JP3254151B2 - 熱間スラブのサイジングプレス方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スラブを熱間粗圧
延の前に所要の板幅に成形するサイジングプレス方法及
び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、スラブを粗圧延の前に幅方向にプ
レスして所定の板幅に成形し、仕上圧延後に所要の板幅
のストリップを得るための装置として、サイジングプレ
スが実用化されている。

【０００３】この装置は、図７に示すように、スラブ５
１を間欠搬送し、このスラブ５１が停止している間に双
方の金型５２によってその両エッジ部をプレスして所定
の板幅に成形する。

【０００４】前記プレスにおいて、図８に示すようにス
ラブ５１の先端部及び後端部を予め成形しておく必要が
あり、このプレスによってスラブ５１が幅方向に座屈
し、その先端部及び後端部の座屈が特に大きくなる。こ
の座屈が大きくなると双方の金型５２を所定の間隔に設
定して幅圧下しても、スラブ５１を粗圧延した際にその
板幅が所要の寸法よりも大きくなる。

【０００５】このスラブ５１の座屈を防止するために、
図６に示すように、間欠ピンチロール６０によるスラブ
５１の間欠搬送が停止したときに、金型５２の平行部５
３で幅圧下するスラブ５１の位置を出側の支持ローラ５
６ａで支持して押圧ローラ５６及び油圧シリンダ５８に
よって押圧すると共に、入側傾斜部５４で幅圧下するス
ラブ５１の位置を入側の支持ローラ５７ａで支持して押
圧ローラ５７及び油圧シリンダ５９によって押圧する
（特公平４−６２８０３号公報参照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来のサイジングプレ
スにあっては、下記のような問題点があった。 （１）押圧ローラ５６・５７によるスラブ５１の押圧で
は、押圧ローラ５６・５７とスラブ５１とが線接触にな
り、押圧面積が小さいので、スラブ５１に座屈によるブ
リネリング（表面変形）が発生する。 （２）金型５２と押圧ローラ５６・５７との位置関係を
変更することが困難である。従って、スラブ５１のプレ
ス位置（長さ方向の先端部、後端部、中央）によって押
圧位置を変更できないので、特にスラブ５１の先端部及
び後端部の座屈防止が不充分である。 （３）押圧ローラ５６・５７が高温のスラブ５１に常時
接触しているので高温になり、その摩耗を促進したり表
面割れが発生して押圧ローラ５６・５７の寿命が短くな
る。 （４）スラブ５１を常時押圧ローラ５６・５７によって
押圧しているので、スラブ５１の搬送時に押圧ローラ５
６・５７の押圧力が搬送力に付加され、ピンチロール６
０の負荷が大きくなる。従って、ピンチロール６０の動
力を大きくする必要がある。 （５）スラブ５１の搬送の度に油圧シリンダ５８・５９
によって押圧ローラ５６・５７を上昇させてその押圧を
解除すると、油圧シリンダ５８・５９の作動回数が非常
に多くなり、その寿命が短くなる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明によるサイジングプレス装置は、次のように構
成される。 （１）スラブ搬送手段と、このスラブ搬送手段と同調し
てその停止時にスラブの両エッジ部を板幅方向に圧下す
るように設けた１対の金型とを具備したサイジングプレ
スであって、下面をスラブ搬送方向に平行な方向に曲面
または平面に形成して前記スラブの上方で昇降するよう
に設けた座屈抑制板と、この座屈抑制板の前記下面が前
記スラブ間欠搬送手段と同調してその停止時に前記スラ
ブの上面と接触または微小隙間を形成する迄下降するよ
うに前記座屈抑制板に設けた高さ調整手段及び昇降手段
とを具備し、かつ前記座屈抑制板にスラブ進行方向位置
調整手段を設けたものである。

