JP3276586B2 - 粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法

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JP3276586B2 JP15780197A JP15780197A JP3276586B2 JP 3276586 B2 JP3276586 B2 JP 3276586B2 JP 15780197 A JP15780197 A JP 15780197A JP 15780197 A JP15780197 A JP 15780197A JP 3276586 B2 JP3276586 B2 JP 3276586B2
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末スラッシュ成形
用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に係り、詳し
くは粉体流動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮
の脱型が容易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形
に適する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れることがあり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したもの粉砕して用いるこ
とが提案されている。ここでは、スチレン系熱可塑性エ
ラストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・
エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレ
ン含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20
重量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ば
れたものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好
で粉末成形に適した組成物になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この組成物で
もポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴ
ムの混合が水素添加スチレンブタジエンゴムがポリプロ
ピレン樹脂中で微分散するので、物性に低下は少なくて
表皮に素材には適している。しかし、水素添加スチレン
ブタジエンゴムが吸油能に劣るため、組成物中のオリゴ
マー成分が表面に移行して粘着性をもつ欠点はあった。
このため、粉末スラッシュ成形用に粉砕した熱可塑性エ
ラストマー粉も粘着性をもつために、ブロッキングし易
く、粉体流動性が悪くなっていた。また、表皮も金型か
ら脱型するとき、離型性が悪くなることがあった。
【0006】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、粉末成形、特に粉末スラッシュ成形に必要な溶
融流動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮の脱型
が容易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形に適す
る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、粉体成形に使用する熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法であり、(A)ポリプロピレン樹脂
に、少なくとも(B)水素添加スチレンブタジエンゴム
と、(C)プロセスオイルと、(D)スチレン・エチレ
ンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEP
S)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック
共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレンブチ
レン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、エチレンプ
ロピレンゴム、そしてエチレン・オクテン共重合体から
選ばれた少なくとも1種以上のエラストマーと、(E)
有機過酸化物を添加し、架橋助剤を併用せずにこれらを
加熱下で混練し、(E)有機過酸化物によって(A)ポ
リプロピレン樹脂の主鎖を切断する粉体成形用熱可塑性
エラストマー組成物の製造方法にある。
【0008】本願の請求項2記載の発明では、熱可塑性
エラストマー組成物中、(E)有機過酸化物を0.02
〜5.0重量%添加し、120〜250°Cの温度で混
練する粉体成形用熱可塑性エラストマー組成物の製造方
法にある
【0009】本願の請求項3記載の発明では、粉体成形
に使用する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であ
り、(A)ポリプロピレン樹脂に、少なくとも(B)水
素添加スチレンブタジエンゴムと、(C)プロセスオイ
ルと、(D)スチレン・エチレンプロピレン・スチレン
ブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレンブ
チレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、オレ
フィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロッ
クコポリマー、エチレンプロピレンゴム、そしてエチレ
ン・オクテン共重合体から選ばれた少なくとも1種以上
のエラストマーと、(E)有機過酸化物を添加し、上記
(A)ポリプロピレン樹脂と(B)水素添加スチレンブ
タジエンゴムが重量比で80/20〜20/80、また
(D)エラストマーを(B)水素添加スチレンブタジエ
ンゴム100重量部に対して20〜250重量部、また
(C)プロセスオイルを(D)エラストマー100重量
部に対して5〜200重量部に調節し、架橋助剤を併用
せずにこれらを加熱下で混練し、(E)有機過酸化物に
よって(A)ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断してペレ
ット化し、次にこのペレットを常温もしくは冷凍粉砕し
て粉体にした粉体成形用熱可塑性エラストマー組成物の
製造方法にある。
【0010】本願の請求項4記載の発明では、混練時の
温度が120〜250°Cである粉体成形用熱可塑性エ
ラストマー組成物の製造方法にある。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】これらの請求項1〜4記載の発明では、加
熱下で混練する過程で上記有機過酸化物がポリプロピレ
ン樹脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン樹脂の分子量
を下げて溶融流動性を上げることになり、これが混合し
た熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をもた
せることになる。また、水素添加スチレンブタジエンゴ
