JP3222073B2 - 熱定着装置 - Google Patents

熱定着装置

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JP3222073B2
JP3222073B2 JP29001596A JP29001596A JP3222073B2 JP 3222073 B2 JP3222073 B2 JP 3222073B2 JP 29001596 A JP29001596 A JP 29001596A JP 29001596 A JP29001596 A JP 29001596A JP 3222073 B2 JP3222073 B2 JP 3222073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙や樹脂フィルム
等の記録媒体上に電子写真方式により転写されたトナー
像を加熱溶融して定着する熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の熱定着装置としては、加熱ロー
ラ方式が広く採用されている。この加熱ローラ方式のも
のは、例えば、図22に示すように、加熱ローラ1とこ
の加熱ローラ1に圧接した加圧ローラ2からなり、転写
されたトナー像3を支持した記録媒体である記録紙4
を、加熱ローラ1と加圧ローラ2との圧接加熱部Nを通
過させることでトナー像3を加熱溶融して定着するよう
になっている。加熱ローラ1は金属ローラ1aの外周に
PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)等の耐熱性離
型層1bを形成したローラであり、内部に発熱源として
ハロゲンランプ1cを配置している。そして、加熱ロー
ラ1の表面を温度制御系により所定の設定温度に制御す
るようになっている。また、加圧ローラ2は金属ローラ
2aの外周にシリコンゴムの耐熱弾性体層2bを形成し
たローラである。
【0003】トナー像3を支持した記録紙4が加熱圧接
部Nを通過すると、トナー像3および記録紙4は所定の
温度の加熱ローラ1に圧接して加熱されトナー像3が記
録紙4に定着される。このとき、トナー像3を確実に加
熱するために圧接加熱部Nにおいて所定の温度の他に、
所定の圧接力と圧接ニップ長さNL が必要とされ、加熱
ローラ1の強度と直径の最低限度の値が、実験やシミュ
レーション等により決定される。
【0004】ところで、この種の熱定着装置では、省エ
ネルギー対策として、画像形成時のみ電力を供給し、待
機時には給電しないという低消費電力モードが求められ
ている。しかしながら、加熱ローラ方式の熱定着装置で
は、加熱ローラ1の強度と直径の制約から、加熱ローラ
1の熱容量を小さくできないので、ハロゲンランプ1c
に給電を開始してから加熱ローラ1の表面が所定の設定
温度に達し、定着可能になるまでのウォームアップ時間
が長いという問題が生じる。すなわち、加熱ローラ方式
の熱定着装置では、低消費電力モードを用いると待機時
から定着可能になるまでの時間が、例えば1分〜5分と
いうように長くかかり、使用上非常に不便となる問題が
あった。
【0005】また、特開昭59−211072号公報で
は、板状予熱ヒータを使用してウォームアップ時間の短
縮化を図っている。すなわち、図23に示すように、加
熱ローラ1と加圧ローラ2の手前に配置した給紙ガイド
5の上方に板状予熱ヒータ6を配置し、給紙ガイド5を
搬送する記録紙4上のトナー像3を予め加熱するように
なっている。板状予熱ヒータ6は、ニクロム等の発熱抵
抗体からなり、記録紙3の全幅を加熱できるようになっ
ている。この板状予熱ヒータ5と給紙ガイド6で予熱通
路Pが構成されている。
【0006】トナー像3を支持した記録紙4が給紙ガイ
ド5に沿って搬送し、板状予熱ヒータ6を配置した予熱
通路Pを通過すると、板状予熱ヒータ5からの熱によ
り、記録紙4上のトナー像3はトナーの軟化点以上の温
度で加熱され半溶融状態になる。そして、加熱ローラ1
と加圧ローラ2との加熱圧接部Nにおいて、半溶融状態
のトナー像3および記録紙4は圧接加熱され完全に定着
する。このとき、トナー像3は予熱されているので、圧
接加熱部Nにおいては、図22の場合よりも弱い圧接
力、短い圧接ニップ長さNL で良好に定着することにな
る。そして、比較的弱い圧接力、比較的短い圧接ニップ
幅が採用できるため、加熱ローラ1の強度と直径の制約
が緩やかになり、加熱ローラ1の小径化および薄肉化に
よる熱容量の低減が可能になり、ウォームアップ時間の
短縮が可能となる。
【0007】しかしながら、このようにハロゲンランプ
1cと板状予熱ヒータ6という2種類の発熱体を使用す
る場合には、加熱ローラ1の表面温度と板状予熱ヒータ
6の表面温度を、それぞれ所定の温度に維持するために
は、発熱体の抵抗値、抵抗温度係数、熱容量等が異なる
ので、ハロゲンランプ用と板状予熱ヒータ用の2種類の
温度制御系が必要になり、装置が複雑化し、コスト高と
なる問題があった。また、加熱ローラ1の内径寸法は、
内部にハロゲンランプ1cを配置しているために、この
ハロゲンランプ1bの外径寸法より大きくする必要があ
り、このため加熱ローラ1の熱容量を小さくするには限
界があり、より短いウォームアップ時間を達成すること
は困難であった。
【0008】また、特開昭61−262772号公報に
は、予熱ヒータとしてハロゲンランプを用いる方式が開
示されている。すなわち、図24に示すように、予熱ヒ
ータとして、予熱ハロゲンランプ7と反射板8で構成し
たものを使用している。この方式によれば、予熱ヒータ
の発熱源と加熱ローラ1の発熱源の種類が同じハロゲン
ランプであり、ワット数と寸法関係を最適化することに
より、一つの温度制御系によって制御することが可能と
なる。
【0009】しかしながら、この公報のものにおいても
特開昭59−211072号公報のものと同様に、加熱
ローラ1の内径寸法をハロゲンランプ1cの外径寸法よ
り大きくする必要があり、このため加熱ローラ1の熱容
量を小さくするには限界があり、より短いウォームアッ
プ時間を達成することは困難であった。また、トナー像
3を輻射熱により半溶融状態にするのに十分な予熱時間
が必要とされるため、所定の長さの予熱通路Pが必要で
あり、このため、予熱ハロゲンランプ7を給紙ガイド5
から所定の間隔だけ離して配置するとともに反射板8を
設置しなければならず、装置が複雑化し、コスト高とな
る問題があった。
【0010】また、実開平5−50471号公報には、
低温度で定着可能であるトナーを用い、発熱源として固
定板状ヒータのみを使用した定着装置が開示されてい
る。すなわち、図25に示すように、発熱源を持たない
定着ローラ9と加圧ローラ2を圧接し、この手前の給紙
ガイド5の上方に板状ヒータ10を配置している。板状
ヒータ10はアルミナ粉末にNi−Crのような低抵抗
粉末を混合して板状に形成した発熱体10aを、アルミ
板10bの裏面に固着したもので、記録紙4の全幅を加
熱できる幅を有している。定着ローラ9は金属ローラ9
aの外周にPTFEの耐熱性離型層9bを設けたローラ
である。トナー像3を支持した記録紙4を給紙ガイド5
に沿って搬送し、板状ヒータ10を配置した加熱通路H
を通過することで板状ヒータ10からの熱により、トナ
ー像3は溶融し記録紙4に定着する。そして、圧接部N
においては、定着ローラ9および加圧ローラ2の圧接に
より定着作用が補足され、トナー像3が完全に記録紙4
に定着することになる。
【0011】しかしながら、この熱定着装置は、低温度
(例えば120℃以下の定着温度)で定着可能なトナー
にのみ適用できる装置である。すなわち、通常のトナー
