JP3258328B2 - グラフト変性ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

グラフト変性ポリオレフィンの製造方法

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JP3258328B2
JP3258328B2 JP50574395A JP50574395A JP3258328B2 JP 3258328 B2 JP3258328 B2 JP 3258328B2 JP 50574395 A JP50574395 A JP 50574395A JP 50574395 A JP50574395 A JP 50574395A JP 3258328 B2 JP3258328 B2 JP 3258328B2
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一也 竹村
一道 佐志
太一 小川
正浩 涌井
高野  茂
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川崎製鉄株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 1.技術分野 本発明はナイロン、ポリエステル、ガラス、金属など
の極性物質との接着性が良好な、グラフト変性されたポ
リオレフィンの製造方法に関する。
2.関連技術 一般に、ポリオレフィンは、機械的性質、成形性、衛
生性等に優れているため広い分野にわたって使用されて
いる。しかし、ポリオレフィンは非極性であるために、
極性物質との接着性が悪いという欠点がある。ポリオレ
フィンの極性物質との接着性を向上させるため、種々の
提案がなされている。重合性の不飽和結合を有するラジ
カル重合性モノマーを、ポリオレフィンとグラフト反応
させることにより、ポリオレフィンの中に導入する方法
も、この提案のひとつである。ラジカル重合性モノマー
としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる
モノマー等が知られている。
グラフト反応の方法としては、溶液状態で反応させる
方法(例えば、特公昭44−15422参照)、スラリー状態
で反応させる方法(例えば、特公昭43−18144号参
照)、溶融状態で反応させる方法(例えば、特公昭43−
27421号参照)などがある。
これらの方法のなかで、押出機を使用し、各材料を押
出機の溶融ゾーン内で溶融させ、溶融状態で反応させる
方法(溶融グラフト法)によれば、必要な製造設備の操
作が簡単であるので、溶融グラフト法が、広く工業的に
用いられている。溶融状態でグラフト反応を行った後
は、未反応のモノマーを除去する目的で、押出機に設置
されたベント装置などにより、グラフト反応生成物を減
圧処理している。
しかし、溶融状態でグラフト反応を行わせる方法で
は、一般にグラフト効率が低いという問題がある。
また、溶融グラフト法によって製造したグラフト変性
ポリオレフィン中には、未反応のラジカル重合性モノマ
ーや、グラフト反応以外の副反応に起因する未グラフト
副生成物が残留している。グラフト反応生成物中におい
て、これらの残留量が多いと、グラフト変性ポリオレフ
ィンの極性物質への接着性が低下する。また、グラフト
変性ポリオレフィンを成形して各種部材、シート、フィ
ルムなどを成形する際に、これらの残留物の作用によっ
て、気泡が発生することがある。従って、これらの残留
物の量を低減する必要がある。
発明の開示 本発明の目的は、ポリオレフィンとラジカル重合性モ
ノマーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練させる
ことにより、グラフト変性ポリオレフィンを製造する方
法において、ポリオレフィンの溶融下にラジカル重合性
モノマーを効率よくグラフト重合させ得るようにするこ
とである。
また、本発明の目的は、ポリオレフィンとラジカル重
合性モノマーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練
させることにより、グラフト変性ポリオレフィンを製造
する方法において、未反応モノマー、未グラフト副生成
物等の残留物の量を、著しく低減できるようにすること
である。
本発明においては、これらの目的を達成するために、
ポリオレフィンのラジカルの発生効率を向上させ、これ
とラジカル重合性モノマーの反応効率を向上させる方法
を提供する。
本発明の第一の態様は、ポリオレフィンとラジカル重
合性モノマーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練
させることにより、グラフト変性ポリオレフィンを製造
する方法であって、ラジカル重合性モノマーが不飽和カ
ルボン酸無水物であり、不飽和カルボン酸無水物原料を
あらかじめ50〜250℃で加熱処理した後に前記グラフト
反応に供することを特徴とする、グラフト変性ポリオレ
フィンの製造方法を提供する。
本発明者らは、上記溶融グラフト法について、モノマ
ーとして特に不飽和カルボン酸無水物を用いて追試した
ところ、減圧処理によっても除去することが困難な不純
物が、変性ポリオレフィン中に残存していた。そして、
この不純物を分析した結果、この不純物のかなりの部分
は、不飽和カルボン酸無水物の加水分解によって生成し
た不飽和カルボン酸や、活性ラジカルによって生成した
飽和カルボン酸であることを、発見した。
本発明の第一の態様は、モノマーとして不飽和カルボ
ン酸無水物を用いた場合に、変性されたポリオレフィン
中に残存する残留物の量を顕著に減少させるものであ
り、特に、加水分解によって生成した不飽和カルボン酸
や、活性ラジカルによって生成した飽和カルボン酸の量
を低減することができる、溶融グラフト法による変性ポ
リオレフィンの製造方法を提供する。
本発明者らは、変性ポリオレフィン中に存在する不純
物は、グラフト反応系へ供給する不飽和カルボン酸無水
物原料中に存在している加水分解物に由来することをつ
きとめた。この加水分解物は、カルボン酸無水物に対応
する不飽和カルボン酸である。この不飽和カルボン酸
は、不飽和カルボン酸無水物をグラフト反応に供するま
での間に、空気などの雰囲気中に含有される水分と接触
することで、生成したものである。そして、この不飽和
カルボン酸は、ポリオレフィンとのグラフト反応性が、
不飽和カルボン酸無水物に比べて劣るので、変性ポリオ
レフィン中に不純物として残留する。しかも、こうした
未反応の不飽和カルボン酸や活性ラジカルにより生成し
た飽和カルボン酸は、沸点が高いので、減圧処理によっ
ても反応系から除去することが困難であった。本発明者
らはこの知見に基づき、グラフト反応に供する前に、原
料の不飽和カルボン酸無水物を加熱し、その中に存在し
ている加水分解物を酸無水物に変換すると共に、水分を
蒸発させて除去することを発想して、本発明を完成する
に到った。
本態様で用いる不飽和カルボン酸無水物は、ラジカル
重合性の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸無水物
である。こうした不飽和カルボン酸無水物としては、環
状の酸無水物構造を分子内に有しているものが、好まし
い。また、具体的な化合物名をもって示せば、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸およびシク
ロペンテンジカルボン酸無水物よりなる群から選択され
る不飽和カルボン酸無水物が好ましい。無水フマール酸
も好ましい。なかでも、無水マレイン酸が、コストが低
く、グラフト反応を起こしやすいので、特に好適であ
る。
本態様において、更に、不飽和カルボン酸無水物原料
とラジカル重合開始剤とのいずれかの一方をポリオレフ
ィンと共に溶融させて溶融物を得、不飽和カルボン酸無
水物原料とラジカル重合開始剤とのうちポリオレフィン
に加えなかった方を前記の溶融物に供給して、グラフト
反応を行うことが好ましい。これにより、加水分解物や
未反応モノマーの量を低減できるのと共に、グラフト変
性効率が、一層向上する。
不飽和カルボン酸無水物の使用量は、得られる変性ポ
リオレフィンの接着性能、他の樹脂とポリマーアロイを
形成する場合における相溶化剤としての性能、グラフト
反応効率、着色の防止および長期間特性を維持させるな
どの観点から、ポリオレフィンに対して、0.001〜20重
量%とすることが好ましく、0.05〜5重量%とすること
が特に好ましい。
