JP3217338B2 - 複合配向ポリエステルフィルム - Google Patents

複合配向ポリエステルフィルム

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JP3217338B2 JP2000175382A JP2000175382A JP3217338B2 JP 3217338 B2 JP3217338 B2 JP 3217338B2 JP 2000175382 A JP2000175382 A JP 2000175382A JP 2000175382 A JP2000175382 A JP 2000175382A JP 3217338 B2 JP3217338 B2 JP 3217338B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ用ベー
スフィルムとして好適な複合配向ポリエステルフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、物理的・化学
的特性に優れているので、磁気記録用をはじめ、種々の
用途に広く用いられている。その中でも、特に磁気テー
プ用ベースフィルムとして用いる場合には、表面の平坦
性と走行性とが重要視される。走行性を向上させる方法
としては、フィルム中に無機または有機の微粒子を添加
して、フィルム表面を粗面化する方法が一般的である。
しかしながら、フィルムの粗面化は、電磁変換特性の悪
化をもたらすため好ましくない。
【0003】また最近では、磁気テープ製造工程の高速
化に伴い、カレンダー加工工程での耐削れ性に一層優れ
たフィルムが求められている。即ち、カレンダー加工工
程は、磁性塗料を塗布・乾燥した後、その表面を平滑化
する工程であるが、極めて高い圧力が加わるロール間を
フィルムが通過するため、フィルム表面の突起が削り落
とされて摩耗粉が発生するという問題点があり、その改
善が待望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁気
テープとした場合であっても、走行性と電磁変換特性と
が共に優れ、かつカレンダー加工工程における摩耗粉の
発生が極めて少ない複合配向ポリエステルフィルムを提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の複合配向ポリエステルフィルムは、少なく
とも3層以上から構成される複合配向ポリエステルフィ
ルムであって、最外層の一方(A層)を構成する樹脂中
に実質的な突起形成能を有する粒子を含有せず、A層に
隣接する層(B層)に実質的な突起形成能を有する粒子
を含有し、かつ当該A層の表面とは反対側の表面の平均
粗さが、A層の表面の平均粗さの3分の2以下であるこ
とを特徴とする。また、前記目的を達成するために、本
発明の複合配向ポリエステルフィルムは、A層、B層お
よびC層の3層から構成される複合配向ポリエステルフ
ィルムであって、最外層の一方(A層)を構成する樹脂
中に実質的な突起形成能を有する粒子を含有せず、A層
に隣接する層(B層)に実質的な突起形成能を有する粒
子を含有し、B層に隣接するA層以外の最外層(C層)
の表面の平均粗さが、A層の表面の平均粗さの3分の2
以下であることを特徴とする。
【0006】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、少なくとも3層のポリエステル層から構成される。
そして3層以上の構造であれば何層構造であっても構わ
ない。なお、上記3層以外の層はポリエステル層以外の
層であってもよい。
【0007】本発明の複合配向ポリエステルフィルムの
各層を構成するポリエステルは、特に限定されるもので
はなく任意であるが、その繰り返し単位の80モル%以
上がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6ナ
フタレートである場合に本発明の効果が最も顕著となる
ので、特に好ましい。他の共重合成分としてはイソフタ
ル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、テレフタル酸、4,4’−ジカル
ボキシルジフェニール、4,4’−ジカルボキシルベン
ゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニール)エタ
ン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等
のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール等のグリコール成分、p−オキシ安息香酸などのオ
キシカルボン酸成分等を任意に選択使用することができ
る。この他共重合成分として、少量のアミド結合、ウレ
タン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有す
る化合物を含んでいてもよい。
【0008】該ポリエステルの製造法としては、芳香族
ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直接重合
法、芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコー
ルとをエステル交換反応させるエステル交換法など、任
意の製造法を適用することができる。
【0009】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、最外層の少なくとも一方(A層)を構成する樹脂中
に、突起形成能を有する粒子を実質的に含有しないこと
を要する。これは、突起形成能を有する粒子を実質的に
含有しないA層によって、ポリエステルフィルム表面突
起の削り落ちに対する保護効果が生じ、B層に含まれる
粒子に基づいて形成されたフィルム表面突起の脱落を防
止し、カレンダー加工工程での摩耗粉発生が著しく改善
された表面を得ることができるからである。ここでいう
突起形成能とは、フィルム表面に高さ50nm以上の突
起を形成しうる能力を指し、その能力は走査型トンネル
顕微鏡等によって評価することができる。逆に、突起形
成能を有する粒子を実質的に含有しない保護層(A層)
を設けない場合や、実質的な突起形成能を有する粒子を
含有した層を最外層に設けた場合には、カレンダー加工
工程でのフィルム表面突起の脱落が生じやすくなり、摩
耗粉の発生が著しくなる。
【0010】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、A層に隣接する層(B層)に突起形成能を有する粒
子を実質的に含有する。そして、B層に添加された粒子
に基づいてA層表面に突起を形成させることにより、A
層表面(走行面)に優れた走行性を付与することができ
る。
【0011】ここで、突起形成能を有する不活性粒子と
しては、Ca,Mg,Sr及びBaの炭酸塩、Na,
K,Mg,Ca,Ba及びAlの硫酸塩、Na,K,M
g,Ca,Sr,Ba,Al,Ti及びZrのリン酸
塩、二酸化ケイ素、アルミナ、複合ケイ酸化合物(非晶
質域は結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケート化合物
等)、温石綿(ジルコン、フライアッシュ等)、Zr及
びTiの酸化物、Ca,Ba,Zn及びMnのテレフタ
ル酸塩、Ba及びPbのクロム酸塩、炭素(カーボンブ
ラック、グラファイト等)、ガラス(ガラス粉、ガラス
ビーズ等)、ホタル石及びZnS等の無機粒子と、架橋
ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂、シリコン樹脂及び架橋ポリエステル樹脂等の有
機粒子が例示される。好ましくは、炭酸カルシウム、無
水ケイ酸、含水ケイ酸、酸化アルミニウム、ケイ酸アル
ミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸ジ
ルコニウム、酸化チタン、安息香酸リチウム、ガラス
粉、粘土(カオリン、ベントナイト、白土等)、タルク
及びケイ藻土等が例示される。これらの不活性粒子は天
然品であっても合成品であっても構わない。また、単独
で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいし、複合
塩の形で用いてもよい。
【0012】該不活性粒子の平均粒子径は、A層および
B層の厚み、配合量などによって異なるが、A層に対し
て突起高さが0.1〜1μm程度の突起を形成するよう
な粒子径を有すればよい。その粒子径は通常0.05μ
