JP3271165B2 - 液晶光学ローパスフィルタ - Google Patents

液晶光学ローパスフィルタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶光学ローパスフィ
ルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオカメラ等の撮像素子として
CCD(電荷結合素子)等が用いられている。しかし、
CCDは、受光画素部分が離散的であるために、結像し
た画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じてしま
う。
【0003】これを防止するために、図14に示すよう
に、撮像装置としてのビデオカメラの受光部にあるCC
D撮像素子10の前面に水晶フィルタ11等のローパスフィ
ルタが単独あるいは積層して用いられている。更に、赤
外光をカットするフィルタ12を積層する場合もある。な
お、図中の13は絞り、14は集光レンズである。
【0004】このローパスフィルタは図15に示すよう
に、1枚の水晶板の場合には、入射光をその複屈折を利
用して2点ボケにしたり、さらに光軸の周りに回転させ
た水晶板の積層により2点像を4点像に、さらに高画質
化のために図16のように、3枚重ねで7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させている。
【0005】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、図15の場合は、y方向のみ高周波成分をカット若し
くは分散できるが、図16ではx、yの両方向において高
周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分の感度
を保持したまま高周波成分の画像への影響を一層なくす
ことができる。
【0006】しかしながら、上記ローパスフィルタに用
いる水晶板では、位相差を稼ぐためには、板の厚みをか
なり厚くしなければならないので、重量、容積率の低
減、さらにはコストの低減が望まれていた。
【0007】他方、液晶を用いた光学ローパスフィルタ
が特開昭59−29236 号公報において知られている。しか
しながら、このローパスフィルタは光散乱を応用したも
のであるため、光散乱に伴う迷光の発生により、画像の
黒レベルのバックグラウンドが上がり、特に夜景等の暗
い映像においてコントラストが低下する等の問題があ
る。
【0008】また、位相制御を用いた方法としては、特
開昭59−228622号、同61−258570号公報に示されたもの
がある。ところが、これらの場合、液晶の持つ大きな複
屈折異方性は利用できるものの、少なからず2点ボケ程
度しか得られない。また、液晶として、ネマチック液晶
のねじれ構造とその電気光学的作用についての記述はあ
るが、有効な位相制御範囲ではネマチック液晶のねじれ
構造の利用は実現できず、しかも、液晶層も厚くなるた
めに、特に可視光短波長側でネマチック液晶が本質的に
有する液晶ダイレクタの熱揺らぎによる光散乱の発生を
防ぐ手段がなく、この光散乱の影響により前述の迷光の
問題が生じ、実用に供しえないこともあった。
【0009】
【発明に至った経過】本発明者は、上記したネマチック
液晶のもつ問題について以下に述べるように種々検討を
加えた。これについて、図17〜図20を参照して説明す
る。
【0010】ネマチック液晶を用いた光学ローパスフィルタ 図17のフローチャートに従って、光学ローパスフィルタ
21の作製を行った。ガラス基板2として光学ガラス(B
K7:オハラ株式会社製)を用い、ガラス片面に配向膜
4を形成した。この配向膜としては、無機系の配向膜で
あるSiOの斜方蒸着膜を用いた。
【0011】SiOの斜方蒸着膜を形成する方法として
は、SiO真空蒸着装置内に、SiO蒸着源から鉛直上
に基板を配し、鉛直の線と基板法線のなす角を85度とし
て設置した。SiOを基板温度 170℃で真空蒸着後、 3
00℃、1時間の焼成を行った。
【0012】このようにして作製した配向膜付きの基板
の一対を、その配向処理方向が対向面で反平行となるよ
うに組み、そのスペーサとして目的ギャップ20に応じた
厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホ
イル)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフィルム
(PET)はその平面性を向上させるために、所定の寸
