JP3224295B2 - 超音波を用いた温度測定装置 - Google Patents

超音波を用いた温度測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波を用いて領域内
の温度を測定する温度測定装置に関し、詳しくは領域内
における各部の温度、または領域内の平均温度を少ない
超音波素子で正確に測定することができる温度測定装置
に関する。当該装置は、例えば車両に搭載したエアコン
のゾーン空調等、温度監視及び温度制御に係る各種機器
に利用され得る。
【0002】
【従来の技術】従来において、超音波を利用した温度測
定装置が知られている。例えば特開平2−171809
号公報には、超音波のビームを2つに分けて、一方を部
屋内の温度測定、他方をエアコン等の温度制御またはオ
ンオフ制御に用いた装置が示されている。この装置は、
装置近傍の例えば手に反射した超音波を受波したときに
機器のオンオフ制御を行い、装置から離れた壁に反射し
た超音波を受波したときに、その伝播時間から部屋内の
温度測定を行っている。また、実開平1−107942
号公報には、部屋の一方の壁に複数の超音波距離計を設
けて、この各距離計の出力信号から部屋内の平均温度を
測定する装置が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、部屋内各部の
温度、または領域内の平均温度を測定する場合、例えば
前者のような装置は、超音波の一伝播路上の温度を以て
領域内の平均温度としているので、実際の平均温度との
間に温度差を招いてしまう。また後者のような装置は、
領域内の被測定箇所に応じて複数の測定装置を設ける必
要があり、当然、コスト高となってしまう。
【0004】また両者は、その温度測定課程で超音波の
伝播時間を計測する際、超音波が送波されて受波される
までの時間を差分的に計測しているので、測定された温
度に誤差が含まれてしまう。つまり超音波を受波する
際、超音波の受波レベルが変動するので受波時点を正確
に検出することができず、これによる誤差が最終的に温
度測定値の精度を低下させてしまう。
【0005】そこで本発明は、領域内における複数箇所
の温度を少ない超音波素子で測定できると共に、その各
部の温度が超音波の受波レベルの変動に影響されること
なく正確に測定され得る温度測定装置の提供を目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課
題の解決のために図1に示す形態を採用する。本発明
は、媒体内に設けた超音波素子を用いてこの媒体中各部
の温度を測定する温度測定装置において、上記超音波素
子から媒体内に送波され、同一もしくは異なる上記超音
波素子で受波される各超音波の各伝播距離に基づき、超
音波を送波する送波タイミングと受波する受波タイミン
グとを決定するタイミング決定手段1と、上記超音波素
子で受波される超音波を上記受波タイミングに基づき選
択検出する選択検出手段2と、上記検出された超音波の
送波/受波間における伝播時間を算出するに際し、この
超音波の周期の倍数である波数と、上記検出した超音波
の送波/受波間における位相差とを用いて算出する伝播
時間算出手段3と、この伝播時間を温度に換算する温度
換算手段4と、を設ける。このとき上記超音波素子は、
超音波の送波及び受波において同じ超音波素子を兼用し
てもよい。また、上記伝播時間算出手段3は、超音波の
伝播時間の算出時、今回算出した波数と前回算出した波
数との間の変化量、及び今回検出した位相差と前回検出
した位相差との変化量を算出して、これら各変化量から
今回の波数に対する補正値を算出する手段を更に設ける
ことが好ましい。
【0007】
【作用】上記形態によれば、タイミング決定手段1によ
り決定された送波タイミングで超音波が送波された後、
選択検出手段2において、タイミング決定手段1により
決定された受波タイミングで超音波が各々選択検知され
る。これにより、媒体内をそれぞれ異なる伝播経路で伝
播して到来する各超音波が個々に検出されるので、各超
音波を少数の超音波素子で受波することができ、受波さ
れた各超音波毎にその伝播時間が算出され得る。
【0008】また、温度測定に係る各超音波の伝播時間
は、伝播時間算出手段3において、送波された超音波の
周期を基に算出される。本発明において超音波の伝播時
