JP3267868B2 - 卵黄リン脂質組成物 - Google Patents

卵黄リン脂質組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、卵黄リン脂質を主
成分として含む卵黄リン脂質組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】卵黄リン脂質組成物としては、従来よ
り、割卵分離して得られた卵黄液を一旦乾燥して乾燥卵
黄としたものに、例えばアルコールを作用させてアルコ
ールに可溶性の成分を抽出したのち該アルコールを除去
して得られたものがよく知られている。こうして得られ
た卵黄リン脂質組成物は、通常少なくとも20%の卵黄
リン脂質を含んでいるが、リン脂質含有率が80%以下
の粗製品は、リン脂質含有率を更に高めたものに比べて
複雑で手間のかかる精製工程を要しないために製造コス
トが比較的にかからないことから、例えばゼラチンなど
のカプセルに充填してカプセル製剤などの形態とし、例
えば健康補助食品、健脳食品などとして従来より広く用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
カプセル製剤は、保存のためにビンに詰めてキャップで
密栓して、例えば常温で保存しておくと、カプセル内の
卵黄リン脂質に酸化・重合などの反応が起きるようにな
るためか、当初明るい黄色を呈していたものが、3カ月
ほどの後には暗褐色に変化して外観を著しく損なうよう
になる、という問題があった。なお、このような問題
は、リン脂質含有率が80%を超えるようなもの、即
ち、リン脂質としての純度を80%を超えるように精製
したものには認め難かった。
【0004】よって、本発明は、リン脂質としての純度
があまり高くなくても、即ち、リン脂質含有率が80%
以下であっても、その保存中に褐変が生じ難い新規な卵
黄リン脂質組成物を提供することを主たる目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成しようと種々検討を重ねたところ、リン脂質と
しての純度が80%以下の卵黄リン脂質組成物は、その
保存中における褐変の程度が該組成物中に含まれている
グルコースの含有リン脂質に対する割合に依存している
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、リン脂質含有率が80%以下であり、かつ含
有リン脂質の重量に対する含有グルコースの割合が0.
10%以下であることを特徴とする卵黄リン脂質組成物
を提供するものである。なお、本発明において%は特に
規定されている場合を除き、すべて重量%を意味する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の卵黄リン脂質組成物は、含有するリン脂質の含
有率が80%以下のものである。これは、リン脂質の含
有率、つまり、リン脂質の純度がそれより高いものでは
程度にもよるが褐変が比較的生じ難いからである。純度
の具体的な例としては、卵黄リン脂質組成物の製法およ
び/または精製法によって異なるが、20%、30%、
40%、50%、60%、70%などがあげられる。な
お、本発明の卵黄リン脂質組成物は、卵黄リン脂質を主
成分とするものであることから、好ましくは、少なくと
も20%のリン脂質を含むものである。また、本発明に
おいてリン脂質とは、卵黄リン脂質の主要な成分であ
る、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノール
アミン、これらのリゾ化物(リゾホスファチジルコリン
およびリゾホスファチジルエタノールアミン)、および
スフィンゴミエリンなどを構成成分とするものである。
【0007】従来の卵黄リン脂質組成物は、前述したよ
うに、通常割卵分離して得られた卵黄液をそのまま乾燥
して乾燥卵黄としたものに、例えばアルコール(純度:
99〜90%のエチルアルコール、その他の1〜10%
はほとんど水)を作用させて、アルコールに可溶性な成
分(主に、中性脂質(トリグリセリド)、コレステロー
ルおよびリン脂質)をアルコール側に抽出した後溶媒で
あるアルコールを除去して製造するのが一般的であっ
た。こうして得られる卵黄リン脂質組成物は通常リン脂
質の純度が約20〜60%程度のものであるが、所望に
より、このものを、比較的簡易な精製工程に付すことに
より、より具体的には、例えばアセトン処理に付すこと
によりアセトンに比較的可溶な成分である中性脂質やコ
レステロールを順次除いてリン脂質の純度を80%程度
にまで上げることができる。このような従来の粗製の卵
黄リン脂質組成物に関して、グルコースの含有率を調べ
てみたところ、その含有率は、含有するリン脂質の重量
に対して、外割りで約0.20〜0.70%程度である
ことが判明した。本発明者らは更に研究を進めたとこ
ろ、このような粗製の卵黄リン脂質組成物の保存中にお
ける褐変の程度は、該組成物中に含まれているグルコー
スの量に依存していることを見出した。しかもこのグル
コースの含有率がリン脂質組成物が含有するリン脂質の
重量に対して、0.10%以下であるならば該製品は保
存中に褐変が生じ難いことを更に見出した。
【0008】よって、本発明の卵黄リン脂質組成物は、
その含有リン脂質の重量に対する含有グルコースの割合
が0.10%以下のものである。なお、グルコースの含
有率が含有リン脂質の重量に対して0.01%以下の卵
黄リン脂質組成物は、実際には工業的な規模で生産する
ことは難しいので、本発明の卵黄リン脂質組成物は、含
有リン脂質の重量に対する含有グルコースの割合は0.
