JP3259860B2 - アルブミン結合ビリルビンの除去装置 - Google Patents

アルブミン結合ビリルビンの除去装置

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JP3259860B2
JP3259860B2 JP29402892A JP29402892A JP3259860B2 JP 3259860 B2 JP3259860 B2 JP 3259860B2 JP 29402892 A JP29402892 A JP 29402892A JP 29402892 A JP29402892 A JP 29402892A JP 3259860 B2 JP3259860 B2 JP 3259860B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血漿中のアルブミンと
結合したビリルビンを効率よく吸着除去する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】肝疾患の末期の症状として見られる肝不
全では、一般に血漿中のビリルビン濃度が著しい高値を
示す。そのため肝不全の治療の目的で、活性炭を充填し
た容器に患者血液や血漿を通液して、患者血漿中のビリ
ルビンを吸着する血液浄化療法が広く行われている。し
かし活性炭を用いる血液浄化療法は、ビリルビンの吸着
能力が低く、吸着能力をいかに高めるかが重要な課題で
あった。
【0003】一方、表面に塩基性官能基を有する水不溶
性多孔体からなる吸着剤が上記活性炭に比べて、ビリル
ビンに対する吸着選択性がより高く、且つビリルビンの
吸着能力も優れているため、血漿浄化用の吸着療法の分
野においてビリルビンの吸着剤として広く利用されてい
る(例えば特開昭54−135497号、特開昭55−
106165号)。しかしビリルビン吸着能力の点で満
足いくものではなく、更に吸着能力を高めることが強く
望まれている。
【0004】血漿中のビリルビンにはアルブミンとの結
合型と非結合型とが存在することが知られている。結合
型のビリルビンに対してアルブミンとの結合を弱め或い
は解離させた後、活性炭でビリルビンを吸着することに
よって、総ビリルビンの吸着除去性を高めようとする試
みが為されている。例えば、浄化する血漿に予め安息香
酸をアルブミンからのビリルビンの解離剤として添加し
ておき、その後該血漿を、活性炭を吸着剤として用いて
ビリルビンを吸着することによって、活性炭に対するビ
リルビンの吸着性を高めようとする試みがある(Tra
ns Am Soc Artif Intern Or
gans,34巻、585−589頁、1988年)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】活性炭は多くの低分子
量化合物の吸着性に優れている。このため活性炭でビリ
ルビンを吸着するに際し、血液中に予め安息香酸を加え
る試みでは、活性炭が安息香酸自体を大量に吸着してし
まう問題点があった。安息香酸をアルブミンからのビリ
ルビンの解離剤として予め血液中に添加することによっ
て、活性炭に対すビリルビンの吸着能力が高まるもの
の、同時に、添加した安息香酸も、活性炭と接触すると
直ちに吸着除去されてしまう。安息香酸はアルブミンと
反応して結合する事によって、アルブミンからビリルビ
ンを遊離させ、ビリルビンの活性炭への吸着が促進さ
れ、その結果活性炭に対する吸着能力が高まるものと考
えられるが、添加した安息香酸のアルブミンとの結合は
活性炭によって阻害され、アルブミンからのビリルビン
の遊離に効率よく作用していない。このため上記試みで
は予め活性炭を安息香酸で前処理して、安息香酸を大量
に吸着させることが行われている。しかし活性炭を安息
香酸で前処理することはその分活性炭の総吸着能力を大
幅に低下させ、また経済的に問題があり且つ操作も煩雑
である。
【0006】更に活性炭は低分子量物質の非特異的吸着
剤としては優れてはいるものの、血液または血漿浄化用
のビリルビンの選択吸着剤としては、選択性とビリルビ
ンの総吸着能力の点で不十分であった。なるほど安息香
酸を予め血漿中に添加することによって吸着能力が高ま
るものの、更に優れたビリルビンの吸着能力が要望され
ており、且つ吸着選択性の点では全く改善されていな
い。表面に塩基性官能基を有する吸着剤は、ビリルビン
に対する吸着の選択性と総吸着能力の点で活性炭より優
れてはいるものの、特に吸着能力の点で更に高性能化が
強く求められている。本発明の目的は、吸着の選択性に
優れ、且つ血漿中のビリルビンを従来よりはるかに効率
よく吸着除去できる、安全な血液循環、処理方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
点の無い、除去能力の点で更に優れたビリルビンの除去
方法を確立すべく、鋭意研究した結果、本発明を成すに
至った。即ち、本発明は、血漿供給用の血漿溜(8)又
は血漿分離器(5)と、血漿ポンプ(6)と非活性炭系
のビリルビン除去手段(1)と解離剤除去手段(2)と
を、上流から下流に向ってこの順に配置した血漿流路を
具備し、血漿ポンプ(6)と非活性炭系のビリルビン除
去手段(1)との間の血漿流路に、解離剤溜(3)と解
離剤混合用ポンプ(4)をもつ、解離剤供給流路が連結
されていることを特徴とするアルブミン結合ビリルビン
の除去装置
【0008】ここで言う遊離したビリルビンを除去する
