JP3219722U - ヒータ - Google Patents
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Abstract
【課題】防水気密性を確保しつつ、密閉環境下でのPTCサーミスタ素子の特性劣化を抑制できるヒータを提供する。
【解決手段】ヒータは、PTCサーミスタ素子11をケース12の内部に収納したヒータユニット10を備える。PTCサーミスタ素子には電線15が接続され、電線はケースの開口12Bから外部に引き出されている。開口は封止部材16により閉鎖され、封止部材とPTCサーミスタ素子との間には、端部空気層12Dが形成されている。電線は、導線15Aを被覆材15Bで被覆した構成を有し、端部空気層の中では、被覆材から導線が露出している。端部空気層は、被覆材と導線との間の隙間を介してケースの外部と連通されている。
【選択図】図2
【解決手段】ヒータは、PTCサーミスタ素子11をケース12の内部に収納したヒータユニット10を備える。PTCサーミスタ素子には電線15が接続され、電線はケースの開口12Bから外部に引き出されている。開口は封止部材16により閉鎖され、封止部材とPTCサーミスタ素子との間には、端部空気層12Dが形成されている。電線は、導線15Aを被覆材15Bで被覆した構成を有し、端部空気層の中では、被覆材から導線が露出している。端部空気層は、被覆材と導線との間の隙間を介してケースの外部と連通されている。
【選択図】図2
Description
本考案は、PTC(Positive TemperatureCoefficient)サーミスタ素子を用いたヒータに関する。
従来より、PTCサーミスタ素子を用いたヒータが知られている。PTCサーミスタ素子は低温で固有の抵抗値を持つために発熱体として作用し、かつ、キュリー温度以上では急激に抵抗値が増大して通電をカットするという自己温度制御機能を有しているので、安全性の高いヒータを実現することができる。この種のヒータは、例えば、半導体セラミックよりなる発熱素子に一対の電極を配設したPTCサーミスタ素子をケースに収納した構造を有している。このようなヒータを水や油などの液体の加熱に用いる場合には、高い防水気密性が必要となる。
しかしながら、PTCサーミスタ素子は、密閉され環境下で使用すると、抵抗値が変化するという特性劣化が生じてしまう(例えば、特許文献1参照)。図7は、PTCサーミスタ素子をケースの中に密閉収納したヒータを連続動作させた場合の特性変化を表すものである。図7に示したように、動作時間の経過に従い抵抗値が低下することが分かる。これにより、PTCサーミスタ素子を密閉するとヒータに流れる電流値が上昇し、ヒータを設置している機器に不具合が生じる恐れがあるという問題があった。
本考案は、このような問題に基づきなされたものであり、防水気密性を確保しつつ、特性の劣化を抑制することができるヒータを提供することを目的とする。
本考案のヒータは、発熱素子に一対の電極層が配設されたPTCサーミスタ素子と、一対の電極層に対して電気的にそれぞれ接続され、導線を被覆材で被覆した一対の電線と、PTCサーミスタ素子を内部に収納し、電線を引き出すための開口を有するケースと、開口を閉鎖する封止部材とを備え、ケースの内部には、封止部材とPTCサーミスタ素子との間に端部空気層が設けられ、電線は、端部空気層の中において、被覆材から導線が露出されて電極層に対して電気的に接続され、端部空気層は、導線と被覆材との間の隙間を介してケースの外部と連通されているものである。
本考案によれば、ケースの内部において封止部材とPTCサーミスタ素子との間に端部空気層を設け、この端部空気層の中において、被覆材から導線を露出させるようにしたので、導線と被覆材との間の隙間を介して、ケースの内部と外部と連通させることができる。よって、ケースの開口を封止部材で封止することにより構造的には防水気密性を保ちつつ、ケース内部を外部と連通させてPTCサーミスタ素子に外部の空気を供給し、PTCサーミスタ素子の抵抗値の劣化を改善することができる。
