JP3260885B2 - 共振型面型光変調素子の製造方法 - Google Patents

共振型面型光変調素子の製造方法

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JP3260885B2
JP3260885B2 JP02695093A JP2695093A JP3260885B2 JP 3260885 B2 JP3260885 B2 JP 3260885B2 JP 02695093 A JP02695093 A JP 02695093A JP 2695093 A JP2695093 A JP 2695093A JP 3260885 B2 JP3260885 B2 JP 3260885B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気信号や制御光等
の外部制御信号に応じて光変調を行なう共振型面型光変
調素子に関する。この共振型面型光変調素子は、光イン
ターコネクション、並列光情報伝送、並列光情報処理等
に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、化合物半導体量子井戸構造を用い
た共振型面型光変調素子として、例えば、図10に示さ
れるような報告がなされている(R.H Yan,R.
J.Simes and L.A.Coldren ;I
EEE J of Quantum Electro
n. Vol.25,No.11 p2272(198
9))。
【0003】図10に示すような共振型面型光変調素子
においては、基板上201に形成された下部反射構造2
02と上部反射構造204により、光変調層203を挟
んで共振器構造が形成されている。光変調層203で
は、量子井戸構造による励起子吸収の電界吸収効果によ
り入力光に対する吸収率が変化する。このような共振型
面型光変調素子は、ファブリー・ペロー共振器を構成し
ており、図11に示されるように上部反射鏡304の反
射率をRf、共振器の長さをL、共振器媒質303の吸
収係数をa、下部反射鏡302の反射率をRbとする
と、入力光が共振器に垂直入射し、かつ入力光の波長が
共振器の共振波長に一致した場合、一般に素子の反射率
Rtは次式で示される。
【0004】
【数1】
【0005】 但し、Rbb=Rb・exp(−2aL) (参考文献;Optical Electronics
A.Yariv ,Holt,Rinehart a
nd Winston,Inc) ここで、共振器媒質303の吸収係数aが変化した場
合、反射率Rtもこれに伴って変化する。例えば、図1
0のように光変調層203内に化合物半導体量子井戸構
造を用いた場合、励起子吸収の電界吸収効果により入力
光に対する量子井戸構造の吸収率を変化させ、それによ
って素子の反射率Rtを変化させることにより、光変調
が行なわれる。通常、このように電界吸収効果と共振器
効果を組み合わせることにより、電界吸収効果のみにて
行なわれる光変調よりも大きな光変調が得られる。
【0006】図10に示される共振型面型光変調素子で
は光変調度の最高のデータとして、45%の光変調度
(反射率変化)と、8以上のコントラスト比(on/o
ffRatio)が報告されており、光接続や光情報処
理の分野において実用に供し得る素子としてその応用が
期待されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造の共振型面型光変調素子で上記のような光変調度を達
成するためには、量子構造による励起子吸収波長と共振
器の共振波長を精密に制御し、電界印加による励起子吸
収波長の移動範囲内に、正確に共振波長を設定すること
が必要である。電界印加による励起子吸収波長の移動範
囲は30meV程度と狭く、また、共振波長は共振器
長、即ち、光変調層の厚さにより決定されるため、従来
型の光変調素子の実現には、光変調層を形成する結晶成
長法に対して極めて高精度の層厚制御性、組成制御性、
さらにはこれらの再現性が必要とされていた。
【0008】これらの原因により、従来の共振型面型光
変調素子を再現性良く実現することは極めて困難であ
り、素子製作の歩留りは20%以下であった。このた
め、上記において説明した従来の共振型面型光変調素子
は、最高データとしては大きな変調度が得られるもの
の、再現性に大きな問題があり、実用には程遠い素子で
あった。
【0009】以上のように、従来技術により高機能な共
振型面型光変調素子を実現するためには、共振器長を極
めて正確に制御し、共振器の共振波長と励起子吸収波長
の関係を精密に制御することが必要であった。このた
め、現実的に高い歩留りにて、再現性良く、このような
素子を製作することは困難であった。また、素子製作工
程の途中で、このような共振型面型光変調素子の共振波
長が設計値と一致しないことが分かっても、共振波長を
調整することは不可能であり、このことも素子製作にお
いて歩留りを大きく低下させる要因となっていた。
【0010】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決し、極めて高い再現性を有すると共に、素子製作
の歩留りを大幅に向上でき、実用に供することのできる
共振型面型光変調素子の製造方法を提供することを目的
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、本発明の共振型面型光変調素子の製造方
法は、基板上に、下部反射構造と、少なくとも外部信号
により光学的特性が変化する層を備えた光変調層と共振
波長調整層とを有する共振器媒質層と、上部反射構造に
より形成される共振型面型光変調素子の製造方法であ
り、前記波長調整層を形成する前の光変調層の層厚の総
和を、最終的な共振型面型光変調素子に要求される共振