では圧接部を形成しているローラの少なくともどちらか
一方が加熱ローラで圧接部が圧接加熱部となっていなけ
れば十分な定着ができない。従って、この熱定着装置は
通常のトナーには使用できないという問題がある。ま
た、低温度で定着可能なトナーであっても圧接部Nでの
加熱がないので例えば、定着装置動作開始直後など定着
ローラ9の表面温度が比較的低いときには、トナーが定
着ローラ9の表面に付着するなどの問題が発生する。
【0012】さらに、特開平6−318001号公報に
は、無端状の定着ベルトを使用した加熱ベルト定着方式
の熱定着装置が開示されている。すなわち、図25に示
すように、加熱ローラ11と定着ローラ12間に定着ベ
ルト13を掛け渡し、定着ローラ12と加圧ローラ2を
間に定着ベルト13を挟んで圧接している。加熱ローラ
11はPTFEの被覆層を設けた中空のアルミニウムロ
ーラ11aの内部にハロゲンランプ11bを配置してい
る。定着ローラ12は中空のアルミニウムローラ12a
の外周にシリコーンゴムの耐熱弾性体層12bを形成し
たローラである。定着ベルト13はニッケルの無端状ベ
ルトの主体の外周面にシリコーンゴムの離型層を形成し
たもので、この定着ベルト13と給紙ガイド5で予熱通
路Pを形成している。
【0013】この装置は、定着ベルト13が加熱ローラ
11により必要な温度に加熱され、この加熱された定着
ベルト13は所定の線速で加熱ローラ11から定着ロー
ラ12と加圧ローラ2の圧接加熱部Nに直線的に移動
し、これと同速度でトナー像3を支持した記録紙4が給
紙ガイド5と定着ベルト13で構成される予熱通路Pを
搬送する。そして、予熱通路Pで記録紙4上のトナー像
3は定着ベルト13に接触しない状態で、トナーの軟化
点以上の温度で加熱され半溶融状態になる。次に圧接加
熱部Nにおいて、半溶融状態のトナー像3および記録紙
4は所定の温度の定着ベルト13に圧接し加熱され、ト
ナー像3を記録紙4に完全に定着する。このとき、トナ
ー像3は予熱されているので、圧接加熱部Nの温度が従
来の加熱ローラ方式の定着装置よりも低い状態で定着可
能となる。
【0014】また、定着ベルト13は熱容量が小さく設
定されているので、加熱ローラ11により容易に必要な
温度に達し、さらに圧接加熱部Nにおいて定着ベルト1
3はその熱をトナー3と記録紙4に与えて定着ベルト1
3自体が冷却される。これにより、圧接加熱部Nの出口
でのトナーの温度が十分に低くなり、トナーと定着ベル
ト13の離型層との分離性が良くなる。この装置では、
予熱通路Pが容易に所定の長さに設定でき、予熱通路P
と圧接加熱部Nの加熱が一つの発熱源で行われることか
ら温度制御系も一つで済み、さらに圧接加熱部Nを有す
るので通常のトナーが使用できる。
【0015】しかしながら、この加熱ベルト定着方式の
ものは、圧接加熱部Nの温度を低くすることができる
が、定着ベルト13、加熱ローラ11が必要なため、装
置全体の熱容量を加熱ローラ方式の定着装置よりも小さ
くすることが出来ず、ウォームアップ時間を短縮するこ
とが困難であった。また、定着ベルト13を使用するた
め、ベルトの片寄り防止機構等が必要になり、装置が複
雑化し、コスト高となる問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の熱定
着装置では、簡単な構成で十分な低消費電力化やウオー
ムアップ時間の短縮を図ることができない問題があっ
た。
【0017】そこで請求項1乃至10記載の発明は、良
好なトナー定着ができるとともに十分な低消費電力化を
図ることができ、また、ウオームアップ時間の十分な短
縮を図ることができ、しかも構成が簡単で経済性にも優
れた熱定着装置を提供する。また、請求項3記載の発明
は、さらに、圧接加熱手段に付着したトナーをクリーニ
ングして定着時の記録媒体の汚れを防止できる熱定着装
置を提供する。
【0018】また、請求項6記載の発明は、さらに、十
分な前加熱ができ、より良好なトナー定着ができる熱定
着装置を提供する。
【0019】また、請求項7乃至10記載の発明は、さ
らに、前加熱手段及び圧接加熱手段の構成が簡単で製造
が容易な熱定着装置を提供する。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
転写されたトナー像を支持した記録媒体を搬送する搬送
路と、この搬送路に配置し、トナー像と接触しない状態
で記録媒体を前加熱する第1の板状発熱体を有する前加
熱手段と、この前加熱手段にて前加熱した記録媒体を圧
接して加熱するローラ又は回転無端ベルトを有するとと
もにこのローラ又は回転無端ベルトを外周側から加熱す
る、第1の板状発熱体と同一構成の第2の板状発熱体を
有する圧接加熱手段と、第1、第2の板状発熱体を制御
する発熱体制御手段とを備えたものである。
【0021】請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱
定着装置において、第2の板状発熱体をローラ又は回転
無端ベルトの外周面に接触させたものである。
【0022】請求項3記載の発明は、請求項1記載の熱
定着装置において、第2の板状発熱体とローラ又は回転
無端ベルトの外周面との間にこれらに接触してクリーニ
ング部材を介在させたものである。
【0023】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれか1項記載の熱定着装置において、圧接加熱手段
は円柱状ローラを有し、この円柱状ローラを第2の板状
発熱体で加熱するものである。
【0024】請求項5記載の発明は、転写されたトナー
像を支持した記録媒体を搬送する搬送路と、この搬送路
に配置し、トナー像と接触しない状態で記録媒体を前加
熱する第1の板状発熱体を有する前加熱手段と、この前
加熱手段にて前加熱した記録媒体を圧接して加熱する円
筒状ローラ又は回転無端ベルトを有するとともにこの円
筒状ローラ又は回転無端ベルトを内周側から加熱する、
第1の板状発熱体と同一構成の第2の板状発熱体を有す
る圧接加熱手段と、第1、第2の板状発熱体を制御する
発熱体制御手段とを備えたものである。
【0025】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれか1項記載の熱定着装置において、前加熱手段の
第1の板状発熱体の対向位置に、搬送路を介して熱保持
板を配置したものである。
【0026】請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の
いずれか1項記載の熱定着装置において、前加熱手段の
第1の板状発熱体及び圧接加熱手段の第2の板状発熱体
を、パターン形成した発熱抵抗体を耐熱絶縁性樹脂層で
挟んで構成したものである。請求項8記載の発明は、請
求項1乃至6のいずれか1項記載の熱定着装置におい
て、前加熱手段の第1の板状発熱体及び圧接加熱手段の
第2の板状発熱体を、パターン形成した発熱抵抗体を耐
熱絶縁性樹脂層で挟んだ可撓性又は可塑性板状発熱体と
し、第1の板状発熱体は平板状のまま固定し、第2の板
状発熱体は湾曲状又は円筒状に撓ませて弾性変形状態又
は塑性変形状態で固定したものである。請求項9記載の
発明は、請求項7又は8記載の熱定着装置において、温
度センサを発熱抵抗体とともに耐熱絶縁性樹脂フィルム
で挟んで板状発熱体を構成したものである。
【0027】請求項10載の発明は、請求項1乃至9の
いずれか1項記載の熱定着装置において、前加熱手段の
第1の板状発熱体及び圧接加熱手段の第2の板状発熱体
を一体形成したものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0029】(第1の実施の形態)図1に示すように、