【０００８】

【０００９】（２）スラブ搬送手段と、このスラブ搬送
手段と同調して進行しながら前記スラブの両エッジ部を
板幅方向に圧下するように設けた１対の金型とを具備し
たサイジングプレスであって、下面をスラブ搬送方向に
平行な方向に曲面に形成して前記スラブの上方に設けた
座屈抑制板と、この座屈抑制板の前記下面が前記スラブ
搬送手段と同調して前記スラブの最大座屈発生部と接触
または微小隙間を形成する迄下降するように前記座屈抑
制板に設けた昇降揺動手段と高さ調整手段及び位置調整
手段とを具備したものである。

【００１０】（３）前記座屈抑制板は板幅方向の中央部
に位置して設けられるとともに、その曲面部又は平面部
の板搬送方向長さを金型の平行部と入側傾斜部とに相当
する長さを有するものである。

【００１１】（４）前記座屈抑制板に対向してスラブ下
面を支持する支持ローラが座屈抑制板の曲面部又は平面
部の板搬送方向長さと略同じ長さ範囲に渡って複数配設
されるものである。

【００１２】また、本発明によるサイジングプレス方法
は、熱間スラブのサイジングプレス時に生じる座屈浮き
上がりを、熱間スラブ上面に接触又は近接して配置され
た座屈抑制板により抑止，拡散せしめることを特徴とす
る。

【００１３】［作用］ （１）項によれば、先ず、幅圧下スラブの厚さに応じ
て、高さ調整手段によってその高さを調整すると共に圧
延方向位置調整手段によって、スラブの先端部、後端
部、中央部の各々の幅圧下時に、座屈抑制板を各々の最
適の圧延方向位置に位置するように調整して待機する。
次に、スラブの先端及び後端をスラブ搬送手段によって
金型の位置でそれぞれ停止させて座屈抑制板の曲面部ま
たは平面部がスラブの最大座屈発生部と軽く接触または
微小隙間を形成するように昇降手段によってそれぞれ下
降させると共に双方の金型によってそれぞれ幅圧下し、
それぞれ所定の板幅に予めプレスする。次に、スラブの
未プレス部が金型の有効長さでスラブ搬送手段によって
搬送されて停止すると、昇降手段によって座屈抑制板を
前述と同様に下降させ、その曲面部または平面部でスラ
ブの座屈による浮き上がりを抑制，拡散せしめると共に
双方の金型によってスラブを幅圧下し、所要の板幅にプ
レスする。このスラブ搬送手段によるスラブの停止、座
屈抑制板の下降によるスラブの座屈の抑制及び金型によ
る幅圧下を反復し、スラブを全長にわたって所要の板幅
にプレスする。

【００１４】

【００１５】（２）項によれば、先ず、幅圧下するスラ
ブの厚さに応じて、高さ調整手段によってその高さを調
整すると共に圧延方向位置調整手段によって、スラブの
先端部、後端部、中央部の各々の幅圧下時に、座屈抑制
板を各々の最適の圧延方向位置に位置するように調整し
て待機する。次に、スラブの先端及び後端をスラブ搬送
手段によって連続搬送しながらこの搬送と同調して進行
する金型の幅圧下によるスラブの最大座屈発生部に座屈
抑制板の曲面部が軽く接触または微小隙間を形成するよ
うに昇降揺動手段によって下降及び揺動（スラブとの接
触部または微小隙間形成部をスラブ進行方向に移動）さ
せると共に双方の金型を進行させながらそれぞれ幅圧下
し、それぞれ所定の板幅に予めプレスする。次に、スラ
ブの未プレス部がスラブ搬送手段によって搬送されて来
ると、前述と同様にその曲面部でスラブの座屈による浮
き上がりを抑制，拡散せしめると共に双方の金型によっ
てスラブを幅圧下し、所要の板幅にプレスする。このス
ラブ搬送手段によるスラブの連続搬送と、座屈抑制板の
下降及び揺動によるスラブの座屈の抑制及び金型による
幅圧下を反復し、スラブを全長にわたって所要の板幅に
プレスする。

