JP3236924B2 - 体液吸収用当て材 - Google Patents

体液吸収用当て材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、パンティ等の下着の
内面に敷いて、おりもの等の体液を吸収するようにした
体液吸収用当て材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の体液吸収用当て材には、
いわゆるおりもの用シートと呼ばれるものが市販されて
いる。おりもの用シートは、生理日以外に下着の内面に
敷いておりものを吸収し、下着の汚れを防止しようとす
るものである。しかし、このおりもの用シートは、ただ
単に下着の汚れを防止するだけであって、他には何の機
能も備えていない。
【0003】ところで、おりもののpHは、生理周期、
トリコモナスなどの病的状態、更年期、妊娠時の破水等
により変動するので、おりもののpHを測定することで
健康状態、体調等をチェックできる場合がある。また、
医師が患者の病的状態を診るのに、おりもののpHを測
定する場合があるが、このような場合、医師は綿棒など
でおりものを採取し、pH試験紙に接触させて測定して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、おりも
の等の体液のpHを常日頃から測定するのは大変面倒で
あり、健康状態、体調等を簡単にチェックするためのバ
ロメーターとしてそのpH値を測定するには未だ多くの
課題を有していた。
【0005】また、医師が患者の体液のpHを測定する
場合にも、採取時などに内診が必要となりその測定に困
難性を伴うという課題を有していた。
【0006】そこで、この発明は、おりもの等の体液の
pH測定機能を備えた体液吸収用当て材を提供すること
により、上記課題を解決しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため、この発明の体
液吸収用当て材は、本体部1に、pHにより変色する色
素2を付着させたものとしている。好ましくは、本体部
1に、pHにより変色する色素2をインク化して付着さ
せたものとしている。
【0008】さらに、この発明の体液吸収用当て材は、
本体部1を少なくとも表面材1a、吸収体1b、及び防
水層1cより構成し、表面材1aを透視性のある素材と
すると共に、吸収体1bの表面にpHにより変色する色
素2を付着させたものとしてもよい。
【0009】また、この発明の体液吸収用当て材は、本
体部1を少なくとも表面材1a、吸収体1b、及び防水
層1cより構成し、防水層1cを透視性のある素材とす
ると共に、吸収体1bの裏面または防水層1cの内面に
pHにより変色する色素2を付着させたものとすること
ができる。
【0010】さらにまた、この発明の体液吸収用当て材
は、本体部1に、pHにより変色する色素2をインク化
して塗布あるいは印刷した上から、カチオン系のコーテ
ィング剤を塗布あるいは印刷したものとしてもよい。
【0011】しかも、この発明の体液吸収用当て材は、
前記色素2をニトラジンイエローとするのが好ましい。
そして、このニトラジンイエローとした色素2は、弱酸
性に調製した状態で塗布あるいは印刷したものとしても
よい。
【0012】
【作用】この発明の体液吸収用当て材は、上記構成とし
たため、pHにより変色する色素2がおりもの等の体液
で濡れると、反応して変色する。そして、この色素2の
変色具合は、体液吸収用当て材の表面もしくは裏面から
見ることができる。
【0013】さらに、前記色素2を付着させる部分を吸
収体1bまたは防水層1cにすれば、使用時に色素2が
使用者の皮膚に直接当たることがない。
【0014】また、前記色素2をインク化して塗布ある
いは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を塗
布あるいは印刷すれば、塗布あるいは印刷面から色素が
脱落することを効果的に抑えることができる。
【0015】さらにまた、pHにより変色する色素2
を、ニトラジンイエローとした場合には、体液のpHに
より、黄、黄緑、または青に変色する。
【0016】しかも、ニトラジンイエローを弱酸性に調
製しておくと、黄色に変色した状態で塗布あるいは印刷
されることになり、おりものが正常な場合には黄色のま
ま変色せず、おりものが異常な場合には黄色から青色に
変色する。
【0017】
【実施例】以下、この発明の体液吸収用当て材の構成
を、一実施例として示した図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0018】図1、2に示すように、この発明の体液吸
