JP3230395B2 - 導電膜形成用組成物と導電膜の形成方法 - Google Patents
導電膜形成用組成物と導電膜の形成方法Info
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Description
膜、熱線反射膜、電磁波シールド膜、面発熱体等の分野
に利用できる導電膜、特に透明導電膜の形成用組成物
と、導電膜、特に透明導電膜の形成方法に関するもので
ある。
タリング法等を含む気相法と、塗布法とに大別される。
気相法は、従来より最も広く用いられている膜形成方法
であるが、装置が高価であって、生産性や歩留りが悪
く、大面積の成膜には不向きである。
インダーと溶媒からなる溶液) 中に分散させて塗料化
し、得られた導電塗料を基板に塗布して乾燥、硬化さ
せ、透明導電膜を形成する塗布法は、導電膜を形成する
基板の寸法や形状の制限が少なく、設備が簡単で、生産
性に優れており、簡便に透明導電膜を形成することがで
きる。ヘーズ(曇度)の低い透明性に優れた導電膜を得
るには、塗料化の段階で、バインダー溶液中に導電性微
粒子を一次粒子に近い状態までほぼ完全に分散させるこ
とが重要である。
エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明性に優れ
た樹脂が一般的であるが、エチルシリケートやその縮合
物などの金属アルコキシドを使用する場合もある。導電
性微粒子としては、ドープ原子としてAlまたは他の金属
を含有する酸化亜鉛、アンチモンを含有する酸化錫など
も使用できるが、代表例は、特に低抵抗の膜を与えるこ
とが知られている、錫を含有する酸化インジウム(以
下、ITOともいう)である。
イ、タッチパネル、プラズマディスプレイ、エレクトロ
ルミネッセンスディスプレイ或いは蛍光ディスプレイ等
の高性能化は目覚ましく、これらに用いられる透明電極
や帯電防止膜は、より一層の光学特性と導電性の向上が
求められるようになってきた。しかし、塗布法により形
成される導電膜はは、導電性微粒子としてITO粉末を
使用しても、気相法により得られたものに比べて、ヘー
ズや導電性の点で劣っており、上記の要請には満足に対
応することができなかった。
る塗布法を用いて、ヘーズ、導電性および密着性に優れ
た導電膜を形成しうる導電膜形成用組成物と導電膜の形
成方法を提供することである。
を達成すべく検討を重ねた。その結果、ITO粉末、溶
媒およびバインダーからなる、塗布法に用いる従来の導
電塗料では、ヘーズ低下のために行うITO粉末の分散
処理工程で、ITO粉末の表面が絶縁性のバインダーで
被覆されてしまう。そして、バインダーは乾燥または焼
付後の塗膜中にも残留するため、図1に示すように、塗
膜内のITO粉末はバインダーにより被覆されたままで
あり、粉末間の直接接触が必要な電子移動が阻害され
て、導電性の向上 (抵抗値の低下) を妨げることがわか
った。電気伝導には、図示のように、膜を横断してIT
O粉末が直接接触でつながっている導電部が必要である
が、ITO粉末がバインダーで被覆されていると、この
ような導電部が形成されにくくなる。
塗料では、ヘーズ低下を優先させるために十分なITO
粉末の分散を行うと、膜の抵抗値が増大する。逆に、抵
抗値の低下を優先させると、ITO粉末の分散が犠牲に
なり、ヘーズが高くなる。そのため、ヘーズと導電性と
を同時に改善することが困難である。
けた結果、バインダーの代わりに、焼成時に容易に分解
する有機酸化合物および有機酸金属塩化合物を用いて
も、ITO粉末を塗料中に十分に分散させ、かつ分解生
成物でITO粉末を十分に焼結することができ、しかも
ITO粉末表面がバインダーで被覆されないため、ヘー
ズ、導電性、密着性のいずれにも優れた導電膜を形成す