法に切り出した後、3mm厚のガラス板に挟み、その上に
約100 グラムの定加重を加え、 100℃で1時間の熱処理
を行った。
【0013】その後、2枚のガラス基板間にスペーサを
挟み、ギャップをとった後、セルの周囲に液晶の注入孔
を確保してUV硬化型の接着剤(UV−1000:ソニーケ
ミカル社製)で接着した。その後、ネマチック液晶22を
室温あるいは等方相温度で注入した。注入孔周囲のガラ
ス基板上の液晶を除去した後、エポキシ系の接着剤で封
止し、光学ローパスフィルタを作製した。
【0014】ここで、非カイラルネマチック液晶材料と
してメルク社製ZLI−2008−000を用いた。Z
LI−2008−000は融点−6℃、ネマチック相温
度範囲−20〜64℃である。複屈折率異方性はΔn=ne
−no =1.707 −1.517 =0.19である。この液晶を用い
て光学ローパスフィルタの特性を持たせるためには、図
18の様な液晶ダイレクタの傾きを達成しなければならな
い。
【0015】ここで作製したローパスフィルタに使用し
たガラス基板2はBK7であり、寸法は図19の通りであ
る。そして、基板面内の軸を図19、20のようにx、yと
し、基板法線方向をzとすると、液晶ダイレクタの配向
様式は図の様にθ、Φを用いて表すことができる。ここ
で、x軸方向がラビング方向に対応し、同時にCCD撮
像素子の水平走査線方向と一致させた。
【0016】ここでいう、ネマチック液晶の液晶ダイレ
クタの傾きとは、θのことを意味し、液晶のプレチルト
角α(rad.)とは、α=(π/2)−θの関係がある。ネ
マチック液晶が螺旋を形成する場合には、z方向のシフ
トに伴い、Φが回転するように液晶の配列操作を行う。
【0017】そして、上記の如くにして、ZLI−20
08−000液晶を注入して作製した液晶ローパスフィ
ルタ21について以下のフィールドテストを行った。
【0018】ネマチック液晶光学ローパスフィルタを用
いたフィールドテスト 入射光のボケが確認されたネマチック液晶セルについて
は、ネマチック液晶本来の性質である液晶ダイレクタの
熱揺らぎによる光散乱によるくもりが発生する。特に、
実用的なボケ量を得るためには液晶層の厚みを厚くしな
ければならないため、光散乱が増え、 400〜500nm の透
過率が悪くなり易い。
【0019】ソニー社製のビデオカメラ:ハンディカム
Sony TR−900[1/3'CCD](これは図14に示したものと
同等)に、赤外カットフィルタ12のみを残し、水晶フィ
ルタ11を液晶フィルタ21と置き換えて実装し、フィール
ドテストを行った結果、光学ローパスフィルタの特性が
ある程度認められ、モアレ縞、色偽信号を低減すること
ができた。
【0020】ところが、昼光及び室内光でのテストでは
問題ないが、夜間での点光源(車のヘッドライト等)に
対してはバックグラウンドが持ち上がってしまい、霧が
かかったような画像になり、画質が低下してしまった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ロー
パスフィルタ機能を十分発揮すると共に、素子の厚みを
小さくして重量、容積率、コストを低減し、かつ、光散
乱を低減することのできる液晶光学ローパスフィルタを
提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、液晶を
一対の基体(例えば、光学的に透明なガラス基板)間に
配した液晶光学ローパスフィルタの複数個が光路に沿っ
て順次設けられている液晶光学ローパスフィルタにおい
て、前記液晶として非カイラルスメクチック相を示す液
晶が用いられ、隣接し合う前記液晶光学ローパスフィル
タの液晶配向処理方向が、前記光路に直交する面内で互
いに交差していることを特徴とする液晶光学ローパスフ
ィルタに係るものである。
【0023】本発明者は、上述した従来例等で述べた問
題点について鋭意検討を加えた結果、ローパスフィルタ
として水晶板に代えて単に液晶を使用するのではなく、
高周波成分のカット機能(入射角のボケ又は分散)を良
好に発揮しながら上述した光散乱を低減させるために、
非カイラルスメクチック相を示す液晶(非カイラルスメ
クチック液晶)を用いれば、ネマチック液晶では致命的
となっていた特に可視光短波長側での光散乱による迷光
の発生を抑えることができることを突き止めたのであ
る。
【0024】即ち、ネマチック液晶では実用上、光散乱
の影響のために適用範囲(セルギャップ長等)が制約さ
れることが判明し、本発明者はこれらで生じた問題を根
本的な概念から見直し、鋭意努力の結果、液晶を光学的
なローパスフィルタとして実用化するために非カイラル