第一の態様では、上記の不飽和カルボン酸無水物原料
を、あらかじめ50〜250℃で加熱処理した後、グラフト
反応に供する。この加熱処理の温度は、100℃〜210℃と
することが好ましく、160℃〜202℃とすることが更に好
ましい。このような加熱処理により、不飽和カルボン酸
無水物原料中に少量含まれているその加水分解物が、酸
無水物へ変化し、水分も蒸発する。
例えば無水マレイン酸の場合、その加水分解であるマ
レイン酸は、160℃以上で急速に脱水および環化反応を
し、無水マレイン酸に変化する。この加熱処理により、
グラフト反応性が著しく低く、ベント装置による減圧処
理で脱揮されにくいマレイン酸の残存が、顕著に抑制さ
れるし、グラフト反応効率が顕著に向上する。
第一の態様においては、加熱処理によって不飽和カル
ボン酸無水物を溶融させ、この溶融物をポリオレフィン
に対して添加することができる。
また、ポリオレフィンとラジカル重合性モノマーとラ
ジカル重合開始剤とを溶融および混練させるグラフト変
性ポリオレフィンの合成系に対して不活性な液状媒体
を、不飽和カルボン酸無水物に加えて前記の加熱処理を
実施し、この不飽和カルボン酸無水物を含む液状媒体を
ポリオレフィンに対して添加することが好ましい。この
液状媒体としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびトリクロロベン
ゼンよりなる群から選択される少なくとも1種の芳香族
溶媒を使用することが好ましい。
この液状媒体と不飽和カルボン酸無水物とを混合し、
加熱処理したときには、不飽和カルボン酸無水物の溶液
を生じさせることができ、また、不飽和カルボン酸無水
物が分散されたスラリーを生じさせることができる。た
だし、溶液の方が一層好ましい。
第一の態様で使用されるポリオレフィンとしては、ポ
リプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂(低密度品から高
密度までを含む)、ポリ−1−ブテン樹脂、ポリ−4−
メチル−1−ペンテン樹脂、エチレン−プロピレン共重
合エラストマー、プロピレン−1−ブテン共重合樹脂ま
たはエラストマー、プロピレン−4−メチル−1−ペン
テン共重合樹脂またはエラストマーなどを挙げることが
できる。なかでも、本方法は、ポリプロピレン樹脂およ
びポリエチレン樹脂の変性物を製造する場合に好まし
く、ポリプロピレン樹脂の変性物を製造する場合に、特
に好ましい。
第一の態様では、グラフト反応開始剤として、ラジカ
ル重合開始剤を用いることができる。例えばペンゾイル
パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチル
パーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キシン−3、2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル
−4,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレード、オ
クタノイルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオ
キサイド、t−ブチメパーオキシアセテートなどの有機
過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビ
ス(2,4,4−トリスメチルバレロニトリル)、2,2−アゾ
ビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)などのア
ゾビス化合物;過硫酸カリ、過硫酸ナトリウム、過硫酸
アンモンなどの無気過酸化物を挙げることができる。こ
れらは単独であるいは併用して用いることができる。
また、本態様において、前記不飽和カルボン酸無水物
の加熱処理とポリオレフィンのグラフト反応は、同時に
行う方が、生産効率の点で好ましい。具体的には、主フ
ィーダーからポリオレフィンとラジカル重合開始剤とを
供給し、溶融ゾーン等に設けた液体注入ラインから、加
熱タンク等で加熱処理しながらポンプで液体を送って、
反応を行わせる方法などが、好ましい方法である。
グラフト反応開始剤の使用量は、不飽和カルボン酸の
グラフト量および変性ポリオレフィンの分子量を適切に
維持する観点から、ポリオレフィンに対して、0.001〜1
0重量%、好ましくは0.05〜2重量%程度である。
本発明の第二の態様は、ポリオレフィンとラジカル重
合性モノマーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練
させることにより、グラフト変性ポリオレフィンを製造
する方法であって、前記ラジカル重合性モノマーが、不
飽和カルボン酸の酸無水物および不飽和カルボン酸より
なる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合性
モノマーであり、前記ラジカル重合開始剤として下記式
(I)で表わされる有機過酸化物を用いることを特徴と
する、グラフト変性ポリオレフィンの製造方法を提供す
る。
〔式(I)において、ベンゼン環に直接結合している二
つの置換基は互いにオルソ位またはメタ位の関係にあ
り、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、互いに同一または
異なっており、それぞれ水素原子または炭素数1〜10の
アルキル基を示す。〕 第二の態様の方法によっても、グラフト変性ポリオレ
フィンを溶融法によって製造する際に、グラフト変性効
率を向上させ、ポリオレフィン中の残留モノマーおよび
残留含生成物を少なくすることができる。この結果、ポ
リオレフィンを成形加工するときに、気泡の発生を防止
することができ、グラフト変性ポリオレフィンの極性物
質に対する接着性を向上させることができるようにな
る。
特開昭53−61679号公報は、グラフト効率を向上させ
る目的で、グラフト反応時にアントラセン類を共存させ
ることを開示している。しかし、溶融グラフト法におい
て、前記式(I)で表わされる特定構造の有機過酸化物
を用いることは、開示も示唆もしていない。
第二の態様では、前記の溶融グラフト反応を、前記式
(I)で表わされるラジカル重合開始剤の存在下に行
う。
このようなラジカル重合開始剤が、前記したようなポ
リオレフィンの溶融グラフト反応において、グラフト効
率を向上させる作用を有している理由は、明確ではな
い。しかし、次のように推測することもできる。即ち、
本化合物においては、芳香族ラジカルと脂肪族ラジカル
との両者が発生し、これらの両者の寿命が異なってい
る。これが、ポリオレフィンラジカルの発生に有利であ
るかもしれない。また、上記の構造において、ベンゼン
環に直接結合している二つの置換基が互いにパラ位置に
存在している場合には、そのラジカルの安定性が比較的
に高いことが、特殊な溶融状態において、おそらくは寿
命の点で、かえって不利に働いていると考えられる。ベ
ンゼン環に直接結合している二つの置換基が互いにメタ
位置に存在している場合には、そのラジカルの安定性
が、電子配置から見て低く、また、二つの置換基がオル
ソ位置に存在している場合には、二つの置換基の間の立
体障害のために、そのラジカルの安定性が低い。
更に、式(I)の開始剤において、前記した二つの置
換基が互いにメタ位の関係にあるものが、入手し易く、
コストが低いことから、特に好ましい。
更に、R1およびR6が3級のアルキル基であるものが、
開始剤のラジカルの発生効率が高いので、特に好まし
く、R2、R3、R4およびR5が1級のアルキル基であるもの
が、立体障害の観点から、特に好ましい。
式(I)の開始剤においては、α,α′−ビス−t−
ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼンおよび
α,α′−ビス−ハイドロパーオキシ−m−ジイソプロ
ピルベンゼンが特に好ましく、α,α′−ビス−t−ブ
チルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼンが一層好
ましい。
式(I)のラジカル開始剤は、単独であるいは複数併
用して用いることができる。
式(I)の開始剤の使用量は、モノマーのグラフト量
およびグラフト変性ポリオレフィンの分子量を適切に維
持する観点から、ポリオレフィンに対して通常0.001〜1
0重量%とし、好ましくは0.05〜2重量%程度とする。
