JP3210898B2 - 粉末スラッシュ成形表皮付き成形体 - Google Patents

粉末スラッシュ成形表皮付き成形体

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JP3210898B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末スラッシュ成形
表皮付き成形体に係り、詳しくは熱老化による表面状態
の変化が小さく、また低分子量有機物の揮発が少なくて
ガラスの曇化を防止し、そして表皮と緩衝層あるいは表
皮と芯材との接着性を良好にし、部分的または全体に再
生使用できる粉末スラッシュ成形表皮付き成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れることがあり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したもの粉砕して用いるこ
とが提案されている。ここでは、スチレン系熱可塑性エ
ラストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・
エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレ
ン含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20
重量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ば
れたものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好
で粉末成形に適した組成物になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この組成物で
もポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴ
ムの混合が水素添加スチレンブタジエンゴムがポリプロ
ピレン樹脂中で微分散するので、物性の低下が小さくて
表皮素材には適している。しかし、水素添加スチレンブ
タジエンゴムが吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマ
ー成分が表面に移行して粘着性をもつ欠点はあった。こ
のため、粉末スラッシュ成形用に粉砕した熱可塑性エラ
ストマー粉も粘着性をもつために、ブロッキングし易
く、粉体流動性が悪くなっていた。また、表皮も金型か
ら脱型するとき、離型性が悪くなることがあった。
【0006】また、これを改善したものとしてポリプロ
ピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸
油能に優れたエラストマーと、プロセスオイルを含む粉
末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物が提案
されている。しかし、この組成物でスラッシュ成形した
シートは110〜120°Cの熱老化にとってシート表
面に粘着性と光沢が発生する欠点があり、更に組成物よ
り低分子量有機物が揮発して窓ガラスに付着して凝固
し、ガラスを曇化させる問題があった。
【0007】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、熱老化による表面状態の変化が少なく、また低
分子量有機物の揮発が少なくてガラスの曇化を防止し、
更に表皮と緩衝層あるいは表皮と芯材との接着性を良好
にし、部分的または全体に再生使用できるた粉末スラッ
シュ成形表皮付き成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、 粉末スラッシュ成形によって得られた
表皮と合成樹脂からなる芯材との間に緩衝層を介在させ
た積層体からなるスラッシュ成形表皮付き成形体におい
て、上記表皮は少なくとも表面層からなり、その表面層
が少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレン
ブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマーと、プ
ロセスオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブルーム防止
剤を含んだものを加熱混合してペレット化し、このペレ
ットを粉末化したものをスラッシュ成形することにより
得られたソリッドな表皮であるスラッシュ成形表皮付き
成形体にある。
【0009】本願の請求項2記載の発明では、粉末スラ
ッシュ成形によって得られた表皮と合成樹脂からなる芯
材を積層したスラッシュ成形表皮付き成形体において、
上記表皮は少なくとも表面層からなり、その表面層が少
なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタ
ジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマーと、プロセ
スオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブルーム防止剤を
含んだものを加熱混合してペレット化し、このペレット
を粉末化したものをスラッシュ成形することにより得ら
れたソリッドな表皮であるスラッシュ成形表皮付き成形
体にある。
【0010】本願の請求項3記載の発明では、粉末スラ
ッシュ成形によって得られた表皮と合成樹脂からなる芯
材との間に緩衝層を介在させた積層体からなるソフト部
と粉末スラッシュ成形によって得られた表皮と合成樹脂
からなる芯材を積層したハード部とを有するスラッシュ
成形表皮付き成形体において、上記表皮は少なくとも表
面層からなり、その表面層が少なくともポリプロピレン
樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能に
優れたエラストマーと、プロセスオイルと、脂肪酸アミ
ドと、そしてブルーム防止剤を含んだものを加熱混合し
てペレット化し、このペレットを粉末化したものをスラ
ッシュ成形することにより得られたソリッドな表皮であ
るスラッシュ成形表皮付き成形体にある。
【0011】本願の請求項4記載の発明では、芯材の表
面を火炎処理した後、接着剤を塗布するスラッシュ成形
表皮付き成形体にある。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るスラッシュ成
形表皮付き成形体の一つである自動車用インストルメン
トパネルの全体外観斜視図であり、図2は図1のX−X
断面図を示している。これによると、インストルメント
パネル1はソフト部2とハード部3に区分され、ソフト