以下、本考案の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本考案の一実施の形態に係るヒータ1の構成を表わすものである。図2は、図1に示したII−II線に沿った断面構成を表すものである。図3は、図1に示したIII−III線に沿った断面構成を表すものである。このヒータ1は、例えば、PTCサーミスタ素子11をケース12の内部に収納したヒータユニット10を2つ備えている。なお、図3では、1つのヒータユニット10についてのIII−III線に沿った断面構成を表している。
各ヒータユニット10は、例えば、ケース12の内部に複数のPTCサーミスタ素子11を有している。各PTCサーミスタ素子11は、例えば、ステンレス等の金属よりなる一対の電極板13の間に並べて配設され、一対の電極板13に対して並列にそれぞれ接続されている。複数のPTCサーミスタ素子11を間に挟んだ一対の電極板13の外周は、例えば、絶縁材料よりなる絶縁フィルム14で覆われている。これにより、一対の電極板13及び各PTCサーミスタ素子11と、ケース12とは、電気的に絶縁されている。
各PTCサーミスタ素子11は、正温度特性を有し、キュリー温度以上において急激に抵抗が増大してそれ以上の温度上昇を制限することができるものである。各PTCサーミスタ素子11は、例えば、発熱素子11Aに一対の電極層11Bが配設されており、一対の電極層11Bにはそれぞれ一対の電極板13が当接して配設された構成を有している。発熱素子11Aは、例えば、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系化合物を含む焼結体よりなる半導体セラミック板により構成されている。一対の電極層11Bは、例えば、銀又はアルミニウムなどの金属により構成されており、発熱素子11Aの厚み方向において対向する面にそれぞれ設けられている。
一対の電極板13の各一端部には、例えば、一対の端子部13Aがそれぞれ設けられている。一対の端子部13Aには、例えば、一対の電線15がそれぞれ接続されている。これにより、一対の電線15は、一対の電極板13を介して、PTCサーミスタ素子11の一対の電極層11Bに対して電気的にそれぞれ接続されている。電線15は、例えば、導線15Aを被覆材15Bで被覆した構成を有しており、端子部13Aに接続されている側の端部では、被覆材15Bから導線15Aが露出され、加締めなどにより導線15Aが端子部13Aに接合されている。被覆材15Bは、例えば、電気絶縁性、防水性、及び、可撓性を有する樹脂材料により構成されることが好ましい。
ケース12は、例えば、角筒状であり、アルミニウム等の高い熱伝導性及び加工容易性を有する材料により構成されている。ケース12とPTCサーミスタ素子11とは、例えば、PTCサーミスタ素子11の発熱素子11Aと電極層11Bとの積層方向において、電極板13及び絶縁フィルム14を介して、接触していることが好ましい。また、PTCサーミスタ素子11の積層方向に対して垂直、かつ、各PTCサーミスタ素子11の配列方向に対して垂直な方向においては、ケース12とPTCサーミスタ素子11との間に側部空気層12Aが設けられ、発熱素子11Aの側部が側部空気層12Aに露出されていることが好ましい。
ケース12の両端部は、例えば解放され、開口12B,12Cがそれぞれ設けられている。開口12B,12Cの少なくとも一方は、電線15を引き出すために利用される。なお、本実施の形態では、開口12Bから一対の電線15がそれぞれ引き出されている。開口12Bは、例えば、封止部材16が配設されることにより閉鎖され、開口12Cは、例えば、封止部材17が配設されることにより閉鎖されている。
