JP3270292B2 - 形状記憶合金管継手を用いた結合方法及び結合装置 - Google Patents
形状記憶合金管継手を用いた結合方法及び結合装置Info
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Description
用いた一般的なパイプ又は棒の結合方法及び結合装置に
係り、特に高い信頼性が要求される配管設備で使用する
のに好適な結合方法及び結合装置に関する。
管継手を用いた接合方法(継手接合法)があるが、このと
き、使用される管継手には数多くの種類があり、適用部
位に応じて使い分けられている。例えば、気密性を保持
しながらパイプを結合させる場合には、パイプよりも軟
らかい材質からなる管継手を使用し、強い締付力を加え
て管継手を塑性変形させることにより収縮応力を発生さ
せ、パイプ外面に密着させて気密性を保持する方法が適
用される。
強度材料製の管継手を用い、高い締付力を加えて接合す
るのである。このように、一般的には、接合すべきパイ
プに管継手を設置後、強い力を加えて締付けることが必
要である。
合金を用いた管継手が広く使用されるようになってき
た。この形状記憶合金管継手は、形状記憶合金の形状記
憶作用を利用して管継手に収縮応力を発生させ、必要な
結合力を得るようにしたものであるが、このときの形状
記憶作用は、形状記憶合金を加熱することにより発現さ
れるため、管継手に直接機械的に力を加えて締付ける方
法に比して、施工が容易になる場合がある。
が近づけないような場所でのパイプ接合作業など、遠隔
操作が必要な場所では、有効な接合方法であるといえ
る。
合金が開発され、例えば、形状回復量が多くなるなど、
形状記憶合金の性能が向上し、この結果、良好な再現性
を備え、形状回復に対する信頼性が増してきている。そ
のため、形状記憶合金を用いた管継手に対する信頼性も
向上し、この結果、上記したように、形状記憶合金管継
手が広く適用されるようになってきたのである。
状記憶合金については、その形状記憶特性以外の材料特
性について、まだ、かなり検討の余地が残されている。
その理由は、形状記憶特性を損なわないで、材料として
の諸特性を向上させることが難しいためであり、特に耐
食性について問題がある。すなわち、形状記憶合金管継
手は、パイプを締結している状態で、それに使用されて
いる形状記憶合金の材料表面に引っ張り応力が作用する
ため、耐SCCが低下し、耐食性について問題が生じて
しまうのである。
ジョン・クラッキング(Stress Corrosion Cracking)の
ことで、物体に応力が加えられている状態で、その物体
の表面に、腐食されたような状態でひび割れが生じてし
まう現象を言う。
効な元素を添加して耐食性の向上を図ればよいが、それ
による組成変化で形状記憶特性が損なわれる可能性があ
るため、形状記憶合金については、材料自身の耐食性向
上を図ることは困難である。
継手の使用環境を制限したり、腐食環境で管継手を使用
する場合には、例えば「NKK技報、No.139(1992)」に
提案されているように、形状記憶特性をある程度犠牲に
して腐食特性を向上させた形状記憶合金の管継手を使用
するか、形状記憶合金を使用しない管継手を使用して対
応していた。
記憶合金管継手の特性を活用する点についての配慮がさ
れておらず、有効利用を充分に図ることができないとい
う問題があった。すなわち、形状記憶合金管継手を使用
してパイプなどを結合させた場合、管継手には、収縮力
に比例した大きさの引張応力が作用する。
(特にSCCによる劣化)を加速させてしまうため、低減
させたほうが良いが、それをすると収縮応力が低下し、
必要とする接合力が得られなくなってしまう。従って、
従来技術では、適用範囲が限定され、有効利用が図れな
いのである。
分に活かし、結合力を低下させることなく、充分に耐腐
食性が得られるようにした形状記憶合金管継手による結
合方法及び結合装置を提供することにある。
金管継手による結合処理完了後、該形状記憶合金管継手
の表面に塑性変形が現われるようにするのに必要な物理
的処理が実行されるようにことにより達成され、より具
体的には、上記物理的処理として、ショットピーニング
処理、或いはウオータージェットピーニング処理を適用
することにより達成される。
ニングによる物理的処理は、形状記憶合金管継手の表面
に塑性変形が現われるようにし、これにより該管継手の
表面でだけ、そこに残っていた引張が緩和されるように
働く。
