JP3233489B2 - 弾性表面波素子およびその製造方法 - Google Patents

弾性表面波素子およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性表面波素子とその
製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド薄膜は、弾性表面波(SA
W)素子の表面波伝搬膜として注目を浴びている。弾性
表面波素子は、表面波伝搬膜と圧電膜とが積層された構
成となっており、圧電膜にクシ型電極により電界を印加
して振動させることにより、表面波伝搬膜に表面波を励
振するものである。弾性表面波素子は、フィルタを始め
として通信分野で広く利用されているが、簡単な構造で
良好な特性が得られることから、移動通信等の分野への
適用が期待されている。移動通信では、通常、UHF帯
を用いるため、動作周波数が極めて高くなる。弾性表面
波素子の動作周波数を高くするためには、例えば、クシ
型電極の周期を小さくしたり、音速の速い表面波伝搬膜
を用いたりする。クシ型電極は、通常、フォトリソグラ
フィーにより形成されるため、電極周期を小さくするに
は限界がある。一方、ダイヤモンド中での音速は極めて
速いため、表面波伝搬膜としてダイヤモンド薄膜を用い
ればギガヘルツ(GHz)帯に対応できる弾性表面波素
子が実現する可能性がでてくる。
【0003】ダイヤモンド薄膜の形成には、バルクダイ
ヤモンドに近い結晶構造が得られることからCVD法が
好ましく用いられている。しかし、表面波伝搬膜に必要
な厚さは約10μm 以上であり、このような厚さのダイ
ヤモンド膜を通常のCVD法で形成した場合には結晶粒
径が1μm 程度の多結晶膜となってしまう。ダイヤモン
ドは音速に異方性があるので、このような多結晶膜を用
いると膜を伝搬する音波の位相にばらつきが生じ、良好
な特性が得られない。また、結晶粒径が弾性表面波の波
長と同程度以上となると、結晶粒界による散乱のために
伝搬損失が大きくなるという問題がある。また、このよ
うな多結晶ダイヤモンド薄膜は、弾性表面波の波長と比
較して表面の凹凸が激しいので、表面波が散乱して伝搬
ロスを生じる。伝搬される際に表面波が侵入する深さは
極めて浅く、ほぼその波長程度の深さとなるので、使用
波長が短くなるほど膜表面の凹凸による伝搬ロスの割合
は大きくなる。これを防ぐために膜形成後に表面を研磨
しなければならず、低コスト化が困難である。
【0004】一方、結晶粒をもたない非晶質炭素膜(通
常、ダイヤモンド状炭素膜と呼ばれる)を表面波伝搬膜
として使うこともある。非晶質炭素膜は、音速に異方性
はないがダイヤモンド膜よりも音速が遅い。したがっ
て、電極周期をより小さくしなければならず、高周波へ
の対応が難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、弾性表面波
の伝搬速度が高速でその伝搬効率が高く、特性の良好な
弾性表面波素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの目的は、下記
(1)〜(8)の本発明によって達成される。 (1)基板上に表面波伝搬膜および圧電膜をこの順で有
し、圧電膜に電界を印加する電極を有する弾性表面波素
子であって、前記表面波伝搬膜が、平均結晶粒径100
nm以下のダイヤモンドを含む炭素膜であることを特徴と
する弾性表面波素子。 (2)前記ダイヤモンドの平均結晶粒径が5nm以上であ
る上記(1)の弾性表面波素子。 (3)前記表面波伝搬膜中の音速が5700m/s 以上で
ある上記(1)または(2)の弾性表面波素子。 (4)上記(1)ないし(3)のいずれかの弾性表面波
素子を製造する方法であって、1×10-5〜5×10-3
Torrの圧力中でプラズマCVD法により前記表面波伝搬