手段とは、膜などを用いた分子サイズによる分離手段、
例えば濾過や透析等の他、吸着剤を用いた吸着による手
段が挙げられ、いずれの方法も使用できる。膜などを用
いた分子サイズによる除去手段は、ビリルビンの除去と
同時に用いた解離剤が活性炭による吸着に比べてゆっく
りと除去できる点有用であるが、ビリルビンよりも低分
子量の有用物質まで除去されてしまう欠点がある。それ
ゆえ膜法に比べてビリルビンに対する選択性が高く、有
用な低分子量物質の除去がないこと、取扱い性に優れて
いること、補液が不要であること等より、吸着剤による
方法がより好ましい。
【0009】解離剤は粉末、粒子状などの固形状態でも
使用できるが、血液または血漿と混合する際、溶液状態
であることがより十分混合できる点で好ましく、更に綿
実油など油性のものも使用できるが血漿蛋白質や血球成
分など生体成分への影響が無い点で水溶液であることが
より好ましい。血漿に対する解離剤を溶解した液(解離
液)の混合量は、蛋白質などの血漿成分の希釈を避ける
ため血漿量の1/2容量以下である事が好ましく、より
好ましくは1/5容量以下である。希釈を避ける目的に
は添加する解離液の量は少なければ少ないほど好ましい
が、血液浄化療法では血液または血漿を還流する過程で
血液や血漿を滞留させることなく解離液と十分に混合す
る事が必要である。血液または血漿に対する解離液の量
が少なすぎると解離剤の混合が十分に行われないことが
あった。このため混合する解離液の量は血漿量の1/1
00容量以上である事が好ましく、より好ましくは1/
50容量以上である。血漿への解離液の混合は断続的に
実施する事も可能であるが、より均一に混合できる点
で、解離液を連続的に投与、混合する事が望ましい。
【0010】解離剤の混合量は、少なすぎると十分な効
果が得られず、多ければそれだけ高い効果が得られるも
のの多くの解離剤が必要になり経済的に望ましくない。
また吸着処理後の血漿中の解離剤の残存量も少ない方が
一般に望ましい。本発明者らの研究では、血漿との混合
後の解離剤の濃度が1mM以上であることが好ましかっ
た。より好ましくは4mM以上であり、更に好ましくは
10mM以上であった。上限は100mM以下であるこ
とが好ましい。より少ない解離剤量で高い効果が得られ
ることがよく、よって10mM以上50mM以下の解離
剤濃度が最も好ましい。
【0011】本発明の除去装置は、全血中の血漿に対し
ても適用し得るが、公知のビリルビン吸着剤のビリルビ
ン吸着能力を考慮すれば遠心分離法や膜分離法によって
予め全血から分離した血漿に対して適用する事が好まし
い。即ち、この時血漿分離後の血球側の血漿への解離剤
の混入をなくせること、解離剤の使用量を減らせるこ
と、及び解離剤の混合の均一性を高められることより、
血球成分を除いた後の血漿中に解離剤を混合する事がよ
り好ましい。血漿の分離方法としては経済性の点及び血
球成分の混入が無い点で、膜分離法が好ましい。図1の
ようにポンプ7により血漿分離器5に送られた全血を血
漿と血球に分ける。血漿分離膜5とビリルビン吸着剤1
の間で、血漿に解離剤3を連続的に注入する事によって
血漿と解離剤を混合する方法が特に好ましい。血漿に解
離剤を混合する方法は、血漿の淀みや抵抗を無くすため
血漿流路に対して側面より解離剤を混入させて混合する
事がよく、或いは血漿溜での血漿の滞留時間が1分以下
であるとき、血漿は滞留による凝固を起こさず、よって
該血漿溜を設けて、この血漿溜にて解離剤と混合するこ
とも好ましい。
【0012】膜分離法では採取血漿量の制御のために、
膜分離器5の血漿出口とビリルビン吸着剤入口との間に
血漿ポンプ6を用いることがある。この時は解離剤の混
入部位13は血漿ポンプの吸着剤側、即ち血漿ポンプの
出口側に設けることが、解離剤の過剰な注入の危険性を
回避できる点で好ましい。
【0013】血漿中のアルブミン・ビリルビン複合物と
解離剤とは、血漿と解離剤とを混合した後、一定時間混
合状態を継続することが必要であるが、この混合と遊離
したビリルビンの除去とは同一の装置の中で同時に行わ
れても良い。本発明者らの研究によると、解離剤とアル
ブミン・ビリルビン複合物との混合後、直ちにビリルビ
ン吸着剤へのビリルビンの吸着の点で良好な効果が得ら
れるのではなく、一定の反応時間が必要であった。血漿
と解離剤との混合液とビリルビン吸着剤との反応開始時
より徐々に吸着能力は上昇し、約5分で一定になった。
解離剤とアルブミン・ビリルビン複合物との反応開始
後、該混合液とビリルビン吸着剤との反応終了までの時
間は、30秒以下では十分な効果が得られず、1分以上
である事が好ましかった。血漿と解離剤とを混合後、ビ
リルビン吸着剤との反応終了までを5分以上かけること
が特に好ましかった。時間の上限の限定は特に不要であ
り、血液の長時間の滞留を起こさなければいずれであっ
ても良い。
【0014】本発明で用いられる解離剤は、アルブミン
とビリルビンの結合強度を減弱させ得るものであれば、
いずれであっても用いることができるが、好ましい例と
しては、血漿中で陰性電荷を有する化合物や、疎水性結
合を弱めるカオトロピック物質として知られる化合物な
どがあげられる。血漿中で陰性電荷を有する化合物の中
では1分子中に疎水性部分と陰性荷電とを共に有する例
えば脂肪酸や芳香族酸等の化合物がより好ましい。これ
らの具体例をあげると、安息香酸、フタル酸、フェノー