第二の態様において、ラジカル重合性モノマーと式
(I)のラジカル重合開始剤とのいずれかの一方を含む
溶融したポリオレフィンに、ラジカル重合性モノマーと
ラジカル重合開始剤とのうちポリオレフィンに加えなか
った方を供給して、前記グラフト反応を行うことが好ま
しい。これによって、グラフト変性効率が一層向上す
る。
第二の態様において、不飽和カルボン酸無水物原料を
あらかじめ50〜250℃で加熱処理した後に、グラフト反
応に供することが好ましい。これによって、変性ポリオ
レフィン中に残留する加水分解物や飽和カルボン酸等の
残留物の量を一層低減し、グラフト変性効率を一層向上
させることができる。
第二の態様で使用できるポリオレフィンとしては、ポ
リプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂(低密度品から高
密度品までを含む)、ポリ−1−ブテン樹脂、ポリ−4
−メチル−ペンテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合
エラストマー、プロピレン−1−ブテン共重合樹脂また
はエラストマー、プロピレン−4−メチル−1−ペンテ
ン共重合樹脂またはエラストマーなどを挙げることがで
きる。本方法は、ポリプロピレン樹脂およびポリエチレ
ン樹脂の変性物を製造する場合に好ましい。ポリプロピ
レン樹脂の変性物を製造する場合には、ポリプロピレン
樹脂の溶融温度やラジカル反応性などが、式(I)の開
始剤と適合しているために、特に好ましく、この場合に
おいて、更にラジカル重合性モノマーとしてマレイン又
は無水マレイン酸を使用すると、その溶融温度が適合し
ている等の理由から、特に好ましい。
第二の態様のグラフト反応で用いるラジカル重合性モ
ノマーは、不飽和カルボン酸の酸無水物および不飽和カ
ルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種のラ
ジカル重合性モノマーである。ここで、不飽和カルボン
酸およびその酸無水物は、ラジカル重合性炭素−炭素二
重結合を有する。これらのラジカル重合性モノマーは、
単独であるいは併用して用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマール
酸、イタコン酸およびシトラコン酸よりなる群から選択
される少なくとも1種の不飽和カルボン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸無水物としては、環状の酸無水物構造
を分子内に有しているものが、好ましい。具体的な化合
物名をもって示せば、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸およびシクロペンテンジカルボン
酸無水物よりなる群から選択される不飽和カルボン酸無
水物が好ましい。無水フマール酸も好ましい。なかで
も、無水マレイン酸が、コストが低く、グラフト反応を
起こしやすいので、特に好適である。
ラジカル重合性モノマーの使用量は、得られるグラフ
ト変性ポリオレフィンの接着性能や、他の樹脂とポリマ
ーアロイを形成する場合における相溶化剤としての性能
を維持し、未反応モノマーや副生成物の残留量を少くす
る観点から、ポリオレフィンに対して0.001〜20重量%
とすることが好ましく、0.05〜5重量%とすることが特
に好ましい。
また、本発明の第三の態様によれば、ポリオレフィン
とラジカル重合性モノマーとラジカル重合開始剤とを溶
融および混練させることにより、グラフト変性ポリオレ
フィンを製造するのに際して、前記ラジカル重合性モノ
マーと前記ラジカル重合開始剤とのいずれか一方を含む
溶融したポリオレフィンに、ラジカル重合性モノマーと
ラジカル重合開始剤とのうちポリオレフィンに加えなか
った方を供給して、グラフト反応を行う。
こうした方法によって、グラフト変性ポリオレフィン
におけるグラフト反応効率を向上させることができ、こ
の結果として、不純物の残留を、より一層減少させるこ
とができる。
この理由については、次のように推測できる。即ち、
従来はこれらの3種類の各成分を、一度に溶融させてい
た。しかし、最初にポリオレフィンとラジカル重合性モ
ノマーとを均一に溶融させて溶融液を得、この溶融液に
対してラジカル重合開始剤を添加すると、ラジカル重合
開始剤がポリオレフィンと良好に反応し、ラジカル重合
性モノマーのラジカルが生成する確率は低くすることが
できる。一方、最初にポリオレフィンとラジカル重合開
始剤とに均一に溶融させて溶融液を得、この溶融液に対
してラジカル重合性モノマーを添加する場合にも、ラジ
カル重合開始剤がポリオレフィンと当初から良好に反応
し、ラジカル重合性モノマーのラジカルが生成する確率
は低くすることができる。これに対して、従来は、溶融
時には、最初にラジカル重合性モノマーが溶解しはじめ
ることが多く、これが最初にラジカル重合開始剤と反応
し、かなりの量の副生成物を生じていたようである。
第三の態様において、グラフト変性するポリオレフィ
ンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度品
から高密度品までを含む)、ポリ−1−ブテン、ポリ−
4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重
合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−
4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体等がある。なかでも、ポリプロピ
レン、ポリエチレンへの適用が効果的である。
第三の態様において、ラジカル重合性モノマーとして
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸などで例示される不飽和モノ又はジカルボン酸;こ
れらの無水物等を挙げることができる。また、これら例
示されたモノマーの誘導体も用いることができる。中で
も、無水マレイン酸がコスト、反応性の面で好適であ
る。
これらモノマーの使用量は、得られる変性ポリオレフ
ィンの接着性能、他樹脂とのポリマーアロイを形成する
ときの相溶化剤としての機能、更にはグラフト反応効率
を考慮して、ポリオレフィンに対して0.01〜20重量%と
することが好ましく、0.05〜5重量%とすることが更に
好ましい。
第三の態様において用いることのできるラジカル重合
開始剤としては、有機過酸化物、アソビス化合物および
無機過酸化物を挙げることができる。
有機過酸化物の具体例として、ベンゾイルパーオキサ
イド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、ジクミル
パーオキサイド、α,α′−ビス−t−ブチルパーオキ
シ−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス
(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5
−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘ
キシン−3、2、5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−
4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバレード、オクタノ
イルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイ
ド、t−ブチルマレイン酸、t−ブチルパーオキシアセ
テート等を挙げることができる。
アゾビス化合物としてはアゾビスイソブチルニトリ
ル、2,2−アゾビス(2,4,4−トリスメチルバレロニトリ
ル)、2,2−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)等を挙げることができる。
無機過酸化物としては過硫酸カリ、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモン等を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独であるいは2種
以上併用して用いることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、製造される変性ポリ
