JP3262031B2 - 積層体及びそれを用いた容器 - Google Patents
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Description
積層されたポリエステルフィルムとから成る積層体並び
にこの積層体を絞り或いは更にしごき加工により成形し
たシームレス容器に関するものである。より詳細には、
耐衝撃性(耐デント性)が顕著に改善された積層体及び
この積層体から形成されたシームレス容器に関するもの
である。
ス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティ
ン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスと
ポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側
面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続さ
れた底部とから成るカップに形成し、次いで所望により
前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工
を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。
また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コー
ナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知ら
れている(特公昭56−501442号公報)。
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法が知られており、特公昭59−3
4580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラ
メチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィ
ルムをラミネートしたものを用いることが記載されてい
る。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、
ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエ
ステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られ
ている。
も、多くの提案があり、例えば、特開昭51−4229
号公報には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレ
ンテレフタレートより成る塗膜が記載され、更に特開平
6−172556号公報には、極限粘度[η]が0.7
5以上のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用い
ることが提案されている。
は、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリ
エステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層と
の積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式 Rx =IA /IB 式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間
隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から2
8゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステ
ルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(Cu
KαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によ
るX線回折強度、で定義されるX線回折強度が0.1乃
至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指数
が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とする
絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被覆
金属板を絞り−再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して
缶胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞
り缶が記載されている。
れる提案は、成形前の金属素材に樹脂フィルムを施せば
よく、通常の塗装処理のように、塗膜の焼き付け炉や塗
料排ガスの処理施設が不要で、大気汚染がなく、また成
形後の缶体に塗装処理を行わなくてもよいという利点を
与えるものであるが、缶の諸特性、特に耐衝撃性(耐デ
ント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性等の点で改善
されるべき余地がある。
は、絞り−再絞り用の被覆金属素材のポリエステルフィ
ルム層に一定のバランスされた配向結晶を付与しておく
ことにより、優れた加工性と耐腐食性(耐ピンホール
性)とを付与するものであるが、なお耐衝撃性や腐食性
の強い内容物に対する耐腐食性の点では未だ十分満足し
うるものではなかった。
撃性として、耐デント性と呼ばれるものがある。これ
は、缶詰製品を落下して、或いは缶詰製品同士が相互に
衝突して、缶詰製品に打痕と呼ばれる凹みが生じた場合
にもなお、被覆の密着性やカバレージが完全に保たれる
ことが要求されるという特性である。即ち、デント試験
で被覆が剥離し或いは被覆にピンホールやクラックが入
る場合には、この部分から金属溶出や孔食による漏洩等
を生じて、内容物の保存性を失うという問題を生じるの
である。
影響を避けることができない。即ち、缶の外面に内容物
等を表示する印刷を施すのが普通であり、印刷インクを
焼き付けるための加熱の影響が、ポリエステルフィルム
に生じる。ポリエステルは、加熱により結晶化が進行す
る(脆くなる)傾向があり、これにより耐デント性が低
下し、金属基体との密着性低下或いは被覆性低下やネッ
クイン加工、巻締加工等の際の加工性が低下する。
ィルム等を被覆した金属缶における缶の諸特性、特に耐
衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び巻締性乃至密封性
等は、金属板に施す前或いは施された後でのポリエステ
ルフィルムの物性ではなく、実際に缶に成形された状態
でのフィルムの物性に依存することが了解されよう。
ス缶においては、缶胴側壁部を高度に薄肉化すること
も、素材コストの節減及び容器重量の低減から極めて重
要である。再絞りに際してRの小さいダイコーナー部で
側壁部を曲げ伸ばし(曲げ−曲げ戻し変形)で薄肉化
し、或いは更にしごきにより薄肉化する方法は、シーム
レス缶の側壁部の厚みを小さくすると共に厚みを一様に
して缶ハイトを大きくし、ある程度素材コストの節減及
び容器重量の低減には成功しているが、側壁部の内、上
部のビード加工やフランジ加工を行うべき部分では、当
然加工の程度も大きくなり、つまりポリエステル層の配
向結晶化(一軸配向結晶化)の程度も大きくなってお
り、加工による脆化、耐衝撃性の低下も無視できないも
のとなっている。
耐デント性が顕著に改善された金属−ポリエステル積層
体、並びにこの積層体から形成されたシームレス容器を
提供するにある。
はしごき加工や製缶時或いは製缶後の熱処理にもかかわ
らず、結晶化による脆化が抑制され、優れた耐デント性
が維持される金属−ポリエステル積層体及びこれから成
るシームレス容器を提供するにある。
体とこれに熱接着された二軸延伸ポリエステルフィルム
層とから成る積層体において、前記ポリエステルフィル
ムが、(i)エチレンテレフタレート単位を主体とする
結晶性ポリエステルと(ii) (a)ブチレングリコールと芳
香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチ
レングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエス
テル単位とを90:10乃至50:50のモル比で含む
共重合ポリエステルとを(i):(ii)=90:10乃
至30:70の重量比で含有するブレンド物から形成さ
れ且つブレンド物中の成分(i)の下記式(1)に示す
エステル交換率(E)が0.5〜20%の範囲にあり、
且つブレンド物の固有粘度(IV)が0.55以上であ