膜を形成することを特徴とする弾性表面波素子の製造方
法。 (5)原料中性粒子ガスを加熱体に衝突させてガスの粒
子速度を増加させた後、前記ガスの分子を電離、解離し
てプラズマCVDを行なう上記(4)の弾性表面波素子
の製造方法。 (6)前記加熱体が加熱管であり、この加熱管内壁に前
記ガスを衝突させる上記(5)の弾性表面波素子の製造
方法。 (7)前記加熱体が700K以上の温度に加熱されてい
る上記(5)または(6)の弾性表面波素子の製造方
法。 (8)前記分子の電離・解離を有磁場マイクロ波プラズ
マによって行なう上記(5)ないし(7)のいずれかの
弾性表面波素子の製造方法。
【0007】
【作用および効果】本発明の弾性表面波素子は、平均結
晶粒径100nm以下のダイヤモンドを含む炭素膜を表面
波伝搬膜として用いる。このように結晶粒径が小さい膜
は、短波長の弾性表面波に対しても等方的な媒質として
振る舞うので、弾性表面波の位相の乱れは殆ど生じず、
良好な素子特性が得られる。また、結晶粒径が極めて小
さいために結晶粒界による弾性表面波の散乱が殆ど生じ
ないので、伝搬損失が極めて小さくなる。したがって、
本発明では極めて短波長の弾性表面波を使用することが
でき、しかも、前記表面波伝搬膜は非晶質炭素膜に比べ
音速が速いので、ギガヘルツ帯に対応する弾性表面波素
子が容易に実現する。
【0008】また、本発明では表面伝搬膜表面の凹凸が
極めて小さくなるので、素子化する際に膜表面の研磨が
不要である。
【0009】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0010】本発明の弾性表面波素子の構成例を、図1
に示す。同図において、弾性表面波素子11は、基板1
2上に、表面波伝搬膜14および圧電膜15をこの順で
有し、圧電膜に電界を印加するためのクシ型の電極16
が表面波伝搬膜14上に設けられている。
【0011】表面波伝搬膜は、平均結晶粒径100nm以
下のダイヤモンドを含む炭素膜である。前記ダイヤモン
ドの平均結晶粒径が前記範囲を超えると上記した本発明
の効果が得られなくなる。前記ダイヤモンドの平均結晶
粒径の下限は特にないが、平均結晶粒径が5nm未満とな
ると音速が低下する傾向が顕著になる。なお、ダイヤモ
ンドのより好ましい平均結晶粒径は20〜100nmであ
る。膜中に多結晶ダイヤモンドが含まれていることはX
線回折により確認することができ、ダイヤモンドの平均
結晶粒径は透過型電子顕微鏡などにより測定することが
できる。また、表面波伝搬膜表面が平坦で自形面が現わ
れていないことは、走査型電子顕微鏡等により確認する
ことができる。
【0012】表面波伝搬膜の好ましい厚さは、動作周波
数帯域等の各種条件によっても異なるが、通常、10〜
20μm 程度である。
【0013】表面伝搬膜中の音速は圧電膜の構成によっ
ても異なるが、通常、5700m/s以上、特に8000m
/s 以上と高速である。
【0014】表面波伝搬膜は、CVD法により形成され
ることが好ましい。CVD法としては、各種プラズマC
VD法または各種熱CVD法から選択することが好まし
く、特にプラズマCVD法を用いることが好ましい。
【0015】本発明では、好ましくは1×10-5〜5×
10-3Torr、より好ましくは1×10-4〜5×10-3To
rrの圧力中でプラズマCVD法により表面波伝搬膜を形
成する。膜形成時の雰囲気圧力が前記範囲を超えている
と、結晶粒径の小さい膜が得られにくい。また、雰囲気
圧力が前記範囲未満であると、膜形成が難しくなる。
【0016】プラズマCVD法におけるプラズマ発生源
としては、例えば特開昭64−65843号公報に開示
されているようなエレクトロン・サイクロトロン・レゾ
ナンス(ECR)を利用したプラズマ生成手段や高周波
誘導加熱を利用したプラズマ生成手段等が挙げられる。
