JP3230283B2 - 析出硬化系ステンレス鋼の鍛造加工方法 - Google Patents

析出硬化系ステンレス鋼の鍛造加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は析出硬化系ステンレス
鋼の鍛造加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般の
鍛造加工に際して、材料の変形抵抗が高く、成形時の工
具寿命が短い場合には、一旦冷えた材料を必要な温度ま
で加熱し、変形抵抗を下げた上で鍛造加工を施す。
【0003】ところでSUS630等析出硬化系ステン
レス鋼、即ちマルテンサイト組織を有するステンレス鋼
の場合、そのマルテンサイト組織が非常に硬く、変形能
の小さい組織であることから、一般的に高い工具寿命が
得られるような変形抵抗領域(70kgf/mm2以下)で加
工するためには、材料を600℃以上の高温度で加熱す
る必要がある。
【0004】一般に鍛造加工に際しては、材料と金型等
工具との焼付きを防止するなどの目的で、材料や金型に
潤滑被膜(例えば黒鉛等)を形成処理したり、金型冷却
油を吹付・塗布したりするが、上記のように600℃以
上の高い温度では潤滑剤,金型冷却油等の酸化劣化や発
火等の問題のためにこれらを使用することができない。
【0005】従って析出硬化系ステンレス鋼の場合、切
削加工によって所望の形状を出すか、または300℃程
度の低い温度でしか鍛造加工できないというのが実情で
あった。しかしながらこのような低い温度での鍛造加工
では、高度の加工を施すことは困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決することを目的としてなされたものであり、
その要旨は、析出硬化系ステンレス鋼を一旦オーステナ
イト領域に加熱保持した後、200〜700℃の温度領
域まで冷却して該温度領域で鍛造加工を施すことにあ
る。以上のように本発明は、材料を一旦オ−ステナイト
領域に加熱保持した後200〜700℃の温度領域に冷
却して鍛造加工を施すもので、この温度領域では一旦オ
−ステナイト化された材料はマルテンサイト変態してお
らず、従って本発明によれば材料を延性が高くて軟らか
いオ−ステナイト状態で加工を施すことができる。
【0007】このため700℃以下、例えば200℃に
近いような低い温度でも容易に鍛造加工することができ
るし、またその際に既存の潤滑被膜剤や金型冷却油を使
用でき、従来不可能であった高度の鍛造加工も本発明に
より可能となる。
【0008】因みに図2は、本発明の一例に従って材料
を加工した場合の限界圧縮率を従来法との比較において
示したものである。図中Bは本発明の一例に従って処理
した場合の結果を、またAは従来法に従って処理した場
合の結果を示しているが、この結果から明らかなよう
に、本発明に従って加工を施した場合、材料の限界圧縮
率は温度200〜700℃の何れの領域においても従来
法に従って処理を行った場合に比べて高くなっている。
【0009】特に注目されるのは、従来法の場合、最も
加工に適した温度とされる400℃付近で限界圧縮率が
極端に低下しているのに対し、本発明の場合、高い限界
圧縮率が得られている。但しここで限界圧縮率とは、材
料を圧縮していったときに割れが発生する直前の限界の
圧縮率である。
【0010】上記A及びBは、具体的には図1に示すよ
うな処理条件を採用した。即ちAは室温まで冷えた材料
を各加工温度まで加熱して加工を行った場合であり、こ
のとき材料はマルテンサイト状態のまま加工が施される
ことになる。
【0011】一方Bは室温まで冷えた材料を一旦オ−ス
テナイト領域まで加熱した後各加工温度まで冷却して加
工を施したもので、材料はオ−ステナイト状態で加工さ
れることとなる。
【0012】図3(A)及び(B)は、上記圧縮試験の
際の材料の変形抵抗を示したものである。これらの図か
ら明らかなように従来法の場合、温度600℃以上で初
めて望ましい変形抵抗,変形能が得られるのに対し、本
発明例によれば200℃の低い温度まで望ましい変形抵
抗,変形能が得られている。このことは、本発明によれ
ば200℃までの低い温度において望ましい鍛造加工が
可能であることを意味する。
【0013】本発明においては、材料を鍛造加工した
後、析出硬化のための時効処理を行う。この時効処理を
行なったとき、従来法にて加工を行った場合と同様の効
果が得られること、即ち従来法にて加工及び時効処理を
行った場合と同様の硬さが得られることが確認されてい
る。
【0014】図4はこのことを表している。図中●は室
温から500℃まで温度を上げて4時間時効処理を行っ
た場合、▽は室温からオ−ステナイト領域まで温度を上
げた後、室温まで温度を落とし、そしてその間に200
〜700℃の温度領域で鍛造加工を行い、しかる後再び
温度を500℃まで高めて4時間時効処理を行った場合
の結果を示しているが、これらの結果から明らかなよう
に●,▽何れもほぼ同様の値を示している。
【0015】尚×はオ−ステナイト領域から材料の温度
を室温まで落とさずに直接500℃に低下させ、そこで
4時間時効処理を行った場合の結果であるが、この結果
が示すようにオ−ステナイト化された材料は一旦室温ま
で落としてマルテンサイト変態させないと充分な時効効
果が得られない。
【0016】本発明にあっては、前記析出硬化系ステン
レス鋼の加熱工程直後に強制冷却工程を設け、該強制冷
却工程おける冷却により後続の鍛造工程における該析出
硬化系ステンレス鋼材の温度を調節することが望まし
い。このようにすれば、オ−ステナイトからの材料の冷
却速度を鍛造加工速度に合わせることができ、生産能率
を効果的に高めることができる。
【0017】図5は、本発明をコイル状に巻かれた線材