間は、周期を単位とする概略的な時間値、例えば超音波
の送波/受波間の遅延時間を超音波の1周期の整数倍で
表した波数とこの超音波の周期との積で表した概算値
と、周期を時間に換算した詳細な時間値、例えば上記遅
延時間における超音波の位相変化量を超音波の1周期の
範囲で表した詳細値との組合わせにより算出される。上
記概算値の算出に用られる波数は、例えばその単位が超
音波の1周期であるので、超音波の受波レベルが変動し
ても影響を受け難く、また上記詳細値の算出に用られる
位相差は、超音波の受波レベルが変動しても超音波の位
相は変動の影響を受けないので常に位相変化分となる。
このように波数と位相差とを組合わせて伝播時間を算出
することにより、超音波の受波時点を厳密に計測するこ
となく正確な伝播時間を算出することができ、この伝播
時間を基に、例えば公知の関係式を用いて媒体内の各部
温度が測定され得る。
【0009】また、伝播時間の算出において、超音波が
安定して伝播できる範囲であれば、伝播距離を長く設定
しても、伝播時間を算出するための波数が増えるだけ
で、詳細値を算出するための位相差は、例えば常に超音
波の1周期の範囲内を指示するので、正確に伝播時間が
算出され得る。
【0010】更に、上記波数補正手段を設けた場合、伝
播時間の算出毎、算出した波数に対してその補正値が生
成される。この補正値は、今回算出した波数と前回算出
したの波数との差に、その間の位相変化による要素が加
味される。例えばその間の位相差の変化量が当該超音波
の1周期を越えた場合、その遅れ又は進みの方向に応じ
て付加される。これにより、受波レベルが大きく変動し
ても正確な波数を得ることができる。またこの補正値
は、補正値自身が識別されることにより、被測定領域内
の急激な温度変化、又は伝播時間の算出課程における異
常等に対して適応され得る。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る具体例を添付図面ととも
に詳細に説明する。図2は本発明に係る温度測定装置の
一実施例の全体構成図であり、図3は本装置内各回路に
おける信号のタイムチャート、図4は一温度測定例を示
すタイムチャート、図5および図6は本装置の温度測定
動作のフローチャートである。
【0012】図2において、本温度測定装置は、送波/
受波兼用の超音波素子10と、超音波を送波させるため
の送波部20と、受波した超音波から受波信号を生成す
る受波部30と、超音波の送受波および温度算出に係る
信号処理を行うマイクロコンピュータ装置40(以下、
単に「MCU」という)とを備えている。また、超音波
が伝播する領域内(本実施例において領域内の媒体は
「空気」である)には、超音波を反射する反射板51,
52,53が設けられている。
【0013】まず送波部20を説明する。送波部20
は、分周回路21,送波ゲート回路22,駆動回路23
とを備えている。分周回路21は、MCU40のEパル
スを入力して、例えば40KHzの基準パルス(基準信
号)を生成する。送波ゲート回路22は、MCU40か
らの送波タイミング信号に基づき、基準信号と同期する
送波ゲート信号を生成する。駆動回路23は、送波ゲー
ト信号と基準信号とのアンドにより駆動信号を生成し、
超音波素子10をパルス駆動して超音波を送波させる。
【0014】また、媒体中の各反射板51,52,53
は、超音波が各々異なる伝播経路L 1 ,L2 ,L3 を構
成するように、媒体内の適宜箇所に固定配置されてい
る。各経路における伝播距離は、例えば予め距離が設定
されているフレーム内、あるいは通常の測量機器等によ
り測定され、その値がMCU40に予め入力される。ま
た反射板の角度等は、当該装置における受波レベルの感
度と共に予め調整されている。
【0015】次に、受波部30について説明する。受波
部30は、増幅回路31,受波検知回路32,マスク回
路33,遅延時間検出回路34,位相差検出回路35と
を備えている。各反射板で反射した超音波は、伝播経路
毎に時間差をもって素子10に到達する。各超音波は、
超音波素子10で電気信号に変換された後、増幅回路3
1で増幅されて受波信号となる。各受波信号は、更に受
波検知回路32に入力されて波形整形され、受波検知信
号となる。受波検知信号はマスク回路33に入力され、
反射板毎に選択検知される。マスク回路33は、各超音