加熱ローラ21と加圧ローラ22を圧接して配置し、こ
の各ローラ21,22の手前に転写されたトナー像23
を支持した記録媒体である記録紙24を搬送する搬送路
を形成する給紙ガイド25を配置し、この給紙ガイド2
5の上方に前加熱手段の発熱源である第1の板状発熱体
26を配置している。そして、前記加熱ローラ21の外
周側にこの外周面から所定の間隔離れて圧接加熱手段の
発熱源である湾曲状の第2の板状発熱体27を配置し、
前記加熱ローラ21と加圧ローラ22と第2の板状発熱
体27とで圧接加熱手段を構成している。前記第1の板
状発熱体26と給紙ガイド25によって予熱通路Pを形
成し、前記加熱ローラ21と加圧ローラ22の圧接部で
圧接加熱部Nを形成している。前記第1の板状発熱体2
6には温度センサ28を一体的に設けている。
【0030】前記加熱ローラ21は、直径12mm、厚さ
0.6mmのアルミ管21a上に厚さ25μmのPTFE
(ポリテトラフルオルエチレン)の耐熱性離型層21b
を形成している。前記PTFEとしては、第2の板状発
熱体27からの放射エネルギーに対する吸収率を上げる
ために黒色のものを使用している。なお、加熱ローラ2
1としては、これ以外にもアルモ管面を黒色化処理し、
透明PFAチューブを被覆したものも使用できる。この
ような加熱ローラ21は内部に発熱源としてハロゲンラ
ンプを設ける必要がなく内径が自由に選択できる。ま
た、内面に反射防止塗料等を塗布する必要もない。前記
加圧ローラ22は、外径10mmの鉄の心材22a上に
外径16mmになるようにシリコンゴムの耐熱弾性体層
22bを形成したものである。なお、耐熱弾性体層22
bとしては、加熱ローラ21とのニップ幅を大きくする
ためにシリコンスポンジ等も使用でき、また、加圧ロー
ラ22の表面にはトナーの付着を防ぐためにPFA等の
離型層を設けても良い。
【0031】前記第1、第2の板状発熱体26,27
は、図2に平面図、縦断面図、横断面図を示すように、
可撓性部材である鉄−クロム合金からなる、固有抵抗
1.23×10-6Ωm、厚さ0.07mmの発熱抵抗体
29のパターンを、同じく可撓性部材であるPBI(ポ
リベンズイミダゾール)からなる厚さ0.05mmの耐熱
絶縁層30,31で挟み込んで形成している。前記発熱
抵抗体29の配列パターンは、温度分布・強度・変形等
を考慮して様々なパターンが採用可能であるが、ここで
は、湾曲変形させる際に、曲率半径が前記記録紙24の
幅方向(移動方向と直角方向)のどの位置においても一
定になるように、蛇行幅が記録紙24の移動方向となる
ようにつづら折り状に配列している。
【0032】例えば、発熱抵抗体29として、パターン
の幅t1 が3.48mm、蛇行幅の長さt2 が38.61
mm、蛇行ピッチt3 が4.48mmで50本つづら折り状
にパターン配列したものを使用した場合、この発熱抵抗
体29からなる第1の板状発熱体26と第2の板状発熱
体27を直列に接続し、電源電圧100V印加すると、
第1の板状発熱体26が250W、第2の板状発熱体2
7が250Wの最大消費電力(単位時間当たりの発熱
量)を発揮することができる。前記第1の板状発熱体2
6は図3の(b) に示すように平板形状のまま使用し、前
記第2の板状発熱手段27は図3の(a) に示すように前
記加熱ローラ21の外周に沿うような湾曲形状に塑性変
形するか、弾性変形状態に保持して使用する。なお、こ
こでは第1の板状発熱体26と第2の板状発熱体27は
同一の断面構造を有し、かつ発熱抵抗体の配列パターン
も同一としたが、断面構造のみを同一にし、配列パター
ンを異ならせてもよい。すなわち、設定される前加熱時
間に応じて第1の板状発熱体26を構成する発熱抵抗体
の配列パターンを変更して予熱通路Pの長さを自由に変
更することができる。これにより、一定でほぼ一様な温
度分布を必要とする平面形状の第1の板状発熱体26と
一定でほぼ一様な温度分布を必要とする半円筒形状の第
2の板状発熱体27を、同一発熱体又は同一断面形状の
発熱体により形成でき、しかも、断面方向の熱移動の様
相がほぼ等しいことから、第1の板状発熱体26と第2
の板状発熱体27を1つの温度制御系で温度制御するこ
とができる。
【0033】前記各板状発熱体26,27の温度制御に
使用する温度センサ28は、第1の板状発熱体26や第
2の板状発熱体27の表面に張り付けても良いが、ここ
では発熱抵抗体29と同様、耐熱絶縁層30,31で挟
み込んで一体的に固定している。この場合、温度センサ
28は、第1の板状発熱体26と第2の板状発熱体27
のどちらか一方に配置すれば良い。ここでは第1の板状
発熱体26の第2の板状発熱体27側に寄った位置に配
置しており、これにより、温度センサ28の位置が第1
の板状発熱体26と第2の板状発熱体27のほぼ中間に
配置されることになる。これはこの付近の温度がこの熱
定着装置中で最も高くなるためである。前記温度センサ
28としては、サーミスター、熱電対、白金抵抗測温体
等が使用できる。
【0034】次に第1、第2の板状発熱体26,27の
製造方法について説明する。先ず、鉄−クロム合金発熱
抵抗体29をプレス型によって所定のパターンに打ち抜
く。次いで液状のPBIの前駆体からなる接着層を発熱
抵抗体29の表面に塗布してPBIフィルム30,31
に挟み込む。最後に所定の温度・圧力・時間で圧接加熱
し、PBIの前駆体からなる接着層を反応させてPBI
を生成することで一体となった板状発熱体が形成される
ことになる。
【0035】なお、鉄−クロム合金発熱抵抗体29の成
形は、周知のレーザー加工、エッチング加工等を用いて
も良い。また、周知の蒸着、スパッタ、メッキ、印刷、
スプレー等の方法で直接PBIフィルム31上に所定の
パターンの発熱抵抗体29を形成するか、一旦PBIフ
ィルム31の全面に発熱抵抗体29を形成し、エッチン
グにより所定のパターンに成形しても良い。液状のPB
Iの前駆体からなる接着層の塗布には、周知のスプレー
コーティング、ディッピング、遠心力を用いた方法等が
使用できる。また、上部のPBIフィルム30を使用せ
ず、PBIの前駆体からなる接着層を所定の厚さにコー
ティングしてしてPBI層として形成しても可能であ
る。
【0036】また、図4に示すように、アルミ基板32
上に鉄−クロム合金発熱抵抗体29をPBI絶縁層30
1,311で挟んで形成しても良い。この場合には、P
BIフィルムを使用せずに直接液状のPBIの前駆体を
下部耐熱絶縁層311として塗布して半乾燥状態にし、
そのうえに鉄−クロム合金発熱抵抗体29を置き、さら
にそのうえから液状のPBIの前駆体を上部耐熱絶縁層
310として塗布し、所定の温度・圧力・時間で圧接加
熱し、PBIの前駆体を反応させPBIを生成する。こ
れにより基板32と一体となった基板付板状発熱体が形
成できる。この基板付板状発熱体は、そのまま第1の板
状発熱体26として、また、変形させて第2の板状発熱
体27として使用できる。さらには、アルミ基板32か
ら鉄−クロム合金発熱抵抗体29を挟んだPBI絶縁層
310,311を剥離するか、又はアルミ基板32をエ
ッチングで除去して板状発熱体を形成しても良い。
【0037】さらにまた、第2の板状発熱体27の場合
は、加熱ローラ21の外周に沿うような湾曲形状アルミ
基板を形成し、このアルミ基板の内面もしくは外面に、
PBI絶縁層301,311で挟まれた鉄−クロム合金
発熱抵抗体29を積層形成して湾曲形状の基板付板状発
熱体を形成するか、さらにアルミ基板を除去して湾曲形
状の板状発熱体を形成することも可能である。
【0038】前記発熱抵抗体29としては、鉄−クロム
