JP3236087B2 - 重合性磁性流体製造用界面活性剤 - Google Patents

重合性磁性流体製造用界面活性剤

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JP3236087B2
JP3236087B2 JP28738692A JP28738692A JP3236087B2 JP 3236087 B2 JP3236087 B2 JP 3236087B2 JP 28738692 A JP28738692 A JP 28738692A JP 28738692 A JP28738692 A JP 28738692A JP 3236087 B2 JP3236087 B2 JP 3236087B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は直鎖状脂肪族カルボン酸
からなる重合性磁性流体製造用界面活性剤に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性流体はあたかも強磁性を示す液体と
して振舞うなど、そのユニークな性質から磁性流体シー
ル、光学材料等の分野で用いられている。一般に、磁性
流体は磁性微粒子、界面活性剤、分散媒から構成されて
いる。近年、分散媒として重合性のモノマーを用いて、
磁気シールド、磁気記録パターンの可視化、磁気探傷な
どを用途とする新たな磁性フィルムを作る試みが報告さ
れている。また、重合性磁性流体は磁性材料同士の接続
に磁性流体接着剤として利用されている。
【0003】従来、磁性流体の製造においては界面活性
剤として、オレイン酸、リノール酸に代表される折れ曲
がった分子骨格を有する化合物、あるいは多数の官能基
や側鎖を一つの分子中に有する化合物等が用いられてい
た。しかし、このような界面活性剤では重合性分散媒中
に磁性微粒子を安定に分散させることは容易ではなく、
分散のために多量の界面活性剤を必要とした。しかも、
界面活性剤の過剰の使用は分散媒の重合時における硬化
不良の原因となる。
【0004】更に、従来の界面活性剤では過剰に用いて
いるにも拘らず、予期せぬ粘度上昇、固化といった望ま
しくない現象が併発される。これは磁性微粒子が触媒と
なり、ラジカル重合が起こったためと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、安定な磁性微
粒子の分散性を示し、保存中は重合を起こさず、重合時
にのみ硬化する重合性磁性流体、この重合性磁性流体の
製造に適した界面活性剤が切望されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、重合性
磁性流体の製造に適した界面活性剤を開発すべく研究を
重ねた結果、特定の分子構造を有する直鎖状脂肪族カル
ボン酸が、界面活性剤として重合性磁性流体の製造に適
することを見出し本発明を完成するに至った。即ち、本
発明は、
【0007】
【化2】
【0008】(但し、Rは炭素数1〜12のアルキル基
を、nは1〜25の整数を、mは10〜12の整数を各
々示す)で表される直鎖状脂肪族カルボン酸からなる重
合性磁性流体製造用界面活性剤に関する。
【0009】上記一般式で、Rが水素原子である直鎖状
脂肪族カルボン酸、nが0である直鎖状脂肪族カルボン
酸、あるいはmが10未満である直鎖状脂肪族カルボン
酸などは、重合性磁性流体用の界面活性剤として使用す
ると、磁性微粒子の分散性は低下し、保存中に分散媒の
重合も起こり易くなる。また、Rが炭素数12を越えた
アルキル基である直鎖状脂肪族カルボン酸、nが25を
越えた直鎖状脂肪族カルボン酸、あるいはmが13以上
である直鎖状脂肪族カルボン酸などの場合は、原料の入
手が難しく合成が困難であるのみならず、重合性磁性流
体の合成に必要な界面活性剤としての量が増加し経済的
でない上に、これらを用いて調製した重合性磁性流体
は、重合時に於て硬化不良を起こす傾向にある。
【0010】本発明の前記一般式で表される直鎖状脂肪
族カルボン酸を具体的に例示すると、CH3O(C24
O)2(CH210COOH、CH3O(C24O)2(C
211COOH、CH3O(C24O)2(CH212