波長よりもわずかに短波長になるように形成し、前記波
長調整層形成時に、前記下部反射構造と、形成されつつ
ある前記波長調整層表面間において得られる弱い共振器
の共振波長を検出し、その共振波長が最終的に要求され
る所定波長となった時点で前記波長調整層の形成を終了
する。
【0012】本発明の素子では少なくとも下部反射構造
と、i層(低キャリア濃度層)もしくは量子井戸構造等
を有する光変調層形成後に、波長調整層が形成され、こ
の波長調整層によって共振波長を制御するため、結晶成
長法等に、極めて精密かつ厳密な層厚制御を要求するこ
となく、極めて再現性良く共振型面型光変調素子を製作
できる。
【0013】さらに、その場観察にて共振波長をモニタ
ーしながら製造するので、素子の共振波長が設計値と一
致しないことが判明した場合においても、波長調整層に
より共振波長を調整することが可能となり、歩留りが大
幅に向上し、かつ極めて再現性良く共振型面型光変調素
子を製作できる。
【0014】以下、図面を参照して本発明の構成および
作用の詳細を説明する。本発明によって得られた共振型
面型光変調素子に関する構成を図1に示す。第1導電型
基板1の上に、屈折率の異なる2種類以上の積層構造に
より構成される第1導電型下部ブラッグ反射層2、第1
導電型クラッド層3、i型層4、第2導電型クラッド層
5、共振器の共振波長を制御する波長調整層6、屈折率
の異なる2種類以上の積層構造により構成される上部ブ
ラッグ反射層7がそれぞれ積層されている。本構造では
下部ブラッグ反射層2と上部ブラッグ反射層7により、
共振器構造が形成されており、第1導電型クラッド層
3、i型層4、第2導電型クラッド層5、波長調整層6
が共振器媒質となっており、共振器長はこれら共振器媒
質の層厚の総和になる。
【0015】さらに、第1導電型基板1の裏面には第1
導電型に対応する電極8が、第2導電型クラッド層5の
表面には第2導電型に対応する電極9が、それぞれ形成
されている。第2導電型に対応する電極9には光入出射
窓部10が形成されており、入力光はこの光入出射窓部
10より入射し、上部ブラッグ反射層7と第1導電型ク
ラッド層3、i型層4、第2導電型クラッド層5、波長
調整層6、さらに下部ブラッグ反射層2にて構成される
光共振器に導入される。この時、第1導電型に対応する
電極8と第2導電型に対応する電極9の間に電圧を印加
し、i型層4に電界を印加することにより、入力光に対
する光学的性質の変化、例えば吸収率変化が生じる。こ
れにより、上記数1に示されるようにi型層4の電界吸
収効果と光共振器による共振モードとの相乗効果によ
り、光変調が行なわれる。被変調光は出力光として、光
入出射窓部10により出射される。
【0016】このような共振型面型光変調素子の動作時
の、電界吸収効果による吸収端波長と共振器の共振波長
の関係を図2に示す。この様な素子では、電界印加時に
フランツ・ケルディッシュ効果により、吸収端波長が長
波長側に移動する。また、共振器の共振波長では、図中
に示されるように、共振器モードにより反射率のディッ
プが見られる。素子の共振波長が、電界による吸収端波
長の移動範囲内に存在するように素子構造を製作し、さ
らに素子への入力光を素子の共振波長付近に設定する。
電界印加時には、吸収端波長の移動により、素子の共振
波長での吸収率が変化し、数1に示されるように、素子
の反射率が変化し、大きな光変調度にて光変調が行なわ
れる。
【0017】このような共振型面型光変調素子におい
て、電界印加時の吸収端波長の移動範囲は10meV程
度と限られているため、この波長範囲と共振器の共振波
長を正確に一致させることが必要となる。このため、本
発明によって得られた共振型面型光変調素子では、吸収
端波長に対する共振器の共振波長の関係を調整できるよ
うに、共振器媒質の中に波長調整層6が設けられてい
る。
【0018】本発明に係る共振型面型光変調素子の製造
方法では、まず、第1導電型基板1の上に下部ブラッグ
反射層2、第1導電型クラッド層3、i層4、第2導電
型クラッド層5の各層をそれぞれ形成し、素子に電界を
印加するための電極8,9を形成する。この段階で、下
部ブラッグ反射層2と第2導電型クラッド層5の表面に
より、光閉じ込めの弱い共振器状態が形成される。この
時、第1導電型クラッド層3、i層4、第2導電型クラ
ッド層5の各層の層厚の総和は、この弱い共振器状態の
共振波長が、最終的な共振型面型光変調素子に要求され
る共振波長よりもわずかに短波長になるように形成され
る。
【0019】この段階で例えば、素子の共振波長を測定
し、最終的な共振型面型光変調素子に要求される共振波
長との差異を求め、その差異に応じた層厚の波長調整層
6を形成する。この時、未だ上部ブラッグ反射層7が積
層されていないが、上記の場合と同様に下部ブラッグ反
射層2と波長調整層6の表面により、光閉じ込めの弱い
共振器状態が形成されるため、素子の共振波長を容易に
求めることが可能となる。このような波長調整層6の形
成時には、その場観察による評価を用いて、正確に波長
調整層6の層厚を制御することも可能である。波長調整
層6の形成後、上部ブラッグ反射層7が形成され、本発
明の共振型面型光変調素子が形成される。
【0020】本発明の製造方法による共振型面型光変調
素子の場合、従来の素子と異なり、その場観察によって
光変調素子の特性をモニターしながら、波長調整層6を
形成することにより、再現良く、共振器の共振波長を所
定の波長に設定することが可能となる。このため、特に
共振器媒質層、即ち第1導電型グラッド層3、i層4、
第2導電型グラッド層5の各層の厚さの総和の制御性に
対する厳しい要求が緩和される。さらに、従来構造の場
合、20%以下であった素子製作の歩留りが80%以上
に大幅に向上し、これまで達成できなかった高い歩留り