波の伝播距離に応じて設定される受波タイミングに従っ
てマスク時間を設定し、このマスク時間にわたり受波検
知信号の取り込みを阻止する。このマスク時間は、超音
波の送波後、検知すべき超音波が受波されるまでの時間
よりも幾分短い時間で設定される。マスク回路33は、
マスク時間の経過後、受波検知信号を取り込み、このと
き最初に取り込んだ受波検知信号を選択する。
【0016】選択検知された受波検知信号は、遅延時間
検出回路34(以下略して「時間検出回路」という)及
び位相差検出回路35に入力される。時間検出回路34
は、この検知信号の立上がり時を検出して超音波の受波
時を推定する。そして当該超音波の送波時と受波時との
時間差から遅延時間を検出する。一方、位相差検出回路
35は、当該検知信号の受波信号をパルス化した後、上
記基準信号と比較して、その位相差信号を生成する。こ
の位相差信号は、例えばMCUのEパルスといった十分
高い周波数で変調され、そのパルスがカウントされる。
上記遅延時間および位相差の各信号はMCU40に取り
込まれる。
【0017】MCU40は、後述の演算処理により上記
遅延時間及び位相差から当該超音波の伝播時間を算出
し、係る伝播時間から媒体中の温度を算出する。算出さ
れた温度測定結果は表示回路61に信号出力され、例え
ば7セグメントの表示器にデジタル表示される。また温
度測定結果は、移信回路62を介して他の関連装置にも
移信され得る。
【0018】次に、図3により上記各回路で生成される
信号を説明する。まず図3(a)は分周回路21で生成
される40KHzの基準信号を示し、図3(b)は送波
ゲート回路22で生成される送波ゲート信号である。送
波ゲート信号は基準信号と同期しており、基準信号の周
期の整数倍に設定される。図3(c)は送波ゲート回路
22から駆動回路23に出力される駆動信号を示し、基
準信号と送波タイミング信号とのANDにより生成され
る。この駆動信号により超音波素子が駆動され、超音波
が送波される。
【0019】図3(d)は、送波された超音波が3つの
反射板にそれぞれ反射した後、同じ超音波素子に受波さ
れ、増幅回路で増幅された受波信号A,B,Cを示して
いる。1回の超音波送波に対して各受波信号は、伝播距
離に応じて時間差をもち、伝播距離の短い順番に並んで
いる。本実施例の場合、送受波を同じ超音波素子で行っ
ているので、受波信号の周波数は上記基準信号の周波数
と適合している。各受波信号A,B,Cは受波検知回路
で閾値処理され、図3(e)に示すパルス状の位相信号
に変換されると共に、一方で積分され、図3(f)に示
す受波検知信号となる。
【0020】以下、図3(g)〜(i)は、上記各受波
検知信号における中央の受波検知信号Bについて、すな
わち各反射板の内、第2番目に短い伝播距離L2 を構成
する反射板を通して到来した超音波について、その伝播
時間を算出する例を示す。マスク回路は、所望の超音波
を検出するために、超音波の送波時から一定時間、マス
ク回路からの出力を遮断するように働く。このマスク時
間は、図3(g)に示すように、当該超音波の到達時よ
りも幾分短い時間で設定されている。
【0021】このマスク時間、すなわち受波タイミング
の設定について説明する。この受波タイミングは、送波
タイミングと共に、測定前、例えば超音波の送波時間,
伝播距離,測定温度範囲,反射板数等を基にMCUで設
定される。一例として、まず、一定温度の媒体中に一定
伝播距離を構成する反射板を設けて一定時間の超音波を
送波したときの受波検知信号幅を想定し、更に当該装置
の測定温度範囲に基に受波検知信号幅の最大幅を算定す
る。これにより1つの超音波当たりの受波検知信号の最
大幅が決定される。次にこの最大幅を基に、隣合う受波
検知信号間の間隔が適宜設定される。この間隔の設定に
は適当な余裕が設けられ、隣合う受波検知信号同志が重
複しないように考慮される。この間隔設定は、同時に各
反射板の配置寸法の範囲を規定するものとなる。
【0022】反射板の配置が適宜設定されて各伝播距離
が測定されると、受波タイミングは、各伝播距離に応じ
て例えば超音波の送波時から、当該超音波の受波検知信
号における最も早い立上がり時の少し前までの時間で設
定される。また、送波タイミングは、上記受波検知信号
の最大幅及びその間隔と、反射板の数とが考慮されて決
定される。例えば、超音波の周波数を40KHz、送波