OOH、CH3O(C24O)3(CH210COOH、
CH3O(C24O)3(CH211COOH、CH3
(C24O)3(CH212COOH、H(C24O)3
(CH210COOH、H(C24O)3(CH211
OOH、H(C24O)3(CH212COOH、C49
OC24O(CH212COOH、C49O(C2
4O)2(CH212COOH、C49O(C24O)
3(CH212COOH、C1225O(C24O)2(C
210COOH、C12250(C24O)25(CH2
10COOH、などが挙げられる。
【0011】該直鎖状脂肪族カルボン酸の製法は何等制
限されないが、代表的な製法を以下説明する。
【0012】下記反応式で示されるようにハロゲン化ア
ルキルカルボン酸を通法によりエステル化する。
【0013】
【化3】
【0014】(R、mの定義は前述の通り)エステル化
反応は、周知のアルコール、溶媒、触媒、温度条件が採
用される。他方、下記反応式で表されるようにアルキル
エーテル系アルコールを、トルエン、ベンゼン、テトラ
ヒドロフラン等の溶媒中でナトリウムおよびヨウ化カリ
ウムなどを用いて通法によりアルコキサイド化してお
く。
【0015】
【化4】
【0016】上法により得られたアルコキサイド化合物
を含む溶液中に、先に得たハロゲン化アルキルカルボン
酸のエステルを滴下し下記反応を行う。
【0017】
【化5】
【0018】該反応の温度は通常40〜150℃の範囲
であり、反応溶媒としてはアルコキサイドを調製する時
に使用する溶媒がそのまま使用される。両反応原料の使
用モル比は、通常、エステル/アルコキサイド=0.2
〜2とする。
【0019】反応後は、反応溶媒を減圧留去し、新たに
NaOH水溶液などを加えて下に示す如く通法によりエ
ステル結合を加水分解してカルボン酸塩化合物とする。
【0020】
【化6】
【0021】次いで、反応液にHCl水溶液などの酸水
溶液をpHが1になるまで滴下し、カルボン酸塩化合物
を本発明の目的とするカルボン酸化合物にする。反応
後、通法に従い抽出、洗浄した後、原料であるアルキル
エーテル系アルコールを減圧留去することで粗生成物を
得る。粗生成物をカラムを用いて精製することで、目的
物である直鎖状脂肪族カルボン酸を得る。
【0022】本発明の界面活性剤は、重合性分散媒中に
磁性微粒子を分散させて重合性磁性流体を製造する場合
において使用されるものであり、該界面活性剤を用いた
重合性磁性流体は一般的に以下の方法で製造される。
【0023】即ち、磁性粒子がマグネタイトである磁性
流体の製造方法を例示すると以下の通りである。第一鉄
塩と第二鉄塩からなる水溶液を水酸化ナトリウムなどの
アルカリ水溶液と反応させることでマグネタイトの微粒
子を生成する。その後、等量のアルカリ水溶液を加える
ことで可溶化させた界面活性剤の水溶液を反応液に加え
て、加熱処理することで界面活性剤を微粒子表面に吸着
させる。冷却後、反応液に酸を滴下して酸性水溶液とす
る。沈澱物の水洗を繰り返し、余分な界面活性剤と塩を
取り除く。この沈澱を減圧乾燥することで粉末を得る。
次いで得られた粉末を目的の重合性分散媒と混合して重
合性磁性流体を得る。精製された重合性磁性流体を得る
場合は、分散性が不良の磁性微粒子を遠心分離で取り除
けばよい。
【0024】
【実施例】以下に本発明を更に具体的に説明するための
実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0025】実施例1 (1) Br(CH210COOCH3の合成 1lの三角フラスコにBr(CH210COOH 20
0g、メタノール 242g、p−CH364SO3
・H2O 2.00g、トルエン 400mlを入れ
て、加熱還流を10時間続けた。反応液から水をMgS
4で除去した後、トルエン とメタノールを減圧留去し
た。生成物を減圧蒸留により精製し、198gの無色の
液体を得た(沸点125℃/0.3mmHg)。
【0026】(2) H(C24O)3(CH210CO
OHの合成 300mlの二口丸底フラスコにH(C24O)3
40.24g、Na6.67g、KI 4.98g、ト
ルエン 100mlを入れて9時間加熱還流した。Na