封止部材16は、例えば、開口12Bを閉鎖するように設けられたシリコーンゴムよりなる薄板状の閉鎖部材16Aと、この閉鎖部材16Aの外側に設けられたシリコーン樹脂層16Bとを有していることが好ましい。シリコーン樹脂層16Bにより開口12Bを封止することができると共に、閉鎖部材16Aによりシリコーン樹脂層16Bの封止範囲を制限し、後述する端部空気層12Dを封止部材16とPTCサーミスタ素子11との間に容易に形成することができるからである。封止部材17も、例えば、封止部材16と同様に、開口12Cを閉鎖するように設けられたシリコーンゴムよりなる薄板状の閉鎖部材17Aと、この閉鎖部材17Aの外側に設けられたシリコーン樹脂層17Bとを有していることが好ましい。なお、シリコーン樹脂層16B,17Bは、例えば、空気中の水分と反応して硬化するシリコーン樹脂を閉鎖部材16A,17Aの外側に塗布し、空気と接触させることにより形成することができる。
ケース12の内部には、例えば、電線15が引き出されている開口12Bの側において、封止部材16とPTCサーミスタ素子11との間に端部空気層12Dが設けられている。電線15は、この端部空気層12Dの中において、被覆材15Bから導線15Aが露出され、端子部13Aに対して電気的に接続されている。すなわち、被覆材15Bの端部は端部空気層12Dの中に位置し、これにより、端部空気層12Dは、導線15Aと被覆材15Bとの間の隙間を介してケース12の外部と連通されている。また、端部空気層12Dは、ケース12の内部において、側部空気層12Aと連続して形成されている。
ケース12の外側には、例えば、絶縁フィルム14及び電極板13を介してPTCサーミスタ素子11と接触している一対の側部に、ヒートシンク18がそれぞれ設けられている。なお、図3では、ヒートシンク18の表示を省略している。ヒートシンク18は、例えば、板材を山部と谷部とが繰り返される形状に折り曲げた蛇腹部18Aと、この蛇腹部18Aのケース12と反対側に設けられた板状部18Bとを有している。ヒートシンク18は、例えば、アルミニウム等の高い熱伝導性を有する材料により構成されている。
各ヒータユニット10は、例えば、ヒートシンク18が設けられている対向方向に、並べて配置されている。各ケース12の両端部には、例えば、並べて配置された各ケース12を連結して覆うように、樹脂製のブラケット19がそれぞれ配設されている。なお、図1では、2つのヒータユニット10を連結したヒータ1を示したが、1つのヒータユニット10により構成するようにしてもよく、また、3以上のヒータユニット10を連結して構成するようにしてもよい。
このヒータ1では、例えば、一対の電線15を介してPTCサーミスタ素子11に通電され、発熱素子11Aが発熱する。発熱素子11Aから発せられた熱は、電極層11B、電極板13、絶縁フィルム14、及び、ケース12を介してヒートシンク18に伝わる。ケース12の内部では、内部に存在する空気が暖められて膨張し、一部の空気が、電線15の導線15Aと被覆材15Bとの間の隙間を介してケース12の外部に移動する。また、PTCサーミスタ素子11への通電が停止され、発熱素子11Aの発熱が停止されると、ケース12の内部に存在する空気が冷却して収縮し、ケース12の外部の空気が、電線15の導線15Aと被覆材15Bとの間の隙間を介してケース12の内部に移動する。よって、電線15の導線15Aと被覆材15Bとの間の隙間を介してケース12の内部と外部とが連通され、PTCサーミスタ素子11に外部の空気が供給されて、PTCサーミスタ素子11の抵抗値の劣化が抑制される。
図4に、PTCサーミスタ素子11の空気との接触状態を変えて通電を行った場合における抵抗値の変化を示す。STEP1は、PTCサーミスタ素子11をケース12に入れずに常に空気と触れている状態で通電した場合、STEP2は、PTCサーミスタ素子11をケース12に入れ、両端の開口12B,12Cを閉鎖しない状態で通電した場合、STEP3は、PTCサーミスタ素子11をケース12に入れ、図5に示したように、両端の開口12B,12Cを閉鎖部材16A,17Aを設けずにシリコーン樹脂層16B,17Bで直接埋め、PTCサーミスタ素子11の端部にリコーン樹脂層16B,17Bを接触させて通電した場合である。すなわち、STEP3は、PTCサーミスタ素子11とシリコーン樹脂との間に端部空気層12Dが形成されていない場合である。図4に示したように、STEP3では抵抗値が低下しており、PTCサーミスタ素子11を密閉した状態で通電させると、抵抗値が低下することが分かる。
