JP3258091B2 - モードロッキングレーザ装置 - Google Patents

モードロッキングレーザ装置

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JP3258091B2 JP29142792A JP29142792A JP3258091B2 JP 3258091 B2 JP3258091 B2 JP 3258091B2 JP 29142792 A JP29142792 A JP 29142792A JP 29142792 A JP29142792 A JP 29142792A JP 3258091 B2 JP3258091 B2 JP 3258091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コヒーレントな光を発
生するレーザに係わり、特にレーザ発振モードを同期す
るモードロッキングレーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】短パルス光に対する需要が、高速光通信
および高速非線形光学現象の応用といった側面から急速
に高まっている。高速光通信では「0または1」の2値
情報を所定期間を周期として、各所定期間内に光パルス
の有無のパターンで情報を担わせる。従って、この周期
を短くすることが情報の高速伝送の大前提であり、その
ためには短パルスの生成が必須である。また、高速な非
線形光学効果を効率的に発生させたり、非線形光学効果
の結果の出力を確実に検出するには、入射光の強度を高
める必要がある。入射させる光を短パルス化すれば、入
射光の平均エネルギを大きくしなくても、すなわち入射
光の発生に係わるエネルギをそれほど消費しなくても、
瞬時ではあるが高い強度の入射光を得ることができる。
【0003】こうした要請に対して、10-9秒(nse
c)以下の短パルス化の実現が可能なTi:サファイ
ア、アレキサンドライトのような比較的広い波長範囲の
発光スペクトルを持つレーザ媒質を使用して、連続発振
(以後、CWと略称する)したレーザ光のモード同期を
行うモードロッキングレーザが注目されている。特に、
Ti:サファイアをレーザ媒質としたモードロッキング
レーザの研究・試作が盛んに行われており、パルス幅も
20fsec以下の実現が報告されるまで至っている
(上杉 直:「特集:CLEO’92/QELS’92
8.超高速分野」;OplusE、1992年8月
号、p84〜87)。
【0004】従来、モードロッキングを行うレーザ装置
として、図5(D.E.Spence et al.:OPTICS LETTERS/Vo
l.16,No.1/January1,1991,p42〜44;以後、従来例1と
呼ぶ)および図6(L.Spenelli et al.:Starting and G
eneration of Sub-100fs Pulses in Ti:Al2 O 3 by S
elf-Forcusing ;以後、従来例2と呼ぶ)のようなレー
ザ共振器の構造を有するものがある。これらの装置は、
いずれもレーザ媒質にTi:サファイアを使用し、T
i:サファイアが有する光カー効果(カー・レンズ効
果)による自己モード同期動作を利用しており、100
fsec以下のパルス幅の光パルスを得ることができ
る。
【0005】図5は、従来例1のモードロッキングレー
ザ装置の構成を示している。図示の第1の装置は、CW
アルゴンレーザからなる励起源100と、この励起源1
00の放出するポンピング光をミラー413を介して受
光するブリュースター角に切り出されたTi:サファイ
アからなるレーザ媒質200と、レーザ媒質200とと
もにレーザ共振器を形成する出力カプラ410と球面型
ミラー420および430と平面型ミラー440と、共
振光路内の波長範囲を選択する複屈折フィルタ600と
から構成される。励起源100から出射されたレーザ光
は、ポンピング光としてレーザ媒質200へ照射され、
レーザ媒質200の構成原子を励起して誘導放出可能と
する。放出した光の内、共振器の構造によって決まる共
振条件(周波数および光路の方向)を満たす光のみが増
幅作用を受け、レーザ発振する。こうして、レーザ媒質
200の発光する光の内、共振条件を満たしたものだけ
がCWレーザ発振状態となる。CWレーザ発振状態で、
共振器の両端を構成する出力カプラ410または平面型
ミラー440のいずれか一方に機械的衝撃を加えると、
共振しているレーザ光に擾乱が生じ、モード結合が発生
しモードロッキング状態へ遷移することがある。この結
果、約60fsecの半値幅を有する光パルスの生成が