ル、スチレンスルフォン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、マロン酸、クエン酸、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン、チオシアン酸
ナトリウムなどがあげられる。更に、アスピリン、フェ
ニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、ケトフェニル
ブタゾン、メフェナミック酸、フルフェナミック酸、イ
ブフェナック、イブプロフェン、アルクロフェナック、
ケトプロフェン、インドメタシン、クリダナック、ハイ
ドロコーチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ス
ルフィゾキサゾール、スルファメトキサゾール、スルフ
ァメチゾール、ゲンタマイシン、リンコマイシン、ベン
ジルペニシリン、ビブメシリナム、セフォティウム、ワ
ーファリン、トルブタマイド、フェニトインなどの非ス
テロイド系抗炎症剤、抗生物質、サルファ剤、抗凝血
薬、経口血糖低下薬、抗てんかん薬、更にはバソフラビ
ン、インドシアナングリーン、インジバマイド、プロモ
クレゾールグリーン、フラバスピディック酸、フェノー
ルレッドなどの色素もあげられる。この中でビリルビン
遊離の点で特に好ましい例としては安息香酸、メフェナ
ミック酸、フルフュナミック酸、イブフェナック、クリ
ダナック、プロピレングリコール、チオシアン酸ナトリ
ウムなどである。
【0015】本発明の血漿中のアルブミン・ビリルビン
複合物でいうアルミンとは、メルカプトアルブミンや
ノンメルカプトアルブミン、グリコシレイトアルブミン
など種々の生体内変異を受けたアルブミンを含む。また
ビリルビンとはグルクロン酸包合、非包合などがあげら
れる。アルブミンとビリルビンとの結合様式はイオン結
合及びまたは疎水結合であって共有結合しているものは
除く。
【0016】本発明者らの研究によると、ビリルビンと
解離剤とでは吸着する吸着剤上の細孔径が大きく異なっ
ていることがわかった。解離剤は吸着剤の全細孔径で吸
着されるのに対して、ビリルビンはより大きな細孔径で
解離剤等と競合的に吸着される。そこでビリルビンが進
入できないため吸着しない、径の小さな細孔の表面積を
小さくし、ビリルビンが吸着できる細孔の表面積を多く
することがビリルビン吸着剤に好適なのである。特にビ
リルビンは細孔径が100Å以上の細孔で吸着される
が、解離剤は細孔径100Å以下の細孔で特によく吸着
される。活性炭は細孔径200Å以下、特に100Å以
下の細孔の表面積が非常に多く、よって活性炭では解離
剤が速やかに吸着され、解離剤の効果が得られないので
ある。
【0017】ビリルビン吸着剤として好適な吸着剤は、
細孔径が200Å以下の細孔の表面積が10m2 以下で
あることが、解離剤を殆ど吸着せず好ましく、特に径が
100Å以下の細孔の表面積が5m2 /ml以下である
ことがより好ましい。またビリルビン吸着能力の点よ
り、平均細孔径が100Å以上、より好ましくは400
Å以上であり、この時全細孔表面積が1m2 /ml以
上、好ましくは2m2 /ml以上、更に好ましくは10
2 /ml以上であり、20m2 /ml以上であること
が最も好ましい。特に全細孔表面積に対する細孔径20
0Å以上2,000Å以下の細孔表面積の割合が10%
以上であることが好ましく、30%以上であることがよ
り好ましい。特に50%以上であるとき最も好ましい。
【0018】ビリルビン吸着剤はビリルビンを疎水的相
互作用或いは静電的相互作用の何れの作用によって吸着
するものであっても良い。静電的相互作用は疎水的相互
作用に比べて、表面よりより遠くまで作用効果が及ぶた
めより好ましい。本発明者らの研究によると、特に、添
加された安息香酸などの解離剤がビリルビン吸着剤に吸
着せずに効率よくアルブミンと反応してビリルビンを遊
離する点で、水不溶性多孔体表面に塩基性官能基を有す
る吸着剤が非常に優れていることがわかった。
【0019】ビリルビン吸着剤を用いて血漿中からビリ
ルビンを吸着除去する際に最も汎用される抗凝固剤はヘ
パリンである。しかしヘパリンは分子中に酸性官能基を
有するため、ビリルビン吸着剤の塩基性官能基に静電的
に吸着する問題点があった。ヘパリンは種々の分子量の
ものの混合物であるため、特定の孔径で完全に排除でき
るとは考えにくいが、ヘパリンは高分子量の方が抗凝固
作用が高いと考えられ、低分子量のヘパリンを一部吸着
しても、高分子量のものを吸着しない細孔径にすること
は実用上好ましい。
【0020】本発明者らの研究によると細孔の孔径が
1,000Å以上、特に2,000Åを超えるとビリル
ビンの吸着能力は高いが同時にヘパリン吸着もまた高く
なることが分かった。そこで本発明に用いるビリルビン
吸着剤は平均細孔径が先のヘパリンの吸着速度を下げら
れる点より2,000Å以下である事が望ましく、より
好ましくは1,600Å以下であることが良い。平均細
孔径の最も好ましい上限は1,200Åである。この時
細孔径は100Å以上2,000Å以下の細孔の表面積
に対する、孔径が2,000Å以上80,000Å以下
の細孔の表面積の割合が40%以下であることが好まし
く、より好ましくは20%以下であった。同じくビリル
ビン吸着能力とヘパリンの非特異吸着の点より、細孔体
積を基準とした時の微分細孔分布において微分値が最大
となるところの細孔径をモード径とするとき、100Å
以上であり、より好ましくは500Å以上である。この