ることができることを見出し、本発明に到達した。
末 (=ITO粉末) 、溶媒、有機酸化合物、および有機
酸金属塩化合物からなり、前記粉末100 重量部に対し
て、有機酸化合物を1〜20重量部、有機酸金属塩化合物
を 0.2〜15重量部の割合で含有し、バインダーとして作
用する樹脂を含まない、導電膜形成用組成物である。な
お、有機酸化合物および有機酸金属塩化合物の一方また
は両方の少なくとも一部は、ITO粉末の表面に付着し
た表面被覆物の状態で存在しうる。
上の不活性雰囲気中または還元性雰囲気中で焼成するこ
とにより、導電膜を形成することができる。得られた導
電膜は、ITO粉末が有機酸金属化合物の熱分解物によ
り焼結された構造をとる。
び有機酸化合物からなり、前記粉末100 重量部に対して
有機酸化合物を1〜40重量部の割合で含有する導電膜形
成用組成物を基体に塗布し、得られた塗膜に有機酸金属
塩化合物の溶液を含浸させた後、300 ℃以上の非酸化性
雰囲気中で焼成することによっても、同様の構造の導電
膜を形成することができる。
もよく、或いは公知の方法 (例えば、錫とインジウムの
塩化物の酸性水溶液をアルカリで中和して、錫/インジ
ウム水酸化物を共沈させ、この共沈物を焼成する)で製
造することもできる。ITO粉末としては、 (In+Sn)
の合計量に対するSnの割合が1〜15原子%の範囲のもの
が、特に低抵抗であるので好ましい。Sn含有量がこの範
囲を外れると、ITO粉末自体の抵抗 (体積抵抗率) が
高くなる傾向がある。また、ITO粉末の平均一次粒子
径は、形成された膜の透明性を阻害しないように、平均
粒径が0.5μm以下、特に0.2 μm以下のものが好まし
い。但し、高い透明性を必要としない用途には、0.5 μ
mを超える粗大なITO粉末を使用することもできる。
の極性基が存在し、表面活性が高い。そのため、微細な
ITO粉末は非常に凝集し易く、溶媒中で分散させるた
めに、分散剤または界面活性剤によるITO粉末の表面
処理が行われてきた。しかし、分散剤や界面活性剤では
ITO粉末を完全に分散させることは難しく、たとえ分
散できたとしても、焼成時に導電性に悪影響を及ぼす熱
分解物が生ずることが判明した。
粉末を溶媒中に分散させる。有機酸化合物の酸基がIT
O粉末表面の極性基と結合して、粉末表面に有機酸化合
物が適度に吸着される結果、粉末の凝集が抑制され、I
TO粉末の分散性が向上するものと推測される。
ては、カルボキシル基またはホスホン酸基を有する有機
化合物、即ち、カルボン酸およびホスホン酸が好まし
い。有用なカルボン酸には、プロピオン酸、イソ酪酸、
DL−2−メチル酪酸、イソ吉草酸、オクタン酸等の炭素
数1〜18の脂肪族カルボン酸;ならびに安息香酸等の炭
素数6〜20の芳香族カルボン酸がある。また、有用なホ
スホン酸の例には、オキシエチルホスホン酸、ジオキシ
エチルホスホン酸、ポリオキシエチルホスホン酸等のエ
チレンオキサイド鎖を有するホスホン酸が挙げられる。
重量部に対する量で、1〜40重量部、好ましくは5〜30
重量部の範囲である。有機酸化合物の量が1重量部未満
であると、ITO粉末の分散が不十分となり、ヘーズな
どの光学特性が低下する。有機酸化合物の量が40重量部
を超えると、塗料としてのバランスが崩れ、適正な塗布
性と安定性を持った塗料が得られない。
解し、塗膜から除去されてしまうので、ITO粉末を結
合する力はない。そのため、本発明の導電膜形成用組成
物には、有機酸化合物に加えて、有機酸金属塩化合物を
配合する。有機酸金属塩化合物は、焼成工程で熱分解し
て、最終的には無機金属化合物 (酸化物、水酸化物、炭
酸塩、炭化物など) になり、この化学変化の過程でIT
O粉末に融着して結晶成長し、粉末を焼結する作用があ
