JP3223205B2 - 窒化ケイ素反応焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素反応焼結体の製造方法

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JP3223205B2
JP3223205B2 JP34404892A JP34404892A JP3223205B2 JP 3223205 B2 JP3223205 B2 JP 3223205B2 JP 34404892 A JP34404892 A JP 34404892A JP 34404892 A JP34404892 A JP 34404892A JP 3223205 B2 JP3223205 B2 JP 3223205B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化ケイ素(以下、Si
3 4 という)反応焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Si3 4 反応焼結体の製造に当
っては、金属Si粉末よりなる成形体と窒素ガスとを反
応させてSi3 4 を合成すると同時にそのSi3 4
を焼結する、といった方法が一般に採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来法に
よると、焼結過程における寸法変化率が極めて小さいた
め最終形状またはそれに近い形状のSi3 4 反応焼結
体を得ることができる、といった利点がある反面、窒化
の反応速度が速く早期に成形体表面にはSi3 4 が被
膜状に生成され、そのSi3 4 により成形体内部への
窒素ガスの進入が妨害されるため、Si3 4 反応焼結
体内部の窒化が不十分となってその窒化率が最大値でも
80%程度となり、高密度で、且つ高強度なSi3 4
反応焼結体を得ることができない、という問題があっ
た。
【0004】本発明は前記に鑑み、特定の金属粉末を分
散させた原料粉末を用いることによって、成形体および
その構成要素である金属Si粉末(厳密に言えば、金属
Si粒子)をそれらの内部から窒化し得るようにし、こ
れにより高密度で、且つ高強度なSi3 4 反応焼結体
を得ることのできる前記製造方法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るSi3 4
反応焼結体の製造方法は、金属Si粉末として、それの
粒度分布が、修整アンドレアゼン(Andreasen)の充填式 Dm=1−(R/Rmax) q (ただし、Rmaxは最大粒子半径、Rは任意の粒子半
径、qは係数、Dmは最大粒子半径Rmaxから任意の
粒子半径Rまでの粒子を用いて得られた成形体における
充填率であって、Dm≦0.75である)において、最
大粒子半径Rmaxが一定であるとき、係数qが0.2
5≦q≦0.5となるように設定されたものを用意し、
その金属Si粉末に、窒化促進用金属粉末としてCr粉
末を0.017重量%≦Cr粉末≦5.1重量%分散さ
せた原料粉末を用いて成形体を成形する工程と、前記成
形体と窒素ガスとを反応させる1次反応焼結処理を行う
ことにより合成Si 3 4 を含む中間体を得る工程と、
前記中間体に酸洗処理を施してその中間体からCr成分
を溶出させる工程と、前記中間体と窒素ガスとを反応さ
せてSi 3 4 を合成する2次反応焼結処理を行う工程
とを順次行うことを特徴とする。
【0006】の製造方法においては、Cr粉末に代え
て、Mn粉末またはMo粉末が用いられる。この場合、
Mn粉末の添加量は0.015重量%≦Mn粉末≦5.