が全て消費されたことを確認した後、Br(CH210
COOCH341.9gのトルエン 50ml溶液を7
時間かけて滴下した。その後さらに10時間加熱還流を
続けることで反応を終了した。
【0027】上記の反応液からトルエンを減圧留去した
後、NaOH 10g、水 100mlを加えて18時
間加熱還流した。加熱還流後、反応で生成したメタノー
ルを減圧留去した。pHが1になるまで塩酸水を添加し
た。NaClを飽和するまで反応液に加えた。この反応
液をクロロホルムで抽出し、得られた有機相を飽和食塩
水で洗浄した。クロロホルムを減圧除去した後、原料の
H(C24O)3Hを減圧蒸留で除去した。粗生成物と
して、釜残である茶褐色の液体が35.8g得られた。
【0028】上記の粗生成物20gをカラムにより精製
した。直径11cmのカラムに8cmの高さまでワコー
ゲルC−200を充填した。展開溶媒はクロロホルム/
メタノール(99/1)を用いた。副生成物のCH2
CH(CH28COOHが流出した後、展開溶媒をクロ
ロホルム/メタノール(97/3)に変更して目的の精
製物を流出させた。精製物として薄い茶褐色の液体が1
2g得られた。
【0029】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0030】1H−NMR:1.0〜1.8ppm
(m;19H,CH3,CH2)、2.34ppm(t;
2H,CH2COO)、3.3〜3.8ppm(m;1
2H,CH2OCH2)。
【0031】IR:1110,1460,1710,1
735,2840,2920cm−1 これらの分析結果から、精製物はH(C24O)3(C
210COOHの構造を有することが確認された。
【0032】実施例2 CH3O(C24O)3(C
210COOHの合成 原料であるH(C24O)3Hの代わりにCH3O(C2
4O)3H 79.18gを用い、溶媒としてトルエン
の代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は実施例1
に従い合成した。粗生成物として、釜残である茶褐色の
液体が40.5g得られた。上記の粗生成物15gをカ
ラムにより精製した。精製物として薄い茶褐色の液体が
5.0g得られた。
【0033】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0034】1H−NMR:1.1〜1.8ppm
(m;16H,CH2)、2.34ppm(t;2H,
CH2COO)、3.2〜3.8ppm(m;17H,
CH3O,CH2OCH2)。
【0035】IR:1110,1465,1710,1
735,2860,2930cm−1 これらの分析結果から、精製物はCH3O(C24O)3
(CH210COOHの構造を有することが確認され
た。
【0036】実施例3 C1225O(C24O)25(C
210COOHの合成 原料であるH(C24O)3Hの代わりにC1225
(C240)25H 390gを用いた以外は実施例1に
従い合成した。粗生成物として、釜残である茶褐色の液
体が420g得られた。上記の粗生成物20gをカラム
により精製した。精製物として薄い茶褐色の液体が5g
得られた。
【0037】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0038】1H−NMR:0.89ppm(t;3
H,CH3)、1.1〜1.8ppm(m;36H,C
2)、2.34ppm(t;2H,CH2COO)、
3.3〜3.8ppm(m;104H,CH2OC
2)。
【0039】IR:1110,1460,1710,1
735,2840,2920cm−1 これらの分析結果から、精製物はC1225O(C2
4O)25(CH210COOHの構造を有することが確認
された。
【0040】実施例4 (1) Br(CH211COOCH3の合成 原料であるBr(CH210COOHの代わりにBr
(CH211COOHを用いた以外は実施例1に従い合
成した。生成物として193gの無色の液体を得た(沸
点133℃/0.5mmHg)。
【0041】(2) H(C24O)3(CH211CO
OCH3の合成 原料であるBr(CH210COOCH3の代わりにBr