も確保できる。また、通常入力光は素子の共振波長付近
に設定されるため、波長調整層6の層厚を調整すること
により、吸収端波長の移動範囲内で入力波長を自由に設
定することも可能となる。
【0021】本発明によって得られた別の共振型面型光
変調素子について説明をする。上記のような本発明によ
って得られた共振型面型光変調素子において、共振器媒
質内の光変調層の最上層、すなわち、第2導電型クラッ
ド層5と波長調整層6の間に屈折率差がある場合、この
界面において光の反射が生じる。この界面での反射が大
きいと、素子動作に要求される共振器の共振モードに対
する損失が増加し、素子の光変調特性が低下する。この
ため、より優れた光変調特性を得るためには、この界面
反射率は少なくとも10%以下に抑える必要がある。垂
直入射光に対する界面反射率Rは、第2導電型クラッド
層5の屈折率がn1その直上に形成される波長調整層6
の屈折率がn2の場合、次のように表わされる。
【0022】 R=(n−n/(n−n 参考文献:光学ハンドブック、小瀬輝次他編集、朝倉書
店発行。したがって、界面反射率Rを10%以下にする
ためには、次の条件が満たされることが必要である。 1.93×n ≧n ≧0.51×n 実際に、上記関係を満足するように第2導電型クラッド
層5と波長調整層6の材料を選定することにより、等価
的に内部損失が減少し、上記関係を満足しない場合の素
子と比較して10%以上の光変調度の向上が得られた。
【0023】次に、本発明によって得られた、前述とは
別の共振型面型光変調素子の構成および動作を図3に示
す。第1導電型基板1aの上に、屈折率の異なる2種類
以上の積層構造により構成される第1導電型下部ブラッ
グ反射層2a、第1導電型クラッド層3a、バンドギャ
ップEgの薄膜層とバンドギャップEgの薄膜層
(Eg<Eg)が交互に積層されて形成された量子
井戸層20、第2導電型クラッド層5a、共振器の共振
波長を制御する波長調整層6a、屈折率の異なる2種類
以上の積層構造により構成される上部ブラッグ反射層7
aがそれぞれ積層されている。
【0024】量子井戸層20においては、少なくともバ
ンドギャップEgの薄膜層の厚さはその薄膜層内での
電子もしくは正孔のドブロイ波長以下、もしくは励起子
のボーア半径以下であり、量子効果が顕著に現われる量
子構造となっている。また、下部ブラッグ反射層2aと
上部ブラッグ反射層7aにより共振器構造が形成されて
おり、第1導電型クラッド層3a、量子井戸層20、第
2導電型クラッド層5a、波長調整層6aが共振器媒質
となっており、共振器長はこれら共振器媒質の層厚の総
和になる。
【0025】さらに、第1導電型基板1aの裏面には、
第1導電型に対応する電極8aが形成され、第2導電型
クラッド層5aの表面には、第2導電型に対応する電極
9aが形成されている。第2導電型に対応する電極9a
には、入力光を光変調層に導入し、かつ光変調層である
量子井戸層20にて変調された被変調光を出力光として
出射するための光入出射窓部10aが形成されている。
入力光はこの光入出射窓部10aより入射し、上部ブラ
ッグ反射層7aと第1導電型クラッド層3a、量子井戸
層20、第2導電型クラッド層5a、波長調整層6a、
さらに下部のブラッグ反射層2aにおいて構成される光
共振器に導入される。
【0026】この時、第1導電型に対応する電極8aと
第2導電型に対応する電極9aの間に電圧を印加し、量
子井戸層20の内部に電界を印加することにより、入力
光に対する光学的性質、例えば、吸収率が変化する。こ
れにより、上記数1に示されるような量子井戸層20の
電界光学効果と、光共振器による共振モードとの相乗効
果により、大きな変調率の光変調が行なわれる。被変調
光は出力光として光入出射窓部10より出射される。
【0027】このような共振型面型光変調素子の動作時
の、量子構造による励起子吸収波長と共振器の共振波長
との関係を図4に示す。この図4では量子構造の一例と
して、最も一般的な矩形の井戸型ポテンシャルを有する
量子井戸構造の場合が示されている。この量子井戸構造
は、室温励起子と状態密度分布により、図中に示される
ような吸収特性を有しており、電界印加時にはQuan
tum Confined Stark Effect
により、励起子吸収ピーク波長が長波長側に移動する。
また、共振器の共振波長では、図中に示されるように共
振器モードにより反射率のディップが見られる。素子の
共振波長が、電界による励起子吸収ピーク波長の移動範
囲内に存在するように素子構造を製作し、さらに、素子
への入力光を素子の共振波長付近に設定すると、電界印
加時に、励起子吸収ピーク波長が長波長側に移動して素
子の共振波長に一致すると、この波長での吸収率が変化
し、数1に示されるように素子の反射率が大きく変化
し、大きな光変調度で光変調が行なわれる。
【0028】さらに通常、量子構造の励起子吸収の電界
効果は、フランツ・ケルディシュ効果等に比べて、低電
界にて大きさ電界効果を示すため、このような現象を利
用することにより、高効率な光変調が行なわれる。量子
構造の励起子吸収の電界効果は、原理的に高速応答性を
有しているため、高速光変調にも適している。
【0029】このような面型光変調素子において、電界
印加時の励起子吸収ピークの移動範囲は30meV程度
と限られているため、この波長範囲と共振器の共振波長
を正確に一致させることが必要となる。このため、本発
明によって得られた共振型面型光変調素子では、励起子
吸収ピーク波長に対する共振器の共振波長の関係を調整
できるように、共振器媒質の中に波長調整層6aが設け
られている。
【0030】本発明の共振型面型光変調素子の製造方法
においては、第1導電型基板1a上に、下部ブラック゛
反射層2a、第1導電型クラッド層3a、量子井戸層2