報告されている。
【0006】図示の第2の装置は、第1の装置の共振器
内光路上、平面型ミラー440の手前に群速度分散補償
(以後、GVDと呼ぶ)用のプリズム対を配置した構成
であり、第1の装置と同様にモードロッキング動作を行
う。この装置では、約45fsecの半値幅を有する光
パルスの生成が報告されている。
【0007】図6は、従来例2のモードロッキングレー
ザ装置の構成を示している。図示の装置は、従来例1の
第2の装置と基本的に同様な構造を有している。この装
置と従来例2の第2の装置との相違点は、この装置で
は、モードロッキング動作を開始するための1対の回転
可能なブリュースター板810、820と、モードロッ
キング動作を維持するための調整可能スリット850と
が、共振光路中に配設されていることである。この装置
では、従来例1の装置と同様にして、励起源100から
出射されたレーザ光をポンピング光として、レーザ媒質
200の発射する光のうち、共振器の構造によって決ま
る共振条件(周波数および光路の方向)を満たす光のみ
が増幅作用を受け、CWレーザ発振状態となる。CWレ
ーザ発振状態で、ブリュースター板対を互いに反対向き
に高速回転させることにより位相変調が開始され、レー
ザ媒質200自身のカー・レンズ効果を調節可能スリッ
ト850を可飽和吸収体として作用させることにより、
モードロッキング動作を実行させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のモードロッキン
グレーザ装置は以上のように構成されているので、T
i:サファイアの励起光のCW発振からモード同期発振
への遷移のため縦モード同期を開始させるためには、従
来例1の場合にはレーザ共振器の両端のミラーの内の一
方に機械的な衝撃を与えなければならないし、従来例2
の場合には1対のブリュースター板を高速に回転させる
という機械的な操作をしなければならないという問題点
があった。
【0009】また、従来例2では可飽和吸収体と同様な
作用を、共振器内に配設された調節可能なスリットを使
用して実現しているが、Ti:サファイアからなるレー
ザ媒質の光カー効果に基づくレンズ機能の発現に伴う集
光の程度はTi:サファイアに照射される光の強度に依
存するので、励起光の強度によってレーザビーム径が変
化するので、励起光の強度の変動が大きいと一度モード
ロッキング状態が確立してもそのモードロッキング状態
が不安定になってしまい、維持が困難であるという問題
点があった。
【0010】また、従来の装置では、モードロッキング
状態において発生させるパルス光のパルス幅は装置によ
って一定に決まってしまい、異なるパルス幅のパルス光
を生成するためには共振器パラメータを変化させた他の
モードロッキングレーザ装置を用意しなければならない
という問題点があった。
【0011】本発明は、以上のような問題点を解消する
ためになされたものであり、純光学的な手段でモードロ
ッキング動作を開始することができるモードロッキング
レーザ装置を提供することを目的とする。また、本発明
は、数十fsec〜数psecの範囲でパルス幅を可変
に設定してパルス光を発生できるモードロッキングレー
ザ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1のモードロ
ッキングレーザ装置は、(a)光カー効果を有するレー
ザ媒質と、(b)レーザ媒質を励起するための励起光を
発光する励起源と、(c)光共振器の第1の端面を形成
する全反射ミラーと、(d)光共振器の第2の端面を形
成する反射面の形状を変化できる空間光変調器と、
(e)空間光変調器の反射面の形状を決定する反射面形
状決定手段と、を含んで構成され、空間光変調器の反射
面形状を高速で変化させることによりモード同期を開始
させることを特徴とする。ここで、空間光変調器は、光
電面に入射した像を反映して反射面を形成するマイクロ
チャンネル空間光変調器(以後、MSLMと呼ぶ)であ
ることを特徴とし、反射面形状決定手段は、計算機
と、計算機に搭載されたプログラムの指定した画像を
表示するCRTディスプレイと、から構成されCRTデ
ィスプレイの画面に表示された画像をMSLMの光電面
へ入射させることを特徴とする。
【0013】また、本発明の他のモードロッキングレー
ザ装置は、(a)光カー効果を有するレーザ媒質と、
(b)レーザ媒質を励起するための励起光を発光する励
起源と、(c)光共振器の第1の端面を形成する全反射
ミラーと、(d)光共振器の第2の端面を形成する反射
面の形状を変化できる空間光変調器と、(e)光共振器
内の発振光の一部を分岐する分岐手段と、(f)分岐手