ムや吸油能に優れたエラストマーを含むエラストマー成
分に軟化剤としてプロセスオイルを吸油させて溶融流動
性を改善している。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)ポリプロ
ピレン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレ
フィンとのブロックあるいはランダム共重合体のいずれ
でもよいが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用い
たブロックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性
の面からいって好ましい。また、圧力のかからない粉末
スラッシュ成形に用いるためには、ポリプロピレン樹脂
の溶融流動性の指数としてJIS K7210により2
30°Cで荷重2.16kgfで測定したMFR(メル
トフローレート)が20g/10分以上であることが必
要である。上記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化に
よってその主鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬
化するポリエチレン等と異なる性質をもっており、有機
過酸化物によってその主鎖が切断され、分子量が低下す
る。
【0020】また、(B)水素添加スチレンブタジエン
ゴム(H−SBR)は、ポリプロピレン樹脂との相溶性
に優れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟に
なり、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成
物が得られる。水素添加スチレンブタジエンゴムのスチ
レン含有量は30重量%以下が好ましく、柔軟性に富む
表皮を得るためには5〜15重量%が適当である。H−
SBRは、スチレンとブタジエンがランダムに共重合し
ているスチレンブタジエンゴムを水素添加している点
で、ブロック共重合体であるSEBSと異なっている。
代表的なものとして、日本合成ゴム社製の商品であるダ
イナロンシリーズがある。ポリプロピレン樹脂とH−S
BRとの混合量は、重量比で80/20〜20/80の
割合であり、ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形さ
れた表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下
する。
【0021】また、本発明では、(C)プロセスオイル
を添加することにより組成物中のエラストマー成分に吸
収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下
げ、柔軟性をもたせる効果がある。上記プロセスオイル
はゴム用に使用されるものであり、パラフィン系、ナフ
テン系、アロマ系に分類されるが、エラストマー成分と
の相溶性によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油
能に優れたエラストマー100重量部に対して5〜20
0重量部が好ましい。200重量部を越えると、引張物
性が低下し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がら
ず表皮が硬くなる。
【0022】(D)エラストマーは、ポリプロピレン樹
脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組成物中の
オリゴマー成分を吸収する性質を有するもので、スチレ
ン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマー
(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン・スチレ
ンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレン系ブロ
ック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン結晶・エ
チレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー
(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、そ
してエチレン・オクテン共重合体(POE)がある。
【0023】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40%重量以
下がよい。
【0024】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0025】尚、上記(D)エラストマーは、H−SB
Rに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性が劣って
おり、ポリプロピレン樹脂に混練、添加すると、μm単
位の大きさで分散するので、引張物性が低下する傾向に
ある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−SBRとプロ
セスオイルを添加した場合には、H−SBRが吸油能に
劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面に移行(ブ
リード)して粘着性をもち、これを用いて粉末スラッシ
ュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性をもつた
め、ブロッキングしやすくなって粉体流動性、また表皮
も金型からの離型性に欠ける。これに吸油能に優れたエ
ラストマーを添加した場合には、組成物中のオリゴマー
成分とオイルを吸収してブリードを阻止することができ
る。
【0026】上記(D)エラストマーの添加量は、H−
SBR100重量部に対して20〜250重量部であ
る。20重量部未満になると、組成物中のオリゴマー成
分とオイルを充分に吸収できなくなり、また250重量
部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪くな
り、引張物性が低下する傾向にある。
【0027】熱安定剤としては、通常のポリオレフィン
に用いられるものが使用できる。一般的には、フェノー
ルとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限
定されるものではない。また、光安定剤としては、ラジ
カル捕捉剤であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾー
ル系のものが使用されることもある。顔料は通常のオレ
フィン系に適した有機、無機のものが使用される。更
に、脂肪酸金属塩等の滑剤や炭酸カルシウム、タルク等
の充填剤等が必要に応じて添加される。
【0028】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、プロセスオイル、(D)エラストマ
ー、顔料、安定剤、滑剤をV型ブレンダー、タンブラ
ー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドした
ものを原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルは
ベント口より注入し、二軸押出機で溶融混練してペレッ
ト化する。