0、第2導電型クラッド層5aの各層を形成し、素子に
電界を印加するための電極8a,9aを形成する。この
段階で、下部ブラック゛反射層2aと第2導電型クラッ
ド層5aの表面により、光閉じ込めの弱い共振器状態が
形成される。このとき、第1導電型クラッド層3a、量
子井戸層20、第2導電型クラッド層5aの各層の層厚
の総和は、この弱い共振器状態の共振波長が最終的な共
振型面型光変調素子に要求される共振波長よりも、わず
かに短波長となるように形成される。
【0031】この段階で例えば、素子の共振波長を測定
し、最終的な共振型面型光変調素子に要求される共振波
長との差異を求め、その差異に応じた層厚の波長調整層
6aを形成する。この時、未だ上部ブラック゛反射層7
aが積層されていないが、上記の場合と同様に、下部ブ
ラック゛反射層2aと波長調整層6aの表面により、光
閉じ込めの弱い共振器状態が形成されるため、素子の共
振波長を容易に求めることが可能となる。このような波
長調整層6aの形成時には、その場観察による評価を用
いて正確に波長調整層6aの層厚を制御することも可能
である。波長調整層6aの形成後、上部ブラック゛反射
層7aが形成され、本発明の共振型面型光変調素子が形
成される。この共振型面型光変調素子に入力光を入射
し、制御信号に応じた電界を印加することにより、光変
調が行なわれる。
【0032】この共振型面型光変調素子の場合も、その
場観察にて光変調素子の特性をモニターしながら、波長
調整層6aを形成することにより、再現性良く共振器の
波長を、励起子吸収ピーク波長に対して所定の波長に設
定することが可能となった。このため、特に共振器媒質
層、すなわち第1導電型クラッド層3a、量子井戸層2
0、第2導電型クラッド層5aの各層の厚さの総和の制
御性に対する厳しい要求が緩和され、さらに従来構造の
場合には達成できなかった高い歩留りも確保できるよう
になった。また、通常入力光は、素子の共振波長付近に
設定されるため、波長調整層6aの層厚を調整すること
により、励起子吸収ピーク波長の移動範囲内で、入力波
長を自由に設定することも可能となった。
【0033】本発明によって得られたさらに別の共振型
面型光変調素子について説明をする。上記のような本発
明によって得られた共振型面型光変調素子においても、
より優れた光変調特性を得るためには、共振器媒質内の
光変調層最上層、すなわち、第2導電型クラッド層5a
と波長調整層6aの間の界面反射率を少なくとも10%
以下に抑える必要がある。このためには、上記例と同様
に第2導電型クラッド層5aの屈折率nと、その直上
に形成される波長調整層6aの屈折率nの関係は、次
のような条件を満たさなければならない。
【0034】 1.93×n ≧n ≧0.51×n 実際に上記関係を満足するように、第2導電型クラッド
層5aと波長調整層6aの材料を選定することにより、
等価的に内部損失が減少し、上記関係を満足しない場合
の素子と比較して10%以上の光変調度の向上が得られ
た。
【0035】以上、このように本発明により、初めて大
きな光変調度を有する共振型面型光変調素子が極めて再
現性良く形成できるようになった。また、励起子吸収ピ
ーク波長の移動範囲内で、入力波長を自由に設定するこ
とも可能となった。上記のような波長調整層6,6aを
有する共振型面型光変調素子の実施例を以下に示す。
【0036】
〔例1〕
図5は本発明によって得られた共振型面型光変調素子の
第1の例を示す概略断面図である。この共振型面型光変
調素子は、分子線エピタキシー(MBE)によりn−G
aAs基板31上に20組のn−GaAs/AlAsブ
ラック゛反射層32、n−GaAsクラッド層33、i
−InGaAs層34、p−GaAsクラッド層35が
順次形成されている。この時、n−GaAsクラッド層
33、i−InGaAs層34、p−GaAsクラッド
層35の各層の層厚の総和は、これらの層を共振器媒質
とした場合に、共振波長が素子の所定の共振波長よりも
わずかに短波長となるように設定されている。次に、エ
ッチングにより基板面に対して略垂直な柱状になるよう
に、p−GaAsクラッド層35からi−InGaAs
層34を通り、n−GaAsクラッド層33に至るメサ
形状が形成され、さらにn−GaAs基板31の裏面に
n電極38が、また、p−GaAsクラッド層35の表
面に、光入出射窓部40を有するように窓開けされたp
電極39がそれぞれ形成されている。
【0037】この後、共振器媒質層の共振波長が、最終
的に素子に要求される共振波長となるように、電子ビー
ム蒸着法により、SiO層による波長調整層36が、
窓開けされて露出したp−GaAsクラッド層35上に
形成され、さらに3組のTiO層とSiO層が交互
に積層された上部ブラック゛反射層37が、その上に形
成されている。このような波長調整層36と上部ブラッ
ク゛反射層37は、例えば、上記のように電子ビーム蒸
着法により形成されるが、波長調整層36形成時に、そ
の場観察によりn−GaAs/AlAsブラック゛反射
層32と波長調整層36表面にて形成される弱い共振器
の共振波長を調べることが可能であるため、例えば、そ
の反射特性信号が、所望の特性となった時点で波長調整
層36の形成を終了することにより、必要とされる厚さ
の波長調整層36を再現性良く形成することが可能とな
った。
【0038】このように形成された共振型面型光変調素
子において、光入出射窓部40から入力光を入射し、外
部からの制御信号に応じた電圧をp電極39とn電極3
8の間に印加すると、フランツ・ケルディシュ効果によ
り、入力光に対するi−InGaAs層34の吸収率が
変化し、この結果、光共振器の反射特性が変化する。こ
の結果、30%を超える高変調度で、かつ5以上のコン
トラスト比の光変調が行なわれ、光変調された出力光が