ることを特徴とする積層体: E=100・[1−exp{(Hu/R)・(1/Tm0 −1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0 :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステル(i)の融点(K)、 が提供される。
接着された二軸延伸ポリエステルフィルム層とから成る
積層体において、前記ポリエステルフィルム層が、
(A)エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶性
ポリエステルの表面層と、(B)(i) エチレンテレフタ
レート単位を主体とする結晶性ポリエステルと(ii)
(a)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導さ
れたエステル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二
塩基酸とから誘導されたエステル単位とを90:10乃
至50:50のモル比で含む共重合ポリエステルとを
(i):(ii)=90:10乃至30:70の重量比で
含有するブレンド物から成る下地層との積層フィルムか
ら成り且つブレンド物中の成分(i)の下記式(1)に
示すエステル交換率(E)が0.5〜20%の範囲にあ
り、且つブレンド物の固有粘度(IV)が0.55以上
であることを特徴とする積層体: E=100・[1−exp{(Hu/R)・(1/Tm0 −1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0 :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステル(i)の融点(K)、 が提供される。
ート或いは20モル%以下の量でエチレンイソフタレー
ト単位を含有するポリエチレンテレフタレート/イソフ
タレートであること、 2.前記共重合ポリエステル(ii)がポリブチレンテレ
フタレート/アジペートであること、 3.下記式(2)で表される積層体のポリエステルフィ
ルム層の複屈折が、フィルムの表面側でΔn1 、表面か
ら金属板に至るフィルムの中間位置でΔn2 、金属板に
接する側でΔn3 とすると、Δn1 及びΔn2 の少なく
とも何れかが、0.02以上であり、且つΔn3 がΔn
1 又はΔn2 以下であることが好ましい、但し Δn 1〜3 =nm −nt …(2) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt は
フィルムの厚み方向の屈折率である。
形或は更にしごき成形して成ることを特徴とするシーム
レス容器が提供される。
として、エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルに対して、特定の共重合ポリエステル、
即ち(a)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘
導されたエステル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪
族二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを90:1
0乃至50:50のモル比で含む共重合ポリエステルを
ブレンドしたものを用いることが第1の特徴である。
落下等による衝撃を受けることは頻繁であり、この衝撃
後にも尚優れた耐食性を示すことは、金属溶出、孔食に
よる漏洩等を防止する上で極めて重要な要件である。と
ころが、エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルは、機械的性質、耐熱性、腐食成分に対
するバリアー性等には優れているが、衝撃を加えた後に
は、耐食性が著しく低下する傾向がある(比較例1参
照)。これに対して、エチレンテレフタレート系ポリエ
ステルに上記共重合ポリエステルをブレンドすると、ポ
リエチレンテレフタレートが有する上記特性を損なうこ
となしに、衝撃後の耐食性を顕著に向上させることが可
能となる。
種々のポリエステルを金属板にラミネートした積層体に
熱処理(220℃×3分熱処理後に205℃×2分熱処
理)を施した後、デント(打痕)試験を行う環境温度を
変えて、デント試験後のエナメルレーター値ERV(金
属露出の程度を電流値として評価)との関係をプロット
したグラフである。尚、このデント試験は、以下の方法
により行った。 デント試験;湿潤状態のシリコンゴム上に、積層体のフ
ィルム面を接触させ、且つ積層体の背面側に1インチ直
径の鋼球を置き、この上に1kgのおもりを40mmの
高さから落下させた。次いで、積層体のフィルムの割れ
を6.3Vで流れる電流値(ERV:mA)により評価し
た。この試験結果によると、エチレンテレフタレート系
ポリエステルであるPET/I系(テレフタル酸88モ
ル%、イソフタル酸12モル%)では、デント試験後の
金属露出による電流値が著しく大きくなっているのに対
して、PET/I//PBT系(テレフタル酸94モル
%、イソフタル酸6モル%からなるエチレンテレフタレ
ート系ポリエステルにPBTを30重量%ブレンド)
は、デント試験後の金属露出による電流値が約1桁低い
値となっていることが了解される。更に上記PBTに代
えてPBT/A(テレフタル酸80モル%、アジピン酸
20モル%、1,4−ブタンジオール100モル%)を
30重量%ブレンドしたPET/I//PBT/A系
は、デント試験後の金属露出による電流値を更に1桁以
上低い値に抑制できるという驚くべき事実が明らかとな
る。
る共重合ポリエステル、即ち (a)ブチレングリコールと
芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブ
チレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエ
ステル単位とを90:10乃至50:50のモル比で含
む共重合ポリエステルは、それ自体ポリブチレンテレフ
タレートに比べ比較的低結晶性であるが、ブレンド物全
体の分子配向及び/または加熱による結晶化を抑制する
という作用がある。
した積層板をシームレス缶に成形し、熱処理(220℃
×3分熱処理後に205℃×2分熱処理)後、レトルト
殺菌後、缶底、缶胴下部、及び缶胴上部について、後述
の方法にてポリエステルフィルムを単離し、ポリエステ
ルの結晶化の程度を、後述する示差熱分析において、単
離フィルムをそのまま常温から20℃/minの昇温速
度で測定した際の結晶融解の熱量で評価した結果を示し
ている。この結果によると、PET/I系のポリエステ
ルは、結晶化の程度が大きく、しかも缶底、缶胴下部、
及び缶胴上部の順に結晶化の程度が大きくなっている。
また、上記PET/IにPBTを30重量%ブレンドし
たPET/I//PBT系は、ポリエステル層の結晶化
は上昇するが、PBTの代わりにPBT/Aをブレンド
したPET/I//PBT/A系では、ポリエステル層
の結晶化度をより低く抑制できる。これは、PBTにア
ジピン酸を共重合することにより、PBTの結晶化速度
を大幅に低下させた効果によるものと思われる。
て、後述する方法によりブレンド物のエステル交換率を
種々調整したポリエステルフィルムをラミネートした積
層体を図1と同様に熱処理を施し、常温でのデント試験
後のエナメルレーター値ERVと示差熱分析における結
晶融解の熱量との関係を示すグラフである。なお、結晶
融解熱量は、デント試験に供した試料から後述の方法に
よりポリエステルフィルムを単離し、図2で述べた方法
により測定した。結晶融解熱量の増大に伴ってエナメル
レーター値は単純に増大している。かくして、ポリエス
テル層の結晶化度を低下させることが、缶の耐デント性
の向上、特に缶胴上部のネックイン加工部やフランジ加
工部の耐デント性の向上に重要であることが了解され
る。
に優れていることは、このブレンド物の粘弾性挙動を参
照しても了解される。図4は、前述したPET/I、P
ET/I//PBTブレンド系、及びPET/I//P
BT/Aブレンド系に関して、ラミネート及び熱処理し
たものについて、温度と損失弾性率との関係をプロット
したグラフである。このグラフにおいて、右側に現れる
山はガラス転移点(Tg)の目安となるα分散を示し、
左側に現れる山は耐衝撃性の目安となるβ分散を示して
いる。これらの結果から、PET/I//PBTブレン
ド系及びPET/I//PBT/Aブレンド系は、共に
低温側に大きな分散を示し、これは低温脆性の改善がな
されていることを示しているが、PET/I//PBT
/Aブレンド系は、PET/I//PBTブレンド系に
比して、約30℃低い温度位置にもα分散を示し、これ
が耐デント性及び加工性の向上の一因となっていると思
われる。