スメクチック液晶を用い、ネマチック液晶のもつ問題点
を解消したのである。非カイラルスメクチック液晶はネ
マチック液晶よりも分子間相互作用が強く、高次の規則
性を有し、液晶分子ダイレクタの熱揺らぎが少ないため
に、そのダイレクタ方位の揺らぎによる屈折率の揺らぎ
が小さく、光散乱の度合いが少ないと考えられる。この
ような非カイラルスメクチック液晶は、ピッチ長が無限
大であり、配向が比較的容易である。しかし、カイラル
を含むカイラルスメクチックC(SmC)液晶では、
その有限のピッチのために、5μm以上のギャップでは
液晶分子が全体として2つの状態(配向方向が互いに逆
方向)の一方を選択的にとり難くなり、配向が難しくな
る。
【0025】本発明において、上記の一対の基体の対向
面にそれぞれSiO斜方蒸着膜等の液晶配向膜が形成さ
れていること、配向膜と液晶とのプレチルト角が3度以
上であることが望ましい。
【0026】本発明による液晶光学ローパスフィルタ
は、上記の非カイラルスメクチック液晶を一対の基体間
に配した液晶光学ローパスフィルタの複数個が光路に沿
って順次設けられ、隣接し合う前記液晶光学ローパスフ
ィルタの液晶配向処理方向が、前記光路に直交する面内
で互いに交差していることが重要であり、特に、前記基
体の両面の側で前記液晶配向処理方向が互いに交差し、
前記両面の側においてそれぞれ液晶層が配されており、
また前記基体が、隣接し合う前記液晶光学ローパスフィ
ルタで共用されているのがよい。
【0027】なお、従来の水晶板を用いたローパスフィ
ルタでは、その複屈折率異方性Δn=n−n=0.00
91であるため、CCD撮像素子のモアレ縞や色偽信号等
を除去するためには1枚当たり1mm程度の厚みを必要と
していた。そして、高画質化の為には3枚重ねる必要が
あり、更に厚みを伴い、コストも高くなる。そこで、本
発明では、複屈折率異方性の大きな非カイラルスメクチ
ック液晶(Δn=n−n≒0.10〜0.25)を用いるこ
とにより、重量、容積率、コストの低減が図れることに
なる。
【0028】本発明において使用可能な非カイラルスメ
クチック液晶には、その配列様式に従って、SmA、S
mB、SmC、SmD、SmE、SmF、SmG、Sm
H、SmIなどとして分類されている(液晶デバイスハ
ンドブック、日刊工業新聞社、p.112(1990)参照)。
これらのスメクチック液晶分子中にカイラル構造を含む
ことにより、さらに細分化される(例えばカイラルスメ
クチックC:SmC)。
【0029】使用可能なスメクチック液晶を以下に例示
する。
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】〔1〕スメクチックA液晶あるいはスメク
チックC液晶の例としては、以下に示す様な化合物の単
体、あるいはこれら液晶のブレンドにより室温を含む温
度範囲でSmAあるいはSmC相を広げた液晶組成物が
適用できる。
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】〔2〕高次のスメクチック相(SmF、S
mJ、SmG、SmK、SmH、SmE、SmL、等)
等を示す例としてはその代表例として
【化11】
【0040】また、上述したすべてのスメクチック液晶
相を示す液晶の中で非カイラル液晶を選択し、必要に応
じて混合することにより、更に各相の温度範囲の広い液
晶組成物を得ることができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面について説明す
る。
【0042】図1は、本発明による液晶光学ローパスフ
ィルタを説明するための液晶光学ローパスフィルタ31を
概略的に示すものである。
【0043】このローパスフィルタ31によれば、互いに
対向した透明ガラス基板2と2との対向面にそれぞれ配
向膜4が形成され、これらの配向膜側においてガラス基
板2と2との間の間隙(ギャップ)30内に液晶32が注入
されている。この液晶は、使用温度でスメクチック相を
なす液晶である。そして、図示した方向に斜方蒸着(又
はラビング処理)された配向膜4と液晶32とのプレチル
ト角αが3度以上である。
【0044】また、このフィルタの周辺部は、図示した
如く、スペーサ23が設けられてギャップ30が保持され、
かつ、接着剤24で封止されている。
【0045】次に、この光学ローパスフィルタを図2に
示す作製方法に沿って具体的に説明する。
【0046】スメクチック(Sm)液晶を用いた光学ロ
ーパスフィルタ 〔配向膜の形成〕有機系の配向膜としては、例えば市販