時間を125μs、測定温度範囲を−50℃から100
℃としたとき、伝播距離は、各反射板による伝播距離の
差の最小値を30cmとして各々1.0m、2.0m、
2.3mと設定され得る。
【0023】このようにマスク回路には受波タイミング
が与えられ、図3(g)のように、受波検知信号Aが最
も遅く消滅すると想定された時間と、検知信号Bが最も
早く立上がると想定された時間との間でマスク時間が決
定されている。これによりマスク回路は、このマスク時
間の経過後、最初に立ち上がる検知信号Bを選択検知す
る。
【0024】検知信号Bの検知後、時間検出回路は、送
波ゲート信号の立上がり時から検知信号Bの立上がり時
までの時間を遅延時間として検出し、遅延時間信号をM
CUに入力する(図3(h))。また、図3(i)は位
相差検出回路で生成される位相差信号を示し、検知信号
Bの立上がり時から所定パルス経過後、図3(a)に示
した基準信号の立上がり時を基準にして、図3(e)の
位相信号Bとの位相差から生成される。この位相差信号
はその後、Eパルスで変調され、カウンタで計数され
る。計数された位相差信号(図示せず)は、更に2進コ
ードに変換され、MCUに入力される。
【0025】次に、このように1つの受波検知信号が検
出され、係る遅延時間及び位相差が算出された後、当該
検出された超音波の伝播時間tを算出する課程を説明す
る。MCUは、例えばこの遅延時間値を当該超音波の1
周期の倍数に換算し、その値の整数部を波数nとして伝
播時間の算出に用いる。またMCUは、上記計数された
位相差を上記1周期の範囲内の時間dpに換算して伝播
時間の算出に用いる。この伝播時間tの算出に係る関係
式を式(1)に示す。 t=(n+α)・T+dp …(1) n:波数 α:波数の補正値 T:超音波の周期(周波数fの逆数:1/f) dp:位相差からの換算値 尚、波数nは、関数int(τ/T)により整数で算出
され、τは遅延時間である。
【0026】上式において(n+α)は補正された波数
値を示しており、伝播時間の測定中、当該超音波の受波
レベルの変化等により波数nが変動したとき、波数補正
値αにより補償されたものである。波数補正値αは、係
る伝播時間の算出時、波数を算出する毎に算出され、以
下の〔表1〕のように決定される。そして上記(n+
α)・Tは、当該超音波の周期を単位とする伝播時間の
概算値を示し、上記dpは、同周期の範囲内における伝
播時間の詳細値を示している。
【0027】
【0028】上記[表1]における波数補正値αの算出
方法を説明する。[表1]は、上記図2に示した各伝播
路L1〜L3の内、第2の伝播路L3(L=2)から到来
する超音波についての例を示したものである。まず波数
補正値α2Kを算出するために、当該超音波における波数
および位相の各初期値n20,dp20(K=0)を決定す
る。初期値n20,dp20は、本温度測定の前、遅延時間
を検出するための超音波の送受波が所定回数繰り返され
て決定される。波数の初期値n20は、一連の送受波によ
り伝播路毎に到来する各超音波の内、当該超音波に関す
る所定回数分の波数を算出して、その平均値から決定さ
れる。また、位相差の初期値dp20は、上記一連の送受
波が反復されるとき、当該反復送受波の最後に検出した
位相差から決定される。即ち、波数は受波レベルの影響
が皆無ではないので、少しでも精度を向上させるべく、
波数の初期値を平均値で求めているのに対して、位相差
は、原理的に受波レベルの影響は受けないので常に正し
い値が得られ、従って、以降の計算においても、常に最
新の値が使われる。そして、以降の計測との整合性を考
慮すると、初期値(第1回目の測定値)で計算されるの
は、初期値計測終了時点における温度であり、従って、
位相差の初期値dp 20 として、最後に検出された位相差
を使用するのである。尚、波数補正値自身の初期値α20
は「0」である。また、他の伝播経路L1,L3に係る超
音波の各初期値n10,n30及びdp10,dp30について
も、算出方法は同様である。このように各初期値の算出
後、本温度測定に係る伝播時間の算出動作が開始され
る。係る伝播時間の算出中、各波数補正値αLKは、対応
する各超音波の伝播時間から波数が算出されると同時に
算出される。
【0029】以下〔表1〕は、L2 を伝播する超音波に
おける伝播時間の1回目、2回目、…k回目の算出時、