(i)、即ちエチレンテレフタレート系結晶性ポリエス
テルの前記式(1)に示すエステル交換率が0.5〜2
0%の範囲にあることが第二の特徴である。
一般に知られているフローリーの式を基にしたものであ
り、ブレンド物中のエステル交換反応の程度と、エチレ
ンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル(i)の融
点降下との間に一定の関係があることに基づいて、求め
られるものである。即ち、ポリエステル(i)の融点降
下が全く生じていない場合、式(1)左辺の1/Tm0
−1/Tmの値は0となり、エステル交換率Eはゼロ%
となる。融点降下の程度が大きくなると、1/Tm0 −
1/Tmの値は負でその絶対値が大きくなり、エステル
交換率Eは大きな値となる。
乃至20%の範囲にあることが、衝撃後の耐食性に関し
て重要である。即ち、エステル交換率が0.5%を下回
る場合には、両成分(i)及び(ii)のブレンドが不十
分で、満足すべき物性のフィルムを得ることができな
い。一方、エステル交換率が20%を上回ると、衝撃後
の耐食性が著しく低下する(比較例4参照)。この理由
は、次の通りと考えられる。成形後の缶には、印刷が施
され、印刷インキの焼き付けが行われるが、この焼き付
けに際して、エステル交換率が20%を越えるブレンド
物の被覆層では、ブレンドによる海−島構造の効果が減
少すると思われる。即ち、本発明では、ポリエチレンテ
レフタレート主体のポリエステル成分(i)は耐熱性向
上に寄与し、ブチレングリコールから誘導されたエステ
ル単位を有する共重合ポリエステル成分(ii)は、ブレ
ンド物のガラス転移温度の低下に寄与しており、これら
によって熱処理後の耐衝撃性を向上させる。しかるに、
エステル交換率が20%を上回ると、成分(i)による
耐熱性向上効果が損なわれ、しかも成分(ii)によるガ
ラス転移温度低下効果も損なわれ、この結果として耐衝
撃性が損なわれるものと考えられるのである。従って、
エステル交換率が0.5乃至20%の範囲内にあるブレ
ンド物の被覆層では、分子配向が維持され、配向結晶化
は進行するとしても、熱結晶化が抑制され、衝撃時のフ
イルムの割れが防止され、優れた耐食性が維持される。
おけるエチレンテレフタレート系ポリエステル(i)と
特定の共重合ポリエステル(ii)との重量比が、
(i):(ii)=90:10乃至30:70の範囲内に
あることも重要である。両者のブレンド比が上記範囲を
下回る場合及び上回る場合の何れにおいても、シームレ
ス容器への成形性や、成形後の缶のネックイン加工性や
フランジ加工性が低下し、衝撃後の耐食性も低下する
(比較例6参照)。
て、上記ブレンド物の層は、耐食性が問題となる缶内面
側に設けるべきであり、これは単層で設けても、或いは
多層で設けてもよい。後者の場合、ブレンド物層を下層
として設け、上層にはエチレンテレフタレート系ポリエ
ステルを設けるのが、加工性、耐食性、耐衝撃性、フレ
ーバー性等の総合的見地から望ましい。
ステル)本発明に用いるエチレンテレフタレート系結晶
性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、80モ
ル%以上をエチレンテレフタレート単位を占めるもので
あり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に7
0乃至90℃で、融点(Tm)が210乃至260℃、
特に220乃至260℃にある結晶性ポリエステルが好
適である。ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱性の
点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外の
エステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し
得る。
フタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安
息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキ
シエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリメリット酸及びピ
ロメリット酸から成る群より選ばれた多塩基酸の少なく
とも1種が好適である。共重合成分としてイソフタル酸
を含むポリエステルは耐内容物性、内容物の香味保持性
等に優れている。
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲で、それ以外のジオール成分、例えば、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレング
リコール、1,6−ヘキシレングリコール、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物等の1種又は2種以上が含まれていてもよい。
リエステルは、ブレンド物として後述する固有粘度を満
足するものであるが、固有粘度の上限は1.5以下であ
るのがよい。尚、固有粘度の測定は後述する方法で行
う。
重合ポリエステルは、 (a)ブチレングリコールと芳香族
二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチレン
グリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル
単位とを90:10乃至50:50のモル比で含む共重
合ポリエステルである。
基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフ
タル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン
2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′
−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等
が挙げられるが、テレフタル酸が好適である。
基酸成分としては、コハク酸、アゼライン酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、テトラデカン二酸、ダイマー酸等を挙げることがで
きるが、Tgを低下する効果が大きいことから長鎖の脂
肪族二塩基酸が好ましく、工業生産の見地から、特にア
ジピン酸が好ましい。
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲内で、ブチレングリコール以外のジオール成分と
してエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シ
クロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物等の1種又は2種以上を含有してい
てもよい。
ル単位(a)と脂肪族エステル単位(b)とを90:1
0乃至50:50のモル比で含むことも重要であり、脂
肪族エステル単位の含有量が上記範囲よりも少ないとき
には、耐衝撃性(耐デント性)の改善が不十分であり、
一方上記範囲を上回ると、被覆の耐熱性、加工性、腐食
成分に対するバリアー性等が低下するようになる。
g)が−20乃至40℃、特に−10乃至20℃で、融
点(Tm)が180乃至220℃、特に190乃至22
0℃にある共重合ポリエステルが好適である。
フィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、
ブレンド物の形で、後述する固有粘度を与えるものであ
る。その固有粘度の上限は、1.5以下であるのがよ
い。
エチレンテレフタレート系ポリエステル(i)と特定の
共重合ポリエステル(ii)とを (i):(ii)=90:10乃至30:70 特に 90:10乃至40:60 の重量比で含有するポリエステルブレンド物を使用す
る。
性ポリエステル樹脂と、特定の共重合ポリエステル樹脂
とのブレンド物において、前述した範囲のエステル交換
率に制御する方法としては、押し出し機の前工程にて、
あらかじめ樹脂チップをブレンドし、樹脂温度、反応時
間、湿度等を制御しながら混練してエステル交換率を制
御する方法や、直接原料チップを押し出し機中に入れて
押し出し機中の樹脂温度、滞留時間を制御する方法など
があり、いずれの方法を用いてもよいが、混練時の温
度、時間はエステル交換反応において非常に重要なパラ
メーターである。ポリエステル樹脂の混練時の温度とし
ては260℃〜280℃が一般的であるが、温度が高い
とエステル交換反応は進みやすいが、逆に熱分解が始ま
り、結果的に分子量が低下する。また、混練時間は長い
ほどエステル交換率は上昇する。
ェルミキサー等を用いて乾式混合を行った後、各種ニー