時上限は5,000以下、好ましくは2,000Å以
下、より好ましくは1,600Å以下、更には1,20
0Å以下である。
【0021】解離剤とヘパリン吸着を抑え、高いビリル
ビン吸着効果が得られる点より、表面積はできるだけ孔
径100Å以上2,000Å以下の細孔に集中している
ことがよく重要な要件である。全細孔表面積に対する孔
径100Å以上2,000Å以下の細孔表面積の割合で
示す時、10%以上が好ましい。更に好ましくは30%
以上であり、特に好ましくは50%以上である。細孔の
分布を体積基準で示すと、孔径100Å以上2,000
Å以下の細孔の体積が60Å以上80,000Å以下の
全細孔体積の30%以上、より好ましくは40%以上、
更に好ましくは50%以上であることが良く、更に孔径
2,000Å以上80,000Å以下の細孔体積が60
Å以上80,000Å以下の全細孔体積の50%以下で
あること、更には40%以下であることがよい。この時
孔径100Å以上2,000Å以下の細孔の体積に対す
る孔径2,000Å以上80,000Å以下の細孔体積
の割合は120%以下、好ましくは100%以下がよ
い。
【0022】多孔体の表面積の測定法としては物理吸着
法、浸漬熱法、透過法、化学吸着法等があるが、多孔体
の細孔径や細孔体積の分布測定に用いられる水銀圧入法
によつても求められる。水銀圧入法は細孔径毎の表面積
が得られ有用である。ここで60Å以下の細孔は水銀圧
入法では正確な測定が困難であること、及び80,00
0Åを超える細孔は表面積が極端に少なく実質的に吸着
への影響が無視できることより、孔径が60Å以上8
0,000Å以下のものを細孔として扱った。
【0023】ここで言う細孔はできるだけ実用時に近い
状態での値であることがよく、表面に被覆層を有する場
合は、被覆処理後の値を言う。また、水銀圧入法での測
定時の乾燥処理によって形状が変わる場合は、粒子径の
変化を測定し、表面積は粒子径の変化率の2乗、細孔体
積は粒子径の3乗倍して補正することとした。即ち、粒
子径が1/X倍となった時、表面積は1/X2 倍、細孔
体積は1/X3 倍となったとする。具体的にはみかけ比
重と膨潤率による補正を必要に応じて実施する。
【0024】本発明では血漿と解離剤との混合液よりビ
リルビンを除去した後、血漿中より解離剤を除去する手
段を講じる事が、血球成分その他生体成分への解離剤の
影響を回避するためより望ましい。解離剤の除去方法と
しては、解離剤が低分子量物質であることより膜を用い
て濾過或いは透析などの方法によって除去することが可
能であるが、特に解離剤の吸着性に優れた他の吸着剤を
用いることが、補液が不要であるなどの点で好ましい。
【0025】解離剤の吸着剤は細孔径が200Å以下の
細孔表面積が10m2 以上であることが、解離剤の吸着
能力の点で好ましい。この時100Å以下の細孔表面積
が5m2 以上であることがより好ましい。特に細孔径が
200Å以下の細孔表面積が20m2 以上であり、更に
100Å以下の細孔表面積が10m2 以上であることが
最も好ましい。また血漿蛋白など解離剤以外の物質の非
特異吸着を減らし、解離剤に対する吸着の選択性を上げ
る点で、全細孔表面積に対する細孔径200Å以下の細
孔の割合が50%以上が好ましく、特に80%以上が最
も好ましい。或いは全細孔表面積に対する細孔径100
Å以下の細孔の割合が30%以上が好ましく、特に50
%以上がより好ましい。
【0026】解離剤の吸着剤には上記物理構造を有する
吸着剤であれば、疎水的相互作用など物理吸着や静電的
相互作用による吸着など何れの吸着剤も使用できるが、
特に疎水性表面を有する多孔質材料や活性炭のような炭
化表面を有するものが好適である。このうち活性炭は低
分子量化合物の非常に優れた吸着剤であり、小量の活性
炭で用いた解離剤を効率よく吸着できるため有用であ
る。ここで用いる量はビリルビン吸着に活性炭を用いる
場合に比べて小量でも良いため、活性炭の問題であった
非特異吸着性は軽減でき、回避できるようになる。
【0027】この解離剤を除去する手段はビリルビンを
除去する手段の後に行われればいずれの位置であっても
良いが、あらかじめ血球成分と血漿とを分離した後の血
漿よりビリルビンを除去し、且つ再度血球成分と混合す
る場合は、解離剤の除去効率が高いこと、解離剤の血球
成分への影響を回避できることより、血球成分との混合
前に実施することが好ましい。また血漿がビリルビン吸
着剤と接触した後に解離剤の吸着剤と接触する構造であ
れば、ビリルビン吸着剤と解離剤の吸着剤とは別々の容
器に充填されていてもよく、或いは同一の容器に例えば
層状に充填されていても良い。
【0028】ビリルビン吸着剤が表面に有する塩基性官
能基とは、アミン類、及びアミン誘導体等が含まれ、3
級アミン及び4級アンモニウム基があげられ、いずれで
あっても良いが、好ましい例としてはpKaが4.0以
上のものがあげられる。塩基性官能基は、水不溶性多孔
体を構成する高分子鎖の側鎖に存在する必要は必ずしも
なく、主鎖を形成するものでも良い。しかし、水不溶性
多孔体に塩基性官能基を側鎖として導入する方が製造上
容易である。
【0029】このビリルビン吸着剤が有する塩基性官能
基の量、即ちイオン交換容量(中性塩分解法による測
定)は、小さいと血液または血漿浄化用のビリルビン吸
着剤として実用的な能力が乏しく、またイオン交換容量
が大きすぎると、非選択的な吸着がやや増加する傾向に
ある。このため好ましいイオン交換容量は、0.01m