のポリイミド系(宇部興産U−ワニスA、日産化学社製
のサンエバー150 、610 、721)を用いた。また、無機系
の配向膜としては、SiOの斜方蒸着膜を用いた。
【0047】透明ガラス基板(BK−7)を洗浄後、溶
剤に希釈したポリアミド酸をスピンキャスト法により基
板材料に塗布し、80℃、15分、さらに 180〜240 ℃、1
時間で熱処理することによりイミド化し、薄膜(10〜15
0nm)を形成した。このようにして形成したガラス基板上
のポリイミド薄膜にベルベット布を巻き付けたローラー
を押し付け、回転させながら、並進移動させることによ
りポリイミド分子の配向を促した。
【0048】SiOの斜方蒸着膜の形成方法としては、
透明ガラス基板(BK−7)を洗浄後、SiO真空蒸着
装置内に、SiO蒸着源から鉛直上に基板を配し、鉛直
の線と基板法線のなす角を85度として設置した。SiO
を基板温度 170℃で真空蒸着後、 300℃、1時間の焼成
を行った。
【0049】〔セルの組み立て〕このようにして作製し
た配向膜付きの基板をその配向膜が対向するように組
み、そのスペーサとして目的ギャップに応じた厚さのポ
リエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホイル:50
〜250 μm)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(PET)はその平面性を向上させるために、所
定の寸法に切り出した後、3mm厚のガラス板に挟み、そ
の上に約100 グラムの定加重を加え、 100℃で1時間の
熱処理を行った。
【0050】その後、2枚のガラス基板間にスペーサを
挟み、ギャップをとった後、セルの周囲を液晶の注入孔
を確保してUV硬化型の接着剤(UV−1000:ソニーケ
ミカル社製)で接着した。
【0051】このとき、対向させるセルのラビング方向
あるいは蒸着方向が同じ組み合わせを平行セル、ラビン
グ方向あるいは蒸着方向が逆向きの組み合わせを反平行
セルと呼ぶ。
【0052】〔液晶の注入〕セルの組み立て後、スメク
チック液晶を等方相温度あるいはネマチック相温度でセ
ル注入孔より減圧下で注入した。液晶注入を完了後、温
度を室温まで戻し、注入孔周囲のガラス基板上の液晶を
除去したのち、エポキシ系の接着剤で封止した。
【0053】図3に示すように、液晶分子ダイレクタと
配向膜面とのなす角をプレチルト角αというが、このプ
レチルト角はクリスタルローテーション法あるいは磁場
容量法を用い、ネマチック液晶(ZLI−2008−0
00)との組み合わせで測定した。その結果、プレチル
ト角αは、宇部U−ワニスA:2度、サンエバー150:
3.6 度、サンエバー610 :8.1 度、サンエバー721 :10
度、SiO斜方蒸着:35度となった。
【0054】スメクチックA(SmA)液晶を用いた光
学ローパスフィルタ スメクチックA液晶としては、良く知られているシアノ
ビフェニル系の
【化12】 を用いた。
【0055】8CBの相転移温度は Cryst 21, SmA 32.5, N 40,Iso であり、室温25℃でスメクチックA相を示す。
【0056】上記液晶を各種配向膜のセル(ギャップ50
〜250 μm)に注入した。いずれも配向処理方向にホモ
ジニアス配向した。これらのセルについてローパスフィ
ルタのボケ量を測定した。このボケの観察では反射型の
顕微鏡システム(Nikon Opti-Photo Pol) を用い
て曇ガラス表面の輝点(約1μm径)の2点ボケを測長
した(図4参照)。
【0057】平行セル(図6参照)では、輝点のボケは
観察できるが、ボケ量の再現性が低く、また反平行セル
(図5参照)に比べ小さい。一方、反平行セルでは、安
定したボケ量が観察され、例えばSiOの斜方蒸着配向
膜、 100μmギャップの組み合わせで、10.5μmのボケ
が観察できた。しかし、プレチルト角2度ではボケが観
察困難であった。
【0058】スメクチックC(SmC)液晶を用いた光
学ローパスフィルタ 非カイラルスメクチックC液晶組成物(DFE:3環性
2フッ素エステル系液晶58wt%、PPm:フェニルピリ
ミジン系22wt%、PB:フェニルベンゾエート系20wt%
のブレンド)を用いた。この液晶組成物の相転移温度は Cryst −29.2, SmC 77.5, SmA 93,N 105,
Iso であり、室温25℃を含む広い温度範囲でスメクチックC
相を示す。
【0059】液晶セルに等方相、あるいはネマチック相
温度で注入し、室温まで冷却したところ、同様に水平配
向した。
【0060】これらのセルについても、ローパスフィル