オレフィンの接着性能、相溶化剤としての性能、反応効
率などの観点から、ポリオレフィンに対して0.001〜10
重量%とすることが好ましく、0.05〜2重量%とするこ
とが好ましい。
第三の態様においては、ラジカル重合性モノマーとラ
ジカル重合開始剤とのいずれかの一方を含む溶融したポ
リオレフィンに、ラジカル重合性モノマーとラジカル重
合開始剤とのうちポリオレフィンに加えなかった方を供
給して、グラフト反応を行う。
この方法は、下記(1)および(2)の各態様を含
む。
(1)ラジカル重合性モノマーを含んだ状態で溶融およ
び混練されているポリオレフィンへ、ラジカル重合開始
剤を供給する方法。
例えば、ポリオレフィンとラジカル重合性モノマーと
をあらかじめ非溶融下に混合した後、この混合物を混練
して混練物を得、この混練物を溶融ゾーンで溶融させて
溶融物を得、この溶融ゾーンに設けられた供給ラインか
ら、ラジカル重合開始剤を溶融物へと供給する。
(2)ラジカル重合開始剤を含んだ状態で溶融および混
練されているポリオレフィンへ、ラジカル重合性モノマ
ーを供給する方法。
例えば、ポリオレフィンとラジカル重合開始剤とをあ
らかじめ非溶融下に混合した後、この混合物を混練して
混練物を得、この混練物を溶融ゾーンで溶融させて溶融
物を得、この溶融ゾーンに設けられた供給ラインから、
ラジカル重合性モノマーを溶融物へと供給する。
こうした態様において、供給ラインから供給するラジ
カル重合性モノマーまたはラジカル重合開始剤は、溶融
状態または粒状とすることができる。
更に、ポリオレフィンとラジカル重合性モノマーとラ
ジカル重合開始剤とを溶融および混練させることによ
り、グラフト変性ポリオレフィンを製造するのに際し
て、ラジカル重合性モノマーが不飽和カルボン酸無水物
であり、不飽和カルボン酸無水物原料をあらかじめ50〜
250℃で加熱処理した後にグラフト反応に供し、ラジカ
ル重合開始剤として前記式(I)で表わされる有機過酸
化物を用い、ラジカル重合性モノマーと前記ラジカル重
合開始剤とのいずれかの一方を含む溶融したポリオレフ
ィンに、他方を供給してグラフト反応を行うことができ
る。
これによって、加水分解物である不飽和カルボン酸
や、副生成物である飽和カルボン酸等の量を低減し、こ
れらを含む残留物の量を一層低減し、グラフト変性効率
を一層向上させることができる。
前記してきた本発明の各態様において、グラフト反応
を行う混練機は特に制限されない。単軸押出機、二軸押
出機、ニーダー型反応機、バンバリーミキサー、ヘンシ
ェルミキサー、ダブルスクリューミキサー等、適宜用い
ることができる。また、これらの混練機には、不純物の
少ないグラフト変性ポリオレフィンを得る目的で真空ベ
ント装置等の脱揮装置を設置し、未グラフト副生成物
や、未反応モノマーの脱揮を行っても良い。
前記してきた本発明の各態様において、溶融混練温度
(クラフト反応温度)は、ポリオレフィンの融点および
分子量を考慮して、ポリオレフィンが充分に流動する温
度を選択する。通常120〜250℃である。ポリエチレン樹
脂の場合は、120〜200℃とすることが好ましく、ポリプ
ロピレン樹脂の場合は、150〜250℃の温度とすることが
好ましい。あまり高い温度では、ポリオレフィンの熱分
解、不飽和カルボン酸の揮発の問題が生じる。
前記してきた本発明の各態様において、溶融グラフト
反応時間は、グラフト反応温度、ラジカル重合性モノマ
ーの種類、ラジカル重合開始剤の種類および所望のグラ
フト量等によって適宜に決めることができる。通常0.1
〜10分程度の反応時間である。
また、前記してきた本発明の各態様において、グラフ
ト反応を行うに当って、本発明の利点、効果を損わない
範囲で適切な酸化防止剤、加工安定剤、可塑剤等の添加
剤を配合してもよい。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の第二の態様に係る実施例において、
無水マレイン酸変性量と、変性後のグラフト変性ポリオ
レフィンにおける、残留モノマーおよび残留副生成物の
量との関係を示すグラフである。
実施例 以下、本発明の各態様について、実施例を記載する
が、本発明は、これらの実施例によって限定されるもの
ではなく、これらの実施例のあらゆる変形を含むもので
あり、本発明の範囲は、後述する請求の範囲によっての
み、決定されるべきものである。
〔実験A〕
本実施例において、無水マレイン酸グラフト量(変性
量)、残留モノマーおよび残留副生成物の量、並びにメ
ルトフローレートの測定は、以下の方法で行なった。
(1)無水マレイン酸グラフト量(変性量) グラフト反応終了後の試料(グラフト変性ポリオレフ
ィン)を、熱キシレンに溶解した後、アセトン中で再沈
降させ、このアセトン液を濾過し、固体を乾燥させるこ
とにより、残留モノマーおよび残留副生成物を除去し、
ポリオレフィンを精製した。その後、熱プレスにより、
厚さ約0.1mmのフィルムを成形し、赤外(IR)吸収スペ
クトルを測定した。酸無水物構造のカルボニル基に起因
する吸収ピーク(波長1785cm-1)の強度から、グラフト
された無水マレイン酸の量を定量した。
(2)残留モノマーおよび残留副生成物量 グラフト反応終了後の未精製試料から、直接熱プレス
により、約0.1mmのフィルムを成形し、赤外吸収スペク
トルを測定し、この赤外吸収スペクトルから、精製前の
全無水マレイン酸量を定量した。この値から、(1)で
定量したグラフト無水マレイン酸量を差し引いた値を、
残留モノマーおよび残留副生成物量とした。
(3)メルトフローレート(MFR) ASTM D1238 52Tに従い、230℃において2160gの荷重
のもとで測定した。
実施例A1 MFRが45g/10分のホモポリプロピレン(住友化学製X10
1A)100重量部と、無水マレイン酸5.0重量部と、ラジカ
ル重合開始剤としてのα,α′−ビス−t−ブチルパー
オキシ−m−ジイソプロピルベンゼン〔式(1)の開始
剤〕0.5重量部とを、ヘンシェルミキサーで充分に混合
した後、2軸押出機〔日本製鋼所製、TEX30HSST型、直
径30mmφ、L/D=42、ここで、Lは長さ(Length)であ
り、Dは直径(Diameter)である。〕を用いて、180℃
で混合物を溶融および混練した。得られた変性ポリプロ
ピレンの変性量、残留モノマーおよび残留副生成物量
を、表2および図1に示した。
実施例A2〜A6 実施例A1と同様のグラフト反応を行ない、結果を表2
および図1に示した。ただし、無水マレイン酸の配合
量、ラジカル重合開始剤の配合量および反応温度を、表
1に示す値とした。
比較例A1〜A10 実施例1と同様のグラフト反応を行ない、結果を表2
および図1に示した。ただし、ラジカル重合開始剤の種
類、無水マレイン酸の配合量、ラジカル重合開始剤の配
合量および反応温度を、表1に示すとおりとした。ま
た、表1に示す各ラジカル開始剤の種類は、表3に示す
通りである。
表2および図1から明らかなように、実施例で得られ
た無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンは、比較
例で得られたものと比べて、反応温度や無水マレイン酸
の配合量が同等であっても、無水マレイン酸のグラフト
量(変性量)が大きい。しかも、高変性量領域であって
も、残留モノマーおよび残留副生成物量が著しく低いこ
とがわかる。
〔実験B〕 比較例B1 MFRが45g/10分のホモポリプロピレン(住友化学製X10
1A)100重量部と、無水マレイン酸5.0重量部と、ラジカ
ル重合開始剤としてのα,α′−ビス−t−ブチルパー
オキシ−p−ジイソプロピルベンゼン0.5重量部とを、
ヘンシェルミキサーで充分に混合した後、2軸押出機
(日本製鋼所製、TEX30HSST型、直径30mmφ、L/D=42)
を用いて、180℃で混合物を溶融および混練した。得ら
れた変性ポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト量
(変性量)は0.52重量%であり、残留モノマーおよび残
留副生成物量は、0.55重量%であった。このように、実
施例A1とまったく同様の条件下であっても、実施例1に
おけるα,α′−ビス−t−ブチルパーオキシ−m−ジ
イソプロピルベンゼンをパラ置換した開始剤を使用する
と、変性量が半減しており、残留モノマーおよび残留副
生成物量も0.1重量%程度増大していた。
〔実験C〕
本実験においては、各変性ポリプロピレンにおける酸
含量、残留酸量、加水分解物と酸無水物との重量比(加
水分解物量比)およびメルトフローレートは、以下の方