段によって共振光路から取り出された光を光空間変調器
の光電面へ導く伝達手段と、を含んで構成され、自動的
にモード同期を開始させることを特徴とする。ここで、
空間光変調器は、光電面に入射した像を反映して反射面
を形成するMSLMであることを特徴とする。
【0014】また、本発明の別のモードロッキングレー
ザ装置は、(a)光カー効果を有するレーザ媒質と、
(b)レーザ媒質を励起する励起源と、(c)レーザ媒
質が発生する励起光を増幅する光共振器内の励起光光路
上レーザ媒質より光共振器の第1の全反射端面側に設置
され、励起光の含む波長に応じて空間展開する1対のプ
リズムと、(d)光共振器の第1の全反射端面を形成す
る反射面の形状を変化できる第1の空間光変調器と、
(e)光共振器の第2の全反射端面を形成する反射面の
形状を変化できる第2の空間光変調器と、(f)第1の
空間光変調器の反射面の形状を決定する第1の反射面形
状決定手段と、(g)第2の空間光変調器の反射面の形
状を決定する第2の反射面形状決定手段と、を含んで構
成され、第2の空間光変調器の反射面形状を高速で変化
させることによりモード同期を開始させるとともに、第
1の空間光変調器の反射面形状を調整することにより発
生レーザ光のパルス幅を変化させることを特徴とする。
ここで、第1および第2の空間光変調器は、光電面に入
射した像を反映して反射面を形成するMSLMであるこ
とを特徴とし、第1および第2の反射面形状決定手段
は、計算機と、計算機のプログラムの指定した画像
を表示するCRTディスプレイと、から構成され、CR
Tディスプレイの画面に表示された画像をMSLMの光
電面へ入射させることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明のモードロッキングレーザ装置によれ
ば、Ti:サファイアをレーザ媒質として共振器の条件
に従ったCW発振状態で、計算機のプログラムの指示に
よって高速にCRT画面に表示する画像パターンを変化
させることにより、レーザ共振器の一方の端面を構成す
るMSLMの反射面形状を高速に変化させて、共振光に
擾乱を生じさせ、共振光の縦モード間結合を促すことに
より、モードロッキング動作を開始する。このモードロ
ックされた光はモード結合の結果、強度密度が増大して
レーザ媒質のカー・レンズ効果の発現をより顕著なもの
にするので、更に集光される。この装置では、MSLM
の反射面形状を変化させた後、最終的にモードロックさ
れた発振ビームの集光程度に合わせた形状に設定し、モ
ードロッキング光のみを共振させて、短時間幅パルス光
を発生する。
【0016】本発明の他のモードロッキングレーザ装置
によれば、発振ビームの一部をレーザ共振器の一方の端
面を構成するMSLMの光電面に入力させ、発振ビーム
の空間的な広がりを反映してMSLMの反射面形状を決
定している。発振強度が増大してビームが集光されるに
つれ、光電面に入力される発振ビームの空間的な広がり
も小さくなる。こうして、反射面形状を変化させること
により、共振光に擾乱を生じさせ、共振光の縦モード間
結合を促し、自動的にモードロッキング動作を開始させ
る。この装置では、モードロックされた時点のビームの
空間的広がりが最も小さくなるとともに、最終的な反射
面形状はこの時点のビームの空間的広がりと同一に落ち
着き、モードロッキング光のみを共振させて、短時間幅
パルス光を発生する。
【0017】本発明の別のモードロッキングレーザ装置
は、本発明の第1のモードロッキング装置に加えて、更
に、GVD用プリズム対によって波長−空間展開された
ビームの共振用反射の空間領域を計算機のプログラムに
よって変化させることのできるMSLMを配置してい
る、共振波長範囲を調整して、その波長範囲内の光に対
してモードロックを施し、発生パルスの時間幅を変化さ
せ、数十fsec〜数psecの範囲で時間幅が可変な
発生パルス光を発生する。
【0018】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同
一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】(第1実施例)図1は、第1実施例に係わ
るモードロッキングレーザ装置の構成図である。そし
て、これが従来の装置と比べて特徴的なことは、レーザ
共振器の一方の反射端面が単なるミラーではなく、マイ
クロチャンネル空間光変調装置(MSLM)310で構
成され、このMSLM310の反射面形状を指定するた
めの計算機700とこの計算機700上で実行されるプ
ログラムの指示に従って画像を表示するCRT710が