ダー或いは一軸乃至二軸の押出型溶融混練装置や射出機
用混練装置を用いての溶融混練により行われる。
ポリエステルフィルムは、前述したブレンド物単独のフ
ィルムであっても、このブレンド物層を含む多層フィル
ムであってもよい。多層フィルムの場合、下層(金属板
側)がブレンド物から成り、上層が前述したエチレンテ
レフタレート系結晶性ポリエステルから成るのがよい。
厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至5
0μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の点
でよい。多層フィルムの場合、ブレンド物層と、エチレ
ンテレフタレート系ポリエステル層とは、96:4乃至
4:96の厚み比を有するのがよい。
るべきである。二軸配向の程度は、X線回折法、偏光蛍
光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確認すること
ができる。フィルムの2軸延伸の程度は、下記式で示さ
れる屈折率の差Δn、即ち複屈折Δnが0.04乃至
0.18の範囲となる程度が適当である。 Δn=n1 −n2 式中、n1 は、フィルムの最大配向方向の屈折率であ
り、n2 は、フィルムの厚み方向の屈折率である。
れ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等
のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等
の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従って
配合することができる。
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚み
を有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合に
は、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の
場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのが
よい。
積層体の断面構造の一例を示す図5において、この積層
体1は金属基体2と少なくともその内面側に位置するポ
リエステルブレンド物層3とから成っている。金属基体
2には外面被膜4が形成されているが、この外面被膜4
はポリエステルブレンド物層3と同様のものであっても
よいし、また通常の缶用塗料や樹脂(ポリエステル)フ
ィルム被覆であってもよい。
いて、ポリエステルブレンド物層3と金属基体2との間
に接着用プライマーの層5を設けている以外は、図5の
場合と同様である。
ートは、二軸延伸ポリエステルフィルムを金属に熱接着
させることにより製造することができる。この際、ポリ
エステル層に、二軸配向が一部残存していることが耐デ
ント性を保持する上で好ましい。下記の表1には、ポリ
エステル−金属ラミネートから成る積層体(缶底を想
定)におけるポリエステルフィルム層の複屈折と、デン
ト試験後のエナメルレーター値ERVの関係を示した。
即ち、後述する実施例2で用いた二軸延伸積層フィルム
と同じ組成を有するがエステル交換率及びIVが異なる
フィルムを使用し、これをラミネートする際に、板温を
235℃〜250℃の範囲で変更することで得られる積
層体におけるフィルムの複屈折を調整した。この積層体
におけるポリエステルフィルム層の複屈折と、該積層体
に一定の熱処理を施したものについての該フィルム層の
複屈折と、熱処理後の積層体について5℃の環境下で前
述したのと同様のデント試験によるエナメルレーター値
ERVとを、表1に示した。尚、熱処理前の積層体のフ
ィルム中の下層のポリエステル層のIVは0.64、エス
テル交換率は5.0%であった。これらIV、エステル交
換率及び複屈折の測定は、後述する実施例で説明する方
法により行った。
は、フィルムの表面側における複屈折(Δn1 )又はフ
ィルム表面から金属板に至るフィルムの中間位置(約1
/2厚み)での複屈折(Δn2 )が高い程、デントER
Vが低くなる傾向を示していることが理解される(表1
中、Δn3 は、TFS鋼板側部分の複屈折である)。ま
た積層体のΔn1 又はΔn2 が高くても熱処理温度が高
くなると(240℃)、熱処理後の積層体の複屈折が低
下し(缶の場合には缶底の複屈折が低下する)、デント
ERVが増加していることが理解される。このように、
金属板にラミネートされるポリエステルフィルム層に
は、二軸配向が一部残存しているのがよく、複屈折Δn
1 又はΔn2 の少なくとも何れかが0.02以上である
こと、及び金属板側部分の複屈折Δn3 はΔn1 又はΔ
n2よりも小さいことが、耐デント性及び密着性の確保
の点で最も好適である。
を説明するための図7において、金属板20を加熱ロー
ル21により用いるポリエステルの融点(Tm)以上の
温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール22、22間
に供給する。一方、ポリエステルフィルム23は、供給
ロール24から巻きほぐされ、ラミネートロール22、
22間に金属板20をサンドイッチする位置関係で供給
される。ラミネートロール22、22は、加熱ロール2
1よりも若干低い温度(T2 )に保たれており、金属板
20の両面にポリエステルフィルムを熱接着させる。ラ
ミネートロール22、22の下方には、形成されるラミ
ネート25を急冷するための冷却水26を収容した水槽
が設けられており、この水槽中にラミネートを導くガイ
ドローラ27が配置されている。ラミネートロール2
2、22と冷却水26との間には一定の間隔のギャップ
28を形成し、このギャップ28に保温機構29を設け
て、一定の温度範囲(T3 )に保持し、ポリエステルの
溶融相から固相への遷移状態において、配向の戻りによ
るフィルム厚み方向途中における二軸配向のピークが形
成されるようにするのがよい。
+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+
50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロール11
の温度T2 は、70℃乃至180℃、特に80℃乃至1
50℃の範囲が適当である。この範囲内で金属板の温度
またはラミネートロールの温度を調整することにより、
フィルムの二軸配向残存量、即ち積層体におけるフィル
ムの複屈折をより良好な状態に制御することができる。
即ち、上記の温度設定により、金属板上のポリエステル
には、上記温度差に対応する温度勾配が形成されるの
で、ポリエステルの表面側から金属板側への厚み方向途
中の部分が、溶融相から固相への遷移状態において配向
の戻り現象を生じる温度領域に十分な時間保持されるよ
うにするのがよい。このために、ラミネートロール通過
後の積層体を、保温域で保温するのが有効である。
望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルム
との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐
腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種
々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレ
ゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール
型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料で
あり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:5
0乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90
の重量比で含有する塗料である。
10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は
予め金属素材上に設けてよく或いは予めポリエステルフ
ィルム上に設けてもよい。
のシームレス缶の一例を示す図8において、このシーム
レス缶11は前述したポリエステル−金属ラミネート1
の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき
加工により形成され、底部10と側壁部12とから成っ
ている。側壁部12の上端には所望によりネック部13
を介してフランジ部14が形成されている。この缶11
では、底部10に比して側壁部12は曲げ伸ばし或いは
更にしごき加工により積層体元厚の30乃至85%の厚
みとなるように薄肉化されている。