これらのうち、高密度の電子が得られて処理速度が高い
ことから、ECRを用いるものが好ましい。
【0017】ECR型プラズマCVD装置では、電界と
磁界との相互作用により共鳴的に電子を加速し、この電
子の衝突によりガスをプラズマ化して、プラズマ中のイ
オン、ラジカル等を基板上に堆積させることにより成膜
を行なう。また、このプラズマから電子を引き出し、引
き出された電子を原料ガスに衝突させてプラズマ化し、
発生したイオン、ラジカル等を基板上に堆積させること
もできる。
【0018】本発明における表面波伝搬膜の形成に好適
なプラズマCVD装置を、図2および図3に示す。
【0019】図2および図3に示されるプラズマ処理装
置1は、真空系8内にプラズマ生成室7を有し、このプ
ラズマ生成室7に連通して原料ガス導入管2が設けられ
ている。プラズマ生成室7には、マイクロ波電源(図示
せず)と接続された導波管9がマイクロ波導入窓を介し
て設けられており、また、プラズマ生成室7の外周には
磁石としてヘルムホルツ型の電磁石4が設けられてお
り、これらがECR型等の有磁場マイクロ波プラズマ生
成手段を構成している。また、真空系8内には真空排気
口が設けられ、所定の動作圧力とすることができるとと
もに、基板ホルダ6が移動可能に設けられており、基板
を所定の温度に加熱した状態で、プラズマ生成室7内の
所定の位置に載置できるようにされている。
【0020】原料ガス導入管2の先端開口には、加熱体
として加熱管3が接続されており、導入された原料中性
粒子ガスが加熱管3の内壁に衝突するように構成されて
いる。加熱管3の内壁は700K以上、特に1600〜
2000Kの温度とされており、ガス粒子はこの内壁に
実質的に弾性衝突して、粒子速度(運動エネルギー)が
増大する。加速手段としての加熱管の構造やガスの衝突
のさせ方等について特に制限はなく、Ta、Mo、W等
の管に発熱体をらせん状に巻いたり、ハニカム型ヒータ
を用いたりする等が可能であるが、加速効率を高めるた
めには図4に示されるような加熱管3を用いることが好
ましい。図示例では、例えばW、Ta等の内径0.7〜
1.4mm、肉厚0.1〜0.2mm、長さ15〜40mmの
管体31の両端に、一対の電極35を接続し、印加電圧
を変化させながら直接通電加熱を行ない、所定の温度と
する構造とされている。この他、加熱手段としては、抵
抗加熱、誘導加熱等いずれであってもよく、管体31の
材質についても特に制限はない。
【0021】原料ガス導入管2からこの加熱管3を介し
てプラズマ生成室7内に原料中性粒子ガスを導入し、粒
子速度を増大させる。このとき、原料中性粒子ガスは、
通常、約0.025eVの運動エネルギーと約630m/se
c の粒子速度をもって導入されるが、加熱管により原料
中性粒子ガスは0.06eV以上、特に0.11〜0.2
1eVの運動エネルギーと1300〜1780m/sec (1
300〜2400K)の粒子速度を与えられる。
【0022】プラズマ生成室7では、マイクロ波導入窓
からマイクロ波が導入されており、同時に、プラズマ生
成室内部には電磁石4により、好ましくはECR条件を
満たす磁界が付与されている。このため、プラズマ生成
室7内の電子は、この磁界とマイクロ波の電界とにより
加速されて加速ガス粒子に衝突し、プラズマが生成す
る。そして、前述したような低い動作圧力でのプラズマ
CVDが可能となり、3インチ平方以上、特に4〜6イ
ンチ平方の大面積での処理が可能である。また基板温度
も通常より低温化することが可能となる。
【0023】加熱管3等の加熱体は、基板5の好ましく
は垂直上方に設けることが好ましく、加速粒子は基板面
にほぼ垂直に差し向けられ、その間プラズマ中にて電離
・解離を行なうことが好ましい。これにより処理効率が
向上する。
【0024】なお、以上では、プラズマ生成室7内で処
理を行なう例について述べてきたが、ECRキャビティ