eq/mlから100meq/mlであり、より好まし
くは、0.1meq/mlから50meq/mlの範囲
が最も望ましい。
【0030】ビリルビン吸着剤を構成する水不溶性多孔
体とは、無機化合物、有機化合物を問わないが、温水に
対する溶出物が少ないこと、多孔体の細孔の制御がより
容易且つ精密にできることより、有機高分子が好まし
い。特に塩基性官能基が導入できる多孔体が好ましい。
このような例としては、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリメタクリレートエステル、ポリアクリレートエ
ステル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等のビ
ニル系化合物の重合体及び共重合体、ナイロン6或いは
66等のポリアミド系化合物、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系化合物、セルロース等の植物由
来の多糖類系化合物等を例示することができる。
【0031】本発明において用いられる塩基性官能基が
導入できる多孔体の材料は、塩基性官能基が0.01m
eq/ml以上導入できれば良く、以上に限定されるも
のではない。例示した中では、重合の容易さ、塩基性官
能基の導入の容易さより、ビニル系化合物の重合体及び
共重合体がより好ましく用いられる。このような例とし
ては、スチレン、メチルスチレン、ジフェニルエチレ
ン、エチルエチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタ
リン、ビニルフェナントレン、ビニルメシチレン、3,
4,6−トリメチルスチレン、1−ビニル−2−エチル
アセチレン等の炭化水素化合物:クロルスチレン、メト
キシスチレン、ブロムスチレン、シアノスチレン、フル
オルスチレン、ジクロルスチレン、N,N−ジメチルア
ミノスチレン、エトロスチレン、クロルメチルスチレ
ン、トリフルオルスチレン、トリフルオルメチルスチレ
ン、アミノスチレン等のスチレン誘導体:アクリロニト
リル、α−アセトキシアクリロニトリル等のアクリロニ
トリル誘導体:アクリル酸、メタクリル酸:アクリル酸
メチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸クロルメチ
ル、アセトキシアクリル酸エチル等のアクリル酸エステ
ル:メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル
酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ヒドロキシエ
チル等のメタクリル酸エステル:マレイン酸ジエチル、
フマル酸ジエチル:メチルビニルケトン、エチルイソプ
ロペニルケトン等のビニルケトン、塩化ビニリデン、臭
化ビニリデン、シアン化ビニリデン等のビニリデン化合
物:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−プトキシ
メチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエ
チルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体:酢酸ビ
ニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル
誘導体:チオメタクリル酸フェニル、チオアクリル酸メ
チル、チオ酢酸ビニル等のチオ脂肪酸誘導体:更にN−
ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルフタルイミド、N−ビニルカルバゾールビニルフラ
ン、2−ビニルベンドフラン、ビニルチオフェン、ビニ
ルイミダゾール、メチルビニルイミダゾール、ビニルピ
ラゾール、ビニルオキサゾリドン、ビニルチアゾール、
ビニルテトラゾール、ビニルピリジン、メチルビニルピ
リジン、2,4−ジメチル−6−ビニルトリアジン、ビ
ニルキノリン等の異節環状ビニル化合物がある。
【0032】本発明のビリルビン吸着剤の構成単位とな
る架橋重合性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビ
ニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタリ
ン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルフェナントレ
ン、トリビニルベンゼン、ジビニルジフェニル、ジビニ
ルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフイド、
ジビニルジフェニルアミン、ジビニルスルホン、ジビニ
ルケトン、ジビニルフラン、ジビニルピリジン、ジピリ
ルキノリン、ジ(ビニルピリジノエチル)エチレンジア
ミン、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル
酸ジアリル、コハク酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ
酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、セバシン酸ジアリ
ル、酒石酸ジアリル、ジアリルアミン、トリアリルアミ
ン、リン酸トリアリル、トリカルバリル酸トリアリル、