部2においては表面にはシボ付き模様をもった表皮4が
覆われ、裏面にはポリプロピレン樹脂のような再生使用
可能なポリオレフィン系の合成樹脂からなる芯材5が位
置し、表皮4と芯材5の間にはウレタンフォームからな
る緩衝層6が設けられている。他方、ハード部3では表
皮4と芯材5が密着した状態になっている。
【0013】無論、本発明では、上記のようにソフト部
2とハード部3を区分する必要はなく、表皮4と緩衝層
6と芯材5からなるソフト部2あるいは表皮4と心材5
からなるハード部3のみからなるインストルメントパネ
ル1であってもよい。
【0014】特に、ハード部3の場合には、表皮4と芯
材5との接着力を向上させるために、芯材5の接着面を
火炎処理、コロナ放電、接着面の洗浄、あるいは接着剤
の塗布等を併用することがきる。本発明では、火炎処理
して表面に極性基を発生させ、更にその面をクロロプレ
ン、塩素化ポリエチレン等のゴム糊を含む接着剤で処置
することが望ましい。
【0015】上記インストルメントパネル1の製造方法
では、一方の型に予め成形した表皮4を、他方の型に予
め成形した芯材5を設置した後、この間にウレタン原液
を注型し、加熱して一体発泡成形することにより得るこ
とができる。緩衝層6が不必要な部分では、表皮4と芯
材5が密着し、ウレタン原液が侵入しないようになって
いる。
【0016】緩衝層6は前述のとおり半硬質のウレタン
フォームが好ましく、公知のポリオール、イソシアネー
トと発泡剤等を混合した液体を注入し、加熱することに
より反応、発泡させて得られるものである。
【0017】上記表皮4は、表面層のみ、表面層と内層
の2層、あるいはそれ以上の層から構成してもよい。
【0018】表皮4で使用するポリプロピレン樹脂は、
ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフィンとのブロ
ックあるいはランダム共重合体のいずれでもよいが、特
にα−オレフィンとしてエチレンを用いたブロックある
いはランダム共重合体が成形体の柔軟性の面からいって
好ましい。また、圧力のかからない粉末スラッシュ成形
に用いるためには、ポリプロピレン樹脂の溶融流動性の
指数としてJIS K7210により230°Cで荷重
2.16kgfで測定したMFR(メルトフローレー
ト)が20g/10分以上であることが必要である。上
記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化によってその主
鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬化するポリエ
チレン等と異なる性質をもっており、有機過酸化物によ
ってその主鎖が切断され、分子量が低下する。
【0019】また、水素添加スチレンブタジエンゴム
(H−SBR)は、ポリプロピレン樹脂との相溶性に優
れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟にな
り、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成物
が得られる。水素添加スチレンブタジエンゴムのスチレ
ン含有量は30重量%以下が好ましく、柔軟性に富む表
皮を得るためには5〜15重量%が適当である。H−S
BRは、スチレンとブタジエンがランダムに共重合して
いるスチレンブタジエンゴムを水素添加している点で、
ブロック共重合体であるSEBSと異なっている。代表
的なものとして、日本合成ゴム社製の商品であるダイナ
ロンシリーズがある。ポリプロピレン樹脂とH−SBR
との混合量は、重量比で80/20〜20/80の割合
であり、ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された
表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下す
る。
【0020】また、本発明では、プロセスオイルを添加
することにより組成物中のエラストマー成分に吸収され
て溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟
性をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用
に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、
アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性
によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れ
たエラストマー100重量部に対して5〜200重量部
が好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下
し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が
硬くなる。
【0021】吸油能に優れたエラストマーは、ポリプロ
ピレン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組
成物中のオリゴマー成分を吸収する性質を有するもの
で、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコ
ポリマー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレ
ン系ブロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン
結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポ
リマー(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(EP
R)、そしてエチレン・オクテン共重合体(POE)が
ある。
【0022】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40重量%以
下がよい。
【0023】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0024】尚、上記吸油能に優れたエラストマーは、
H−SBRに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性
が劣っており、ポリプロピレン樹脂に混練、添加する
と、μm単位の大きさで分散するので、引張物性が低下
する傾向にある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−S
BRとプロセスオイルを添加した場合には、H−SBR
が吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面
に移行(ブリード)して粘着性をもち、これを用いて粉
末スラッシュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性
をもつため、ブロッキングしやすくなって粉体流動性
や、また表皮も金型からの離型性に欠ける。これに吸油
能に優れたエラストマーを添加した場合には、組成物中
のオリゴマー成分とオイルを吸収してブリードを阻止す
ることができる。
【0025】上記吸油能に優れたエラストマーの添加量
は、H−SBR100重量部に対して20〜250重量
部である。20重量部未満になると、組成物中のオリゴ
マー成分とオイルを充分に吸収できなくなり、また25
0重量部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪
くなり、引張物性が低下する。
【0026】また、本発明では、プロセスオイルを添加
することにより組成物中のエラストマー成分に吸収され
て溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟
性をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用
に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、
アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性
によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れ
たエラストマー100重量部に対して5〜200重量部
が好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下
し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が
硬くなる。
【0027】使用する脂肪酸アミドはRCONHR’
(R、R’はいずれも水素あるいは炭素数10以上のア
ルキル基である。)の化学構造をもち、各種の脂肪酸と
アンモニアあるいはアルキル化アミンにより合成され
る。飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸モノアミド、
置換アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビス
アミド、置換尿素等がある。これらの脂肪酸アミドは分
子内に長鎖アルキル基と極性の強いアミド基をもつため
界面活性効果があるので、滑剤、分散剤としての作用の
ほか低分子量物を成形シート内部に保存させる作用もあ
り、熱老化後の粘着性や光沢の発生を阻止する。
【0028】上記脂肪酸アミドの具体例としては、ラウ
リル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド、オレ
イン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸モノア
ミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイ
ルステアリン酸アミド等の置換アミド、エチレンビスス
テアリン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等
飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミ
ド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等の不飽和ビ
スアミド、N−ステアリルN’−ステアリル尿素、N−
ブチルN’−ステアリル尿素等の置換尿素を挙げること
ができる。
【0029】脂肪酸アミドの添加量は ポリプロピレン
樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能に
優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオイル
を加えたもの100重量部に対して0.05〜5重量部
であり、0.05重量部未満の場合には熱老化によって
粘着性や光沢が発生し、一方5重量部を越えると脂肪酸
アミドが成形シート表面へ移行しやすくなって表面が白
くなる。
【0030】ブルーム防止剤としては、ポリエチレング
リコール、フェノール樹脂、エチレンービニルアルコー
ル共重合体のエチレンオキサイド付加物(CPO)、そ
してこれらのポリマーとシリカの混合物の少なくとも1
種を使用することができるが、特にCPOが好ましい。
このCPOは櫛形ポリマーと呼ばれる構造をもってお
り、エラストマーマトリックスと低分子量配合剤に対し
て適度な相溶性があるためにブルーム防止効果、特に低
分子量配合剤の揮発を抑制する効果がる。
【0031】ブルーム防止剤の添加量は、ポリプロピレ
ン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能
に優れたエラストマーからなるポリマーにプロセスオイ
ルを加えたもの100重量部に対して0.1〜10重量
部であり、0.1重量部未満ではブルーム防止効果が小
さく、一方10重量部を越えると引張強度が低下する不
具合が発生する。
【0032】熱安定剤としては、通常のポリオレフィン
に用いられるものが使用できる。一般的には、フェノー
ルとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限
定されるものではない。また、光安定剤としては、ラジ
カル捕捉剤であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾー
ル系のものが使用されることもある。顔料は通常のオレ
フィン系に適した有機、無機のものが使用される。更
に、脂肪酸金属塩等の滑剤や炭酸カルシウム、タルク等
の充填剤等が必要に応じて添加される。
【0033】また、本発明では、有機過酸化物を添加す
ることができる。この有機過酸化物はポリプロピレン樹
脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン樹脂の分子量を下
げて溶融流動性を上げることになり、得られた熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性をもたせる効果が
ある。ここでは、有機過酸化物を架橋剤として使用して
いない。また、加熱下で混練して得られた熱可塑性エラ
ストマー組成物中には、有機過酸化物は熱分解して実質
的に含有されていない。