算出された波数n21〜n2kに対する波数補正値α21〜α
2kの算出方法を示している。例えば第1回目の波数n21
に対する波数補正値α21は、初期値n20+α20と波数n
21との差に、今回検出した位相差が初期位相差dp20
比べて1周期変化している場合、その位相変化の方向に
応じて「+1」または「−1」の付加値(〔表1〕では
(±1)で示す)が加えられたものとなる。
【0030】この付加値は、係る伝播時間の算出時、検
出した位相差の変化量が、例えば超音波の1/2周期以
上となる場合、全体的な位相差が超音波の1周期を越
え、1波数だけ増減したと見なして付加するようにして
もよいし、あるいは、検出した位相差の変化量の累積値
が当該超音波の1周期を越えるときに付加されようにし
てもよい。つまり位相差の基準である上記基準信号の起
点から見て、1周期の範囲にわたり位相差が変化し、位
相差の累積値が位相の遅れ方向に通過した場合(2π側
から0側)「+1」が付加され、反対に位相の進み方向
に通過した場合(0側から2π側)「−1」が付加され
る。尚、いずれの方向にも通過していない場合、付加値
は「0」である。またこの付加値は、伝播時間の算出毎
に検出される計数化された位相差値を基に、その累積値
が判別されることによって付加されてもよい。
【0031】これにより波数n21に対する補正後の波数
21+α21は、n20(±1)となることが分かる。これ
は初期値n20に、位相の変化に応じて付加値が加えられ
たものに相当し、上式(1)の(n+α)に適用され
る。
【0032】その後、同様に波数補正値が算出され、波
数n2Kに対する波数補正値α2kは、〔表1〕に示すよう
に、n2(k-1)+α2(k-1)−n2k(±1)となる。その結
果、波数n2kに対する補正後の波数(n2k+α2k)は、
実際上、n20+Σ(±1)となることがわかる。すなわ
ち波数の初期値n20に、これまでの付加値の総和が加え
られた値となる。
【0033】このように補正値αを用いて伝播時間tを
算出した例を図4に示す。図4は、超音波の周波数が4
0KHz、当該超音波上の被測定媒体の温度が時間x0
からx3 の間で低下し、時間x3 からx6 の間で上昇し
ている状態を示している。図4において、x0 からx3
の間では、温度の低下により超音波の伝播速度が遅くな
るので位相差dpが徐々に増加(位相遅れ方向)してお
り、反対にx3 からx6 の間では、媒体温度が上昇して
超音波の伝播速度が早くなるので徐々に減少(位相進み
方向)している。また、位相差dpが超音波の周期に相
当するx1 ,x2 及びx4 ,x5 においては、波数補正
値αに付加値(+1または−1)が付加されている。波
数nは、図のように受波レベルの変化により変動してい
るが波数補正値αにより補正され、補正後の波数n+α
には変動の影響が現れていない。この結果、伝播時間t
は、波数n+αと位相差dpの和、すなわち波数n0
Σ(±1)と位相差dpの和で表され、媒体の温度変化
に追従している。
【0034】このように伝播時間tは、実質的に波数n
0 +Σ(±1)と位相差dpの和で表すことができる。
しかし、もし初期値n0 にズレがあると、そのズレがそ
のまま測定誤差となってしまうことが考えられる。そこ
で本実施例では、所定数の波数補正値を算出毎にその平
均値α*を判別して、初期値n0 のズレを評価してい
る。波数補正値αは、通常、波数が理想的に算出されて
いれば初期値「0」のままであるが、実際は受波レベル
の変動により増減する。しかし上述のように波数補正値
αを算出すると、その平均値α*は、常に「0」周辺で
推移するはずである。これにより、平均値α*がプラス
又はマイナスに偏ることを検出して異常を識別すること
ができる。そして、もし異常が検出された場合には、波
数の初期値n0 は再計測され、新しい初期値に更正され
る。また、このように波数補正値を評価することによ
り、被測定媒体の温度が一時的に極めて急激な変化をし
ても、その変化に対して初期値が適応され得る。
【0035】次に、以上示した本温度測定装置における
MCUの一連の動作について、図5および図6に示した
フローチャートで説明する。図5は、上記波数補正値α
LKの各初期値算出に係る動作フローチャートを示してお
り、まず第1の伝播路L1 における波数補正値の各初期
値nL0,dpL0が算出され、以後、順番に各伝播路