は、材料に作用する引張応力の大きさに依存する。従っ
て、表面での引張応力が低減されたことにより、形状記
憶合金管継手の劣化が防止される。
管継手の表面での応力が緩和されるだけなので、管継手
全体としての収縮力の低下は極く僅かであり、従って、
必要とする結合力が不足する虞れは無く、充分な接合が
得られることになる。
いた結合方法及び結合装置につして、図示の実施例によ
り詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例における
処理手順を示した図で、図2は、このときの形状記憶合
金管継手1の内径変化を、結合すべきパイプ2(又は棒)
の外形と共に、形状記憶合金管の温度との関係で示した
図である。
の各状態を有しており、形状記憶効果とは、低温相で加
えておいた変形が、加熱により低温相から高温相に相変
態させることにより失われ、低温相で変形が加えられる
前の元の形状に回復する性質のことであるが、形状記憶
合金管継手は、この性質を利用して締付応力を発生さ
せ、パイプなどを継ぎ合わせるのであり、このため、図
1に示す手順で結合作業が実行されるようにしているの
である。
形状記憶合金を常温にし低温相に変態させる(S1)。な
お、Sはステップの略であり、従って、S1はステップ
1の意味である。なお、このとき使用する管継手の形状
記憶合金が、当初から低温相にされていたとすれば、こ
のS1での低温相変態処理は不要であるが、この場合で
も低温相であることを確認する必要がある。
の内径寸法R0から所定の内径寸法R1になるまで拡管さ
せる(S2)。このときの元の内径寸法R0は、管継手1
が作成加工されたときで低温相にあるときの最初の寸法
で、結合させるべきパイプ2の外径寸法Raに対応し
て、それよりも所定寸法だけ小さくなっているようにし
てあり、他方、拡管後の内径寸法R1は、パイプ2の外
径寸法Raに対応して、それよりも所定寸法だけ大きく
なるようにする。
が挿入され、管継手1をパイプ2の結合部に設置し、位
置決めされる(S3)。その後、この管継手1を構成して
いる形状記憶合金が加熱されることにより、パイプ2が
結合される(S4)。すなわち、形状記憶合金は、加熱さ
れ、常温以上の所定の温度にされると、低温相から高温
相に状態が遷移して形状が回復する。このため、管継手
1は収縮して、拡管後の内径寸法R1から、パイプ2の
外径寸法Raよりも小さく選んである元の内径寸法R0に
戻ろうとし、この結果、パイプ2の外径寸法Raと管継
手1の内径寸法R0との差による締付力が発生し、パイ
プ2が結合されるのである。
ず温度t0を常温とし、温度t1は低温相から高温相への
遷移開始温度、そして温度t2は、低温相から高温相へ
の遷移終了温度とする。
温度が遷移開始温度t1になると、形状記憶合金の形状
回復作用が始まり、遷移終了温度t2に達するまで実線
Aで示す特性から破線Bで示す特性に沿って管継手1の
内径寸法が収縮して行こうとする。
法Raが、管継手1の初期の内径寸法(拡管前の継手内径
寸法)R0よりも大きく設定されているため、この過程の
途中で管継手1の収縮方向への変形が抑えられ、この結
果、形状記憶合金の管継手1にはその周方向に引張応力
が発生し、これによる反作用として、パイプ2には半径
方向の応力が作用することになり、パイプ2が結合され
るのである。
寸法をR0、パイプ2の外径寸法をRaとすれば、パイプ
(又は棒)2に作用する応力σr(これが結合力に相当)
は、次の(1)式で表わせる。
継手1によるパイプ2の結合が終わったら、次に、この
管継手1を構成している形状記憶合金の外周表面に物理
的処理を施すことにより、この外周表面部分だけに塑性
変形が現われるようにし、これにより、図1に示した形
状記憶合金管継手によるパイプ(又は棒)の結合処理を終
わらせるのである。
部分にだけ塑性変形が引き起こせるのならどのような処
理でも良いが、ショットピーニング加工処理やウォータ
ージェットピーニング加工処理を用いるのが一般的であ
る。
継手によるパイプ(又は棒)の結合処理ならば、ステップ
4までの処理で終わりであるが、この図1の実施例で
は、ステップ5の処理が付加されており、これが本発明
の特徴である。そこで、この図1の実施例において、ス
テップ5の処理が設けてある理由について説明する。
合力σrは、(1)式で示すようになっている。一方、この
とき、管継手の形状記憶合金に作用する引張応力をσt
とすれば、これも同様に、次の(2)式で表わせる。
