JP3241780B2 - 細孔放電加工装置 - Google Patents

細孔放電加工装置

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    • B23H1/00—Electrical discharge machining, i.e. removing metal with a series of rapidly recurring electrical discharges between an electrode and a workpiece in the presence of a fluid dielectric
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的細径の孔を高速
であけることができる細孔放電加工装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】例えば、ワイヤカット放電加工に際して
ワイヤ電極挿通用の所謂加工開始孔を被加工物に穿設す
る等のために、特開昭６０−１７２４２３号公報に開示
されているような、加工用電極として中空棒状のパイプ
電極を用い、加工液を該電極の中空部を通し先端開口か
ら噴出させて加工間隙に供給し、被加工物に比較的細径
の孔を高速であけるようにした小型の細孔放電加工装置
が広く用いられている。この種の細孔放電加工装置は、
径が数ｍｍ以下で比較的長いパイプ電極を用い、該電極
中空部より高圧（例えば１．９６ＭＰａ(２０ｋｇf／ｃ
ｍ２）以上）の加工液を噴出させながら、加工間隙に極
めて大きな電流密度の加工電流を与え、これにより、一
般の電極消耗率の小さい型彫放電加工の数倍から数十倍
の加工速度で被加工物を加工することができ、このよう
な高速加工の特徴の故に、最近では、寸法の小さな小型
部品を高速で加工するためにも広く用いられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の放
電加工装置によって放電孔あけ加工を行なうと、形成さ
れる加工孔の被加工物上面の開口周縁部に、被加工物か
ら放電により溶融除去された加工チップが付着してこび
りつくので、被加工物の仕上がり品質を著しく損ねると
いう問題点を有している。特に、小型部品の加工におい
てはこれを面倒な手作業で除去しなければならない。こ
の溶融加工チップの付着による溶融付着物の発生状態は
放電加工条件に大きく依存することが知られており、よ
り高速で孔あけ加工を行なおうとするほど溶融付着物は
多量に発生し、加工製品の品質が著しく低下する。溶融
付着物の発生を抑えるには、加工間隙に与える放電エネ
ルギーを小さく抑えればよいが、加工速度が著しく低下
してしまい、この種の放電加工装置の特徴である高速加
工を実現することができなくなるという不具合を生じる
ことになる。したがって、結局、従来においては、高速
加工後、別工程にて溶融付着物の除去を行なうという方
法によりこの問題に対処せざるを得ず、加工能率が極め
て悪く、コストを上昇させる一因となっていた。本発明
の目的は、被加工物上面における加工孔の開口周縁部に
溶融加工チップが付着することを有効に抑えつつ、高速
で細径の孔を放電孔あけ加工することができる、改善さ
れた細孔放電加工装置を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の細孔放電加工装置は、加工用電極として中
空棒状の細径のパイプ電極を用い、加工台に固定された
被加工物の上面に該パイプ電極の先端を加工間隙を介し
て対向させて配置し、パイプ電極に該パイプ電極の軸方
向の送りを与える電極送り装置を設けると共に、該電極
送り装置によるパイプ電極の軸方向の移動を案内する電
極ガイドをガイドホルダに固定して設けて、パイプ電極
の中空部を通して加工液を加工間隙に供給しつつ加工用
パルス電圧を繰返し印加し、電極送り装置によりパイプ
電極に軸方向の所要の送りを与えることにより、放電加
工によって被加工物に細径の加工孔を形成する細孔放電
加工装置において、被加工物の上面における加工孔の開
口周縁部に向けて、所要に傾斜した噴射角度で加工液を
噴射する複数のノズルを、前記パイプ電極の軸を中心と
して等角度間隔で配置してなる加工液噴射ノズル装置を
前記ガイドホルダに設け、該加工液噴射ノズル装置の各
ノズルから１．９６ＭＰａ(２０ｋｇf／ｃｍ２）以上の
液圧で加工液が噴射されるよう加工液を加圧して加工液
噴射ノズル装置に供給する加工液加圧供給装置を設け
て、放電加工により生成する溶融加工チップの前記開口
周縁部への付着を抑えるようにしたことを特徴とする。
【０００５】
【作用】パイプ電極に軸方向の送りを与えることにより
