JP3216841U - スーツケース - Google Patents

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【課題】防水性ファスナーを備えるスーツケースにおいて、一条当たり2個のスライダーを有する場合であっても防水性能を強化することができるスーツケースを提供する。【解決手段】ファスナー20は、一条当たり2個のスライダー31、32を有している。2個のスライダー31、32は、所定位置においてスライダーカバー40で覆われる。スライダーカバー40の開閉カバー52に、パッキン60が備えられている。このパッキン60が2個のスライダー31、32間の隙間を覆って、防水性能を強化する。【選択図】図2

Description

本考案は、防水性を高めたスーツケースに関する。
宿泊を伴う旅行には、大量の衣類等が運べるスーツケースが欠かせない。多くのスーツケースは、ポリカーボネート(PC)やポリプロピレン(PP)で造られ、ある程度の防水性を有する。
弱点は、ケース本体と蓋体とを繋ぐファスナーであり、ファスナーから水が侵入する。そのため、降水時にはスーツケースを全体的に覆う防水カバーの使用が推奨される。
しかし、防水カバーは着脱が煩わしい。取り外した防水カバーの保管も面倒である。対策として、ファスナーに防水性能を付与した防水性ファスナーを備えるスーツケースが提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。防水性ファスナーであれば、防水カバーは不要となり、防水カバーの脱着や保管が不要となる。
特許文献1の技術を、図10〜図12に基づいて以下に説明する。
図10は従来の防水性ファスナーの横断面図であり、防水性ファスナー100は、一方のテープ101と、このテープ101に取付けられたファスナー歯列102と、他方のテープ103と、このテープ103に取付けられたファスナー歯列104と、一対のファスナー歯列102、104を噛み合い状態又は分離状態にするスライダー105と、一方のテープ101に取付けられスライダー105まで延びる一方の防水シート107と、他方のテープ103に取付けられスライダー105まで延びる他方の防水シート108とからなる。
図11(a)に示すように、第1の防水シート107の先端には、第1の玉107aと第1の溝107bが設けられている。第2の防水シート108の先端にも、第2の玉108aと第2の溝108bが設けられている。
図11(b)に示すように、第1の玉107aが第2の溝108bに嵌り、第2の玉108aが第1の溝107bに嵌まることにより、機密性及び防水性能が付与される。
図12は従来の防水性ファスナーの縦断面図であり、一方のスライダー105の上部に傾斜溝105aが設けられている。この傾斜溝105aにより、第1の玉107aが第2の溝108bに嵌められる。
同様に、他方のスライダー106の上部に傾斜溝106aが設けられている。この傾斜溝106aにより、第1の玉107aが第2の溝108bに嵌められる。
ただし、図12中、L0で示す範囲では、第1の玉107aが第2の溝108bに嵌まっていない。スライダー105、106が通り過ぎないと嵌め込みが完了しないからである。
一条当たり2個のスライダー105、106を有する場合、一方のスライダー105と他方のスライダー106とを突き当てても、不可避的に防水不完全部(範囲L0)が出現する。
ファスナーに、一条当たり2個のスライダー105、106を有する場合であっても、防水性能を強化することが求められる。
実用新案登録第3063803号公報
本考案は、防水性ファスナーを備えるスーツケースにおいて、一条当たり2個のスライダーを有する場合であっても防水性能を強化することができるスーツケースを提供することを課題とする。
請求項1に係る考案は、ケース本体と、このケース本体の開口を塞ぐ蓋体と、この蓋体と前記ケース本体を開閉自在に繋ぐファスナーとを備えているスーツケースにおいて、
前記ファスナーは、防水性を有すると共に、一条当たり2個のスライダーを有し、
前記2個のスライダーは、所定位置でスライダーカバーで覆われ、
このスライダーカバーは、前記所定位置にある前記2個のスライダーを覆って前記2個のスライダー間の防水性を高めるパッキンを備えていることを特徴とする。
請求項2に係る考案は、請求項1記載のスーツケースであって、
前記スライダーカバーは、前記ケース本体と前記蓋体の一方に固定されたカバーベースと、前記ケース本体と前記蓋体の他方にヒンジを介して取付けられ前記カバーベースに嵌る又は外れる開閉カバーと、からなり、