配置され、CRT710に表示された画像をMSLM3
10に入力する点が異なる。この装置は図示のように、
CWアルゴンレーザからなる励起源100と、この励起
源100の放出するポンピング光をミラー411、41
2およびレンズ415を介して受光するブリュースター
角に切り出されたTi:サファイアからなるレーザ媒質
200と、レーザ媒質200とともにレーザ共振器を形
成する反射面312を有するMSLM310と出力カプ
ラ450と球面型ミラー420、430とGVD用プリ
ズム対510、520と平面型ミラー440と、共振光
路内の波長範囲を選択する複屈折フィルタ600と、M
SLM310の反射面形状を指定するための計算機70
0および計算機700上で実行されるプログラムの指示
に従って画像を表示するCRT710と、から構成され
る。ここで用いるMSLMは、反射面が700〜100
0nmの波長範囲でほぼ0〜100%の反射率範囲でミ
ラー化が可能であり、かつ、計算機700を用いてCR
T710に表示した濃淡を有する画像を光電面311側
へ入力することにより任意の空間的反射率分布を有する
ミラーを形成することができる。
【0020】この装置では、まず、CRT710に表示
する画像を調整してMSLM310の反射面側で数mm
径の略円形内部のみの反射率を高くした状態(パターン
A;図2(b)参照)で、励起源100から出射された
レーザ光をポンピング光としてレーザ媒質200へ照射
し、レーザ媒質200の構成原子を励起して誘導放出可
能とする。放出した光の内、共振器の構造によって決ま
る共振条件(周波数および光路の方向)を満たす光のみ
が増幅作用を受け、レーザ発振する。こうして、レーザ
媒質200の発光する光の内、共振条件を満たしたもの
だけがCWレーザ発振状態となる。更に励起を続行し、
励起光強度を高めると、レーザ媒質200のカー・レン
ズ効果により励起光が集光されてくる(図2(a)参
照)。このとき、計算機700の指示によりCRT71
0に表示する画像を変化させ、MSLM310の反射面
形状を略1mm径の円形内部のみが高反射率を有するよ
うに高速に変化させる(パターンB;図2(b)参
照)。このとき反射面形状の変化は、CRT710表示
の画像の変化に対してほぼ同時に追従するので、テレビ
レートあるいはそれ以上高速で変化する。こうして、発
振ビームに対して物理的な衝撃を与え、擾乱を発生させ
ると、発振ビームの波長モード(共振の縦モード)間結
合が確率的に発生してモードロッキング動作が開始さ
れ、高いピークを有し時間幅の短いパルス光が発生す
る。このパルス光は高いピークを有するので、このパル
ス光に対するレーザ媒質200におけるカー・レンズ効
果は顕著になり、ビームは益々集光される。このように
して、共振器内にはMSLM310の反射面側312に
おける高反射率部分のパターンに相当した短パルスのみ
が残る。なお、パターンAとパターンBとの間のCRT
710上の画像切替操作は複数回繰り返してもよい。但
し、最終的には、パターンBで固定しなければならな
い。
【0021】(第2実施例)図3は、第2実施例に係わ
るモードロッキングレーザ装置の構成図である。この装
置は、励起光源および共振器の構成は第1実施例と同一
である。図示の通り、この装置と第1実施例の装置との
相違点は、MSLM310の反射面形状の決定の手段で
あり、この装置では、計算機700およびCRT710
の代わりに、MSLM310の反射面側312に入射す
る発振ビームの一部を取り出すハーフミラー460と、
この取り出した発振ビームをMSLM310の光電面3
11に導くミラー470、480、490とテレスコー
プ900とで構成している。ここで、テレスコープ90
0は凸レンズおよび凹レンズを組み合わせて形成され、
光電面311上に投影する像の形状を調節を行う。
【0022】この装置では、励起源100から出射され
たレーザ光をポンピング光としてレーザ媒質200へ照
射し、レーザ媒質200の構成原子を励起して誘導放出
可能とする。放出した光の内、共振器の構造によって決
まる共振条件(周波数および光路の方向)を満たす光の
みが増幅作用を受け、レーザ発振する。こうしてレーザ
媒質200の発光する光の内、共振条件を満たしたもの
だけがCWレーザ発振状態となる。この時点では、発振
光強度はそれほど大きくないのでレーザ媒質200にお
けるカー・レンズ効果はほとんど発生せず集光効果は充
分小さいので、ビーム径は大きい。更に励起を続行し、
励起光強度を高めると、レーザ媒質200のカー・レン
ズ効果の発現により励起光が集光されてくる。この集光
動作にともない、光電面311上に投影される発振ビー