(CH211COOCH3 43.7gを用いた以外は実
施例1に従い合成した。粗生成物として、釜残である茶
褐色の液体が35.7g得られた。
【0042】上記の粗生成物20gをカラムにより精製
した。直径11cmのカラムに8cmの高さまでワコー
ゲルC−200を充填した。展開溶媒はクロロホルム/
メタノール(99/1)を用いた。副生成物のCH2
CH(CH29COOHが流出した後、展開溶媒をクロ
ロホルム/メタノール(97/3)に変更して目的の精
製物を流出させた。精製物として薄い茶褐色の液体が1
0g得られた。
【0043】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0044】1H−NMR:1.0〜1.8ppm
(m;21H,CH3,CH2)、2.34ppm(t;
2H,CH2COO)、3.3〜3.8ppm(m;1
2H,CH2OCH2)。
【0045】IR:1110,1460,1710,1
735,2840,2920cm−1 これらの分析結果から、精製物はH(C24O)3(C
211COOHの構造を有することが確認された。
【0046】実施例5 (1) Br(CH212COOCH3の合成 原料であるBr(CH210COOHの代わりにBr
(CH212COOHを用いた以外は実施例1に従い合
成した。生成物として190gの無色の液体を得た(沸
点142℃/0.2mmHg)。
【0047】(2) H(C24O)3(CH212CO
OHの合成 原料であるBr(CH210COOCH3の代わりにBr
(CH212COOCH3 45.8gを用いた以外は実
施例1に従い合成した。粗生成物として、釜残である茶
褐色の液体が33.7g得られた。
【0048】上記の粗生成物20gをカラムにより精製
した。直径11cmのカラムに8cmの高さまでワコー
ゲルC−200を充填した。展開溶媒はクロロホルム/
メタノール(99/1)を用いた。副生成物のCH2
CH(CH210COOHが流出した後、展開溶媒をク
ロロホルム/メタノール(97/3)に変更して目的の
精製物を流出させた。精製物として薄い茶褐色の液体が
9g得られた。
【0049】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0050】1H−NMR:1.0〜1.8ppm
(m;23H,CH3,CH2)、2.34ppm(t;
2H,CH2COO)、3.3〜3.8ppm(m;1
2H,CH2OCH2)。
【0051】IR:1110,1460,1710,1
735,2840,2920cm−1 これらの分析結果から、精製物はH(C24O)3(C
212COOHの構造を有することが確認された。
【0052】応用例1 H(C24O)3(CH210
OOHを界面活性剤としたFe3SO4系重合性磁性流体
の調製 窒素下においてFeSO4・7H2OとFe2(SO43
・nH2Oの1モル水溶液各50mlを混合して、これ
に6NのNaOH水溶液を攪拌しながらpHが11.5
になるまで滴下した。これを70℃、5分間加温してマ
グネタイトコロイドを生成させた。一方、H(C2
4O)3(CH210COOH 4.17gを窒素下で別
の容器に計り取り、これに3NのNaOH水溶液4.3
7mlと水50mlを加えて、均一溶液とした。先に作
成したマグネタイトコロイドに上記の界面活性剤を加
え、攪拌しながら80℃に30分間保った。冷却後、反
応液に1Nの塩酸水溶液を加えてpH5.5とし、コロ
イドを凝集させた。凝集物は水洗を繰り返すことで電解
質を除き、最後に減圧濾過で得た固形分を90℃、減圧
下で10時間乾燥した。室温まで放冷した後、乾燥器か
ら取り出した。得られた粗生成物は12.5gであり、
黒色の粘性の無い粉末であった。
【0053】得られた粗生成物0.6gを表1に示す各
種重合性分散媒1.4gに分散させ、この分散液を80
00Gの遠心力下で20分間遠心分離し、上澄み液から
沈澱を除去した。室温、3カ月間の保存による、沈澱物
の生成及び液の状態の経時変化について表1にまとめ
た。尚、表1〜3及び5中の各記号は次に示す意味であ
る。
【0054】○:室温、3カ月の保存後も保存前と同様