テル−金属ラミネートをポンチとダイスとの間で、有底
カップに絞り−深絞り成形し、深絞り段階で曲げ伸しと
しごきによりカップ側壁部の薄肉化を行なうことにより
製造される。即ち、薄肉化のための変形を、缶軸方向
(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)と缶厚み
方向の荷重による変形(しごき)との組み合わせでしか
もこの順序に行う。曲げ伸ばしはエチレンテレフタレー
ト単位のc軸方向への分子配向を与え、一方しごきはエ
チレンテレフタレート単位のベンゼン面のフィルム面に
平行な分子配向を与える。
で行われる。即ち、図9に示す通り、被覆金属板から成
形された前絞りカップ30は、このカップ内に挿入され
た環状の保持部材31とその下に位置する再絞り−しご
きダイス32とで保持される。これらの保持部材31及
び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ保持部材3
1内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ33が設
けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞り−しごき
ダイス32とを互いに噛みあうように相対的に移動させ
る。
部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コ
ーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下
方に向けて径の増大するテーパー状のアプローチ部36
を有し、このアプローチ部に続いて小曲率部37を介し
て円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備え
ている。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ3
9が設けられている。
材31の外周面40から、その曲率コーナ部41を経
て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の環状
底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定され
る部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部35に
より軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ30よ
りも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コ
ーナー部35において、コーナー部35と接する側の反
対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コ
ーナー部35と接する側の部分は、作用コーナー部を離
れた後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ
伸ばしによる薄肉化が行われる。
その外面が径の次第に増大する小テーパー角のアプロー
チ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき
部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する
行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ば
し後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干
縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直
後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があ
り、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定
な状態にあり、これを直ちにしごき加工に付した場合に
は、円滑なしごき加工を行い得ないが、本発明によれ
ば、側壁部の外面側をアプローチ部36と接触させてそ
の径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にする
ことにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均
質な歪みも緩和させて、円滑なしごき加工を可能にする
ものである。
ごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポ
ンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制
される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層
体元厚(t)の30乃至85%の厚みとなるように定め
る。尚、しごき部導入側の小曲率部37は、しごき開始
点を有効に固定しながら、しごき部38への積層体の導
入を円滑に行うものであり、ランド部38の下方の逆テ
ーパ状の逃げ39は、加工力の過度の増大を防ぐもので
ある。
部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上で
は、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべき
であるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネー
トの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の
1倍以上であるべきである。
チ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有す
るべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも
小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき
前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が
上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し
変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの
割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困
難となる。
始点の固定有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)
の0.3倍以上であるべきであるが、この曲率半径があ
まり大きくなるとラミネートの削れが生じるため、ラミ
ネートの肉厚(t)の20倍以下にすることが特に好ま
しい。
ポンチ33とクリアランスは前述した範囲にあるが、ラ
ンド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを有して
いるのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと加工
力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よりも
小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくない場
合がある。
部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることか
ら、缶側壁部のポリエステル層に比して、マイルドな加
工を受けていることが好ましい。これにより、巻締部の
密封性及び耐腐食性を向上させることができる。この目
的のため、しごき後の缶側壁部の上端に、缶側壁部の厚
みよりも厚いフランジ形成部が形成されるようにする。
即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフランジ部の厚みをt
2 とすると、t2 /t1 の比は、1.0乃至2.0、特に1.
0乃至1.7の範囲に定めるのがよい。
す図10、図11及び図12において、シームレス缶5
0は、素板圧とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞
り−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成
るが、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフラン
ジ形成部53が形成されている。