1重量%に、またMo粉末の添加量は0.014重量%
≦Mo粉末≦4.1重量%にそれぞれ設定される。
【0007】
【作用】酸洗処理は中間体に対して行われ、したがって
中間体を得るまでの焼結処理を1次反応焼結処理とい
う。この酸洗処理によりCr成分等が溶出して形成され
る気孔は、2次反応焼結処理において中間体内部へのガ
ス進入路となるので、Si 3 4 反応焼結体における窒
化率AをA>80%、特にMn粉末を用いた場合には略
98%まで上昇させることができる。またCr成分等
は、Si 3 4 反応焼結体においては不純物とみなされ
るが、前記酸洗処理によってCr成分等の溶出を行う
と、Cr成分等による強度への影響を緩和して、Si 3
4 反応焼結体の強度を高めることができる。
【0008】お、酸洗処理によって全部のCr成分等
が溶出されることは希であるが、残存するCr成分等
は、酸洗処理により、独立して存在している場合には微
細化され、また凝集した場合には再分散されると共に微
細化されるので、Si3 4 反応焼結体の強度低下の原
因とはならない。
【0009】ただし、Cr粉末等の添加量が前記範囲を
逸脱すると、Si3 4 反応焼結体における窒化率が大
幅に低下し、したがってその反応焼結体の強度が極端に
低くなる。
【0010】粉末を構成する粒子の半径が連続的に変化
する連続粒子系において、その粒子系が密充填をとると
きの充填式としてはアンドレアゼン(Andreasen)の充填
式が知られている。
【0011】この充填式は、Dm=(R/Rmax) q
で表わされ、Rmaxは最大粒子半 径、Rは任意の粒子
半径、qは係数、Dmは最大粒子半径Rmaxから任意
の粒子半径Rまでの粒子を用いて得られた成形体におけ
る充填率である。
【0012】しかしながら、金属Si粉末の粒度分布を
アンドレアゼンの充填式に則って設定すると、その式は
連続粒子系が密充填をとるときの充填式であるから、成
形体における充填率が高くなりすぎてしまい、金属Si
成分の窒化反応が前記のように発熱反応であることに起
因して、Si 3 4 反応焼結体に亀裂、崩壊等が発生す
る。
【0013】そこで、窒化反応による体積増加率が25
%であることを考慮して、成形体の相対密度を75%、
したがって充填率を0.75に設定し、また窒化を10
0%進行させれば、亀裂等の欠陥がなく、且つ気孔のな
いSi 3 4 反応焼結体を得ることができる。
【0014】このようなことから本発明者等は金属Si
粉末の最大粒子半径Rmaxおよび最小粒子半径Rmi
nを所定値に設定し、また成形体における充填率Dmを
0.75に設定して数多の実験を行った結果、アンドレ
アゼンの充填式を、Dm=1−(R/Rmax) q (た
だし、Dm≦0.75)と修整し、最大粒子半径Rma
xが一定であるとき、係数qを0.25≦q≦0.5に
設定すると、金属Si粉末の粒度分布を最適にして高密
度で、且つ高強度なSi 3 4 反応焼結体を得ることが
できることを究明した。
【0015】
【実施例】先ず、図1,図2により窒化促進用金属粉末
としてCr粉末を用いたSi3 4 反応焼結体の製造過
程について説明する。なお、便宜上、成形体(または中
間体)内における金属Si成分と窒素ガスとの直接的な
反応についての説明は省略する。
【0016】図1(a)において、金属Si粉末にCr
粉末を0.026重量%≦Cr粉末≦4.3重量%の範
囲で添加し、両粉末を十分に湿式混合して、金属Si粉
末にCr粉末を分散させた原料粉末を調製し、次いで原
料粉末を用いて圧縮成形を行うことにより成形体1を成
形し、その後成形体1を乾燥する。
【0017】図1(b)において、成形体1を窒素ガス
雰囲気中にて昇温する。この昇温過程でCr成分が金属
Si粉末内に拡散するので、金属Si成分とCr成分と
が反応してケイ化物CrSi3 (金属間化合物)が生成
される。
【0018】図1(c)において、相隣る両金属Si成
分間の間隙から窒素ガスN2 が成形体1内部に進入して