【００１６】（３）項によれば、座屈抑止位置を最大座
屈発生部及びスラブの全てのプレス位置（長さ方向の先
端部、後端部、中央）に対応させられる。

【００１７】（４）項によれば、座屈抑止位置に対応し
てスラブの下面が支持される。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る熱間スラブの
サイジングプレス方法と装置を実施例により詳細に説明
する。 ［第１実施例］ ［構成］ 図１において、１は座屈抑制板であり、その下面の金型
５２による平行圧下部ａ及び傾斜圧下部ｂより少し長い
範囲にはスラブ搬送方向に平行な方向に大半径の曲面部
１ａが形成され、両側面の入側に突出した支持軸９は高
さ調整シリンダ８によって懸吊されており、出側は高さ
調整手段としての偏心ブッシュ３を介して偏心軸２の偏
心部２ａによって支持されている。

【００１９】前記座屈抑制板１の幅寸法はスラブ幅の１
／３程度で、例えばスラブ幅が６００mm〜２２００mmの
場合、５００mm程度が好適である。また、座屈抑制板１
は、図２に示すように、スラブ幅方向の中央部に位置し
て設置される。

【００２０】また、前記偏心軸２は、間欠搬送ピンチロ
ール６０と同調して間欠回転するモータ６に自在継手７
を介して連結されている。偏心ブッシュ３の一方の端部
にはウオームギア部３ａが設けられ、モータ５によって
回転するウオーム４がこのウオームギア部３ａと歯合す
るように装設されている。

【００２１】１０は支持ローラで、前記曲面部１ａと略
同じ長さ範囲に渡って複数（図中では４個）配設され
る。５２は平行部５３と入側傾斜部５４とを備えたスラ
ブ５１の幅方向プレス用の金型であり、間欠搬送ピンチ
ロール６０及びモータ６の回転と同調して作動する、図
示しない１対の幅圧下装置にそれぞれ装着されている。
なお、座屈抑制板１の下面の曲面部１ａは平面でもよ
い。

【００２２】［作用・効果］先ず、幅圧下するスラブ５
１の厚さに応じて、高さ調整シリンダ８及び偏心ブッシ
ュ３の回動により、座屈抑制板１の高さを調整して待機
する。次に、スラブ５１の先端及び後端を金型５２の位
置でそれぞれ停止させて偏心軸２を間欠回動し、支持軸
９を支点にして座屈抑制板１をその曲面部１ａがスラブ
５１の最大座屈発生部と軽く接触または微小隙間を形成
するように、その都度下降させてその座屈浮き上がりを
抑制，拡散せしめると共に双方の金型５２によってそれ
ぞれ幅圧下し、所定の板幅に予めプレスする。

【００２３】なお、スラブ５１の幅方向プレスが完了
し、次のプレスのためにこのスラブ５１を間欠搬送する
ときは、偏心軸２を間欠回転して座屈抑制板１を上昇さ
せ、その曲面１ａとスラブ５１との摺動を避ける。

【００２４】次に、スラブ５１の未プレス部が間欠搬送
ピンチロール６０によって金型５２の有効長さで間欠搬
送されて停止すると、偏心軸２をモータ６によって駆動
回転して座屈抑制板１を下降させ、前述と同様にその曲
面部１ａでスラブ５１の座屈による浮き上がりを抑制，
拡散せしめると共に双方の金型５２によってスラブ５１
を幅圧下し、所要の板幅にプレスする。

【００２５】このスラブ５１の停止、座屈の抑制、幅圧
下、搬送を反復し、スラブ５１を全長にわたって所要の
板幅にプレスする。

【００２６】本実施例では、高さ調整手段として従来の
装置の油圧シリンダ５８・５９の代わりに偏心軸２を使
用しているので、高さ調整手段の消耗を少なくすること
ができる。また、本実施例のように、スラブ５１に座屈
抑制板１を近接しておいて座屈浮き上がりを抑制，拡散
せしめるものは、2.5 トン程度（１mm隙間の場合）の荷
重で座屈を抑止できる。因みに従来のように、始めから
当接して抑えるものでは、約１０トンの荷重が掛かる。