ム形状の大きさも小さくなる。こうして、発振ビームに
擾乱を発生させると、発振ビームの波長モード(共振の
縦モード)間結合が確率的に発生してモードロッキング
動作が開始され、高いピークを有し時間幅の短いパルス
光が発生する。このパルス光は高いピークを有するの
で、このパルス光に対するレーザ媒質200におけるカ
ー・レンズ効果は顕著になり、ビームは益々集光され
る。このようにして、共振器内にはMSLM310の反
射面側312における高反射率部分のパターンに相当し
た短パルスのみが残る。
【0023】(第3実施例)図4は、第3実施例に係わ
るモードロッキングレーザ装置の構成図である。図示の
通り、この装置は、第1実施例の装置におけるレーザ共
振器の一方の端面を構成するミラー440の代わりに、
反射面形状を変更可能なMSLM320を使用して構成
している。ここで、MSLM320の反射面形状の操作
は、計算機700上で実行されるプログラムの指示によ
る画像を表示するCRT720上の画像をMSLM32
0の光電面321へ投影することによって実施する。
【0024】この装置では、第1実施例の装置における
共振条件を満たす励起光に対して、更に、GVD用プリ
ズム対510、520によって波長−空間展開されたビ
ームの反射領域をMSLM320の反射面形状を調節し
て制限することにより、発振ビームに含まれる波長範囲
を選択して、次ぎの数式で決まるパルス時間幅の短パル
ス光を発生する。
【0025】Δt/Δλ=C・・・(1) ここで、Δt:パルス光の時間幅 Δλ:パルス光に含まれる光の波長幅 C:レーザ共振器の構成・構造によって決まる定数 したがって、MSLM320の反射面形状を小さくする
と、発振ビームに含まれる光の波長範囲が狭くなるの
で、パルス時間幅が増大する。この装置を使用すること
により、数10fsec〜数psecの範囲でパルス時
間幅を制御することができる。
【0026】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、様々な変形が可能である。例えば、レーザ共振
器の端面の反射面形状を可変とするために、CRTとM
SLMの組み合わせを開示したが、MSLMの代わりに
光アドレス型の液晶ライトバルブを使用してもよい。ま
た、直接電気信号によって書き込み可能な、電気アドレ
ス型の空間光変調器を使用することも可能であり、この
ときはCRTが不要となる。また、カー効果を有するレ
ーザ媒質として、Ti:サファイアの代わりに、LiS
AF(Cr:LiSrAlF6 )、LiCAF(Cr:
LiCaAlF6 )、Cr:Forsterite、C
r:YAGなどを使用してもよい。
【0027】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明のモ
ードロッキングレーザ装置によれば、レーザ共振器の一
方の反射端面を、計算機の指示によって反射面形状を高
速に変化させることのできる空間光変調器で構成し、計
算機の出力画像を高速に変化させることにより共振光に
擾乱を与えるようにしたので、機械的操作無しに純光学
的にモードロッキング動作を開始できる。
【0028】また、本発明の他のモードロッキングレー
ザ装置によれば、発振ビームの空間的広がりをそのまま
反映して、レーザ共振器の一方の反射面の形状を形成す
ることにしたので、純光学的、かつ、自動的にモードロ
ッキング動作を開始できる。
【0029】また、本発明の別のモードロッキングレー
ザ装置によれば、本発明のモードロッキングレーザ装置
に加えて、GVD用プリズム対によって波長−空間展開
されたビームに対する反射面形状を可変とすることによ
り、共振光の波長範囲を選択可能としたので、純光学的
にモードロッキング動作を開始できるとともに、数十f
sec〜数psecの範囲で時間幅が可変なパルス光を
発生できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のモードロッキングレーザ
装置の構成図である。
【図2】第1実施例のモードロッキングレーザ装置にお
ける反射面形成の説明図である。
【図3】本発明の第2実施例のモードロッキングレーザ
装置の構成図である。
【図4】本発明の第3実施例のモードロッキングレーザ
装置の構成図である。
【図5】従来例1のモードロッキングレーザ装置の構成
図である。
【図6】従来例2のモードロッキングレーザ装置の構成
図である。
【符号の説明】
100…励起源、200…レーザ媒質、310,320
…空間光変調器、410,450,460…ハーフミラ
ー、411,412,420,430,440,47
