JP3215759B2 - 耐性菌に有効な5−置換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンとその製造法 - Google Patents

耐性菌に有効な5−置換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンとその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラム陽・陰性菌なら
びに耐性ぶどう球菌を含む耐性菌に広く有効な新規化合
物である2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エ
ピフルオロアルベカシンおよび2″−アミノ−5,2″
−ジデオキシ−5−エピアミノアルベカシンに関する。
これらの新規化合物は化学療法剤として細菌感染症の治
療に有用である。更に、本発明は前記の新規化合物の製
造法にも関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、1967年に当時、化学療法
剤として広く用いられていたストレプトマイシンやカナ
マイシンなどのアミノグリコシド抗生物質の耐性機構を
詳しく調べ、それらの抗生物質が耐性菌のつくる種々の
修飾酵素によって不活性化されて菌が耐性となる機構を
初めて明らかにした。そして、これらの修飾酵素で不活
性化されないカナマイシン誘導体を種々合成して、この
耐性機構を証明するのみならず、感染症の治療に有用な
化学療法剤として種々のカナマイシン誘導体を提供する
ことに成功した〔H.Umezawa and S. Kondo: “Aminogly
coside Antibiotics” ed. by H.Umezawa and I. R. Ho
oper, Springer-Verlag, Berlin. Heidelberg, New Yor
k, 267 頁(1982) ; および近藤信一「薬剤耐性機構の
生化学」、三橋進編、27頁、学会出版センター(198
1)〕。
【0003】それらのカナマイシン誘導体の中、3′,
4′−ジデオキシカナマインB(すなわちジベカシン)
〔H. Umezawa et al.,「J. Antibiotics」24, 485 頁(1
971)〕は、1975年以来、耐性菌に有効な化学療法剤とし
て広く使用されている。また、(S)-1-N-(4−アミノ−2-
ヒドロキシブチリル) ジベカシン(すなわちアルベカシ
ン)〔S. Kondo et al.,「J. Antibiotics」26, 412 頁
(1973)〕は1990年末よりメチシリン耐性ぶどう球菌(MR
SA)感染症の特効薬として使用されている。
【0004】メチシリン耐性ぶどう球菌(MRSA)は近年
院内感染によって急速に伝播し、重症な感染症を引き起
こすことで問題になっており、その治療薬の開発が注目
されている。アルベカシンの使用が2年以上経過したけ
れども、未だMRSAのアルベカシン高度耐性菌(最低発育
阻止濃度が25μg/ml以上)は臨床的に出現していない。
しかしながら、アルベカシンに軽度の耐性を示すMRSA
(最低発育阻止濃度が6.25−12.5μg/mlの範囲)が認め
られたので、本発明者らはそのアルベカシン軽度耐性MR
SAの耐性機構を詳しく調べた。その結果、アルベカシン
のMRSAによる耐性機構の主体は2″−OH基の燐酸化によ
る酵素的不活性化であることを証明した〔S.Kondo et a
l 「J. Antibiotics」46, 310(1993) 〕。
【0005】そこで、本発明者らはこの酵素的燐酸化を
うけにくい2″−アミノ−2″−デオキシジベカシンま
たは2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンおよび
それらの5−デオキシ誘導体を合成して、MRSAに有効な
新規化合物を提供した〔S.Kondo et al 「J. Antibioti
cs」46, 531(1993); 特願平4-341314、平成4年11月27
日出願〕。
【0006】一方、デオキシストレプタミンを含むアミ
ノグリコシド抗生物質であって5位のヒドロキシル基を
修飾したシソマイシン誘導体として次式(A) 〔式中、Rがアミノ基またはフッ素原子である〕で表わ
される5−エピアミノ−5−デオキシシソマイシン(R
がアミノ基の場合)および5−エピフルオロ−5−デオ
キシシソマイシン(Rがフッ素原子の場合)が良い抗菌
活性を示す記載(P.J.L. Daniels ら: 「Aminoglycoside
Antibiotics」 , ed. K.L. Reinhart, Jr.and T.Suami,
371-392頁(1980)、米国化学会、ワシントン)がある
が、これらの化合物の詳しい記述はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、特願平
4-341314号明細書記載の2″−アミノ−5,2″−ジデ
オキシアルベカシンがMRSAを含むグラム陽・陰性菌に広
く優れた抗菌活性を有するがマウスの急性毒性が多少と
も強いことから、より低毒性で抗菌力の優れた新規なア
ルベカシン誘導体を提供する目的で研究を行なった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは5−置換−
2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン類の合成の
研究を行なって、後記の一般式(I)で表わされる2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロア
ルベカシンおよび2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ
−5−エピアミノアルベカシンを合成することに成功し
た。更に、これらの合成された2種の新規な誘導体はMR
SAの発育を強く阻止するばかりでなく、グラム陽・陰性
菌に広く有効な抗菌活性を示し、しかも哺乳類に低毒性
であることが知見された。
【0009】従って、第1の本発明によると、次の一般
式(I) 〔式中、Rはフッ素原子またはアミノ基を示す〕で表わ
される5−置換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベ
カシンおよびのそれらの酸付加塩が提供される。
【0010】一般式(I)の化合物でRがフッ素原子で