ケイ化物CrSi3 に拡散し、ケイ化物CrSi3 の外
周側が窒素拡散層CrSi3 −Nとなる。
【0019】図1(d)において、金属Si成分と窒素
ガスN2 との反応によって成形体1表面にはSi3 4
が被膜状に生成される。この場合、被膜状のSi3 4
により成形体1内部への窒素ガスN2 の進入が完全に阻
止される訳ではない。
【0020】図2(e)において、窒素拡散層CrSi
3 −Nでは、先ずCr成分とN成分とが反応する、つま
りCr成分によるN成分の取籠みが行われるので窒化物
CrNが生成される。この窒化物CrNは非平衡状態に
あるためN成分の解離が行われ、その解離N成分が金属
Si成分へ付与されるので、成形体1内部の窒化が行わ
れてSi3 4 が合成される。
【0021】このように成形体1の表面側および内部に
て発生する窒化反応は発熱反応であるから金属Si成分
が熱膨脹し、これによりCr成分がその周囲の金属Si
成分によって圧縮変形されると共にその一部が相隣る両
金属Si成分間から食出し、この食出し部分aによって
被膜状のSi3 4 が破られる。図面には、食出し部分
aを1個のみ示したが、現実には食出し部分aは多数発
生し、被膜状のSi34 は多数箇所で破られる。
【0022】このような現象は、1250℃付近におい
て発生し、この段階では金属Si成分の略全周にSi3
4 が生成されており、したがって成形体1は合成Si
3 4 を含む中間体2に変化している。
【0023】図2(f)において、窒素ガスが被膜状S
3 4 の破れ箇所からCr成分と金属Si成分回りの
Si3 4 との間の間隙を通じて中間体2内部へ進入
し、Cr成分回りのケイ化物CrSi3 に拡散して窒素
拡散層CrSi3 −Nが生成される。
【0024】図2(g)において、窒素拡散層CrSi
3 −Nでは、前記同様にCr成分によるN成分の取籠
み、それに次ぐ解離N成分の金属Si成分への付与が行
われるのでSi3 4 が合成される。
【0025】また前記のようなSi3 4 の合成と併行
して、図3に示すようなSi3 4合成反応も行われ
る。説明を簡略化するため1個の金属Si粉末と1個の
Cr粉末との間で行われる反応について述べる。
【0026】図3(a)において、成形体を窒素ガス雰
囲気中にて昇温すると、この昇温過程でCr成分が金属
Si粉末内に、それを貫通するように拡散し、そのCr
成分と金属Si成分とが反応するので、金属Si粉末を
分割するようにケイ化物CrSi3 が生成される。
【0027】図3(b)において、窒素ガスN2 がケイ
化物CrSi3 内に拡散し、そのケイ化物CrSi3
主として外層側が窒素拡散層CrSi3 −Nとなる。窒
素拡散層CrSi3 −Nでは、先ずCr成分とN成分と
が反応する、つまりCr成分によるN成分の取籠みが行
われるので窒化物CrNが生成される。この窒化物Cr
Nは非平衡状態にあるためN成分の解離が行われ、その
解離N成分が金属Si成分へ付与されるので、窒化が行
われてケイ化物CrSi3 の周りにSi3 4が合成さ
れる。また金属Si粉末の表面側では金属Si成分と窒
素ガスN2 とが反応するのでSi3 4 が被膜状に形成
される。
【0028】このような窒化反応によって金属Si粉末
は、外周部全体にSi3 4 を有する複数の微小片に分
割される。
【0029】以上の各過程を経てSi3 4 反応焼結体
3が製造されるもので、この反応焼結体3における窒化
率Aは、Cr粉末の添加量によって変化するが、80%
<A≦98%となる。
【0030】Si3 4 反応焼結体製造過程において、
酸洗処理によるCr成分の溶出は図2(e)段階終了
後、したがって1次反応焼結処理終了後の中間体2に施
される。この中間体2に酸洗処理を施すと、Cr成分の
溶出を比較的効率良く、且つ十分に行うことができる。
Cr成分の溶出により生じた気孔は、2次反応焼結処理
において中間体2内部へのガス進入路として窒化に寄与
し、最終的にはSi3 4 により埋められる
【0031】4は、成形体における充填率Dm=0.