収用当て材は、表面材1a、吸収体1b、及び防水層1
cより本体部1が構成され、適当な包装材(図示せず)
により包装されている。この実施例では、表面材1aを
合成繊維不織布とし、吸収体1bを天然繊維不織布と
し、防水層1cをポリエチレンのバックシートとしてい
るが、必要に応じ適当な材質が選択される。図3に示し
たものは、前記表面材1aと吸収体1bを貼り合わせて
メッシュ加工したものとし、吸収体1bと防水層1cの
間に、合成繊維不織布とした吸収体1dを設けたものと
している。
【0019】そして、本体部1の吸収体1bの表面に
は、pHにより変色する色素2を付着させている。この
色素2を付着させるには、色素2をインク化して付着さ
せるのが好ましい。
【0020】また、色素2を付着させる部分は、表面材
1aをメッシュシート等の透視性のある素材とした場合
には、吸収体1bの表面または表面材1aの外面や内面
とすることができ、防水層1cを透明または半透明の透
視性のある素材とした場合には、吸収体1bの裏面また
は防水層1cの内面とすることができる。
【0021】さらに、この発明の体液吸収用当て材にお
いて使用される色素2は、pH4〜5、5〜6域で変色
するものを使用している。これは、一般的に、おりもの
のpHが5以上の時は病的な場合が多く、おりもののp
Hが5以下の時は正常な場合が多いので、上記pH域で
変色する色素2を使用するのが好ましい。また、尿失禁
のある人や妊婦で破水が起こった時などもpHが5以上
になるので、このような場合にも、上記色素2を使用す
るのが好ましい。実施例では、このような色素2とし
て、次の化学式に示されるニトラジンイエロー〔別名;
2−(2,4−ジニトロフェニルアゾ)−1−ナフトー
ル−3,6−ジスルホン酸二ナトリウム〕を採用した。
【0022】
【化1】
【0023】前記ニトラジンイエローは、pH4で黄色
に変色し、pH5で黄緑色に変色し、pH6で青色に変
色するものであり、人体に対しての安全性も非常に優れ
ている。
【0024】また、色素2をインク化するには、カチオ
ン基を有するヒドロゲル粒子に色素2を吸着させ、必要
に応じ表面を透湿、透水性皮膜で覆われた構成となる組
成物とすればよい。この組成物には、体液吸収用当て材
に固着させるための適当なバインダーを併用してもよ
い。なお、前記ヒドロゲル粒子としては、アクリル酸・
アクリルアミド・メタクリル酸・N,N−ジメチルアミ
ノエチル共重合物のグリセロールグリシジルエーテルに
よる部分架橋物で代表されるような組成物を用い、粒子
径を0.01〜50μmとするのが好ましい。
【0025】このインク化した色素2を塗布あるいは印
刷することにより、色素2がおりもの等の体液により湿
潤した場合にもブリード(色素が滲み出す現象)が起こ
らず、色素2を耐久性に優れた状態として本体部1に付
着させておくことができる。なお、前記色素2を塗布あ
るいは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を
塗布あるいは印刷したものとしてもよい。このようにす
れば、塗布あるいは印刷面から色素が脱落することを効
果的に抑えることができる。
【0026】さらに、色素2をニトラジンイエローとし
た場合には、表1、表2に示したように、他の色素、例
えばメチルレッド、ブロモチモルブルー、ブロモクレゾ
ールグリーンと比較して、pH4〜6域で鮮明な変色を
すると共に、加温加湿下(40℃、75%)、光曝露下
での経時変化のし難いものとなる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】また、ニトラジンイエローをインク化して
中性に調製しておくと、青色の状態で塗布あるいは印刷
されることになり、ニトラジンイエローをインク化して
弱酸性に調製しておくと、黄色の状態で塗布あるいは印
刷されることになる。
【0030】そのため、ニトラジンイエローをインク化
して青色の状態で塗布あるいは印刷したものでは、おり
ものが正常な場合には青色から黄色に変色するが、おり
ものが異常な場合には青色のまま変色しない。また、ニ
トラジンイエローをインク化して黄色の状態で塗布ある
いは印刷したものでは、おりものが正常な場合には黄色
のまま変色せず、おりものが異常な場合には黄色から青
色に変色する。
【0031】したがって、前者では実際には正常である
のに、おりものが無い時や少ない時に青色のまま変色し
ないことがあるため、異常であると勘違いする場合があ