ある場合は次式(Ia) で示される2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−
エピフルオロアルベカシンである。
【0011】一般式(I)の化合物でRがアミノ基であ
る場合は次式(Ib) で示される2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−
エピアミノアルベカシンである。
【0012】本発明によって得られる式(Ia)および
(Ib)で表わされる新規化合物である2″−アミノ−
5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロアルベカシン
および2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピ
アミノアルベカシンの理化学的性状を次に示す。
【0013】〔1〕2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シ−5−エピフルオロアルベカシン〔化合物Ia〕 (1)色および形状:無色粉末 (2)分子式:C2244FN7 8 (3)マススペクトル(SI-MS): m/z 554(M+H)+ (4)融点: 164-171 ℃( 分解) (5)旋光度: 〔α〕D 20 +108 °(c 1.0, H2 O) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル: 特異吸収な
し。
【0014】(7)赤外部吸収スペクトル(KBr): 3400,
1660, 1600, 1490, 1400, 1350,1130, 1060, 860 cm-1 (8) 1H-NMR スペクトル(D2 O, pD2): δ1.66(1H,m,
4′ax-H),1.85-1.99(3H,m,2ax-H,4′eq-H,3″-H), 2.0
0-2.11(2H,m, 3′-H2 ),2.22(1H,m, 3′′′ -H), 2.41
(1H,m,2eq-H),3.11(1H,dd,J=7.7,11.3Hz, 6′-H), 3.19
(1H,t,4′′′ -H),3.28(1H,dd,6′-H), 3.61(1H,m,2′
-H),3.70(1H,dd,J=9.7,10.0Hz, 4″-H), 3.77(1H,dd,J=
12.3Hz,6″-H),3.79(1H,t,J=11.3Hz,3″-H), 3.85(1H,
m,3-H),3.90(1H,dd,J=3.9Hz,2″-H), 4.01(1H,d,6″-
H), 4.07(1H,m,5″-H),4.12(1H,m, 5′-H), 4.29(1H,d
d,J=10.8,25.9Hz,4-H),4.30-4.34(2H,m,1-H,6-H), 4.35
(1H,dd,J=4.0,9.4Hz, 2′′′ -H),5.49(1H,d,J=3.4Hz,
1′-H), 5.53(1H,d,J=3.9Hz,1″-H),5.72(1H,d,J=51.0
Hz,5-H)
【0015】(9)溶解性:水によく溶ける。 (10)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0016】〔2〕2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シ−5−エピアミノアルベカシン〔化合物Ib〕 (1)色および形状:無色粉末 (2)分子式:C22468 8 (3)マススペクトル(FD-MS): m/z 551(M+H)+ (4)融点: 192-199 ℃( 分解) (5)旋光度: 〔α〕D 20 +102 °(c 1.0, H 2O) (6)紫外部および可視部吸収スペクトル: 特異吸収な
し。
【0017】(7)赤外部吸収スペクトル(KBr): 3420,
1650, 1590, 1480, 1400, 1350,1120, 1040, 830 cm-1 (8) 1H-NMR スペクトル(D2 O, pD2): δ1.71(1H,m,
4′ax-H),1.92-2.07(3H,m,2ax-H,4′eq-H,3′′′ -
H),2.10-2.15(2H,m,3′-H2 ), 2.21(1H,m,3′′′ -H),
2.45(1H,dt,J=4.7,13.3Hz,2eq-H),3.19(1H,t,J=6.9Hz,
4′′′ -H),3.22(1H,dd,J=6.4Hz,6′-H), 3.34(1H,dd,
J=3.6Hz, 6′-H),3.74(1H,m, 2′-H), 3.78-3.88(4H,m,
3-H, 3″-H,4″-H,6″-H),3.93-3.95(2H,m,4-H,2″-H),
4.03(1H,d,J=11.1Hz, 6″-H),4.17(1H,ddd, 5′-H),
4.37(1H,dd,J=3.6,9.4Hz, 2′′′ -H),4.46(1H,td,1-
H), 4.57(1H,br,5-H), 4.59(1H,m, 5″-H),4.68(1H,dd,
J=3.3,11.1Hz,6-H), 5.54(1H,d,J=3.3Hz, 1′-H),5.58
(1H,d,J=2.2Hz, 1″-H)
【0018】(9)溶解性:水によく溶ける。 (10)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
【0019】本発明による式(Ia)で表わされる2″−
アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロアル
ベカシンおよび式(Ib)で表わされる2″−アミノ−
5,2″−ジデオキシ−5−エピアミノアルベカシンの
酸付加塩としては塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などの薬学的
に許容できる無機酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビ
ン酸、メタンスルホン酸などの薬学的に許容できる有機
酸との塩がある。
【0020】本発明によって得られる新規な5−置換−
2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの生物学的
性状を次に示す。
【0021】(1)抗菌活性 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオ
ロアルベカシン(化合物Ia)および2″−アミノ−5,
2″−ジデオキシ−5−エピアミノアルベカシン(化合
