JP3274875B2 - シガレット製造機のたばこ充填量制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、シガレットのたばこ
充填量を一定に制御して品質の安定化を図るためのシガ
レット製造機のたばこ充填量制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のたばこ充填量制御装置は、例え
ば特公昭５７−９３５３号公報に開示れているように、
シガレット製造機によりシガレットの連続ロッドが製造
されるとき、この連続ロッドの刻みたばこの充填密度を
検出する放射線式の密度検出センサを備えている。この
密度検出センサからの出力は、積分回路にて一定時間だ
け積分され、これにより、前記連続ロッドの設定長さ即
ちシガレットの所定本数当たりの刻みたばこの充填量が
求められることになる。

【０００３】このようにして測定された刻みたばこの充
填量は、次に基準量と比較されて、その差分に応じた制
御信号が得られ、そして、この制御信号に基づき、シガ
レット製造機のトリミング装置の作動が制御されること
になる。このトリミング装置は、連続ロッドが製造され
る前の段階で、その巻紙上への刻みたばこの供給量を調
整するものであり、トリミング装置の作動制御により、
連続ロッドの刻みたばこの充填量を一定にすることがで
きる。

【０００４】それ故、上述したたばこ充填量制御装置
は、個々のシガレットの品質を安定させる上で、シガレ
ット製造機の重要なセクションとなっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年にあっ
ては、消費者の嗜好が多様化していることから、シガレ
ットの銘柄も増加する一方、また、１つの銘柄のシガレ
ットの消費量をも大きく変動するものとなっており、こ
のような状況に対応するには、同一の製造機にて、シガ
レットの製造速度を段階的に可変できるようにして、そ
のシガレットの生産量を消費量に合わせる一方、シガレ
ット長、即ち、巻長の異なる複数銘柄のシガレットの製
造にも対応できることが望まれる。

【０００６】しかしながら、従来の製造機は、シガレッ
トの製造速度いわゆるロッドスピード（シガレット製造
機の機械速度とシガレットの巻長との積）が一定である
ことを前提として設計されているから、たばこの充填量
を演算するためのゲイン、即ち、前記積分回路の積分ゲ
インは、シガレット製造機のロッドスピードに対して一
義的に決定されたものとなっている。

【０００７】このため、シガレット製造機の機械速度を
変更して、シガレットの生産量を調整したり、また、巻
長の異なるシガレットを生産する場合等のように、ロッ
ドスピードを変化させても、シガレットの所定本数当た
りのたばこの充填量を正確に検知するには、前記積分回
路の積分ゲインをも可変しなければならないが、この場
合、積分ゲインの切換えには、その積分回路を構成する
回路素子の交換作業を必要とし、その切換えを容易に行
えなかった。

【０００８】この発明は、上述した事情に基づいてなさ
れたもので、その目的とするところは、シガレット製造
機のロッドスピードが可変されても、容易に対応するこ
とができるシガレット製造機のたばこ充填量制御装置を
提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は、所定の速度
で走行する巻紙に刻みたばこを供給し、巻紙に刻みたば
こを連続的に包み込んでシガレットの連続ロッドを成形
した後、前記連続ロッドを所定の長さ毎に切断したシガ
レットを製造する製造機であって、前記シガレットの製
造速度が複数段に切り換え可能なシガレット製造機に於
いて、本発明のたばこ充填量制御装置は、前記連続ロッ
ドの刻みたばこの充填密度を検出する検出手段と、この
検出手段からの出力を積分し、前記シガレットの所定本
数分あたりの刻みたばこの充填量を演算する演算手段
と、この演算手段にて得た刻みたばこの充填量に基づ
き、前記巻紙への刻みたばこの供給量を調整する調整手
段とを備え、そして、演算手段は、前記シガレットの複
数段の製造速度にそれぞれ対応して準備された積分ゲイ
ンと、その製造速度に応じた積分ゲインを選択可能なゲ
イン選択スイッチとを含んでいる。