合金の他に、周知のニクロム、アルミ等の金属材料、あ
るいはアルミナ粉末とニクロム粉末を混合したもの等が
使用できる。前記耐熱絶縁層30(301),31(3
11)としては、PBI他に、周知のPI(ポリイミ
ド)、PFA(4ふっ化エチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリ4ふっ化
エチレン)等が使用できる。前記基板32としては、ア
ルミ他に、周知のステンレス鋼板、鉄、リン青銅等の金
属材料、あるいはガラス、セラミック、耐熱樹脂等が使
用できる。
【0039】このように、第1の板状発熱体26は、発
熱抵抗体29及び温度センサ28をPBIフィルム3
0,31やPBI絶縁層301,311で挟んで形成
し、第2の板状発熱体27は、発熱抵抗体29をPBI
フィルム30,31やPBI絶縁層301,311で挟
んで形成するので、発熱抵抗体29とPBIフィルムや
PBI絶縁層の間に空隙がなく、良好な熱伝導が得られ
る。同様に温度センサ28とPBIフィルムやPBI絶
縁層の間にも空隙がなく、温度センサの応答性の向上及
び発熱抵抗体29と温度センサ28との間の絶縁性も確
実に確保できる。
【0040】また、各板状発熱体26,27は、製造時
は平板形状で形成することができるので、生産性を向上
できる。そして、そのままの形状で第1の板状発熱体2
6として用いられ、湾曲形状にして第2の板状発熱体2
7として用いられるので、各板状発熱体26,27を同
じ板状発熱体で構成でき、ヒータ個別対応の生産設備が
不要であるばかりでなく、定着装置全体としての部品点
数の減少にも効果がある。さらに、周知の製法により製
造することができるため、特別な製造装置を必要とせ
ず、精度良く効率的に生産することができる。
【0041】さらに、加熱ローラ21の直径がある程度
小さい場合には、図5の(a) に示すような発熱抵抗体2
9のパターンを2列設けた1枚の板状発熱体33を、図
5の(b) に示すように変形して第1の板状発熱体部h1
と第2の板状発熱体部h2を有する一体型発熱体として
用いる方法が生産の効率上きわめて有利になる。例え
ば、板状発熱体が、鉄−クロム合金からなる厚さ0.0
7mmの発熱抵抗体29をPBIからなる厚さ0.05mm
の耐熱絶縁層で挟み込んで形成する場合には、加熱ロー
ラ21の直径があまり大きいと、第1の板状発熱体部h
1と第2の板状発熱体部h2との間の屈曲部kの角度が
大きくなり、耐熱絶縁層と発熱抵抗体29に大きな応力
が作用して耐熱絶縁層及び発熱抵抗体29の剥離・亀裂
等を発生するおそれがあるので、この場合、直径10mm
以下の加熱ローラ21に対して一体型発熱体を使用する
のが望ましい。
【0042】図6は、図1に示す熱定着装置の発熱体制
御手段を示す図で、直列に接続された第1の板状発熱体
26と第2の板状発熱体27はSSR等からなるヒータ
電力制御部34を介して電源35に接続し、第1の板状
発熱体26に一体的に組み込んだ温度センサ28は温度
制御部36に接続している。そして、前記温度制御部3
6からの温度検出信号によって前記ヒータ電力制御部3
4を制御するようになっている。
【0043】前記温度制御部36は、温度センサ28か
らの出力に基づいて第1の板状発熱体26の現状温度を
求め、これと所定の制御目標温度を比較して、ON/O
FF2値制御法あるいはPID制御法等により、ヒータ
電力制御部34に例えばパルス信号等の温度検出信号を
出力する。前記ヒータ電力制御部18においては、温度
制御部17からの温度検出信号に基づいてSSR等によ
り電源電圧のON/OFF動作を行う。ヒータ電力制御
方法としては、この他に電流制御、交流電源に対する位
相制御等が使用できる。ここで、第1の板状発熱体26
と第2の板状発熱体27は、全く同一の発熱体で構成
し、記録紙24及び加熱ローラ21と非接触状態である
ため、周囲に対する熱移動条件もほぼ等しく、さらに両
発熱体は隣接して配置しているため、温度制御上1つの
発熱体と見做して良く、1つの温度制御系で確実に制御
できる。
【0044】また、温度分布に関しては、配置パターン
の形状、厚さ等を最適化することにより、単一の温度制
御系で任意の分布が得られる。例えば図2に示すような
配置パターンで発熱抵抗体を形成する場合には、記録紙
の移動方向に直交する記録紙の幅方向の左右両端部は、
外部への熱移動のため表面温度が低下するが、これに対
して、板状発熱体26,27の外周に近い範囲は発熱抵
抗体の配置パターンを密に配置することにより、板状発
熱体26,27の温度分布を記録紙24の幅方向に対し
て均一にすることができる。
【0045】前記給紙ガイド25は、アルミ板から形成
され、記録紙24のガイドとして機能し、かつ第1の板
状発熱体26と予熱通路Pを形成し、この予熱通路内の
気体の熱量が散逸するのを防止している。前記給紙ガイ
ド25としては、アルミ板の他に鉄、ステンレス鋼もし
くは、耐熱樹脂、ガラス、セラミック等が使用できる。
また、第1の板状発熱体26からの放射エネルギーに対
する吸収率を上げるために、給紙ガイド25の第1の板
状発熱体26と対向する面は黒色に表面処理するか、黒
色塗料を塗布する。
【0046】このような構成において、第1の板状発熱
体26の最大消費電力を250W、第2の板状発熱体2
7の最大消費電力も250Wとすると、合計で最大消費
電力500Wの熱定着装置が実現できる。そして、第1
の板状発熱体26の表面温度は電源投入後約2秒で室温
20℃から約200℃に昇温する。また、第1の板状発
熱体26と給紙ガイド25との間隙を例えば5mmとする
と、給紙ガイド25の表面温度は第1の板状発熱体26
の電源投入後約10秒で室温20℃から120℃に昇温
する。
【0047】また、第2の板状発熱体27は、第1の板
状発熱体26と同一の断面構造を有し、単位面積当たり
最大消費電力が同一であるため、第2の板状発熱体27
の表面温度も電源投入後約2秒で室温20℃からほぼ2
00℃に昇温する。また、第2の板状発熱体27と加熱
ローラ21との間隙を例えば4mmとすると、加熱ローラ
21の表面温度は電源投入後約15秒で室温20℃から
定着動作が可能な設定温度150℃に昇温する。従っ
て、記録紙24は加熱ローラ21が設定温度150℃に
達した時に、予熱通路Pの加熱ローラ21直前まで搬送
されていればよい。
【0048】定着動作時に、トナー像23を支持した記
録紙24は線速40mm/sec で移動し、まず給紙ガイド
25と第1の板状発熱体26とで形成される予熱通路P
に進入する。ここで、トナー像23が第1の板状発熱体
26の表面に接触しない状態で記録紙24が搬送され
る。このときトナー像23は像を乱されることなく加熱
され、トナーは半溶融状態になる。また、記録紙24
は、第1の板状発熱体26に対して非接触状態で加熱さ
れ、給紙ガイド25に対して接触状態で加熱され、含有
水分の蒸発と、溶融したトナーの浸透を促進する。
【0049】次に記録紙24は互いに圧接され回転する
加熱ローラ21と加圧ローラ22とで構成される圧接加
熱部Nを通過する。記録紙24と同速度で移動する加熱
ローラ21の加熱された表面に、前加熱されたトナー像
23及び記録紙24が圧接・加熱され、トナーは完全に
溶融し記録紙24へ浸透する。そして、記録紙24は加
熱ローラ21から剥離し、溶融トナーは冷却することに
より紙に完全に固着する。
【0050】この実施形態を具体化した実施例1の特性
を、従来方式である図22に示すようなハロゲンランプ
を発熱源とした加熱ローラ方式の熱定着装置を具体化し
た比較例1と比較した結果を表1に示す。実施例1は第
1の板状発熱体26として、幅3.48mm、長さ38.