m〜5.0μm、好ましくは、0.1μm〜2.5μm
である。
【0013】B層における不活性粒子の配合量は、ポリ
エステル100重量部に対して0.05〜40重量部、
好ましくは0.2〜10重量部である。
【0014】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、B層に隣接するA層以外の層(C層)には突起形成
能を有する粒子を実質的に含有しないか、B層に含まれ
る粒子のうち平均粒子径が最も大きい粒子の3分の2以
下の平均粒子径を有する粒子(即ち、3μm以下、好ま
しくは0.05〜1.5μm)を含有することを要す
る。なお、フィルムが3層構造をとる場合には、A層表
面とは反対側の面(磁性テープの場合には磁性層を形成
することが好ましい層面)にも易滑性を付与するため
に、C層には粒子を添加しておくことが好ましい。
【0015】C層に添加可能な粒子としては、上記突起
形成能を有する不活性粒子として例示された粒子と同様
の組成の粒子が例示される。そしてC層に添加可能な粒
子の平均粒子径を上記範囲内に制限することにより、C
層に添加された粒子によるA層表面(磁性テープの場合
には走行面)上への突起形成を実質的に防止することが
可能となる。従って、A層表面上に形成される突起は実
質的にB層に添加された粒子によるもののみとなり、均
一かつ高密度の突起を有し、例えば電磁変換特性と走行
性ともに優れた走行面を得ることが可能となる。逆に、
上記範囲を逸脱した平均粒子径を有する粒子をC層に添
加した場合には、C層に添加した粒子によってA層表面
に突起が形成されて走行面の突起が不均一なものとなっ
たり、例えば磁性面(A層表面とは反対側の面)の粗さ
が大きくなったりして、電磁変換特性が悪化する。
【0016】C層における不活性粒子の配合量は、ポリ
エステル100重量部に対して0.01〜10重量部、
好ましくは0.04〜2重量部である。
【0017】本発明のポリエステルフィルムは、A層の
厚さ(Ta)とB層の厚さ(Tb)及びフィルム全体の
厚さ(Tf)が以下の関係 Ta+Tb<(1/3)Tf を満足することが好ましい。
【0018】一般に、テープ走行面を粗面化すると、走
行性は改善されるものの、走行面粗さの磁性層表面への
転写により、電磁変換特性が悪化する。しかし、Ta+
Tbを上記範囲内とすることによって、転写効果が極め
て小さい走行面(A層表面)を得ることができ、電磁変
換特性と走行性ともに優れた電磁記録フィルムが得られ
る。逆に、Ta+Tbが上記範囲を越える場合には、走
行面粗さの磁性面への転写が著しくなり、磁性面が粗面
化されて電磁変換特性が不良となる。
【0019】従って、電磁変換特性の観点からはA層と
B層は薄ければ薄いほどよいが、カレンダー削れを良好
なものとするには、A層による走行面の保護効果を十分
なものとしなければならない。また、A層が厚すぎる
と、その被覆効果によってフィルム表面の突起形状が平
坦になって走行性に悪影響を及ぼす傾向にある。よっ
て、Taは好ましくは0.01〜2μm、特に好ましく
は0.05〜1μmであり、かつTaはTfの5分の1
未満とすることが好ましい。一方、Tbの下限は特に制
限されないが、優れた走行性を満足させるためには、T
bは好ましくは0.05〜3μm、特に好ましくは0.
1〜2μmである。また、Tfは好ましくは3〜300
μm、特に好ましくは5〜20μmである。なお、A層
およびB層の厚さは、2次イオン質量分析法(SIM
S)等によって評価可能である。
【0020】本発明の複合配向ポリエステルフィルムの
表面粗さは何ら制限されるものではなく任意であるが、
その片面の平均粗さがもう一方の面の平均粗さの3分の
2以下であることが好ましい。特に粗面がA層表面であ
って、その平均粗さが0.010〜0.030μmであ
る場合が好ましい。これは、平坦面上に磁性層を形成す
ることによって、下地効果による磁性層表面の粗面化を
抑えることができるのに加え、A層表面が転写効果によ
る磁性層表面の粗面化を極めておこしにくい性質を有し
ているためであり、電磁変換特性を一層優れたものとす
ることができるからである。面の平均粗さ(Ra)は、
東京精密(株)製表面粗さ計サーフコム300Aを用
い、針径2μm、荷重0.07g、測定基準長0.8m