【0029】また、本発明では、前述のポリプロピレン
樹脂、H−SBR、プロセスオイル、そして(D)エラ
ストマー等からなる同一の配合に有機過酸化物を添加
し、これらを加熱下で混練するもので、有機過酸化物が
ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン
樹脂の分子量を下げて溶融流動性を上げることになり、
得られた熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性
をもたせる効果がある。尚、ここでは、有機過酸化物を
架橋剤として使用していない。また、加熱下で混練して
得られた熱可塑性エラストマー組成物中には、有機過酸
化物は熱分解して実質的に含有していない。
【0030】上記(E)有機過酸化物としては、通常、
ゴム、樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサ
イド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチ
ル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−
3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピ
ル)ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解に
よる1分間の半減期が150〜250°Cのものが好ま
しい。
【0031】該(E)有機過酸化物は、120〜250
°Cの加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の
主鎖を切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマ
ー組成物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の
添加量は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜
5.0重量%であり、0.02重量%未満の場合にはポ
リプロピレン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、
熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与で
きなくなる。一方、5.0重量%を越えると、分解が過
剰になり、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下
する。
【0032】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、(D)エラストマー、有機過酸化物、
顔料、安定剤、滑剤、充填剤をV型ブレンダー、タンブ
ラー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし
たものを原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイル
はベント口より注入し、120〜250°Cの範囲に温
度調節した二軸押出機で溶融混練してペレット化する。
【0033】また、密閉式混練機であるニーダー、バン
バリーミキサー等によってエラストマー成分であるH−
SBRと(D)エラストマーにプロセスオイルを添加し
て混練し、ペレット化した後、このペレットとポリプロ
ピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を混合し
て、120〜250°Cの範囲に温度調節した一軸ある
いは二軸押出機で溶融混練してペレット化することもで
きる。
【0034】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
50°C、0.325kgfの荷重で5g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0035】ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プロセ
スオイル、そして(D)エラストマーを主とする配合か
ら得られたペレット、あるいはこれらに有機過酸化物を
添加して得られたペレットは、ターボミル、ピンミル、
ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を用いて微粉砕され
る。この時通常では液体窒素を用いて冷凍粉砕される。
また、配合によっては溶融樹脂をスプレあるいはディス
クアトマイザーによって噴霧し冷却することによって粉
体化することができる。粉砕されたものは篩い等によっ
て粒径が少なくとも1,000μmの篩を通過し、平均
粒径が100〜800μmのものが集められ、これに有
機あるいは無機の粉体性改良剤を添加、混合して粉末ス
ラッシュ成形用に使用する。
【0036】次いで、エラストマー組成物を用いて粉末
スラッシュ成形を行う。この成形では組成物の融点以上
に加熱された型にこれを主として重力で落下させて投入
し、一定時間経過後に型を反転し、余分の組成物を回収
箱に集める。型表面には組成物が層となって付着してお
り、時間経過とともに溶融してスキン層が形成される。
そして、型を冷却してスキン層を脱型するものであり、
これが繰り返し行われる。
【0037】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0038】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層
(2ないし3)に行う時に有効である。即ち、加熱され
た型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、
半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら
3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この
場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なの
で成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられ
ることが多い。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1〜3 (有機過酸化物を添加)表1 に示す配合のうち、安定剤、ステアリン酸カルシウ
ム、プロセスオイルを除いた材料をタンブラーで混合し
たものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の
原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルをベント
口より注入しながら200°Cで混練、押出してペレッ
ト化した。そして、ターボミルT250−4J(ターボ
工業社製)に液体窒素に浸したペレットを投入して粉砕
し、1,000μmの篩い通過分のみを集めた。
【0055】次に、上記粉体組成物を用いて粉体成形を
行った。粉体成形は、まず皮シボ模様のついた150m
m×150mm×3mmの金型をオーブン中で250°
Cに加熱し、その上に上記粉体組成物を約800gのせ
て10分間置いて付着させた後、溶融付着しなかった粉
体を除いて、300°Cに調節したオーブン中で60秒
間加熱し、オーブンより取り出し水冷して、厚さ約0.