前記カバーベースに、前記ファスナーに付属する引き手を収納する凹部を備え、
前記開閉カバーに、前記パッキンが備えられていることを特徴とする。
請求項3に係る考案は、請求項1又は請求項2記載のスーツケースであって、
前記パッキンは、シリコンゴムであることを特徴とする。
請求項4に係る考案は、請求項2又は請求項3記載のスーツケースであって、
前記パッキンは、面ファスナーにより前記開閉カバーに着脱可能に備えられていることを特徴とする。
請求項1に係る考案では、2個のスライダーを覆うスライダーカバーを備え、このスライダーカバーにパッキンを備えている。
パッキンで、2個のスライダー間の防水性を高めることができるので、一条当たり2個のスライダーを有する場合であっても防水性能が強化されたスーツケースが提供される。
また、2個のスライダーが露出していると、スライダーが悪戯される心配がある。この点、請求項1では、2個のスライダーがスライダーカバーで隠されるため、悪戯される心配が無く、防水性に加えて防犯性に優れたスーツケースが提供される。
請求項2に係る考案では、スライダーカバーは、カバーベースと開閉カバーとで構成され、カバーベースに引き手を収納する凹部が設けられている。
凹部に引き手を収納させと、2個のスライダーが確実にスライダーカバーで覆われる。2個のスライダーが確実にスライダーカバーで覆われるため、防犯性に優れたスーツケースが提供される。
請求項3に係る考案では、パッキンは、防水性に優れたシリコンゴムである。シリコンゴムは、珪素をベースとした弾性体である。防水性と弾力性と富む上に、入手が容易で安価である。
請求項4に係る考案では、パッキンは、面ファスナーにより開閉カバーに着脱可能に備えられているので、傷んだパッキンを、何時でも新品のパッキンに交換することができる。
本考案に係るスーツケースの側面図であって、開閉カバーが閉じているときのスーツケースの側面図である。 開閉カバーが開いているときのスーツケースの側面図である。 防水性を有するファスナーの断面図である。 スライダーカバーの構造を説明する図である。 開閉カバーが閉じているときのスライダーカバーを説明する図である。 図5の6−6矢視図(ただし、要部は破断)である。 別のファスナーの平面図である。 更に別のファスナーの断面図である。 面ファスナーでパッキンを固定する構造を説明する図である。 従来のファスナーの横断面図である。 従来のファスナーの防水機能を説明する図である。 従来のファスナーの縦断面図である。
本考案の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示すように、スーツケース10は、ケース本体11と、このケース本体11の開口を塞ぐ蓋体13と、この蓋体13とケース本体11を開閉自在に繋ぐファスナー20と、このファスナー20を局部的に覆うスライダーカバー40と、ケース本体11及び蓋体13の底に設けたキャスター14と、ケース本体11に設けた伸縮ハンドル15と、非伸縮形のハンドル16とを備えている。
図1では、スライダーカバー40は、閉じている。スライダーカバー40を開状態にすると、図2のようになる。
図2に示すように、ファスナー20は、一条当たり2個のスライダー31、32を有している。その他の構成要素は、図1と同じであるため、図1の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
図3は、ファスナーの構造及び作用を説明する図であり、図3(b)は、図2の3b−3b線断面図である。
図3(a)に示すように、ケース本体11に、一方のチャンネル21及び一方のテープ22を載せ、これらをケース本体11に糸23で縫って固定する。縫製後にチャンネル21をU字状にして、糸23を隠すようにする。
さらに、一方のテープ22の先端に一方のファスナー歯列24が設けられている。加えて、ケース本体11の端部には、先端が谷形のシール材25が取付けられている。この谷形のシール材25は、一方のファスナー歯列24の下に配置される。
また、蓋体12に、他方のチャンネル26及び他方のテープ27を載せ、これらを蓋体12に糸23で縫って固定する。縫製後にチャンネル26をU字状にして、糸23を隠すようにする。
さらに、他方のテープ27の先端に他方のファスナー歯列28が設けられている。加えて、蓋体12の端部には、先端が山形のシール材29が取付けられている。この山形のシール材29は、他方のファスナー歯列28の下に配置される。