等のプラズマ生成室と連通する系内でプラズマ処理を行
なったり、イオン引き出し電極等を用いたりして、生成
室7外でプラズマ処理を行なうことも可能である。
【0025】なお、本発明では、このようなプラズマC
VD装置の他、特願平4−355784号に開示されて
いるプラズマCVD装置、すなわち、ECR型のプラズ
マ生成手段と被処理体ホルダとが設けられたプラズマ室
を有し、プラズマ生成手段により形成されたプラズマ高
密度領域と被処理体ホルダとの間に遮蔽部材が設けられ
た構成のプラズマCVD装置、あるいは、プラズマ生成
室と処理室とが設けられたプラズマ室を有し、プラズマ
生成室にプラズマ生成手段が設けられ、処理室に被処理
体ホルダが設けられ、プラズマ生成室で生成したプラズ
マから電子を処理室に引き出すための電子引き出し電極
がプラズマ生成室と処理室との間に設けられ、電子引き
出し電極と被処理体ホルダとの間に遮蔽部材が設けられ
た構成のプラズマCVD装置も好ましく用いることがで
きる。
【0026】CVD法における原料ガスとしてはCH4
やC24 等の各種炭素化合物などを用いればよい。ま
た、これらに加えてCO2 を用いれば、膜の結晶性が向
上する。キャリアガスとしてH2 ガスを用いることが好
ましい。H2 ガスは膜中の不純物を排除する作用を有す
る。原料ガス流量とキャリアガス流量との合計に対し、
キャリアガス流量は80%以上、特に85〜99%とす
ることが好ましい。キャリアガス流量をこのような範囲
とすることにより、極めて純度の高い膜を形成すること
ができる。
【0027】膜形成の際の基板温度は、400〜700
℃とすることが好ましい。
【0028】基板12の材質に特に制限はなく、各種金
属、合金およびセラミックスから適宜選択すればよく、
例えば、Si、W、Mo、Cu、Ta、AlおよびTi
から選択される1種以上の元素を含有する金属または合
金、あるいはAl23 、ZrO2 、MgO等のセラミ
ックス等を好ましく用いることができる。また、基板の
寸法も特に限定されない。
【0029】圧電膜15の材質は、LiNbO3 やZn
O、AlN等の各種圧電体から選択すればよく、通常、
スパッタ法等により成膜される。圧電膜の厚さは、通
常、0.1〜4μm 程度とする。一般に、圧電膜が厚い
ほど弾性表面波への変換効率は高くなるが、音速は遅く
なる。
【0030】電極16は、通常、真空蒸着法等により形
成され、各種のエッチングによりクシ型形状とされる。
電極周期は、動作周波数、表面波伝搬膜の音速、圧電膜
の音速およびその厚さなどに応じて適宜設定すればよ
い。図1に示される構成例では、クシ型の電極16は表
面波伝搬膜14上に形成され、その上から圧電膜15が
形成されているが、本発明ではこの態様に限らず、例え
ば、圧電膜上に電極を形成するなど、弾性表面波素子と
して利用できる電極構成であればどのようなものであっ
てもよい。
【0031】基板12と表面波伝搬膜14との間には、
必要に応じて下地膜を設けてもよい。下地膜は、通常、
表面波伝搬膜の接着性を向上させるために設けられる
が、その場合、基板構成元素と炭素とを含む組成、例え
ばSiCやWC等とすることが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、具体的実施例を挙げ、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0033】図2に示される構成を有するプラズマCV
D装置の基板ホルダ上にSi(100)基板を載置し、
系内を1×10-5Torrに排気して、基板温度を600℃
に上昇させ、さらに排気を行なった。
【0034】次いで、中性粒子の加速源である加熱管3
を通電加熱した。放射温度計で温度をモニタしたとこ
ろ、2000Kであった。加熱管3のサイズは内径0.