2 ,L3 毎、波数補正値の各初期値が算出される課程
を示している。最初のステップ100は初期設定を示し
ており、装置に電源が投入されると同時に装置全体がリ
セットされ、その後、測定温度範囲,超音波の周波数,
各伝播距離,反射板数等の基本データを取り込み、送波
タイミング及び受波タイミングを算出する(ステップ1
10)。次に、第1の伝播路L1 に対応する受波タイミ
ングに切り替え(ステップ120)、上記送波タイミン
グで超音波を送波制御し(ステップ130)、係る送受
波に対する遅延時間及び位相差を入力する(ステップ1
40)。そしてこの遅延時間から波数を算出し(ステッ
プ150)、波数と位相差とをMCU内部の記憶装置に
記憶する(ステップ160)。
【0036】これで第1の伝播路における第1回目の算
出が終わり、続いて第1の伝播路における第2回目の算
出が開始される。これらステップ100から140は、
所定回数(M)繰り返される(ステップ170)。そし
て、第1の伝播路において所定回数の算出が終わると、
次は第2の伝播路L2 に対する算出が開始され、以後、
受波タイミングを切替えながら伝播路の数だけ反復され
る(ステップ180)。
【0037】このように各伝播路毎に所定回数の算出が
終わると、算出した各値が平均され、補正値算出に係る
各初期値nL0,dpL0が算出される(ステップ19
0)。またステップ200では波数補正値自身の初期値
αL0(=0)が設定される。
【0038】次に図6において、各初期値の算出後、各
超音波の伝播時間t1 〜t3 を順次算出して被測定媒体
内の各部温度T1 〜T3 を算出する課程を説明する。ま
ずステップ300では第1の伝播路L1 に係る受波タイ
ミングを設定し、超音波を送波制御する(ステップ31
0)。次に当該超音波に係る遅延時間信号を入力し、こ
の遅延時間から波数n11を算出する(ステップ32
0)。続いて当該超音波に係る位相差信号を入力して位
相差を算出する(ステップ330)。ステップ340で
は上述の〔表1〕に基づき、当該超音波に係る波数補正
値α11を算出し、MCU内部の記憶装置に記憶する。そ
してステップ350では波数補正値αの算出回数βがカ
ウントされる。
【0039】ステップ360ではこの算出回数βが判別
され、当該算出回数が所定数Xとなったとき、記憶され
ている波数補正値α11〜α1Xの平均値α1 *が算出され
る(ステップ370)。その後、ステップ380では、
例えばこの平均値α1 *が「0」近辺の所定範囲以内に
あるか否かが判別され、平均値α1 *が所定範囲内にあ
るときには、当該超音波に係る波数の初期値n10に異常
がないと判断してステップ390が実行されて伝播時間
が算出される。反対に平均値α1 *が所定範囲から外れ
ているときには、上記ステップ120から当該波数の初
期値n10が更正される。この場合ステップ120では、
当該超音波に係る受波タイミングのみが設定され、当該
波数の初期値n10だけが更正された後、ステップ300
が実行される。
【0040】ステップ390では、以上求めた波数,波
数補正値,位相差から上式(1)に従って当該超音波に
係る伝播時間t1 を算出し、この伝播時間t1 を基に以
下の関係式(2)に従って、当該温度T1 を算出する
(ステップ400)。 T=(L/t−331.45)/0.605 …(2) T:温度(℃) L:伝播距離(m) t:伝播時間(sec) これにより第1の伝播路における平均温度T1 が算出さ
れ、例えばこの測定結果は個別に表示器,又はレベルメ
ータ等に信号出力される(ステップ410)。以上によ
り第1の伝播路における温度測定動作が終了し、続いて
第2の伝播路に関する温度測定動作のために、マスク回
路の受波タイミングを切り替え(ステップ420)、ス
テップ300にリターンする。以後同様に、第2及び第
3の伝播路に関する温度測定動作が終了すると、再び第
1の伝播路に関する温度測定動作が行われる。係る測定
動作は、本装置の電源スイッチがオフされるまで反復継
続される。
【0041】このように、超音波の伝播時間は、伝播経
路毎に波数と位相差が正確に算出され、その結果、媒体
中の各部の温度が正確に測定される。例えばその精度
は、空気中50cm(伝播距離/2=50cm)の領域
を測定するとき、例えば超音波の周波数を40KHz,