01%を越え、かつ0.10%以下であることが好まし
い。具体的には、含有するリン脂質の重量に対して、
0.02%、0.03%、0.05%、0.07%など
をあげることができる。
【0009】このような本発明の卵黄リン脂質組成物
は、その供給源に由来するコレステロール、トリグリセ
リドなどを通常含んでいるが、健康補助食品としてより
好適な卵黄リン脂質組成物を提供することを目的とする
場合は、特に、コレステロール含量が少ないもの、具体
的には、含有リン脂質の重量に対する含有コレステロー
ルの割合が5%以下のものが好ましく、1%以下のもの
が更に好ましい。また、本発明の卵黄リン脂質組成物
は、最終製品を調製するために通常用いられる原料・成
分を更に含んでいても差し支えない。これらの原料・成
分として、例えば、ゼラチンなどでカプセル化するとき
にカプセル内への充填をし易くするための賦形剤(例え
ば、デキストリン、乳糖、グリセリン、サラダ油な
ど)、保存の安定性を高めるためのビタミンE、さらに
はビタミンB12などをあげることができる。これらの原
料・成分の配合割合も従来のものと特に異ならない。な
お、ビタミンB12を加配したものは、脳の機能の改善を
はかったりその機能の低下を予防する、すなわち、記憶
力の低下防止、痴呆の回復及び痴呆の予防などの働きを
示す、老人あるいは老人予備群を対象とする健脳食品用
に好適である。
【0010】このような本発明の卵黄リン脂質組成物の
代表的な製造方法(下記のA法およびB法)を以下説明
する。A法: 卵黄液の脱糖処理 割卵し、卵白液から分離して得られた卵黄液をまず脱糖
処理する。すなわち、その中に含まれているグルコース
を除去する。脱糖処理の方法としては、酵素処理法、酵
母処理法などがあげられる。
【0011】酵素処理法:通常、グルコースオキシダー
ゼ(例えば、ノボ社製グルコースオキシダーゼEC1.
1.3.4〔カビ起源〕)を卵黄液に、その1kg当り1
00〜2000単位添加し、10〜60℃で、1〜10
時間保持する(作用させる)。なお、グルコースオキシ
ダーゼを使用するときは、酵素による作用を促進させる
ためにカタラーゼと過酸化水素とを少しずつ加えるとよ
い。市販品のグルコースオキダーゼでは予めカタラーゼ
を含ませてあるものが多い。(1単位について:25
℃、pH5.1においてグルコースオキシダーゼ1単位
は1μmolの過酸化水素を生じさせる。)
【0012】酵母処理:通常、パン酵母を卵黄液に0.