形成される加工孔の被加工物上面の開口周縁部に向けて
複数の各ノズルから所要に傾斜した噴射角度で１．９６
ＭＰａ以上の高圧の加工液を噴射することにより、前記
開口周縁部に付着した溶融加工チップが高圧噴射によっ
て吹き飛ばされ、前記開口周縁部に溶融加工チップが付
着することが抑えられる。また、複数のノズルがパイプ
電極の軸を中心として等角度間隔で配置されているか
ら、溶融加工チップの付着防止に有効なように所要に傾
斜した噴射角度で加工液を高圧噴射しても、各ノズルか
ら噴射される加工液によりパイプ電極に作用する外力が
相互にキャンセルされ、パイプ電極を傾斜等変形させた
りすることがない。
【０００６】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の一実施例
について詳細に説明する。
【０００７】図１は、本発明による細孔放電加工装置の
一実施例を示すものであり、細孔放電加工装置１０は、
ブラケット１１を介してメインフレーム１２に固設され
ているヘッド部１３を具えている。
【０００８】ヘッド部１３は、ブラケット１１に固定さ
れたＬ字形の案内フレーム１４を有し、案内フレーム１
４の一端には、加工用のパイプ電極１５を案内するため
の公知の電極ガイド１６が、ガイドホルダ１７を介して
適宜の手段で固定されている。このパイプ電極１５の基
端１５ａは、可動アーム１８に設けられた軸受け１９に
よって回転自在に支持されている中空軸２０の下端に設
けられたチャック装置２１によって把持されている。可
動アーム１８は、Ｚ軸方向、すなわち、パイプ電極１５
の軸方向に沿って移動しうるよう、案内フレーム１４に
よって案内されている。
【０００９】チャック装置２１によって把持されたパイ
プ電極１５を回転させるため、中空軸２０には、モータ
２２の出力軸２２ａに固着されたピニオン２３と噛合す
る平歯車２４が取り付けられており、中空軸２０がモー
タ２２によって減速回転せしめられる構成となってい
る。
【００１０】回転する中空軸２０の中空部２０ａに加工
液を供給するため、中空軸２０の上端には、回転ジョイ
ント２５が装着されており、加工液タンク２７内の加工
液２８が加圧ポンプ２６によって加圧され、送給パイプ
２９を介して回転ジョイント２５に送られる。チャック
装置２１内において、中空軸２０の中空部に供給されて
いる加圧加工液がパイプ電極１５の中空部に送られるよ
う中空軸２０とパイプ電極１５とが接続されており、し
たがって、送給パイプ２９を介して送られる加圧加工液
は、パイプ電極１５の下端開口から被加工物３１に向け
て噴出される。なお、符号３０で示されるのは、加圧ポ
ンプ２６を含む加工液送給系統を保護するためのレリー
フ弁である。
【００１１】パイプ電極１５によって孔あけ加工すべき
被加工物３１は、図示しない加工台に適宜の手段で固定
されており、被加工物３１とパイプ電極１５との間に
は、加工用パルス電源３２から加工用パルス電圧が供給
されている。この加工用パルス電圧によってパイプ電極
１５と被加工物３１との間に形成される加工間隙で放電
を繰返し発生させながら加工を進捗せしめるため、サー
ボ制御ユニット３３及び送りモータ３４を含んで成る電
極送り装置３５が構成されている。
【００１２】電極送り装置３５を構成する送りモータ３
４には、可動アーム１８と螺合している送りねじ３６が
連結されており、加工用パルス電源３２からサーボ制御
ユニット３３に送られる加工間隙状態信号Ｓｇに基づい
てサーボ制御ユニット３３から出力されるサーボ制御信
号ＳＣに応答して送りモータ３４が作動する。これによ
り、パイプ電極１５の送り量が制御され、加工間隙長が
加工中常に適切な状態に保持される、所謂電極送りサー
ボ制御システムが構成されている。
【００１３】本発明による細孔放電加工装置１０は、さ
らに、加工孔３１ａの入口側開口の被加工物３１上面の
周縁部３１ｂに放電により溶融除去された加工チップが
付着することによる溶融付着物の形成を抑えるため、加
工液噴射ノズル装置４０を備えている。加工液噴射ノズ
ル装置４０は、電極ガイド１６を固定保持するガイドホ
ルダ１７にねじ止め等の適宜の手段で固定されており、
本実施例では、第１及び第２ノズル部４１、４２を具え
ている。
【００１４】加工液噴射ノズル装置４０の詳細を図２及
び図３に示す。加工液噴射ノズル装置４０は、その中央
部に電極ガイド１６が挿入される孔４０ａがあけられた
肉厚の筒状部材として形成された本体４３を有し、本体
４３内に第１及び第２ノズル部４１、４２が形成されて
いる。第１及び第２ノズル部４１、４２は、通路４１
ａ、４２ａを含み、パイプ電極１５の軸を中心として１
８０度間隔で設けられている。したがって、加工液噴射