m、カットオフ0.08mmの条件で測定した中心線平
均粗さをいう。
【0021】本発明の複合配向ポリエステルフィルムを
製造する方法は任意であり、特に制限されるものではな
いが、例えば以下のようにして製造することができる。
即ち、A層とB層及びC層を構成するポリエステルをそ
れぞれ溶融して積層し、共押出した後、従来公知の方法
で2軸延伸、熱処理することによって得られる。延伸順
序は縦横、横縦、同時2軸いずれの方法をとってもよ
い。また、横延伸と縦延伸および同時2軸延伸を適宜組
み合わせた3段階以上の延伸を行ってもよい。2軸延伸
後には、テンター中で熱処理を行うが、熱処理は、19
0〜230℃で2〜10秒間行うのが好適である。ま
た、熱処理中または熱処理後に、横および縦方向に緩和
処理を行うこともできる。
【0022】本発明の複合配向ポリエステルフィルムを
磁気テープとして用いる場合には、フィルムのいずれか
一方の面上に磁性層が形成される。磁性層はフィルムの
どちらの面に形成してもよいが、A層表面を走行面とし
て用い、その反対側の面に磁性層を設けた場合に、本発
明の効果が最も顕著となるので好ましい。また、走行面
にはバックコートを設けてもよいし設けなくてもよい
が、A層表面を走行面として用いる場合には、バックコ
ートを設けなくても優れた走行性が得られる。
【0023】
【実施例】本発明の複合配向ポリエステルフィルムの一
実施例を図2に示す。図2において、7はA層を、8は
B層を、9はC層を、10は不活性粒子を、11は不活
性粒子を示す。また、以下の記載において、ポリエステ
ルの製造及び突起形成能の評価は次の通りにして行っ
た。 〔ポリエステルの製造及び突起形成能の評価〕常法によ
りポリエステルを重合するに際し、重合時に表1に示し
たように各粒子を添加し、固有粘度0.620のポリエ
チレンテレフタレート(PET−1〜PET−5)を作
成した。次に、得られたポリエステル(PET−1〜P
ET−4)をそれぞれ乾燥した後、290℃で溶融し、
30℃の冷却ドラム上にキャスティングし、厚さ220
μmの未延伸フィルムを得た。引き続きこのフィルムを
75℃に加熱したロール、及び表面温度600℃の赤外
線ヒーター(フィルムから20mm離れた位置に設置)
を用いて加熱し、低速ロールと高速ロールとの間で縦方
向に3.3倍延伸した。更にこのフィルムをテンター中
に導き、100℃で横方向に4.4倍延伸し、220℃
で5秒間の熱処理を施して、厚さ15μmの2軸配向ポ
リエステルフィルムを作成した。このようにして得られ
たフィルムを用いて、各粒子の突起形成能を評価し、表
1にまとめた。
【0024】表1中の不活性粒子の粒子径及び突起形成
能の測定は次の通りにして行った。 不活性粒子の粒子径 粉体をエチレングリコール(EG)スラリー中に高速撹
拌により十分に分散し、得られたスラリー中における粒
度分布を、島津製作所製光透過型遠心沈降式粒度分布測
定機SA−CP3型を用いて測定した。この分布におけ
る、積算50%の値を用いる。
【0025】突起形成能の有無 フィルム表面に白金パラジュームを5nmスパッタコー
ティングした後、セイコー電子工業(株)製走査型トン
ネル顕微鏡STA350を用いて、まず同装置に付属し
ている光学顕微鏡にて拡大倍率約2000倍(対物レン
ズ50倍)でフィルム表面を観察した。次いで、不活性
粒子によって形成された突起が多数(約1個/20μm
2以上)フィルム表面に観察されるものについては、突
起形成能があると判断した。一方、突起が観察困難なも
のについては、粒子の異常凝集体によって形成された突
起が認められない部位を光学顕微鏡で選んだ後、レボル
バーを光学顕微鏡からトンネル顕微鏡のスキャナーに切
替え、同部位20μm2の表面形状をトンネル顕微鏡で
測定した(画素数=256ピクセル×128ライン)。
トンネル顕微鏡測定から得られた表面形状に傾斜補正及
び平滑化処理を施した後、ピーク数の高さ分布及び画素
数の高さ分布(ヒストグラム)を測定した。そして、画
素数が最大となる高さレベルをゼロレベルとして、高さ
が50nm未満のピーク数が全ピーク数(最大ピーク
数)の95%以上であるものを実質的な突起形成能がな
いものとした。なお、20μm2面積中に存在するピー
ク数が100個に満たないものについては、ピーク数が
100個に達するまで、同様の測定を繰り返した。