61mm、ピッチ4.48mmの発熱抵抗体29を50本つ
づら折り状に配列したものを使用し、第2の板状発熱体
27として幅3.48mm、長さ38.61mm、ピッチ
4.48mmの発熱抵抗体29を50本つづら折り状に配
列したものを使用している。そして、この各板状発熱体
26,27に100Vの電源電圧を印加して、それぞれ
250Wの最大消費電力で、全体としては500Wの最
大消費電力で発熱動作させる。
【0051】また、比較例1は、実施例1と同じ移動速
度の記録紙を定着可能にするために外径20mm、厚さ2
mmのアルミからなる加熱ローラと、外径16mmの鉄の芯
材上に外径26mmになるようにシリコンゴムの耐熱弾性
体層を設けた加圧ローラと、最大消費電力500Wのハ
ロゲンランプを使用した。加圧ローラの外径が実施例1
に比較して大きいのは、圧接加熱部Nのみで、トナーに
熱を供給するため、圧接ニップ長さNL を長くする必要
があるためである。
【0052】
【表1】
【0053】表1によれば、実施例1は、トナー像23
が予熱通路Pで予熱されため、圧接加熱部Nでトナーに
供給する熱量が少なくて済み、加熱ローラ21の設定温
度の低温化が促進される。さらに加熱ローラ21の圧接
力(加熱ローラ21と加圧ローラ22間に印加される圧
接荷重)は弱くて良いので強度は小さくて済み、加熱ロ
ーラ21の薄肉化が可能になる。また、接触加熱時間
(トナー像23を支持した記録紙24が圧接加熱部Nを
通過する時間)も少なくて済み、従って、圧接ニップの
長さNL を短く設定でき、これに加えて、発熱源である
第2の板状発熱体27を加熱ローラ21の外周に配置し
ているため加熱ローラ21内部にハロゲンランプ等の発
熱源を配置する必要がない。従って、加熱ローラ21と
しては、比較的短い圧接ニップの長さNL を確保するの
に十分な直径を有していれば良く、加熱ローラ21の小
径化が可能になる。これにより加熱ローラ21の小熱容
量化が達成される。
【0054】以上により、定着可能になるまでのウォー
ムアップ時間の短縮が達成される。表1によれば、最大
消費電力が実施例1と同一である500Wのハロゲンラ
ンプを用いる比較例1に比較して、実施例1のウォーム
アップ時間を約4分の1に短縮できる。また、第1の板
状発熱体26は、トナー像に接触しない状態で前加熱す
るので、必要とされる構造上の強度は小さく、熱容量も
加熱ローラ21に比べて極めて小さい。従って、加熱ロ
ーラ21の表面が所定の設定温度に達するより十分に早
い時間で第1の板状発熱体26は所定の設定温度に達す
るので、ウォームアップ時間に関しては、熱容量が遥か
に大きな加熱ローラ21の昇温特性だけを検討すればよ
い。
【0055】また、表1に示す実施例2は、加熱ローラ
21としてステンレス加熱ローラを使用した場合であ
る。実施例1の同一外径のアルミ加熱ローラと比較する
と、ステンレス加熱ローラは縦弾性係数が大きく肉厚が
3分の1でほぼアルミと同一強度を得ることができる
が、密度が大きいのでステンレス加熱ローラとアルミ加
熱ローラの質量は等しくなる。しかしながら比熱はステ
ンレスの方が小さいため、熱容量で比較するとステンレ
ス加熱ローラはアルミ加熱ローラの半分近い値となる。
【0056】さらに、ステンレス鋼は熱伝導率がアルミ
の10分の1以下であるため、従来例のように加熱ロー
ラをハロゲンランプにより内側から加熱して熱を伝える
場合ウォームアップ時間が長くなるという問題が生じ
る。しかしながら、この実施の形態のように加熱ローラ
21の外側から熱を伝える場合は、逆に熱伝導率が小さ
いことから加熱ローラ21の最外層である離型層21b
の表面から加熱ローラ21の内部の空気層に至る熱伝導
を阻害し、加熱ローラ21の表面温度の上昇率を向上さ
せることができる。従って、実施例2のステンレス加熱
ローラを使用した場合は、実施例1のアルミ加熱ローラ
を使用した場合に比べてウォームアップ時間をほぼ2分
の1に短縮できる。
【0057】また、予熱通路Pにおいては、第1の板状
発熱体26により、記録紙24は緩やかな温度変化を受
けるため、この記録紙の熱変形と水分蒸発は急激ではな
く、従って、記録紙24に紙しわ等の変形が発生するこ
とはない。また、表1に示すように加熱ローラ21は圧
接力、温度とも低く、さらに予熱通路Pと圧接加熱部N
の温度差も急激ではないので、圧接加熱部Nにおいても
紙しわの発生が抑制される。
【0058】ところで、定着性は、記録媒体の表面張力
を超えない範囲でトナーの表面張力γに比例し粘性ηに
反比例することが言われている。また、実際の定着強度
は、溶融後冷却されたトナーと紙との界面結合力および
トナー同士の凝集力により付与されることから、紙への
親和性が高く凝集エネルギーが大きいもの、すなわち表
面張力γが大きいものが優位となる。従って、トナーの
表面張力γを上げ、できるだけ低温での粘性を下げるこ
とが低温定着トナーの設計のポイントとなる。しかしな
がら同時に高温での粘性が下がってしまうと高温オフセ
ットが発生してしまう。そこでトナーバインダーの設計
は、低温での粘性を下げるには低分子量成分、高温時で
の弾性を持たせるには高分子量成分というように機能を
分離させ、できるだけ分子量分布を広げることによっ
て、この相反する特性を満足させることが必要となる。
こうした分子量分布の制御は、重合温度、重合開始剤
量、モノマー種、架橋剤などにより行われる。従来は、
こうした重合条件などを工夫し、できるだけ分子量分布
を広げたトナーバインダーを使用していたが、近年では
高分子量バインダー、低分子量バインダーを各々合成
し、これを粉体混合により分子量分布を広げる処方が採
られている。こうした混合技術により、従来よりも分子
量分布の制御が容易でかつ分子量としても広げることが
可能となり、耐オフセット性を確保した状態で低温定着
性が達成されている。
【0059】このように、従来、トナーの定着温度下げ
るには、複雑な材料・製造工程が必要とされていたが、
第1の板状発熱体26と加熱ローラ21を用いるこの実
施の形態においては、圧接加熱部Nの温度が加熱ローラ
方式に比較して低く、高温オフセットの心配がないの
で、比較的簡素な材料・製造工程で済む低分子量(例え
ば105 以下の分子量で104 平均分子量)のみのトナ
ーが使用可能であり、低い定着温度で優れた定着強度が
確保できる。
【0060】以上のように、この実施の形態の熱定着装
置は、発熱体の量産性が高く、また、1つの温度制御系
により予熱通路Pおよび圧接加熱部Nの2カ所の温度制
御ができる。しかも、発熱抵抗体29、温度センサ28
ともPBIフィルム30,31やPBI絶縁層301,
311で挟んで固定しているため、移動する記録紙24
や回転する加熱ローラ21とも摺動しないので磨耗した
り、トナーの残りかすが付着するおそれがなく長期に渡
って安定した動作が継続できる。さらに、加熱ローラ2
1の熱容量が小さく定着温度が低いので、ウォームアッ
プ時間の十分な短縮化を図ることができ、また、省電力
化にも貢献できる。また、紙しわの発生が少なく、定着
性に優れたトナーも使用できるので画像品質を向上でき
る。また、逆にウォームップ時間の短縮率を小さく抑え
れば、最大消費電力を少なくすることができる。
【0061】(第2の実施の形態)これは、図7に示す
ように、第1の板状発熱体261を記録紙24の裏側
(トナー像23がない側)に配置し、かつこの第1の板
状発熱体261が給紙ガイドの機能を兼ねたものであ
る。そして、前記第1の板状発熱体261に対向して上
方に熱保持板35を配置して予熱通路Pを形成してい
る。その他は、第1の実施の形態と同一の構成になって
いる。
【0062】このような構成においては、熱保持板35
の表面温度を、対流により第1の実施の形態の給紙ガイ
ド25の表面温度より高くすることができる。例えば第
1の板状発熱体261として、第1の実施の形態の第1
の板状発熱体26と同一のものを用いた場合、電源投入
後約10秒で熱保持板35の表面温度が室温20℃から
150℃まで昇温する。また、記録紙24の下面は第1
の板状発熱体261に接触するため、熱伝導により第1
の板状発熱体261から記録紙24への熱移動が行われ
るので、記録紙24およびトナー像23への熱移動速度
を高めることができる。従って、第1の実施の形態とほ
ぼ同様の最大消費電力で、記録紙24の移動速度の高速
化に対応することができる。すなわち、記録紙24の移
動速度の高速化に対応させるためには、単純には、板状
発熱体および加熱ローラ21の表面温度を高くするか、
予熱通路Pおよび圧接ニップ長さNL を長くすればよい
が、高耐熱材料の使用により装置が高価になること、高
温オフセットが発生しやすいこと、加熱ローラの設定温
度の上昇と熱容量の増大によりウォーミングアップ時間
が長くなること、装置が大型化することなどのデメリッ
トが生じる。この点、この実施の形態は板状発熱体や加