光入出射窓部40より出射された。このように、本構造
にある波長調整層36を採用し、その場測定により、共
振波長を観測しながら波長調整層36を形成することに
より、極めて再現性良く、共振型面型光変調素子を実現
することが可能となった。
【0039】さらに、本発明によって得られた共振型面
型光変調素子の第1の例の構造の採用により、n−Ga
Asクラッド層33、i−InGaAs層34、p−G
aAsクラッド層35の各層の層厚の総和と、これらの
設計層厚との間の誤差を、波長調整層36形成時に補正
することも可能となり、従来構造では20%以下であっ
た素子製作の歩留りを、80%以上に大幅に向上するこ
とができた。このように、本発明によって得られる共振
型面型光変調素子により、初めて実用的な共振型面型光
変調素子が提供されるようになった。
【0040】〔例2〕 図6は、この発明によって得られた共振型面型光変調素
子の第2の例を示す図である。この第2の例において
も、MBEによりn−GaAs基板51上に20組のn
−GaAs/AlAsブラック゛反射層52、n−Ga
Asクラッド層53、30組のInGaAs/GaAs
量子井戸層54、p−GaAsクラッド層55が順次形
成されている。この時、n−GaAsクラッド層53、
InGaAs/GaAs量子井戸層54、p−GaAs
クラッド層55の各層の層厚の総和は、これらの層を共
振器媒質とした場合に、共振波長が、素子の所定の共振
波長よりもわずかに短波長となるように設定されてい
る。次に、エッチングにより、基板面に対して略垂直な
柱状になるように、p−GaAsクラッド層55からI
nGaAs/GaAs量子井戸層54を通り、n−Ga
Asクラッド層53に至るメサ形状が形成され、さらに
n−GaAs基板51の裏面にn電極58が、また、p
−GaAsクラッド層55の表面に、光入出射窓部60
を有するように窓開けされたp電極59がそれぞれ形成
されている。
【0041】この後、共振器媒質層の共振波長が、最終
的に素子に要求される共振波長となるように、電子ビー
ム蒸着法により、SiO層による波長調整層56が、
窓開けされて露出したp−GaAsクラッド層55上に
形成され、さらに3組のTiO層とSiO層が交互
に積層された上部ブラック゛反射層57がその上に形成
されている。このような波長調整層56と上部ブラック
゛反射層57は、例えば、上記のように電子ビーム蒸着
法により形成されるが、波長調整層56形成時に、その
場観察によりn−GaAs/AlAsブラック゛反射層
52と波長調整層56表面にて形成される弱い共振器の
共振波長を調べることが可能であるため、例えば、その
反射特性信号が所望の特性となった時点で波長調整層5
6の形成を終了することにより、必要とされる厚さの波
長調整層56を再現性良く形成することが可能となっ
た。
【0042】このように形成された共振型面型光変調素
子において、光入出射窓部60から入力光を入射し、外
部からの制御信号に応じた電圧をp電極59とn電極5
8の間に印加することにより、入力光に対するInGa
As/GaAs量子井戸層54の吸収率が変化し、上記
のように光共振器の反射特性が大きく変化し、この結
果、高変調度に光変調された出力光が光入出射窓部60
より出射された。
【0043】このようにして形成された共振型面型光変
調素子の、素子の反射率と印加電圧の特性の結果を図7
に示す。一般的に量子井戸層54による励起子吸収の電
界効果では、フランツ・ケルディッシュ効果に比べて小
さな電界にて大きな吸収率の変化が得られる。このた
め、量子井戸層54の電界吸収効果により共振器の反射
率を変化させる本例の共振型面型光変調素子では、より
高効率に、40%を超える高変調度でかつ10以上のコ
ントラスト比の光変調が行なわれた。また、波長調整層
56を採用し、その場観察により共振波長を観測しなが
ら波長調整層56を形成することによって、極めて再現
性良く、かつ高い光変調度を有する共振型面型光変調器
を実現することが可能となった。
【0044】さらに、本発明によって得られた共振型面
型光変調素子の第2の例の構造の採用により、n−クラ
ッド層53、量子井戸層54、p−クラッド層55の各
層の層厚の総和と、これらの設計層厚との間の誤差を、
波長調整層56形成時に補正することも可能となり、従
来構造では20%以下であった素子製作の歩留りが、8
0%以上に大幅に向上した。このように、本実施例の共
振型面型光変調素子により、初めて実用的な共振型面型
光変調素子が提供できた。
【0045】〔例3〕 図8は、この発明によって得られた共振型面型光変調素
子の第3の例を示す図である。 この第3実施例におい
ても、MBEによりn−GaAs基板71上に20組の
n−GaAs/AlAsブラック゛反射層72、n−G
aAsクラッド層73、30組のInGaAs/GaA
s量子井戸層74、p−GaAsクラッド層75が順次
形成されている。この時、n−GaAsクラッド層7
3、InGaAs/GaAs量子井戸層74、p−Ga
Asクラッド層75の各層の層厚の総和は、これらの層
を共振器媒質とした場合に、共振波長が素子の所定の共
振波長よりもわずかに短波長となるように設定されてい
る。次に、エッチングにより基板面に対して略垂直な柱
状になるようにp−GaAsクラッド層75からInG
aAs/GaAs量子井戸層74を通り、n−GaAs
クラッド層73に至るメサ形状が形成され、さらにn−
GaAs基板71の裏面にn電極78が、また、p−G
aAsクラッド層75の表面に、光入出射窓部80を有
するように窓開けされたp電極79がそれぞれ形成され
ている。
【0046】この後、共振器媒質層の共振波長が、最終
的に素子に要求される共振波長となるように、電子ビー
ム蒸着法により、SiO層による波長調整層76が、