【0026】実施例1〜3、比較例1〜3 表2に示したA層・B層・C層の各層を構成するポリエ
ステルをそれぞれ乾燥した後、それぞれ別個の押出機に
供給した。そして、各押出機の吐出量の比率を、表2に
示した各層の厚さ比率となるように調整し、290℃で
溶融し、Tダイを用いて積層し、30℃に調節された冷
却ドラム上に共押出し、厚さ220μmの未延伸複合配
向ポリエステルフィルムを得た。このようにして得られ
た未延伸フィルムを、突起形成能の評価で用いた延伸方
法と全く同じ方法で2軸延伸・熱処理し、表2に示した
複合配向ポリエステルフィルムを作成した。なお、同表
に示した各層の厚さは、各層のポリエステルの吐出比率
と得られたフィルムの全体厚さから算出したものであ
る。
【0027】比較例4 表2に示したように、A層を積層せず、B層とC層に、
同表に示したポリエステルを用いた2層構造とすること
以外は、実施例1と全く同様の方法で複合配向ポリエス
テルフィルムを作成した。
【0028】比較例5〜6 表2に示したように、B層を省き、A層とC層に、同表
に示したポリエステルを用いた2層構造とすること以外
は、実施例1と全く同様の方法で複合配向ポリエステル
フィルムを作成した。
【0029】試験例1 次の通りの要領にて実施例及び比較例の複合配向ポリエ
ステルフィルムのカレンダー削れ特性、走行性及び電磁
変換特性を試験し、また、平均粗さを測定し、その結果
を表3に示した。 カレンダー削れ特性 30cm幅のフィルムを、4段のスーパーカレンダー
(線圧力300Kg/cm、走行速度300m/分)で
40,000m処理し、弾性ロールに付着した白粉量を
目視観察して以下のランク付けを行った。 1・・・白粉がまったく認められない 2・・・かすかに白粉が認められるが極めて微量である 3・・・少量の白粉が認められる 4・・・多量の白粉が認められる
【0030】走行性 温度23℃,相対湿度65%の条件下、図1の装置を用
いて試験した。図1において、1は長さ40mmのクラ
ンク、2は回転自在のガイドローラ、3は張力検出装
置、4は市販の家庭用VTRの金属製ガイドポスト(最
大粗さRt=0.15μm、平均粗さRa=0.008
μm)であり、幅12.5mmのフィルム5をガイドロ
ーラ2、張力検出装置3、ガイドポスト4に通し、この
ガイドポスト4に対する接触角度を3π/4ラジアンに
設定し、上記フィルム5の一端をクランク1に接続し、
他端に重さ50gのウエイト6をつるし、クランク1を
8rpmの速度で回転させ、フィルム5を100往復さ
せて摩擦係数(μk)を求め、下記のように3段階に評
価し、ランク付けした。 ○・・・μk<0.25 △・・・0.25≦μk≦0.35 ×・・・0.35<μk
【0031】電磁変換特性 (株)シバソク製TG−7/1型NTSC−TV試験信
号発生器及び925D/1型NTSCカラービデオノイ
ズ測定器を用い、標準テープに対するクロマS/Nを測
定し、下記の3段階に評価し、ランク付けした。 ○・・・S/N > +3dB △・・・S/N > +1dB ×・・・S/N < +1dB なお、磁気テープの作成は、ベースフィルムに以下の組
成の磁性塗料 1.磁性粉(γ−Fe23) 2.バインダー(ポリウレタン/ニトロセルロース) 3.硬化剤(3官能イソシアネート) 4.カーボンブラック 5.研磨剤(アルミナ) 6.潤滑剤(ステアリン酸/イソブチルステアレート) 7.溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキ
サノン) を乾燥後5μmの厚みとなるように塗布・乾燥し、スー
パーカレンダー処理後、熱硬化した。得られたフィルム
を1/2インチ幅にスリットし、VHSビデオテープを
作成した。
【0032】平均粗さ(Ra) 東京精密(株)製表面粗さ計サーフコム300Aを用
い、針径2μm、荷重0.07g、測定基準長0.8m
m、カットオフ0.08mmの条件で測定した中心線平
均粗さで表示する。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】上記表から明らかなように、本発明の要件
を満たす実施例1〜3は、走行性と電磁変換特性とが共
に優れ、かつカレンダー削れ特性にも非常に優れてい
る。これに対し、突起形成能を有する粒子を実質的に含