物Ib)のミュラー・ヒントン寒天培地で倍数希釈法によ
って測定した(27℃、18時間培養後)各種細菌(18株)
および臨床分離のMRSA(50株)に対する最低発育阻止濃
度(MIC)をそれぞれ表1および表2に示した。
【0022】
【0023】
【0024】(2)急性毒性 マウス(ICR、4週令、雌)静脈内1回投与による一般式
(I)の本発明化合物の50%致死量(LD50,2週間観
察)は次のとおりである。
【0025】 LD50 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5− >100 mg/kg エピフルオロアルベカシン (化合物Ia) 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5− >100 mg/kg エピアミノアルベカシン (化合物Ib)
【0026】本発明による式(Ia)または(Ib)の化合
物の生物学的性状の解明によって、本発明の化合物がメ
チシリン耐性黄色ぶどう球菌を強く阻止するだけでな
く、緑膿菌を含むグラム陽・陰性菌に広く有効である抗
菌活性をもち且つ毒性の低い化合物であることが証明さ
れた。
【0027】本発明による式(Ia)の化合物および式
(Ib)の化合物またはその酸付加塩は、薬学的に許容で
きる慣用の液体又は固体状の担体と組合わせて混合する
ことによって、該化合物を有効成分として含有する抗菌
剤組成物に調合できる。式(Ia)または(Ib)で表わさ
れる本発明化合物またはその酸付加塩を有効成分として
含有する抗菌剤組成物は、主として静注等の注射剤、カ
プセル剤、錠剤、散剤等の経口剤または軟膏もしくは直
腸投与剤、油脂性座薬、水溶性座薬等の種々の剤形で使
用される。これらの各種製剤は慣用の賦形剤、増量剤、
結合剤、湿潤化剤、崩壌剤、表面活性剤、滑沢剤、分散
剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭
剤、無痛化剤等を用いて常法により調製できる。
【0028】第1の本発明による一般式(I)の5−置
換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンは、特
願平4-341314号明細書に記載される新規化合物の2″−
アミノ−2″−デオキシアルベカシンを出発化合物とし
て用いて製造できる。
【0029】第1の本発明による式(Ia)の2″−アミ
ノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロアルベカ
シンの製造法として、第2の本発明によると、次の一般
式(II) の2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンから2″
−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの6個の全ての
アミノ基を加水分解で容易に脱離できるアミノ保護基で
あるアルコキシカルボニル基で保護すること及び4″,
6″および2′′′ 位のヒドロキシル基を選択的にア
ルカノイル基でアシル化して保護することにより、一般
式(IIa) 〔式中、Aは加水分解により脱離できるアミノ保護基と
してアルコキシカルボニル基であり、Bが加水分解によ
り脱離できるヒドロキシル保護基として低級アルカノイ
ル基である〕で表わされる4″,6″,2′′′ −ト
リ−O−アシル−3,2′,6′,2″,3″,
4′′′ −ヘキサキス(N−アルコキシカルボニル)
−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンを生成
し、次に一般式(IIa)の化合物にフッ素化剤を反応させ
ることにより5位にアキシアルのフッ素原子を導入して
次の一般式(IIIa) 〔式中、Aは前記に同じアミノ保護基であり、Bは前記
に同じヒドロキシル保護基である〕で表わされる5−エ
ピフルオロ誘導体を生成し、一般式(IIIa)の化合物か
ら酸加水分解によりアミノ保護基の脱離およびアルカリ
加水分解によりヒドロキシル保護基の脱離を行う各工程
より成る、次式(Ia) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフル
オロアルベカシンの製造法が提供される。
【0030】第2の本発明の方法において式(II)の出
発化合物のアミノ基に導入されるアミノ保護基としては
酸加水分解により容易に脱離できる既知のt−ブトキシ
カルボニル基などのアルコキシカルボニル基、さらにp
−メトキシベンジルオキシカルボニル基などのアラルキ
ルオキシカルボニル基などが使用される。アミノ保護基
の導入は慣用のアミノ基保護技術により行い得る。ま
た、ヒドロキシル保護用のアシル基としては、アルカリ
加水分解により容易に脱離できる炭素数2〜5個のアル
カノイル基が使用される。例えば一般式(IIa)〔式中、
Aは前記に同じアミノ保護基で、Bは水素原子の場合〕
で表わされる3,2′,6′,2″,3″,4′′′
−ヘキサキス(N−アルコキシカルボニル)−2″−ア
ミノ−2″−デオキシアルベカシンとアシル化剤として
無水酢酸とをピリジン中で反応させると、4″,6″,
2′′′ −位の3個のヒドロキシル基に収率良く選択
的にアシル基が導入されて、5位のヒドロキシル基が遊
離の一般式(IIa)〔式中、Aはアミノ保護基で、Bはヒ
ドロキシル保護基の場合〕で表わされる4″,6″,
2′′′ −トリ−O−アシル−3,2′,6′,
2″,3″,4′′′ −ヘキサキス(N−アルコキシ
カルボニル)−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカ
シンが生成される。
【0031】この化合物の5位ヒドロキシル基をフルオ
ロ基と置き換えるためのフッ素化剤としては公知のもの
が使用され、例えばジメチルサルファートリフルオライ
ドなどのジアルキルサルファートリフルオライド、ジエ
チルアミノサルファートリフルオライド(DAST)などの
ジアルキルアミノサルファートリフルオライドがある。
このフッ素化反応はピリジンの存在下にジクロロメタン
中で室温で行い得る。
【0032】このフッ素化反応で一般式(IIIa)の化合
物で生成され、この化合物から慣用のアミノ保護基脱離
法で酸加水分解によりアミノ保護基(A)を脱離し、次
に慣用のヒドロキシル保護基脱離法でアルカリ加水分解
によりヒドロキシル保護基(B)を脱離すると、目的の
式(Ia)の本発明化合物が生成される。