2〜0.5%添加し、20〜25℃で2〜4時間作用さ
せる。いずれの方法でも、後述のグルコースの有無検出
用のテステープ(黄色を呈しており、グルコースと反応
すると緑変する)を使用し、そのテープの黄色が緑変し
なくなったころを反応の終了点(の目安)とすればよ
い。
【0013】脱糖卵黄液の乾燥 脱糖処理後の卵黄液は、例えば、噴霧乾燥(スプレード
ライ)法あるいは凍結乾燥(フリーズドライ)法により
乾燥する。乾燥は必須ではないが、乾燥により後工程の
溶媒抽出が容易となる。
【0014】乾燥卵黄からの溶媒抽出 アルコール(エチルアルコール濃度約90〜99%、水
分濃度約10〜1%)で抽出し、抽出液からアルコール
除去する。これにより、リン脂質の純度が約20〜60
%のリン脂質組成物が得られ、次いで必要によりアセト
ン処理をして、アセトン(コレステロールやトリグリセ
リドが主に溶けている)を除くと、コレステロールやト
リグリセリドが少なくなりそれに対応してリン脂質の純
度が一段と高まったリン脂質組成物が得られる。
【0015】この場合のグルコースの含有割合は、含有
リン脂質の重量に対して通常0.02〜0.07%であ
る。
【0016】なお、こうして得られた製品に対して、ゼ
ラチンカプセル等に充填してカプセル製剤などの形態に
加工する際に、添加物を(賦形剤等の役目で)配合する
と、その添加物により今度は純度が少し下がったりリン
脂質組成物が得られることになる。
【0017】上記のA法によって得られる卵黄リン脂質
組成物は、リン脂質含有率が80%以下であり、かつ含
有リン脂質の重量に対する含有グルコースの割合が0.
10%以下であるため、その保存中に褐変が生じ難いも
のの、含有リン脂質の重量に対するコレステロールの割
合が5%を越え、通常10%程度のものであるために、
その割合が5%以下のものであって、健康補助食品用と
して好適な卵黄リン脂質組成物を得るには、例えば下記
のB法によればよい。B法: (イ)卵黄液の脱糖処理および脱糖卵黄液の乾燥 A法のおよびの方法に準じて脱糖乾燥卵黄を得る。
【0018】(ロ)超臨界二酸化炭素処理 脱糖乾燥卵黄に超臨界二酸化炭素を接触させて、乾燥卵
黄中に含まれているコレステロールを抽出除去する。超
臨界二酸化炭素を抽出溶媒として用い、乾燥卵黄からコ
レステロールを抽出する操作は、例えば、本出願人に係
る特許出願公告平4−37838号公報に記載の方法に
準ずればよい。以下、この処理の具体例を図1に従って
説明する。図1に示す装置は、超臨界二酸化炭素を用い
る抽出装置であって、液体二酸化炭素ボンベ1からプラ
ンジャーポンプ2を作動させて液体二酸化炭素を加熱装
置3に通してガス化したのち抽出槽4に順次送り込み、
この際バルブ5を閉じておくことによって二酸化炭素の
超臨界状態を形成させる。上記抽出槽4には予め乾燥卵
黄が充填されており、形成された超臨界二酸化炭素との
接触がここにおいてなされる。なお、加熱装置3におけ
る温度およびプランジャーポンプ2の作動圧力を適宜調
節することによって所望の条件を有する超臨界二酸化炭
素を形成することができる。抽出槽4においてコレステ
ロールの抽出が開始された時点で、バルブ5を半開する
と、抽出槽4から流出したコレステロールを含む臨界状
態の二酸化炭素は常圧の二酸化炭素ガスとなり分離槽6
に導びかれ、ここで抽出油が分離され、二酸化炭素ガス
は更に円筒フィルター7を通り、次いで液化工程(図示
せず)を経て液体二酸化炭素として回収される。そし
て、この操作を2〜15時間続行した後プランジャーポ
ンプ2の作動を止め、バルブ5を全開すると、抽出槽4
内は常圧になり、この槽内の卵黄中に含まれている超臨
界二酸化炭素は二酸化炭素ガスとなって追い出され、抽
出槽4から流出する。一方、コレステロールが抽出され
た卵黄は、乾燥状態のまま、上下部においてフィルター
を備えた抽出槽4から適宜回収され、次のアルコール抽
出工程に導びかれる。上記のような超臨界二酸化酸素を