【００２７】［第２実施例］ ［構成］ 図３において、１１は座屈抑制板であり、その下面の金
型５２による平行圧下部ａ及び傾斜圧下部ｂより少し長
い範囲にはスラブ搬送方向に平行な方向に大半径の曲面
部１１ａが形成され、入側の両側面に突出した支持軸１
５は、ロッド部がガイド１４によってガイドされて昇降
する高さ調整シリンダ１２によって懸吊されている。

【００２８】座屈抑制板１１の出側の上面には高さ調整
シリンダ１２が内装され、この高さ調整シリンダ１２
は、ロッド部がガイド１４によってガイドされる昇降シ
リンダ１３によって懸吊されている。その他の構成は第
１実施例と同一である。

【００２９】［作用・効果］先ず第１実施例と同様に、
スラブ５１の厚さに応じて、入側及び出側の高さ調整シ
リンダ１２によって、座屈抑制板１１の高さを調整して
待機する。

【００３０】次に、スラブ５１の先端及び後端を金型５
２の位置でそれぞれ停止させ、昇降シリンダ１３のロッ
ド部をガイド１４によってガイドしながら、座屈抑制板
１１をその曲面部１１ａがスラブ５１の最大座屈発生部
と軽く接触または微小隙間を形成するように、支持軸１
５を支点にしてその都度下降させると共に双方の金型５
２によってそれぞれ幅圧下し、所定の板幅に予めプレス
する。

【００３１】なお、スラブ５１のプレスが完了し、次の
プレスのためにこのスラブ５１を間欠搬送するときは、
昇降シリンダ１３によって座屈抑制板１を上昇させ、そ
の曲面１ａとスラブ５１との摺動を避ける。

【００３２】次に、スラブ５１の未プレス部が間欠搬送
ピンチロール６０によって金型５２の有効長さで間欠搬
送されて停止すると、昇降シリンダ１３によって座屈抑
制板１１を下降させ、前述と同様にその曲面部１１ａで
スラブ５１の座屈による浮き上がりを抑制，拡散せしめ
ると共に双方の金型５２によってスラブ５１を幅圧下
し、所要の板幅にプレスする。このスラブ５１の停止及
び、座屈の抑制、幅圧下、搬送を反復し、スラブ５１を
全長にわたって所要の板幅にプレスする。

【００３３】［第３実施例］ ［構成］図４において、２１は座屈抑制板であり、その
下面の金型５２による平行圧下部ａ及び傾斜圧下部ｂよ
り少し長い範囲には平面部２１ａが形成されている。ま
た、入側及び出側の上面には高さ調整シリンダ２３がそ
れぞれ内装されており、間欠搬送ピンチロール６０と同
調して間欠回転する入側及び出側のクランクディスク２
２によってロッド２４を介してそれぞれ懸吊されてい
る。

【００３４】座屈抑制板２１の出側には、位置調整シリ
ンダ２５が装設されている。なお、座屈抑制板２１の下
面は第１実施例及び第２実施例と同様に、大半径の曲面
でもよい。その他の構成は第１実施例と同一である。

【００３５】［作用・効果］先ず第１実施例と同様に、
スラブ５１の厚さに応じて、双方の高さ調整シリンダ２
３によって、座屈抑制板２１の高さを調整すると共に位
置調整シリンダ２５によって、スラブ５１の先端部、後
端部及び中央部の各々の幅圧下時に、座屈抑制板２１を
各々の最適のスラブ進行方向位置に位置するように調整
して待機する。

【００３６】次に、スラブ５１の先端及び後端を金型５
２の位置でそれぞれ停止させ、双方のクランクディスク
２２を間欠回転してロッド２４及び座屈抑制板２１を、
その平面部２１ａがスラブ５１と軽く接触または微小隙
間ｇを形成するように、平行に下降させると共に双方の
金型５２によってそれぞれ幅圧下し、所定の板幅に予め
プレスする。

