JP3269857B2 - 放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネルの製造方法

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JP3269857B2
JP3269857B2 JP21068192A JP21068192A JP3269857B2 JP 3269857 B2 JP3269857 B2 JP 3269857B2 JP 21068192 A JP21068192 A JP 21068192A JP 21068192 A JP21068192 A JP 21068192A JP 3269857 B2 JP3269857 B2 JP 3269857B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輝尽性蛍光体層を有す
る放射線画像変換パネルの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば医療の分野においては、病気の診
断にX線画像のような放射線画像が多く用いられてい
る。かかる放射線画像の形成方法としては、従来、被写
体を透過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射
し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の
写真を撮るときと同じように、銀塩を使用したフィルム
に照射して現像する、いわゆる放射線写真法が一般的で
あった。
【0003】しかるに、近年、銀塩を塗布したフィルム
を使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法と
して、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、し
かる後この蛍光体を例えば光または熱エネルギーで励起
することにより、この蛍光体に吸収されて蓄積されてい
た放射線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を
検出して画像化する方法が提案されている。
【0004】例えば米国特許第 3,859,527号明細書、特
開昭55− 12144号公報には、輝尽性蛍光体を用い、可視
光線または赤外線を輝尽励起光として用いた放射線画像
変換方法が示されている。この方法は、基板上に輝尽性
蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルを使用するも
のであり、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層
に被写体を透過した放射線を当てて、被写体の各部の放
射線透過度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて潜
像を形成し、しかる後にこの輝尽性蛍光体層を輝尽励起
光で走査することによって各部に蓄積された放射線エネ
ルギーを輝尽発光として放射させ、この光の強弱による
光信号を例えば光電変換し、画像再生装置により画像化
するものである。この最終的な画像はハードコピーとし
て再生されるか、またはCRT上に再生される。
【0005】しかるに、輝尽性蛍光体は、一般に、励起
を停止した後もなお継続して蛍光を発するいわゆる「残
光」という現象を示す。従って、放射線画像変換パネル
において検出すべき蛍光に残光が混入してくるので、こ
の残光量が多い場合には、放射線画像のSN比が低下す
る問題がある。従来においては、輝尽性蛍光体の残光量
を減少させるために、酸素を含有するアルカリハライド
蛍光体を用いる技術が提案されている(特願昭60−2975
16号明細書) 。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術では、輝尽性蛍光体層の形成時に酸素化合物を添加す
るので、方法それ自体としては好ましい蒸着法により輝
尽性蛍光体層を形成する場合には、蒸着装置の汚染が生
じやすく、しかも蒸気圧の相違により膜厚方向において
濃度の不均一が生じやすく、さらにその後の熱処理によ
り酸素化合物が離脱して残光量を充分に少なくすること
ができない問題がある。また、基板上に輝尽性蛍光体層
またはその母体層を形成した後、酸素化合物を含有する
雰囲気で熱処理することによって酸素化合物を添加する
方法も考えられるが、この場合には蛍光体の結晶間の隙
間に酸素化合物の粒子が充分に入らず、熱処理の際に蛍
光体の結晶が互いに融着するようになって発光単位を構
成する領域が大きくなるため、得られるパネルにおける
画像の鮮鋭性が低下する。
【0007】そこで、本発明の目的は、画像の鮮鋭性が
高い放射線画像変換パネルを製造することができる方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、輝
尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの製造方法
において、基板上に気相堆積法により形成された輝尽性