窓開けされて露出したp−GaAsクラッド層75上に
形成され、上部反射構造として、その上にAuの蒸着膜
77が形成されている。このような波長調整層76は、
例えば、上記のように電子ビーム蒸着法により形成され
るが、波長調整層76形成時に、その場観察によりn−
GaAs/AlAsブラック゛反射層72と波長調整層
76表面にて形成される弱い共振器の共振波長を調べる
ことが可能であるため、例えば、その反射特性信号が所
望の特性となった時点で波長調整層76の形成を終了す
ることにより、必要とされる厚さの波長調整層76を再
現性良く形成することが可能となった。
【0047】このように形成された共振型面型光変調素
子において、光入出射窓部80から入力光を入射し、外
部からの制御信号に応じた電圧をp電極79とn電極7
8の間に印加することにより、入力光に対するInGa
As/GaAs量子井戸層74の吸収率が変化し、上記
のように光共振器の反射特性が大きく変化した。この結
果、40%を超える高変調度でかつ10以上のコントラ
スト比の光変調が行なわれ、高変調度に光変調された出
力光が光入出射窓部80より出射された。
【0048】このように上部反射構造としてAu蒸着膜
77等の金属蒸着膜等を用いることも可能であり、この
場合、上部反射構造の反射率は、蒸着膜の膜厚を制御す
ることにより制御される。金属蒸着膜77を上部反射構
造に用いることにより、素子製作工程がより簡略化さ
れ、また、金属蒸着膜等を電気的配線の一部として用い
ることも可能となる。
【0049】本例に示される構造の共振型面型光変調素
子の場合においても、第1の例の場合と同様に極めて再
現性良く、高い光変調度を有する共振型面型光変調素子
を実現することが可能となり、従来構造では20%以下
であった素子製作の歩留りが、80%以上に大幅に向上
することができた。このように本例の共振型面型光変調
素子により、初めて実用的な共振型面型光変調素子が提
供されるようになった。
【0050】〔例4〕 図9は、この発明によって得られる共振型面型光変調素
子の第4の例を示す図である。この第4の例において
も、MBEによりn−GaAs基板91上に20組のn
−GaAs/AlAsブラック゛反射層92、n−Ga
Asクラッド層93、30組のInGaAs/GaAs
量子井戸層94、p−GaAsクラッド層95が順次形
成されている。この時、n−GaAsクラッド層93、
InGaAs/GaAs量子井戸層94、p−GaAs
クラッド層95の各層の層厚の総和は、これらの層を共
振器媒質とした場合に、共振波長が素子の所定の共振波
長よりもわずかに短波長となるように設定されている。
次に、エッチングにより、基板面に対して略垂直な柱状
になるようにp−GaAsクラッド層95からInGa
As/GaAs量子井戸層94を通り、n−GaAsク
ラッド層93に至るメサ形状が形成され、さらにn−G
aAs基板91の裏面にn電極98が、また、p−Ga
Asクラッド層95の表面に、光入出射窓部100を有
するように窓開けされたp電極99がそれぞれ形成され
ている。
【0051】この後、共振器媒質層の共振波長が最終的
に素子に要求される共振波長となるように、電子ビーム
蒸着法により、TiO層による波長調整層96が窓開
けされて露出したp−GaAsクラッド層95上に形成
され、さらに3組のSiO層とTiO層が交互に積
層された上部ブラック゛反射層97がその上に形成され
ている。このような波長調整層96と上部ブラック゛反
射層97は、例えば、上記のように電子ビーム蒸着法に
より形成されるが、波長調整層96形成時に、その場観
察により、n−GaAs/AlAsブラック゛反射層9
2と波長調整層96表面にて形成される弱い共振器の共
振波長を調べることが可能であるため、例えば、その反
射特性信号が所望の特性となった時点で波長調整層96
の形成を終了することにより、必要とされる厚さの波長
調整層96を再現性良く形成することが可能となった。
【0052】さらに波長調整層96をTiO層(屈折
率=2.5)にて形成したため、共振器媒質内のp−G
aAsクラッド層95(屈折率=3.62)との界面に
おいて、 1.93×n ≧n ≧0.51×n なる条件が満たされ、界面反射が10%以下となった。
p−GaAsクラッド層95(屈折率=3.62)上に
TiO層(屈折率=2.5)を形成した層構造にて、
実際に界面反射率を測定したところ、3.3%という小
さな値が得られた。同様にしてp−GaAsクラッド層
95(屈折率=3.62)上にSiO層(屈折率=
1.46)を形成した層構造において測定された界面反
射率は、18%であった。この場合は上記条件を満たし
ていないため、界面反射率が10%以上となっている。
【0053】このようにTiO層を波長調整層96と
して用いることにより、p−GaAsクラッド層95と
の界面反射率を減少させることができ、等価的に共振器
の内部損失が少なくなり、より高い光変調度と大きなコ
ントラスト比が得られるようになった。
【0054】この共振型面型光変調素子において、光入
出射窓部100から入力光を入射し、外部からの制御信
号に応じた電圧をp電極99とn電極98の間に印加す
ることにより、入力光に対するInGaAs/GaAs
量子井戸層94の吸収率が変化し、上記のように光共振
器の反射特性が大きく変化し、光共振器の反射特性が大
きく変化し、50%以上の高変調度でかつ15以上のコ
ントラスト比の光変調が行なわれ、高変調度に光変調さ
れた出力光が光入出射窓部100より出射された。この
共振型面型光変調素子の場合、例えば、波長調整層96
に上記条件を満足しないSiO層を用いた場合に比べ
て、光変調度で10%、コントラスト比で5の特性向上
が得られた。
【0055】このように上記条件を満たす波長調整層9