ることが判明した。即ち、本発明によれば、樹脂などの
バインダーを使用する代わりに、有機酸金属塩化合物に
よってITO粉末を結合する。
物としては、有機酸化合物、特にカルボン酸の金属塩が
好ましい。塩を形成する金属は、無機化合物に転換した
後の透明性に優れ、膜のヘーズを妨害しない金属が好ま
しい。その意味で好ましい金属は、Co、Ni、Pb、Sn、I
n、Al、Fe、Ti、Sb、およびZnである。有機酸金属塩化
合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソ酪
酸、酪酸、オクタン酸、ナフテン酸、ステアリン酸、安
息香酸等の炭素数1〜20の脂肪族、脂環式または芳香族
カルボン酸と上記から選んだいずれかの金属とのカルボ
ン酸金属塩である。
末100 重量部に対する量で、 0.2〜15重量部、好ましく
は 0.5〜10重量部の範囲である。有機酸金属塩化合物の
量が0.2 重量部未満であると、焼成時の粉末の焼結性が
不十分となり、膜の導電性と密着性が低下する。一方、
有機酸金属塩化合物の量が15重量部を超えると、焼成後
の塗膜に金属が出現し、ヘーズが高くなり、密着性が低
下する。
TO粉末以外の成分と相溶性のよいものが好ましい。適
当な溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、シク
ロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、トルエン、キ
シレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミド、 N,N−ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、ならびに水などが挙げられる。溶媒
は、これに溶解させる有機酸化合物や有機酸金属塩化合
物などの種類に応じて、1種もしくは2種以上を選択し
て用いる。溶媒の量は特に制限されず、塗布に適した粘
度の組成物が得られるような量であればよい。通常は、
固形分5〜60重量%が適正である。
成分を混合して、有機酸化合物および有機酸金属塩化合
物が溶解した溶液中にITO粉末を分散させることによ
り調製できる。各成分とも1種もしくは2種以上を使用
できる。混合は、従来より塗料の調製に利用されてきた
手段により実施できる。所望により、上記以外の任意添
加成分をこの組成物にさらに含有させることもできる。
このような添加成分の例には、界面活性剤、レベリング
剤、カップリング剤等が挙げられるが、これらを多量に
添加することは好ましくなく、通常は導電膜形成用組成
物の固形分の5重量%以下が望ましい。
単に混合するのではなく、有機酸化合物と有機酸金属塩
化合物の一方または両方の少なくとも一部をITO粉末
の表面に予め被覆しておくことによって調製することも
できる。有機酸化合物と有機酸金属塩化合物の両方を予
めITO粉末に被覆しておくと、この表面被覆ITO粉
末と溶媒とを混合するだけで本発明の導電膜形成用組成
物を調製することができ、塗料化工程が著しく簡便とな
る。
よび/または有機酸金属塩化合物を適当な溶媒(例、上
に列挙した溶媒の1種もしくは2種以上) に溶解させ、
得られた溶液を浸漬、噴霧などの適当な処理法によりI
TO粉末の表面に付着させ、乾燥して溶媒を除去するこ
とにより実施できる。ITO粉末は微細であるので、単
に容器内で攪拌するだけで容易に流動状態になる。この
流動状態のITO粉末に上記溶液を噴霧することにより
表面被覆を行うのが簡便である。有機酸化合物および/
または有機酸金属塩化合物の付着量は、上記のそれぞれ
の上限を超えない範囲で適当に選択できる。ITO粉末
に付着した量だけでは不十分な場合には、塗料化の段階