蛍光体層またはその母体層に、熱処理することによって
酸化物またはフッ化物よりなる被膜を形成する被膜形成
用塗布液を塗布して乾燥させ、その後、熱処理する工程
を有することを特徴とする。
【0009】
【作用】このような方法においては、輝尽性蛍光体層ま
たはその母体層において、被膜形成用塗布液が蛍光体の
結晶の隙間内に進入するため、熱処理の際に蛍光体の結
晶が互いに融着することが防止され、従って画像の鮮鋭
性の高い放射線画像変換パネルが得られる。しかも、熱
処理によって形成される被膜の種類によって残光量の少
ない放射線画像変換パネルが得られる。
【0010】
【実施例】本発明においては、基板上に輝尽性蛍光体層
またはその母体層を形成してなるプレートに、熱処理す
ることによって酸化物またはフッ化物よりなる被膜を形
成する被膜形成用塗布液を塗布して乾燥させ、その後、
熱処理する。
【0011】被膜形成用塗布液は、熱処理によって酸化
物またはフッ化物の被膜を形成する被膜形成物質と、こ
の被膜形成物質を溶解する媒体もしくはこの被膜形成物
質を分散させる媒体とから構成される。
【0012】被膜形成用塗布液の媒体としては、輝尽性
蛍光体層またはその母体層を構成する蛍光体を溶解しに
くいものが好ましく、例えばキシレン、エタノール、メ
タノール、イソプロピルアルコール、アセトンなどの有
機系媒体またはそれらの混合物が好ましい。
【0013】被膜形成物質の具体例としては、金属酸化
物、金属フッ化物、珪素酸化物、有機珪素化合物、金属
アルコキシドなどの有機金属化合物が挙げられる。特
に、形成される被膜が耐熱性を有し、熱処理の際に、酸
化や蛍光体との反応などを起こさないような被膜である
ことが好ましく、具体的には、その被膜がAl2 3
TiO2 、ZrO2 、SiO2 、MgF若しくはこれら
を含有する化合物またはこれらの混合物からなることが
好ましい。
【0014】被膜形成用塗布液における被膜形成物質の
容積濃度は10%以下であることが好ましい。被膜形成物
質の容積濃度が10%を超える場合には、熱処理によって
輝尽性蛍光体層またはその母体層に形成される被膜が厚
くなりすぎて被膜の光透過率が低下するため、得られる
パネルの放射線感度が低下する。また、被膜形成用塗布
液は、粘度が20℃において50cP未満であることが好ま
しい。粘度が50cP以上である場合には、塗布する際
に、被膜形成用塗布液が蛍光体の結晶間の隙間に充分に
進入しない。さらに、被膜形成用塗布液は、被膜形成物
質の分散度(全粒子に対する凝集粒子の割合)が30%以
下であることが好ましく、被膜形成物質の粒子(凝集し
ていない粒子)の大きさが 100nm以下で凝集粒子の大き
さが 500nm以下であることが好ましい。
【0015】塗布液の塗布方法としては、含浸引上げ塗
布法、スピン塗布法、スプレイ塗布法、ドクターブレー
ド塗布法などが挙げられ、特に、蛍光体が柱状結晶であ
る場合には、含浸引上げ塗布法またはスピン塗布法で行
うことが好ましい。
【0016】含浸引上げ塗布法により塗布する場合に
は、塗布液を蛍光体層に含浸させた直後は気泡が発生す
るのでその状態で3秒間程度放置しておき、気泡の発生
が無くなったことを確認してから引き上げることが好ま
しい。引上げは引上げ速度が1cm/分〜50cm/分となる
範囲で行うことが好ましい。引上げ速度が1cm/分未満
のときには、熱処理によって形成される被膜が厚くなり
すぎたり、膜厚が不均一なものとなったりする。引上げ
速度が50cm/分を超えるときには、蛍光体の結晶間の隙
間に塗布液が充分に進入しない。また、蛍光体の結晶間
の隙間に塗布液を充分に進入させるために、塗布液に超
音波をかけることが有効な場合がある。さらに、輝尽性
蛍光体層またはその母体層が斜め蒸着法により形成され
ているときには、蛍光体の柱状結晶が基板の法線方向に
対し傾きを有するので、その結晶が上方を向く状態で塗
布液に浸すことが好ましく、これにより、蛍光体の結晶
間の隙間に塗布液を充分に進入させることができる。
【0017】図6は、斜め蒸着法により形成された輝尽
性蛍光体層に、被膜形成用塗布液が塗布された状態を示
す説明図である。基板18上に形成された輝尽性蛍光体
層19は、基板18の法線方向に対し傾きを有する柱状
結晶41により構成され、輝尽性蛍光体層19の表面4
2および柱状結晶41間の隙間43には、被膜形成用塗
布液44が塗布されている。
【0018】スピン塗布法により塗布する場合には、ス
ピナーの回転速度は例えば100rpm〜3000rpmであること
が好ましい。また、輝尽性蛍光体層またはその母体層が
斜め蒸着法により形成されているときには、蛍光体の結
晶が基板の法線方向に対し傾きを有するので、その結晶
が回転軸方向に向く状態で行うことが好ましく、これに
より、蛍光体の結晶間の隙間に塗布液を充分に進入させ
ることができる。さらに、減圧下で塗布することによっ
て、結晶間の隙間のガスが抜かれ、塗布液をより深く進
入させることができる。
【0019】蛍光体の結晶間の隙間に被膜形成用塗布液
を充分に進入させるためには、被膜形成用塗布液を塗布
する前に、窒素ブローなどによって蛍光体層に付着して
いる埃、塵などを除去する処理や、 100℃以上の温度で