75において、金属Si粉末の最大粒子半径Rmaxを
10μmに設定し、また係数qを0.25〜0.6の範
囲で変化させた場合の粒度分布を示す。図4より、係数
qが大きくなるに従って曲線が立つ傾向にあり、したが
って充填率Dm=0.75を得るための最小粒子半径R
minが大きくなる傾向がある。
【0032】係数qを0.25≦q≦0.5に設定する
と、最小粒子半径側の粒子が適当な大きさとなるため、
成形体における気孔が、窒化に適するような大きさに調
節されると共にその分散が図られ、これにより効率的な
窒化が行われるのでSi3 4 反応焼結体の高密度化お
よび高強度化が達成される。
【0033】係数qがq>0.5になると、最小粒子半
径側の粒子が大きすぎるため気孔が大きくなると共にそ
の分散が不十分となり、これにより窒化効率が低下して
Si3 4 反応焼結体の密度および強度が低くなる。一
方、係数qがq<0.25になると、最小粒子半径側の
粒子が小さすぎるため、気孔が小さくなって成形体内へ
の窒素ガスの進入が阻害され、これによりSi3 4
応焼結体が低密度且つ低強度となる。
【0034】〔例−1〕 最大粒子半径10μm、最小粒子半径0.15μm、係
数q=0.33(図4に表示)の粒度分布を有する純度
99.5%の金属Si粉末に、窒化促進用金属粉末とし
て平均粒子半径1.0μmのCr粉末を0.01重量%
≦Cr粉末≦8重量%の範囲で添加し、両粉末を十分に
湿式混合して各種原料粉末を調製した。
【0035】各原料粉末を用い、加圧力120MPaの
条件下で圧縮成形を行うことにより縦6mm、横22mm、
長さ74mmの板状成形体を成形し、各成形体に110
℃、4時間の乾燥処理を施した。各成形体の充填率Dm
は0.68〜0.72(相対密度68〜72%)であっ
た。
【0036】各成形体を焼結炉内に設置して窒素ガス雰
囲気中にて昇温し、各成形体と窒素ガスとを反応させて
Si3 4 を合成する反応焼結処理を行い、次いで炉冷
することによって各種Si3 4 反応焼結体を得た。
【0037】昇温条件は、図5に示すように、昇温速度
10℃/min で650℃まで昇温してその温度に0.5
時間保持→同一昇温速度で1000℃まで昇温してその
温度に0.5時間保持→同一昇温速度で1200℃まで
昇温してその温度に0.5時間保持→同一昇温速度で1
250℃まで昇温してその温度に0.5時間保持→昇温
速度5℃/min で1350℃まで昇温してその温度に1
時間保持→昇温速度2℃/min で1400℃まで昇温し
てその温度に0.5時間保持→同一昇温速度で1450
℃まで昇温してその温度に1時間保持、に設定された。
【0038】また各種原料粉末として、前記金属Si粉
末に、前記と同一の平均粒子半径を有するMn粉末を前
記と同一の添加範囲で分散させたもの、および前記金属
Si粉末に、前記と同一の平均粒子半径を有するMo粉
末を前記と同一の添加範囲で分散させたものを調製し、
これら原料粉末を用いて前記と同一条件下で各種Si3
4 反応焼結体を得た。
【0039】各種Si3 4 反応焼結体について、Cr
粉末、Mn粉末またはMo粉末の添加量と窒化率Aとの
関係を求めたところ、図6の結果が得られた。図中、線
CrはCr粉末を用いた場合に、線MnはMn粉末を用
いた場合に、線MoはMo粉末を用いた場合にそれぞれ
該当する。窒化率Aは、金属Si成分の窒化反応による
重量増加率が66.4%であることから、この重量増加
率を示すSi3 4 反応焼結体の窒化率AをA=100
%として求められた。
【0040】図6から明らかなように、Cr粉末につい
てはその添加量を0.026重量%≦Cr粉末≦4.3
重量%に設定し、またMn粉末についてはその添加量を
0.022重量%≦Mn粉末≦4.1重量%に設定し、
さらにMo粉末についてはその添加量を0.019重量
%≦Mo粉末≦3.6重量%に設定することによって、