【００３７】なお、スラブ５１のプレスが完了し、次の
プレスのためにこのスラブ５１を間欠搬送するときは、
双方のクランクディスク２２を間欠回転して座屈抑制板
２１を平行に上昇させ、その曲面１ａとスラブ５１との
摺動を避ける。

【００３８】次に、スラブ５１の未プレス部が間欠搬送
ピンチロール６０によって金型５２の有効長さで間欠搬
送されて停止すると、クランクディスク２２の間欠回転
によって座屈抑制板２１を平行に下降させ、前述と同様
にその平面部２１ａをスラブ５１に軽く接触させるかま
たは微小隙間ｇを形成し、スラブ５１の座屈による浮き
上がりを抑制，拡散せしめると共に双方の金型５２によ
ってスラブ５１を幅圧下し、所要の板幅にプレスする。

【００３９】このスラブ５１の停止、座屈の抑制、幅圧
下、搬送を反復し、スラブ５１を全長にわたって所要の
板幅にプレスする。

【００４０】本実施例では、高さ調整手段として従来の
装置の油圧シリンダ５８・５９の代わりにクランクディ
スク２２を使用しているので、高さ調整手段の消耗を少
なくすることができる。

【００４１】［第４実施例］ ［構成］ 図５において、３１は座屈抑制板であり、その下面には
スラブ搬送方向に平行な方向に曲面部３１ａが形成され
ている。また、入側及び出側の上面には高さ調整シリン
ダ３３がそれぞれ内装されており、揺動昇降手段として
の、連続搬送ピンチロール３６によるスラブ５１の搬送
と同調して回転する入側クランクディスク３２ａ、及び
この入側クランクディスク３２ａとロッド３４の軸着位
置の位相が異なる出側クランクディスク３２ｂによって
ロッド３４を介してそれぞれ懸吊されている。

【００４２】座屈抑制板３１の入側には、フィードシリ
ンダ３５が装設されている。１０は支持ローラである。

【００４３】［作用・効果］ 先ず、第３実施例と同様
に、双方の高さ調整シリンダ３３によって座屈抑制板３
１の高さを調整すると共にフィードシリンダ３５によっ
て、スラブ５１の先端部、後端部及び中央部の各々の幅
圧下時に、座屈抑制板３１を各々の最適のスラブ進行方
向位置に位置するように調整して待機する。

【００４４】次に、スラブ５１を連続搬送ピンチロール
３６によって搬送しながら、入側クランクディスク３２
ａ及び出側クランクディスク３２ｂを回転し、ロッド３
４を介して座屈抑制板３１を、その曲面部３１ａがスラ
ブ５１の最大座屈発生部と軽く接触または微小隙間ｇを
形成するように下降しながらフィードシリンダ３５によ
ってスラブ進行方向にスラブ５１の進行と同一の速度で
押出して揺動させ、スラブ５１の最大座屈発生部と軽く
接触させるかまたは微小隙間を形成しながら双方の金型
３７によってそれぞれ幅圧下し、スラブ５１の座屈を抑
制しながらその先端及び後端を所定の板幅に予めプレス
する。

【００４５】次に、スラブ５１の未プレス部が連続搬送
ピンチロール３６によって搬送されて来ると、互いに位
相の異なる入側クランクディスク３２ａ及び出側クラン
クディスク３２ｂの回転によって座屈抑制板３１を下降
しながらフィードシリンダ３５によって前述と同様に揺
動させ、その曲面部３１ａをスラブ５１の最大座屈発生
部に軽く接触させるかまたは微小隙間を形成し、スラブ
５１の座屈による浮き上がりを抑制，拡散せしめると共
に双方の金型３６によってスラブ５１を幅圧下し、所要
の板幅にプレスする。

【００４６】この座屈抑制板３１の揺動によって、曲面
部３１ａとスラブ５１との接触部または微小隙間形成部
は、金型３７が進行しながら幅圧下している間は、スラ
ブ進行方向に進行する。