の熱処理によって蛍光体の結晶表面に吸着している有機
物や水分を除去する処理を行うことが好ましく、被膜形
成用塗布液を塗布する際に、異物が蛍光体層に付着しな
いようにクリーンルームで作業することが好ましい。ま
た、同じ理由により塗布は数回に分けて行い、塗布した
後は、脱泡処理( 100℃以上での減圧熱処理など)を行
うことが好ましい。さらに、塗布した後は、放射線感度
の高いパネルを得るために、輝尽性蛍光体層またはその
母体層の表面に塗布された塗布液を、ブラストなどによ
って除去することが好ましい。図7は、輝尽性蛍光体層
の表面上の被膜形成用塗布液が除去された状態を示す説
明図である。この図のように、柱状結晶41間の隙間4
3には、被膜形成用塗布液44が塗布されたままの状態
で残されている。
【0020】形成される被膜は光透過率が90%以上とな
るものであることが好ましい。被膜の光透過率が90%未
満の場合には、輝尽発光の透過率が低下し、得られるパ
ネルの放射線感度が低下するからである。そして同じ理
由により、被膜の厚さは、例えば3μm以下であること
が好ましい。
【0021】被膜形成用塗布液の塗布後におけるプレー
トの乾燥処理は、被膜形成用塗布液の媒体を蒸発させる
処理であり、これによって、その後の熱処理によって輝
尽性蛍光体層等に異常を招くことを防ぐことができる。
そのため、当該乾燥処理は乾燥温度が 150℃以下で行う
ことが好ましい。
【0022】熱処理は、被膜の形成と、輝尽性蛍光体の
結晶に対する熱増感と、付活剤および酸素化合物による
改質と、輝尽性蛍光体の形成時の結晶の乱れに対するア
ニールとを行うものである。これらは、付活剤および酸
素化合物を含有する雰囲気によって1回の熱処理で同時
に行うことも、数回の熱処理工程により異なる条件で行
うことも可能である。また、基板上に形成された層が輝
尽性蛍光体層である場合において、熱処理によって形成
される被膜が酸化物であるときには、付活剤および酸素
化合物を含有しない雰囲気で熱処理することができる。
【0023】図1は、熱処理に用いることができる熱処
理装置を示し、1はプレートであり、基板1A上に輝尽
性蛍光体層1Bが形成されている。そして、この輝尽性
蛍光体層1Bを構成する蛍光体の結晶は、被膜形成物質
によって被われている。2は熱処理容器、3は熱処理容
器用ヒータ、4は熱処理炉、5は蒸発容器用ヒータ、6
は蒸発容器、7は雰囲気粉、8はガス量調整バルブであ
る。ここで、雰囲気粉とは、付活剤および酸素化合物を
含有する粉末をいう。
【0024】熱処理するに際しては、熱処理の対象であ
るプレート1を熱処理容器2に設置し、雰囲気粉7を蒸
発容器6に設置する。その後、熱処理容器用ヒータ3お
よび蒸発容器用ヒータ5により熱処理容器2および蒸発
容器6を所定の温度にまで加熱した後、ガス量調整バル
ブ8を徐々に開いて付活剤および酸素化合物のガスを熱
処理容器2中へ拡散させる。付活剤および酸素化合物の
ガス拡散量は蒸発容器6の加熱温度、熱処理容器2と蒸
発容器6との温度差、ガス量調整バルブ8の開きの程度
等によって決定される。プレート1の熱処理温度Tは、
輝尽性蛍光体の種類によっても異なるが、輝尽性蛍光体
母体の融点Tm〔℃〕より低いことが好ましく、0.25T
m<T<Tmの範囲が好ましい。熱処理が終了した後、
プレート1を室温まで所定の速度で冷却する。上記の方
法によれば、被膜の形成が行われ、これと同時に輝尽性
蛍光体の結晶に対する熱増感と、付活剤および酸素化合
物による改質と、輝尽性蛍光体の形成時の結晶の乱れに
対するアニールとが行われる。また、加熱する前に、熱
処理容器2の内部および蒸発容器6の内部を排気するこ
とによって、熱処理容器2の内部および蒸発容器6の内
部が真空の状態となるようにしてもよい。
【0025】図2は、熱処理に用いることができる熱処
理装置の他の例を示し、9は付活剤および酸素化合物の
雰囲気粉、10は熱処理容器である。この熱処理装置で
は、熱増感を施すプレート1と付活剤および酸素化合物
の雰囲気粉9とを熱処理容器10中に共存させている。こ
のような雰囲気粉9の使用によってプレート1中の付活
剤および酸素化合物の濃度を容易に調整することができ
る。
【0026】雰囲気粉9における付活剤および酸素化合
物の濃度は、熱処理の条件で異なるが、プレート1の輝
尽性蛍光体中の付活剤の濃度とほぼ等しいかこれより大
きいことが好ましい。ただし、基板上に形成された層が
輝尽性蛍光体層である場合において、熱処理によって形
成される被膜が酸化物であるときには、付活剤および酸
素化合物を含有しない雰囲気で熱処理することができ
る。また、プレート1の熱処理温度Tは、図1の装置を
用いる場合と同様に輝尽性蛍光体母体の融点Tm〔℃〕
より低いことが好ましく、0.25Tm<T<Tmの範囲が
好ましい。
【0027】図3は、熱処理に用いることができる熱処
理装置のさらに他の例を示し、この装置ではイオン注入
法により熱処理を行うものである。イオン源部11では、
付活剤および酸素化合物の固体あるいはそれらの塩化物
または水素化物等のガスより所要の付活剤および酸素化
合物のイオンを生成する。生成されたイオンは引出し電
極12によって引き出され、加速部で平均射影飛程や付活