【００１０】

【作用】上述したたばこ充填量制御装置によれば、検出
手段にて、連続ロッドに於ける刻みたばこの充填密度が
検出されると、演算手段では、検出手段の出力が積分さ
れて、シガレットの所定本数当たりの刻みたばこの充填
量が算出される。ここで、演算手段にて使用される積分
ゲインには、シガレットの製造速度に応じ、ゲイン選択
スイッチにより適切な積分ゲインが選択されているの
で、演算手段にて算出される刻みたばこの充填量は、シ
ガレットの製造速度の切換えに拘わらず、シガレットの
所定本数当たりの値となる。つまり、演算手段は、シガ
レットの本数でみて一定本数当たりの刻みたばこの充填
量を算出することになる。

【００１１】このようにして得られた刻みたばこの充填
量は、調整手段に与えられ、これにより、調整手段は巻
紙上への刻みたばこの供給量を制御する。

【００１２】

【実施例】図１を参照すると、シガレット製造機いわゆ
る巻上げ機の正面図が示されており、また、図２には、
巻上げ機の機能上の構成が概略的に示されている。巻上
げ機自体の機能は既に公知であるので、ここでは簡単に
説明する。チムニ１０内に供給された刻みたばこＴは上
方のコンベアユニット１２に向けて吸引される。このコ
ンベアユニット１２内には、多孔質のコンベアベルト１
４が収容されており、従って、刻みたばこＴは、コンベ
アベルト１４の下面に吸着保持され、そして、コンベア
ベルト１４の走行に伴って、図１及び図２中左方に搬送
可能となっている。

【００１３】上述した刻みたばこの搬送過程に於いて、
コンベアベルト１４に層状にして吸着保持されている刻
みたばこＴは、トリミング装置１６（図２参照）によ
り、適切な厚みに調整された後、巻紙１８上に移し変え
られる。この巻紙１８は、布ベルト２０上に重ね合わさ
れており、この布ベルト２０の走行に伴い、図示しない
巻紙ロールから繰り出されるようになっている。

【００１４】即ち、布ベルト２０は、多数のローラを介
して掛け回されているが、これらローラのうちで、一対
のローラ２２，２４間の部位が巻上げセクションＷとし
て規定されている。巻上げセクションＷの部位では、布
ベルト２０は水平に延び、そして、この部位の布ベルト
２０上に巻紙１８が重ね合わされている。また、布ベル
ト２０は、駆動ドラム２６にも掛け回されており、この
駆動ドラム２６が図示しない回転駆動源により一方向に
回転されることで、布ベルト２０は図中矢印方向に走行
されることになる。

【００１５】更に、布ベルト２０つまり巻紙１８の搬送
方向でみて、巻上げセクションＷの上流側の部位には、
巻紙１８を刻みたばこＴとともに棒状に成形する成形部
や巻紙１８への糊付け器（何れも図示されていない）が
配置されている。従って、刻みたばこＴが巻紙１８と共
に、成形部を通過すると、巻紙１８は先ず、刻みたばこ
Ｔを包み込むような形に変形されてから、巻紙１８の一
方の縁に糊付けされ、そして、その一方の縁が他方の縁
に重ね合わされることで、シガレットの連続ロッドＲが
連続して成形されることになる。

【００１６】このようにして成形される連続ロッドＲの
成形速度、すなわち、巻上げ機の機械速度は、巻紙１８
の走行速度つまり布ベルト２０の走行速度によって決定
されることになり、この実施例の巻上げ機の場合、連続
ロッドＲの成形速度は、駆動ドラム２６の回転速度を可
変することで、例えば２段階に切換え可能となってい
る。巻上げセクションＷの下流側の部位には、巻紙１８
に付着した糊を乾燥させるための乾燥器２８，３０（図
１参照）が順次配置されている。従って、成形された連
続ロッドＲは、乾燥器２８，３０により乾燥処理を受け
た後、巻上げセクションＷから導出される。

【００１７】この後、連続ロッドＲは、密度検出センサ
３２を通過し、この際、この密度検出センサ３２によ
り、連続ロッドＲ内の刻みタバコＴの充填密度が測定さ
れる。ここで、密度検出センサ３２は、前述した特公昭
５７−９３５３号公報に開示れている密度検出器と同様
な構成のものを使用することができる。この後、連続ロ
ッドＲは、切断装置３４を通過することで、個々のシガ
レットに切断され、このようにして得られたシガレット
は、図示しないコンベアにより、次工程に向けて搬送さ
れる。具体的には、シガレットは、一時的に図示しない
トレイに積み込まれることになる。