各Si3 4 反応焼結体の窒化率AをA>80%にする
ことができる。これら粉末の窒化促進効果はMo粉末、
Mn粉末、Cr粉末の順に高くなり、Cr粉末を用いた
場合には窒化率Aを98%程度まで高めることが可能で
ある。またCr粉末等の添加量を前記範囲に設定された
Si3 4 反応焼結体には亀裂、崩壊等の欠陥は生じて
いなかった。
【0041】なお、Cr粉末等の添加量が下限値未満と
なるか、または上限値を超えると、Si3 4 反応焼結
体の窒化率AがA<80%となるだけでなく、その反応
焼結体が崩壊した。これは、前記下限値未満では成形体
内部の窒化反応が急速に進行するからであり、また前記
上限値を超えると、金属間化合物、即ちCrSi3
の生成量が増大するからであると思われる。
【0042】Cr粉末、Mn粉末またはMo粉末を用い
たSi3 4 反応焼結体のうち、その窒化率AがA≧9
5%であるものについて、その物性を調べたところ表1
の結果が得られた。曲げ強さは常温下での3点曲げ試験
により測定された。
【0043】
【表1】
【0044】表1より、各Si3 4 反応焼結体は気孔
量が少なく、高強度であることが判る。なお、Cr粉末
等の添加量が上限値を超えると、Si3 4 反応焼結体
の強度が極端に低下し、また1%以上の熱膨脹率を生じ
る。
【0045】〔例−2例−1 におけるCr粉末を分散させた各種原料粉末、M
n粉末を分散させた各種原料粉末およびMo粉末を分散
させた各種原料粉末を用いて例−1と同様の成形体を得
た。
【0046】各成形体を焼結炉内に設置して窒素ガス雰
囲気中にて昇温し、各成形体と窒素ガスとを反応させる
1次反応焼結処理を行い、次いで炉冷することによって
合成Si3 4 を含む各種中間体を製造した。
【0047】各中間体に酸洗処理を施して、その中間体
からCr成分等を溶出させ、次いで各中間体を十分に乾
燥した。この酸洗処理には、塩酸と硝酸とを容量比で7
対3に混合した5%混酸水溶液が用いられた。
【0048】各中間体を再び焼結炉内に設置して窒素ガ
ス雰囲気中にて昇温し、各中間体と窒素ガスとを反応さ
せてSi3 4 を合成する2次反応焼結処理を行い、次
いで炉冷することによって各種Si3 4 反応焼結体を
得た。
【0049】1次反応焼結処理における昇温条件は、図
5の前半と同じである。即ち、昇温速度10℃/min で
650℃まで昇温してその温度に0.5時間保持→同一
昇温速度で1000℃まで昇温してその温度に0.5時
間保持→同一昇温速度で1200℃まで昇温してその温
度に0.5時間保持→同一昇温速度で1250℃まで昇
温してその温度に0.5時間保持、に設定された。
【0050】2次反応焼結処理における昇温条件は図5
の後半と略同じである。即ち、昇温速度5℃/min で1
350℃まで昇温してその温度に1時間保持→昇温速度
2℃/min で1400℃まで昇温してその温度に0.5
時間保持→同一昇温速度で1450℃まで昇温してその
温度に1時間保持、に設定された。
【0051】各種Si3 4 反応焼結体について、Cr
粉末、Mn粉末またはMo粉末の添加量と窒化率Aとの
関係を求めたところ、図7の結果が得られた。図中、線
CrはCr粉末を用いた場合に、線MnはMn粉末を用
いた場合に、線MoはMo粉末を用いた場合にそれぞれ
該当する。窒化率Aは、例−1と同様の方法で求められ
た。
【0052】図7から明らかなように、Cr粉末につい
てはその添加量を0.017重量%≦Cr粉末≦5.1
重量%に設定し、またMn粉末についてはその添加量を
0.015重量%≦Mn粉末≦5.1重量%に設定し、
さらにMo粉末についてはその添加量を0.014重量
%≦Mo粉末≦4.1重量%に設定することによって、
各Si3 4 反応焼結体の窒化率AをA>80%に設定
することができる。これら粉末の窒化促進効果はMo粉
末、Cr粉末、Mn粉末の順に高くなり、各粉末の添加
量、0.1重量%≦Mo粉末等≦1重量%において、S