法で測定した。
(1)酸含量 グラフト溶融後の未精製の変性ポリプロピレン製品
を、熱プレスによって成形して厚さ約0.1mmのフィルム
を製造し、このフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し
た。酸無水物基に起因する吸収(1785cm-1)と、カルボ
キシル基に起因する吸収(1710cm-1)から、未精製の変
性ポリプロピレンに含まれる酸無水物基およびその加水
分解基を定量した。これらの値を、無水マレイン酸の量
に換算した。
さらに、未精製の変性ポリプロピレンを熱キシレンに
溶解した後、アセトン中に再沈澱させ、アセトン液を濾
過し、固体を乾燥することにより、未反応の無水マレイ
ン酸、その加水分解物およびその他の副生成物を除去
し、変性ポリプロピレンを精製した。この精製後の変性
ポリプロピレンについて、上記と同様の方法で酸含量を
定量した。
(2)残留酸量 上記(1)の方法で定量した未精製の変性ポリプロピ
レン中の酸含量から、精製された変性ポリプロピレン中
の酸含量を差し引き、この差を残留酸量とした。
(3)加水分解物と酸無水物との重量比(加水分解物量
比) 上記(1)の方法で定量した、未精製の変性ポリプロ
ピレン中に含まれる加水分解基対酸無水物基の重量比
(但し、無水マレイン酸換算)を計算した。
(4)メルトフローレート(MFR) ASTM D1238 52Tに従い、230℃において2160gの荷重
のもとで測定した。
実施例C1 ダブルスクリューミキサーでMFR45のポリプロピレン
(住友化学製X101A)100重量部を、180℃で溶融および
混練した。無水マレイン酸を180℃で加熱して溶融さ
せ、溶融した無水マレイン酸20重量部を溶融ポリプロピ
レンに添加し、ラジカル重合開始剤α,α′−ビス−t
−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼン〔式
(I)の開始剤〕1.4重量部を加えた。得られた未精製
の変性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物量比を、表
4に示す。
実施例C2 ダブルスクリューミキサーでMFR45のポリプロピレン
(住友化学製X101A)100重量部を180℃で溶融混練し
た。無水マレイン酸を150℃で加熱して溶融させ、溶融
した無水マレイン酸20重量部を添加し、開始剤α,α′
−ビス−t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベ
ンゼン1.4重量部を加えた。得られた未精製の変性ポリ
プロピレンの酸含量、加水分解物量比を、表4に示す。
実施例C3 ダブルスクリューミキサーでMFR45のポリプロピレン
(住友化学製X101A)100重量部を180℃で溶融混練し、
無水マレイン酸を110℃で加熱して溶融させ、溶融した
無水マレイン酸20重量部を添加し、開始剤α,α′−ビ
ス−t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼ
ン1.4重量部を加えた。得られた未精製の変性ポリプロ
ピレンの酸含量、加水分解物量比を、表4に示す。
比較例C1 ダブルスクリューミキサーでMFR12のポリプロピレン
(徳山曹達製SH152)100重量部、加熱していない無水マ
レイン酸の粉末5重量部、開始剤ジクミルパーオキサイ
ド0.5重量部を、180℃にて溶融および混練した。得られ
た未精製の変性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物量
比を、表4に示す。
比較例C2 ダブルスクリューミキサーでMFR12のポリプロピレン
(徳山曹達製SH152)100重量部、加熱していない無水マ
レイン酸の粉末5重量部、開始剤ジクミルパーオキサイ
ド0.5重量部を170℃にて溶融および混練した。得られた
未精製の変性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物量比
を、表4に示す。
実施例C4 無水マレイン酸を100℃で加熱して溶融させ、溶融無
水マレイン酸を得た。二軸押出機(日本製鋼所製、TEX3
0HSST型、直径30mmφ、L/D=42)で、MFR45のポリプロ
ピレン(住友化学製X101A)100重量部と、溶融無水マレ
イン酸2.7重量部と、開始剤α,α′−ビス−t−ブチ
ルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼン0.15重量部
とを混合して、180℃で溶融および混練した。また、二
軸押出機において、ベント装置による脱揮をした。得ら
れた未精製の変性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物
量比を、表5に示す。
実施例C5 無水マレイン酸を100℃で加熱して溶融させ、溶融無
水マレイン酸を得た。二軸押出機(日本製鋼所製、TEX3
0HSST型、直径30mmφ、L/D=42)で、MFR45のポリプロ
ピレン(住友化学製X101A)100重量部と、溶融無水マレ
イン酸2.7重量部と、開始剤α,α′−ビス−t−ブチ
ルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼン0.18重量部
とを混合して、180℃で溶融および混練した。また、二
軸押出機において、ベント装置による脱揮をした。得ら
れた未精製の変性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物
量比を、表5に示す。
比較例C3 二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30HSST型、直径30mm
φ、L/D=42)でMFR45のポリプロピレン(住友化学製X1
01A)100重量部、加熱していない無水マレイン酸2.7重
量部、開始剤ジクミルパーオキシサイド0.18重量部を18
0℃にて溶融および混練した。また、二軸押出機におい
て、ベント装置による脱揮をした。得られた未精製の変
性ポリプロピレンの酸含量、加水分解物量比を、表5に
示す。
実施例C1、C2、C3、C4、C5においては、無水マレイン
酸を予め溶融させると共に、ラジカル重合開始剤として
式(I)の前記開始剤を使用したが、酸含有量、特に酸
残留量が,大幅に減少しているし、加水分解物の比率が
顕著に減少している。
〔実験D〕 実施例D1 ダブルスクリューミキサーでMFR45のポリプロピレン
(住友化学製X101A)100重量部を、加熱していない無水
マレイン酸の粉末20重量部、開始剤α,α′−ビス−t
−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼン1.4
重量部を、180℃で溶融および混練した。得られた未精
製の変性ポリプロピレンの酸含量は1.05重量%であ
り、、加水分解物量比は1.23重量%であった。
実施例D2 無水マレイン酸を100℃で加熱して溶融させ、溶融無
水マレイン酸を得た。二軸押出機(日本製鋼所製、TEX3
0HSST型、直径30mmφ、L/D=42)で、MFR45のポリプロ
ピレン(住友化学製X101A)100重量部と、溶融無水マレ
イン酸2.7重量部と、開始剤ジクミルパーオキサイド0.1
8重量部とを混合して、180℃で溶融および混練した。二
軸押出機において、ベント装置による脱揮をした。得ら
れた未精製の変性ポリプロピレンの酸含量は0.88重量%
であり、残留酸量は0.29重量%であり、加水分解物量比
は0.13重量%であった。このように、無水マレイン酸を
予め溶融させることにより、変性ポリプロピレンにおい
て、特に、残留酸量および加水分解物量比を大幅に低減
することができた。
実施例D3 二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30HSST型、直径30m
m、L/D=42)で、MFR45のポリプロピレン(住友化学製X
101A)100重量部を、加熱していない無水マレイン酸の
粉末2.7重量部、開始剤α,α′−ビス−t−ブチルパ
ーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼン0.18重量部を、
180℃で溶融および混練した。二軸押出機において、ベ
ント装置による脱揮をした。得られた未精製の変性ポリ
プロピレンの酸含量は0.89重量%であり、残留酸量は0.