ノズル装置４０によってパイプ電極１５に加えられる２
つの方向からの加工液圧力は、互いにキャンセルされ、
パイプ電極１５を変形させるような力がパイプ電極１５
に働くことがない。
【００１５】第１ノズル部４１の通路４１ａの一端は、
加工液送給パイプ５３によって加工液加圧供給装置５０
に連通されており、通路４１ａの他端４１ｂが加工液噴
射ノズルとして働くように形成されている。同様に、第
２ノズル部４２の通路４２ａの一端も、加工液送給パイ
プ５３によって加工液加圧供給装置５０に連通されてお
り、通路４２ａの他端４２ｂが加工液噴射ノズルとして
働くように形成されている。各ノズルの先端開口の直径
は、そこから噴射される加工液が丁度被加工物上面にお
ける加工孔の開口周縁部をカバーするように、その時使
用するパイプ電極の径と略等しいか、或いは、その径よ
り若干大きく選ぶのが好ましい。しかしながら、ノズル
先端から噴射された加工液は拡がる傾向を有するので、
その径より多少小さくても何ら差し支えない。
【００１６】加工液噴射ノズルとして働くように成形さ
れている第１及び第２ノズル部４１、４２の各他端４１
ｂ、４２ｂは、これらから噴射される各加工液をパイプ
電極１５により形成される加工孔３１ａの入口側開口の
周縁３１ｂに当てるため、図示の実施例では、加工液噴
射角度が４５度の角度をなすように形成されている。し
かし、上記説明から明らかな如く、この加工液噴射角度
は４５度に限定されるものではなく、加工液がパイプ電
極１５の加工孔３１ａの入口側開口の周縁３１ｂに当た
るように、その時々の状況に応じて所要に傾斜した噴射
角度とすることができる。
【００１７】また、パイプ電極１５に加えられる加工液
圧力を相互にキャンセルし、パイプ電極１５を変形させ
るような力がパイプ電極１５に働くことがないようにす
るため、加工液噴射ノズル装置４０に代えて、例えば、
図４に示すように、ノズル部４１、４２と同様の構成の
３つのノズル部６１、６２、６３をパイプ電極１５の軸
を中心として角度１２０度間隔で設けた加工液噴射ノズ
ル装置６０を用いてもよいし、或いは、図５に示される
ように、同じく４つのノズル部７１、７２、７３、７４
を９０度間隔で設けた加工液噴射ノズル装置７０を用い
てもよい。
【００１８】図１に戻ると、加工液加圧供給装置５０
は、加工液２８を加圧するための加圧ポンプ５１と、加
圧ポンプ５１と並列に接続されたレリーフ弁５２とから
成り、加圧ポンプ５１によって、各ノズル４１ｂ、４２
ｂから１．９６ＭＰａ以上の圧力の加工液を前記開口周
縁部３１ｂに向けて噴射できるように構成されている。
【００１９】図１に示す構成によれば、加圧ポンプ２６
により加圧された加工液はパイプ電極１５の下端から所
要の圧力をもって加工間隙に供給され、これにより、加
工間隙に加工液が存在する状態の下で放電加工が実行さ
れ、且つ電極送り装置３５によって加工間隙長は放電加
工期間中適切な値に維持される。
【００２０】放電加工により溶融除去された加工チップ
（溶融物）は、パイプ電極１５の中空部を介して加工間
隙に供給された加工液の流れにより、パイプ電極１５の
外側面と加工孔３１ａの壁面（加工面）との間の隙間を
上昇し、加工孔３１ａの上端開口から排出される。しか
し、加工速度が大きい場合、溶融物の発生量が多く、ま
たその大きさも大きいため、パイプ電極１５の中空部か
ら供給する加工液の噴流のみで溶融物を完全に除去する
ことは困難である。すなわち、加工間隙に供給された加
工液が、前記隙間を流動して上方へ向かい、加工孔３１
ａの上端開口から外部に排出されて拡散する際に、加工
液の圧力と流速が急激に低減して、溶融物の除去作用が
急激に低下することにより、被加工物３１の上面の加工
孔３１ａの開口周縁部３１ｂに溶融物が円環状に付着し
てしまう。また、被加工物が鉄の如き磁性体である場
合、溶融物は磁性を帯びるため、加工液の流動による溶
融物の除去作用が低下すると溶融物が磁力によっても被
加工物に付着することになる。
【００２１】しかし、本発明の細孔放電加工装置１０に
よれば、ノズル装置４０、６０、７０によって所要に傾
斜した噴射角度で１．９６ＭＰａ以上の高圧の加工液を
被加工物３１上面における加工孔３１ａの開口周縁部３
１ｂに当てるように噴射したことにより、加工間隙から
加工孔３１ａの外に排出された加工チップの前記開口周
縁部３１ｂへの付着が阻害され、また、図１に示すよう
に、前記開口周縁部３１ｂに溶融付着物Ｃが形成されて
も、高圧加工液の噴射によりこれを強制的に被加工物よ
り離脱させるので、結局、前記開口周縁部３１ｂに溶融
付着物が生成するのを有効に防止することができる。
【００２２】実験によれば、ノズル装置４０の各ノズル