後述するスライダーで、一方のファスナー歯列24に他方のファスナー歯列28を噛み合わせると、シール材25の谷にシール材29の山が密着する。
図3(b)に示すように、谷形のシール材25が山形のシール材29に密着することで、防水性能が発揮される。
なお、本考案での防水性能や防水性は、完全防水の他、簡易防水(生活防水とも呼ばれる。)や防滴を含む。
完全防水は、水中において水圧を受けても漏れない水密性能を意味する。
簡易防水(生活防水)は、降水時の雨水程度に対応する程度の水密性能を意味する。
防滴は、滴下する水滴に対応する程度の水密性能を意味する。
図4(a)に示すように、一条当たり2個のスライダー31、32を有する場合、一方のスライダー31に他方のスライダー32を当てても、2個のスライダー31、32の間では、一方のファスナー歯列24に対して他方のファスナー歯列28が、不可避的に離れる。結果、範囲L1が、不完全噛み合い部となる。この範囲L1では、図3(b)で説明したシール材25がシール材29からある程度離れる。離れると防水性能が低下する。
その対策を、以下に説明する。
図4(b)に示すように、スライダーカバー40は、ケース本体11(又は、蓋体12)に固定されたカバーベース41と、蓋体12(又はケース本体11)にヒンジ51を介して取付けられた開閉カバー52とからなる。ヒンジ51には、開閉カバー52を開側へ付勢するトーションばね53が設けられている。
カバーベース41は、平たい矩形のボックスであって、一方のファスナー歯列24に沿った部位に凹部42を有し、この凹部42を挟むようにして両側面にロック爪43、43を有し、適所にアンロックノブ44と、キー穴45と、暗唱番号用ダイヤル46とを有する。
凹部42は、2個の引き手33、34を収納し得る大きさの窪みであればよく、大きさ、形状は適宜変更可能である。凹部42に引き手33、34を仮止めするピンを立ててもよい。また、カバーベース41に永久磁石を埋設して、凹部42に引き手33、34を磁気で仮止めするようにしてもよい。
開閉カバー52は、平板部54と、この平板部54の両辺に立てた一対の側壁部55と、ヒンジ51側に立てた奥壁部56とからなり、一対の側壁部55に、ロック爪43に対応するフック部57が設けられている。
加えて、平板部54の中央に浅い窪み58が形成されており、この窪み58に、直方体状のパッキン60が接着剤などにより取付けられる(矢印(1))。
矢印(2)の如く、開閉カバー52を閉じる。ロック爪43にフック部57が引っ掛かるため、開閉カバー52は閉じ位置に保たれる。
図5に示すように、開閉カバー52は閉じ位置に保たれる。ダイヤル46が所定の暗唱番号に合わされるか又はキー穴45に所定のキーが差し込まれ回されるまでは、開閉カバー52が開く心配は無い。
仮に、2個のスライダー31、32が露出していると、スライダー31、32が悪戯される心配がある。この点、本実施例では、2個のスライダー31、32がスライダーカバー40で隠されるため、悪戯される心配が無い。
ダイヤル46が所定の暗唱番号に合わされるか又はキー穴45に所定のキーが差し込まれ回された後に、アンロックノブ44が人為的に押されると、ロック爪43が後退し、トーションばね53の作用で開閉カバー52は開き、図4(b)の形態になる。
図6は、図5の6−6矢視図であり、スライダー31、32が、パッキン60で覆われている。そのため、図4(a)で説明した2個のスライダー31、32の間(範囲L1)がパッキン60で塞がれ、防水処置が講じられる。
よって、防水性を有するファスナー20を備えるスーツケース10において、一条当たり2個のスライダー31、32を有する場合であっても防水性能を強化することができるスーツケースが提供される。
なお、パッキン60は、ゴムブロックや軟質樹脂ブロックが広く適用でき、格別に材質や形状は限定されない。しかし、パッキン60は、シリコンゴムが好適である。
シリコンゴムは、珪素に適当な物質を配合して得た樹脂系ゴムであり、弾性性能と防水性能を発揮する。シリコンゴムは、日用品や医療品に広く利用され、安価である。品質的にも安定している。よって、シリコンゴムは、スーツケース10の防水補強材として好適である。
また、防水性を有するファスナー20は、図3に説明した構造に限定されるものではない。その具体例を、図7、図8に基づいて説明する。
図7に示すように、一方のファスナー歯列24及び他方のファスナー歯列28を、軟質樹脂のような弾性体で構成する。一方のファスナー歯列24及び他方のファスナー歯列28が弾性変形しつつ、水密性能を発揮する。