熱ローラ21の表面温度を高くしたり、予熱通路Pおよ
び圧接ニップ長さNL を長くすることなく記録紙24の
移動速度の高速化を図ることができる。その他について
は第1の実施の形態と同一の作用効果が得られるもので
ある。
【0063】(第3の実施の形態)これは、図8に示す
ように、第1の実施の形態と上下を全く逆にしたもので
ある。この場合、記録紙24を給紙ガイド25に静電的
に吸着した状態で搬送する。そして、第1の板状発熱体
26により対流を利用して記録紙24およびトナー像2
3を予熱することになる。この実施の形態は、第1の実
施の形態と同一の作用効果が得られるものである。
【0064】(第4の実施の形態)これは、図9に示す
ように、第1の実施の形態において給紙ガイド25を板
状発熱体36に代えたもので、予熱通路Pを1対の第1
の板状発熱体26,35により加熱するようになる。各
第1の板状発熱体26,36は同じものである。この場
合、1対の板状発熱体26,36により加熱するので、
予熱通路Pにおいてトナー像23はほとんど溶融し、一
部は記録紙24に浸透する。従って、圧接加熱部Nでの
加熱時間が短くてもトナーは十分に記録紙24に定着で
きる。その他については第1の実施の形態と同一の作用
効果が得られるものである。
【0065】(第5の実施の形態)これは、図10に示
すように、第4の実施の形態において、さらに加圧ロー
ラ22の外周側にこの外周面から所定の間隔離れてこの
加圧ローラ22を加熱する湾曲状の板状発熱体37を配
置したものである。この板状発熱体37は第2の板状発
熱体27と同じものである。このように加圧ローラ22
を加熱する板状発熱体37を設けることで加圧ローラ2
2の温度も高くなるので、加熱ローラ21と加圧ローラ
22の圧接ニップ部での温度がより高くなるので、さら
に速い記録紙24の移動速度に対応することができる。
また、高温オフセットがなく、ウォーミングアップ時間
をさらに短縮できる。その他については第1の実施の形
態と同一の作用効果が得られるものである。
【0066】(第6の実施の形態)これは、図11に示
すように、加熱ローラとして直径6mm、記録紙幅方向寸
法250mm、厚さ0.3mmのステンレス製の中空パイプ
41aの外表面に耐熱性離型層41bを形成した小径の
加熱ローラ41を使用している。そして第1の板状発熱
体と第2の板状発熱体を一体化した1つの板状発熱体4
2を設け、この板状発熱体42の第1発熱部h1 を給紙
ガイド25と対向配置し、第2発熱部h2 を前記加熱ロ
ーラ41の外周に接触して配置している。そして、第1
発熱部h1 の第2発熱部側近くに温度センサ28を配置
し、また、第2発熱部h2 の上に撓み矯正部材43を載
置し、その撓み矯正部材43に上から荷重部材44によ
り所定の荷重をかけて加熱ローラ41を押圧し加熱ロー
ラ41の撓みを補償するようになっている。
【0067】板状発熱体42は、第1発熱部h1 と給紙
ガイド25との間隔は5mmであり、かつ加熱ローラ41
の直径が6mmなので、第2発熱部h2 でわずかに湾曲し
ているだけでほぼ平面状に配置している。なお、その他
の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0068】前記板状発熱体42は、厚さ0.07mmの
鉄−クロム合金からなり、図12に示すように、第2発
熱部h2 の単位面積当たりの消費電力が大きくなるよう
に設定している。これは、加熱ローラ21の直径が小さ
いため圧接ニップ長さNL が短く、第1の実施の形態と
同一の記録紙移動速度で定着するためには、加熱ローラ
21の設定表面温度を上昇させる必要がある。また、定
着時に記録紙24及びトナー像23に与える熱量は第1
の実施の形態とほぼ同様なだけ必要なことから、第2発
熱部h2 の長さが前述した第2の板状発熱体27に比較
して短いにもかかわらず、この第2の板状発熱体27b
と第2発熱部h2 との最大消費電力をほぼ同様にするた
めである。
【0069】具体的には、表1の実施例3に示すよう
に、この板状発熱体42は、第1発熱部h1 では発熱抵
抗体45aを幅2mm、長さ34.6mm、ピッチ8mmで2
8本つづら折り状に配列し、第2発熱部h2 では発熱抵
抗体45bを幅2mm、長さ18.3mmで、ピッチ4mmで
56本つづら折り状に配列している。この板状発熱体4
2に100Vの電源電圧を印加すると、各発熱部h1 、
h2はそれぞれ250Wの最大消費電力で動作する。
【0070】このような構成においては、加熱ローラ4
1の昇温速度が装置全体の中で最も遅いため、加熱ロー
ラ41の設定表面温度が170℃に達するまでがウォー
ミングアップ時間となる。また、第1発熱部h1 の最大
消費電力が250W、第2発熱部h2 の最大消費電力が
250Wで全体の消費電力としては第1の実施の形態の
場合と同様であるが、小径の加熱ローラ41を使用して
いるので、熱容量が小さく、しかも接触による熱伝導で
熱移動が行われるため、設定表面温度が170℃と高い
にもかかわらず、ウォーミングアップ時間はさらに短く
5秒となる。
【0071】また、この実施の形態においても1つの温
度制御系で温度制御ができる。すなわち、第2発熱部h
2 の単位面積当たりの最大消費電力は、第1発熱部h1
の2倍以上になるが、第2発熱部h2 では接触による熱
伝導で熱移動が行われるため、第1発熱部h1 より単位
時間当たりの熱移動量が多く、最大消費電力量と熱移動
量とのバランスを取り、第1発熱部h1 と第2発熱部h
2 の発熱、熱移動条件をほぼ等しくできる。
【0072】また加熱ローラ41の強度は小径でかなり
小さいが、撓み矯正部材43と荷重部材44により所定
の荷重を印加することで加熱ローラ41の撓みを補償す
ることができる。その他については第1の実施の形態と
同一の作用効果が得られるものである。
【0073】(第7の実施の形態)これは、図13に示
すように、第6の実施の形態において、板状発熱体42
の第2発熱部h2 を加熱ローラ41の外周に直接接触し
て配置せずに、クリーニング部材46を介して配置す
る。このような構成においては、加熱ローラ41の表面
のトナーの残りかすをクリーニング部材46により常時
クリーニングでき定着時にトナーの残りかすが記録紙2
4に付着するのを防止できる。また、撓み矯正部材43
と荷重部材44による荷重をクリーニング部材46を介
して印加することで加熱ローラ41の撓みを補償するこ
とができる。その他については第1の実施の形態と同一
の作用効果が得られるものである。
【0074】(第8の実施の形態)これは、図14に示
すように、加熱ローラとしてプラスチックの円柱ローラ
からなる小径の中実加熱ローラ51を使用している。そ
の他については前述した第6の実施の形態と同一の構成
である。すなわち、この装置のように加熱ローラ51を
その外周から加熱する場合には、表面温度が150℃〜
170℃程度でよいこと、荷重が小さいこと、外部加熱
のため熱伝導率が小さくてもよいことから、PPS(ポ
リフェニレンサルファイド)、PEEK(ポーエーテル
エーテルケトン)等の耐熱性プラスチックの使用が可能
になる。従って、耐熱性離型層を加熱ローラ51の表面
に形成する必要がない。また、図示していないが、加圧
ローラ51に取り付けられる駆動用ギアを一体成形する
ことも可能になる。
【0075】特に加熱ローラ51の小径化に対しては熱
伝導率が小さいことからこのような中実加熱ローラの使
用が可能になり、同一直径での強度向上に貢献できる。
さらに、プラスチックの熱伝導率は金属に比較してかな
り小さいことから、加熱ローラ51の表面温度は極めて
速く設定表面温度まで到達し、ウォームアップ時間のよ
り短縮化を図ることができる。また、セラミック、ガラ
ス棒等熱伝導率の小さいものも同様に使用が可能とな
る。その他については第1の実施の形態と同一の作用効
果が得られるものである。
【0076】(第9の実施の形態)これは、図15に示
すように、加熱ローラとして、アルミ管61a上に耐熱
性離型層61bを形成した加熱ローラ61を使用し、こ
の加熱ローラ61の内部に円柱形状にした第2の板状発
熱体62をこの加熱ローラ61の内周に対して2mmの間
隙を維持して配置し、加熱ローラ61を内側から加熱す
るようになっている。また、給紙ガイド63の上に平板
形状の2つの第1の板状発熱体64,65を縦に並べて
配置している。そして、加熱ローラ側の第1の板状発熱
体64に温度センサ28を配置している。
【0077】前記加熱ローラ61は、直径20mm、肉厚
1mm、記録紙幅方向長さ250mmのアルミ製ローラであ
る。前記第2の板状発熱体62は、図16に示すよう
に、記録紙幅方向長さが前記加熱ローラ61よりも長
く、その端部を加熱ローラ61の外部に設けた1対の保
持部材66,67に固定保持している。前記加圧ローラ
22は外径12mm鉄の心材22a上に外径20mmになる