35重量%であり、加水分解物量比は0.68重量%であっ
た。
実施例D4 無水マレイン酸2.7重量部をキシレン10重量部に加
え、110℃に加熱して溶解させ、無水マレイン酸の溶液
を得た。二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30HSST型、直
径30mmφ、L/D=42)で、MFR45のポリプロピレン(住友
化学製X101A)100重量部と、無水マレイン酸の溶液12.7
重量部と、開始剤ジクミルパーオキサイド0.18重量部と
を混合して、180℃で溶融および混練した。上記の二軸
押出機において、ベント装置による脱揮をした。得られ
た未精製の変性ポリプロピレンの酸含量は0.92重量%で
あり、残留酸量は0.31重量%であり、加水分解物量比は
0.15重量%であった。このように、無水マレイン酸をキ
シレン溶液中で加熱溶解させた場合であっても、実施例
6等とほぼ同程度に、残留酸量や加水分解物量比を大幅
に低減することができた。
〔実験E〕
実験Eにおいて、変性ポリプロピレンにおける無水マ
レイン酸のグラフト量およびメルトフローレートは、以
下の方法に従って測定した。
無水マレイン酸グラフト量 グラフト反応生成物を熱キシレンに溶解し、引き続き
アセトン中で沈殿させ、アセトン液を濾過し、固体を乾
燥することにより、反応生成物中に残留している未反応
の酸類や副生成物を除去した。この精製後の乾燥品を、
熱プレスにより成形して、厚さ約0.1mmのフィルムを得
た。このフィルムについて、赤外吸収スペクトルを測定
し、酸無水物基に起因する吸収(1785cm-1)とカルボキ
シル基に起因する吸収(1710cm-1)から、無水マレイン
酸のグラフト量を定量した。グラフト量は、ポリプロピ
レンに対する重量%である。
メルトフローレート(MFR) ASTM D1238 52Tに従い、230℃において2160gの荷重
のもとで測定した。
実施例E1 二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B、直径35mm
φ、L/D=27)の温度を180℃に設定し、MFR45のポリプ
ロピレン(住友化学社製X101A)100重量部と無水マレイ
ン酸5重量部との混合物を、単位時間当り105重量部の
割合で、二軸押出機の主フィーダから供給して、溶融お
よび混練させた。溶融および混練途中に、溶融ゾーンに
設けられた副フィーダから、ラジカル重合開始剤(商品
名:日本油脂社製「パークミルD」、物質名:ジクミル
パーオキサイド)を、単位時間当り0.5重量部の割合で
加えた。得られた変性ポリロピレンのグラフト量を、表
6に示す。
実施例E2 二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B、直径35mm
φ、L/D=27)を180℃に設定し、MFR45のポリプロピレ
ン(住友化学社製X101A)100重量部とラジカル重合開始
剤「パークミルD」0.5重量部との混合物を、単位時間
当り100.5重量部の割合で、二軸押出機の主フィーダか
ら供給して溶融および混練させた。溶融および混練途中
に、溶融ゾーンに設けられた副フィーダから、無水マレ
イン酸を、単位時間当り5重量部の割合で加えた。得ら
れた変性ポリプロピレンのグラフト量を、表6に示す。
比較例E1 MFR45のポリプロピレン(住友化学社製X101A)100重
量部、無水マレイン酸5重量部およびラジカル重合開始
剤「パークミルD」0.5重量部の混合物を、単位時間10
5.5重量部の割合で、二軸押出機(東芝機械株式会社
製、TEM35B、直径35mmφ、L/D=27)の主フィーダから
供給し、この3種の混合物を、溶融および混練させた。
得られた変性ポリプロピレンのグラフト量を、表6に示
す。
比較例E2 MFR45のポリプロピレン(住友化学社製X101A)を、単
位時間当り100重量部の割合で二軸押出機(東芝機械株
式会社製、TEM35B、直径35mmφ、L/D=27)の主フィー
ダから供給して溶融および混練させ、無水マレイン酸5
重量部と開始剤パークミルD0.5重量部との混合物を、単
位時間当り5.5重量部の割合で、溶融および混練途中
に、溶融ゾーンに設けられ副フィーダから供給した。得
られた変性ポリプロピレンのグラフト量を、表6に示
す。
比較例E3 ダブルスクリューミキサーに、MFR15のポリプロピレ
ン(徳山曹達社製SH−152)100重量部と無水マレイン酸
5重量部とを供給して180℃で溶融および混練させた。
5分後に、ラジカル重合開始剤「パークミルD」0.5重
量部を加え、さらに5分間反応させた。得られた変性ポ
リプロピレンのグラフト量を、表6に示す。
比較例E3 MFR15のポリプロピレン(徳山曹達社製SH−152)100
重量部、無水マレイン酸5重量部、開始剤「パークミル
D」0.5重量部を、溶融させることなく混合した。この
混合物を、ダブルスクリューミキサーに同時に供給し、
この中で混練および溶融させた。得られた変性ポリプロ
ピレンのグラフト量を、表6に示す。
ただし、表6において、「PP」は、ポリプロピレンを
示し、「MAH」は、無水マレイン酸を示し、反応機
「A」は、前記の二軸押出機を示し、反応機「B」は、
ダブルスクリュミキサーを示す。
表6の結果から判るように、実施例E1、E2、E3におい
ては、ポリプロピレンと、無水マレイン酸又はパークミ
ルDとの一方を予め溶融させておくことにより、グラフ
ト変性の効率が顕著に向上していた。
〔実験F〕
実施例F1 二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM30B、直径35mm
φ、L/D=27)を180℃に設定し、MFR45のポリプロピレ
ン(住友化学社製X101A)100重量部と無水マレイン酸2.