タのボケ量を測定した。平行セルでは、スメクチックA
の場合と同様に輝点のボケは観察できるが、ボケ量の再
現性が低く、また反平行セルに比べ小さい。一方、反平
行セルでは、安定したボケ量が観察され、例えばSiO
の斜方蒸着配向膜、 100μmギャップの組み合わせで、
8.7μmの輝点のボケが観察できた。
【0061】以上の例の場合は、ピッチ長が無限大であ
り、配向が比較的容易である。しかし、カイラルを含む
カイラルスメクチックC(SmC* )液晶では、その有
限のピッチのために、5μm以上のギャップでは液晶分
子が全体として2つの状態(配向方向が互いに逆方向)
の一方を選択的にとり難くなり、配向が難しくなる。そ
こで、SmC* 液晶では、そのピッチの極性とは逆のピ
ッチを有するカイラル剤を添加し、ピッチをキャンセル
すれば、SmC液晶と同様の配向が得られることは容易
に判る。
【0062】反平行セルと平行セルでのボケ量の差は、
以下の様に説明できる。反平行セル(図5)では、セル
の厚さ方向にプレチルト角がほぼ一定のブックシェルフ
構造をとっており、ボケが有効に得られる。しかし、平
行セル(図6)では、スメクチック層形成過程で対向す
る配向膜の与えるプレチルト角が逆向きになるため、セ
ル中央部で「く」の字型の不整合を生じる。この「く」
の字型の層構造をその形状からシェブロン構造と称して
いる。しかし、このとき、層1と層2の厚さによりボケ
量の不安定性が生じる。
【0063】すなわち、層1と層2の厚さが等しい場合
(図7)、異常光成分は層2で一度はボケを有するもの
の、再び、逆に傾いた層1を通過することにより、もと
の常光と同じ光路となり、ボケは相殺されてしまう。層
1と層2の厚さが異なる場合(図8)、異常光成分は層
2で一度はボケを有するものの、再び、逆に傾いた層1
を通過することにより、層1と層2の厚みの差の分だ
け、ボケが生じる。しかし、反平行セルの様にブックシ
ェルフの配列をする場合(図9)は、常に一定の大きな
ボケ量を与えることができる。
【0064】スメクチック液晶光学ローパスフィルタを
用いたフィールドテスト 各種のスメクチック液晶を用いた光学ローパスフィルタ
では、光散乱による 400〜500nm 近傍の透過率低下が見
られず、肉眼での透明性も非常に良い。これらのスメク
チック液晶を用いた液晶ローパスフィルタをカメラに実
装し、フィールドテストを行った。
【0065】即ち、ソニー社製のビデオカメラ:ハンデ
ィカムSony TR−900[1/3'CCD](これは図14に示した
ものと同等)に、、赤外カットフィルタ12のみを残して
水晶フィルタを上記条件の液晶フィルタ31と置き換えて
図10のように実装した(図中の23はスペーサ、24は接着
層である)。図11は、同ビデオカメラの詳細断面図であ
る。
【0066】液晶ローパスフィルタ31は、その液晶配向
軸をCCDの水平走査方向あるいは垂直方向に一致さ
せ、実装した。あるいは、図16に示した水晶フィルタ3
枚の組み合わせを液晶ローパスフィルタ3枚で行った。
【0067】フィールドテストを行った結果、いずれの
組み合わせについても、光学ローパスフィルタ31の特性
が認められ、昼光及び室内光のテスト結果は勿論のこ
と、夜間での背景の黒レベルを上昇させることがなく、
モアレ縞、色偽信号を除去することができた。
【0068】液晶光学ローパスフィルタの組み合わせ 液晶ローパスフィルタを複数枚組み合わせるとき、接着
層33を設けて各液晶ローパスフィルタを一体化する方法
(図12)、さらには、重なり合う透明基板2を省略でき
る方法(図13)がある。すなわち、図13のように、透明
基板2の両側に配向膜4を付け、その配向膜の配向処理
方向を透明基板2の両面で変える。これにより、3枚の
液晶ローパスフィルタの組み合わせのとき、接着層33を
省略し、2枚の透明基板を省略することができた。
【0069】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0070】例えば、上述した光学ローパスフィルタの
各構成部分(特に、液晶や配向膜)の材質や形状、組み
立て方法等は種々変更してよい。基板もガラス板でな
く、他の光学的に透明な材質であればよい。液晶につい
ては、注入時に既に、使用温度で目的とする液晶相を形
成してもよい。
【0071】また、上述の光学ローパスフィルタは、上
述した以外の枚数を組み合わせて様々な複屈折を生ぜし
めたり、或いは水晶板との組み合わせも可能である。
【0072】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、隣接し合