用いた抽出操作によって乾燥卵黄からその含有コレステ
ロールの大部分が除かれるに加えて、トリグリセリドな
どの中性脂質も抽出除去される。なお、これらの除去の
程度は抽出操作の条件を強める程、即ち、温度および圧
力を高め、抽出時間を長くする程、顕著となる傾向があ
る。例えば40〜45℃の温度、180〜300気圧お
よび10〜15時間の条件下では、コレステロールはほ
ぼ完全に、また、中性脂質は大部分が抽出除去されう
る。
【0019】(ハ)乾燥卵黄からの溶媒抽出 アルコール(エチルアルコール濃度90〜100%、水
分濃度10〜0%)で抽出し、抽出液からアルコールを
除去する。これにより、リン脂質の純度が約50%以上
(通常50〜80%)の卵黄リン脂質組成物が得られ
る。この場合のグルコースの含有割合は、含有リン脂質
の重量に対して通常0.02〜0.07%である。
【0020】なお、上記溶媒抽出に際して、このリン脂
質含有率が80%を越えるものも得られるが、このよう
な卵黄リン脂質組成物は流動性が乏しく、その後カプセ
ルなどに仕上げる際、使用しにくいため、食用油脂を加
えて希釈し、リン脂質含有率が80%以下の卵黄リン脂
質組成物となるように調整し、これを製品とする。食用
油脂としては、大豆油、コーン油、ナタネ油、綿実油、
パーム油などの植物性油脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油な
どの動物性油脂または食用のエステル交換油脂を使用す
ることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例および試験例でもって
更に詳細に説明する。実施例1 割卵して卵白液を除去して得た卵黄液10kgを45℃に
加温し、市販のグルコースオキシダーゼ(ノボ社製グル
コースオキシダーゼSP358:少量のカタラーゼを含
む)5ml(卵黄液1kgに対して、グルコースオキシダー
ゼ約1000単位に相当)と30%過酸化水素水10ml
とを添加し、撹拌した。テステープA(尿糖検査用試験
紙:塩野義製薬(株)製)により残存している糖を測定
し、テステープが緑変しなくなるまで約2時間処理を継
続した。脱糖処理後の卵黄液を冷却し、噴霧乾燥によっ
て水分を除去して4.5kgの脱糖乾燥卵黄を得た。この
脱糖乾燥卵黄約1kgに95%アルコール9L(リット
ル)を加え、30℃で30分間撹拌した後濾過により抽
出液を得た。さらに濾過残渣を95%アルコール1Lで
洗浄し、上記の濾液(抽出液)とこの洗浄液とを合わせ
た後、この混合液から減圧下で溶媒(アルコール)を除
去してリン脂質組成物を得た。こうして得られた卵黄リ
ン脂質組成物は、リン脂質含有率が約60%であり、ま
た、この含有リン脂質重量に対する含有グルコースの割
合が約0.03%であった。
【0022】実施例2 割卵して卵白液を除去して得た卵黄液10kgを40℃に
加温し、市販のグルコースオキシダーゼ(ノボ社製グル
コースオキシダーゼSP358:少量のカタラーゼを含
む)5ml(卵黄液1kgに対して、グルコースオキシダー
ゼ約1000単位に相当)と30%過酸化水素水10ml
とを添加し、撹拌した。テステープA(尿糖検査用試験
紙:塩野義製薬(株)製)により残存している糖を測定
し、テステープが緑変しなくなるまで約3時間処理を継
続した。脱糖処理後の卵黄液を冷却し、噴霧乾燥により
水分を除去して4.5kgの脱糖乾燥卵黄を得た。この脱
糖乾燥卵黄約1kgに98%アルコール9Lを加え、30
℃で30分間撹拌した後濾過により抽出液を得た。さら
に濾過残渣を98%アルコール1Lで洗浄し、上記の濾
液(抽出液)とこの洗浄液とを合わせた後、この混合液
から減圧下で溶媒(アルコール)を除去してリン脂質組
成物を得た。こうして得られた卵黄リン脂質組成物は、
リン脂質含有率が約35%であり、また、この含有リン
脂質重量に対する含有グルコースの割合が約0.04%
であった。