ようにシリコンゴムの耐熱弾性体層22bを形成してい
る。
【0078】前記各第1の板状発熱体64,65と第2
の板状発熱体62は前述した第1、第2の板状発熱体2
6,27と同一の構成になっており、発熱抵抗体29の
配列パターンと外形寸法のみが異なる。具体的には、発
熱抵抗体29の配線パターンは表1の実施例4に示すよ
うに、幅2.5mm、長さ49.3mm、ピッチ4mmで56
本つづら折り状に配列したものを使用している。この板
状発熱体を第1の板状発熱体64,65としては平板形
状のまま2枚を直列に接続し使用し、第2の板状発熱体
62は円筒形状に変形もしくは撓ませて1枚を使用す
る。
【0079】前記第1の板状発熱体64,65と給紙ガ
イド63からなる予熱通路Pは、記録紙24の比較的早
い移動速度に対応し十分な前加熱時間を確保するため
に、前述した各実施の形態に比べて2倍以上の長さに設
定してある。このように板状発熱体は予熱通路Pの長さ
を容易に設定できる。
【0080】そして、図17に示すように、第1の板状
発熱体64,65の発熱抵抗体29を直列に接続し、こ
の直列回路に第2の板状発熱体62の発熱抵抗体29を
並列に接続し、この並列回路をヒータ電力制御部68を
介して電源69に接続している。前記電源69からヒー
タ電力制御部68を介して電源電圧100Vを印加する
と、直列に接続された各第1の板状発熱体64,65が
250W、第2の板状発熱体62が500Wの最大消費
電力で発熱動作する。従って、熱定着装置全体としては
750Wの最大消費電力で発熱動作することになる。
【0081】このような構成においては、表1に実施例
4として示すように、記録紙24の移動速度の高速化に
対応し十分な加熱時間を確保するために、実施例1と比
較して、第1の板状発熱体は2倍以上の長さ、加熱ロー
ラ61の表面温度の増加、そして第2の板状発熱体62
は2倍の最大消費電力が必要となる。この構成で120
mm/sec の記録紙24の移動速度に対応する良好な熱定
着ができ、装置全体のウォームアップ時間を決定する加
熱ローラ61の表面温度は、約22秒で170℃まで昇
温する。
【0082】このような実施例4の特性を、従来方式で
あるハロゲンランプを発熱源とした加熱ローラ方式の熱
定着装置において高速用に対応した比較例2と比較す
る。従来の熱定着装置の場合は、記録紙の移動速度が速
いので、圧接ニップ部Nを通過する時間の短縮に対応し
て熱移動量を確保するために、表1の比較例2に示すよ
うに、さらなる加熱ローラの外径の増加、肉厚の増加、
表面温度の増加及び加圧ローラの外径の増加、耐熱弾性
体層の肉厚の増加、圧接力の増加が必要になる。そし
て、これを実施例4の全最大消費電力と同じ750Wで
発熱動作すると、加熱ローラが220℃の表面温度に達
するまで約87秒かかる。これに対し、実施例4の場合
は予熱通路Pで予熱を行っているので、加熱ローラ61
の表面温度は170℃あればよく、ウォームアップ時間
は約22秒ときわめて短い。
【0083】以上のように、この実施の形態では加熱ロ
ーラ61の内部に第2の板状発熱体62を固定配置して
いるので、加熱ローラ61の外径が比較的大きいような
場合には適している。そして、このように第2の板状発
熱体62を内部に配置することで、外周に配置する場合
よりも、装置全体の表面積を小さくでき、これにより、
装置から周囲に散逸していく熱量を少なくできる。すな
わち、高速化・大型化しても効率の良い熱定着ができ
る。また、第2の板状発熱体62は回転しないので、発
熱体の電気的な接続は特別な機構を必要とせずに簡単に
実現できる。
【0084】また、2つの第1の板状発熱体64,65
を用いているので、大きな熱容量の増加や設定表面温度
の上昇なしに高速対応ができる。また、第1の板状発熱
体64,65及び第2の板状発熱体62が同一の板状発
熱体で構成できるため、量産性が高く、単一の温度制御
系で温度制御ができる。なお、加熱ローラ61と第2の
板状発熱体62の空隙に、水銀あるいはシリコンオイル
や、シリコングリス等の液体もしくは高粘度の粘性流体
を封入又は充填することにより、第2の板状発熱体62
から加熱ローラ61の表面までの単位時間当たりの熱移
動量を増大させ、ウォームアップ時間をより短縮するこ
とができる。
【0085】(第10の実施の形態)これは図18に示
すように、加熱ローラ61の内部に配置する第2の板状
発熱体として、加熱ローラ61の内周に密着あるいは接
着して配置し、加熱ローラ61とともに回転する円筒状
の第2の板状発熱体72を使用している。その他の構成
は第9の実施の形態と同様である。前記加熱ローラ61
と第2の板状発熱体72を一体化した円筒部材は、図1
9に示すように、回転電極部材73,74を介して加熱
ローラ61の外部に設けた1対の保持部材75,76に
回転自在に保持している。すなわち、前記第2の板状発
熱体72は回転電極部材73,74を介して外部から電
力が供給されることになる。
【0086】第1の板状発熱体64,65と第2の板状
発熱体72は前述した第1、第2の板状発熱体26,2
7と同一の構成になっており、発熱抵抗体29の配列パ
ターンと外形寸法のみが異なる。具体的には、発熱抵抗
体29の配線パターンは表1の実施例5に示すように、
幅2.7mm、長さ53.57mm、ピッチ4mmで56本つ
づら折り状に配列したものを使用している。この板状発
熱体を、第1の板状発熱体64,65としては平板形状
のまま2枚を直列に接続し使用し、第2の板状発熱体7
2は円筒形状に変形もしくは撓ませて1枚を使用する。
この第1の板状発熱体64,65と第2の板状発熱体7
2は第9の実施の形態と同様の回路構成でヒータ電力制
御部を介して電源に接続されている。
【0087】電源からヒータ電力制御部を介して電源電
圧100Vを印加すると、直列に接続された各第1の板
状発熱体64,65が250W、第2の板状発熱体72
が500Wの最大消費電力で発熱動作する。従って、熱
定着装置全体としては750Wの最大消費電力で発熱動
作することになる。
【0088】このような構成においては、表1に実施例
5として示すように、記録紙24の移動速度の高速化に
対応し十分な加熱時間を確保するために、実施例4と同
様に、第1の板状発熱体は2倍以上の長さ、加熱ローラ
61の表面温度の増加、そして第2の板状発熱体72は
2倍の最大消費電力が必要となる。この構成で120mm
/sec の記録紙24の移動速度に対応する良好な熱定着
ができ、装置全体のウォームアップ時間を決定する加熱
ローラ61の表面温度は、約16秒で170℃まで昇温
する。すなわち、第2の板状発熱体72は加熱ローラ6
1の内周に密着あるいは接着して配置しているので、熱
移動の損失が少なく実施例4に比べてウォームアップ時
間をさらに短縮できる。
【0089】この構成では、回転電極部材73,74が
回転接点(摺動接点)を有するので、装置全体の構造は
複雑になるが、比較的速い昇温速度のため高速大型の熱
定着装置としての用途は広い。
【0090】(第11の実施の形態)これは、第1、第
2の板状発熱体を一体化した図5の場合の変形例で、図
20の(a) に示すように、発熱抵抗体29のパターンを
2列設けた1枚の板状発熱体81の中央部の各パターン
間に長孔82を形成し、その長孔82の両端部に第1の
板状発熱体部h1と第2の板状発熱体部h2を結合する
結合部83a,83bを形成している。そして、図20
の(b) に示すように、第1の板状発熱体部h1を平板形
状に維持し、第2の板状発熱体部h2を円筒状に変形さ
せる。そして、第2の板状発熱体部h2を加熱ローラ2
1の外周を覆うように配置する。
【0091】1枚の板状発熱体81をこのように構成す
ることで、第2の板状発熱体部h2の変形が容易とな
り、円筒形状が容易に実現できる。また、結合部83
a,83bの部分は緩やかに変形しているため、耐熱絶
縁層と発熱抵抗体29に大きな応力が作用しないので、
耐熱絶縁層および発熱抵抗体の剥離・亀裂等を発生する
おそれがない。これにより、記録紙の高速移動に対応す
る大直径加熱ローラにも適用できる。
【0092】(第12の実施の形態)これは、第2の板
状発熱体を加熱ローラの内部に配置した図15の場合の
変形例で、図21の(a) に示すように、発熱抵抗体29
のパターンを2列設けた1枚の板状発熱体91の中央部
の各パターン間に一端から他端近傍まで長い切込み92
を形成し、その切込み92の他端部に第1の板状発熱体
部h1と第2の板状発熱体部h2を結合する結合部93
を形成している。そして、図21の(b) に示すように、
第1の板状発熱体部h1を平板形状に維持し、第2の板
状発熱体部h2を円筒状に変形させる。そして、結合部
93の反対側から加熱ローラ61の内部に第2の板状発
熱体部h2を挿入する。この構造により加熱ローラ内部
に板状発熱体を配置するものに対しても、簡素で量産性
に優れた一体型ヒータが適用できる。