【0033】さらに、第1の本発明による式(Ib)の
2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピアミノ
アルベカシンの製造法として、第3の本発明によると、
一般式(IIa) 〔式中、Aがアミノ保護基であるアルコキシカルボニル
基であり、Bがヒドロキシル保護基である低級アルカノ
イル基である〕で表わされる4″,6″,2′′′ −
トリ−O−アシル−3,2′,6′,2″,3″,
4′′′ −ヘキサキス(N−アルコキシカルボニル)
−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの5位の
ヒドロキシル基をアルキルスルホニル化して次の一般式
(IIb ) 〔式中、AおよびBは前記の意味をもち、Eはアルキル
スルホニル基である〕で表わされる5−O−アルキルス
ルホニル誘導体を生成し、次に一般式(IIb)の化合物の
5位のアルキルスルホニルオキシ基にアジド化剤を反応
させることにより、5位にアキシアルのアジド基を導入
して、一般式(IIIb) 〔式中、AおよびBは前記と同じ意味をもつ〕で表わさ
れる5−エピアジド誘導体を生成し、続いて一般式(II
Ib)の化合物を水素添加して次の一般式(IIIc) 〔式中、AおよびBは前記と同じ意味をもつ〕で表わさ
れる5−エピアミノ誘導体を生成し、次に一般式(III
c)の化合物から酸加水分解によりアミノ保護基の脱離
およびアルカリ加水分解によりヒドロキシル保護基の脱
離を行う各工程より成る、次式(Ib) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピアミ
ノアルベカシンの製造法が提供される。
【0034】第3の本発明の方法において、一般式(II
a)の出発化合物でのアミノ保護基としては酸加水分解に
より容易に脱離できる既知のt−ブトキシカルボニル基
などのアルコキシカルボニル基、さらにp−メトキシベ
ンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカル
ボニル基などが使用される。また、ヒドロキシル保護用
のアシル基としては、アルカリ加水分解により容易に脱
離できる炭素数2〜5個のアルカノイル基が使用され
る。これら保護基は、第2の本発明方法で用いる一般式
(IIa)の化合物におけるアミノ保護基(A)およびヒド
ロキシル保護基(B)と同じであることができる。
【0035】第3の本発明の方法では、一般式(IIa)の
化合物を用い、まず5位のヒドロキシル基を公知のメタ
ンスルホニル化(メシル化)などのアルキルスルホニル
化を常法で行う。これによって一般式(IIb)の5−O−
アルキルスルホニル誘導体を得る。その後に、既知のア
ジド化剤例えばアジ化ナトリウムを反応させて、立体配
置の反転を伴うアジド基の置換反応を遂行して一般式
(IIIb)の5−エピアジド誘導体を生成する。次に、5
位のアジド基をアミノ基に転化するために、一般式(II
Ib)の化合物を触媒としてラネーニッケルなどを使用す
る公知の接触還元法にかける。これによって、一般式
(IIIc)の5−エピアミノ誘導体が生成される。
【0036】この接触還元で生成された一般式(IIIc)
の5−エピアミノ化合物から慣用のアミノ保護基脱離法
で酸加水分解によりアミノ保護基(A)を脱離し、次に
慣用のヒドロキシル保護基脱離法でアルカリ加水分解に
よりヒドロキシル保護基(B)を脱離すると、目的の式
(Ib)の本発明化合物が生成される。
【0037】次に実施例を挙げて本発明を説明するが、
これらによって本発明が限定されるものではない。
【0038】実施例1 2″−アミノ−5,2″−ジデ
オキシ−5−エピフルオロアルベカシン(化合物Ia)の
合成 (1)4″,6″,2′′′ −トリ−O−アセチル−
3,2′,6′,2″,3″,4′′′ −ヘキサキス
(N−t−ブトキシカルボニル)−2″−アミノ−2″
−デオキシアルベカシンの製造 特願平4-341314号明細書記載の2″−アミノ−2″−デ
オキシアルベカシン400mg を4ml、メタノール6ml、
ジオキサン1mlの混液に溶解し、その溶液へトリエチル
アミン0.1ml とジ−t−ブチルジカルボネート1.2ml を
加え35℃で26時間攪拌した。反応液を減圧濃縮乾固した
のち、残渣をピリジン12mlに溶解し、氷冷下に無水酢酸
2.4ml を加え、室温で3時間攪拌した。生成された表題
化合物を含む反応液に水0.5ml を加え、減圧濃縮乾固し
たのち、残渣をクロロホルム60mlに溶解し、5%炭酸水
素ナトリウム水溶液12mlで3回、10%食塩12mlで1回洗
浄した。
【0039】クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで脱
水し、減圧下に濃縮したのち、シリカゲルのカラムクロ
マトグラフィー(初めクロロホルム、続いてクロロホル
ム−メタノール,40:1で展開)で精製して、4″,
6″,2′′′ −トリ−O−アセチル−3,2′,
6′,2″,3″,4′′′ −ヘキサキス(N−t−
ブトキシカルボニル)−2″−アミノ−2″−デオキシ
アルベカシン840mg を得た。FD-MS m/z 1277(M+ )、
〔α〕D 20 +41°(c 1.3,CHCl3 )。
【0040】(2)4″,6″,2′′′ −トリ−O
−アセチル−3,2′,6′,2″,3″,4′′′
−ヘキサキス−(N−t−ブトキシカルボニル)−2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロア
ルベカシンの製造 前項(1)で得られた化合物160mg をジクロロメタン3
mlに溶解した溶液を、氷冷下にジエチルアミノサルファ
ートリフルオライド(0.078ml)のジクロロメタン(2.4m
l)−ピリジン(0.16ml)溶液に加え、得られた混合物
を続いて室温で2時間攪拌した。生成された表題化合物
を含む反応液にクロロホルム4mlを加え、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液2mlで2回、5%硫酸水素ナトリウム
2mlで1回、水2mlで1回洗浄した。
【0041】有機溶媒層を無水硫酸ナトリウムで脱水し
減圧濃縮したのち、シリカゲルのカラムクロマトグラフ
ィー(初めクロロホルム、続いてクロロホルムアセト
ン、4:1で展開)で精製し、表題化合物119mg を得
た。FD-MS m/z 1280 (M+H)+ 、〔α〕D 20+29°(c 1.