４１ｂ、４２ｂ先端における加工液の圧力が１．９６Ｍ
Ｐａであれば溶融付着物を除去する効果を認めることが
でき、３．９２ＭＰａ（４０ｋｇf／ｃｍ２）とすれば
溶融付着物の発生がほぼ完全に防止されることが認めら
れた。したがって、本発明者の実験によれば、ノズル装
置４０の各ノズル４１ｂ、４２ｂ先端における加工液の
圧力は、少なくとも１．９６ＭＰａとすることが、溶融
付着物の発生を防ぐために必要であることが確認され
た。
【００２３】
【発明の効果】本発明によれば、パイプ電極を用いて比
較的細い孔を放電加工により高速にあける場合、加工液
噴射ノズル装置により、被加工物の上面における加工孔
の開口周縁部に向けて複数の各ノズルから溶融加工チッ
プの付着防止に有効なように所要に傾斜した噴噴射角度
で１．９６ＭＰａ以上の高圧の加工液を噴射するように
したので、前記開口周縁部に付着した溶融加工チップを
前記ノズルからの高圧噴射によって吹き飛ばし、該開口
周縁部に溶融付着物を発生させることなく高速度に加工
を行うことができ、また、加工液を噴射する複数のノズ
ルをパイプ電極の軸を中心として等角度間隔で配置する
ようにしたから、各ノズルから高圧噴射される加工液に
よりパイプ電極に作用する外力が相互にキャンセルされ
てパイプ電極に傾斜等変形を生じさせることがなく、高
品質に細径の孔を加工することができる。したがって、
放電加工後に溶融付着物の除去作業を別工程で行なう必
要がなくなり、能率良く高品質の製品を製造することが
でき、特に、寸法の小さい部品加工等においては、大幅
なコストダウンを期待することができる。また、本発明
の細孔放電加工装置の加工液噴射ノズル装置は、電極ガ
イドを固定保持するガイドホルダに設けられているか
ら、被加工物上面の加工孔の開口周縁部に向けて正確に
加工液を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による細孔放電加工装置の一実施例の構
成を示す構成図。
【図２】図１の示す細孔放電加工装置の要部を拡大して
示す断面図。
【図３】図２のＡ−Ａ線断面図。
【図４】本発明による細孔放電加工装置に用いる加工液
噴射ノズル装置の変形例を示す断面図。
【図５】本発明による細孔放電加工装置に用いる加工液
噴射ノズル装置の別の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
１０ 細孔放電加工装置 １３ ヘッド部 １５ パイプ電極 １６ 電極ガイド １７ ガイドホルダ ２６ 加圧ポンプ ２８ 加工液 ３１ 被加工物 ３１ａ 加工孔 ３１ｂ 加工孔開口周縁部 ３２ 加工用パルス電源 ３３ サーボ制御ユニット ３５ 電極送り装置 ４０、６０、７０ 加工液噴射ノズル装置 ４１ 第１ノズル部 ４２ 第２ノズル部 ５０ 加工液加圧供給装置 ５１ 加圧ポンプ ６１、６２、６３、７１、７２、７３、７４ ノズル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B23H 1/00 - 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 加工用電極として中空棒状の細径のパイ
    プ電極を用い、加工台に固定された被加工物の上面に該
    パイプ電極の先端を加工間隙を介して対向させて配置
    し、前記パイプ電極に該パイプ電極の軸方向の送りを与
    える電極送り装置を設けると共に、該電極送り装置によ
    る前記パイプ電極の前記軸方向の移動を案内する電極ガ
    イドをガイドホルダに固定して設けて、前記パイプ電極
    の中空部を通して加工液を前記加工間隙に供給しつつ加
    工用パルス電圧を繰返し印加し、前記電極送り装置によ
    り前記パイプ電極に前記軸方向の所要の送りを与えるこ
    とにより、放電加工によって前記被加工物に細径の加工
    孔を形成する細孔放電加工装置において、 前記被加工物の上面における前記加工孔の開口周縁部に
    向けて、所要に傾斜した噴射角度で加工液を噴射する複
    数のノズルを、前記パイプ電極の軸を中心として等角度
    間隔で配置してなる加工液噴射ノズル装置を前記ガイド
    ホルダに設け、該加工液噴射ノズル装置の各ノズルから
    １．９６ＭＰａ以上の液圧で加工液が噴射されるよう加
    工液を加圧して前記加工液噴射ノズル装置に供給する加
    工液加圧供給装置を設けて、 放電加工により生成する溶融加工チップの前記開口周縁
    部への付着を抑えるようにしたことを特徴とする細孔放
    電加工装置。
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