う液晶光学ローパスフィルタの液晶配向処理方向が、光
路に直交する面内で互いに交差しているので、液晶光学
ローパスフィルタとして効果的な輝点のボケが得られ、
また液晶として非カイラルスメクチック液晶を用いるの
で、分子間相互作用が強く、高次の規則性を有し、液晶
分子ダイレクタの熱揺らぎが少なく、そのダイレクタ方
位の揺らぎによる屈折率の揺らぎが小さいため、光散乱
の度合いが少ない。また、複屈折率異方性の大きな液晶
であるため、高周波成分のカット機能(入射光のボケ又
は分散)を良好に発揮しながら光散乱を低減させること
ができる。しかも、水晶では期待し難い重量、容積率、
コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるスメクチック液晶光学ロ
ーパスフィルタの概略断面図である。
【図2】同光学ローパスフィルタの作製フロー図であ
る。
【図3】同光学ローパスフィルタの液晶−配向膜間のプ
レチルト角を示す概略断面図である。
【図4】入射光のボケ量の測定を説明するための光学系
の概略図である。
【図5】本発明の実施例による光学ローパスフィルタの
概略断面図である。
【図6】本発明の他の実施例による光学ローパスフィル
タの概略断面図である。
【図7】液晶光学ローパスフィルタの概略断面図であ
る。
【図8】本発明の他の実施例による液晶光学ローパスフ
ィルタの概略断面図である。
【図9】本発明の他の実施例による液晶光学ローパスフ
ィルタの概略断面図である。
【図10】本発明の他の実施例による光学ローパスフィル
タの実装例の概略図である。
【図11】同実装例の具体構造を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例による液晶光学ローパスフ
ィルタの概略断面図である。
【図13】本発明の更に他の実施例による液晶光学ローパ
スフィルタの概略断面図である。
【図14】従来例による水晶光学ローパスフィルタの実装
状態の概略図である。
【図15】同水晶フィルタ1枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図16】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図17】ネマチック液晶光学ローパスフィルタの作製フ
ロー図である。
【図18】同光学ローパスフィルタにより生じるボケを原
理的に説明する概略断面図である。
【図19】同光学ローパスフィルタのガラス基板のサイズ
を示す仕様図である。
【図20】同液晶のダイレクタを示す説明図である。
【符号の説明】
2・・・ガラス基板 4・・・配向膜 10・・・CCD(電荷結合素子) 11・・・水晶板(水晶フィルタ) 12・・・赤外カットフィルタ 13・・・絞り 14・・・レンズ 20、30・・・ギャップ 21、31・・・液晶光学ローパスフィルタ 22、32・・・液晶分子(液晶層) α・・・プレチルト角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−258570(JP,A) 特開 平5−27255(JP,A) 特開 平2−81561(JP,A) 特開 昭63−269118(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 G02F 1/141 G02B 27/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶を一対の基体間に配した液晶光学ロ
    ーパスフィルタの複数個が光路に沿って順次設けられて
    いる液晶光学ローパスフィルタにおいて、前記液晶とし
    て非カイラルスメクチック相を示す液晶が用いられ、隣
    接し合う前記液晶光学ローパスフィルタの液晶配向処理
    方向が、前記光路に直交する面内で互いに交差している
    ことを特徴とする液晶光学ローパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記基体の両面の側で前記液晶配向処理
    方向が互いに交差し、前記両面の側においてそれぞれ液
    晶層が配されている、請求項1に記載した液晶光学ロー
    パスフィルタ。
  3. 【請求項3】 前記基体が、隣接し合う前記液晶光学ロ
    ーパスフィルタで共用されている、請求項2に記載した
    液晶光学ローパスフィルタ。
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