図11に示す例では、側壁部52’の外面とフランジ形
成部53’の外面とが同一径の円筒面上にあり、フラン
ジ形成部53’の内面は側壁部52’の内面よりも小さ
い径を有している。このタイプのフランジ形成部53’
は、再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ば
されてフランジ形成部53’が位置する部分を他の部分
に比して小径にしておくことにより形成される。
側壁部52の内面とフランジ形成部53の内面とが同一
径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の外面は側壁
部52の外面よりも大きい径を有している。このタイプ
のフランジ形成部53は、再絞り−しごきダイのランド
部の長さLを短くすると共に、このランド部に続く部分
にランド部よりも小径の部分を設けて、フランジ形成部
53が戻り変形させることにより形成される。
フランジ形成部53”の外面は側壁部52”の外面より
も大きい径を有すると共に、フランジ形成部53”の内
面は側壁部52”の内面よりも小さい径を有している。
このタイプのフランジ形成部53”は、再絞り−しごき
ポンチ32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成
部43が位置する部分を他の部分に比して小径にしてお
くと共に、再絞り−しごきダイのランド部の長さLを短
くし、更に、このランド部に続く部分にランド部よりも
小径の部分を設けて、フランジ形成部43が戻り変形さ
せることにより形成される。
て、表面のポリエステル層は十分な潤滑性能を付与する
ものであるが、より潤滑性を高めるために、各種油脂類
或いはワックス類等の潤滑剤を少量塗布しておくことが
できる。勿論、潤滑剤を含有する水性クーラント(当然
冷却も兼ねる)を使用することもできるが、操作の簡単
さの点では避けた方がよい。
き終了直後の温度)は、ポリエステルのガラス転移点
(Tg)よりも50℃高い温度以下で且つ10℃以上の
温度であることが好ましい。このため、工具の加温を行
ったり、或いは逆に冷却を行うことが好ましい。
を、少なくとも一段の熱処理に付することができる。こ
の熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフ
ィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた滑剤を
表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキを
乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処理
には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等それ
自体公知の加熱装置を用いることができる。また、この
熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の多
段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至2
40℃、特に好ましくは190℃乃至230℃の範囲が
適当である。フィルムの融点にもよるが、熱処理温度が
この範囲よりも高いと、ポリエステル層に二軸配向を残
存させることが困難となる傾向がある。熱処理の時間
は、一般的にいって、1乃至10分のオーダーである。
冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷
操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしか
も金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急
冷操作はたいへんであるが、本発明では急冷操作なしで
も、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られる
のである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散
布等の急冷手段を採用することは任意である。
段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻
締用の缶とする。また、ネックイン加工に先立って、ビ
ード加工や、特公平7−5128号公報に記載された周
状多面体壁加工を施すことができる。
以下の測定方法により求めた。
主体の結晶性ポリエステルとブチレンテレフタレート主
体の結晶性ポリエステルをブレンドし、雰囲気中の水分
量をコントロールしながら樹脂温度260〜280℃、
混練時間を5分〜90分とすることによりエステル交換
率を調整した。
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0 :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融点(K) 式中のTm(ブレンド物の融点)は積層体の単離フィル
ムを下記に示すDSC(示差走査熱量計)の条件によ
り、昇温し280℃で2分保持した後、直ちに500℃
/分の速度で冷却し、再度常温より下記の条件にて昇温
したDSC曲線で熱量がピークを示す温度をブレンド物
の融点とした。なお、積層体の単離フィルムは、缶胴部
を常温にて18%塩酸水溶液に浸漬し、金属板を溶解し
た後にフィルムを洗浄、乾燥することにより得た。また
二層フィルムの場合には、表層部を削りとり、下層部の
フィルムのみを上記方法により単離した。 DSC装置 : パーキンエルマー社製 DSC7型 昇温速度 : 20℃/分 秤量 : 5〜10mg また、Tm0 (エチレンテレフタレート単位を主体とす
る結晶性ポリエステルの融点)については、図13に示
すイソフタル酸の共重合比率と融点の関係を示すグラフ
(実験値)を用いた。
ムにおいてもそのまま)、200mg分をフェノール/
1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比
1:1)に110℃で溶解し、ウベローデ型粘度計を用
いて30℃で比粘度を測定した。固有粘度は下記式によ
り求めた。 [η]=[{−1+(1+4K′ηsp)1/2 }/2K′C](dl/g) K′ : ハギンスの恒数(=0.33) C : 濃度(g/100ml) ηsp : 比粘度[=(溶液の落下時間−溶媒の落下時
間)/溶媒の落下時間]
た缶が5℃となるまで冷却した後、缶軸を鉛直方向に対
して15°傾けて50cm高さから落下させて衝撃を与
えた。その後、37℃の温度で貯蔵試験を行い、1年後
に開缶し、内面側の周状多面体壁稜線部の腐食状態を観
察した。また、落下により衝撃を受けた部分についても
同様に腐食状態を観察した。
に切り出し、前述した(2) の方法で説明したのと同様の
方法でフィルムを単離した(二層フィルムの場合には、
表層を削り取った)。単離したフィルムを24時間の真
空乾燥に附し、試料とした。この試料フィルムをエポキ
シ樹脂にて包埋し、厚み方向(nt に相当)と2軸配向
面の最大配向方向(nm に相当)に平行になるように3
μm に切り出し、偏光顕微鏡によりレターデーションを
測定した。複屈折の値は、断面の5箇所の平均値とし
た。尚、Δn1 はフィルムの表面側より、Δn3 はフィ
ルムの金属板側より、それぞれ2μm までの平均値を採
用した。またΔn2 はフィルム厚みの半分の位置を中心
に2μm の平均値を採用した。その際の測定波長は54
6nmを用いた。
クロム量110mg/m2 、クロム水和酸化物量15m
g/m2 この金属板の片面に下記(1) のポリエステルフィルム、
他の面には下記(2) のポリエステルフィルムを、板温2
50℃、ラミネートロール温度150℃、通板速度40
m/分で両面同時に熱ラミネートし、直ちに水冷するこ
とによりラミネート金属板を得た。 ポリエステルフィルム(1) (缶外面側):イソフタル酸
12モル%、テレフタル酸88モル%及びエチレングリ
コール100モル%からなるポリエステル樹脂に、酸化
チタン(顔料)を20重量%を配合して成る白色共重合
体ポリエステル樹脂を縦3.0倍、横3.0倍の条件で延伸
した二軸延伸フィルム(膜厚13μm)。 ポリエステルフィルム(2) (缶内面側):イソフタル酸
6モル%、テレフタル酸94モル%及びエチレングリコ
ール100モル%からなるポリエステル樹脂(i)と、
テレフタル酸80モル%(a)、アジピン酸20モル%
(b)、1,4−ブタンジオール100モル%からなる
共重合ポリエステル樹脂(ii)とを、55:45の重量
比でブレンドし、混練によりエステル交換反応を制御す
ることにより得られたポリエステルブレンド物を縦3.
0倍×横3.0倍の条件で延伸した二軸延伸フィルム