本実施の形態に係るヒータ1について連続通電試験を行い、抵抗値の変化を調べた。また、本実施の形態に係るヒータ1の比較例として、図5に示したように、ケース12の両端の開口12B,12Cを閉鎖部材16A,17Aを設けずにシリコーン樹脂層16B,17Bで直接埋め、PTCサーミスタ素子11の端部にリコーン樹脂層16B,17Bを接触させて端部空気層12Dが形成されないように構成したヒータを用意し、同様にして連続通電試験を行い、抵抗値の変化を調べた。それらの結果を図6に示す。図6に示したように、比較例のヒータによれば、連続通電により抵抗値が劣化したのに対して、本実施の形態に係るヒータ1によれば、抵抗値の劣化は見られなかった。すなわち、本実施の形態に係るヒータ1によれば、抵抗値の劣化を改善できることが分かる。
このように本実施の形態によれば、ケース12の内部において封止部材16とPTCサーミスタ素子11との間に端部空気層12Dを設け、この端部空気層12Dの中において、被覆材15Bから導線15Aを露出させるようにしたので、導線15Aと被覆材15Bとの間の隙間を介して、ケース12の内部と外部と連通させることができる。よって、ケース12の開口12B,12Cを封止部材16,17で封止することにより構造的には防水気密性を保ちつつ、ケース12の内部を外部と連通させてPTCサーミスタ素子11に外部の空気を供給し、PTCサーミスタ素子11の抵抗値の劣化を改善することができる。
以上、実施の形態及び実施例を挙げて本考案を説明したが、本考案は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、他の構成を有してもよい。また、全ての構成要素を備えていなくてもよく、更に、他の構成要素を備えていてもよい。
PTCサーミスタ素子を用いたヒータに用いることができる。
1…ヒータ、10…ヒータユニット、11…PTCサーミスタ素子、11A…発熱素子、11B…電極層、12…ケース、12A…側部空気層、12B、12C…開口、12D…端部空気層、13…電極板、13A…端子部、14…絶縁フィルム、15…電線、15A…導線、15B…被覆材、16,17…封止部材、16A,17A…閉鎖部材、16B,17B…シリコーン樹脂層、18…ヒートシンク、18A…蛇腹部、18B…板状部、19…ブラケット
Claims (2)
- 発熱素子に一対の電極層が配設された複数のPTCサーミスタ素子と、
前記複数のPTCサーミスタ素子を一列に配置して間に挟み、前記一対の電極層にそれぞれ当接して配設された一対の電極板と、
前記複数のPTCサーミスタ素子を間に挟んだ前記一対の電極板の外周を覆う絶縁フィルムと、
前記一対の電極板を介して、前記一対の電極層に対して電気的にそれぞれ接続され、導線を被覆材で被覆した一対の電線と、
前記PTCサーミスタ素子を内部に収納し、前記電線を引き出すための開口を有するケースと、
前記開口を閉鎖する封止部材とを備え、
前記ケースは、前記発熱素子と前記電極層との積層方向において、前記複数のPTCサーミスタ素子と前記電極板及び前記絶縁フィルムを介して接触し、
前記ケースの内部には、前記封止部材と前記PTCサーミスタ素子との間に端部空気層が設けられると共に、この端部空気層に連続して、前記発熱素子と前記電極層との積層方向に対して垂直、かつ、前記複数のPTCサーミスタ素子の配列方向に対して垂直な方向において、ケースとPTCサーミスタ素子との間に側部空気層が設けられ、
前記発熱素子の側部は前記側部空気層に露出されており、
前記電線は、前記端部空気層の中において、前記被覆材から前記導線が露出されて前記電極層に対して電気的に接続され、
前記端部空気層及び前記側部空気層は、前記導線と前記被覆材との間の隙間を介して前記ケースの外部と連通されている
ことを特徴とするヒータ。 - 前記封止部材は、シリコーンゴムよりなる閉鎖部材と、この閉鎖部材の外側に設けられたシリコーン樹脂層とを有することを特徴とする請求項1記載のヒータ。
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