7重量部との混合物を、単位時間当り102.7重量部の割合
で、二軸押出機の主フィーダから供給して溶融および混
練させた。溶融および混練途中に、溶融ゾーンに設けら
れた副フィーダから、ラジカル重合開始剤「パークミル
D」を、単位時間当り0.18重量部の割合で加えた。得ら
れた変性ポリプロピレンのグラフト量は、0.52重量%で
あり、残留酸量は0.42重量%であり、加水分解物量比は
1.23重量%であった。
比較例F1 MFR45のポリプロピレン100重量部と、無水マレイン酸
2.7重量部と、ラジカル重合開始剤「パークミルD」0.1
8重量%との混合物を、単位時間当り102.88重量部の割
合で、二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B、直径
35mmφ、L/D=27)の主フィーダから供給し、この3種
の混合物を溶融および混練させた。得られた変性ポリプ
ロピレンのグラフト量は、0.23重量%であり、残留酸量
は0.78重量%であり、加水分解物量比は1.05重量%であ
った。
実施例F2 二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B、直径35mm
φ、L/D=27)を180℃に設定し、MFR45のポリプロピレ
ン(住友化学社製X101A)100重量部と無水マレイン酸5
重量部との混合物を、単位時間当り105重量部の割合
で、二軸押出機の主フィーダから供給して溶融および混
練させた。溶融および混練途中に、溶融ゾーンに設けら
れた副フィーダから、ラジカル重合開始剤α,α′−ビ
ス−t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベンゼ
ン〔式(I)のもの〕を、単位時間当り0.5重量部の割
合で加えた。得られた変性ポリプロピレンのグラフト量
は、1.05重量%であり、残留モノマーおよび残留副生成
物量比は、0.10重量%であり、加水分解物量比は0.42重
量%であった。
実施例F3 二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35B、直径35mm
φ、L/D=27)の主フィーダーとヘッドとの間にある溶
融ゾーンのほぼ中間に、加熱タンクとポンプとからなる
液体抽入機を設けた。二軸押出機の温度を180℃に設定
し、MFR45のポリプロピレン100重量部とジクミルパーオ
キサイド0.18重量部との混合物を、単位時間当り100.18
重量部の割合で、二軸押出機の主フィーダから供給して
溶融および混練させた。溶融および混練途中に、溶融ゾ
ーンに設けた液体抽入機から、100℃に加熱および溶融
させた無水マレイン酸を、単位時間当り2.7重量部の割
合で供給した。得られた変性ポリプロピレンのグラフト
量は、1.15重量%であり、残留酸量は、0.32重量%であ
り、加水分解物量比は0.13重量%であった。
実施例F4 実施例F3において、ジクミルパーオキサイドの代わり
に、α,α′−ビス−t−ブチルパーオキシ−m−ジイ
ソプロピルベンゼンを使用した。得られた変性ポリプロ
ピレンのグラフト量は、1.25重量%であり、残留酸量
は、0.15重量%であり、加水分解物量比は0.15重量%で
あった。
なお、以上述べた実施例のうち、無水マレイン酸を2.
7重量%添加し、二軸押出機を使用し、180℃で溶融反応
させた実施例について、互いに比較する。実施例A5と実
施例C5とを比較すると、実施例C5においては、加水分解
物量比が顕著に減少していた。実施例D2と実施例C5とを
比較すると、実施例C5においては、残留酸量が顕著に減
少していた。実施例F1と実施例F2とを比較すると、実施
例F2においては、グラフト効率が顕著に向上し、残留酸
量および加水分解物量比が顕著に減少していた。実施例
F1と実施例F3とを比較すると、実施例F3においては、グ
ラフト効率が顕著に向上し、加水分解物量比が顕著に減
少していた。更に、実施例F4においては、どの実施例に
対しても、グラフト効率が顕著に向上し、加水分解物量
比が顕著に減少していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 涌井 正浩 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 高野 茂 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭61−26664(JP,A) 特開 平2−8204(JP,A) 特開 昭61−276808(JP,A) 特開 平4−114072(JP,A) 特開 平5−97937(JP,A) 特開 平5−279431(JP,A) 米国特許4599385(US,A) 米国特許5194509(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 255/00

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィンとラジカル重合性モノマー
    とラジカル重合開始剤とを溶融および混練させることに
    より、グラフト変性ポリオレフィンを製造する方法であ
    って、前記ラジカル重合性モノマーが不飽和カルボン酸
    無水物であり、不飽和カルボン酸無水物原料をあらかじ
    め50〜250℃で加熱処理した後に前記グラフト反応に供
    することを特徴とする、グラフト変性ポリオレフィンの
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記不飽和カルボン酸無水物原料を前記グ
    ラフト反応に供する前に前記加熱処理することにより、
    この不飽和カルボン酸無水物原料の中に存在している加
    水分解物を酸無水物に変換し、水分を蒸発させる、請求
    項1記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  3. 【請求項3】前記不飽和カルボン酸無水物原料と前記ラ
    ジカル重合開始剤とのいずれかの一方をポリオレフィン
    と共に溶融させて溶融物を得、前記不飽和カルボン酸無
    水物原料と前記ラジカル重合開始剤とのうち前記ポリオ
    レフィンに加えなかった方を前記の溶融物に供給して、
    前記グラフト反応を行うことを特徴とする、請求項1又
    は2記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  4. 【請求項4】前記不飽和カルボン酸無水物が、環状の酸
    無水物構造を有していることを特徴とする、請求項1〜
    3のいずれか一つの項に記載のグラフト変性ポリオレフ
    ィンの製造方法。
  5. 【請求項5】前記不飽和カルボン酸無水物が、無水マレ
    イン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸およびシク
    ロペンテンジカルボン酸無水物よりなる群から選択され
    る少なくとも1種の不飽和カルボン酸無水物である、請
    求項4記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  6. 【請求項6】前記不飽和カルボン酸無水物を100℃〜210
    ℃で加熱処理する、請求項1〜5のいずれか一つの項に
    記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  7. 【請求項7】前記不飽和カルボン酸無水物を160℃〜202
    ℃で加熱処理する、請求項6記載のグラフト変性ポリオ
    レフィンの製造方法。
  8. 【請求項8】前記加熱処理によって前記不飽和カルボン
    酸無水物を溶融させ、この溶融物を前記ポリオレフィン
    に対して添加する、請求項1〜7のいずれか一つの項に
    記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  9. 【請求項9】ポリオレフィンとラジカル重合性モノマー
    とラジカル重合開始剤とを溶融および混練させるグラフ
    ト変性ポリオレフィンの合成系に対して不活性な液状媒