【0023】実施例3 割卵して卵白液を除去して得た卵黄液11kgを45℃に
加温し、市販のグルコースオキシダーゼ(ノボ社製グル
コースオキシダーゼSP358:少量のカタラーゼを含
む)5ml(卵黄液1kgに対して、グルコースオキシダー
ゼ約1000単位に相当)と30%過酸化水素水10ml
とを添加し、撹拌した。テステープA(尿糖検査用試験
紙:塩野義製薬(株)製)により残存している糖を測定
し、テステープが緑変しなくなるまで約10時間処理を
継続した。脱糖処理後の卵黄液を冷却し、噴霧乾燥によ
って水分を除去して5.0kgの脱糖乾燥卵黄を得た。こ
の脱糖乾燥卵黄5.0kgに対して、図1の装置を用い、
40℃−200気圧の条件下の超臨界二酸化炭素を9時
間に亘って接触させた。抽出完了後は常温常圧に戻し、
脱糖乾燥卵黄より二酸化炭素を分離してコレステロール
および中性脂質の含有量の少ない乾燥卵黄3.3kgを得
た。この乾燥卵黄約1kgに95%アルコール9L(リッ
トル)を加え、30℃で30分間撹拌した後瀘過して抽
出液を得た。さらに瀘過残渣を95%アルコール1Lで
洗浄し、上記の瀘液(抽出液)とこの洗浄液とを合わせ
た後、この混合液から減圧下で溶媒(アルコール)を除
去して卵黄リン脂質組成物0.4kgを得た。こうして得
られた卵黄リン脂質組成物は、リン脂質含有率が約65
%であり、また、この含有リン脂質重量に対する含有グ
ルコースの割合が約0.02%であり、また含有リン脂
質の重量に対する含有コレステロールの割合が約1.0
%であった。
【0024】実施例4 カプセル成形機を用い、予め加温し均一にしておいた下
記配合の内容物をゼラチン皮膜(皮膜の原料構成は後述
の試験例に示すものと同じ;皮膜の厚さ約0.8ミリ)
に包み込み、1ケ当り内容物封入量約0.5gのカプセ
ル製剤とした。 内容物の配合原料 配合割合 実施例1の卵黄リン脂質組成物 97.8(%) ビタミンE 2.0 ビタミンB12 0.2 合 計 100.0(%)
【0025】試験例 上記の実施例1において、卵黄液にグルコースオキシダ
ーゼを添加した後の処理時間を種々変えて、その他の条
件は実施例1の場合と同じにして、下表に示したよう
な、含有リン脂質の重量に対する含有グルコース割合の
異なる8種類の卵黄リン脂質組成物(試料No.1〜No.8)
を調製した。それぞれをゼラチンを皮膜とするカプセル
に封入し(ゼラチン皮膜の原料構成:ゼラチン66.0
%およびグリセリン34.0%;ゼラチン皮膜の厚さ:
0.8ミリ;リン脂質組成物封入量:約0.5g/
ケ)、ガラスビンに詰め、若干ヘッドスペースのある状
態で密栓した。これらを、変化促進のために70℃の恒
温器に4時間保存した。次いでカプセルから内部のリン
脂質組成物を採取し、クロロホルムを用いてそれぞれ5
%溶液を調製し、分光光時計で350nm(ナノメータ)
での吸光度を測定した。測定値は高いほど変色の程度が
大きいことを示す。
【0026】測定の結果を下表1に示す。
【表1】
【0027】一方、肉眼での観察の結果は、試料No.1〜
No.5のカプセル入り卵黄リン脂質組成物は、いずれも明
るい黄色を呈していたが、No.6〜No.8のものは、褐色乃
至暗褐色を呈していたのが認められた。これらの結果を
表1の吸光度の結果と対応させてみると、褐変を防止す
るには、含有リン脂質重量に対する含有グルコース割合
を、0.10%以下にすることが好ましいことがわか
る。
【0028】なお、上記試験例において、酵素による脱
糖処理を行なわない卵黄液を原料とした他はすべて上記
実施例1に準じて製造した卵黄リン脂質組成物(含有リ
ン脂質重量に対しての含有グルコース割合:ほぼ0.2
%)の吸光度の値は2.23であった。
【0029】本発明において、特に実施例および試験例
において、リン脂質含有率並びに含有リン脂質重量に対
する含有グルコースの割合の測定は、以下の方法に準じ
て行なった。
【0030】(イ)リン脂質含有率(%) TLC-FID 法により脂質成分を分析し、リン脂質(ホスフ
ァチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、こ
れらのリゾ化物およびスフィンゴミエリンの主要成分)
の合計含有率として求めた。
【0031】(ロ)グルコース含有率(%) 尿糖検査用試験紙(〔テステープA〕塩野義製薬(株)
製)を使用し、以下の通りに行なった。 (a) リン脂質組成物を蒸留水に50%の濃度で懸濁さ
せた液を、テステープAにつけ、余分な液を拭き取り、
緑色に発色する色(緑色)の深さを読み取る。 (b) これを、グルコース標準液(0〜100mg/dl)
での緑色への呈色の程度と比較し、グルコース含有率
(%)を算出する。
【0032】(ハ)含有リン脂質重量に対する含有グル
コースの割合(%) (イ)のリン脂質含有率(%)と(ロ)のグルコース含
有率(%)とから次式の計算によって求める。
【0033】(ニ)コレステロール含有率(%) TLC-FID 法により脂質成分を分析し、コレステロールの
含有率を求めた。
【0034】(ホ)含有リン脂質重量に対する含有コレ
ステロールの割合(%) (イ)のリン脂質含有率(%)と(ニ)のコレステロー
ル含有率(%)とから次式の計算によって求める。
【0035】
【発明の効果】本発明により、リン脂質含有率が80%
以下の卵黄リン脂質組成物であってもその保存中に褐変
が生じ難い製品を提供し得る。また、含有コレステロー
ルの割合を含有リン脂質の重量に対して5%以下とした
ものは、健康補助食品としてより好適な製品を提供で
き、また、ビタミンB12を加配したものは、健脳食品と
しても好適な製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における超臨界二酸化炭素を用いた抽出
操作を実施するための抽出装置の一例を示すものであ
る。
【符号の説明】
1 液体二酸化炭素ボンベ 2 プランジャーポンプ 3 加温装置 4 抽出槽 5 バルブ 6 分離槽 7 円筒フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−61200(JP,A) 特開 昭58−16644(JP,A) 特開 昭61−74548(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23J 7/00 A23L 1/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン脂質含有率が少なくとも20%であっ
    て、80%以下であり、かつ含有リン脂質の重量に対す
    る含有グルコースの割合が0.01%を越え、0.10
    %以下であることを特徴とする卵黄リン脂質組成物。
  2. 【請求項2】70℃の恒温器内に4時間保存しても明る
    い黄色が維持される、請求項1記載の卵黄リン脂質組成
    物。
  3. 【請求項3】含有リン脂質の重量に対する含有コレステ
    ロールの割合が5%以下である、請求項1記載の卵黄リ
    ン脂質組成物。
  4. 【請求項4】ビタミンB12が加配されている、請求項1
    または請求項3記載の卵黄リン脂質組成物。
  5. 【請求項5】卵黄液を脱糖処理した後、乾燥して得られ
    た乾燥卵黄をアルコールで抽出し、抽出液からアルコー
    ルを除去して得られる、請求項1記載の卵黄リン脂質組
    成物。
  6. 【請求項6】卵黄液を脱糖処理した後、乾燥して得られ
    た乾燥卵黄に超臨界二酸化炭素を接触させ、コレステロ
    ール含有量の少ない乾燥卵黄を得、次いで、この乾燥卵
    黄をアルコールで抽出した後、抽出液からアルコールを
    除去して得られる、請求項1または請求項3記載の卵黄
    リン脂質組成物。
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