剤および酸素化合物の分布の設定に応じてエネルギーを
選択し加速する。質量分析部13では、所要のエネルギー
と質量をもったイオンを取り出し、さらに偏向部14でx
−y方向にイオンビームを均一に掃引して、試料室15に
取りつけられたヒータ17で熱処理されているプレート16
上に均一に照射する。このときチャネリングと呼ばれる
イオンのトンネル侵入を避けるために、プレート16面を
ビーム方向に対して7〜8°程度傾けることが大切であ
る。この熱処理装置の真空度は、通常、イオン源部11で
約1×10-8Torr、試料室15では10-7Torr台に設定され
る。
【0028】熱処理する際の付活剤としては、Eu化合
物群、Tb化合物群、Ce化合物群、Tm化合物群、D
y化合物群、Pr化合物群、Ho化合物群、Nd化合物
群、Yb化合物群、Er化合物群、Gd化合物群、Lu
化合物群、Sm化合物群、Y化合物群、Tl化合物群、
Na化合物群、Ag化合物群、Cu化合物群、In化合
物群、Mg化合物群の少なくとも1種が用いられる。
【0029】酸素化合物としては、SiO2 、MgO、
Al2 3 、TiO2 、ZrO2 等のセラミックス、硝
酸、炭酸もしくはこれらの化合物が好ましい。これらの
酸素化合物は適宜組合せて使用してもよい。硝酸化合物
としては、RbNO3 、TlNO3 、Pb(NO
32 、CsNO 3 等が用いられる。炭酸化合物として
は、Na2 CO3 、BaCO3 、SrCO3 、Pb2
3、Cs2 CO3 等が用いられる。
【0030】酸素化合物としてセラミックスを使用する
場合は、その粉末の使用量は雰囲気粉の重量に対して0.
01重量%以上が好ましく、特に 0.2重量%以上が好まし
い。
【0031】酸素化合物として硝酸等の化合物を使用す
る場合は、その使用量は雰囲気粉1モルに対して 0.5モ
ル以下が好ましく、特に10-6〜0.2 モルの範囲が好まし
い。特に硝酸またはその化合物は、残光を減少させる効
果が優れており、少量の添加で残光を充分に減少させる
ことができる。また、炭酸またはその化合物に比べて吸
湿性が小さいので取扱いも容易である。
【0032】熱処理の対象である輝尽性蛍光体層または
その母体層の形成方法としては、基板上に気相堆積法に
より輝尽性蛍光体層および付活剤層を別々に設け、その
後、熱処理を施して付活剤を輝尽性蛍光体層中に熱拡散
させる方法、基板上に気相堆積法により母体層を形成
し、次に当該母体層に別途用意した付活剤を拡散法やイ
オン注入法等により添加して輝尽性蛍光体層を得る方法
等が挙げられる。ここで「母体層」とは、付活剤を含有
していない状態の輝尽性蛍光体層をいう。気相堆積法と
しては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオン
プレーティング法等が挙げられる。
【0033】蒸着法により輝尽性蛍光体層を形成する場
合の一例においては、基板を蒸着装置内に設置した後、
蒸着装置内を排気して例えば10-6Torr程度の真空度とす
る。次いで、輝尽性蛍光体材料を備えた蒸発源を所定の
位置に配置して、抵抗加熱器または電子ビームを用いて
輝尽性蛍光体材料を加熱蒸発させて、その蒸気流を基板
の被蒸着面に当てて輝尽性蛍光体を所定の厚さに堆積さ
せる。蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形
成することも可能である。また、蒸着時、必要に応じて
基板を冷却または加熱してもよい。
【0034】スパッタリング法により輝尽性蛍光体層を
形成する場合の一例においては、蒸着法と同様に基板を
スパッタリング装置内に配置した後、装置内を一旦排気
して例えば10-6Torr程度の真空度とし、次いで、スパッ
タリング用のガスとしてAr,Ne等の不活性ガスを導
入して、例えば10-3Torr程度のガス圧とする。次に、複
数の輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリング
することにより、基板の表面に輝尽性蛍光体を所定の厚
さに堆積させる。このスパッタリング工程においても、
蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成す
ることも可能である。また、スパッタリング時に、必要
に応じて基板を冷却または加熱してもよい。
【0035】気相堆積法による輝尽性蛍光体層の形成工
程において、輝尽性蛍光体層の堆積速度は 0.1〜50μm
/分が好ましい。堆積速度があまり小さいと生産性が低
くなり、堆積速度があまり大きいと堆積速度のコントロ
ールが困難となる。また、気相堆積法による輝尽性蛍光
体層の形成工程において、結晶化の進行による画像の鮮
鋭性の低下を防止する観点から、基板の温度は 400℃以
下が好ましい。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放
射線画像変換パネルの放射線感度、輝尽性蛍光体の種類
等によって異なるが、放射線吸収率の低下による放射線
感度の低下を防止する観点から、30〜1000μmが好まし
く、特に50〜500 μmが好ましい。