(膜厚25μm)。 上記で得られた被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗布
し、ポリエステルフィルム(1) 側が缶外面となるように
直径158mmの円盤を打ち抜き、浅絞りカップを得
た。次いでこの浅絞りカップを再絞り・しごき加工を行
い、深絞り−しごきカップを得た。
あった。 カップ径 : 52mm カップ高さ : 140mm 素板厚に対する缶壁部の厚み 73% 素板厚に対するフランジ部の厚み 85%
ドーミング成形を行い、220℃にて熱処理を行った
後、カップを放冷後、開口端縁部のトリミング加工、曲
面印刷および焼き付け乾燥、ネック加工、フランジ加
工、更に周状多面体壁加工を行って250g用のシーム
レス缶を得た。周状多面体壁は、図14及び15に示す
最小構成単位面を、容器高の中心を含み、円周方向に9
個連続させ、且つ容器軸方向に1/2位相差で60mm
幅で設け、L/Wを0.96、深さ比d1 /d0 を0.
95、構成単位面の窪み曲率Rを5tとなるように設け
た。
充填後、十分に冷却した後に、充填缶を5℃にて50c
m高さより落下させ、コンクリート床上に置かれたステ
ンレス製のくさび(角度15°)に缶底が衝突するよう
にした後、37℃で1年間貯蔵し、缶底衝撃部の腐食状
態を観察した。
エステルフィルム(2) を分析した結果、エステル交換率
は1.2%、IVは1.15であった。表2にフィルム
の特性値および評価結果を示す。缶壁部の耐食性、衝撃
部の耐食性ともに良好な結果が得られた。また缶に成形
する前のラミネート金属板のポリエステルフィルム(2)
及び成形された缶底部におけるポリエステルフィルム
(2) の複屈折測定値を表3に示す。
設けられた二軸延伸ポリエステルフィルム(2) を、下記
の二軸延伸積層フィルム(3) に代えた以外は、実施例1
と同様にして、ラミネート金属板を得た(但し、熱ラミ
ネート時の板温は240℃)。 二軸延伸積層フィルム(3): 厚み;25μm , 延伸倍率;縦3.0倍×横3.0倍 表層;ポリエステルフィルム(1) の作成に用いたポリエ
ステル樹脂(但し顔料無し)。厚み5μm 。 下層(金属板側);ポリエステル樹脂(i) と共重合ポリ
エステル樹脂(ii)とのブレンド比(重量比)を70:3
0に変更した以外はポリエステルフィルム(2) の作成に
用いたものと同じブレンド物。厚み20μm 。 上記ラミネート金属板を用いて、実施例1と同様に製缶
および腐食試験を実施した。この缶の製造に用いた積層
体における二軸延伸積層フィルム(3) の下層を分析した
結果、エステル交換率は5.1%、IVは0.66であ
った。表2にフィルムの特性値および評価結果を示す。
缶壁部の耐食性、衝撃部の耐食性ともに良好な結果が得
られた。また缶に成形する前のラミネート金属板の二軸
延伸積層フィルム(3) 及び成形された缶底部における該
フィルム(3) の複屈折測定値を表3に示す。
側)の下層ブレンド物の組成を以下の様に変更した二軸
延伸積層フィルム(4) を、二軸延伸積層フィルム(3) の
代わりに用いた以外は、実施例2と同様にラミネート金
属板の作成、製缶および腐食試験を実施した。 二軸延伸積層フィルム(4) の下層ブレンド物の組成:イ
ソフタル酸8モル%、テレフタル酸92モル%及びエチ
レングリコール100モル%からなるポリエステル樹脂
(i)と、テレフタル酸70モル%(a)、アジピン酸
30モル%(b)、1,4−ブタンジオール100モル
%からなる共重合樹脂(ii)との55:45(重量比)の
ブレンド物。この缶の製造に用いた積層体における二軸
延伸積層フィルム(4) の下層を分析した結果、エステル
交換率は2.5%、IVは0.75であった。表2にフ
ィルムの特性値および評価結果を示す。缶壁部の耐食
性、衝撃部の耐食性ともに良好な結果が得られた。また
缶に成形する前のラミネート金属板の二軸延伸積層フィ
ルム(4) 及び成形された缶底部における該フィルム(4)
の複屈折測定値を表3に示す。
(2) を、イソフタル酸12モル%、テレフタル酸88モ
ル%及びエチレングリコール100モル%から成るポリ
エステル樹脂の二軸延伸フィルム(5) (膜厚25μm)
に代えた以外は、実施例1と同様にしてラミネート金属
板の作成(但し、熱ラミネート時の板温は240℃)、
製缶および腐食試験を実施した。この缶の製造に用いた
積層体における二軸延伸フィルム(5) を分析した結果、
IVは0.64であった。表2にフィルムの特性値およ
び評価結果を示す。周状多面体壁稜線部の耐食性は良好
であったが、衝撃部のフィルム割れが著しく、腐食が生
じており、実用適性がないと判断した。また缶に成形す
る前のラミネート金属板の二軸延伸フィルム(5) 及び成
形された缶底部における該フィルム(5) の複屈折測定値
を表3に示す。
の下層ブレンド物の組成を以下の様に変更した二軸延伸
積層フィルム(6) を、二軸延伸積層フィルム(3) の代わ
りに用いた以外は、実施例2と同様にラミネート金属板
の作成(但し、熱ラミネート時の板温は245℃)、製
缶および腐食試験を実施した。 二軸延伸積層フィルム(6) の下層ブレンド物の組成:イ
ソフタル酸6モル%、テレフタル酸94モル%及びエチ
レングリコール100モル%からなるポリエステル樹脂
(i)と、テレフタル酸100モル%、1,4−ブタン
ジオール100モル%からなる共重合樹脂(ii)との7
0:30(重量比)のブレンド物。この缶の製造に用い
た積層体における二軸延伸積層フィルム(6) の下層を分
析した結果、エステル交換率は3.5%、IVは0.7
0であった。表2にフィルムの特性値および評価結果を
示す。周状多面体壁稜線部の耐食性は良好であったが、
衝撃部のフィルム割れが認められ、且つ腐食が生じてお
り、実用適性がないと判断した。また缶に成形する前の
ラミネート金属板の二軸延伸積層フィルム(6) 及び成形
された缶底部における該フィルム(6) の複屈折測定値を
表3に示す。
の下層ブレンド物の組成を以下の様に変更した二軸延伸
積層フィルム(7) を、二軸延伸積層フィルム(3) の代わ
りに用いた以外は、実施例2と同様にラミネート金属板
の作成(但し、熱ラミネート時の板温は245℃)、製
缶および腐食試験を実施した。 二軸延伸積層フィルム(7) の下層ブレンド物の組成:イ
ソフタル酸6モル%、テレフタル酸94モル%及びエチ
レングリコール100モル%からなるポリエステル樹脂
(i)と、テレフタル酸80モル%、イソフタル酸20
モル%、及び1,4−ブタンジオール100モル%から
なる共重合樹脂(ii)との70:30(重量比)のブレン
ド物。この缶の製造に用いた積層体における二軸延伸積
層フィルム(7) の下層を分析した結果、エステル交換率
は3.2%、IVは0.68であった。表2にフィルム
の特性値および評価結果を示す。周状多面体壁稜線部の
耐食性は良好であったが、衝撃部のフィルム割れが大き
く、腐食が生じており、実用適性がないと判断した。ま
た缶に成形する前のラミネート金属板の二軸延伸積層フ
ィルム(7) 及び成形された缶底部における該フィルム
(7) の複屈折測定値を表3に示す。
と組成は全く同じであるが、下層ブレンド物の調製に際
して溶融混練時間を延長してエステル交換率を高めた二
軸延伸積層フィルム(8) を、二軸延伸積層フィルム(3)
の代わりに用いた以外は、実施例2と同様にラミネート
金属板の作成(但し、熱ラミネート時の板温は240
℃)、製缶および腐食試験を実施した。この缶の製造に
用いた積層体における二軸延伸積層フィルム(8) の下層
を分析した結果、エステル交換率23.2%、IVは
0.66であった。表2にフィルムの特性値および評価
結果を示す。成形時に、内面側フィルムに部分的な割れ
を生じ、熱処理後の缶内面フィルムの表面がしわ状とな
り、実用適性がないと判断した。また缶に成形する前の
ラミネート金属板の二軸延伸積層フィルム(8) 及び成形
された缶底部における該フィルム(8) の複屈折測定値を
表3に示す。
全く同じであるが、下層ブレンド物の調製に際しての溶
融混練時の温度を高くしてIVを著しく低下させた二軸
延伸積層フィルム(9) を用いた以外は、比較例4と全く
同様にしてラミネート金属板の作成、製缶および腐食試
験を実施した。この缶の製造に用いた積層体における二
軸延伸積層フィルム(9) の下層を分析した結果、エステ
ル交換率は7.6%、IVは0.52であった。表2に
フィルムの特性値および評価結果を示す。周状多面体壁
稜線部が部分的に腐食しており、衝撃部のフィルム割れ
が認められ、且つ腐食が生じており、実用適性がないと
判断した。また缶に成形する前のラミネート金属板の二
軸延伸積層フィルム(9) 及び成形された缶底部における
該フィルム(9) の複屈折測定値を表3に示す。
ンド物の組成を、以下の様に変更した二軸延伸積層フィ
ルム(10) を、二軸延伸積層フィルム(3) の代わりに用
いた以外は、実施例2と同様にラミネート金属板の作成