2, CHCl3 )。
【0042】(3)2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シ−5−エピフルオロアルベカシン(化合物Ia)の製造 前項(2)で得られた化合物120mg をメタノール1.8ml
に溶解し、1Nナトリウムメチラート0.068ml を加え
て、その混合物を室温で1時間攪拌した。反応液をダウ
エックス50W樹脂(H+ 型)で中和して減圧濃縮した。
氷冷下、残渣に90%トリフルオロ酢酸1mlを加え1.5 時
間攪拌した。
【0043】脱保護生成物として生成された表題化合物
を含む反応液を減圧濃縮し、更に水1mlを加えて乾固し
た。残渣を水3mlに溶かし、クロロホルム0.6ml で3回
洗浄した。水層を減圧濃縮したのち、アンバーライトCG
-50 樹脂(NH4 + 型,10ml)のカラムに吸着させ、水洗
(20ml)後に0.2M-0.8M アンモニア水によるグラジエン
ト溶出を行なって精製し、2″−アミノ−5,2″−ジ
デオキシ−5−エピフルオロアルベカシン(化合物Ia)
27mgを得た。
【0044】実施例2 2″−アミノ−5,2″−ジデ
オキシ−5−エピアミノアルベカシン(化合物Ib)の合
成 (1)4″,6″,2′′′ −トリ−O−アセチル−
3,2′,6′,2″,3″,4′′′ −ヘキサキス
(N−t−ブトキシカルボニル)−2″−アミノ−5,
2″−デオキシ−5−エピアジドアルベカシンの製造 実施例1の(1)項で得られた4″,6″,2′′′
−トリ−O−アセチル−3,2′,6′,2″,3″,
4′′′ −ヘキサキス(N−t−ブトキシカルボニ
ル)−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン235m
g をジクロロメタン10mlに溶かし、ジメチルアミノピリ
ジン674mg を加え、氷冷下に塩化メタンスルホニル0.21
4ml を加えて室温で16時間攪拌した。反応後にクロロホ
ルム15mlを加え、5%硫酸水素カリウム水溶液5mlで3
回、10%食塩水で1回洗浄した。有機溶媒層を無水硫酸
ナトリウムで脱水したのち、減圧濃縮した。
【0045】残渣をジメチルホルムアミド4.8ml に溶か
し、その溶液にアジ化ナトリウム127mg を加え、120 ℃
で3時間加熱攪拌した。生成された表題化合物を含む反
応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム25mlに溶かし、
10%食塩水5mlで3回洗浄した。クロロホルム層を無水
硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮したのち、シリカゲ
ルのカラムクロマトグラフィー(初めクロロホルム、続
いてクロロホルム−メタノール20:1で展開)で精製
し、表題化合物233mg を得た。FD-MS m/z 1303(M+H)
+ 、〔α〕D 20+33 °(c 1.1,CHCl3 )。
【0046】(2)4″,6″,2′′′ −トリ−O
−アセチル−3,2′,6′,2″,3″,4′′′
−ヘキサキス- (N−t−ブトキシカルボニル) −2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピアミノアル
ベカシンの製造 前項(1)で得られた化合物140mg をメタノール6mlに
溶かし、ラネーニッケルの存在下、常圧で3時間水素添
加した。触媒を除去して減圧濃縮し、シリカゲルのカラ
ムクロマトグラフィー(初めクロロホルム−アセトン
4:1で、続いてクロロホルム−メタノール20:1で展
開)で精製し表題化合物89mgを得た。FD-MS m/z 1277
(M+H)+ 、〔α〕D 20+43 °(c 1.1, CHCl3 ) 。
【0047】(3)2″−アミノ−5,2″−ジデオキ
シ−5−エピアミノアルベカシン(化合物Ib)の製造 前項(2)で得られた化合物87mgをメタノール1.8ml
溶かし、実施例1(3)項と同様の方法でナトリウムメ
チラートおよびトリフルオロ酢酸で処理して脱保護し、
アンバーライトCG-50 樹脂(NH4 + 型,10ml)のカラム
で精製し、2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−
エピアミノアルベカシン(化合物Ib)28mgを得た。
【0048】なお、本発明の方法で原料化合物として用
いる2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンは新規
物質であるから、これの合成法を以下に説明する。
【0049】先ず、3,2′,6′−N−トリス(t−
ブトキシカルボニル)ジベカシン(化合物IV)から出発
して式(II)の2″−アミノ−2″−デオキシアルベカ
シンを合成する工程の好適な実施法を簡略に表示する合
成工程チャートAを次に示す。合成工程チャートAで
は、Boc はt−ブトキシカルボニル基を、Zはベンジル
オキシカルボニル基を、Phはフェニル基を、PMZ はp−
メトキシベンジルオキシカルボニル基を表わす。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】この合成工程チャートAで出発原料として
用いられる式(IV)の3,2′,6′−N−トリス(t
−ブトキシカルボニル)ジベカシン〔以下では、3,
2′,6′−N−トリス(BOC )ジベカシンと略記す
る〕は特公昭63−1319号公報又は米国特許第4,297,485
号明細書記載の方法によってジベカシンを酢酸亜鉛の存
在下にt−ブトキシカルボニル・クロライドでアシル化
することによって合成されるジベカシンのアミノ基の部
分保護誘導体である。
【0054】合成工程チャートAに示したように、3,
2′,6′−N−トリス(BOC)ジベカシン(IV)の1位
および3″位の2個のアミノ基をBOC と異なる脱離法で
脱離できる別のアミノ保護基、例えばアラルキルオキシ
カルボニル基の一種のベンジルオキシカルボニル基を常
法によって保護すると、式(V)の化合物、すなわち