7mm、肉厚0.1mm、長さ40mmとした。CH4 の平均
速度Vave=(8kT/πmCH41/ 2 は1625m/sec と推
定される。
【0035】この後、原料ガスを導入した。原料ガスは
流量比でCH4 :CO2 :H2 =5:10:85とし
た。次いでマイクロ波および電磁石の電源を入れ、プラ
ズマを生成させた。プラズマはキャビティのプラズマ生
成室7内に一様に広がっていることが確認された。さら
に、2.45GHz 、500W のマイクロ波を投入し、印
加磁界875G、基板温度600℃、1×10-3Torrの
動作圧力で厚さ15μmの表面波伝搬膜を形成した。こ
の際、加熱管3は基板5の垂直上方50nmの位置に基板
面に開口して配置した。
【0036】なお、動作圧力を0.5Torrとした以外は
上記と同様にして、比較例の表面波伝搬膜も形成した。
【0037】成膜終了後、冷却して基板を取り出し、こ
れらの表面波伝搬膜に対してX線回折を行なったとこ
ろ、ダイヤモンドが含まれていることが確認された。そ
して、50000倍の走査型電子顕微鏡により観察した
ところ、比較例では膜表面に自形面がみられたが、本発
明例では自形面は観察されず、平坦な表面であった。ま
た、ダイヤモンドの平均結晶粒径を測定した結果、比較
例では2μm であったが本発明例では95nmと極めて小
さかった。結晶粒径は、比較例では走査型電子顕微鏡に
より、本発明例では透過型電子顕微鏡により測定した。
【0038】次に、表面波伝搬膜上に、電子ビーム蒸着
によりAl膜を形成し、フォトリソグラフィーによりエ
ッチングして、クシ型電極とした。電極周期は8μm と
した。なお、比較例のものでは、Al膜蒸着前に表面波
伝搬膜の表面をバフ研磨して平滑化した。
【0039】さらに、この上に、スパッタ法により厚さ
2μm のZnO膜を形成し、圧電膜とした。
【0040】このようにして作製された本発明例および
比較例の弾性表面波素子を用いて、伝送特性を測定し
た。本発明の素子の結果を図5に、比較例の素子の結果
を図6に示す。本発明の素子は比較例の素子に比べ共振
周波数での振幅が大きい、すなわち挿入損失が小さい。
このことから、本発明の素子は比較例の素子に比べ伝搬
損失が小さいことがわかる。また、本発明の素子は比較
例の素子よりも零点での振幅が小さくなっており、弾性
表面波の位相のばらつきが小さいことがわかる。
【0041】上記した本発明の素子の他に、表面波伝搬
膜の平均結晶粒径の異なる素子を作製した。表面波伝搬
膜形成の際の圧力は、上記本発明の素子のときよりも低
くした。これらについて弾性表面波伝搬速度を測定し
た。それぞれの素子の表面波伝搬膜における平均結晶粒
径と音速とは、以下の通りであった。
【0042】
【0043】以上の結果から本発明の効果が明らかであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波素子の構成例を示す部分断
面図である。
【図2】表面波伝搬膜の形成に好適なプラズマCVD装
置の構成図である。
【図3】表面波伝搬膜の形成に好適なプラズマCVD装
置の構成図である。
【図4】加熱管の斜視図である。
【図5】本発明の弾性表面波素子の伝送特性を示すグラ
フである。
【図6】従来の弾性表面波素子の伝送特性を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置 2 原料ガス導入管 3 加熱管 31 管体 35 電極 4 電磁石 5 基板 6 基板ホルダ 7 プラズマ生成室 8 真空系 9 マイクロ波導波管 11 弾性表面波素子 12 基板 14 表面波伝搬膜 15 圧電膜 16 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長野 克人 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−90886(JP,A) 特開 平3−198412(JP,A) 特開 平1−103310(JP,A) 特開 平2−83221(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告Vo l.88,No.181(US88−38),p. 43−48 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/25 C23C 16/50 H03H 3/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に表面波伝搬膜および圧電膜をこ
    の順で有し、圧電膜に電界を印加する電極を有する弾性
    表面波素子であって、 前記表面波伝搬膜が、平均結晶粒径100nm以下のダイ
    ヤモンドを含む炭素膜であることを特徴とする弾性表面
    波素子。
  2. 【請求項2】 前記ダイヤモンドの平均結晶粒径が5nm
    以上である請求項1の弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】 前記表面波伝搬膜中の音速が5700m/
    s 以上である請求項1または2の弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの弾性表面
    波素子を製造する方法であって、 1×10-5〜5×10-3Torrの圧力中でプラズマCVD
    法により前記表面波伝搬膜を形成することを特徴とする
    弾性表面波素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 原料中性粒子ガスを加熱体に衝突させて
    ガスの粒子速度を増加させた後、前記ガスの分子を電
    離、解離してプラズマCVDを行なう請求項4の弾性表
    面波素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱体が加熱管であり、この加熱管
    内壁に前記ガスを衝突させる請求項5の弾性表面波素子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱体が700K以上の温度に加熱
    されている請求項5または6の弾性表面波素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記分子の電離・解離を有磁場マイクロ
    波プラズマによって行なう請求項5ないし7のいずれか
    の弾性表面波素子の製造方法。
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