    体を、前記不飽和カルボン酸無水物に加えて前記の加熱
    処理を実施し、この不飽和カルボン酸無水物を含む前記
    液状媒体を前記ポリオレフィンに対して添加する、請求
    項1〜7のいずれか一つの項に記載のグラフト変性ポリ
    オレフィンの製造方法。
  10. 【請求項10】前記液状媒体として、ベンゼン、トルエ
    ン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよ
    びトリクロロベンゼンよりなる群から選択される少なく
    とも1種の芳香族溶媒を使用する、請求項9記載のグラ
    フト変性ポリオレフィンの製造方法。
  11. 【請求項11】ポリオレフィンとラジカル重合性モノマ
    ーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練させること
    により、グラフト変性ポリオレフィンを製造する方法で
    あって、前記ラジカル重合性モノマーが、不飽和カルボ
    ン酸の酸無水物および不飽和カルボン酸よりなる群から
    選択される少なくとも1種のラジカル重合性モノマーで
    あり、前記ラジカル重合開始剤として下記式(I)で表
    わされる有機過酸化物を用いることを特徴とする、グラ
    フト変性ポリオレフィンの製造方法。 〔式(I)において、ベンゼン環に直接結合している二
    つの置換基は互いにオルソ位またはメタ位の関係にあ
    り、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、互いに同一または
    異なっており、それぞれ水素原子または炭素数1〜10の
    アルキル基を示す。〕
  12. 【請求項12】前記ラジカル重合性モノマーが不飽和カ
    ルボン酸無水物であり、不飽和カルボン酸無水物原料を
    あらかじめ50〜250℃で加熱処理した後に前記グラフト
    反応に供することを特徴とする、請求項11記載のグラフ
    ト変性ポリオレフィンの製造方法。
  13. 【請求項13】前記ラジカル重合性モノマーと前記ラジ
    カル重合開始剤とのいずれかの一方をポリオレフィンと
    共に溶融させて溶融物を得、前記ラジカル重合性モノマ
    ーと前記ラジカル重合開始剤とのうち前記ポリオレフィ
    ンに加えなかった方を前記溶融物に供給して、前記グラ
    フト反応を行うことを特徴とする、請求項11記載のグラ
    フト変性ポリオレフィンの製造方法。
  14. 【請求項14】前記ラジカル重合開始剤において、ベン
    ゼン環に直接結合している二つの置換基が互いにメタ位
    の関係にあることを特徴とする、請求項11〜13のいずれ
    か一つの項に記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造
    方法。
  15. 【請求項15】前記のR1およびR6が3級のアルキル基で
    あり、前記のR2、R3、R4およびR5が1級のアルキル基で
    あることを特徴とする、請求項14記載のグラフト変性ポ
    リオレフィンの製造方法。
  16. 【請求項16】前記ラジカル重合開始剤が、α,α′−
    ビス−t−ブチルパーオキシ−m−ジイソプロピルベン
    ゼンである、請求項15記載のグラフト変性ポリオレフィ
    ンの製造方法。
  17. 【請求項17】前記ラジカル重合性モノマーが、マレイ
    ン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マ
    レイン酸、無水イタコン酸および無水シトラコン酸より
    なる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合性
    モノマーである、請求項11〜16のいずれか一つの項に記
    載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  18. 【請求項18】前記ラジカル重合性モノマーが、マレイ
    ン酸およびマレイン酸無水物よりなる群から選択される
    少なくとも1種のラジカル重合性モノマーである、請求
    項17記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  19. 【請求項19】前記ポリオレフィンがポリプロピレンで
    ある、請求項15〜18のいずれか一つの項に記載のグラフ
    ト変性ポリオレフィンの製造方法。
  20. 【請求項20】ポリオレフィンとラジカル重合性モノマ
    ーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練させること
    により、グラフト変性ポリオレフィンを製造する方法で
    あって、前記ラジカル重合性モノマーが不飽和カルボン
    酸無水物であり、不飽和カルボン酸無水物原料をあらか
    じめ50〜250℃で加熱処理した後に前記グラフト反応に
    供し、前記ラジカル重合開始剤として下記式(I)で表
    わされる有機過酸化物を用い、前記ラジカル重合性モノ
    マーと前記ラジカル重合開始剤とのいずれかの一方をポ
    リオレフィンと共に溶融させて溶融物を得、前記ラジカ
    ル重合性モノマーと前記ラジカル重合開始剤とのうち前
    記ポリオレフィンに加えなかった方を前記溶融物に供給
    して、前記グラフト反応を行うことを特徴とする、グラ
    フト変性ポリオレフィンの製造方法。 〔式(I)において、ベンゼン環に直接結合している二
    つの置換基は互いにオルソ位またはメタ位の関係にあ
    り、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、互いに同一または
    異なっており、それぞれ水素原子または炭素数1〜10の
    アルキル基を示す。〕
  21. 【請求項21】ポリオレフィンとラジカル重合性モノマ
    ーとラジカル重合開始剤とを溶融および混練させること
    により、グラフト変性ポリオレフィンを製造する方法で
    あって、前記ラジカル重合性モノマーと前記ラジカル重
    合開始剤とのいずれかの一方をポリオレフィンと共に溶
    融させて溶融物を得、前記ラジカル重合性モノマーと前
    記ラジカル重合開始剤とのうち前記ポリオレフィンに加
    えなかった方を前記溶融物に供給して、前記グラフト反
    応を行うことを特徴とする、グラフト変性ポリオレフィ
    ンの製造方法。
  22. 【請求項22】前記ラジカル重合性モノマーが無水マレ
    イン酸である、請求項21記載のグラフト変性ポリオレフ
    ィンの製造方法。
  23. 【請求項23】前記ポリオレフィンと前記ラジカル重合
    性モノマーとをあらかじめ非溶融下に混練し混練物を
    得、この混練物を溶融ゾーンで溶融させて溶融物を得、
    この溶融ゾーンに設けられた供給ラインから前記ラジカ
    ル重合開始剤を前記溶融物へと供給する、請求項21また
    は22記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
  24. 【請求項24】前記ポリオレフィンと前記ラジカル重合
    開始剤とをあらかじめ非溶融下に混練して混練物を得、
    この混練物を溶融ゾーン内で溶融させて溶融物を得、こ
    の溶融ゾーンに設けられた供給ラインから前記ラジカル
    重合性モノマーを前記溶融物へと供給する、請求項21ま
    たは22記載のグラフト変性ポリオレフィンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115286740A (zh) * 2022-08-08 2022-11-04 山东天风新材料有限公司 一种适合工业化生产的聚丙烯接枝马来酸酐的制造方法
CN115286740B (zh) * 2022-08-08 2023-11-24 山东天风新材料有限公司 一种适合工业化生产的聚丙烯接枝马来酸酐的制造方法

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