1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−
3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニ
ル)ジベカシンを生成する。続いて、この化合物(V)
の4″位と6″の2個のOH基を、ベンジリデン基で同時
に保護すると、式(VI)の化合物、すなわち4″,6″
−O−ベンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオ
キシカルボニル)−3,2′,6′−N−トリス(t−
ブトキシカルボニル)ジベカシンが生成される。
【0055】この化合物(VI)の2″位のOH基をアミノ
基に変換する。この2″位OH基をアミノ基に変換するの
は、例えば通常のフィッツナーモファト酸化〔B. P. Mu
ndyand M. G. Ellerd, 「Name Reactions and Reagents
in Organic Synthesis」,John Wiley & Sons, New Yor
k, 162頁(1988)〕によって式(VII)の2″−ケト誘導
体、すなわち4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″
−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,
6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニル)−2″−
デオキシ−2″−オキソジベカシンを生成し、続いてこ
の化合物(VII)を既知の還元的アミノ化反応〔例えば、
R. F. Borch et al., 「J. Am. Chem. Soc. 」93, 289
7, (1971)〕により2″−NH2 基に変換する。この還元
的アミノ化反応は化合物(VII)を酢酸アンモニウムの存
在下に水素化物、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム
で還元して行われる。
【0056】これにより、式(VIII)の2″−アミノ誘
導体、すなわち2″−アミノ−4″,6″−O−ベンジ
リデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニ
ル)−3,2′,6′−N−トリス(t−ブトキシカル
ボニル)−2″−デオキシジベカシンが生成される。
【0057】続いて、式(VIII)の化合物の2″−アミ
ノ基をアミノ保護基としてのBOC で保護すると、式(I
X)の化合物、すなわち2″−アミノ−4″,6″−O
−ベンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシ
カルボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ンを得る。この化合物(IX)の1位および3″位のベン
ジルオキシカルボニル基を加水素分解して除去して式
(X)の化合物、すなわち2″−アミノ−4″,6″−
O−ベンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラ
キス(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベ
カシンを生成する。
【0058】この化合物(X)の1位アミノ基を優先的
に、特公昭52-33629号または米国特許第4,001,208 号明
細書に示される既知の1−N−アシル化方法によって、
p−メトキシベンジルオキシカルボニル基でアミノ保護
された(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸でアシ
ル化する。続いて、得られた式(IIa-1)の1−N−アシ
ル化生成物をトリフルオロ酢酸などで処理してアミノ保
護基とヒドロキシ保護基を一挙に除去する。得られた生
成物を弱陽イオン交換樹脂によるカラム・クロマトグラ
フィーで精製すると、式(II)の2″−アミノ−2″−
デオキシアルベカシンが得られる。
【0059】合成工程チャートAの各反応工程を後記の
参考例1について説明する。
【0060】参考例1 2″−アミノ−2″−デオキシ
アルベカシン〔化合物II〕の合成 (1)4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″−N−
ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,6′−
N−トリス(t−ブトキシカルボニル)ジベカシン(化
合物VI):特公昭63−1319号公報または米国特許第4,29
7,485 号明細書記載の3,2′,6′−N−トリス(t
−ブトキシカルボニル)ジベカシン(化合物IV)9.02g
(12.0ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(D
MF)50mlに溶かし、ピリジン10ml、N−(ベンジルオ
キシカルボニル)コハク酸イミド6.28gを加え、室温に
4時間放置して反応させた(1,3″−アミノ基のベン
ジルオキシカルボニル化)。反応液を減圧濃縮し、水を
加えて生じた沈殿を、水、エーテルで洗浄して、1,
3″−N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,
2′,6″−N−トリス(t−ブトキシカルボニル)ジ
ベカシン9.90g(化合物V)を得た。FD-MS m/z 1020
(M+H)+
【0061】この1,3″−N−ビス(ベンジルオキシ
カルボニル)体4.98gをDMFに溶かし、ベンツアルデ
ヒドジメチルアセタール3ml、無水p−トルエンスルホ
ン酸200mg を加え、20mmHg減圧下40℃で1時間加熱攪拌
して反応させた(4″,6″−O−ベンジリデン化)。
反応液にクロロホルム300 mlを加えて抽出し、飽和重曹
水、10%食塩水各50mlで洗浄し、濃縮乾固した。これを
熱テトラヒドロフラン(THF)−酢酸エチルで再沈殿
して表題化合物3.88gを得た。〔α〕D 20+50°(c 1.