【００４７】この座屈抑制板３１の下降及び揺動による
スラブ５１の座屈の抑制、金型３７による幅圧下を反復
し、連続搬送されるスラブ５１を全長にわたって所要の
板幅にプレスする。

【００４８】尚、双方の金型３７は、スラブ５１の連続
搬送と同調して進行しながらスラブ５１を幅圧下し、こ
の幅圧下が終了すると進行を停止してスラブ５１から離
れて後退する。即ち、図中の矩形矢印は金型３７の移動
方向を示すもので、ａ矢印位置でプレス開始，ｂ矢印が
プレスとスラブの同期移動を示す。つまり、本実施例で
は、スラブ５１が間欠搬送でなく、止まることなく連続
的に搬送されるもので、座屈抑制板３１はフィードシリ
ンダ３５によってスラブ搬送方向にスラブ５１と同期移
動させるのである。

【００４９】また、本実施例では、スラブ５１と曲面部
３１ａとの接触位置が移動する及び従来のように両者が
常時接触しないので、座屈抑制板３１の熱損傷が最小限
に抑えられ、同座屈抑制板３１の耐久性が高まる。ま
た、座屈抑制板３１の内部を水冷構造としてその耐久性
を高めてもよい。

【００５０】

【発明の効果】

（１）請求項１及び５においては、下面をスラブ搬送方
向に平行な方向に曲面または平面に形成した座屈抑制板
の高さを調整して昇降させ、最下降時にはその下面によ
ってスラブの間欠搬送の停止時にその上面と接触または
微小隙間を形成することにより、次に示す効果がある。 （ａ）幅圧下するスラブの厚さ変更に対応することが可
能になり、座屈抑制板を最下降させたときにその下面が
スラブの上面と接触または微小隙間を形成するように座
屈抑制板の高さを調整することができる。 （ｂ）スラブの圧延方向の長い範囲の座屈による浮き上
がりを抑制，拡散せしめることができるので、スラブの
大きい座屈を完全に防止することができる。 （ｃ）座屈抑制板の下面の面積が大きいので、スラブが
浮き上がったときにその面圧が小さくなり、ブリネリン
グの発生を防止することができる。 （ｄ）スラブの搬送時には、座屈抑制板を上昇してスラ
ブと接触させないので、スラブ間欠搬送手段の負荷を軽
減することが可能になる。従って、スラブ搬送手段の動
力を小さくすることができる。また、座屈抑制板に圧延
方向位置調整手段を設けたことにより、スラブの先端
部、後端部、中央部の各々の幅圧下時に、座屈抑制板を
各々の最適の圧延方向位置に位置するように調整するこ
とができる。従って、スラブの座屈を効果的に抑制する
ことができる。

【００５１】

【００５２】（２）請求項２においては、請求項１の効
果に加え、座屈抑制板の下面をスラブ搬送方向に平行な
方向に曲面に形成し、この座屈抑制板に昇降揺動手段及
び高さ調整手段を設けたことにより、連続して搬送され
るスラブの先端部、後端部、中央部の各々の幅圧下時
に、座屈抑制板を前記各々の最大座屈発生部にその曲面
部が軽く接触するかまたは微小隙間を形成し、座屈抑制
板を揺動させることによってこの接触部または隙間形成
部をスラブの搬送と共に進行させて維持することができ
る。また、座屈抑制板に圧延方向位置調整手段を設けた
ことにより、座屈抑制板を最適の圧延方向位置に位置す
るように調整することができる。従って、スラブの座屈
を効果的に抑制することができる。

【００５３】（３）請求項３においては、請求項１の効
果に加え、座屈抑止位置を最大座屈発生部及びスラブの
全てのプレス位置（長さ方向の先端部、後端部、中央）
に対応させられる。従って、スラブの座屈を効果的に抑
制することができる。