3 4 反応焼結体の窒化率Aは、Mo粉末の場合A=
96%、Cr粉末の場合A=97%、Mn粉末の場合A
=98%である。またCr粉末等の添加量を前記範囲に
設定されたSi3 4 反応焼結体には亀裂、崩壊等の欠
陥は生じていなかった。
【0053】Cr粉末等の添加量を前記範囲に設定され
たSi3 4 反応焼結体の物性を調べたところ、気孔
量、Si3 4 の結晶形、収縮率および熱膨脹率につい
ては酸洗処理を行わなかったとき(表1)と略同様であ
ったが、Cr成分等は微細化されており、例えば、添加
量1重量%以下の場合にはCr成分等の大きさは4〜5
μmであり、また強度は酸洗処理を行わなかったときよ
りも高く、その上ばらつきも少なかった。例えば、0.
1重量%のCr粉末を用いた場合、Si3 4 反応焼結
体における常温下での3点曲げ試験による曲げ強さは5
30MPaであった。
【0054】〔例−3〕 前記修整アンドレアゼンの充填式、Dm=1−(R/R
max)q に則って粒度分布を調整された純度99.5
%の金属Si粉末に、平均粒子半径1.0μmのCr粉
末を0.1重量%分散させて各種原料粉末(1)〜(1
7)を調製した。各原料粉末(1)〜(17)における
金属Si粉末の粒度分布は表2および図8に示す通りで
ある。
【0055】
【表2】
【0056】各原料粉末(1)〜(17)を用い、例−
と同様の方法、つまり酸洗処理を行う方法で各種Si
3 4 反応焼結体(1)〜(17)〔各Si3 4 反応
焼結体(1)〜(17)は各原料粉末(1)〜(17)
に対応する〕を得た。これらSi3 4 反応焼結体
(1)〜(17)における窒化率Aは95%≦A≦10
0%であった。
【0057】比較のため、前記と同一純度の三種の市販
金属Si粉末に前記と同一のCr粉末を前記と同一量分
散させて三種の原料粉末(18)〜(20)を調製し
た。市販金属Si粉末において、原料粉末(18)に用
いられたものは最大粒子半径が5μmであり、また原料
粉末(19),(20)に用いられたものは最大粒子半
径がそれぞれ2.5μmであった。
【0058】図9は、各市販金属Si粉末の粒度分布を
示す。本図において、各線の符号は、便宜上各原料粉末
の符号(18)〜(19)と一致させてある。図8と図
9とを比較すると、図8においては粒度調整がなされて
いるので最大粒子半径から最小粒子半径に至る変化がな
めらかな曲線を描くが、図9においては粒度調整がなさ
れていないので最大粒子半径から最小粒子半径に至る変
化がぎくしゃくした折線を描く。
【0059】各原料粉末(18)〜(20)を用い、
−2と同様の方法で各種Si3 4反応焼結体(18)
〜(20)〔各Si3 4 反応焼結体(18)〜(2
0)は各原料粉末(18)〜(20)に対応する〕を得
た。
【0060】また各市販金属Si粉末を原料粉末(2
1)〜(23)として用い、例−1と同様の方法、つま
り酸洗処理を行わない方法で三種のSi3 4 反応焼結
体(21)〜(23)〔各Si3 4 反応焼結体(2
1)〜(23)は各原料粉末(21)〜(23)に対応
する〕を得た。この場合、各原料粉末(21)〜(2
3)は各原料粉末(18)〜(20)の金属Si粉末に
対応する。
【0061】各Si3 4 反応焼結体(1)〜(1
7),(18)〜(20),(21)〜(23)につい
て、常温下で3点曲げ試験を行い、それらの曲げ強さを
測定したところ、図10に示す結果が得られた。
【0062】図10から明らかなように、各Si3 4
反応焼結体(1)〜(17)においては、金属Si粉末
の最大粒子半径が大きくなるに従って強度が下がる傾向
があり、また同一最大粒子半径を有する金属Si粉末を
用いた場合には係数qが大きくなるに従って強度が下が
る傾向がある。
【0063】Si3 4 反応焼結体に対する要求強度に
もよるが、金属Si粉末としては、、最大粒子半径Rm