【0036】本発明においては、輝尽性蛍光体層または
その母体層が柱状結晶により構成されていることが好ま
しい。柱状結晶で構成された輝尽性蛍光体層を有する放
射線画像変換パネルはもともと鮮鋭性が高いが、柱状結
晶は熱処理によって互いに融着しやすいため、鮮鋭性に
おける本発明の効果が大きいからである。
【0037】図4は、本発明の製造方法により製造され
る放射線画像変換パネルの具体的構成例を示し、18は基
板、19は輝尽性蛍光体層、20は保護層、21はスペーサ、
22は低屈折率層である。
【0038】基板18の材料としては、ガラス、セラミッ
クス、金属等が用いられる。具体的には、石英ガラス、
化学強化ガラス等のガラス、結晶化ガラス、アルミナあ
るいはジルコニアの焼結板等のセラミックス、アルミニ
ウム、アルミニウム−マグネシウム合金、鉄、ステンレ
ス、銅、クロム、鉛等の金属シート等が挙げられる。基
板18の厚さは、その材質等によって異なるが、一般的に
は 100μm〜5mmが好ましく、取扱いの便利性から、特
に 200μm〜2mmが好ましい。
【0039】保護層20は、輝尽性蛍光体層19を物理的に
または化学的に保護するために設けられるものである。
この保護層20は、図4のように低屈折率層22を介して輝
尽性蛍光体層19に対向するように設けてもよいし、保護
層用の塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成し
てもよい。またあらかじめ別途形成した保護層を輝尽性
蛍光体層上に接着してもよい。
【0040】保護層20を低屈折率層22を介して設ける場
合、当該保護層20の構成材料としては、透光性がよく、
シート状に成形できるものが使用される。保護層20は輝
尽励起光および輝尽発光を効率よく透過するために、広
い波長範囲で高い光透過率を示すことが望ましく、光透
過率は80%以上が好ましい。そのような材料としては、
石英、ホウケイ酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラ
スや、PET、延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等
の有機高分子化合物が挙げられる。ホウケイ酸ガラスは
330nm〜2.6 μmの波長範囲で80%以上の光透過率を示
し、石英ガラスではさらに短波長においても高い光透過
率を示す。さらに、保護層20の表面に、MgF2 等の反
射防止層を設けると、輝尽励起光および輝尽発光を効率
よく透過すると共に、鮮鋭性の低下を小さくする効果も
あり好ましい。
【0041】保護層20を輝尽性蛍光体層19上に直接設け
る場合、当該保護層20の構成材料としては、酢酸セルロ
ース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、
ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエ
チレンスルホネート等を用いることができる。また、こ
の保護層20は、蒸着法、スパッタリング法等により、S
iC、SiO2 、Si3 4 、Al2 3 等の無機物質
を積層して形成してもよい。この場合の保護層20の層厚
は、保護層20を輝尽性蛍光体層19に直接設ける場合は、
0.1〜100 μmが好ましく、低屈折率層22を介してを設
ける場合は50μm〜5mm、好ましくは100 μm〜3mmで
ある。また、保護層20の厚さは、通常50μm〜5mmであ
り、良好な防湿性を得るためには、 100μm〜3mmが好
ましい。
【0042】低屈折率層22は、放射線画像の鮮鋭性をさ
らに向上させる観点から必要に応じて設けられるもので
ある。具体的には、CaF2 (屈折率1.23〜1.26) 、N
3AlF6 (屈折率1.35) 、MgF2 (屈折率1.38)
、SiO2 (屈折率1.46) 等からなる層;エタノール
(屈折率1.36) 、メタノール (屈折率1.33) 、ジエチル
エーテル (屈折率1.35) 等の液体からなる層;空気、窒
素、アルゴン等の気体からなる層;真空層等のように屈
折率が実質的に1である層;等から選択される。特に、
気体層または真空層が好ましい。この場合、低屈折率層
22の厚さは、通常0.05〜3mmである。
【0043】低屈折率層22は、輝尽性蛍光体層19と密着
していることが好ましく、従って、低屈折率層22が液体
層、気体層、真空層の場合には、そのままでよいが、低
屈折率層22をCaF2 、Na3 AlF6 、MgF2 、S
iO2 等を用いて保護層20の内面に設けた場合には、輝
尽性蛍光体層19と低屈折率層22は例えば接着剤等により
密着させればよい。
【0044】保護層20を輝尽性蛍光体層19に対して距離
をおいて配設する場合には、基板18と保護層20との間
に、輝尽性蛍光体層19を取囲むスペーサ21が設けられ
る。スペーサ21としては、輝尽性蛍光体層19を外部雰囲
気から遮断した状態で保持することができるものであれ
ば特に制限されず、ガラス、セラミックス、金属、プラ
スチック等が用いられる。
【0045】本発明において「輝尽性蛍光体」とは、最
初の光または高エネルギー放射線が照射された後に、光