2,DMF)。
【0062】(2)2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキシカル
ボニル)−3,2′,6′,2″−N−テトラキス(t
−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシン
(化合物IX):前項(1)で得られた化合物2.95gを無
水ジメチルスルホキシド(DMSO)13mlに溶かし、ピリジ
ニウムトリフルオロアセテート250mg を加えた溶液に、
ジシクロヘキシルカルボジイミド1.68gをベンゼン19ml
に溶かした溶液を加え、室温で一晩攪拌して酸化反応を
行った。反応液にシュウ酸2水和物 685mgを 2.5mlのジ
オキサンに溶かして滴下し、室温で30分攪拌した。生じ
た沈殿を瀘去し、瀘液にクロロホルム 180mlを加えて抽
出し、飽和重曹水(100ml)、10%食塩水(200ml)で洗浄
後濃縮乾固して2″−ケト体〔詳しくは、4″,6″−
O−ベンジリデン−1,3″−N−ビス(ベンジルオキ
シカルボニル)−3,2′,6′−N−トリス(t−ブ
トキシカルボニル)−2″−デオキシ−2″−オキソジ
ベカシン〕(化合物VII)3.35gを得た。
【0063】これを無水メタノール 100mlに溶かし、酢
酸アンモニウム 3.7g、続いてシアノ水素化ホウ素ナト
リウム 673mgを加え、室温で一晩攪拌して還元的アミノ
化反応を行った。反応液にクロロホルム 300mlを加えて
抽出し、水、飽和重曹水、10%食塩水各 100mlで洗浄
し、濃縮した後、シリカゲル・カラム(ワコーゲルC-30
0 、和光純薬工業製、直径40mm、高さ70cm)で精製し、
初めにクロロホルム−メタノール(40:1)、続いて
(20:1)で溶出し、2″−アミノ体〔詳しくは、2″
−アミノ−4″,6″−O−ベンジリデン−1,3″−
N−ビス(ベンジルオキシカルボニル)−3,2′,
6′−N−トリス(t−ブトキシカルボニル)−2″−
デオキシジベカシン〕(化合物VIII)(シリカゲル・薄
層クロマトでクロロホルム−メタノール20:1で展開し
てRf 0.16 を示す)を含む分画を集め、濃縮乾燥した(7
75mg)。
【0064】これをTHF−メタノール混液(1:1)26ml
に溶かし、トリエチルアミン 0.1ml、ジ−t−ブチルジ
カルボネート 0.3mlを加え、室温で一晩放置した(2″
−アミノ基のt−ブトキシカルボニル化反応)。反応液
を濃縮乾固し、シリカゲル・カラム(直径22mm、高さ18
cm、クロロホルムメタノール20:1で展開)で精製し、
表題化合物 752mgを得た。FD-MS m/z 1207 (M+H)+
〔α〕D 20+33 °(c 1,CHCl3 )。
【0065】(3)2″−アミノ−4″,6″−O−ベ
ンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ン(化合物X):前項(2)で得られた化合物 730mgを
88%ギ酸−メタノール混液(1:19)40mlに溶かし、アル
ゴン気流中10%パラジウム−炭素1.45gを加え、加水素
分解して(2時間)1位及び3″位のアミノ基からベン
ジルオキシカルボニル基を除去した。反応液を瀘過し濃
縮乾固して表題化合物491 mgを得た。
【0066】(4)2″−アミノ−2″−デオキシアル
ベカシン(化合物II):前項(3)で得られた化合物 2
46mgをTHF 6mlに溶かし、得られた溶液にトリエチ
ルアミン35μlを加え、更にその溶液に対して、THF
(1.4ml)中(S)−4−(p−メトキシベンジルオキシ
カルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ酪酸81mgにN−ヒ
ドロキシコハク酸イミド33mg、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド61mgを加えることにより調製した活性エステル
の溶液を加えた。その反応混合物を5−20℃で一晩反応
した。少量の不溶物を瀘去した後、瀘液を濃縮乾固し
た。残渣をクロロホルム6mlに溶解し、飽和重曹水、10
%食塩水各2mlで洗浄した後、濃縮乾固(269mg)し、シ
リカゲル・カラム(直径22mm、高さ36cm、初めクロロホ
ルム、続いてクロロホルム−メタノール20:1で展開)
で精製し縮合生成物として1−N−〔(S)−4−(p
−メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒ
ドロキシブチリル〕−2″−アミノ−4″,6″−O−
ベンジリデン−3,2′,6′,2″−N−テトラキス
(t−ブトキシカルボニル)−2″−デオキシジベカシ
ン(化合物IIa-1)139mg を得た。
【0067】これを90%トリフルオロ酢酸 2.8mlに溶か
し、室温に1時間放置してベンジリデン基の除去とt−
ブトキシカルボニル基の除去とp−メトキシベンジルオ
キシカルボニル基の除去とを行った(脱保護)後、反応
液を濃縮乾固しエーテル(9ml)で洗浄した。残渣を少
量の水に溶かしアンバーライトCG−50(NH4 + 型、25m
l、米国ローム・アンド・ハース社)のカラムに通過吸
着させ、水洗(40ml)後、0.1-1.5Mのアンモニア水でグ
ラジエント溶出して精製し、式(II)の化合物である
2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシン38mgを融点
155-160 ℃(分解)の無色粉末として得た。
【0068】
【発明の効果】本発明で得られた新規化合物である2″
−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフルオロア
ルベカシン(化合物Ia)および2″−アミノ−5,2″
−ジデオキシ−5−エピアミノアルベカシン(化合物I
b)およびそれぞれの酸付加塩は、メチシリン耐性黄色
ぶどう球菌(MRSA)のみならずグラム陽・陰性菌に広く