で不足分の有機酸化合物および/または有機酸金属塩化
合物を別に添加して補えばよい。
用組成物を基体に塗布し、300 ℃以上、好ましくは 350
〜550 ℃の非酸化性雰囲気中で焼成して、透明導電膜を
形成する。非酸化性雰囲気は、不活性ガス (例、N2 、
Ar、He等)のみからなる不活性雰囲気と、還元性ガ
ス(例、H2 、CO)のみか、これと不活性ガスとの混
合ガスからなる還元性雰囲気のいずれでもよい。焼成時
間は特に制限されないが、通常は 0.5〜2時間の範囲で
ある。
する有機酸化合物と有機酸金属塩化合物のうち、有機酸
化合物は分解して塗膜から溶媒とともに除去される。一
方、有機酸金属塩化合物も分解するが、分解により生成
した金属化合物が結晶成長する際にITO粉末に融着
し、ITO粉末の焼結が行われる。即ち、分解生成物で
ある金属化合物によりITO粉末間およびITO粉末と
基体との間が結合することによって、基体に密着し、か
つ一体化した塗膜が形成される。
酸化合物がITO粉末表面に吸着することによって、I
TO粉末が低ヘーズ化に十分な程度まで分散し、この分
散したITO粉末間の間隙に有機酸金属塩化合物が存在
している。そして、焼成によって、この有機酸金属塩化
合物の分解で生じた無機金属化合物 (有機酸金属化合物
の熱分解物) を介してITO粉末どうしが融着し、導電
膜が形成される。
特に粒界における酸素原子の移動拡散が促進され、それ
に伴う結晶成長を利用してITO粒子間の結合を強固に
することができる。そのため、ヘーズを低く保ったま
ま、導電性と密着性が著しく向上した透明導電膜が得ら
れる。この透明導電膜は、例えば 0.1〜3.0 μmの膜厚
で、ヘーズ1%以下、表面抵抗値 101〜103 Ω/□台、
密着性 (1mm/mm 碁盤目クロスカット、セロファンテー
プ剥離) 100/100 という優れた膜特性を示す。
ば、導電膜形成用組成物から有機酸金属塩化合物の少な
くとも一部を除去しておく。即ち、ITO粉末、溶媒、
および有機酸化合物からなる導電膜形成用組成物を用意
する。この組成物を基体に塗布した後、必要により塗膜
を乾燥させる。その後、有機酸金属塩化合物を適当な溶
媒に溶解させた溶液を塗膜に含浸させる。有機酸金属塩
化合物の含浸量は、上記と同様、ITO粉末100 重量部
に対して 0.2〜15重量部、好ましくは 0.5〜10重量部の
範囲とする。それにより、図2に示した焼成前の塗膜構
造と同様の塗膜を得ることができる。この含浸した塗膜
を次いで上記と同様に300 ℃以上の非酸化性雰囲気中で
焼成することによっても、上述した導電性、密着性、お
よび透明性を有する透明導電膜を得ることができる。
た透明導電膜は、透明電極、帯電防止膜、電磁波シール
ド膜、熱線カット膜、面発熱体、タッチパネル等として
利用可能である。
る。なお、実施例で使用したITO粉末は、いずれも
(In+Sn) の合計量に対するSn含有量が5原子%、平均
一次粒子径0.05μmの粉末であった。
ITO粉末、溶媒、有機酸化合物、および有機酸金属塩
化合物 (合計 100g) を250cc の容器に入れ、直径 0.3
〜0.6mm のジルコニアビーズ (ミクロハイカ、昭和シェ
ル石油) 100gを加え、ペイントシェーカーで3時間混合
してITO粉末を分散させることにより、導電膜形成用
組成物を得た。この組成物のITO粉末の分散状態を目
視観察により評価した。
を、傾斜させたガラス板 (厚さ2mm、ヘーズ 0.0%) に
フローコートし、表1に記載した温度および雰囲気で1
時間焼成して、ガラス板上に導電膜を形成した。得られ
た導電膜の表面抵抗値を四短針法 (ロレスタAP:三菱
油化)により、ヘーズをヘーズメーター (HGM−3
D:スガ試験機)により測定した。また、膜厚をSEM