【0034】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1
分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0035】該有機過酸化物は、120〜250°Cの
加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を
切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成
物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量
は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重
量%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピ
レン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0036】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、吸油能に優れたエラストマー、プロセ
スオイル、脂肪酸アミド、ブルーム防止剤、顔料、安定
剤、滑剤等をV型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェル
ミキサー等を用いてドライブレンドしたものを原料供給
ホッパーより供給し、プロセスオイルは120〜250
°Cの範囲に温度調節したベント口より注入し、二軸押
出機で溶融混練してペレット化する。
【0037】また、密閉式混練機であるニーダー、バン
バリーミキサー等によってエラストマー成分であるH−
SBRと吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイル
を添加して混練し、ペレット化した後、このペレットと
ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を
混合して、120〜250°Cの範囲に温度調節した一
軸あるいは二軸押出機で溶融混練してペレット化するこ
ともできる。
【0038】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
50°C、0.325kgfの荷重で5g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0039】ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プロセ
スオイル、吸油能に優れたエラストマー、脂肪酸アミ
ド、ブルーム防止剤を主とする配合から得られたペレッ
ト、あるいはこれらに有機過酸化物を添加して得られた
ペレットは、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の
衝撃型微粉砕機を用いて微粉砕される。この時通常では
液体窒素を用いて冷凍粉砕される。また、配合によって
は溶融樹脂をスプレあるいはディスクアトマイザーによ
って噴霧し冷却することによって粉体化することができ
る。粉砕されたものは篩い等によって粒径が少なくとも
1,000μmの篩を通過し、平均粒径が100〜80
0μmのものが集められ、これに有機あるいは無機の粉
体性改良剤を添加、混合して粉末スラッシュ成形用に使
用する。
【0040】次いで、エラストマー組成物を用いて粉末
スラッシュ成形を行う。この成形では組成物の融点以上
に加熱された型にこれを主として重力で落下させて投入
し、一定時間経過後に型を反転し、余分の組成物を回収
箱に集める。型表面には組成物が層となって付着してお
り、時間経過とともに溶融してスキン層が形成される。
そして、型を冷却してスキン層を脱型するものであり、
これが繰り返し行われる。
【0041】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0042】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層
(2ないし3)に行う時に有効である。即ち、加熱され
た型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、
半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら
3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この
場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なの
で成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられ
ることが多い。
【0043】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1〜6、比較例1〜4 プロセスオイルを除いた表1に示す材料をタンブラーで
ドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社
製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、プロ
セスオイルをベント口より注入しながら200°Cで押
出してペレット化した。そして、ターボミルT250−
4J(ターボ工業社製)に液体窒素に浸したペレットを
投入して粉砕し、1,000μmの篩い通過分のみを集
めた。
【0044】次に、上記粉体組成物を用いて粉末スラッ
シュ成形を行った。粉末スラッシュ成形の方法として
は、80°Cに予備加熱した皮シボ模様付きの金型を内
に上記粉体組成物を入れ、250°Cに加熱して10分
間置いて付着させ、金型を反転して余剰の溶融付着しな
かった粉体を除去し、金型温度を300°Cに上昇して
60秒間加熱した後、80°Cまで冷却し、厚さ約0.
8mmの表皮を脱型した。
【0045】続いて、上型に上記表皮を下型に予め成形
したポリプロピレン樹脂製の芯材を設置した後、予め配
合した半硬質ウレタンフォーム原料を局所的に注型して
40°Cのオーブンで4分間加熱して、ソフト部とハー
ド部を有するインストルメントパネルを作製した。尚、
芯材として接着面を火炎処理した後、クロロプレン系の
ゴム糊で塗布したものを使用した。
【0046】得られたインストルメントパネルの表皮の
熱老化後の表面評価と曇価を下記の方法により測定し
た。また、上記ソフト部とハード部を幅25mm、長さ
150mmに切り出し、評価用サンプルとし、引張速度
200mm/秒で180°剥離強度と剥離状態で評価し
た。剥離状態は全面ウレタンフォームあるいは表皮の凝
集破壊の場合を○、部分的凝集破壊の場合を△、全面界