抗菌活性を有するので、細菌感染症の化学療法剤として
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五味 修一 東京都大田区上池台3丁目17番17号 ア イビーハイツ202 (72)発明者 田村 淳 神奈川県横浜市港北区日吉本町3丁目40 番30号 緑風荘404 (72)発明者 池田 洋子 東京都世田谷区野毛2丁目17番2号 パ ークサイド野毛106 (72)発明者 池田 大四郎 東京都渋谷区代々木5丁目29番8号 代々木コーポラス107 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニユーフジマンシヨン701 (56)参考文献 特開 昭63−39891(JP,A) J.Antibiot.,Vol. 46,No.3(March 1993)p. 531−534 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 15/234 A61K 31/7036 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I) 〔式中、Rはフッ素原子またはアミノ基を示す〕で表わ
    される5−置換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベ
    カシン、およびその酸付加塩。
  2. 【請求項2】 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−
    5−エピフルオロアルベカシン、すなわち一般式(I)
    のRがフッ素原子の場合の化合物である請求項1記載の
    化合物、およびその酸付加塩。
  3. 【請求項3】 2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−
    5−エピアミノアルベカシン、すなわち一般式(I)の
    Rがアミノ基の場合の化合物である請求項1記載の化合
    物、およびその酸付加塩。
  4. 【請求項4】 次式(II) の2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンから、
    2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンの6個の全
    てのアミノ基を加水分解で容易に脱離できるアミノ保護
    基であるアルコキシカルボニル基で保護すること及び
    4″,6″および2′′′ 位のヒドロキシル基を選択
    的にアルカノイル基でアシル化して保護することによ
    り、一般式(IIa) 〔式中、Aが加水分解により脱離できるアミノ保護基と
    してアルコキシカルボニル基であり、Bが加水分解によ
    り脱離できるヒドロキシル保護基として低級アルカノイ
    ル基である〕で表わされる4″,6″,2′′′ −ト
    リ−O−アシル−3,2′,6′,2″,3″,
    4′′′ −ヘキサキス(N−アルコキシカルボニル)
    −2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンを生成
    し、次に一般式(IIa)の化合物にフッ素化剤を反応さ
    せることにより5位にアキシアルのフッ素原子を導入し
    て次の一般式(IIIa) 〔式中、Aは前記に同じアミノ保護基であり、Bは前記
    に同じヒドロキシル保護基である〕で表わされる5−エ
    ピフルオロ誘導体を生成し、一般式(IIIa)の化合物か
    ら酸加水分解によりアミノ保護基の脱離およびアルカリ
    加水分解によりヒドロキシル保護基の脱離を行う各工程
    より成る、次式(Ia) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピフル
    オロアルベカシンの製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(IIa) 〔式中、Aがアミノ保護基であるアルコキシカルボニル
    基であり、Bがヒドロキシル保護基である低級アルカノ
    イル基である〕で表わされる4″,6″2′′′−トリ
    −O−アシル−3,2′,6′,2″,3″,4′′′
    −ヘキサキス(N−アルコキシカルボニル)−2″−
    アミノ−2″−デオキシアルベカシンの5位のヒドロキ
    シル基をアルキルスルホニル化して次の一般式(IIb) 〔式中、AおよびBは前記の意味をもち、Eはアルキル
    スルホニル基である〕で表わされる5−O−アルキルス
    ルホニル誘導体を生成し、次に一般式(IIb)の化合物
    の5位のアルキルスルホニルオキシ基にアジド化剤を反
    応させることにより、5位にアキシアルのアジド基を導
    入して、一般式(IIIb) 〔式中、AおよびBは前記と同じ意味をもつ〕で表わさ
    れる5−エピアジド誘導体を生成し、続いて一般式(II
    Ib)の化合物を水素添加して次の一般式(IIIc) 〔式中、AおよびBは前記と同じ意味をもつ〕で表わさ
    れる5−エピアミノ誘導体を生成し、次に一般式(III
    c)の化合物から酸加水分解によりアミノ保護基の脱離
    およびアルカリ加水分解によりヒドロキシル保護基の脱
    離を行う各工程より成る、次の一般式(Ib) の2″−アミノ−5,2″−ジデオキシ−5−エピアミ
    ノアルベカシンの製造法。
JP24732793A 1992-11-27 1993-09-09 耐性菌に有効な5−置換−2″−アミノ−2″−デオキシアルベカシンとその製造法 Expired - Fee Related JP3215759B2 (ja)

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