断面写真より、密着性を1mm/mm 碁盤目クロスカット、
セロファンテープ剥離 (枡目数100)により求めた。これ
らの測定結果も表1に示す。
が本発明の範囲外であるか、焼成条件が本発明の範囲外
である比較例の実験も行った。その試験条件および試験
結果も表1に併せて示す。
1%以下、表面抵抗値 101〜102 Ω/□台 (ほとんどは
101 Ω/□台) 、密着性 100/100という、低ヘーズ、低
抵抗で密着性に優れた透明導電膜を形成することができ
た。これに対し、焼成温度が300 ℃未満であるか、有機
酸金属塩化合物の量が範囲外であると、透明性 (ヘー
ズ) 、導電性、密着性がいずれも低下した。また、有機
酸化合物の量が範囲外であると、ITO粉末の分散性が
低下した。また、従来法によりバインダー樹脂を用いて
得た透明導電膜は、ヘーズ、導電性、密着性のいずれも
劣っていた。
予め有機酸化合物および有機酸金属塩化合物で表面被覆
して使用した。表面被覆は、表2の表面処理組成物の欄
に示す種類および割合で有機酸化合物と有機酸金属塩化
合物を溶媒中に溶解させ、得られた溶液を、攪拌により
流動状態にしたITO粉末に噴霧した後、攪拌を続けな
がら140 ℃で乾燥することにより行った。こうして得た
表面被覆ITO粉末の凝集状態を目視で観察したとこ
ろ、いずれも良好な分散状態を示した。
ン) を表2の塗料の欄に示す割合で使用して、実施例1
と同様の方法で分散処理することにより塗料化して、導
電膜形成用組成物を得た。使用する溶媒には、場合によ
り表2に示す種類および割合で有機酸化合物を溶解させ
ておいた。
を、傾斜させたガラス板 (厚さ2mm、ヘーズ 0.0%) に
フローコートし、表2に記載した温度および雰囲気で1
時間焼成して、ガラス板上に導電膜を形成した。得られ
た導電膜の表面抵抗値、ヘーズ、膜厚および密着性を実
施例1と同様に測定した結果も表2に併せて示す。
酸金属塩化合物を予めITO粉末に表面被覆しておくこ
とによっても、表面抵抗値 101〜102 Ω/□台の導電性
に優れた透明導電膜を得ることができた。ただし、ヘー
ズと密着性は、これらの化合物を溶媒に溶解させた実施
例1に比べるとやや低下した。比較のために、有機酸化
合物の被覆量が過大である表面被覆ITO粉末を調製し
たが、この表面被覆ITO粉末は、表2に示すように凝
集体を形成し、容易に分散可能な状態ではなかった。
化合物を、後からITO粉末の塗膜に含浸させる方法で
透明導電膜を形成した。ITO粉末を表3のA液の欄に
示す種類および割合の溶媒および有機酸化合物(合計100
g) と共に250cc の容器に入れ、直径 0.3〜0.6mm の
ジルコニアビーズ (ミクロハイカ、昭和シェル石油) 10
0gを加え、ペイントシェーカーで3時間混合してITO
粉末を分散させることにより、塗布用のITO粉末分散
液 (A液とする) を得た。このA液のITO粉末の分散
状態を目視観察で評価した。
合で有機酸金属塩化合物を溶媒に溶解させて含浸用溶液
(B液とする) を得た。上記A液を傾斜させたガラス板
(厚さ2mm、ヘーズ 0.0%) にフローコートして塗布
し、風乾により塗膜を乾燥させた後、この塗膜上にB液
をフローコート法により塗布して塗膜に含浸させた。B
液の塗布量は 0.3〜0.7 mg/cm2であった。その後、表3
に記載した温度および雰囲気で1時間焼成して、ガラス
板上に導電膜を形成した。得られた導電膜の表面抵抗
値、ヘーズ、膜厚および密着性を実施例1と同様に測定
した結果も表3に併せて示す。
TO粉末から塗膜を形成し、この塗膜に有機酸金属塩化
合物を含浸させてから焼成することにより、導電性、密
着性、透明性 (低ヘーズ) のいずれにも優れた透明導電
膜を得ることができた。実施例1〜3の3種類の方法の