面破壊の場合を×とした。これらの結果を表1に併記す
る。
【0047】(表皮の熱老化後の表面評価)表皮の熱老
化後の表面評価は、上記表皮を120°Cに調節したオ
ーブン中で200時間熱老化した後、その表面の粘着性
は触手で、光沢性は目視により優劣を判断した。表面に
粘着性と光沢性の見られないものを○、多少見られるも
のを△、多く見られるものを×にした。
【0048】(曇価試験方法)曇価試験方法では、表皮
を100°で加熱し、揮発する低分子量物を透明ガラス
板に付着させ、その曇化率を調べる方法である。試験装
置はDIN75201に規定されたものを使用し、1リ
ットルのビーカーにほぼ150cm2 の表皮を入れ、1
00°Cのオイルバス中で20時間加熱後に平行光線透
過率測定械で透過率を測定した。雲価は加熱前のガラス
板の透過率より加熱後の透過率を減じた値をパーセント
(%)で示す。
【0049】
【表1】
【0050】この結果、実施例では脂肪酸アミドとブル
ーム防止剤を併用しているため熱老化後の表皮の表面に
は粘着性と光沢性が見られず、また曇価も小さくなって
いるため、表面状態の変化が少なく、そして低分子量有
機物の揮発を少なくしてガラスの曇化を防止しているこ
とが判る。一方、比較例では脂肪酸アミドとブルーム防
止剤のどちらか一方しか使用していないために熱老化後
の表皮の表面には粘着性と光沢性が見られ、また雲価も
高くなり低分子量有機物の揮発が見られる。
【0051】また、実施例のインストルメントパネルの
表皮表面はシボ模様が明確に出現し、また表皮と緩衝層
および表皮と芯材の接着も良好であることが判る。しか
もハード部はオレフィン系樹脂で作製されているため
に、再生使用が可能になる。しかし、比較例ではシート
成形性や脱型性が悪く、また表皮のシボ状態が明確に出
現せず、更には表皮と緩衝層、表皮と芯材との剥離強度
も悪くなっている。
【0052】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1〜4記載の
発明では、少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加
スチレンブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマ
ーと、プロセスオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブル
ーム防止剤を含む粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラス
トマー組成物であり、熱老化による表面状態の変化が小
さくなり、そして低分子量有機物の揮発を少なくしてガ
ラスの曇化を防止できる優れた効果を有し、また表皮表
面にはシボ模様が明確に出現し、表皮と緩衝層および表
皮と芯材の接着も良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用インストルメントパネル
の全体外観斜視図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【符合の説明】
1 インストルメントパネル 2 ソフト部 3 ハード部 4 表皮 5 芯材 6 緩衝層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 平井 裕彰 (56)参考文献 特開 平10−30036(JP,A) 特開 平7−137202(JP,A) 特開 平6−107783(JP,A) 特開 平11−255981(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 41/18 B29C 43/00 - 43/58 B29C 45/00 - 45/84

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末スラッシュ成形によって得られた表
    皮と合成樹脂からなる芯材との間に緩衝層を介在させた
    積層体からなるスラッシュ成形表皮付き成形体におい
    て、上記表皮は少なくとも表面層からなり、その表面層
    が少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレン
    ブタジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマーと、プ
    ロセスオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブルーム防止
    剤を含んだものを加熱混合してペレット化し、このペレ
    ットを粉末化したものをスラッシュ成形することにより
    得られたソリッドな表皮であることを特徴とするスラッ
    シュ成形表皮付き成形体。
  2. 【請求項2】 粉末スラッシュ成形によって得られた表
    皮と合成樹脂からなる芯材を積層したスラッシュ成形表
    皮付き成形体において、上記表皮は少なくとも表面層か
    らなり、その表面層が少なくともポリプロピレン樹脂
    と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、吸油能に優れ
    たエラストマーと、プロセスオイルと、脂肪酸アミド
    と、そしてブルーム防止剤を含んだものを加熱混合して
    ペレット化し、このペレットを粉末化したものをスラッ
    シュ成形することにより得られたソリッドな表皮である
    ことを特徴とするスラッシュ成形表皮付き成形体。
  3. 【請求項3】 粉末スラッシュ成形によって得られた表
    皮と合成樹脂からなる芯材との間に緩衝層を介在させた
    積層体からなるソフト部と粉末スラッシュ成形によって
    得られた表皮と合成樹脂からなる芯材を積層したハード
    部とを有するスラッシュ成形表皮付き成形体において、
    上記表皮は少なくとも表面層からなり、その表面層が少
    なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタ
    ジエンゴムと、吸油能に優れたエラストマーと、プロセ
    スオイルと、脂肪酸アミドと、そしてブルーム防止剤を
    含んだものを加熱混合してペレット化し、このペレット
    を粉末化したものをスラッシュ成形することにより得ら
    れたソリッドな表皮であることを特徴とするスラッシュ
    成形表皮付き成形体。
  4. 【請求項4】 芯材の表面を火炎処理した後、接着剤を
    塗布する請求項2または3記載のスラッシュ成形表皮付
    き成形体。
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