る。しかし、後者では正常な場合には黄色であるため、
おりものが無い時や少ない時に変色しなくても、異常で
あると勘違いすることはない。
【0032】
【発明の効果】この発明の体液吸収用当て材は、以上に
述べたように構成されており、pHにより変色する色素
2がおりもの等の体液で濡れると変色し、この変色具合
を体液吸収用当て材の表面もしくは裏面から見ることが
できるので、健康状態、体調等を簡単にチェックするた
めのバロメーターとして使用できるようになった。そし
て、この発明の体液吸収用当て材を使用すれば、医師が
患者のおりもののpHを測定する場合にも、採取時など
に内診が不要となりその測定に困難性を伴うことがなく
なった。
【0033】さらに、前記色素2を付着させる部分を吸
収体1bまたは防水層1cにすれば、使用時に色素2が
使用者の皮膚に直接当たることがないので、安全性の面
で安心感が得られるものとなった。
【0034】また、前記色素2を塗布あるいは印刷した
上から、カチオン系のコーティング剤を塗布あるいは印
刷すれば、塗布あるいは印刷面から色素が脱落すること
を効果的に抑えることができので、安全性の面でより安
心感が得られるものとなった。
【0035】さらにまた、pHにより変色する色素2を
ニトラジンイエローとした場合には、体液のpHによ
り、黄、黄緑、または青に変色するので、健康状態、体
調等をより明らかにチェックできるようになった。
【0036】しかも、ニトラジンイエローをインク化し
て黄色の状態で塗布あるいは印刷したものでは、おりも
のが無い時や少ない時に正常な状態を表す黄色のままの
ため、おりものが異常であると勘違いすることはなく、
健康状態、体調等をチェックし易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の体液吸収用当て材の一実施例の一部
破断斜視図である。
【図2】この発明の体液吸収用当て材の図1中のA−A
線による拡大断面図である。
【図3】この発明の体液吸収用当て材の他実施例の拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 本体部 1a 表面材 1b 吸収体 1c 防水層 2 色素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平3−33604(JP,U) 実開 平4−11020(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61F 13/15 - 13/84

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本体部(1)に、pHにより変色する色素
    (2)をインク化して塗布あるいは印刷した上から、カ
    チオン系のコーティング剤を塗布あるいは印刷したこと
    を特徴とする体液吸収用当て材。
  2. 【請求項2】前記色素(2)をニトラジンイエローとし
    たことを特徴とする請求項1に記載の体液吸収用当て
    材。
  3. 【請求項3】本体部(1)に、pHにより変色する色素
    (2)としてニトラジンイエローを付着させたことを特
    徴とする体液吸収用当て材。
  4. 【請求項4】本体部(1)に、pHにより変色する色素
    (2)としてニトラジンイエローをインク化して付着さ
    せたことを特徴とする体液吸収用当て材。
  5. 【請求項5】本体部(1)を少なくとも表面材(1
    a)、吸収体(1b)、及び防水層(1c)より構成
    し、表面材(1a)を透視性のある素材とすると共に、
    吸収体(1b)の表面にpHにより変色する色素(2)
    としてニトラジンイエローを付着させたことを特徴とす
    る体液吸収用当て材。
  6. 【請求項6】本体部(1)を少なくとも表面材(1
    a)、吸収体(1b)、及び防水層(1c)より構成
    し、防水層(1c)を透視性のある素材とすると共に、
    吸収体(1b)の裏面または防水層(1c)の内面にp
    Hにより変色する色素(2)としてニトラジンイエロー
    を付着させたことを特徴とする体液吸収用当て材。
  7. 【請求項7】前記色素(2)を、弱酸性に調製した状態
    で塗布あるいは印刷したことを特徴とする請求項2乃至
    6のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
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