アコニット酸トリアリル、クエン酸トリアリル、N,N
−エチレンジアクリルアミド、N,N−エチレンジメタ
クリルアミド、N,N−メチレンジメタクリルアミド、
エチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチルプロパン
トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,5−ト
リアクリロイルヘキサヒドロー1,3,5−トリアジ
ン、ジアリルメラミン等が含まれる。
【0033】この中で、化学的に安定で、且つ容易に官
能基を導入させるには、スチレン系の重合体及び上記ビ
ニル化合物との共重合体がより好ましく用いられる。更
に、スチレン系化合物の重合体及び上記ビニル化合物と
の共重合体が、70重量%以上含有するものが、本発明
のビリルビン吸着剤に用いられる材料としては、より好
ましい結果を与える。例えば、スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体では、スチレン、エチルベンゼン、ジビニ
ルベンゼン及びトルエン、オクタノール及びAIBN
(アゾビスイソブチロニトリル)共存化のもとで攪拌す
ることにより、球形の50μmから1,000μm程度
の多孔体粒子をつくることが出来る。また、懸濁重合系
でのラジカル重合によっても、各種粒子径、孔径の粒子
を作ることが出来る。
【0034】ビリルビン吸着剤表面は血液との親和性を
よくするために、親水性の、血小板の付着を制御するた
めの重合体からなる被覆層を、本ビリルビン吸着剤の血
球と接触する表面に有していても良い。親水性被覆層は
血液適合性を上げることが本来の目的であり、血液適合
性の程度を示すことが必要であるが、血液の安定入手が
困難であること、血液間差があることなどより、共通の
安定した評価は困難である。親水性の程度は簡便に表現
できる。あえて親水性の程度の好ましい範囲を示せば、
水中におけるシート状或いはフィルム状にした固体表面
上の空気泡の25℃での接触角で20度以上である。
【0035】親水性被覆層は使用中の剥離を防ぐために
重合体であることが望ましい。親水性被覆層の具体例を
あげると、重合体単位を単量体としての名前で例示すれ
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、グリ
セロールモノメタクリレート、などのアクリル酸或いは
メタクリル酸及びその誘導体、メトキシトリエチレング
リコールなどメトキシポリエチレングリコール類、ジエ
チルアミノエチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ヒド
ロキシメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルア
ミン、ビニルアルコールなどのビニル基を有する単量
体、セグメント化ポリウレタン、セグメント化ポリエス
テル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッ
ドフォスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドフォスフェート等のいずれかの単量体1種
以上を含む重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合
体や、ポリエチレンオキサイド鎖を有する単量体と他の
重合単量体のようなグラフト共重合体等が例示できる。
特に重合体中にヒドロキシル基を有していることが好ま
しい。ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特
に制限はない。
【0036】重合体は、上記重合体単位の単独重合体で
あっても良く、或いは二つ以上の共重合体であっても良
い。また塩基性官能基を持つ重合体単位を0.1から2
0重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単位との
共重合体であっても良い。これら重合体は線状重合体、
グラフト重合体、架橋重合体などの重合形態には特に関
係は無い。
【0037】重合体の被覆層は、グラフト法や沈殿法、
コーティング法、多孔体表面の官能基を利用した共有結
合法など、いずれによって得られるものであっても良
い。この中でも特にコーティング法が製造操作が容易で
あり、実用上好ましい。
【0038】ビリルビン吸着剤の形状としては、球状、
粒状、糸状、中空糸状、平膜状等いずれも有効に用いら
れるが、血漿循環時の血漿の流通面より球状または粒状
が最も好ましく用いられる。球状または粒状の平均粒径
は、10μmから2500μmのものが使いやすいが、
25μmから1,000μmの範囲が好ましく、より好
ましくは50μmから600μmである。
【0039】
【発明の効果】本発明の除去装置は、血漿中に添加した
解離剤は効率よくアルブミンに反応してビリルビンを遊
離するため、ビリルビンを従来よりはるかに効率よく吸
着除去でき、吸着の選択性にも優れ、且つ解離剤使用の
経済性の点でも非常に優れた装置である。
【0040】
【実施例1】ビリルビン吸着剤1として表面に4級アン
モニウム基を有する吸着剤が充填されたプラソーバBR
−350、活性炭が吸着剤として充填されたプラソーバ
N−350(いずれも旭メディカル社製)を解離剤の吸
着剤2として用いて、図2のように血液回路で接続し
た。表面に4級アンモニウム基を有する吸着剤は水銀圧