axが一定であるとき係数qが0.25≦q≦0.5で
ある粒度分布を有するものを用いると、高強度なSi3
4 反応焼結体を得ることができる。
【0064】金属Si粉末の最大粒子半径および最小粒
子半径について特に制限はないが、最大粒子半径を大き
くすると、それに伴い成形体における気孔の粗大化およ
び窒素の拡散距離の増加を招来するため、残存粗大気孔
量および未反応Si量が増す。一方、最小粒子半径を小
さくすると、それに伴い金属Si粉末の取扱い性が悪化
し、また金属Si粉末が大気中の酸素と反応して酸化膜
が形成され、この酸化膜により窒化が妨げられる。これ
らの点を考慮すると、金属Si粉末の最大粒子半径の上
限値は22μm、最小粒子半径の下限値は0.025μ
mであることが望ましい。
【0065】比較例である各Si3 4 反応焼結体(1
8)〜(20),(21)〜(23)については、金属
Si粉末が前記のような粒度分布を有する関係から成形
体における充填率が0.48〜0.52(相対密度48
%〜52%)であって、本発明における充填率Dm=
0.68〜0.72に比べて極めて低く、また窒化率A
もCr粉末を用いたもの(18)〜(20)で58%≦
A≦65%、一方、Cr粉末を用いなかったもの(2
1)〜(23)で50%≦A≦60%と悪いことが判明
した。
【0066】これらに起因して、各Si3 4 反応焼結
体(18)〜(20),(21)〜(23)の強度は、
粒度分布を前記のように調整された金属Si粉末を用い
た各Si3 4 反応焼結体(1)〜(17)に比べて低
くなる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、金属Si粉末に、窒化
促進用金属粉末としてCr粉末、Mn粉末またはMo粉
末を特定量分散させた原料粉末を用い、またCu成分等
が溶出して形成される気孔を、2次反応焼結処理におい
て中間体内部へのガス進入路として利用すべく、その中
間体に酸洗処理を施し、さらに成形体における気孔の大
きさおよび気孔の分散を窒化に最適な状態にすべく、金
属Si粉末の粒度分布を特定することによって、高密度
化および高強度化を達成されたSi 3 4 反応焼結体を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si3 4 反応焼結体の製造過程の前半を示す
説明図である。
【図2】Si3 4 反応焼結体の製造過程の後半を示す
説明図である。
【図3】Si3 4 反応焼結体の製造過程の要部を示す
説明図である。
【図4】金属Si粉末の粒度分布の一例を示すグラフで
ある。
【図5】Si3 4 反応焼結体の昇温条件を示すグラフ
である。
【図6】Cr粉末、Mn粉末またはMo粉末の添加量と
窒化率との関係の一例を示すグラフである。
【図7】Cr粉末、Mn粉末またはMo粉末の添加量と
窒化率との関係の他例を示すグラフである。
【図8】金属Si粉末の粒度分布の他例を示すグラフで
ある。
【図9】市販金属Si粉末の粒度分布を示すグラフであ
る。
【図10】金属Si粉末の最大粒子半径と曲げ強さとの
関係を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 太田 直樹 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホ ンダエンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−207875(JP,A) 特開 昭59−223274(JP,A) 特開 昭63−85052(JP,A) 特開 昭58−84108(JP,A) 特開 平1−320265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/591,35/65

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属Si粉末として、それの粒度分布