8mmの成形表皮を脱型した。
【0056】上記ペレットの溶融粘度は、JIS K7
210により250°C、0.325kgfの荷重でメ
ルトフローレート(MFR)を測定し、引張物性は粉体
成形で得られたシートをJIS3号ダンベルで打ち抜
き、引張速度200mm/分で引張強度と伸びを測定し
た。これらの結果を表1に併記する。
【0057】実施例4(有機過酸化物を添加) プロセスオイルを除いた材料をタンブラーで混合したも
のを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原料
供給ホッパーより供給し、プロセスオイルをベント口よ
り注入しながら200°Cで混練、押出してペレット化
した。以後は実施例10〜12と同様に粉体化、粉体成
形、溶融粘度測定、引張試験を行った。これらの結果を
表1に併記する。
【0058】比較例1〜2(有機過酸化物を無添加) 有機過酸化物を添加せずに混練、ペレット化し、実施例
と同様に粉体化、粉体成形、溶融粘度測定、引張試験を
行った。これらの結果を表1に併記する。
【0059】
【表1】
【0060】この結果、実施例1〜4では、有機過酸化
物を添加しない比較例1〜2に比べてペレットの溶融粘
度が小さく、溶融流動性や引張特性で一段と優れている
ことが判る。
【0061】
【0062】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1〜4記載の
発明では、(A)ポリプロピレン樹脂と(B)水素添加
スチレンブタジエンゴムと(D)エラストマーからなる
エラストマー成分に、軟化剤として(C)プロセスオイ
ルを吸油させて溶融流動性を改善し、更に(E)有機過
酸化物を添加し、架橋助剤を併用せずにこれらを加熱下
で混練し、(E)有機過酸化物によって(A)ポリプロ
ピレン樹脂の主鎖を切断して溶融流動性および引張強度
等の優れた熱可塑性エラストマー組成物を製造すること
ができる効果がある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23/16 C08L 23/16 25/10 25/10 53/00 53/00 (56)参考文献 特開 平10−30036(JP,A) 特開 平7−96532(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 5/00 - 5/59 C08L 9/06 C08L 25/10 C08L 53/00 - 53/02 B29B 9/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体成形に使用する熱可塑性エラストマ
    ー組成物の製造方法であり、(A)ポリプロピレン樹脂
    に、少なくとも(B)水素添加スチレンブタジエンゴム
    と、(C)プロセスオイルと、(D)スチレン・エチレ
    ンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEP
    S)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック
    共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレンブチ
    レン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、エチレンプ
    ロピレンゴム、そしてエチレン・オクテン共重合体から
    選ばれた少なくとも1種以上のエラストマーと、(E)
    有機過酸化物を添加し、架橋助剤を併用せずにこれらを
    加熱下で混練し、(E)有機過酸化物によって(A)ポ
    リプロピレン樹脂の主鎖を切断することを特徴とする粉
    体成形用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー組成物中、(E)
    有機過酸化物を0.02〜5.0重量%添加し、120
    〜250°Cの温度で混練する請求項1記載の粉体成形
    用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
  3. 【請求項3】 粉体成形に使用する熱可塑性エラストマ
    ー組成物の製造方法であり、(A)ポリプロピレン樹脂
    に、少なくとも(B)水素添加スチレンブタジエンゴム
    と、(C)プロセスオイルと、(D)スチレン・エチレ
    ンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEP
    S)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック
    共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレンブチ
    レン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、エチレンプ
    ロピレンゴム、そしてエチレン・オクテン共重合体から
    選ばれた少なくとも1種以上のエラストマーと、(E)
    有機過酸化物を添加し、上記(A)ポリプロピレン樹脂
    と(B)水素添加スチレンブタジエンゴムが重量比で8
    0/20〜20/80、また(D)エラストマーを
    (B)水素添加スチレンブタジエンゴム100重量部に
    対して20〜250重量部、また(C)プロセスオイル
    を(D)エラストマー100重量部に対して5〜200
    重量部に調節し、架橋助剤を併用せずにこれらを加熱下
    で混練し、(E)有機過酸化物によって(A)ポリプロ
    ピレン樹脂の主鎖を切断してペレット化し、次にこのペ
    レットを常温もしくは冷凍粉砕して粉体にしたことを特
    徴とする粉体成形用熱可塑性エラストマー組成物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 混練時の温度が120〜250°Cであ
    る請求項3記載の粉体成形用熱可塑性エラストマー組成
    物の製造方法。
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