6を採用し、その場観察により共振波長を観測しながら
波長調整層96を形成することにより、等価的内部損失
が小さく、高い光変調度を有する共振型面型光変調素子
を極めて再現性良く実現することができるようになっ
た。さらに本例の構造の採用により、n−クラッド層9
3、量子井戸層94、p−クラッド層95の各層の層厚
の総和と、これらの設計層厚との間の誤差を、波長調整
層96形成時に補正することも可能となり、従来構造で
は20%以下であった素子製作の歩留りが80%以上に
大幅に向上した。このように本例の共振型面型光変調素
子により、初めて実用的な共振型面型光変調素子が提供
できた。
【0056】なお、上記した第2の例、第3の例、第4
の例に示される共振型面型光変調素子において、光変調
層に電界を印加する代わりに、光変調層を構成する量子
井戸の基底量子準位間遷移エネルギー以上のエネルギー
に対する波長の光(制御光)を入射すると、量子井戸層
内にて室温励起子のスクリーングと位相空間フィルタリ
ングが生じ、励起子共鳴吸収波長における光吸収が大幅
に緩和される。ここで、例えば、励起子共鳴吸収波長に
入力光を設定すると、制御光の有無により入力光に対す
る量子構造の実効吸収率が大幅に変化し、電界印加の場
合と同様に制御光に応じた入力光の光変調が行なわれ
る。
【0057】上記した第2の例、第3の例、第4の例に
おいて、バンドギャップEgの薄膜層とバンドギャッ
プEgの薄膜層(Eg<Eg)が交互に積層され
て形成された量子井戸層54,74,94としては、例
えば、III−V族化合物半導体であるGaAs/Al
GaAsの積層構造が用いられる。この場合、GaAs
のバンドギャップEgはAlGaAsのバンドギャッ
プEgよりも小さく、電子および正孔はGaAs層内
に閉じ込められ、種々の量子効果を示し、室温励起子を
形成する。GaAs層内での励起子のボーア半径は約1
20オングストロームであることから、量子効果を利用
した光変調素子を形成するためには、GaAs層の厚さ
は120オングストローム程度以下であることが望まし
い。
【0058】また、使用する光の波長に応じて、他の材
料も用いられる。例えば、波長0.92〜1.06μm
の波長帯用の量子井戸層材料の一例としては、InGa
As/GaAsの積層構造がある。この場合、InGa
AsのバンドギャップEgはGaAsのバンドギャッ
プEgよりも小さく、電子および正孔はInGaAs
層内に閉じ込められ、種々の量子効果を示し、室温励起
子を形成する。InGaAs/GaAs積層構造は歪系
であり、その臨界薄膜はInGaAs組成や結晶成長条
件に依存し、100〜900オングストローム程度であ
ること、さらにInGaAsのバンドギャップEg
GaAsのバンドギャップEgの差からInGaAs
層の厚さを50オングストローム以下にすると電子およ
び正孔の閉じ込めが弱まり、光変調素子を形成するため
に十分な量子効果が得られなくなること等を考慮する
と、InGaAs層の厚さは50〜120オングストロ
ーム程度、望ましくは80〜100オングストローム程
度とする必要がある。
【0059】量子構造内への電子および正孔の閉じ込
め、および室温励起子の形成という観点より、バンドギ
ャップEgの薄膜層とバンドギャップEgの薄膜層
(Eg<Eg)により形成される量子構造におい
て、両層のバンド構造の、伝導帯のエネルギー差は少な
くとも8meV、価電子帯のエネルギー差は少なくとも
4meV程度以上存在することが必要であり、良好な光
変調という点からは伝導帯のエネルギー差は50meV
以上でることが望ましい。さらに、何れの場合において
も、室温励起子の形成のためにバンドギャップEg
薄膜層内に形成される基底量子準位(第1量子準位)エ
ネルギーEgはバンドギャップEgの薄膜層の伝導
帯のエネルギー底部Egよりも小さいことが必要であ
る。
【0060】上記本発明によって得られたの第1〜第4
の例に示される共振型面型光変調素子において、第1導
電型クラッド層、および第2導電型クラッド層の層厚に
は、特に制限はないものの、積層面内にて均一に、かつ
効率良くi型層に電界を印加するという観点から、50
0オングストローム以上であることが好ましい。また、
上記本発明によって得られた共振型面型光変調素子にお
いて、第1導電型下部ブラッグ反射層を、反射層と同時
に第1導電型クラッド層として機能させ、積層構成から
第1導電型クラッド層を省略することも可能である。
【0061】上記のように本発明によって得られた共振
型面型光変調素子において、素子は、入力光に対して、
基板面に略垂直な方向に形成された共振器として動作す
る。このような動作をする限りにおいて、形成される波
長調整層の層厚に特に制限はないものの、共振器内での
光変調層の有効体積比を大きくし、高効率の光変調を行
なうという観点から、波長調整層の層厚は、波長調整層
内部における入力光の媒質内波長が1波長以下となるよ
うに形成されることが望ましい。
【0062】上記本発明によって得られた実施の例に示
されるような共振型面型光変調素子の形成に用いる材料
としては、III−V族化合物半導体であるGaAs,
AlGaAs,AlGaInP,InP,InGaAs
P,InGaP,InAlP,GaAsP,GaN,I
nAs,InAsP,InAsSb等、II−VI族化
合物半導体であるZnSe,ZnS,ZnSSe,Cd
S,CdSe,CdSSe,CdTe,HgCdTe
等、IV−VI族化合物半導体であるPbSe,PbT
e,PbSeTe,PbSnTe等、あるいはSi,G
e,SiGe等の半導体がある。また、同様の機能を有
する有機材料等も使用可能である。本発明によって得ら
れた共振型面型光変調素子に関して、上記に記載されて
いる各条件を満たしながら使用する光の波長や、その波
長での各材料の屈折率等により、目的とする特性の共振