0,480,490…ミラー、510,520…GVD
用プリズム、600…複屈折フィルタ、700…計算
機、710,720…CRT、810,820…ブリュ
ースター板、850…スリット、900…テレスコー
プ。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光カー効果を有するレーザ媒質と、 前記レーザ媒質を励起するための励起光を発光する励起
    源と、 光共振器の第1の端面を形成する全反射ミラーと、 前記光共振器の第2の端面を形成する反射面の形状を変
    化できる空間光変調器と、 前記空間光変調器の反射面の形状を決定する反射面形状
    決定手段と、 前記空間光変調器の反射面の形状を高速で変化させる手
    段と、 を含んで構成されることを特徴とするモードロッキング
    レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記空間光変調器は、光電面に入射した
    像を反映して反射面を形成するマイクロチャンネル空間
    光変調器であることを特徴とする請求項1記載のモード
    ロッキングレーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記反射面形状決定手段は、計算機と、
    前記計算機に搭載されたプログラムの指定した画像を表
    示するCRTディスプレイと、から構成され、前記CR
    Tディスプレイの画面に表示された画像を前記マイクロ
    チャンネル空間光変調器の光電面へ入射させることを特
    徴とする請求項2記載のモードロッキングレーザ装置。
  4. 【請求項4】 光カー効果を有するレーザ媒質と、 前記レーザ媒質を励起するための励起光を発光する励起
    源と、 光共振器の第1の端面を形成する全反射ミラーと、 前記光共振器の第2の端面を形成する反射面の形状を変
    化できる空間光変調器と、 前記光共振器内の発振光の一部を分岐する分岐手段と、 前記分岐手段によって共振光路から取り出された光を、
    前記空間光変調器へ導く伝達手段と、 を含んで構成され、前記空間光変調器の反射面形状を前
    記伝達手段を介して前記空間光変調器に入力される像を
    反映して形成し、自動的にモード同期を開始させること
    を特徴とするモードロッキングレーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記空間光変調器は、光電面に入射した
    像を反映して反射面を形成するマイクロチャンネル空間
    光変調器であることを特徴とする請求項4記載のモード
    ロッキングレーザ装置。
  6. 【請求項6】 光カー効果を有するレーザ媒質と、 前記レーザ媒質を励起する励起源と、 前記レーザ媒質が発生する励起光を増幅する光共振器内
    の励起光光路上レーザ媒質より前記光共振器の第1の全
    反射端面側に設置され、励起光の含む波長に応じて空間
    展開する1対のプリズムと、 前記光共振器の第1の全反射端面を形成する反射面の形
    状を変化できる第1の空間光変調器と、 前記光共振器の第2の全反射端面を形成する反射面の形
    状を変化できる第2の空間光変調器と、 前記第1の空間光変調器の反射面の形状を決定する第1
    の反射面形状決定手段と、 前記第2の空間光変調器の反射面の形状を決定する第2
    の反射面形状決定手段と、 前記第1の空間光変調器の反射面面形状を調整する手段
    と、 前記第2の空間光変調器の反射面形状を高速で変化させ
    る手段と、 を含んで構成されることを特徴とするモードロッキング
    レーザ装置。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2の空間光変調器は、
    光電面に入射した像を反映して反射面を形成するマイク
    ロチャンネル空間光変調器であることを特徴とする請求
    項6記載のモードロッキングレーザ装置。
  8. 【請求項8】 前記第1および第2の反射面形状決定手
    段は、計算機と前記計算機のプログラムの指定した画像
    を表示するCRTディスプレイと、から構成され、前記
    CRTディスプレイの画面に表示された画像を前記マイ
    クロチャンネル空間光変調器の光電面へ入射させること
    を特徴とする請求項7記載のモードロッキングレーザ装
    置。
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