伝播距離の誤差を50cmあたり0.8mm以下と設定
して実験した場合、従来のように差分的に測定した伝播
時間を用いて測定すると、その精度は約±5℃程度であ
ったが、本装置によれば約±1℃以内で測定することが
できる。
【0042】以上、本発明に係る一実施例を紹介した
が、これらの各構成は種々の変形及び変更が可能であ
る。例えば、送波用及び受波用の各超音波素子を別個に
設けてもよいし、これらを対向させて配置してもよい。
また、1つの超音波素子から送波した超音波を複数の超
音波素子で受波するように構成してもよい。そして、上
記測定装置内の各回路に温度補償回路が組み合わされて
もよい。更に、測定対象とする媒体は、超音波の伝播が
可能であれば、気体,液体,固体に係わらず適応され得
る。尚、本装置において使用され得る超音波の周波数は
特に限定されないが、工業的には、その用途,コスト等
に応じてその指向性とともに適当に組み合わせて適応さ
れ得る。
【0043】
【発明の効果】このように本発明によれば、超音波の各
伝播経路毎に受波タイミングを設定し、これを送波タイ
ミングと同期させながらシフトすることにより、複数の
伝播経路から到来する超音波を1つの超音波素子で受波
することができる。これにより複数の測定装置を設ける
必要が無くなり、装置のコストが低減され、美観もよく
なる。また空間的な温度測定又は温度変化に対し、その
個別値及び平均値を一箇所で集中的に監視することがで
き、各種温度制御機器に対してきめ細かい制御信号を提
供することができる。更に、温度測定の課程において、
超音波の周期を基準とした波数および位相差を用いたこ
とにより、その測定値の精度が向上し、且つ媒体中の広
い領域の各部温度を広い温度範囲で測定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を構成する一形態を示したブロック図で
ある。
【図2】本発明に係る温度測定装置の一実施例を示す構
成図である。
【図3】本装置の各回路内で生成される各信号の一タイ
ムチャートを示す。
【図4】本装置における伝播時間測定の一タイムチャー
トを示す。
【図5】本装置内のMCUで行われる一連の動作の一フ
ローチャートを示す。
【図6】本装置内のMCUで行われる一連の動作の一フ
ローチャートを示す。
【符号の説明】
10…超音波素子 40…マイクロコンピュータ装置(MCU) 51,52,53…反射板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西沢 一敏 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 11/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 媒体内に設けた超音波素子を用いて前記
    媒体内各部の温度を測定する温度測定装置において、 前記超音波素子から送波され、同一もしくは異なる前記
    超音波素子で受波される各超音波の各伝播距離に基づ
    き、前記超音波を送波する送波タイミングと受波する受
    波タイミングとを決定する手段(1)と、 前記超音波素子で受波される超音波を前記受波タイミン
    グに基づき選択検出する手段(2)と、 前記検出された超音波の送波/受波間における伝播時間
    を算出するに際し、前記超音波の周期の倍数である波数
    と、前記検出した超音波の送波/受波間における位相差
    とを用いて算出する伝播時間算出手段(3)と、 前記伝播時間を温度に換算する手段(4)と、 を設けたことを特徴とする温度測定装置。
  2. 【請求項2】 前記超音波素子は、超音波の送波および
    受波において、同じ超音波素子を兼用している請求項1
    に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記伝播時間算出手段(3)は、超音波
    の伝播時間の算出時、今回算出した波数と前回算出した
    波数との間の変化量、及び今回検出した位相差と前回検
    出した位相差との変化量を算出して、前記各変化量から
    今回の波数に対する補正値を算出する手段を更に具備す
    る請求項1または2に記載の装置。
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