型面型光変調素子の実現に最も適する材料が選択される
のである。
【0063】また、本発明によって得られた実施の例に
示される屈折率の異なる2種類以上の積層構造により構
成されるブラッグ反射層は、例えば屈折率の異なる2種
類の薄膜を交互に積層した構造により形成される。各層
の厚さは、使用する光の、各層内での波長の1/4に相
当する厚さ、もしくはその整数倍の厚さに形成され、2
種類の薄膜の屈折率差と構成層数により所望の反射率が
得られる。例えば、本発明によって得られた第1の例に
示される共振型面型光変調素子では、下部ブラッグ反射
層として各層の厚さが、各層内での入射光波長の1/4
に相当する厚さのGaAs/AlGaAsの積層構造等
も用いられる。また、上部ブラッグ反射層としては、T
iO/SiO積層構造が用いられているが、これら
の材料の他に例えば、GeO,CdS,ZnS,Ca
,LiF,MgF等を用いた同様の積層構造を用
いることも可能であり、素子の使用目的に応じて、これ
らの材料の中から最適なものが選定される。さらに、実
質的に機能が同一であれば、ブラッグ反射層の代わりに
金属薄膜による反射層等を用いることも可能である。
【0064】さらに、上記第1〜第4の例において、メ
サ形状形成のために、量子構造を基板面に対して略垂直
な方向に加工するエッチングには、ウエットエッチング
やドライエッチングの手法が適用されるが、加工形状や
加工寸法の微細度、および加工密度等の要求に応じて、
それに適する何れかの手法、もしくは両者の手法が用い
られる。
【0065】上記の第2の例、第3の例、第4の例にお
いて、光変調層内に量子井戸層が用いられているが、こ
れに限らず量子効果を示す量子細線、量子箱等を光変調
層内に用いることが可能である。量子細線や量子箱で
は、電子や正孔に対する閉じ込めの次元が上がるため、
量子効果がより顕著になり、励起子の束縛エネルギーが
増加し、光学的非線形性が増大する。このため、このよ
うな構造を光変調層内に用いた共振型面型光変調素子で
は、より高効率高変調度の光変調を行なうことが可能で
ある。以上の第1〜第4実施例において示される共振型
面型光変調素子では各素子を1次元アレイ状、もしくは
2次元アレイ状に配置し、例えば空間変調素子等として
動作させることも可能である。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、共振波
長調整層形成時において、共振波長をモニターしながら
製造するので、素子の共振波長が設計値と一致しないこ
とが判明した場合、共振波長調整層により共振波長を調
整することが可能となり、再現性良く、高い歩留りにて
実用に供される共振型面型光変調素子を実現することが
可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の共振型面型光変調素子を説明するた
めの概略断面図である。
【図2】この発明の共振型面型光変調素子の動作時の電
界吸収効果による吸収端波長と共振器の共振波長の関係
を示す図である。
【図3】この発明の共振型面型光変調素子を説明するた
めの概略断面図である。
【図4】この発明の共振型面型光変調素子の動作時の、
量子構造による励起子吸収波長と共振器の共振波長との
関係を示す図である。
【図5】この発明の共振型面型光変調素子の第1の例を
示す概略断面図である。
【図6】この発明の共振型面型光変調素子の第2の例を
示す概略断面図である。
【図7】この発明の共振型面型光変調素子の第2の例の
特性を示す図である。
【図8】この発明の共振型面型光変調素子の第3の例を
示す概略断面図である。
【図9】この発明の共振型面型光変調素子の第4の例を
示す概略断面図である。
【図10】従来の共振型面型光変調素子を示す概略図で
ある。
【図11】ファブリー・ペロー(fabry-Perot)共振器のモ
デルを示す概略図である。
【符号の説明】
31,51,71,91 n−GaAs基板 32,52,72,92 n−GaAs/AlAsブ
ラック゛反射層 33,53,73,93 n−GaAsクラッド層 34 i−InGaAs層 54,74,94 InGaAs/GaAs量子井戸
層 35,55,75,95 p−GaAsクラッド層 36,56,76,96 波長調整層 37,57,77,97 上部ブラック゛反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−58015(JP,A) 特開 平3−188415(JP,A) 特開 平4−204833(JP,A) 国際公開91/16748(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/01 - 1/017 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、下部反射構造と、少なくとも外
    部信号により光学的特性が変化する層を備えた光変調層
    と共振波長調整層とを有する共振器媒質層と、上部反射
    構造により形成される共振型面型光変調素子の製造方法
    であり、前記波長調整層を形成する前の光変調層の層厚
    の総和を、最終的な共振型面型光変調素子に要求される
    共振波長よりもわずかに短波長になるように形成し、前
    記波長調整層形成時に、前記下部反射構造と、形成され
    つつある前記波長調整層表面間において得られる弱い共
    振器の共振波長を検出し、その共振波長が最終的に要求
    される所定波長となった時点で、前記波長調整層の形成
    を終了することを特徴とする共振型面型光変調素子の製
    造方法
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