手の形状記憶合金に作用する引張応力σtも大きくな
る。
が作用すると劣化が加速され、特にSCCに関しては、
劣化の発生頻度が高くなり、劣化の進展も速くなる。例
えば、ステンレス鋼のSCC進展速度(da/dt)は、次の
(3)式で表わされる。
で、引張応力に比例する量である。
極めて敏感であることが判り、従って、引張応力を低減
させることができれば、材料の劣化の防止が可能にな
る。
は、(1)式、及び(2)式の関係からも明らかな通り、管継
手による結合力を低下させることになるから、不用意に
応力を低減することには問題がある。
構成している形状記憶合金の、特に環境雰囲気に接触し
ている表面部分だけであり、このことから、環境雰囲気
に接触する部分の応力のみ低減させることができれば、
形状記憶合金による応力の大部分を保持したままで管継
手としての機能を失うことなく、材料の劣化を防止する
ことができる。
ップ5の処理を付加し、これにより形状記憶合金管継手
の表面部分でだけ塑性変形を生じさせ、この部分でだけ
応力が緩和されるようにしたのであり、この結果、本発
明の実施例によれば、形状記憶合金を用いて管継手を構
成したことによる利点を損なうことなく、充分に耐劣化
性、特に耐SCC特性を持たせることができ、信頼性の
高い結合を得ることができる。
理的処理の例として用いられるピーニング加工について
説明すると、これには微小金属球を衝突させるショット
ピーニング法と、図3に示すように、所定のノズル3を
用い、これから高圧の水を噴射させて、形状記憶合金管
継手1の外周表面1aに衝突させるようにしたウォータ
ージェットピーニング法とがある。なお、この図3で、
2aはパイプ2の表面を表わす。
応力の状態を示すと、図4のようになっており、ここ
で、横軸は、形状記憶合金管継手1の円筒部の表面(外
面)から半径方向に内面に向かう距離で、縦軸は、形状
記憶合金管継手1に発生している応力の大きさを表わし
ている。
て、ステップ4の処理を終了した段階で形状記憶合金管
継手1に発生している応力を表わし、図4(b)は、ステ
ップ5の処理を終了した後での状態を表わしている。
施例によれば、管継手を構成している形状記憶合金の外
周表面から数μm以内の範囲にしか塑性変形をもたらさ
ないので、応力が緩和される範囲もこの領域に限られる
ことになり、従って、この実施例によれば、形状記憶合
金による収縮応力のほとんどはそのまま残されることに
なり、管継手に必要な結合力も含めて、形状記憶合金が
有する有利な機能を損なうことなく、充分に劣化を防止
することができる。
用いた結合装置の実施例について説明する。この実施例
は、図示はしてないが、図1に示した本発明による結合
方法を実行するのに必要な幾つかの装置、すなわち、形
状記憶効果を発現させるための加熱装置と、形状記憶合
金の表面に作用する応力だけを緩和するためのピーニン
グ加工装置とを、管継手用いてパイプなどの結合を行な
う装置としてまとめたものであり、パイプなどに形状記
憶合金の管継手を配置したあと、この配置した部分に対
して順次、加熱処理とピーニング加工処理とを実行し、
管継手によるパイプなどの結合が得られるようにしたも
のである。
員による結合操作がほとんど自動化できるので、作業員
にとってかなり厳しい環境のもとでの、或いは狭隘な場
所での結合作業を、より一層効率的に行なうことができ
る。
し、その劣化を促進してしまう引張応力を、管継手特性
を損なうことなく緩和させることができるので、形状記
憶合金製造の管継手を、形状記憶合金の劣化を引き起こ
すような環境のもとでも充分に使用できるようになり、
この結果、形状記憶合金管継手の適用範囲を大幅に広げ
ることができる。
く、形状回復に対する信頼性に優れた形状記憶合金を用
いた管継手の使用が可能になるので、高い信頼性が要求
される配管設備でも容易に対応できるようになり、この
点でも、形状記憶合金管継手の適用範囲を大幅に広げる
ことができる。
めのフローチャートである。
内径と形状記憶合金の温度との関係を示す説明図であ
る。
ォータージェットピーニング加工の説明図である。
状態を示す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 形状記憶合金管継手を用いてパイプ又は
棒を結合する方法において、 形状記憶合金管継手による結合処理完了後、該形状記憶
合金管継手の表面に塑性変形が現われるようにするのに
必要な物理的処理が実行されるように構成したことを特
