0030】(b) ポリカーボネート樹脂:市販のビスフ
ェノールA型ポリカーボネート樹脂「パンライトL−1
250」[帝人化成(株)製](粘度平均分子量250
00)を用いた。B−1とする。
【0031】(C) グラフト共重合体:ポリブタジエンラ
テックス80部(固形分50%、平均粒径0.35μ、
ゲル含有率90%)、ステアリン酸ナトリウム1部、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部、
EDTAテトラナトリウム塩0.03部、硫酸第一鉄
0.003部および水200部を窒素ガスで置換された
オートクレーブに仕込んだ。温度を65℃に加熱した
後、アクリロニトリル25%およびスチレン75%より
なる単量体混合物50部、t−ドデシルメルカプタン
0.3部、キュメンハイドロパーオキシド0.2部を4
時間で連続添加し、さらに添加終了後65℃で2時間重
合させた。グラフト率は78%、重合率は97%であっ
た。得られたラテックスに酸化防止剤を添加した後、塩
化カルシウムで塩析し、水洗、乾燥後、白色粉末状の共
重合体を得た。このグラフト共重合体をC−1とする。
また、市販のMBS樹脂「パラロイドEXL−260
2」[呉羽化学工業(株)製]を用い、C−2とする。
【0032】(d) 無機系結晶核剤、無機充填剤および有
機系結晶核剤:無機系結晶核剤として市販のタルク「ミ
クロエースP−4」[日本タルク(株)製](平均粒子
径1.5μ)およびこれにシランカップリング剤「A−
187」(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン)[日本ユニカー(株)製]で表面処理したものを用
いた。それぞれD−1、D−2とする。また、市販の窒
化ほう素「ボロンナイトライドGP」[電気化学工業
(株)製]を用いた。D−3とする。無機充填剤として
市販の酸化チタン(IV)ルチル型、有機系結晶核剤と
して安息香酸ナトリウム(特級試薬)[ともに和光純薬
工業(株)製]を用い、それぞれD−4、D−5とす
る。
【0033】(e) 結晶化促進剤:市販のポリエチレング
リコール「PEG−6000」[日本油脂(株)製]を
用いた。E−1とする。
【0034】(2)熱可塑性樹脂組成物の製造方法 実施例1〜10および比較例1〜6における熱可塑性樹
脂組成物の製造は、表1、表2及び表3記載のそれぞれ
の配合割合でヘンシェルミキサーで混合後、2軸押出機
「TEM−35B」[東芝機械(株)製]を使用して2
70℃で溶融混練押出し、ペレット化した。表1、表2
及び表3中の押出法について「一括」とあるのは、表中
の組成を上記方法で全て同時に配合混合、押出し、ペレ
ット化したものである。また「2段」とあるのは、1段
目に熱可塑性ポリエステル樹脂、結晶核剤および結晶化
促進剤または熱可塑性ポリエステル樹脂および結晶核剤
のみを上記方法で配合混合、溶融混練押出し、ペレット
化して乾燥した後、再び同方法でポリカーボネート樹
グラフト共重合体とともに配合混合、溶融混練押出
し、ペレット化したものである。ペレットから射出成形
機「IS−55EPN」[東芝機械(株)]により、成
形温度270℃、金型温度120℃で物性試験用の試験
片を作製した。その結果を表1、表2及び表3に示す。
なお、熱可塑性ポリエステル樹脂およびこれを含有する
組成物は、溶融混練および射出成形の前に除湿乾燥機
「PO−50−OM/DMZ−170−OM」[(株)
松井製作所]を用い、120℃で5時間以上乾燥した。
【0035】(3)測定及び評価 表1、表2及び表3中の各種物性の測定方法は次のとお
りである。 (a) 光沢度:JIS K−7105に従い、厚さ1/
8”の射出成形品により60度鏡面光沢度を測定した。 (b) 剛性:ASTM D−790に従い、厚さ1/4”
の射出成形品の曲げ試験を行い、曲げ弾性率を測定し
た。 (c) 耐熱性:JIS K−7206に従い、厚さ1/
8”の射出成形品に対し、荷重5kgfでビカット軟化点
温度を測定した。 (e) 衝撃強度:ASTM D−256に従い、厚さ1/
8”の射出成形品に対し、雰囲気温度23℃でノッチ付
きアイゾットを測定した。
【0036】(f) 押出時のストランド性:表1、表2及
び表3中の組成物が押出機で溶融混練された後、ノズル
からストランド状に吐出し、ペレット化が容易でストラ
ンド外観が良好な場合は◎、ペレット化が容易な場合は
○、ストランド状にならない場合は×と評価した。
【0037】(g) ポリエステル成分体積収縮率:成形品
に生じるソリ等の寸法変化は、アニール中にポリエステ
ル成分が結晶化して収縮することが最大の原因であると
考えられる。そこで、寸法安定性の目安としてアニール
中の成形品の密度変化に注目した。ポリエステル以外の
組成物成分はポリカーボネート樹脂を主成分とした非晶
性樹脂で構成されているのでアニール中の密度変化が無
視できる程度に小さいとし、ポリエステル含有量当たり
の体積収縮率を求めた。具体的には、表1、表2及び表
3中の組成および押出法で作製したペレットを280
℃、50kgf/cm2 でプレスしてフィルム状に成形し、直
ちに130℃のシリコーンオイルバス浴中に投入した。
投入後、30秒、2時間経過後にフィルムを取り出し、
密度勾配管法により密度を測定した。下式(1)によっ
て、ポリエステル成分当たりの体積収縮率を算出した。
【数1】
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】比較例1の場合、押出機ノズルから溶融樹
脂が吐出する際、ストランド状にならずにペレット化が
困難であったため、塊状樹脂を冷却後粉砕機を用いてペ
レット状にした。
【0042】
【発明の効果】表1、表2及び表3に示すように、本発
明の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂組成物製造時にストラ
ンド切れも起こさず耐衝撃性、表面外観性及び寸法安定
性の物性バランスに優れ、各種の工業部品、車両の外装
部品用材料としての実用価値が高い。特に、塗装のため
に加熱処理工程を必要とするような用途では寸法変化が
小さいため、有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂9〜60
    重量%、(B)ポリカーボネート樹脂29〜90重量
    %、(C)ゴム状重合体に、芳香族ビニル単量体、シア
    ン化ビニル単量体、メタクリル酸エステルより成る群か
    ら選ばれたビニル系単量体の1種以上をグラフト共重合
    したグラフト共重合体1〜40重量%、および(A)+
    (B)+(C)=100重量部あたり(D)無機系結晶
    核剤(但し、マイカを除く)0.1〜10重量部から成
    る熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂に
    (D)無機系結晶核剤を加えて溶融混練し、さらにこの
    溶融混合物に(B)ポリカーボネート樹脂および(C)
    グラフト共重合体を溶融混練することを特徴とする請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
JP08170793A 1993-04-08 1993-04-08 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3278082B2 (ja)

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