入法で、平均孔径137Å、全細孔表面積3.1m2
ml、細孔径100Å以下の表面積1.8m2 /ml、
細孔径200Å以下の表面積2.4m2 /ml、全細孔
表面積に対する細孔径200Å以上2,000Å以下の
細孔の表面積の割合10.2%であった。活性炭は水銀
圧入法で、平均孔径114Å、全細孔表面積26.2m
2 /ml、細孔径100Å以下の表面積16.3m2
ml、細孔径200Å以下の表面積23.7m2 /m
l、全細孔表面積に対する細孔径200Å以上2,00
0Å以下の細孔の表面積の割合9.4%であった。血漿
溜8より血漿ポンプ6によって肝不全患者血漿を流速2
0ml/分で流した。解離剤として安息香酸ナトリウム
を生理食塩液に1モル濃度に溶解し、解離液とした(解
離剤溜3)。血漿と解離液の比が50:1となるように
およそ0.4ml/分で肝不全患者血漿に解離液をポン
プ4により連続的に添加、混合(図中13)した。血漿
溜流開始100分後に以下のように血漿を採取して総ビ
リルビンと安息香酸ナトリウムのそれぞれの濃度を測定
した。総ビリルビン濃度はビリルビンBIIテストワコ
ー(和光純薬社製)を用いてアルカリアゾビリルビン法
によって測定した。また安息香酸ナトリウムはガスクロ
マトグラフィーにて測定した。
【0041】添加直後のサンプリング位置1(図中1
0)で血漿を採取し、総ビリルビン及び安息香酸ナトリ
ウム濃度を測定したところ、それぞれ22.4mg/d
l、17.9mMであった。安息香酸ナトリウムは十分
に混合されていた。プラソーバBR−350出口のサン
プリング位置2(図中11)で血漿を採取し、ビリルビ
ン及び安息香酸ナトリウム濃度を測定したところ、それ
ぞれ7.3mg/dl、18.7mMであった。ビリル
ビンの吸着率は67.4%と非常に高値であったが、一
方安息香酸ナトリウムの吸着はなかった。プラソーバN
−350出口のサンプリング位置3(図中12)で血漿
を採取し、ビリルビン及び安息香酸ナトリウム濃度を測
定したところ、それぞれ6.6mg/dl、7μM以下
であった。ビリルビンの吸着はほとんど見られず、安息
香酸ナトリウムは非常に良く吸着されていた。
【0042】
【実施例2】実施例1のプラソーバBR−350のビリ
ルビン吸着剤を用いて精製ビリルビン(和光純薬社)を
ウシ血漿に溶解した液に、安息香酸ナトリウムを60m
M、20mM、4mMの各濃度に添加後、この液3ml
に対して上記ビリルビン吸着剤を直ちに加えて静かに混
和後、5分間振盪してビリルビンを吸着させた。調製直
後の血漿中の総ビリルビン濃度が17.6mg/dlで
あったのに対して、ビリルビン吸着剤と5分間反応後の
安息香酸ナトリウムを60mM、20mM、4mM添加
及び無添加の各血漿中の総ビリルビン濃度はそれぞれ、
3.31mg/dl、5.85mg/dl、9.80m
g/dl、11.63mg/dlであり、安息香酸ナト
リウムを添加した血漿ではいずれの安息香酸ナトリウム
濃度でも高い吸着性を示した。
【0043】
【実施例3】解離剤としてチオシアン酸ナトリウムを用
いて実施例2と同様にして実施した。調製直後の血漿中
の総ビリルビン濃度が17.6mg/dlであったのに
対して、ビリルビン吸着剤と5分間反応後のチオシアン
酸ナトリウムを60mM、20mM、4mM添加後及び
無添加の各血漿中の総ビリルビン濃度はそれぞれ、9.
44mg/dl、10.71mg/dl、11.00m
g/dl、11.63mg/dlであり、チオシアン酸
ナトリウムを添加した血漿ではいずれのチオシアン酸
トリウム濃度でも高い吸着性を示した。
【0044】
【実施例4】トリメチルアンモニウム基を有するスチレ
ン・ジビニルベンゼン共重合体(東京有機化学社製、総
交換容量0.67mEq/ml)をビリルビン吸着剤と
して用いた。ビリルビン吸着剤の細孔孔径及びその分布
状態、表面積などの物性値は、水銀ポロシメーター(島
津製作所社製、マイクロメリティックス・ポアサイザ9
320)を用いて測定した。測定結果はポアプロットシ
ステム(島津製作所社製、9320−PC2(V1.
0))にて分析した。ビリルビン吸着剤の平均孔径は6
57Å、体積基準のモード径が1,646Å、全細孔表
面積が23.0m2 /ml、全細孔体積が0.377m
l/mlであった。また、細孔径100Å以下の細孔表
面積が5.0m2 、200Å以下が9.7m2 、200
Å以上2,000Å以下が12.1m2 、100Å以上
1,000Å以下の細孔体積が0.165ml/mlで
あり、孔径1,000Å以上80,000Å以下の細孔
の細孔体積が0.176ml/mlであった。この時、
孔径60Å以上80,000Å以下の全細孔表面積に対
する孔径100Å以上1,000Å以下の細孔の表面積
の割合は65.2%、孔径100Å以上1,000Å以
下の細孔の表面積に対する孔径1,000Å以上80,
000Å以下の細孔の表面積の割合は20.0%、孔径
60Å以上80,000Å以下の全細孔体積に対する孔
径100Å以上1,000Å以下の細孔体積の割合は4
3.8%、孔径60Å以上80,000Å以下の全細孔
体積に対する孔径1,000Å以上80,000Å以下
の細孔の体積の割合は46.7%であった。
【0045】あらかじめ高pHでウシアルブミン溶液に
ビリルビンを溶解した後、中性pHとした液に、ヘパリ
ン(ノボ・ノルディスクA/S社製、ノボ・ヘパリン、
本ヘパリン1ml中にヘパリン1,000単位を含む)
を5単位/ml含むウシ血漿に、ビリルビン濃度20m