    が、修整アンドレアゼン(Andreasen)の充填式 Dm=1−(R/Rmax) q (ただし、Rmaxは最大粒子半径、Rは任意の粒子半
    径、qは係数、Dmは最大粒子半径Rmaxから任意の
    粒子半径Rまでの粒子を用いて得られた成形体における
    充填率であって、Dm≦0.75である)において、最
    大粒子半径Rmaxが一定であるとき、係数qが0.2
    5≦q≦0.5となるように設定されたものを用意し、
    その金属Si粉末に、窒化促進用金属粉末としてCr粉
    末を0.017重量%≦Cr粉末≦5.1重量%分散さ
    せた原料粉末を用いて成形体を成形する工程と、前記成
    形体と窒素ガスとを反応させる1次反応焼結処理を行う
    ことにより合成窒化ケイ素を含む中間体を得る工程と、
    前記中間体に酸洗処理を施してその中間体からCr成分
    を溶出させる工程と、前記中間体と窒素ガスとを反応さ
    せて窒化ケイ素を合成する2次反応焼結処理を行う工程
    とを順次行うことを特徴とする 窒化ケイ素反応焼結体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 金属Si粉末として、それの粒度分布
    が、修整アンドレアゼン(Andreasen)の充填式 Dm=1−(R/Rmax) q (ただし、Rmaxは最大粒子半径、Rは任意の粒子半
    径、qは係数、Dmは最大粒子半径Rmaxから任意の
    粒子半径Rまでの粒子を用いて得られた成形体における
    充填率であって、Dm≦0.75である)において、最
    大粒子半径Rmaxが一定であるとき、係数qが0.2
    5≦q≦0.5となるように設定されたものを用意し、
    その金属Si粉末に、窒化促進用金属粉末としてMn粉
    末を0.015重量%≦Mn粉末≦5.1重量%分散さ
    せた原料粉末を用いて成形体を成形する工程と、前記成
    形体と窒素ガスとを反応させる1次反応焼結処理を行う
    ことにより合成窒化ケイ素を含む中間体を得る工程と、
    前記中間体に酸洗処理を施してその中間体からMn成分
    を溶出させる工程と、 前記中間体と窒素ガスとを反応さ
    せて窒化ケイ素を合成する2次反応焼結処理を行う工程
    とを順次行うことを特徴とする 窒化ケイ素反応焼結体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 金属Si粉末として、それの粒度分布
    が、修整アンドレアゼン(Andreasen)の充填式 Dm=1−(R/Rmax) q (ただし、Rmaxは最大粒子半径、Rは任意の粒子半
    径、qは係数、Dmは最大粒子半径Rmaxから任意の
    粒子半径Rまでの粒子を用いて得られた成形体における
    充填率であって、Dm≦0.75である)において、最
    大粒子半径Rmaxが一定であるとき係数qが0.25
    ≦q≦0.5となるように設定されたものを用意し、そ
    の金属Si粉末に、窒化促進用金属粉末としてMo粉末
    を0.014重量%≦Mo粉末≦4.1重量%分散させ
    た原料粉末を用いて成形体を成形する工程と、前記成形
    体と窒素ガスとを反応させる1次反応焼結処理を行うこ
    とにより合成窒化ケイ素を含む中間体を得る工程と、前
    記中間体に酸洗処理を施してその中間体からMo成分を
    溶出させる工程と、前記中間体と窒素ガスとを反応させ
    て窒化ケイ素を合成する2次反応焼結処理を行う工程と
    を順次行うことを特徴とする 窒化ケイ素反応焼結体の製
    造方法。
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