に沈澱物を生じなかった ×:室温、3カ月の保存中に沈澱物が生じた A:室温、3カ月の保存後も保存前と同様に液体のまま
の状態であった Z:室温、3カ月の保存中に固化した 本発明の直鎖状脂肪族カルボン酸を界面活性剤として用
いた磁性流体においては、3カ月の保存後も沈澱の生成
は認められず、また、固化などを起こさず液体のままで
あった。保存安定性の高い重合性磁性流体であることが
確認された。
【0055】
【表1】
【0056】応用例2 C1225O(C24O)25(C
210COOHを界面活性剤としたFe3SO4系重合
性磁性流体の調製 原料であるH(C24O)3(CH210COOHの代わ
りにC1225O(C24O)25(CH2)10COOH
19.3gを用いた以外は応用例1に従い調製した。得
られた粗生成物は26.5gであり、黒色の粘性の粉末
であった。
【0057】得られた粗生成物0.6gを表2に示す各
種重合性分散媒1.4gに分散させ、この分散液を80
00Gの遠心力下で20分間遠心分離し、上澄み液から
沈澱を除去した。室温、3カ月間の保存による、沈澱物
の生成及び液の状態の経時変化について表2にまとめ
た。これら磁性流体においても、3カ月の保存後も沈澱
の生成は認められず、また、固化などを起こさず液体の
ままであった。保存安定性の高い重合性磁性流体である
ことが確認された。
【0058】
【表2】
【0059】応用例3 H(C24O)3(CH212
OOHを界面活性剤としたFe3SO4系重合性磁性流体
の調製 原料であるH(C24O)3(CH210COOHの代わ
りにH(C24O)3(CH212COOH 4.50g
を用いた以外は応用例1に従い調製した。得られた粗生
成物は12.3gであり、黒色の粘性の粉末であった。
【0060】得られた粗生成物0.6gを表3に示す各
種重合性分散媒1.4gに分散させ、この分散液を80
00Gの遠心力下で20分間遠心分離し、上澄み液から
沈澱を除去した。室温、3カ月間の保存による、沈澱物
の生成及び液の状態の経時変化について表3にまとめ
た。これら磁性流体においても、3カ月の保存後も沈澱
の生成は認められず、また、固化などを起こさず液体の
ままであった。保存安定性の高い重合性磁性流体である
ことが確認された。
【0061】
【表3】
【0062】応用例4 重合性磁性流体の光重合 上記応用例1〜3と同様にして、マグネタイト並びに表
4に示す界面活性剤及び重合性分散媒から得られた重合
性磁性流体0.4gに、表4に示す光重合開始剤(光増
感剤0.001g、光重合促進剤0.001g)を添加
し、この溶液の一部をガラス板で挟んだ。光ファイバー
式冷光照明装置を用いて、ガラス面における照度が5
0,000lxの光を表4に示す時間照射した。尚、表
4の記号は次に示す意味である。
【0063】○:重合性磁性流体は固化した ×:重合性磁性流体は完全に固化せず、流動性を有して
いた 本発明の直鎖状脂肪酸カルボン酸を用いて得られた重合
性磁性流体はすべて固化し、ガラス板は動かなくなっ
た。
【0064】
【表4】
【0065】比較例1 リノール酸を界面活性剤とした
Fe3SO4系重合性磁性流体の調製 原料であるH(C24O)3(CH210COOHの代わ
りにリノール酸7.3gに3NのNaOH水溶液8.8
mlを加えた溶液を用いた以外は応用例1に従い調製し
た。得られた粗生成物は14.8gであり、黒色の粘性
の粉末であった。
【0066】得られた粗生成物0.6gを表5に示す各
種重合性分散媒1.4gに分散させ、この分散液を80
00Gの遠心力下で20分間遠心分離し、上澄み液から
沈澱を除去した。室温、3カ月間の保存による、沈澱物
の生成及び液の状態の経時変化について表5にまとめ
た。該磁性流体は1官能性モノマー系の重合性分散媒中
では経時変化を示さないが、多官能性モノマー系の重合
性分散媒中では沈澱物の生成、固化が起こり、明らかに
経時変化を示すことが確認された。
【0067】
【表5】
【0068】比較例2 H(C24O)2(CH28
OOHを界面活性剤としたFe3SO4系重合性磁性流体
の調製 原料であるH(C24O)3(CH210COOHの代わ
りにH(C24O)2(CH28COOHを用いた以外
は応用例1と同様にして磁性流体を調製した。室温、3