【００１８】なお、図１に示されているように、巻上げ
セクションＷには、連続ロッドＲの巻径制御部３６が配
置されている。また、巻紙ロールから繰り出される巻紙
１８は、印刷装置４０を通過して、巻上げセクションＷ
に供給されるものとなっており、印刷装置４０では、巻
紙１８にシガレットの銘柄を示すマークや巻上げ機の機
械番号等が必要に応じて印刷されるようになっている。

【００１９】前述したトリミング装置１６は、密度検出
センサ３２からの出力に応じて、その作動が制御される
ものであり、その具体的の構成は図３に示されている。
トリミング装置１６は、トリミングディスク４２を備え
ており、このトリミングディスク４２の回転軸４４は、
ガイド４６内を昇降自在に貫通して上方に延びている。
回転軸４４の上端部には、駆動ギヤ４８が取り付けられ
ており、従って、この駆動ギヤ４８に図示しない電動モ
ータからの回転駆動力が伝達されることで、トリミング
ディスク４２は高速で回転されるようになっている。

【００２０】更に、回転軸４４の上端は、連結部材５０
を介してリンクアーム５２に連結されている。このリン
クアーム５２の一端は、サポートロッド５４の下端に連
結されており、その他端は油圧サーボモータ等の油圧駆
動源５６に連結されている。従って、油圧駆動源５６が
駆動されると、リンクアーム５２は、その一端を支点と
して揺動し、これにより、回転軸４４を介して、トリミ
ングディスク４２の高さ位置を可変することができる。

【００２１】このようにしてトリミングディスク４２の
高さ位置が可変されると、前述したコンベアベルト１４
に吸着保持される刻みたばこＴの層厚が変化し、この結
果、コンベアベルト１４から巻紙１８上への刻みたばこ
Ｔの供給量が調量されることになる。なお、トリミング
ディスク４２の下方には、電動モータ４３により回転駆
動されるブラシ４５が配置されており、このブラシ４５
は、余剰刻みたばこを削り落とす目的で設けられてい
る。

【００２２】次に、図４を参照すると、前述した密度検
出センサ３２及びトリミング装置１６を含み、密度検出
センサ３２を使用してトリミング装置１６即ちその油圧
駆動源５６の作動を制御するたばこ充填量制御装置が示
されており、以下には、このたばこ充填量制御装置につ
いて説明する。

【００２３】先ず、密度検出センサ３２からの出力は、
増幅器５８を介して積分器６０に供給され、この積分器
６０により積分されて、刻みたばこの量目演算部６２に
供給さる。この量目演算部６２では、積分器６０からの
出力に基づいて、連続ロッドＲに充填された刻みたばこ
Ｔの充填量つまりその量目が演算される。ここで、この
量目は、シガレットの所定本数当たりのものとなる。

【００２４】演算された刻みたばこの充填量は、次に比
較器６４，６６に夫々供給されて、量目の許容上限値及
び許容下限値と夫々比較される。例えば、演算された量
目が許容上限値よりも大きくなると、一方の比較器６４
からその差分に応じた制御信号が出力され、この制御出
力は増幅器６８にて増幅された後、トリミング装置１６
に供給される。具体的には、制御信号が油圧増幅器に供
給されることで、トリミング装置１６に於ける油圧駆動
源５６の作動が制御され、これにより、そのトリミング
ディスク４２が上昇されて、巻紙１８上への刻みたばこ
Ｔの供給量が減少されることになる。

【００２５】これに対し、演算された量目が許容下限値
よりも小さくなると、他方の比較器６６からその差分に
応じた制御信号が出力され、この場合には、制御出力に
より、トリミングディスク４２が下降されることで、巻
紙１８上への刻みたばこＴの供給量が増加されることに
なる。そして、この実施例の場合、前述した増幅器５８
と積分器６０との間には、適切な抵抗値を有する抵抗７
２がゲインとして介挿されており、また、この抵抗７２
と並列にしてゲインの選択スイッチ７４が接続されてい
る。