的、熱的、機械的、化学的または電気的等の刺激(輝尽
励起)により、最初の光または高エネルギー放射線の照
射量に対応した輝尽発光を示す蛍光体をいうが、実用的
な面からは、波長が 500nm以上の輝尽励起光によって輝
尽発光を示す蛍光体が好ましい。
【0046】輝尽性蛍光体層を構成する輝尽性蛍光体と
しては、下記一般式(1)で示されるアルカリハライド
蛍光体が好ましい。 一般式(1) MI X・aMIIX'2・bMIII X''3 ・cA:dB 式中、MI は、Li,Na,K,Rb,Csの少なくと
も1種のアルカリ金属を表す。MIIは、Be,Mg,C
a,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu,Niの少なくとも
1種の2価の金属を表す。MIII は、Sc,Y,La,
Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,In
の少なくとも1種の3価の金属を表す。X,X' , X''
は、F,Cl,Br,Iの少なくとも1種のハロゲンを
表す。Aは、酸素を含有する化合物組成であって、好ま
しくは前記MI 、MII、MIII 、さらに後記付活剤Bを
構成する化合物の少なくとも1種を表す。Bは、付活剤
組成であって、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,
Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,T
l,Na,Ag,Cu,In,Mgの少なくとも1種の
金属を表す。a,b,c,dは、0≦a<0.5 、0≦b
<0.5 、0<c≦0.5 、好ましくは10-6<c≦0.2 、0
<d≦0.2 を満たす数を表す。ただし、AがBを構成す
る付活剤の酸素化合物である場合は、d=0 でもよい。
【0047】前記アルカリハライド輝尽性蛍光体を構成
する輝尽性蛍光体原料としては、下記のものが用いられ
る。 (1)LiF、LiCl、LiBr、LiI、NaF、
NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、
KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、
CsCl、CsBr、CsIの少なくとも1種。 (2)BeF2 、BeCl2 、BeBr2 、BeI2
MgF2 、MgCl2 、MgBr2 、MgI2 、CaF
2 、CaCl2 、CaBr2 、CaI2 、SrF2 、S
rCl2 、SrBr2 、SrI2 、BaF2 、BaCl
2 、BaBr2 、BaBr2 ・2H2 O、BaI2 、Z
nF2 、ZnCl2 、ZnBr2 、ZnI2 、Cd
2 、CdCl2 、CdBr2 、CdI2 、CuF2
CuCl2 、CuBr2 、CuI2 、NiF2 、NiC
2 、NiBr2 、NiI2 の少なくとも1種。 (3)ScF3 、ScCl3 、ScBr3 、ScI3
YF3 、YCl3 、YBr3 、YI3 、LaF3 、La
Cl3 、LaBr3 、LaI3 、CeF3 、CeC
3 、CeBr3 、CeI3 、PrI3 、PrF3 、P
rCl3 、PrBr3、PrI3 、NdF3 、NdCl
3 、NdBr3 、NdI3 、PmF3 、PmCl3 、P
mBr3 、PmI3 、SmF3 、SmCl3 、SmBr
3 、SmI3 、EuF3 、EuCl3 、EuBr3 、E
uI3 、GdF3 、GdCl3 、GdBr3 、Gd
3 、TbF3 、TbCl3 、TbBr3 、TbI3
DyF3 、DyCl3 、DyBr3 、DyI3 、HoF
3 、HoCl3 、HoBr3 、HoI3 、ErF3 、E
rCl3 、ErBr3 、ErI3 、TmF3 、TmCl
3 、TmBr3 、TmI3 、YbF3 、YbCl3 、Y
bBr3 、YbI3 、LuF3、LuCl3 、LuBr
3 、LuI3 、AlF3 、AlCl3 、AlBr3 、A
lI3 、GaF3 、GaCl3 、GaBr3 、Ga
3 、InF3 、InCl3、InBr3 、InI3
少なくとも1種。 (4)Eu化合物群、Tb化合物群、Ce化合物群、T
m化合物群、Dy化合物群、Pr化合物群、Ho化合物
群、Nd化合物群、Yb化合物群、Er化合物群、Gd
化合物群、Lu化合物群、Sm化合物群、Y化合物群、
Tl化合物群、Na化合物群、Ag化合物群、Cu化合
物群、In化合物群、Mg化合物群の少なくとも1種の
付活剤原料。
【0048】基板上に輝尽性蛍光体層またはその母体層
を形成するためには、アルカリハライド蛍光体が蒸着法
に好適であることから特に好ましく用いることができ
る。すなわち、蒸着法により容易に柱状化しやすいた
め、その後の被膜形成用塗布液の塗布および熱処理によ
り柱状に沿って均一に酸素化合物が添加できる。ただ
し、本発明においては、以上の蛍光体に限定されず、放
射線を照射した後、輝尽励起光を照射した場合に輝尽発
光を示す蛍光体であれば、その他の蛍光体をも用いるこ
とができる。
【0049】図5は本発明の方法により製造された放射
線画像変換パネルを用いて構成された放射線画像変換装