g/mlとなるように調整して試験液とした。ビリルビ
ン吸着剤1mlをミニカラムに充填した後、流速0.0
6ml/分でヘパリン加生理食塩液(3単位/ml)を
5ml流すことによって、実用時と同様にプライミング
した。プライミングしたビリルビン吸着剤充填ミニカラ
ムに流速0.06ml/分で、先に調整した試験液を流
した。ミニカラム流出液8mlを採取し、ヘパリン濃度
を測定して、元濃度に対する減少率を吸着率とした時、
53.1%であり、吸着率は70%以下と少なく良好で
あった。このビリルビン吸着剤を用いて実施例2と同様
にして解離剤の効果の測定を実施した。調製直後の血漿
中の総ビリルビン濃度が18.6mg/dlであったの
に対して、ビリルビン吸着剤と5分間反応後の安息香酸
ナトリウムを60mM、20mM、4mM添加及び無添
加の各血漿中の総ビリルビン濃度はそれぞれ、1.17
mg/dl、2.93gm/dl、4.90mg/d
l、7.78mg/dlであり、安息香酸ナトリウムを
添加した血漿ではいずれの安息香酸ナトリウム濃度でも
高い吸着性を示した。
【0046】
【実施例5】吸着剤として実施例4で用いたトリメチル
アンモニウム基を有するスチレン・ジビニルベンゼン共
重合体を使用した。この吸着剤を、ポリヒドロキシエチ
ルメタクリレートを0.5%濃度で溶解した40℃のエ
タノール溶液中に1:2の容量比で浸漬することによっ
て、ポリヒドロキシエチルメタクリレートをコーティン
グした。コーティング前後では明らかな細孔径の変化は
みられなかった。牛血漿に実施例4と同様にしてビリル
ビンを溶解した後、遠心分離によって得られた牛血球を
40v/v%混合してビリルビン血液を得た。この血液
を流速0.18ml/分でコーティング吸着剤に流し、
12mlを回収した。他は実施例4と同様にして解離剤
の効果の測定を実施した。調製直後の血漿中の総ビリル
ビン濃度が16.1mg/dlであったのに対して、安
息香酸ナトリウムを60mM、20mM、4mM添加及
び無添加の各回収血液中の総ビリルビン濃度はそれぞ
れ、1.33mg/dl、2.71mg/dl、4.3
0mg/dl、6.73mg/dlであり、安息香酸ナ
トリウムを添加した血液ではいずれの安息香酸ナトリウ
ム濃度でも高い吸着性を示した。
【0047】
【比較例1】実施例1と同様にして、解離剤を混合せず
に患者血漿を還流して、総ビリルビン濃度を測定した。
サンプリング位置2、サンプリング位置3におけるそれ
ぞれのビリルビン濃度は、13.9mg/dl、12.
5mg/dlであり、ビリルビン吸着剤によるビリルビ
ンの吸着率は37.9%であった。
【0048】
【比較例2】実施例1のプラソーバN−350の活性炭
を吸着剤として用いて、実施例2と同様にして活性炭の
ビリルビン吸着能力を測定した。精製ビリルビン(和光
純薬社)をウシ血漿に溶解した液に、安息香酸ナトリウ
ムを60mM、20mM、4mMの各濃度に添加後、こ
の液3mlに対して上記活性炭を直ちに加えて静かに混
和後、5分間振盪してビリルビンを吸着させた。調製直
後の血漿中の総ビリルビン濃度が17.6mg/dlで
あったのに対して、活性炭と5分間反応後の安息香酸ナ
トリウムを60mM、20mM、4mM添加及び無添加
の各血漿中の総ビリルビン濃度はそれぞれ、10.81
mg/dl、11.20mg/dl、12.59mg/
dl、12.18mg/dlであり、安息香酸ナトリウ
ムを添加した効果はほとんど見られなかった。この時い
ずれの検体でも安息香酸ナトリウムは検出できなかっ
た。安息香酸ナトリウムは反応開始後速やかに活性炭に
吸着したため、アルブミン・ビリルビン複合物とは充分
に反応できなかったため、安息香酸ナトリウムの効果は
殆ど得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施態様を示す説明図。
【図2】実施例1の説明図。
【符号の説明】
1.ビリルビン吸着剤 2.解離剤の吸着剤 3.解離剤溜 4.解離剤混合用ポンプ 5.血漿分離器 6.血漿ポンプ 7.血液ポンプ 8.血漿溜 9.血液・血漿混合部 10.サンプリング位置1 11.サンプリング位置2 12.サンプリング位置3 13.血漿・解離剤混合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 俊郎 和歌山市古屋215番地の1 IM八幡前 501号 (56)参考文献 特開 昭54−482(JP,A) 特開 昭56−66262(JP,A) 特開 昭63−275351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/36 530 B01J 20/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血漿供給用の血漿溜(8)又は血漿分離
    器(5)と、血漿ポンプ(6)と非活性炭系のビリルビ
    ン除去手段(1)と解離剤除去手段(2)とを、上流か
    ら下流に向ってこの順に配置した血漿流路を具備し、血
    漿ポンプ (6)と非活性炭系のビリルビン除去手段
    (1)との間の血漿流路に、解離剤溜(3)と解離剤混
    合用ポンプ(4)をもつ、解離剤供給流路が連結されて
    いることを特徴とするアルブミン結合ビリルビンの除去
    装置
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