【００５４】（４）請求項４においては、請求項１の効
果に加え、座屈抑止位置に対応してスラブの下面が支持
される。従って、スラブの座屈を効果的に抑制すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例としての、サイジングプレ
ス装置の概略を示す側面図である。

【図２】図１のII−II断面図である。

【図３】本発明の第２実施例としての、サイジングプレ
ス装置の概略を示す側面図である。

【図４】本発明の第３実施例としての、サイジングプレ
ス装置の概略を示す側面図である。

【図５】本発明の第４実施例としての、サイジングプレ
ス装置の概略を示す側面図である。

【図６】従来の装置の一例としての、サイジングプレス
装置の概略を示す側面図である。

【図７】スラブの板幅方向のプレスを示す平面図であ
る。

【図８】スラブの板幅方向のプレスにおける座屈を示す
斜視図である。

【符号の説明】

１、１１、２１、３１ 座屈抑制板 １ａ、１１ａ、３１ａ 曲面部 ２ 偏心軸 ２ａ 偏心部 ３ 偏心ブッシュ ８、１２、２３、３３ 高さ調整シリンダ ９、１５ 支持軸 １０ 支持ローラ １３ 昇降シリンダ ２１ａ 平面部 ２２ クランクディスク ２５ 位置調整シリンダ ３２ａ 入側クランクディスク ３２ｂ 出側クランクディスク ３５ フィードシリンダ ３６ 連続搬送ピンチロール ３７、５２ 金型 ５１ スラブ ６０ 間欠搬送ピンチロール ｇ 微小隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−70308（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B21B 15/00 B21B 1/02

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スラブ搬送手段と、このスラブ搬送手段
   と同調してその停止時にスラブの両エッジ部を板幅方向
   に圧下するように設けた１対の金型とを具備したサイジ
   ングプレスであって、 下面をスラブ搬送方向に平行な方向に曲面または平面に
   形成して前記スラブの上方で昇降するように設けた座屈
   抑制板と、この座屈抑制板の前記下面が前記スラブ間欠
   搬送手段と同調してその停止時に前記スラブの上面と接
   触または微小隙間を形成する迄下降するように前記座屈
   抑制板に設けた高さ調整手段及び昇降手段とを具備し、
   かつ前記座屈抑制板にスラブ進行方向位置調整手段を設
   けたことを特徴とする熱間スラブのサイジングプレス装
   置。
2. 【請求項２】 スラブ搬送手段と、このスラブ搬送手段
   と同調して進行しながら前記スラブの両エッジ部を板幅
   方向に圧下するように設けた１対の金型とを具備したサ
   イジングプレスであって、 下面をスラブ搬送方向に平行な方向に曲面に形成して前
   記スラブの上方に設けた座屈抑制板と、この座屈抑制板
   の前記下面が前記スラブ搬送手段と同調して前記スラブ
   の最大座屈発生部と接触または微小隙間を形成する迄下
   降するように前記座屈抑制板に設けた昇降揺動手段と高
   さ調整手段及び位置調整手段とを具備したことを特徴と
   する熱間スラブのサイジングプレス装置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２の装置であって、前記座
   屈抑制板は板幅方向の中央部に位置して設けられるとと
   もに、その曲面部又は平面部の板搬送方向長さを金型の
   平行部と入側傾斜部とに相当する長さを有することを特
   徴とする熱間スラブのサイジングプレス装置。
4. 【請求項４】 請求項１，２又は３の装置であって、前
   記座屈抑制板に対向してスラブ下面を支持する支持ロー
   ラが座屈抑制板の曲面部又は平面部の板搬送方向長さと
   略同じ長さ範囲に渡って複数配設されることを特徴とす
   る熱間スラブのサイジングプレス装置。
5. 【請求項５】 熱間スラブのサイジングプレス時に生じ
   る座屈浮き上がりを、熱間スラブ上面に接触又は近接し
   て配置された座屈抑制板により抑止，拡散せしめること
   を特徴とする熱間スラブのサイジングプレス方法。