徴とする形状記憶合金管継手を用いた結合方法。 - 【請求項2】 請求項1の発明におて、上記物理的処理
が、ショットピーニング処理であることを特徴とする形
状記憶合金管継手を用いた結合方法。 - 【請求項3】 請求項1の発明におて、上記物理的処理
が、ウォータージェットピーニング処理であることを特
徴とする形状記憶合金管継手を用いた結合方法。 - 【請求項4】 形状記憶合金管継手を用いてパイプ又は
棒を結合する装置において、 パイプ又は棒の結合部分に嵌合させた形状記憶合金管継
手に形状記憶作用を発生させるための加熱手段と、 該加熱手段による結合処理完了後、該形状記憶合金管継
手の表面に塑性変形が現われるようにするのに必要な物
理的処理を施す表面加工手段とを備えていることを特徴
とする形状記憶合金管継手を用いた結合装置。 - 【請求項5】 請求項4の発明におて、上記表面加工手
段が、ショットピーニング加工手段であることを特徴と
する形状記憶合金管継手を用いた結合装置。 - 【請求項6】 請求項4の発明におて、上記表面加工手
段が、ウォータージェットピーニング加工手段であるこ
とを特徴とする形状記憶合金管継手を用いた結合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11866695A JP3270292B2 (ja) | 1995-05-17 | 1995-05-17 | 形状記憶合金管継手を用いた結合方法及び結合装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11866695A JP3270292B2 (ja) | 1995-05-17 | 1995-05-17 | 形状記憶合金管継手を用いた結合方法及び結合装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08312845A JPH08312845A (ja) | 1996-11-26 |
JP3270292B2 true JP3270292B2 (ja) | 2002-04-02 |
Family
ID=14742215
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11866695A Expired - Fee Related JP3270292B2 (ja) | 1995-05-17 | 1995-05-17 | 形状記憶合金管継手を用いた結合方法及び結合装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3270292B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6524889B2 (en) | 2000-08-23 | 2003-02-25 | Nec Corporation | Method of transcribing a wiring pattern from an original substrate to a substrate with closely matched thermal expansion coefficients between both substrates for dimensional control of the transcribed pattern |
-
1995
- 1995-05-17 JP JP11866695A patent/JP3270292B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6524889B2 (en) | 2000-08-23 | 2003-02-25 | Nec Corporation | Method of transcribing a wiring pattern from an original substrate to a substrate with closely matched thermal expansion coefficients between both substrates for dimensional control of the transcribed pattern |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08312845A (ja) | 1996-11-26 |
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