【００２６】上述した抵抗７２と選択スイッチ７４とが
予め設けられていれば、選択スイッチ７４を開閉するだ
けで、積分器６０の積分ゲインを簡単に切り換えること
ができる。従って、前述した駆動ドラム２６の回転速度
の切り換えにより、連続ロッドＲの成形速度、つまり、
巻上機のロッドスピードが低速側に変更される場合にあ
っては、選択スイッチ７４を開くことで、積分器６０の
積分ゲインを小さくでき、逆に、ロッドスピードが高速
側に変更される場合には、選択スイッチ７４を閉じるこ
とで、積分ゲインを大きくすることができる。

【００２７】この結果、連続ロッドＲの成形速度の変更
に伴い、選択スイッチ７４を開閉するだけで、積分器６
０からの出力に基づいて演算される刻みたばこの量目
は、シガレットの同一本数当たりのものとなるから、ト
リミング装置１６による巻紙１８上への刻みたばこの供
給量を高精度に制御することができる。なお、増幅器６
８と比較器６４，６６との間に介挿された可変抵抗器７
６は、連続ロッドＲの成形速度の変更に応じて、油圧駆
動源５６の作動速度を調整するためのものである。

【００２８】この発明は、上述した一実施例に制約され
るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、一
実施例では、駆動ドラム２６の回転速度が２段階に可変
可能である例を示したが、駆動ドラム２６の回転速度を
３段階以上に変更可能としてもよく、この場合には、変
更可能な回転速度の段数に応じた数だけ、積分器６０と
増幅器５８との間に適切な抵抗を並列にして介挿する一
方、これら抵抗の１つを選択する選択スイッチを設けれ
ばよい。

【００２９】また、駆動ドラム２６の回転速度が同一で
も、シガレットの巻長が変更されることで、巻上げ機の
ロッドスピードが変化する場合でも、その変化に対応す
る抵抗を備えておけばよい。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明のたばこ
充填量制御装置によれば、密度検出センサの出力を積分
して、所定本数当たりのシガレット内の刻みたばこの充
填量を演算する際、積分器の積分ゲインを変更する手
段、つまり、ゲイン選択スイッチを予め設けてあるの
で、ゲイン選択スイッチにより、シガレット製造機のロ
ッドスピードの段階的な変更に応じて、積分ゲインを簡
単に切換えることができる。従って、ロッドスピードが
変更されても、演算手段にて積分される刻みたばこの充
填量は、シガレット本数でみて、一定本数当たりのもの
となる。この結果、求めた刻みたばこの充填量に基づ
き、巻紙上への刻みたばこの供給量を制御すれば、個々
のシガレットのたばこの充填量を高精度に制御して、そ
の品質を安定させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】シガレット製造機を示した正面図である。

【図２】図１のシガレット製造機の作動上の機能を示し
た図である。

【図３】図２のトリミング装置を示した詳細図である。

【図４】たばこ充填制御装置を示した回路図である。

【符号の説明】

１６ トリミング装置 １８ 巻紙 ２０ 布ベルト ２６ 駆動ドラム ３２ 密度検出センサ ５６ 油圧駆動源 ６０ 積分器 ６２ 量目演算部 ６４，６６ 比較器 ７０ 油圧増幅器 ７２ 抵抗 ７４ 選択スイッチ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定の速度で走行する巻紙に刻みたばこを
   供給し、巻紙に刻みたばこを連続的に包み込んでシガレ
   ットの連続ロッドを成形した後、前記連続ロッドを所定
   の長さ毎に切断したシガレットを製造する製造機であっ
   て、前記シガレットの製造速度が複数段に切り換え可能
   なシガレット製造機に於いて、 前記連続ロッドの刻みたばこの充填密度を検出する検出
   手段と、前記 検出手段からの出力を積分し、前記シガレットの所
   定本数分あたりの刻みたばこの充填量を演算する演算手
   段と、前記 演算手段にて得た刻みたばこの充填量に基づき、前
   記巻紙への刻みたばこの供給量を調整する調整手段とを
   備え、 前記演算手段は、 前記シガレットの複数段の製造速度にそれぞれ対応して
   準備された積分ゲインと、 前記製造速度に応じた積分ゲインを選択可能なゲイン選
   択スイッチとを含む ことを特徴とするシガレット製造機
   のたばこ充填量制御装置。