まないA層を持たない比較例4、及びA層に突起形成能
を有する粒子を実質的に含む比較例1では、走行性と電
磁変換特性とは優れるが、カレンダー削れ特性が不良と
なることがわかる。また、B層に突起形成能を有する粒
子を実質的に含まない比較例3では、走行性が不良とな
ることがわかる。また、B層に添加された粒子の平均粒
子径の3分の2を越える平均粒子径を有する粒子がC層
に添加されている比較例2では、電磁変換特性が不良と
なることがわかる。また、実質的な突起形成能を有する
粒子が添加された薄い中間層(B層)を持たない比較例
5及び比較例6では、走行性か電磁変換特性のいずれか
が不良となることがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、突起形成能を有する粒子を実質的に含まない保護層
(A層)を有していることに加え、突起形成能を有する
粒子を実質的に含んだ突起形成層(B層)を有している
ので、カレンダー加工工程で削り落とされにくい突起の
みがフィルム表面に均一かつ高密度に形成される。従っ
て、例えば当該ポリエステルフィルムによる磁気用テー
プは電磁変換特性と走行性ともに優れ、かつカレンダー
加工工程における白粉の発生を著しく少なくできるとい
う効果を有し、磁気記録媒体用のフィルムとして優れた
特性を発揮する。
【0038】なお、上記したように本発明の複合配向ポ
リエステルフィルムの主たる用途は磁気記録媒体用であ
るが、その他の用途、例えばグラフィクス、スタンピン
グフォイル、電気絶縁材料、コンデンサー用誘導体、包
装用、フレキシブルプリント回路基板などの耐摩耗性、
走行性が問題とされる用途に有効に使用されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの走行性を測定するための試験機の模
式図である。
【図2】複合配向ポリエステルフィルムの一例を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 クランク 2 ガイドローラ 3 張力検出装置 4 ガイドポスト 5 複合配向ポリエステルフィルム 6 ウエイト 7 A層 8 B層 9 C層 10 不活性粒子 11 不活性粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−31859(JP,A) 特開 平4−301447(JP,A) 特開 昭63−42862(JP,A) 特開 昭60−254415(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3層以上から構成される複合
    配向ポリエステルフィルムであって、最外層の一方(A
    層)を構成する樹脂中に実質的な突起形成能を有する粒
    子を含有せず、A層に隣接する層(B層)に実質的な突
    起形成能を有する粒子を含有し、B層に隣接するA層以
    外の層(C層)には実質的な突起形成能を有する粒子を
    含有しないか、あるいはB層に含まれる粒子のうち平均
    粒子径が最も大きい粒子の3分の2以下の平均粒子径を
    有する粒子を含有し、かつ当該A層の表面とは反対側の
    表面の平均粗さが、A層の表面の平均粗さの3分の2以
    下であることを特徴とする複合配向ポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 A層、B層およびC層の3層から構成さ
    れる複合配向ポリエステルフィルムであって、最外層の
    一方(A層)を構成する樹脂中に実質的な突起形成能を
    有する粒子を含有せず、A層に隣接する層(B層)に実
    質的な突起形成能を有する粒子を含有し、B層に隣接す
    るA層以外の層(C層)には実質的な突起形成能を有す
    る粒子を含有しないか、あるいはB層に含まれる粒子の
    うち平均粒子径が最も大きい粒子の3分の2以下の平均
    粒子径を有する粒子を含有し、かつB層に隣接するA層
    以外の最外層(C層)の表面の平均粗さが、A層の表面
    の平均粗さの3分の2以下であることを特徴とする複合
    配向ポリエステルフィルム。
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