【0093】このように、平面が要求される第1の板状
発熱体と曲面が要求される第2の板状発熱体を同一断面
構造、同一熱移動条件の板状発熱体で構成することによ
り、予熱通路Pが所定の長さに容易に設定でき、また、
単一の温度制御系での温度制御ができ、さらに高い量産
性を実現できる。また、装置全体の熱容量や加熱ローラ
の熱容量を減少させ、さらに加熱ローラ設定温度を低下
できるため、ウォームアップ時間を短縮でき、また紙し
わが発生し難く、しかも小形かつ簡素で安価な熱定着装
置が実現できる。また、所定の温度の圧接加熱部Nを有
しているので、通常のトナーが使用できる。また、従来
の加熱ローラでは使用されなかったステンレス鋼、耐熱
性プラスチック等が使用可能になり、一層の熱容量を減
少によるウォームアップ時間を短縮と、装置の簡素化、
小形化、薄型化が実現できる。さらに、第1の板状発熱
体と第2の板状発熱体を一体化できるので、板状発熱体
の量産効果の増大と装置の簡素化をより一層図ることが
できる。さらに、ウォームアップ時間が短いので、画像
形成時のみ電力を供給し、待機時には給電しないという
低消費電力モードが容易に実現できる。
【0094】なお、前述した各実施の形態では圧接加熱
手段として加熱ローラを使用したものについて述べたが
必ずしもこれに限定するものではなく、回転無端ベルト
を使用した加熱ベルト定着方式の熱定着装置であっても
よい。
【0095】
【発明の効果】以上、請求項1乃至10記載の発明によ
れば、良好なトナー定着ができるとともに十分な低消費
電力化を図ることができ、また、ウオームアップ時間の
十分な短縮を図ることができ、しかも構成が簡単で経済
性も向上できる。
【0096】また、請求項3記載の発明によれば、さら
に、圧接加熱手段に付着したトナーをクリーニングして
定着時の記録媒体の汚れを防止できる。
【0097】また、請求項6記載の発明によれば、さら
に、十分な前加熱ができ、より良好なトナー定着ができ
る。
【0098】また、請求項7乃至10記載の発明によれ
ば、さらに、前加熱手段及び圧接加熱手段の構成が簡単
で製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す断面図。
【図2】同実施の形態における板状発熱体の構成を示す
図。
【図3】同実施の形態における第1の板状発熱体と第2
の板状発熱体の外観斜視図。
【図4】同実施の形態における板状発熱体の変形例を示
す図。
【図5】同実施の形態において板状発熱体を一体型発熱
体とした場合の構成例を示す図。
【図6】同実施の形態における板状発熱体の温度制御系
を示すブロック図。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す断面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す断面図。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示す断面図。
【図12】同実施の形態における板状発熱体の構成を示
す図。
【図13】本発明の第7の実施の形態を示す断面図。
【図14】本発明の第8の実施の形態を示す断面図。
【図15】本発明の第9の実施の形態を示す断面図。
【図16】同実施の形態における加熱ローラに対する第
2の板状発熱体の取付け構成を示す断面図。
【図17】同実施の形態における板状発熱体の電力制御
系の回路構成図。
【図18】本発明の第10の実施の形態を示す断面図。
【図19】同実施の形態における加熱ローラに対する第
2の板状発熱体の取付け構成を示す断面図。
【図20】本発明の第11の実施の形態を示すもので、
板状発熱体を一体型発熱体とした場合の変形例を示す
図。
【図21】本発明の第12の実施の形態を示すもので、
板状発熱体を一体型発熱体とした場合の他の変形例を示
す図。
【図22】従来例を示す断面図。
【図23】他の従来例を示す断面図。
【図24】他の従来例を示す断面図。
【図25】他の従来例を示す断面図。
【図26】他の従来例を示す断面図。
【符号の説明】
21…加熱ローラ 22…加圧ローラ 23…トナー像 24…記録紙 25…給紙ガイド 26…第1の板状発熱体 27…第2の板状発熱体 28…温度センサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−216172(JP,A) 特開 平5−107961(JP,A) 特開 昭62−242980(JP,A) 特開 平6−75491(JP,A) 特開 平7−271239(JP,A) 特開 平8−69862(JP,A) 特開 昭58−189978(JP,A) 特開 昭53−69639(JP,A) 特開 平4−311983(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/20 G03G 15/20

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写されたトナー像を支持した記録媒体
    を搬送する搬送路と、この搬送路に配置し、トナー像と
    接触しない状態で前記記録媒体を前加熱する第1の板状
    発熱体を有する前加熱手段と、この前加熱手段にて前加
    熱した前記記録媒体を圧接して加熱するローラ又は回転
    無端ベルトを有するとともにこのローラ又は回転無端ベ
    ルトを外周側から加熱する、前記第1の板状発熱体と同
    一構成の第2の板状発熱体を有する圧接加熱手段と、前
    記第1、第2の板状発熱体を制御する発熱体制御手段と
    を備えたことを特徴とする熱定着装置。
  2. 【請求項2】 第2の板状発熱体をローラ又は回転無端
    ベルトの外周面に接触させたことを特徴とする請求項1
    記載の熱定着装置。
  3. 【請求項3】 第2の板状発熱体とローラ又は回転無端
    ベルトの外周面との間にこれらに接触してクリーニング
    部材を介在させたことを特徴とする請求項1記載の熱定
    着装置。
  4. 【請求項4】 圧接加熱手段は円柱状ローラを有し、こ
    の円柱状ローラを第2の板状発熱体で加熱することを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱定着装
    置。
  5. 【請求項5】 転写されたトナー像を支持した記録媒体
    を搬送する搬送路と、この搬送路に配置し、トナー像と
    接触しない状態で前記記録媒体を前加熱する第1の板状
    発熱体を有する前加熱手段と、この前加熱手段にて前加
    熱した前記記録媒体を圧接して加熱する円筒状ローラ又
    は回転無端ベルトを有するとともにこの円筒状ローラ又
    は回転無端ベルトを内周側から加熱する、前記第1の板
    状発熱体と同一構成の第2の板状発熱体を有する圧接加
    熱手段と、前記第1、第2の板状発熱体を制御する発熱
    体制御手段とを備えたことを特徴とする熱定着装置。
  6. 【請求項6】 前加熱手段の第1の板状発熱体の対向位
    置に、搬送路を介して熱保持板を配置したことを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれか1項記載の熱定着装置。
  7. 【請求項7】 前加熱手段の第1の板状発熱体及び圧接
    加熱手段の第2の板状発熱体を、パターン形成した発熱
    抵抗体を耐熱絶縁性樹脂層で挟んで構成したことを特徴
    とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の熱定着装
    置。
  8. 【請求項8】 前加熱手段の第1の板状発熱体及び圧接
    加熱手段の第2の板状発熱体を、パターン形成した発熱
    抵抗体を耐熱絶縁性樹脂層で挟んだ可撓性又は可塑性板
    状発熱体とし、前記第1の板状発熱体は平板状のまま固
    定し、前記第2の板状発熱体は湾曲状又は円筒状に撓ま
    せて弾性変形状態又は塑性変形状態で固定したことを特
    徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の熱定着装
    置。
  9. 【請求項9】 温度センサを発熱抵抗体とともに耐熱絶
    縁性樹脂フィルムで挟んで板状発熱体を構成したことを
    特徴とする請求項7又は8記載の熱定着装置。
  10. 【請求項10】 前加熱手段の第1の板状発熱体及び圧
    接加熱手段の第2の板状発熱体を一体形成したことを特
    徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の熱定着装
    置。
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