(但し、熱ラミネート時の板温は240℃)、製缶およ
び腐食試験を実施した。 二軸延伸積層フィルム(10)の下層ブレンド物の組成:イ
ソフタル酸6モル%、テレフタル酸94モル%及びエチ
レングリコール100モル%からなるポリエステル樹脂
(i)と、テレフタル酸80モル%(a)、アジピン酸
20モル%(b)、1,4−ブタンジオール100モル
%からなる共重合樹脂(ii)との20:80(重量比)の
ブレンド物。この缶の製造に用いた積層体における二軸
延伸積層フィルム(10)の下層を分析した結果、エステル
交換率は4.8%、IV0.70であった。表2にフィ
ルムの特性値および評価結果を示す。周状多面体壁稜線
部が部分的に腐食しており、衝撃部のフィルム割れが認
められ、且つ腐食が生じており、実用適性がないと判断
した。また缶に成形する前のラミネート金属板(積層
体)の二軸延伸積層フィルム(10)及び成形された缶底部
における該フィルム(10)の複屈折測定値を表3に示す。
テル、即ち (a)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸と
から誘導されたエステル単位と (b)ブチレングリコール
と脂肪族二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを9
0:10乃至50:50のモル比で含む共重合ポリエス
テルをエチレンテレフタレート系ポリエステルにブレン
ドし、且つエステル交換率を特定の範囲に制御したポリ
エステル組成物を、金属基体へのラミネートに用いたこ
とにより、耐衝撃性、特に耐デント性が顕著に改善され
た金属−ポリエステル積層体、並びにこの積層体から形
成されたシームレス容器を提供することができた。
製缶時或いは製缶後の熱処理にもかかわらず、結晶化に
よる脆化が抑制され、優れた耐デント性が維持され、特
に高度の加工が行われている缶胴上部のネックイン加工
やフランジ加工を容易にし、この部分の耐デント性を向
上させることが可能となった。
メルレーター値との関係を示すグラフである。
熱分析の融解熱量との関係を示すグラフである。
ント試験後のエナメルレーター値との関係を示すグラフ
である。
性率との関係を示すグラフである。
す拡大断面図である。
示す拡大断面図である。
ある。
の要部を示す断面図である。
を示す断面図である。
例を示す断面図である。
例を示す断面図である。
示すグラフ(実験値)である。
た容器の一例を示し、(A)は平面図、(B)は縦断面
図及び(C)は水平断面図である。
構成単位面の一例を示し、(A)は平面図、(B)、
(C)及び(D)は窪んだ部分の曲率半径を変化させて
示す構成単位面の垂直断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 金属基体とこれに熱接着された二軸延伸
ポリエステルフィルム層とから成る積層体において、前
記ポリエステルフィルムが、(i) エチレンテレフタレー
ト単位を主体とする結晶性ポリエステルと(ii) (a)ブチ
レングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導されたエス
テル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸と
から誘導されたエステル単位とを90:10乃至50:
50のモル比で含む共重合ポリエステルとを(i) :(i
i)=90:10乃至30:70の重量比で含有するブ
レンド物から形成され且つブレンド物中の成分(i)の
下記式(1)に示すエステル交換率(E)が0.5〜2
0%の範囲にあり、且つブレンド物の固有粘度(IV)
が0.55以上であることを特徴とする積層体: E=100・[1−exp{(Hu/R)・(1/Tm0 −1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0 :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステル(i)の融点(K)。 - 【請求項2】 前記ポリエステル(i)がポリエチレン
テレフタレート或いは20モル%以下の量でエチレンイ
ソフタレート単位を含有するポリエチレンテレフタレー
ト/イソフタレートである請求項1記載の積層体。 - 【請求項3】 前記共重合ポリエステル(ii)がポリブ
チレンテレフタレート/アジペートである請求項1また
は2記載の積層体。 - 【請求項4】 下記式(2)で表される積層体のポリエ
ステルフィルム層の複屈折が、フィルムの表面側でΔn
1 、表面から金属板に至るフィルムの中間位置でΔn2
、金属板に接する側でΔn3 とすると、Δn1 及びΔ
n2 の少なくとも何れかが0.02以上であり、且つΔ
n3 がΔn1 又はΔn2 以下であることを特徴とする請
求項1乃至3の何れかに記載の積層体:但し Δn 1〜3 =nm −nt …(2) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt は
フィルムの厚み方向の屈折率である。 - 【請求項5】 金属基体とこれに熱接着された二軸延伸
ポリエステルフィルム層とから成る積層体において、前
記ポリエステルフィルム層が、(A)エチレンテレフタ
レート単位を主体とする結晶性ポリエステルの表面層
と、(B)(i)エチレンテレフタレート単位を主体とす
る結晶性ポリエステルと(ii) (a)ブチレングリコール
と芳香族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)
ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導された
エステル単位とを90:10乃至50:50のモル比で
含む共重合ポリエステルとを (i):(ii)=90:10乃
至30:70の重量比で含有するブレンド物から成る下
地層との積層フィルムから成り且つブレンド物中の成分
(i)の下記式(1)に示すエステル交換率(E)が
0.5〜20%の範囲にあり、且つブレンド物の固有粘
度(IV)が0.55以上であることを特徴とする積層
体: E=100・[1−exp{(Hu/R)・(1/Tm0 −1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0 :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステル(i)の融点(K)。 - 【請求項6】 表面層(A)のポリエステル及び下地層
(B)中のポリエステル(i)がポリエチレンテレフタ
レート或いは20モル%以下の量でエチレンイソフタレ
ート単位を含有するポリエチレンテレフタレート/イソ
フタレートである請求項5記載の積層体。 - 【請求項7】 下地層(B)中の共重合ポリエステルが
ポリブチレンテレフタレート/アジペートである請求項
5または6記載の積層体。 - 【請求項8】 下記式(2)で表される積層体のポリエ
ステルフィルム層の複屈折が、フィルムの表面側でΔn
1 、表面から金属板に至るフィルムの中間位置でΔn2
、金属板に接する側でΔn3 とすると、Δn1 及びΔ
n2 の少なくとも何れかが0.02以上であり、且つΔ
n3 がΔn1 又はΔn2 以下であることを特徴とする請
求項5乃至7の何れかに記載の積層体:但し Δn 1〜3 =nm −nt …(2) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt は
フィルムの厚み方向の屈折率である。 - 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載の積層体
を絞り成形或は更にしごき成形して成ることを特徴とす
るシームレス容器。 - 【請求項10】 下記式(2)で表されるシームレス容
器底部のポリエステルフィルム層の複屈折が、フィルム
の表面側でΔn1 、表面から金属板に至るフィルムの中
間位置でΔn2 、金属板に接する側でΔn3 とすると、
Δn1 及びΔn2 の少なくとも何れかが0.02以上で
あり、且つΔn3 がΔn1 又はΔn2以下であることを
特徴とする請求項9記載のシームレス容器:但し Δn 1〜3 =nm −nt …(2) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt は
フィルムの厚み方向の屈折率である。
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1997
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JPH10100315A (ja) | 1998-04-21 |
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