カ月間の保存による、沈澱物の生成及び液の状態の経時
変化について表6にまとめた。該磁性流体は1官能性モ
ノマー(重合性分散媒)中では経時変化を示さないが、
多官能性モノマー(重合性分散媒)中では沈澱物の生
成、固化が起こり、明らかに経時変化を示すことが確認
された。
【0069】
【表6】
【0070】尚、本比較例で用いた上記直鎖状脂肪族カ
ルボン酸は次のようにして合成した。
【0071】(1) Br(CH28COOCH3の合
成 原料であるBr(CH210COOHの代わりにBr
(CH28COOHを用いた以外は実施例1に従い合成
した。生成物として193gの無色の液体を得た(沸点
108℃/0.8mmHg)。
【0072】(2) H(C24O)2(CH28CO
OCH3の合成 原料であるH(C24O)3Hの代わりにH(C2
4O)2H 27.0gを用い、Br(CH210COO
CH3の代わりにBr(CH28COOCH3 37.7
gを用いた以外は実施例1に従い合成した。粗生成物と
して、釜残である茶褐色の液体が20.0g得られた。
【0073】上記の粗生成物15gをカラムにより精製
した。精製物として薄い茶褐色の液体が10g得られ
た。
【0074】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0075】1H−NMR:1.0〜1.8ppm
(m;15H,CH3,CH2)、2.34ppm(t;
2H,CH2COO)、3.3〜3.8ppm(m;8
H,CH2OCH2)。
【0076】IR:1110,1460,1710,1
735,2840,2920cm−1 これらの分析結果から、精製物はH(C24O)2(C
28COOCH3の構造を有することが確認された。
【0077】比較例3 HO(C24O)2(CH210
COOHを界面活性剤としたFe3SO4系重合性磁性流
体の調製 原料であるH(C24O)3(CH210COOHの代わ
りにHO(C24O)2(CH210COOHを用いた以
外は応用例1と同様にして磁性流体の調製を試みたが、
磁性粒子はいずれの重合性分散媒にも分散せず、磁性流
体は得られなかった。尚、本比較例で用いた上記直鎖状
脂肪族カルボン酸は次のようにして合成した。
【0078】原料であるH(C24O)3Hの代わりに
HO(C24O)2H 340gを用い、トルエンを用
いなかった以外は実施例1に従い合成した。粗生成物と
して、釜残である茶褐色の液体が53.3g得られた。
【0079】上記の粗生成物43gをメタノール43m
lに溶解させて、−20℃で1晩放置した。析出した結
晶を濾過、乾燥することで7.2gの固体を精製物とし
て得た。
【0080】精製物の1H−NMR(CDCl3中、T
MSを基準(0.00ppm)とする。)およびIR分
析を行い、次に示す結果を得た。
【0081】1H−NMR:1.1〜1.8ppm
(m;18H,CH2)、2.34ppm(t;2H,
CH2COO)、3.3〜3.9ppm(m;11H,
CH2OCH2,HOC)。
【0082】IR:1110,1465,1720,1
735,2860,2910,3450cm−1 これらの分析結果から、精製物はHO(C24O)
2(CH210COOHの構造を有することが確認され
た。
【0083】
【発明の効果】直鎖状脂肪族カルボン酸からなる本発明
の重合性磁性流体製造用界面活性剤を用いて調整した重
合性磁性流体は、保存中に沈殿物を生じることなく、磁
性微粒子は安定な状態で分散する。また、保存中は重合
を起こさず、重合時にのみ硬化する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/44 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (但し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を、nは1〜
    25の整数を、mは10〜12の整数を各々示す)で表
    される直鎖状脂肪族カルボン酸からなる重合性磁性流体
    製造用界面活性剤
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