又は予め一定長さに切断されたスラグに対する鍛造加工
に適用した場合の例を示している。図中10はコイル状
に巻かれた線材、12はコイルから引き出された線材を
矯正するためのピンチロールから成る矯正装置、14は
誘導加熱装置,16は鍛造装置である。この鍛造装置
は、線材を切断するための切断機18,切断した材料を
保持して移動させるトランスファー装置20を含んでい
る。
【0018】尚、22は予め所定長さに切断されたスラ
グであって、本装置はコイル状の線材10を供試材とす
る場合だけでなく、このスラグ22を供試材としてこれ
を鍛造加工することもできる。
【0019】本例では、誘導加熱装置14のすぐ下流工
程にエアノズルからエアを吹出して冷却を行う強制冷却
装置24が設けてあり、一旦オ−ステナイトに加熱され
た材料がここで強制冷却されて鍛造装置16へと送られ
る。
【0020】図6はこの具体例における各工程に沿った
Aゾーン,Bゾーン,Cゾーンにおける温度変化の状態
を表したもので、この図より、一旦オ−ステナイトまで
加熱された材料が強制冷却工程で冷却されて急激に温度
低下し、後続の鍛造工程における材料温度が400〜6
00℃の適当な温度に調整されていること、換言すれば
通常の鍛造速度で鍛造を行った場合にもその際の材料温
度を400〜600℃まで低下させ得ることを示してい
る。
【0021】図7は別の具体例として、スラグを供試材
としてこれに鍛造加工を施す場合の工程例を示したもの
で、図中26,28はコンベヤ,30はパーツフィー
ダ,32は誘導加熱装置,34はコンベヤ,36は潤滑
剤のコーティング工程,40は鍛造成形のための金型で
ある。ここで潤滑剤のコーティング工程36の前端部に
は強制冷却装置38が設けてあり、加熱後の材料を強制
冷却するようになっている。
【0022】以上の具体的工程例に見られるように、加
熱後の材料を強制冷却する工程を設けることで、鍛造の
タクトに合わせた材料の冷却が可能であり、能率高く鍛
造加工を行うことが可能である。
【0023】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。表1に示す組成の材料を図8
に示す条件A,Bに従って処理及び鍛造加工を行った。
ここで♯1,♯2はそれぞれ鍛造加工における第一工
程,第二工程を意味している。
【0024】
【表1】
【0025】本実施例における鍛造加工は、図9に示す
如き穴42及び頭44付きの製品46を成形するもの
で、第一工程(I)において素材48に穴明けを施して
深さ24mmの穴42を形成し、しかる後第二工程(I
I)で穴明側とは反対側を加工して頭44を形成すると
いったものである。
【0026】この鍛造加工実験において、素材硬さ,パ
ンチ寿命,第一及び第二の各工程における加工品の形
状,時効処理後における製品の各部の硬さ等を調べたと
ころ、表2,表3,表4の如くであった。但し表3にお
いて加工品の形状の欄の( )内の数値は得られた穴の
深さを示し、また(割れ)とあるのは加工品に割れが発
生したことを意味している。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】更に表4における硬さは、図10に示す製
品における〜の各部の硬さを示している。
【0030】
【表4】
【0031】これらの結果から、本発明に従って鍛造加
工を行った場合、材料の変形能が良好であって工具寿命
が高く、高度の加工が可能であること、更に加工後に時
効処理を施した場合において良好な硬さが得られること
等が分る。
【0032】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加えた
態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う具体的な材料の処理及び加工のパ
ターン例を示す説明図である。
【図2】同処理及び加工にて得られる限界圧縮率を示す
図である。
【図3】同処理及び加工にて得られる変形抵抗を示す図
である。
【図4】図1に示す処理及び加工後の時効処理によって
得られる硬さを、他の処理・加工にて得られる硬さとの
比較において示す図である。
【図5】本発明に従う加工工程例の図である。
【図6】図5の工程における温度変化の状態を示す図で
ある。
【図7】本発明に従う、図5とは異なる工程例の図であ
る。
【図8】本発明の実施例において採用した材料の処理・
加工条件を示す図である。
【図9】その実施例において行った鍛造加工の各工程と
成形品の形状を示す図である。
【図10】同実施例において得られた成形品及び硬さ測
定箇所を示す図である。
【符号の説明】
10 コイル状線材 14,32 誘導加熱装置 16 鍛造装置 22 スラグ 24,38 強制冷却装置 42 穴 44 頭 46 製品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 B21J 1/06 B21J 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 析出硬化系ステンレス鋼を一旦オーステ
    ナイト領域に加熱保持した後、200〜700℃の温度
    領域まで冷却して該温度領域で鍛造加工を施すことを特
    徴とする析出硬化系ステンレス鋼の鍛造加工方法。
  2. 【請求項2】 前記析出硬化系ステンレス鋼の加熱工程
    直後に強制冷却工程を設け、該強制冷却工程における冷
    却により後続の鍛造工程における該析出硬化系ステンレ
    ス鋼材の温度を調節することを特徴とする請求項1に記
    載の析出硬化系ステンレス鋼の鍛造加工方法。
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