置の概略を示し、23は放射線発生装置、24は被写体、25
は放射線画像変換パネル、26は輝尽励起光源、27は放射
線画像変換パネル25より放射された輝尽発光を検出する
光電変換装置、28は光電変換装置27で検出された信号を
画像として再生する再生装置、29は再生装置28により再
生された画像を表示する表示装置、30は輝尽励起光と輝
尽発光とを分離し、輝尽発光のみを透過させるフィルタ
ーである。
【0050】この放射線画像変換装置においては、放射
線発生装置23からの放射線は被写体24を通して放射線画
像変換パネル25に入射する。この入射した放射線は放射
線画像変換パネル25の輝尽性蛍光体層に吸収され、その
エネルギーが蓄積され、放射線透過像の蓄積像が形成さ
れる。次に、この蓄積像を輝尽励起光源26からの輝尽励
起光で励起して輝尽発光として放射させる。放射される
輝尽発光の強弱は、蓄積された放射線エネルギー量に比
例するので、この光信号を例えば光電子増倍管等の光電
変換装置27で光電変換し、再生装置28によって画像とし
て再生し、表示装置29によって表示することにより、被
写体24の放射線透過像を観察することができる。
【0051】以下、さらに具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体の
母体(RbI)を 300μmの厚さで蒸着した。蛍光体の
母体の柱状結晶間の隙間の幅は約2μmであった。この
プレートを、キシレン媒体中に容積濃度が3%となる量
の被膜形成物質TiSiO4 (フジトク製GLASS−
TS−100)を分散させた被膜形成用塗布液(20℃に
おける粘度12cp)に浸漬させた後、10cm/分の速度
で引き上げた。その後 120℃で1時間の乾燥を行った。
被膜の厚さは1μmであった。このプレートとRbI:
5×10-4TlI(母体:付活剤)の粉末1kgと、雰
囲気粉に対して 0.2重量%のSiO2 とを、図1の熱処
理容器にいれて、温度 500℃で2時間にわたり熱処理を
行った。熱処理後のプレートを用いて放射線画像変換パ
ネルを作製した。
【0052】実施例2 実施例1において、被膜形成用塗布液として、キシレン
媒体中に容積濃度が5%となる量の被膜形成物質MgF
2 (住友セメント製ARG401)を分散させた被膜形
成用塗布液(20℃における粘度2cp)を用いたほかは
同様にして塗布、乾燥および熱処理を行い、放射線画像
変換パネルを作製した。
【0053】実施例3 実施例1において、塗布液をスピナーを用いて、回転数
2000rpm、塗布液量2mlの条件で塗布したほかは同
様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0054】実施例4 実施例1において、被膜形成用塗布液として、イソプロ
ピルアルコール媒体中に容積濃度が3%となる量の被膜
形成物質TiSiO4 (フジトク製GLASS−TS−
100)を分散させた被膜形成用塗布液(20℃における
粘度12cp)を用いたほかは同様にして放射線画像変換
パネルを作製した。
【0055】実施例5 実施例1において、被膜形成用塗布液として、キシレン
媒体中に容積濃度が12%となる量の被膜形成物質TiS
iO4 (フジトク製GLASS−TS−100)を分散
させた被膜形成用塗布液(20℃における粘度50cp)を
用いたほかは同様にして放射線画像変換パネルを作製し
た。
【0056】実施例6 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体
(RbI:5×10-4TlI)を 300μmの厚さで蒸着
した。蛍光体の柱状結晶間の隙間の幅は約2μmであっ
た。このプレートを、キシレン媒体中に容積濃度が3%
となる量の被膜形成物質TiSiO4 (フジトク製GL
ASS−TS−100)を分散させた被膜形成用塗布液
(20℃における粘度12cp)に浸漬させた後、10cm/
分の速度で引き上げた。その後 120℃で1時間の乾燥を
行った。被膜の厚さは1μmであった。このプレートと
RbI:5×10-4TlI(母体:付活剤)の粉末1k
gと、雰囲気粉に対して 0.2重量%のSiO2 とを、図
1の熱処理容器にいれて、温度 500℃で2時間にわたり
熱処理を行った。熱処理後のプレートを用いて放射線画
像変換パネルを作製した。
【0057】実施例7 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体
(RbI;5×10-4TlI)を 300μmの厚さで蒸着
した。蛍光体の柱状結晶間の隙間の幅は約2μmであっ
た。このプレートを、キシレン媒体中に容積濃度が3%
となる量の被膜形成物質TiSiO4 (フジトク製GL
ASS−TS−100)を分散させた被膜形成用塗布液
(20℃における粘度12cp)に浸漬させた後、10cm/
分の速度で引き上げた。その後 120℃で1時間の乾燥を
行った。被膜の厚さは1μmであった。このプレート
を、図1の熱処理容器にいれて、温度 500℃で2時間に
わたり熱処理を行った。熱処理後のプレートを用いて放
射線画像変換パネルを作製した。