うち、本実施例の方法で得た塗膜がヘーズと導電性の両
面で最も高い性能を示す傾向があることが判明した。
の量を範囲外にしてITO粉末の分散液を調製したが、
表3に示すように、いずれも分散不良であった。
ダーを用いた従来の導電膜形成用組成物 (導電塗料) に
比べて、透明性、導電性および密着性のいずれにも優れ
た透明導電膜を形成することができる。その結果、塗布
法という簡便かつ効率的な方法で、表面抵抗値 101〜10
2 Ω/□台、ヘーズ2%以下、密着性95/100 以上、好
ましくは表面抵抗値 101Ω/□台、ヘーズ1%以下、密
着性 100/100 という、極めて高性能の透明導電膜を安
価に得ることが可能となり、工業的利用価値は非常に高
い。
式図である。
の模式図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 錫を含有する酸化インジウム粉末、溶
媒、有機酸化合物、および有機酸金属塩化合物からな
り、前記粉末100 重量部に対して、有機酸化合物を1〜
40重量部、有機酸金属塩化合物を 0.2〜15重量部の割合
で含有し、バインダーとして作用する樹脂を含まない、
導電膜形成用組成物。 - 【請求項2】 前記有機酸化合物が炭素数1〜18の脂肪
族カルボン酸、炭素数6〜20の芳香族カルボン酸、およ
びエチレンオキサイド鎖を有するホスホン酸よりなる群
から選ばれた1種もしくは2種以上である、請求項1記
載の導電膜形成用組成物。 - 【請求項3】 前記有機酸金属塩化合物が有機酸化合物
のCo、Ni、Pb、Sn、In、Al、Fe、Ti、Sb、およびZn塩よ
りなる群から選ばれた1種もしくは2種以上である、請
求項1または2記載の導電膜形成用組成物。 - 【請求項4】 前記有機酸化合物および有機酸金属塩化
合物の一方または両方の少なくとも一部が、前記酸化イ
ンジウム粉末の表面に付着した表面被覆物の状態で存在
する、請求項1ないし3のいずれかに記載の導電膜形成
用組成物。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
の透明導電膜形成用組成物を基体に塗布した後、300 ℃
以上の非酸化性雰囲気中で焼成することを特徴とする、
導電膜の形成方法。 - 【請求項6】 錫を含有する酸化インジウム粉末、溶
媒、および有機酸化合物からなり、前記粉末100 重量部
に対して有機酸化合物を1〜40重量部の割合で含有し、
バインダーとして作用する樹脂を含まない導電膜形成用
組成物を基体に塗布し、得られた塗膜に有機酸金属塩化
合物の溶液を含浸させた後、300 ℃以上の非酸化性雰囲
気中で焼成することを特徴とする、導電膜の形成方法。 - 【請求項7】 前記有機酸化合物が炭素数1〜18の脂肪
族カルボン酸、炭素数6〜20の芳香族カルボン酸、およ
びエチレンオキサイド鎖を有するホスホン酸よりなる群
から選ばれた1種もしくは2種以上である、請求項6記
載の導電膜の形成方法。 - 【請求項8】 前記有機酸金属塩化合物が有機酸化合物
のCo、Ni、Pb、Sn、In、Al、Fe、Ti、Sb、およびZn塩よ
りなる群から選ばれた1種もしくは2種以上である、請
求項6または7記載の導電膜の形成方法。 - 【請求項9】 錫を含有する酸化インジウム粉末が有機
酸金属塩化合物の熱分解物により融着された構造を有す
る、バインダーとして作用する樹脂を含まない透明導電
膜。 - 【請求項10】 前記有機酸金属塩化合物が有機酸化合
物のCo、Ni、Pb、Sn、In、Al、Fe、Ti、Sb、およびZn塩
よりなる群から選ばれた1種もしくは2種以上である、
請求項9記載の透明導電膜。
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