又は、図8(a)に示すように、一方のファスナー歯列24を一方のテープ22でU字状に囲った上で、一方のテープ22をU環62で圧縮する。多数個のU環62が、図面表裏方向に並んでいる。
同様に、他方のファスナー歯列28を他方のテープ27でU字状に囲った上で、他方のテープ27をU環62で圧縮する。
図8(b)に示すように、スライダーで一方のファスナー歯列24に他方のファスナー歯列28を噛み合わせると、一方のテープ22と他方のテープ27とが互いに圧縮され、水密性能を発揮する。
よって、本考案におけるファスナー20は、防水性を有すればよく、図3、図7及び図8で説明したものを含め、構造や種類は問わない。
本考案のパッキン60は、開閉カバー52に接着固定することは差し支えないが、交換を考えると、面ファスナーで着脱可能に取付けることが推奨される。この具体例を図9に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、面ファスナー半体65と面ファスナー半体66とからなる面ファスナー64を準備する。一方の面ファスナー半体65には、片面に雌側突起(又は雄側突起)65aが無数に設けられている。他方の面ファスナー半体66には、片面に雄側突起(又は雌側突起)66aが無数に設けられている。雄側突起66aに雌側突起65aが絡みつくことで、面ファスナー半体66に面ファスナー半体65が貼り付く。一定の引き剥がし力を与えると、面ファスナー半体66から面ファスナー半体65が剥がれる。
予め、一方の面ファスナー半体65をパッキン60の底に接着剤で貼り付けておく。
また、他方の面ファスナー半体66を開閉カバー52の例えば窪み58に接着剤で貼り付けておく。
図9(b)に示すように、面ファスナー64により開閉カバー52にパッキン60を着脱可能に取付ける。別途、スペアーとして、面ファスナー半体65を有するパッキン60Nをストックしておく。傷んだパッキン60を、何時でも新品のパッキン60Nに交換することができる。この交換により、防水性能を一定以上に維持することができる。
尚、本考案は、狭義のスーツケースに留まらず、トランクやキャリーケース等のハードケースに広く適用できる。
また、スライダーカバー40の構造については、図4〜図6で説明した構造は、好適な一例を示したに過ぎず、適宜変更することは差し支えない。
本考案は、防水性能を要求されるスーツケースに好適である。
10…スーツケース、11…ケース本体、12…蓋体、20…ファスナー(防水性を有するファスナー)、31、32…スライダー、33、34…引き手、40…スライダーカバー、41…カバーベース、42…凹部、51…ヒンジ、52…開閉カバー、60…パッキン、64…面ファスナー。
請求項4に係る考案は、請求項2記載のスーツケースであって、
前記パッキンは、面ファスナーにより前記開閉カバーに着脱可能に備えられていることを特徴とする。

Claims (4)

  1. ケース本体と、このケース本体の開口を塞ぐ蓋体と、この蓋体と前記ケース本体を開閉自在に繋ぐファスナーとを備えているスーツケースにおいて、
    前記ファスナーは、防水性を有すると共に、一条当たり2個のスライダーを有し、
    前記2個のスライダーは、所定位置でスライダーカバーで覆われ、
    このスライダーカバーは、前記所定位置にある前記2個のスライダーを覆って前記2個のスライダー間の防水性を高めるパッキンを備えていることを特徴とするスーツケース。
  2. 請求項1記載のスーツケースであって、
    前記スライダーカバーは、前記ケース本体と前記蓋体の一方に固定されたカバーベースと、前記ケース本体と前記蓋体の他方にヒンジを介して取付けられ前記カバーベースに嵌る又は外れる開閉カバーと、からなり、
    前記カバーベースに、前記ファスナーに付属する引き手を収納する凹部を備え、
    前記開閉カバーに、前記パッキンが備えられていることを特徴とするスーツケース。
  3. 請求項1又は請求項2記載のスーツケースであって、
    前記パッキンは、シリコンゴムであることを特徴とするスーツケース。
  4. 請求項2又は請求項3記載のスーツケースであって、
    前記パッキンは、面ファスナーにより前記開閉カバーに着脱可能に備えられていることを特徴とするスーツケース。
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