【0058】比較例1 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体の
母体(RbI)を 300μmの厚さで蒸着した。蛍光体の
母体の柱状結晶間の隙間の幅は約2μmであった。この
プレートとRbI:5×10-4TlI(母体:付活剤)
の粉末1kgと、雰囲気粉に対して 0.2重量%のSiO
2 とを、図1の熱処理容器にいれて、温度 500℃で2時
間にわたり熱処理を行った。熱処理後のプレートを用い
て放射線画像変換パネルを作製した。
【0059】評価1 以上の実施例1〜7および比較例1で得られた放射線画
像変換パネルについて、下記のようにして放射線感度、
鮮鋭性および残光を評価した。評価結果については後記
表1に示した。
【0060】放射線感度 X線曝射後、半導体レーザ光で励起した際の発光量を測
定し、実施例1で得られた放射線画像変換パネルの場合
を 100とする相対値で示した。
【0061】鮮鋭性 放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼付けた後、
管電圧80kVP-P のX線を10 mR(管球からパネルまで
の距離:1.5 m)照射した後、半導体レーザ光(発振波
長:780nm 、ビーム径: 100μm) で走査して輝尽励起
し、CTFチャート像を輝尽性蛍光体層から放射される
輝尽発光として読取り、光検出器 (光電子増倍管) で光
電変換して画像信号を得た。この信号値により、画像の
変調伝達関数 (MTF)を調べ、放射線画像の鮮鋭性
を、実施例1で得られた放射線画像変換パネルの場合を
100とする相対値で示した。なお、MTFは、空間周波
数が1サイクル/mmの時の値である。
【0062】残光 励起停止直前の信号S1 と、励起停止後 200μsec 経過
した時の信号値S2 の比S1 /S2 を測定し、実施例1
で得られた放射線画像変換パネルの場合を 100とする相
対値で示した。
【0063】
【表1】
【0064】表1から明らかなように、本発明の製造方
法によれば、画像の鮮鋭性が高い放射線画像変換パネル
が得られる。特に、被膜形成物質として酸化物を用いる
ことによって、残光量の少ない放射線画像変換パネルが
得られる。
【0065】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、輝尽性蛍光体層またはその母体層において、被膜
形成用塗布液が蛍光体の結晶の隙間内に進入するため、
熱処理の際に蛍光体の結晶が互いに融着することが防止
され、従って画像の鮮鋭性の高い放射線画像変換パネル
が得られる。しかも、熱処理によって形成される被膜が
酸化物であるときには、熱処理する際に、付活剤および
酸素化合物を含有する雰囲気でなくても残光量の少ない
放射線画像変換パネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理装置の一例を示す断面図である。
【図2】熱処理装置の他の例を示す断面図である。
【図3】熱処理装置のさらに他の例を示す断面図であ
る。
【図4】放射線画像変換パネルの一例を示す断面図であ
る。
【図5】放射線画像変換装置の概略を示す説明図であ
る。
【図6】斜め蒸着法により形成された輝尽性蛍光体層
に、被膜形成用塗布液が塗布された状態を示す説明図で
ある。
【図7】輝尽性蛍光体層の表面上の被膜形成用塗布液が
除去された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プレート 1A 基板 1B 輝尽性蛍光体層 2 熱処理容
器 3 熱処理容器用ヒータ 4 熱処理炉 5 蒸発容器用ヒータ 6 蒸発容器 7 雰囲気粉(付活剤および酸素化合物を含有する粉
末) 8 ガス量調整バルブ 9 雰囲気粉 10 熱処理容器 11 イオン源
部 12 引出し電極 13 質量分析
部 14 偏向部 15 試料室 16 プレート 17 ヒータ 18 基板 19 輝尽性蛍
光体層 20 保護層 21 スペーサ 22 低屈折率層 23 放射線発
生装置 24 被写体 25 放射線画
像変換パネル 26 輝尽励起光源 27 光電変換
装置 28 再生装置 29 表示装置 30 フィルター 41 柱状結晶 42 輝尽性蛍光体層の表面 43 柱状結晶
間の隙間 44 被膜形成用塗布液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 4/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
    パネルの製造方法において、 基板上に気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層ま
    たはその母体層に、熱処理することによって酸化物また
    はフッ化物よりなる被膜を形成する被膜形成用塗布液を
    塗布して乾燥させ、その後、熱処理する工程を有するこ
    とを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
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